第2回福井県科学学術大賞受賞者

最終更新日 2008年4月3日ページID 006281

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山田英幸氏


やまだ  ひでゆき
山 田  英 幸

  セーレン㈱ 開発研究第一グループ長

<略歴>
昭和36年 越前市生まれ
昭和62年 福井大学大学院工学研究科修了
 同 年   セーレン㈱入社
平成18年 同社研究開発センター開発研究第一グループ長



 業績名 『セリシンの再発見と事業化』

 蚕の繭を絹にする過程で出る廃液に含まれる、セリシンというタンパク質が、保水・保湿効果など有用な機能を持つタンパク質であることを明らかにしました。
 また、セリシンの工業的な分離精製技術を世界で初めて開発したことにより、繊維加工などの化成品原料、化粧品原料、バイオ関連原料など多分野で利用できることとなり、絹産業の新しいビジネスモデルの確立に貢献しました。


≪開発研究の内容、成果≫
 セリシンは130年以上も前に発見されていましたが、蚕の繭を絹にする精練過程は、いわばセリシンを除去する工程であり、セリシンは廃液として捨てられて、全く注目されていませんでした。
 氏は、精練作業の従事者たちが、水仕事をしているにもかかわらず手の肌荒れが少ないことに着目し、直接手に触れる精練廃液中に高濃度で存在するセリシンが関与しているのではないかと考え、研究に着手しました。

 その後、セリシンの機能性研究により、保湿効果などがある極めて優れた機能性素材であることを明らかにしました。これまで明らかにされた機能性には次のようなものがあります。
(1)高い保水・保湿効果
(2)成人病や皮膚炎などの原因となる活性酸素の増加を防ぐ抗酸化能
(3)皮膚の美白効果、紫外線抑制効果、皮膚癌の抑制効果
(4)酵素活性の安定化効果、細胞培養時の増殖促進効果

 また、絹の精練廃液に含まれるセリシンを安定的に分離精製する技術を確立し、世界で初めて工業的生産を可能にするとともに、応用研究として抽出精製したセリシンの膜化技術の開発を行い、繊維に安定して定着させる加工を可能としました。
 その結果、
(1)機能性繊維素材(肌にやさしい素材)
(2)化粧品、化成品素材
(3)健康食品、機能性食品素材
(4)医療・医薬品素材
等、多分野で事業化が進められ、絹産業の新しいビジネスモデルが確立されました。

セリシン製品

「セリシン」とは
 絹(シルク)の原料となる繭は、蚕が吐き出す糸で作られています。この繭糸の約70%はフィブロインという蛋白質から構成されており、残り20~30%がセリシンと呼ばれる水溶性の蛋白質で、フィブロインのまわりを取り囲んでいます。絹織物として繭を利用する場合は、絹独特の光沢や風合いを生み出すために、精練という工程でセリシンの大部分が除かれてフィブロインのみが利用されてきました。セリシンは18種類のアミノ酸で構成され、その中でも重要なうるおい成分であるアミノ酸「セリン」を多く含んでいます。 
絹糸 「絹糸の断面」 セリシンパウダー 「セリシンパウダー」

 

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