先進事例国調査報告

最終更新日 2008年4月18日ページID 004323

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Ⅰ スイス連邦市民防衛オフィス

 ○ 調査日時 平成16年10月25日(月) 09:00-13:30
 ○ 対応機関 Federal Ministry of Defence, Civil Protection and Sports,
           Federal Office for Civil Protection, Switzerland
 ○ 担当者  Mr. Jurg Balmer
          Head of Risk Management and International Affairs
           (危機管理及び国際問題担当最高幹部)

【説明資料1.スイス連邦の概要について】
1 面積,人口及び言語等
 スイス連邦は,面積41,284km2(九州よりやや小さい),人口730万人で,周りをドイツ,フランス,オーストリア,イタリアに囲まれている。
 人口の20%は非スイス人であり,高い人口密度と,多くの地域的な違いを有する。
 平均寿命は女82.6歳,男76.9歳である。
 全世帯数の30%は単身世帯である。
 多文化的であり,いくつかのヨーロッパ文化の影響を受けている。言語は4言語(ドイツ語(63.7%),フランス語(20.4%),イタリア語(6.5%),ロマンシュ語(0.5%)であり,伝統,祭り及び地域の慣習にもその影響が及んでいる。

2 政治体制
 連邦,26の州(カントン),2800の市(自治体)からなる,3段階の連邦制である。分権化が進んでおり,各州の連携は強い。
 直接民主制であり,年平均4回国民投票が行われている。
 連邦議会は2院制(全州議会(46議席:上院),国民議会(200議席:下院))であり,両院の権限は同じである。議員の任期は4年。
 連邦政府は7つの省(外務省,内務省,司法省,国防・市民保護・スポーツ省,財務省,経済省,環境・運輸・エネルギー・コミュニケーション省)を有し,各省の長(閣僚)は4つの政党から選出されている。大統領(国家元首)は,7人の閣僚のうちの一人が任期1年で就任する。

3 市民保護について
(1) 経緯
 第2次世界大戦や東西冷戦,そして「ベルリンの壁」の崩壊による冷戦の終結により戦争の危険性がほぼなくなったこと等,ヨーロッパ政治情勢の変化により,スイス連邦の市民保護は変遷を重ねてきた。
 第2次世界大戦時は「受動的」航空防護("Passive" Air protection,1939年),冷戦に伴い,憲法に民間防衛(Civil Defence)を規定(1959年),民間防衛に関する連邦法の制定(1962年),全国民にシェルターを用意する「保護」("Protect")の概念(1971年),冷戦構造の崩壊により,保護と救助(Protection and Rescue)の新ガイドライン(1992年),市民保護(Civil Protection)に関するものに法修正(1995年),新安全保障政策(協力を通じた安全保障)(2000年),そして市民保護システム(Civil Protection system)に関する連邦法の制定(2004年)である。
(2) 災害への対処手段
 災害時には,州指揮下の警察・消防・公共医療サービス・テクニカルサービス(電気,ガス,水道等のライフライン)及び連邦指揮下の保護支援サービス(市民保護等)・軍が対処することとなる。
   (スイス連邦では警察は各州に属し,連邦警察はない。)
(3) 災害救援での各段階
 災害の救援においては,次の順序で対応する。
① 災害発生後直ちに
 警察,消防,救急・医療
② 一次派遣
 消防(支援場所において),民間防衛(第一次部隊)
③ 二次派遣
 近隣地域に配属された消防及び民間防衛部隊,病院,協力者
④ 三次派遣
 軍(救援部隊)
(4) 様々な義務
 スイス国民には,様々な義務が課されている。
① 組織を編成する義務
 街区ごと,地区(複数の街区)ごと,地域(複数の地区)ごとに編成する。
② シェルターを建設する義務
 1962年から義務化され,一戸建ての家を建てる場合は地下に核シェルターを設置しなければならないこととされた。なお,核シェルター設置のための補助金はない(それほど特別な構造ではなく,総工費の約0.5%増で済むため)。
③ 兵役の義務
 20歳以上の男子のスイス国民は,兵役(軍,民間防衛又は消防団のいずれか)に就く義務がある。
(5) シェルター等の全国民に対する整備状況
① シェルターの普及率:95%(650万人超分)
② 指揮所の割合:95%(1,500ヶ所超)
③ 救助部隊用施設の割合:95%(1,500部隊超)
④ 医療サービスの割合:95%(全シェルター内に100,000ベッド超)
⑤ 固定式サイレンの普及率:95%(4,200ヶ所)
⑥ 移動式サイレンの普及率:95%(3,000台)
→人口が増えるため,100%の整備は難しい。
(6) 標語
 1962年時点では,「保護」を主目的として「予防は復興活動に勝る」としていた。その後の国際情勢の変化等により,1995年では「災害救助」を主目的として「単純,迅速,共同行動」へ,2004年では「市民保護システム」を主目的とする「統合システム」とされている。
(7) 変化の背景
 1989年の「ベルリンの壁」の崩壊により東西冷戦が終結し,ヨーロッパにおいては戦争の危険性が,あり得ないとまでは言えないものの,ほぼなくなるという大きな変化があった。
 これにより,スイスにおける民間防衛の課題は,戦争への対処から災害への対処へと変わった。

4 スイスにおける2004年時点での市民保護システムについて
(1) 2003年までとの比較
① 2003年までは,日常的災害は消防,警察,医療サービス,テクニカルサービスが,災害及び緊急 事態においては,日常的災害への対処組織に加えて民間防衛用資源による補強といったように,各組織は独立して存在していた。
② 2004年以降は,統合システムとされた。これは,市民保護システム内に消防,警察,医療サービス,テクニカルサービス及び保護支援サービスの5つのパートナー組織を配置し,これらを一つのユニットとして「より大きな災害には,より多くの資源を投入する」方式である。
③ 相違点は,「組織別対処」から「職務(タスク)別対処」へ変更されたことである。従来はそれぞれの組織で対応していたものが,対象に合致した資源(人,機材等)を投入することにより,最適な資源配分と経費削減ができるようになる。
(2) 対象となる危険
 国における危険は,その大きさ(影響範囲)により,
① 日常的災害(交通事故,火災等)
② 災害(自然災害(例:地震),人災(例:原子力事故)等)
③ 緊急事態(広範囲に渡る健康被害,難民の大量流入,ITインフラの大規模ダウン等)
④ 戦争に至らない暴力(国外からの恐喝,テロリズム等)
⑤ 武力衝突(近隣諸国における戦争,スイス国内での武力衝突)
が想定される。その中で,武力衝突は事前の警告期間が数年間に及ぶが,それ以外は事前警告期間がないか,あるいは短時間と分類できる。
市民保護システムにおいて対象とされる危険は,上記危険のうち日常的災害及び武力衝突を除く②~④である。その理由としては,日常的災害は従来の方法で対応可能なこと,また,武力衝突はその可能性が低いことと,実行に移されるまでに時間的な猶予があることである。
(3) 一つの手段から複合的な制度へ
 市民保護システムでは,州指揮下の警察・消防・公共医療サービス・テクニカルサービスと,連邦政府指揮下の保護支援サービスを「市民保護システム」傘下の共通スタッフユニットとした。
 その目的は,これら5つのパートナー組織を統合し,命令を下す一つの本部があるシステムとすることにより,パートナー組織による準備及び行動の最適な連携を実現することである。パートナー組織間の協力が進むことで,資源の使用における連携性及び相乗効果を高め,そして専門知識を一極集中させることが可能となる。
 なお,このシステムは人口6,000人以上の自治体を対象として勧告したものである。
(4) 兵役等の義務
 2003年までは,兵役等の義務は20~52歳までのスイス人男子国民に課されていた。兵役(軍)が主であり(42歳で退役),身体的理由等で兵役に付けない者(及び(早期)除隊者)が民間防衛に従事した(50歳で退役)。消防団(州指揮下)は軍又は民間防衛に付加的に行われた(52歳で退役)。52歳以降は各自の自由意思で参加した。
 2004年からは,連邦法の改正で兵役は30歳まで,保護支援ユニット(従来の民間防衛)は40歳までに短縮された。州によって異なるが,消防団の従事年齢も短縮されている。
(5) 災害救援のモジュール構造
 日常的災害(交通事故,火災等)は,一次出動資源(警察,消防,救急処置サービス等)で対応する。
 災害及び緊急事態では,一次出動資源及び追加資源で対応する。災害等の状況によっては,備蓄要素も投入する。
 脅威の拡大(武力衝突等の場合)に伴い,準備態勢の強化及び資源の「拡張」(兵役の30歳,保護支援サービスの40歳を延長する)を行う。
(6) 地域間,州間での協力
 災害への対処では,地域間又は州間での協力も行われる。基本的には,地域的なものはその地域のユニットで対応するが,大規模なものや2~3日に渡るものは周辺の州からの応援で対応する。さらに大規模な場合は,軍の出動を要請する場合もある。
(7) 軍による補助的支援
 大規模災害において,周辺の州からの応援でも対処できない場合は,州・自治体から連邦政府に対し軍による補助的支援(ヘリコプター,資機材の提供等)の要請(時間,内容,場所を提示)を行い,連邦政府から軍へ指示(方法,手段)が出される。出動した軍は州の司令本部の指揮下に入る。
(8) プロジェクトの進展
 これらのシステムは,1998年に「安全保障政策に関する政治的原則」として連邦政府が策定し,1999年「安全保障についての報告」が連邦議会になされた。その後,2000年にガイドラインの作成,2001年に法制化,2002年10月4日に連邦議会で可決,2003年5月18日に国民投票において81%の賛成で可決,2004年に施行された。2つの州のみ新しい連邦法により運用されており,残りの24州では未運用である。すべての州で運用されるまでには2~3年かかる見込みである。
(9) まとめ
 過去は記憶できる人のものであり,未来は進化できる人のものである。

【質疑応答】
Q1 トレーニングセンターについて
 このトレーニングセンターはいつ建てられたか。また,なぜ市街地ではなく,このような郊外(ベルン州州都から30分程度離れた牧草地帯)に建てたのか。
→A1 1980年代に建てられた。州都から離れているのは,国土の均衡ある発展(一極集中を避ける)のためである。

Q2 警察・消防と民間防衛の管轄の違いについて
 警察・消防は州管轄であるが,民間防衛はなぜ連邦管轄なのか。
→A2 警察や消防は昔からの伝統により州で行っており,民間防衛は新しいものなので連邦で行っている。警察・消防も本来は連邦で総括すべきものと考えている。

Q3 市民保護システムで苦心した点について
 市民保護システムにおいては州指揮下の部門と連邦指揮下の部門とが共同で対処するが,苦心した点は。
→A3 市民保護に関して実際に働くのは州であり,管理は連邦レベルで行われるため,州と連邦の調整が難しかった。

Q4 マニュアルについて
 避難マニュアル等はあるか。
 →A4 マニュアルはない。事前に国民へ配布もしないし,その必要もない。有事の際にはサイレンで警報を流すが,その内容やその他の事柄は電話帳の後ろに記載されている。国民はそれらに沿って行動し,追加事項は州や連邦から直ちに伝達される。

Q5 サイレンの訓練について
 サイレンの訓練はいつ行っているか。
 →A5 毎年2月の第2水曜日に行っている。

Q6 スイス政府編「民間防衛」(スイス政府編纂の災害時の対処本)について
 日本では,「民間防衛(スイス政府編)」という本が最近復刊されたが,この本は現在でもスイス国内で使用されているのか。また,改訂の予定は。
 →A6 1980年代までの冷戦に基づいた本であり,現在では使われることは全くない。スイスにとっては過去のものであり改訂する予定はないが,もし日本で役に立つのであれば良いことだと思う。

【調査成果(所感)】
 スイスは周りをドイツ,フランスといった大国に囲まれ,永世中立を宣言(国際法的にも確立)し,国民皆兵・専守防衛を維持している。
民間防衛に関しては,冷戦の際は地理的条件から核戦争に巻き込まれる危険もあり,核シェルター等を法制化し整備したが,現在は国際情勢の変化(戦争の可能性がほぼなくなる)もあり,災害対処に主眼をおいている。
 連邦制であり,警察・消防等と市民保護担当の管轄が州と連邦とに分かれているが,「市民保護システム」を整備することにより一体的かつ効率的な運用を図っている。
 有事への対応に関しては,ヨーロッパと日本とでは現在置かれている状況が異なることから,現在スイスが行っていることをそのまま日本に当てはめることは難しい。しかしながら,スイスが過去において行ってきたことを学び,現在の日本の状況を勘案して役立てていくことは有益であると思料する。


【説明資料2.リスクマネージメントプランについて】

 説明資料1.に次いで、担当者のMr. Jurg Balmer氏よりリスクマネージメントプランに関して説明していただいた。本プランは、スイス国防・民間保護・スポーツ省連邦民間防衛局により策定さたものである。
 
1 想定されるリスク
 スイスにおいて、現代社会を脅かす驚異として想定される事象は、近年の災害の発生状況をみると日常的な災害(交通事故、家庭内事故、火災等)でもなく、武力衝突でもない。自然災害、人為的事故、緊急事態(感染症被害・情報インフラのダウン含む)、戦争に至らないレベルのテロなどの発生頻度の高い事象である。
 
2 リスク評価手法の確立
 「KATARISK」と呼ばれるリスク評価手法が、1995年最初の報告書の発刊、2003年の改訂を経て確立された。この中でスイスにおいて想定すべきリスクの分類・定義、リスクの重要度・深刻度の把握、全体的なリスクの評価・比較というステップを経てリスク評価が行われた。
 この報告書のリスク評定では、発生頻度からみると、リスクの大半は大地震、伝染病、洪水によるものであり、残りは日常的な災害・事故によるものである。

3 地域、地方・州、国レベルでのリスク評価の実施
 リスクは、地域、地方・州(カントン)、国家といった対策機関の規模により異なるため、KATARISKでは、異なる規模の機関ごとにリスク評価を行う必要があることを示す。例えば、日常的な災害・事故によるリスクは、自治体ごとに地域性があるため、個々に評価される。一方、大地震、大規模な伝染病、大洪水、放射能汚染などの地域の管轄を越える災害・事故は、地方・州レベルでリスク評価し、さらに広域に被害が及ぶ災害は国家レベルでリスク評価を行う。

4 リスク評価に基づく対策計画の樹立
 各機関は、これらリスク評価に基づく独自の対策計画を策定する必要があるが、その際、利用可能な防災資源(地域内外)の割り当て、地域外からの支援方策を計画に織り込み、実際のニーズに応じて計画を策定することを求めている。
 また、統合的危機管理構成要素のサイクル図に基づき、実際に生じた災害への対応、復旧プロセス、発生が予想される災害への事前対策を実施しながらリスク評価結果を検証し、対策計画の内容を見直すことが重要である。

5 地域、地方・州、国レベルでの具体的な対策の推進
 地方・州、国家の担当者レベルの対策内容は、次のとおり。
① 国(連邦)の担当内容  想定される主なシナリオとガイドラインの作成
② 州レベルの担当内容  シナリオの選定、予測図、GIS業務のコーディネート
③ 地域(市)の担当内容 シナリオの選定、予測図、GIS導入、条例化など実施
 リスク自体は避けられないので、いかに低減するかが対策の主眼である。

6 リスク区分の標準化と管理方法
 リスク評価の概念や用語については、想定されるリスクの区分に応じて次のように標準化される。また、これらリスクの区分に応じてリスク管理方法が異なることについて考慮しておく。
① 日常的なリスク 交通事故、火災、職場内事故(労働災害)・・・・ 通常手続きで対処
② 複合的リスク  自然災害及び人為的な事故など予測しうる緊急事態
(KATARISKにより想定される各リスク)・・・・ 費用対効果を考慮した重点的な事前対策を推進
③ 不確定なリスク 武力攻撃災害、新たな疫病など統計的推定が困難なリスク・・・・ 主にリスクに応じた被害拡大防止等応急対応で対処
④ 不明瞭なリスク 時代とともに今後どのように展開するか不明瞭なリスク・・・・ 遺伝子工学や情報処理技術等の進展、国際的な議論等を見極める必要あり

【調査成果(所感)】
1 スイス連邦市民防衛オフィスのプレゼンテーションは、現場の危機管理担当者に対する研修
 や研究開発を推進する立場から最新のリスク評価手法をいかに確立してきたか最新の知見
 を聴取できた。これらは、従来の民間防衛システムの整備が一定の水準に達した状況下で、
 危機管理の目標設定をどのように再構築するかについての現実的な考え方が反映している
 ものと考えられる。
2 KATARISKに基づくリスク評価手法の確立に止まらず、これらをスイスの地域・地方・国等の
 行政機構に対応した危機管理計画にフィードバックする仕組みを重視し、実践していることが
 重要である。
3 不確定なリスクや不明瞭なリスクは厳密に線引きは困難であり、起こりうる事態への対処
 計画は、結局従来の対策の延長線上にある。重点的な事前対策や応急対応計画を効果的
 に組み合わせる保護計画やリスク評価(推定)システムの整備が急務である。
 


  

Ⅱ ベルン州消防本部(スイス )

 ○ 調査日時 平成16年10月25日(月) 15:30-17:00
 ○ 対応機関 Stadt Bern, Drektion fur Offentiche Sicherheit, Feuerwehr,
           Zivilschutz und Quartieramt
 ○ 担当者: MR. MAJOR CHRISTIAN SCHAFER Offizier Berufsfeuerwehr

1 ベルンの消防サービスの概要
(1)行政組織について
・議会は80人で構成
・行政は現在7人の大臣で構成しているが、2005年からは5人に削減される予定。
・総務、公安・環境、社会福祉・スポーツ、建設・交通、財務・人事・ITの5大臣
・公安・環境の中で、警察、住民登録など、救急・救助、消防・民間防衛、環境保全の各分野に分かれている。
(2)消防・民間防衛について
・消防は専任、民間防衛は有志による兼任
・消防士95人 シフトは2つで41人ずつ、スタッフが13人
・24時間2交代 18名から20名体制に増やす予定。
・18名のうち、2名をアラームセンターに配置し、16名が消火活動に従事。
・ボランティアの消防士が230名
・民間防衛のスタッフは5名、うち2名が総務的な仕事を3人がフォーメーションづくりなどを行っている。
・民間防衛は400名が登録しており、非常呼集で参集する。早い人は1時間以内に参集するが、残りの人も24時間以内に参集が可能である。
・専任ではないが、必要な訓練を受けている。
・民間防衛の予備隊員として、さらに400名が登録されている。
・QuarterMasterは、ビルなどのメンテナンス、軍や行事の際の宿泊の手配などを行う。
・人口はベルン州全体で100万人弱、ベルン市は12万7千人
・今から10年前には、400名のボランティアの消防士がいたが、現在は200~250名程度に人数をしぼっている。
・大規模な災害などへ対応するための装備等はすべての消防署に置くことはできないので支援地点として州全体で40か所を定めている。
・中でも特に4か所(Biel、Langenthal、Bern、Thun)には大規模な支援資材などを置き、体制を整えている。
・化学災害に対しても出動(スイスは化学産業が盛ん)。
・ベルン市では年間300~380件の火災が起きており、毎日2回の誤報がある。毎週1回の交通事故(ただし救助が必要な交通事故)が起きており、医学的な出動はもっと頻繁に行われる。地下室への浸水やハチの巣を取ってほしいなどといったさまざまな出動は年間2,500件行われる。
・スイスで一番大きな消防本部は300名の消防隊員を抱えるジュネーヴであり、ジュネーヴだけは消防本部が2か所ある。
・人員や資機材が不足する場合は、近隣の自治体、40か所の支援地点などでお互いに助け合うこととしており、ベルンも年に数回出動している。
・災害への対処の基本は、できるだけ低いレベル(自前)で処置すること。
・ただし、化学薬品、炭化水素が絡んでいる事故は、即助けを求めることとしており、必要であれば軍隊の要請も行われる。
・この場合、軍隊は地元の消防の指揮下に入る。
・優先順位は、
       1 地元の自治体
       2 地域
       3 州 ……… このレベルになれば非常に大きな災害である。
       4 軍隊
・国家規模の災害の際に、連邦と州の考え方の違いを調整するのが難しい。

2 大災害時のサービス
・災害が発生した場合、数分の間に消防・警察・救急が駆けつける。
・民間防衛のシステムが必要となったときには、消防署長の判断のみで招集できるが、隊員は兼業のため、参集するのに30分~数時間かかる。
・状況によっては、特殊な部隊や軍の出動を要請することもある。
・都市周辺の住民は、地震や建物崩壊時の訓練を受けていない者も多い。
・1999年に大規模な洪水が起こり、軍まで出動した。
・3週間で消防士(ボランティア含む)が述べ11,000時間、民間防衛が3,200時間、軍が8,000時間の活動を行った。
・大規模洪水の危機を想定して準備していた救助計画などに基づき、関係機関との連携もうまくいったと考えている。
・消火活動は数時間であるが、洪水時の動員は数週間にわたったため、長期間にわたるような訓練を受けていないことから非常に大変だった。
・情報の集約や人材の派遣プログラムについて課題があり、今後に対する教訓が与えられた。

3 戦時における消防活動
・50年前までは戦時下における特別な訓練を受けた消防隊員がいた。
・戦時下の消防隊員はボランティアではあるが、命令による出動が義務づけられていた。
・第2次世界大戦の時、空からの攻撃に対応した。
・70年代~80年代にかけて、民間防衛は消火活動に当たる組織となっていった。
・軍には、空からの攻撃に対する専門のレスキュー部隊や都市にも専門の部隊があった。
・90年代には消火活動は各自治体の任務となり、戦時に対する担当のスタッフはいなくなり、資材も老朽化が進んでいる。軍の特殊な救助部隊も規模が縮小されている。
・そうした中、各種の緊急事態へはいろいろな部隊を集結して対応していかなければならない。
・戦時下 プロの消防士     80名 25~60歳
      ボランティアの消防士100名 30~60歳(半分は軍へ)
       民間防衛      800名 400名が正規の訓練を受けており、さらに予備隊員が400名
       Build up       ?    除隊後の人々などを招集することが可能である。
・資材は1か所への保管は危険であることから、2か所に分けて保管する。
・以上のようなことが決まっているが、明文化されたマニュアルなどはない。
・現在のところ、軍隊の再編成や戦時下への対応などに対する優先順位は低いものとなっている。
・スイス全体のうち70か所で化学災害へ対応できる準備をしている。
・軍から支給された化学薬品の検知器などはあるが、化学災害であっても初動に当たるのは消防隊員であり、災害ごとに検知器を持っては行かないのが実態である。
・テロへの対応については決まっておらず、大きな課題と認識している。
・しかし、NBC災害に対しては予算的にも厳しく十分な対策が取れていないのが実情である。


【質疑応答】
Q1 民間防衛への教育について
→A1 民間防衛の400名のうち、連邦政府のトレーニングを受けた者はごく少数であり、教官的な立場の者のみである。さらに、すべてのトレーニングを受けるのではなく限られたカリキュラムのみを受講している。したがって、ほとんどの者は州のトレーニングを受ける。州にはトレーニングセンターやフォーメーションセンターがある。
Q2 住民の避難について
→A2 急を要する避難は消防が行うが、原則は警察と民間防衛が行うことになる。特にマニュアルといったものはない。消防において、入院患者などの避難は独自の基準を持っているが、マニュアル化はされていない。


【調査成果(所感)】
・民間防衛の制度は伝統的にも確立し完成されたものとなっており、国民の中にも徴兵制度と並んで定着していると感じた。
・しかしながら、冷戦の終結から昨今に至る国際情勢の変化の中で、ヨーロッパにおいても戦争そのものへの危機感は非常に薄くなり、実際の運用面では人員に余剰が出ているようだ。
・したがって、民間防衛に対する役割も変化を余儀なくされており、災害への対応などにその存在意義をシフトしつつあるのが現状である。
・日本では、民間防衛としての活動が期待されている自主防災組織などは災害への対応から始まっており、有事に対する取り組みをいかに違和感なく融合させるかが課題であろう。
・また、有事などに対する消防の意識や災害時も含めて関係組織が集合した際の命令系統が地元の消防に統一される、などの点については日本においても早急に検討すべき課題である。
 


 

Ⅲ  スウェーデン危機管理庁(SEMA)

 ○ 調査日時 平成16年10月27日(水) 09:00-13:30
 ○ 担当者:Mr.Svante Werger
         (Informationschef Head of Information Department)

スウェーデン王国(Kingdom of Sweden)の概要
1.面積 :約45万k㎡(日本の約1.2倍)
2.人口 : 約894万人
3.首都 :ストックホルム(人口76万人)
政治体制・内政
1.政体:立憲君主制
2.議会 :一院制(349議席 任期4年)

1  スウェーデン危機管理庁(SEMA)の創設
 スウェーデンでは2002年(平成14年)7月1日、冷戦対処の非常事態準備庁及び心理防衛庁を廃止・統合し、危機管理庁(SEMA:Swedish Emergency Management Agency)を創設した。
 これは、冷戦の終結に伴い、軍事脅威の低下が見られると同時に、サイバーテロを含む各種テロ、大規模自然災害、大規模事故等が大きな脅威としてクローズアップされてきたことがその要因である。

2  SEMAの任務と民間防衛
 社会活動は多くの分野で相互依存し複雑に関連しあっている。こうしたことから、平時の危機対処及び民間防衛のための計画立案及び資源配分は次の6分野の間で調整され実行される。
 ・防護、救助及び救護
 ・危険な感染性病原菌、有毒化学剤、放射性物質の拡散
 ・技術インフラ
 ・輸送
 ・経済安全保障
 ・各分野ごとの全体調整、相互作用、情報
 SEMAは、関係する多くの公的機関を調整し、脆弱性の克服、危機管理能力を高めることを目指している。また、民間組織、地方自治体等との調整も実施している。
 民間防衛は、戦時におけるものと、平時におけるものがあるが、平時においては軍事攻撃に対する社会の対処能力を強化する活動として行われる。したがって、民間防衛は組織ではなく各種組織が実施する一連の活動である。一方、戦時では、民間防衛と軍事防衛が一体となって対処されるもの(全体防衛)であるので、スウェーデン国防軍と多くの民間組織、地方公共団体、企業間の緊密な協力・調整が必要となる。

3  SEMAの概略等
スウェーデンの政治体制
○略史
 1100年代   王国として統一始まる
 1630~48年 ドイツ30年戦争に介入、ウェストファリア条約で大国の地位確保
 1814年 ナポレオン戦争後、キール平和条約締結。以降非同盟・中立政策。
 1946年 国連加盟
 1995年 欧州連合(EU)に加盟
○外交の基本方針
 ・積極的なEU政策で、軍事非同盟政策をとる。
 ・国連との協力を重視し、国連の活動を通じた国際平和維持協力を行う。
 ・北欧、バルト諸国との協力を推進する。

危機管理庁の体制
【任務】
①ウィークポイントの強化
 ・破壊されやすい部分を強固にする
②何かが起きたときの役割
緊急事態における国、県、市、県会の役割
 ・処理、協力できるようにコントロールする役割
③それぞれの機構をサポートする役割(現場で対応する役割はオペレーションの役割を担っていない)
[具体的な業務]
 ・教育をする
 ・演習をする
 ・助成金を与える(国の助成金を配分する)
  なお、助成金は救援庁を通す場合もある。
【組織】
 ・危機管理庁、救援庁とも、国の省庁の下にある機関であり、関係官庁との協力体制を図る役割を果たしている。
 ・国以外に、県、市という地方行政がある。地方の行政機構は、国-県-市となっている。市は290あり、その下に市町村(コミューン)がある。コミューンには人口の差がある。
 ・縦割り行政ではなく、横割り行政であることが特徴である。
   例えば、国防は国、警察は県、医療・救急は市が専属で実施
 国、内閣で制定された法律は、国、県、市が運用することとなるが、それぞれが条例に基づき全く独立した行政を行う。
 ・県知事は内閣任命で、県議会があり、知事は国の業務を県単位で代行する。
【危機管理】
 ・災害が生じたときは、それぞれ独自の条例に基づき、国、県、市ごとに対応
   事故、ローカルで処理できるもの → 市で対応
   広域に被害が及ぶもの  → 県で対応
   災害、国家的な危機  → 国(救援庁が指揮をとる)
 ・なにか起こった際の国の危機管理の担当は危機管理庁と救援庁である。 
【役割分担】
 危機管理庁が中心になって他の機 構と調整・協力する事項
 ①インフラ関係(停電等)
 ②運輸関係(陸、海、空)
 ③危険物、化学、放射能汚染の危険の拡大防止
 ④経済的安全、銀行の安定、社会保険の運営
 ⑤国、県、市の機構の協力関係
 ⑥防衛、救援、保護
※③と⑥については、救援庁と協力している。

救援庁の体制
 ・救援庁は、安全な社会を築くことが任務である。
【救援庁の組織】
 ○防衛庁の一部門
 ○約850人の職員
 ○ISO14001を官庁では一番最初に取得
 ・年間事故死、およそ3000名
   (そのうち、80%が家庭内で起きている。)
 ・事故への対処経費が400億クローネ。一方で家屋火災への対処経費は約13億クローネである。
 ・このため、家庭内における事故の救済が主な任務となり、事故が起こらないようにするため、或いは、事故が起きたときにどうしたらいいのかについてインフォメーションを行う。
 ・Karlstadに救援庁の本部がある。その他、9つの支部がある。
 ・Sando、Rosersberg、Skovde、Malmbyに救援隊を育てるための4つの学校がある。
 ・救援庁には、救援サポート部がある。スウェーデンは、EU加盟後、関係諸国との関係が強くなっている。救援庁は救援に関する監督庁になる。地方救援隊と国家救援隊に分かれている。
【スウェ-デンの緊急事態法制】
 スウェーデンの国防は、軍事防衛を中心とし、これに市民防衛(人命の保護・救護)、経済防衛(必要な物資の供給の確保)、心理防衛(国民の国防意識の高揚)などを一体化した、全体防衛という思想が流れている。
 全体防衛体制の特徴としては、1)国民の責任が明確にされていること、2)国防に関する広汎な法制が整備されていること、3)民間防衛の体制・態勢が整っていること、などが挙げられる。国民の責任については、法律などで16歳から70歳までの全国民が全体防衛に参加するという国防責任が規定されており、また、在留外国人も、軍事防衛を除き、国防責任を有する旨が規定されている。広汎な法制については、具体的には地方行政、司法、警察、通信、郵便、輸送、捕虜の取扱いなどに関連する法制が整備されている。

4 RAKELについて
 RAKELシステムは、「効率の良いラジオコミュニケーション」との意味である。テトラシステムになっており、現在、このシステムは、ヨーロッパ各地で行われているが、これにより、警察や救援、救急の連絡体制を円滑に行えるようなった。
 【特徴】
 ・グループ会話ができる。
 ・携帯無線電話(ウォーキートーキー)が附属している。
 ・通信信号が暗号化されている。
 ・電源をいれればすぐに稼働する。
○通信範囲は、スウェーデン北部の山脈(スカンジナビア山脈)以外をカバーしている。
 中継基地(ベースステーション)として2,000ステーションを必要とするが、モバイルや警察、救援が既に利用している既存のステーションを活用する。
○国土全体のカバー率はアナログが勝っている。
 人口密集地(大都市)では専用の携帯で、過疎地(田舎)では車に専用のターミナルを 設置して利用する。
○実際に利用に当たっては、特別の安全規定が必要とされる。


               調査11


【質疑】
Q1:RAKELシステムは、国民に災害情報を出す際に使えるのか?
→A1:システムが違う。RAKELを一番活用するのは警察である。経費は23億クローネで、年間コストは4億クローネである。関係機関は、救援サービス、警察、救急車、沿岸警備、電力会社である。軍隊については、このシステムがどのくらい活用できるのか調査中である。

Q2:戦時やテロへの対応はどうなっているのか?
→A2:対応は、平時と戦争時に分けている。テロなどは、平時の法律で対応している。テロは戦争に入らない。

Q3:ミサイル攻撃が想定される場合の、住民の避難マニュアルなどはあるのか?
→A3:スウェーデンでは「ここ10年間に武力攻撃はないだろう」というのが、政治家の判断である。1990年頃には、危機感があり、詳細なマニュアルはあった。避難に関しては、各市に計画(プラニング)の責任があり、各市に計画がある。避難させる計画は市がつくっている。シェルターをつくるのは市の消防の業務になる。市の中に救援サービス(消防)があり、消防は計画をつくり、避難させるときには警察が誘導をおこなう。

Q4:市のマニュアルは残っているのか?
→A4:平時には避難マニュアルに焦点が当たっていない。化学タンクローリーの事故等に関心が向いている。技術的にも過去の戦争とは違うため、再度活用するにしてもマニュアルの内容を近代戦に対応できるように見直す必要がある。

Q5:戦争時の法律はどういうタイミングで発動されるのか?
→A5:法律は内閣が決定するが、実際に戦争に突入するまでわからない。法律はあるが、いつ適用するのかは内閣が決める。

Q6:平時ではコミュニケーションでどういう情報を出すのか。また、スウェーデンではインターネットをどのくらいの人が使えるのか?
→A6:インターネットには、家か学校でアクセスできる。情報更新は、必要に応じて行っている。国民に情報を与えるように危機管理庁では、随時、見直しを行っている。例えば、過去に洪水が起こったときには、ウェブサイトを最大限に活用した。

Q7:住民への訓練は行っているのか?
→A7:基本的な訓練が国民一人1人の危機管理を高める。事故を防ぐ演習を行い、洪水が出た場合、処理が早くできるための演習はある。トレーニングを積むことが重要である。
 危機管理庁では訓練(トレーニング)はしないが、市が訓練する場合はサポートする。訓練を指揮する人がいる。最近では3つの県を集めて、テロが起こった場合の対応として、県議会、警察、医療、専門家による訓練を行った。約600名が集まって訓練をした。訓練の仕方としては、参加者の600名のうち75名が新聞記者(ジャーナリスト)になったように、イメージ訓練を行った。基本は市の範囲を基本にして、トレーニングを行うべきである。

Q8:国防上の情報はどのように扱われるのか?
→A8:防衛省に防衛庁もあるが、通信では独自のチャンネルを持っている。国家機密的なものはそこで管理している。軍隊からも、危機管理庁の情報が必要になったら聞いてくる。防衛庁、安全警察との連絡関係を密にすることも重要である。
自治体レベル間で国防上の情報を伝えるかどうかの判断は、上に相談して、流すかどうか決める。機密であっても上の情報だけが来るときもある。
なお、スウェーデンでは公文書の公開が進んでおり、原則公開である。

Q9:災害弱者への対処はどうなっているか?
→A9:救援庁では、高齢者に対して、災害時に動揺しやすいので、気をつけるようにと指導している。メンタルな面での対策が大事で、高齢者は火災中に亡くなる場合が多いので、燃えにくい家屋にするなどの対策の検討を進めている。寝たきり病人、障害者、老人をどう避難させるかは、研究開発の項目となっており、これから研究開発を進める。
 


 

Ⅳ スウェーデン市民防衛連盟(スウェーデン)

 ○ 調査日時 平成16年10月27日(水) 15:30~17:00
 ○ 対応機関 スウェーデン市民防衛連盟内(ストックホルム市内)
 ○ 担当者  スウェーデン市民防衛連盟 アンダーソン 市民防衛連盟長
           グニラ 広報部長
           ヤーン 教育部長

1.市民防衛連盟の概略(アンダーソン氏)
 市民防衛連盟は個人を対象とした活動であり、参加者は一般市民が中心である。個人活動であるのは、事故や危機事態では、個人が最初に被害を被るからだ。個人が活動のエネルギー元になる。危機対象は、個人に関係づける。どの国民も危機に対して何かができるし、個人でかなりの部分がクリアーできる場合が多い。

2.市民防衛連盟の組織機構(グニラ氏)
・ 市民防衛は個人が中心となっている。安全、安心、保護、サバイバルのために市民防衛組織を整える。

・ このことは、ヨーロッパ諸国でもお互いに同意している。私達は、現在、安全な社会に住んでいる。日本では最近地震が起こった。戦争の危機はなくても、平常時の危機はある。それに対処できる知識があればいい。それを教えるのも市民防衛連盟の役割である。

・ 事故とか危機に陥っても、個人が知識をもって解決できる能力をつける。個人がストレスを陥ったときに自己で解決できるようにすることが業務である。

・ 市民防衛連盟は、1937年に設立した。第一次世界大戦の危機感から、普通の市民が市民を助ける発想から設立された。当時は戦争が危機対象だったが、現在は、平和時における危機に対処することとなった。しかし、スタートした年から、一貫して危機処理が業務であったことには変わりはない。

・ 機構の特徴は、運営はボランティアであることで、全国をカバーしているボランティアの団体である。ボランティア活動であるが、事務局は給料をもらっている。スタートした年から社会的に確立しており、官庁からの仕事を受けている。

・ 組織機構としては、各市に連合(ユニオン)がある。それが各地域ごとに集まり、中央からの派遣事務所が設置されている。そこに業務リーダーが派遣されて、全国290の地域ユニオンを支援する。

・ この中央には、事務局があり10名が働いている。組織には、連盟長、理事会、総会がある。業務のほとんどは危機に対する教育をすることとなっており、連盟のこれまでの長い経験内容や様々な災害・危機が対象となっている。子供への教育も大きな部分を占めている。子供を教育することは大切なことである。

・ 子供の教育課程には3コースある。1点目は、停電や洪水になった時、どういう風にしたらクリアできるか、また、食べ物はどうしたらいいか。2点目は、迷子になった場合、特に自然の中で、森の中で迷子になった場合、待っている場合どうしたらいいか。3点目は、家庭内や近所での事故を防ぐためにはどうしたらいいかである。

・ 大人向けの教育課程としては、1点目は危機に備えて、2点目は自然の中に出たときに、3点目は家庭内の安全、4点目は傷つき破壊されやすい社会の弱点である。

・ 大きなプロジェクトとして、VRG(ボランティアリソースグループ)がある。これは、危機管理庁から依頼されたもので、危機発生時にボランティアを行うもので、活動するのは25グループである。この中には、市民防衛の末端のユニオンも入っている。

・ 危機発生時におけるインフォメーション処理は、市に責任があるが、市民防衛連盟にもその責務がある。市民防衛連盟では、VRG活動に対する教育も実施している。市と別々のことを教えてもいけない。ボランティアのグループの基盤となることを教えることも役割で、たとえば赤十字は医療、主婦連は炊きだしなど、災害時の基盤になるものを教えるのが役割である。

・ 市からも災害時の共通の基礎基盤を習得するので、市の行政機構がどうなっているのかも知らないといけない。スウェーデンには290市あるが、そのうちVRGが設立しているのは100市あり、25,000名のメンバーがいる。それぞれの市の末端には連合(ユニオン)がある。機関誌は「civil」で、第4号には、危機処理の特集が掲載してある。このストックホルム県には26市があり、26の連合が管轄している。

・ 教育の係りでは、毎年10万人を教育している。社会における破壊危険度を曲線で描くと、原始時代から近代社会になればなるほど、破壊危険度曲線は上がっている。原始時代骨折すればそこで生命は終わったが、現代ではかなりの事故でも助かることがある。破壊されたポイントは、弱くはなっていない。

・ また、昔は自分で食料を確保していたが、今は、多少のことでも傷きやすい国民となった。今日は停電が起きても市に電話をかけるし、あたりまえのことがだめになると、あたふたすることとなる。スウェーデンは南北に長く、北部は過疎地で自分で何でもする。例えば、停電は、3~4日は平気である。停電後1週間経ってから、「この停電は長期になるか」との電話もあった。こうした状況を緩和するためにも、個人に対して教育するのが大事である。

・ 人間が成長するためには何が必要か。食料、体温、水、保護、情報や仲間である。自分の体への知識を確保すれば、自分で考えることができる。排水を清浄する技術があれば生き延びられる。市が水道車を移動させることもある。教育するのはメンタル面で、危機に準備できる知識を与えている。知識があれば安心感がありパニックにならない。関係官庁も準備ができる。住民に危機に関する知識を持たせれば、危機のたびに市に電話をかけることにもならない。

・ 自分が屋内外どこにいても、知識をもっていれば危機に対処できる。教育は、短いコースであれば参加者は無料である。インストラクターの経費は国から助成される。現在、250名のインストラクターがいる。

・ 家庭内における準備としては、自分にはどれだけに食料が必要かあらかじめ習得している。食べ物が食べられないと血糖が下がる。そういう状態になると、事故にもなりやすい。体が動かなくなく、怪我もしやすくなる。家庭内にいて災害にあった際、食べ物が手に入らなくなったときには、こうしなさいと教える。水を適当に取ることは重要である。また、仲間、親戚の危機の状態はどうなんだろうと不安になる。このような場合、危機に陥った場合に、簡単なもので食事をつくれることも大事である。

・ 非常食は、2、3日分は備えておくこととされている。かつて、スウェーデンでは冷凍庫をいっぱいにするのが普通だったが、現在は外食が多くなった。若い人には備蓄するように説明する。乾物を備えておくように。また、体温を下げないようにするために、外に出てどのように体を保護するか。きちんとした格好をすることで、重ね着をする。火が起こせることも大事で、濡れないマッチに火打石もある。知識があることで生きたいということに心理学上つながることとなる。大事故などがあっても、こうした災害対策の知識がある人の方が生き延びるのである。

・ 家庭内の事故を防ぐためにはどうしたらいいか。事故の発生率を下げるためには事故の内容を明確にすることが大事で、大人の教育コースでは、弱点(ウィークポイント)を指摘する。例えば、火災や産業廃棄物、毒物の排出、停電の影響もある。こんな時は、暖房が重要だが、電気と暖房の両方がだめになる連鎖反応もある。この大人教育コースは、1つのコースが3~4時間で、習得すれば仮に危機状態になっても、自分の力で救助ができる。

・ 子供への教育コースは、4~10才の内容であるが、習得する対象は、そうした子供の教育に携わるリーダーや教師である。10才以上になると、大人と同じ教育を受ける。リーダーや教師は教材をもらい、この教育には、継続性と持続性を持たせることが大事である。先生に教育しておけば授業の中で教育することができる。例えば、食料が得られない場合こうすればいいとか、先生が授業のいろいろな部分で活用すればいい。停電になったらマッチをどうするとか、すぐに解決できるということを教える。実際に教室でも、ロウソクだけの明かりだけで教える。授業の一環として、停電の際の行動計画をつくることもある。

・ スウェーデンでは、共稼ぎが普通なので、両親が不在時の対処の仕方を教え、例えば、近所の大人と連絡(コンタクト)をとるとか、学校と家庭の間で決め事をして置くとか、重要なことは、何かが起こったときにどうするかという精神的(メンタル)な部分である。子供は水分不足や食料不足になったときどういう行動を起こすか。血糖が下がるので、判断が鈍くなる。例えば、森の中で迷子になったときは、迷子になったところに立ち止まるとか、体温を下げないようにするとか、捜索隊が出た時に捜すのが容易になるように、自分がここにいたことを残す、ハンカチを木にかけるとか、迷子になったとき小さな小屋をつくるとか、体を動かすことで体温が下がらないようにすることが大事で、そのうちに捜索隊が来る。先生もすぐに警察に電話を入れ、決して生徒を使って捜すことをしてはいけない。この教育内容は、年間5万人の子供に到達することになる。

・ 家庭内における事故防止としては、救援庁が出した統計では自転車事故が多い。ヘルメットをかぶる事が大事だとか、ヘルメットを着ければ、落とした卵が割れないというのは、実用的な教え方である。家庭内ではどういうことが危険かを教えあうことも大事で、事故が起きないように防止対策を練る。簡単な救護方法も子供が学ぶ。バンソウコウを貼ることや、救急の電話のかけ方などを学ぶ。

・ 実際にあったことだが、母親が車の中で、てんかんで倒れた際、3才の子供が車の中から携帯電話で連絡し、救急では電波中継所の範囲で探したことがあった。

・ 教育の学習の一環として、危険性を教えるシステムになっているし、学校の先生から求められることもある。先生用のリュックサックもある。このリュックサックは、クラスにもある。教育コースが終了し、このリュックがあると先生に自信を生むことになる。リュックにはこれを使う事故が一番多いという統計が入れてあり、また、交通事故とは違う処置機材が入っている。止血するためのものや普通の応急手当箱にはないものが入っている。洋服に火がついたときに消す布、これは担架にも使える。25m投げられる浮き輪や、雨かっぱ、コンパス、裁縫用具が入っている。

・ 自助のあり方とVRGの関係を言うと、事故が起こった場合、一般市民が対処に参加したいが、災害への知識がないため、逆にプロには邪魔になる。消防にとっては、市民は邪魔になる。例えば看護師の資格があるという話を聞いて医療班にいれるとか、分配する役目もあるが、必要な職業として、仮に今回は関係なくても、名前や電話番号を控え、次に備えることが大事である。せっかく助けたいという気持ちを無駄にしないことも大事だ。これも、25グループあるVRGの役割のうちの一つである。


【質疑】
Q1:教育は1人が何回も受けるのか?
→A1:4つのコースを全部受けることもできる。何回も行くのではなく順番に行けばいい。教育コースに来て欲しいと動員するのは難しいので、対象者となるターゲットを絞ぼる。

Q2:ボランティアで能力がある人がわかった場合、介護の研修などを行うことはあるのか?
→A2:十分にある。コースの斡旋などを行う。教育のあり方は変わってきた。事故は関係官庁。国が国土全体を守る。個人は知識を得た自助救援が実施できることが大切である。危機の情報を個人に与え、危機に対しては、個人が責任を持つ。このような人が社会に貢献できるようになればいい。

【調査成果(所感)】
・ スウェーデン政府では、冷戦の終結に伴い、ロシアからの核の脅威が低下する変わりに、テロ攻撃、大規模災害、大規模事故への対応を図るため、2002年に危機管理庁を創設し、平時からの危機管理に当っている。今回の調査を行った結果、国、自治体(県、市)、住民の役割分担がはっきりしていると感じた。

・ また、核の恐怖は去っても、危機に対する国民の意識レベルを低下させないため、危機管理庁では、市民防衛連盟に対し、子供から大人までを対象とした危機管理の統一的な教育プログラムを実施し、国民一人一人が自分のことは自分で守るという「自助」の価値信念を持っていることには感銘した。(日本の地域共同的な危機管理に対して、スウェーデンでは個人における危機管理が重視されているのは、その国土の広さにもよると思われるが…。)

・ またこうした教育プログラムの実施は、国や自治体が、危機管理に対する説明責任を明確にしていることの現れであると感じた。

・ 一方で、スウェーデン政府は1980年の国民投票を受けて、既存の原子力発電所を順次廃止する方針を決定した。原子力発電に対する国民の関心が低いこともあってか、原子力発電所が攻撃された場合の対応は明確ではなかった。

・ また、世界で最も美しい都市の一つと言われているストックホルム市であるが、首都であるにもかかわらず、テロ攻撃などを受けた場合の、住民の避難についてのマニュアル的なものはなく、また実際に街を歩いていても、日本に比べ地下鉄や宮殿周辺の警備員の少なさが目立ち、テロへの備 えは十分であるとは言いがたいと感じた。


  

Ⅴ フランス内務省イブリンヌ県民間防衛部門おける国民保護体制 

 ○ 調査日時 平成16年10月29日(金) 10:00-11:30
 ○ 対応機関 Prefecture des Yvelines, Cabinet
           Service Interministeriel de Defense et de Protection Civile
 ○ 担当者   Mr. Joseph Gothier Directeur, Director

【基礎知識:フランスにおける行政組織制度(PREFECTURE)について】
○ 説明に先立ち、理解を助けるためフランスの地方行政制度について概要説明がなされた。 
  フランスは、地方行政組織として、 
  District(管区)
  Commune(市町村)…3~4district
  Prefecture(県)
※県地方庁(Prefecture de department )と州地方庁(Prefecture de rejon )に上下関係はない。
の階層があり、県の行政(県地方庁)は国家上級公務員である県地方長官(官選知事)が国を代表して首相および国務大臣を代表して執務を行う。(なお、日本の県知事と同じ役割は住民代表である県議会議長が行っている。)
 体制的には、県地方長官-郡長(国家公務員)-市町村長(議長)となり、市町村長は、県地方長官、郡長の指揮下にある。
 国民保護など危機管理については、県地方長官(官選知事)の元に、担当部長(directeur)がおり、長官を補佐する。

【説明資料1.国民保護に関する情報提供
 L'INFORMATION PREVENTIVE DES POPULATIONS 】
【説明資料2.国民保護と危機管理に関する一般市民向けの広報資料
 PROTECTION DES POPULATIONS GESTION DES RISQUES】

○ 国民の避難、誘導に関する情報伝達の原則は以下の3つ
 ・第1ステップは  どのような情報を流すか
 ・第2ステップは  どのように伝えるか
 ・第3ステップは  うまく伝わっているかの検証
 事前、事後の現場対応では、なによりコミュニケーションが重要と考えており、これらのコミュニケーションを通じ、「被害の円滑な復旧」「教訓の引き出し」を行っている。

1. 危機における情報伝達、救援計画
 この計画による指示は、地方長官が出すが、そのための組織として
 ・ 危機管理局 C.D.R.M.(COMITE DEPARTMENTAL DES RISQUES MAJEURS 大規模な危機に関する地方委員会)
 ・ 危機・情報分析室  C.A.R.I.P. (CELLULE D'ANALYSE DES RISQUES ET INFORMATION PREVENTIVE) 
があり、具体的にどのような情報を出し、救援を行うかは、
地方長官が整備する計画書
 ・D.D.R.M. (DOSSIER DEPARTMENTAL DES RISQUES MAJEURS 大規模な危機に関する地方計画書)
 ・D.C.S. (DOSSIER COMMUNAL SYNTHETIQE 市町村総合計画書)
  及び市町村が整備する
 ・ D.I.C.R.I.M. (DOSSIER D'INFORMATION COMMUNALE SUR LES RISQUES MAJEURS
大規模な危機情報に関する市町村計画書)
  に基づいて実施される。

2. イブリンヌ県における危機
  イブリンヌ県(人口 約150万人)は、セーヌ川沿いに都市も形成され経済的にも重要な地域である。大きく4つの区に分けられ、これらの都市間は高速道でつながっている。
 従って、イブリンヌ県における「危機」として想定されるのは、自然災害と工業関係の災害。洪水のリスク、火災のリスク、工場のリスク、自動車・鉄道を含めた危険物輸送リスクを考えている。

○レベル1(NIVEAU 1)のリスク対応 (D.O.R)
  この中で、最大のリスクは交通事故。事故が発生すると、
消防(SAPEURS-POMPIERS)、救急(SAMU)、警察(POLICE-GENDARMERIE)が連携して対応に当たる。

○レベル2、3のリスク対応
 これ以上の規模、レベルの危機になると地方長官が直接指揮し対応する。
 ・レベル2…緊急プラン(PLAN D'URGENCE)対応
 ・プラン・ルージュ(PLAN ROUGE)
 ・特別救援計画(PLAN DE SECOURS SPECIALISE)
 ・特定事業所計画(PLAN PARTICULIER D'INTERVENTION)

○ 具体的な県レベルでの緊急事態対策
 ①まず、ライフラインの保持、廃棄物の処理などの県で実施する対策ができているかを確認
 ②次に、郵便、学校などの行政サービスへの支援
 ③市町村が実施する救助(簡易ベッド、毛布などの準備、食料の提供など)への支援

 ・レベル3…PLAN O.R.S.E.C(ORganisation des SECours 救助組織、救援組織)
    
 フランスでは緊急事態の対処に関し新たな法律が2004年8月に定められた。法の概要は、
   ・国と地方の責任分担の明確化費用の負担の明確化
   ・ボランタリーの推進
   ・市町村レベルでの予備隊の創設
   ・効率的な危機対策の推進
 であり、この法により、県では平時においては、「各緊急事態対処機関のコディネート」「各種プランの作成」「訓練の実施」などの業務を実施している。

 これに基づく、オルセック・プランは、通常の体制では対処しきれない大規模な人為的災害や自然災害が発生する危険があるとき、これに対処する特段の措置を容易にするため定められている。

 基本的な災害救援の指揮系統は、

  PCO (現地本部、市町村・区) ⇔ PCF(県レベルの対策本部) ⇔ 内務大臣

         ↑↓ 連携         ↑↓ 連携           ↑↓ 連携      

  PMA(現場医療救援本部)⇔ CME(県レベルの医療救援本部)⇔ 医療機関
   

 同様に、大規模洪水や大規模火災に対する救援活動も規定されている。
 なお、災害現場での救急は医師の指揮下にある。これは、助かる人、助からない人(誰の救助を優先するか)の判断を専門家である医師が行い、救助活動にかかる資源の最適活用をはかるため。

○ 市民への警報(情報)発令
  1.災害発生→1分間3回のサイレン(5秒間隔)
 (※稼動確認のため、毎月第1水曜日正午に1分間のフラットサイレン)
  2.現場では、スピーカーの利用
  3.ラジオによる情報提供
  4.終結宣言
  ※情報伝達は基本的にはファックスだが、現在、携帯電話やメールの導入・活用について検討中


【質疑応答】
Q1 武力攻撃災害(特にテロ)への対処はどのような計画があるのか。
→A1 今後は、核兵器、生化学兵器、航空機などによるテロや、不発弾による災害への対処が必要になると考えている。対テロ方針として、TGプランがある。
 85年から86年にかけて、パリでテロ行為が発生した。この時期、プラン・ルージュが定められたが、これはいわゆる救急活動を主な内容としていた。テロ行為に対処するためには、警察、情報、国防の各分野が関係するため、これらを総括するのがTGプラン(その内容は機密事項)。
 TGプランでは、テロを重要度別にランク付けし、具体的・細かな対テロ対策を定めている。テロ対策は、事前(未然に防止する)対策であり、テロにより発生した被害への対応は救急活動になる。

    写真1-1 災害救援の連携図           写真1-2 対策本部室
       
   調査21         調査31

※対策本部での電話応対、通信、連絡はボランティアが行う。撮影禁止だが白板にはテロの類型表が。

【調査成果(所感)】
 国民保護の内容は、日本の総合防災計画にあたるものであり、いわゆる日本における国民保護対策についても、対テロなど有事による被害からの救援が中心となるため、この防災救援対策で対応可能という考え方にある。
 ただ、住民を巻き込んだ防災訓練はなされておらず、行政主導の防災計画にボランティアを参加させるしくみ。
 日本のそれに比較して、災害本部における情報伝達(災害時の救援指令)にボランティアを積極的に活用しているという点において、優位を感じた。
 


 

Ⅵ イブリンヌ県消防本部(フランス)

 ○ 調査日時 平成16年10月29日(金) 12:00-16:00
 ○ 対応機関 Prefecture des Yvelines, Cabinet
           Service Interministeriel de Defense et de Protection Civile
 ○ 担当者  Colonel Jacques de Kuyper
           County Chlef Flre Officer
          Chief of County Fire Department
          Mechanical&Industrlal Doctor engineer

 消防本部長との昼食懇談後、警報処理センター(火災や交通事故の電話を受け、指令を出す)において、消防活動概要(フランス全体では常駐消防職員約3万人、21万人のボランティア消防団員、軍(パリとマルセイユ)に所属する常駐消防員1万人)、センターの業務など説明を受けたのち、消防団の訓練および消防装備を視察。

1 想定されるリスク
 人口約140万人のイブリンヌ県を、概ね人口割で東地区、西地区、南地区の3地区に分け、危機管理。
 リスクとしては、セーヌ川の洪水、シャルル・ド・ゴール空港や軍の空港に近く空のリスク、水・陸・鉄路による危険物輸送リスク、交通災害、ビジネス(インダストリアル)パークもあり工場での事故、ベルサイユ宮殿に代表される歴史的建造物の火災、件数は少ないものの南部森林地帯における火災リスク、テロ(化学兵器、原子力関係)などが考えられる。

2 出動状況等
 年間5,000件の出動があり、その8割は救助活動。また、火災は出動の約7%。防災意識の高まりで消火出動は減少している。装備はフランスでも最新レベル。

3 警報処理センターの概要
 1人の指令と3人のオペレーターで、事故発生通報に対する指示を行う。
 通報がくると、パニック状態の通報者からであっても、必要最小限の情報を聞き出せば災害の類型に応じて、自動的に必要な装備、派遣隊員数が示されるシステムを開発。オペレーターはこれに従い指令を出す。
 想定される危険箇所は平時からリストアップされ、災害が発生した場合でも何をすればいいかを予めシステム化しており、1分で1件の処理を目安としている。

  
   写真2-1イブリンヌ県のリスクを聞く         写真2-2 通報に応じるオペレーター
          
   調査41          調査51

4 救急車両等の装備
 災害が発生すると、通常の事故ではまず、消防団員(ボランティア)と医師、薬剤師(ペットがいる場合は獣医も)の3人が現場に直行。
 重傷者等がある場合は、重傷1人または軽傷2人に対応できる救急救命装備の被害者救助車両で、特別救助訓練を受けた隊員3人を派遣。現場では、すぐに状況を判断し救急措置を行い、本部へ情報伝達し適切な病院への搬送を行う。
 6人の重傷者まではひとつの医療チームで対応できるように訓練されている。

   写真2-3 救急車両                  写真2-4 医薬品等の装備も十分
       
   調査61            調査71

5 ボランティア消防団員の訓練
 ボランティア消防団員(16歳から)は、280時間の訓練を受けた後、消防車両に乗車できる。
 団員志願者は減少傾向にある。以前は30年以上務める人もあったが、今は5~6年でやめていく者も多い。要因のひとつは、出動回数が増えたこと。以前は火災ぐらいだったのが、交通事故なども増加し、消防署に近いところではなかなかなり手がない。対策として、少年消防団を組織(イブリンヌ県では20団体、会員380人)し、水曜、土曜の午後に公園に集まり、スポーツもしながら防災知識を学ばせている。
 消防隊員は、会員→団員→隊員 のコースをたどる者が多い。
写真2-5 マンションでの火災を想定した訓練      写真2-6 フラッシュオーバーも経験させる
       
   調査81          調査91

【調査成果(所感)】
 消防活動における医師の役割が非常に大きく、それだけの責任と権限を与えられており、救命という思想が徹底している。
 またボランティア隊員の訓練はかなり危険を伴う高度なものであり、日本に比べかなり実践的なものとなっている。 

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