第11回福井県科学学術大賞大賞受賞者

最終更新日 2013年3月1日ページID 031731

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葛原氏

くずはらまさあき
葛 原  正 明

 福井大学大学院工学研究科教授  

<略歴>
昭和56年  京都大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了       

昭和56年  日本電気株式会社入社  

昭和62年   米国イリノイ大学客員研究員(~昭和63年)
平成3年   工学博士(京都大学)
平成16年    福井大学工学部電気・電子工学科教授
平成18年  現職 



 業績名 『窒化物半導体トランジスタにおける電圧分散型電極構造の研究 』

  省エネ性能を向上できる窒化物半導体トランジスタの新構造を開発しました。その効果を高める研究を進め、電力変換時に電流の流れを阻害する要因をほぼ完全に抑制できる技術の開発に成功しました。現在、窒化物半導体トランジスタは、携帯電話基地局など私たちの生活を支えるインフラ分野で普及していますが、今後はさらに、ハイブリッド自動車や家電機器などの電力制御機器にも応用が進み、小型で高温にも耐える新たな省エネ性能の実現が期待
されています。

≪研究の内容≫
  今日の情報・家電機器や自動車・電車などの電力制御・変換にはシリコン半導体が用いられています。この半導体に代わる次世代材料として、高電圧や高温環境にも耐え、優れた省エネ性能を発揮する窒化物半導体の活用が注目されています。

  葛原氏は、開発初期から窒化物半導体の優れた性質に着目し、高周波および電力変換の領域において、これまで多くの基盤技術の開発を進めてきました。

  特に、葛原氏は、窒化物半導体の特性を活かす独自のトランジスタ構造を考案し、高電圧かつ高周波信号の電力増幅の分野で、数々の世界最高水準の成果実証を行ってきました。

  この新構造は、「フィールドプレート」と呼ばれ(図参照)、葛原氏は理論計算と実験を通して、効果を実証しつつ改良案の提案を進めました。また、国内外で特許を取得し、携帯電話基地局や移動放送中継車などの無線通信網での実用化に貢献しました。

  この成果をもとに、窒化物半導体の電力変換用途への新しい実用化を妨げる要因を分析し、平成26年に電流の流れを阻害する不具合をほぼ完全に抑制することに成功しました。

  葛原氏の長年の取組みは、国内外で高く評価され、平成17年に米国IEEEフェロー表彰、平成25年に応用物理学会フェロー表彰を受けました。また、海外の一流学術誌に数多くの論文が掲載されるとともに、欧米での国際会議などで多くの招待講演を行っています。

  これまで、産学連携型の国家プロジェクトにも多数参画しており、特に、NEDOプロジェクト「ナノエレクトロニクス半導体材料・ナノデバイス新構造基盤技術開発(平成19年-24年)」では、前半2年間のプロジェクトリーダーを務めた名古屋大の天野浩教授(平成26年ノーベル物理学賞を受賞)の後任として、後半4年間のリーダーを務めました。

  今後、多くの家電機器やハイブリッド自動車などの電力制御用途に応用されることにより、機器の小型化と省エネ化が進むことが期待され、低炭素排出で地球環境に優しい社会の実現に貢献します。

 
化学構造

 

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