知事記者会見の概要(平成20年4月9日(水))

最終更新日 2008年4月16日ページID 005387

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平成20年4月9日(水)
10:00~11:45
県庁 特別会議室


記者会見 

 

 

 【知事】 年度当初ということですが、既に4月1日にはいろいろな方針もまとめていますし、また、年度末には新幹線の問題についても考え方を述べましたので、例年とは全体に話すことが少ないのですが、恒例の年度当初ということで、お話が必要なものを申し上げたいと思います。
 まず、年度当初に当たって、今年は知事として2期目の2年目ということで、通算しますと6年目に入ります。ちょうど1年前は統一選挙の期間中であったかと思います。そういう状況かと思います。
いずれにしても重要な課題、国政の場でさまざま、従来にないような動きになっているところですが、それはそれとして、必要なことを我々は地方の立場から申し上げなければなりません。福井県としては、そういうものはそういう条件として考える必要はありますが、県全体の県民益増進のために腰を落ちつけて、そして着実に行政を推進しなければならないと考えます。


 まず、新年度に向けての政策です。予算、また人事・組織については既に公表をこの場で行いましたが、それに加えて幾つか申し上げたいと思います。新年度は、特に環境計画をつくらなければなりません。この夏には世界各国の環境問題を中心にしたサミットなども北海道で行われる予定ですが、今、環境計画の策定作業を進めています。福井県としては10月ごろを一応の目途に考えて作業する予定にしております。
 それから、観光ですが、新しい「ビジット“ふくい”推進計画」を秋ごろを目途に仕事を進めることにしたいと考えます。
 それから、農業が曲がり角に来ております。国政の分野でも、またそれぞれ福井県の現場でもさまざま悩みを抱えながら仕事を進めていますが、これは年度末を目途に「農業・農村再生戦略」の策定を進める予定であり、こうした重要分野の計画、指針等の策定を予定しています。
 それから、マニフェスト「新元気宣言」に基づき、その項目をそれぞれ進化させなければなりませんが、さらに、マニフェストでも申し上げているような民間と行政、民と官との共動システムを一歩進めることが重要であり、「総合力」を発揮していきたいと考えております。
 後ほども若干申し上げますが、東京大学との連携ではジェロントロジー・高齢者総合対策を進めると同時に、さらにはCO2削減のための各地域における貢献はどうなっているかという研究を慶應大学と連携して進めるなど、学との連携というものも重視していきたいと思います。
 それから、地方分権の問題であります。現在、国政の場において与野党間のさまざまな合意というものが難航しているわけでして、ガソリン税など暫定税率問題をはじめ、さまざまな事項が停滞しております。国民が不在のままに国政が麻痺を起こしている状況にあり、国民生活にまでさまざまな混乱が波及していると思います。
 混乱といってもいろんなことがあるのですが、でき上がるものができ上がらないといいますか、これは動いていたものが停まるというものと違うのですけれど、まさに今完成しようとするものができないとか、あるいは経済活動の予定が狂ってしまっているとか、さまざまなことが出ていまして、本来、そんな仕事もしなくてもいいのだけれど、こういうことによってさまざまなストレスとかさまざまな仕事が生じているわけです。こういうことを何としても早く収拾しなければならないと我々としても思っています。
 やはりさまざまな課題を、国で行うべきものもありますが、地方で解決ができれば、その中で問題の解決が済むわけです。すべてのものが国の中で解決するということになりますと、やはり混乱全体が全国に及んでしまいます。地方で十分な解決ができないということになるわけで、改めて地方分権の確立が必要だと実感もしています。
 分権改革推進委員会において各省庁と意見のやりとりを行っていますが、いまだ十分な成案を得ていないということで、分権への道のりはなお容易ではないと思います。第1次勧告がこの6月、第2次勧告が11月に出る見込みということになっているわけですが、なかなか厳しいものがあると思います。我々としては、国に対してこれまで以上に積極的な提言を行いながら、分権が進むように努力してまいりたいと思います。


 それから、福井県独自の課題として「政策合意」の達成状況であります。のちほど関係部から説明もあると思いますが、まず、昨年は選挙があり、昨年7月に19年度の「政策合意」を取り交わし、年度末に報告も受けています。19年度の「政策合意」は2期目の最初の合意で、重要度の高い項目を絞り込んで結んだところです。
 達成状況については、配付資料の2もしくは3の番号がついています。全体240項目のうち、年度を越えて実行する必要がある項目が27ありますが、これを除いた213項目について見てみますと、目標を上回ったものが26件、12%、達成した項目が165件、78%、一部達成しなかった項目が13件、6%、目標達成しなかった項目が9件、4%となっています。全体としては、約9割について成果を上げることができたかなと思っています。各職員が、福井県民の「生活の質」を向上するという観点で努力してきたところです。
 「ママ・ファースト運動」という日本一の子育て応援システムですが、「すまいるFカード」の店舗の拡大なども行っています。
 また、恐竜博物館の入館者数についても、38万人ということで、目標の30万人を大きく上回っています。ここ数年、民間と連携してさまざまなブランド化を進めているわけです。しかし、なお一層、福井のこうした恐竜という地域資源を活用する必要がありますので、そういう考えで臨んでいます。
 一方、目標達成に至らなかった項目については、1つは経済情勢の影響を受けた分野が幾つかあると思います。例えば福井空港の外来機の利用回数、あるいはあわら温泉屋台村の利用人員、出店の店舗数などがそういうこととしてあると思います。
 それから、敦賀港のコンテナ貨物量なども課題かと思います。これはやはり主として民間的な分野との課題かと思います。
 それから、がん対策については、幾つかのがんの種類がありますが、5つのがんの種類をインデックスとして置いていますが、胃がんと乳がんについて目標が及ばなかったところがあります。これは、これから市町自身がご自身の状況を住民によくお示しして、積極的に、また、我々と協力しながら進めることが必要かと思います。
 今後、がん検診の任意受診者の勧奨を進めるために、全国で初めて実施した職場におけるがん検診の受診状況について、これを逆に市町村単位にまた統計上組み直すという試みも加え、受診率の向上を図ると同時に、お医者さんが直接市町や企業に助言をするがん検診推進制度を設け、市町の費用の助成も含めて応援し、それぞれの市町が全体として水準が上がるように努力していきます。
 また、放課後児童クラブと放課後子ども教室の連携などについても、これは国で言いますと文部科学省と厚生労働省の所管の違い、また、制度の違いなど、さまざま難しい問題が一方にありますが、これを市町でできるだけ総合的にやるということです。
 15の市町で運営委員会を設置するとなっていましたが、現在、10の市町で設置されています。一部未設置の7つの市町がありますが、これも順次実行できるようにしたいと思います。
 今申し上げましたように、19年度の「政策合意」については午後に担当課から改めて説明いたします。
 それから、新年度の20年度の「政策合意」ですが、現在、各部局長が検討を進めており、今月中にその内容を公表する予定です。
 マニフェストの項目を着実に進めることは申し上げるまでもありませんが、こうしたことに加え、新しい政策課題としては、ふるさと納税の項目、ブランドの推進、県外からの人の誘致、それから、就職後も働きながら学べるエイジフリー進学とか、先ほど申し上げた総合長寿学・ジェロントロジーの推進、農業と商工業の連携、さらにはふるさと納税にも関係しますが、寄付文化などについても進める必要があると考えています。
 それから、19年度の実績を踏まえ、独自の統計、マーケティング調査も行っていますので、目標数値の追加や考え方の見直しも加える予定です。
 以上が「政策合意」の関係です。


 3点目の大きな課題としては、例の暫定税率期限切れに伴う対応です。
 税制改正法案や地方交付税法案もあわせて未成立になっており、このままいくと、県や市や町の財政に大きな影響が──もう既に出ていますが──さらに広がるおそれもありますので、これから税率の復元などの課題、また、穴のあいた部分についての補てんといいますか、こういうことを国に対して強く要請しなければなりません。
 4月7日に、県選出国会議員、国土交通省、総務省に対して失効した暫定税率の一日も早い復活、回復、特に中部縦貫自動車道の整備などについて要請をしました。
 これからの問題ですが、17日に「暫定税率の継続を求める地方の声、決起大会」が行われます。それから、18日には、主に知事会が中心になるかと思いますが、「暫定税率の回復と国民の生活の安定を求める緊急大会」などを行う予定であり、極力参加できるように考えて今準備をしています。
 いずれにしても、一刻も早く混乱を収拾し、道路関係も含めて税制関連法案が成立されるよう強く求めるものです。


 それから、4点目、新幹線の問題であります。
 これについては、既に年度末にお話を申し上げたところでありまして、その部分は省略しますが、4月10日ですが、自民党の新幹線等鉄道調査会と議員連盟合同の会議が自民党本部で行われる予定と伺っています。これを受けまして、12日に、これは福井県ということになりますが、県選出国会議員に出席をいただき、議会、沿線市や町、経済界の関係者と地元でいま一度意見の交換、状況の報告をいただき、今後の運動について相談を進めていきたいと思います。
 なお、北陸3県の協力体制については、先回申し上げたとおりであり、強力に働きかける必要があると考えています。
 いずれにしても、道路財源などの問題も含めて、大きな事業であり、県民の政治への信頼ということにも深くかかわるわけですので、しっかりした方針を早急に示すよう強く求めていきます。


 さらに、5点目ですが、公共交通機関の利用促進です。
 できるだけ車に頼り過ぎない、こういうことをずっと進めておりますが、19年度は、鉄道利用、あるいは自転車通勤、高校生などのバス通学の利便性向上などを進めた結果、バスの利用者、公共交通機関の利用者は増えています。18年度の延べの数字で、約2,229万の利用者でしたが、19年度は2,235万ということで、6万人の増加を見ています。
 なお、14日の月曜日からドライブ・セーブといいますか、「カー・セーブ運動」の一環として、バスや鉄道のダイヤ、運賃などがインターネットを通じて携帯電話などで簡単に取り出せるシステムを実行する予定です。特に、このシステムでは、鉄道や路線バスのほかに、市や町が運行するコミュニティーバスの情報も取り込んでおり、県内すべての公共交通機関の情報を一元的に提供できるシステムを、全国で初めて福井県で実行するということになるかと思います。
 大都市のようにすぐ電車やバスが来るということであれば、そうダイヤも気にする必要はありませんが、福井の場合は人口の関係でそこまではなかなか行きませんので、あまり前が見えないといいますか、先が見えないような、そういうやり方ではないように、極力、情報面からもバックアップをするようにしたいと思います。
 運用開始当日が14日ですから、そこでいろんなデモンストレーションも行う予定ですので、詳細はそこでご覧いただければと思います。
 なお、新年度、20年度からは、毎月第2・第4金曜日を「カー・セーブデー」ということで、公共交通機関での通勤、車の相乗り、自転車通勤など、パーク・アンド・バスライドなどを行う日にしたいと考えています。


 最後ですが、家族の時間の問題であります。
 家族時間を延ばそうということを今、進めています。小中学校は今週から新学期が始まりましたが、少人数学級、あるいは新しい先生方の配置も終わっています。子供たちや先生が、新しい環境のもとで全国トップレベルにある教育の質をさらに上げてほしいと思っており、その背景として、今申し上げました家族の時間をできるだけ延ばしていこうというのが大事かと考えています。学習や学力の基礎になると思いますので。
 この運動ですが、従来から家庭を単位とした、長い歴史のある青少年健全育成のための「家庭の日」、これは毎月第3日曜日ですので、その翌日を放課後活動定休日として、できるだけ連続させて、全体の運動を深めたいと思います。その日にみんなであまり学校に長くいたり、会社に長くいたりということにならないようにして、また食育なども含めて全体で運動を進めていきたいと思っています。
 現在、県庁の各課も手分けをして、従業員100人以上の規模の企業を直接お訪ねして、放課後活動定休の日がこの日だということや、あるいは「ノー残業デー」の設定を要請しています。頑張っている企業には表彰したり応援するという総合的な対応を進めたいと考えています。
 いずれにしても、これは県民運動的なものでありますので、すぐにこの時間が延びるかということには必ずしもなりませんが、長い目でできるだけ実行が図られるようにしていきます。

【記者】 19年度の「政策合意」について、目標を上回って達成したものと目標を達成したものが合わせて90%達成したということで、18年度と同じ90%の達成率だと受けとめるのですが、この数字について、知事の評価なり感想なりを伺いたいと思います。
【知事】  マニフェストですから、ほとんどが実行されないと約束したことになりませんので、成果を上げることができたということは大変ありがたく思います。問題は、これに満足するような話では全然ありませんので、「生活の質」を上げるためには、さらに次の段階に行かないといけません。ですから、さらに新年度の「政策合意」については、それを前提に、先ほど申し上げた水準の設定の仕方とか、新しいものを加えるとか、できるだけ目標を高くする、高いのが必ずしもいいというわけではありませんが、全体に県民益が上がるようなアプローチをとりたいと決意しています。


【記者】  先ほど知事が少し触れていましたが、福井空港であるとか、あわらの屋台村の話があったように、ちょっと達成が難しかったという点についてもう少し伺えないでしょうか。
 それと、逆に、きちんと達成できたり、目標を上回って達成できたという点で、非常にこれはよかったと思われるものがあれば教えていただきたいと思います。
【知事】  特に難しいのはやはり民間との連携・協力が必要なものです。これは企業などのいろんなお気持ちにも影響しますし、経済環境にも影響しますので、大事なところなのです。県庁だけでやりますと、一生懸命、我々限りでできるのですが、やはり相手がありますと、そういうふうに方向を一緒にしなければなりませんし、軸も変わります。例えば敦賀港の事業だとか、これも非常に大きな問題です。そういう点を考える必要があります。
 それから、市町の協力です。例えば、がんの検診は市町がメインに行う仕事です。これを我々がバックアップするということですので、これも市町のばらつきがあります。ですから、できるだけデータを公けにして、よい意味の市町との間の協力を強めて、難しい問題ではありますが、実行できるようにしたいと考えています。
 それから、全体に目標を達成したものは、かなりのものがありますから、個別にはなかなか申し上げにくいところもありますが、特に女性の活躍とか、こういう課題は難しいものですが、女性同士のサークルとか、仲間づくりということを進め始めています。そういう人たちが先頭に立ってこれから女性全体の牽引力になっていただけるとか、全国も頑張っていますが、あるいは子育てなどについても、その中でもやはり主導的な役割を果たしてきているわけですので、そうしたことを進めたいと思います。
 それから、エネルギー研究開発の拠点化なども目標の中で進めておりますが、なお一層のスケールアップとか馬力を強力に上げなければいけませんので、そういうことももっともっと努力したいと思っています。
 それから、ふるさと納税のようなタイプのものは、必ずしもこれは「政策合意」になじむようなものではありませんが、福井県から日本全体の将来に影響するような新しい提案、こういうものが実行されるようなことも、いろんな準備をしながらこれからも進めるということかと思います。
 あとは、「ちりとてちん」もおかげで半年間終わりましたが、ああいうものも自然にできるものじゃなくて、さまざまな準備や皆さんの応援を得て何年か越しでできるわけですので、そういう短期的な目にとらわれず、いろいろ仕込みながら進めたいと思います。


【記者】  ふるさと納税の話が出ましたが、今ちょうど年度をまたいで、ちょっと宙に浮いたような状態になっていると思います。知事が提唱されたということで、年度をまたいで今こういう状況になっていることについて、改めてどう思っておられるのかを教えてもらえますか。
【知事】  法律は、ふるさと納税も含めた地方税法そのものです。それはふるさと納税のみならずあらゆる地方税全体の改正も入っていますから、ぜひ早急に国会で通るように強く期待をし、特にふるさと納税のような場合には全国の自治体も大きな期待を持っていると思いますから、実行できるように要請もしたいと思います。
【記者】  要請というのはどういったものですか。
【知事】  既に要請もしていますけれど、さらに、地方の声だということを分かっていただくようにということです。
【記者】  それに関連して、ふるさと納税で、市町の方で県に対して窓口一本化に対する批判的な声があると思うのですが、今後、県として対応はどうされますか。
【知事】  そのことについては、批判というのか、独自性も発揮しながら、みんなで協力していけるものは協力できるということで、気持ちが同じになったのかなというのは思っております。もちろん、それぞれ市町村ごとあるいは県ごとにやるのは何の問題もないのですが、市町も含めて福井県全体として、全国的な競争関係の中でより強力にアピールできるのはどんな方法かということでご提案を申し上げたわけです。それにご賛同いただければ実行するということです。今のところはそういう方向で動いていると思います。
【部長】  今、いろいろ市町と意見交換をする中で、若干、市町の方の受け止め方の誤解もあったりしたものですから、そこはお互い話をする中で、大分意見としてはまとまりつつあると思っています。今、最終的な詰めをしているとご理解いただければと思います。
【知事】  私たちは提案していますから、その制度の意味や仕組みをよく知っているのですが、我々のPRも足らないのかもしれませんが、全国の都道府県とか、あるいは福井県内でも、必ずしも十分よく理解されていないところもあって、頭の中で考えてやられるところもあります。しかし、実際はこういうことで、こういうふうにすると効果があるのだということを申し上げると、「ああ、そうか」ということもあります。実は勘違いをしていたということがありますから、お互い善意を持って、互いにうまくなるようにしようということだけの話ですから、そういう方向でやりたいと思います。


【記者】  道路特定財源についてですが、今、福田首相が一般財源化についての法案を出していると思うのですが、その一般財源化についての知事のご意見と、前回、東京へ行かれたときにいろいろ考えがあるとおっしゃっていたと思うのですが、いろいろ考えがあるというのはどういったことなのでしょうか。
【知事】  1つは、道路特定財源というのは、車のユーザーといいますか、利用者の税金、受益者負担の考えに立っていますから、納税者が何のために税金を納めているのかという納税者意識、それから税の根拠、これは肝に置かないといけないと思います。特定財源だったけれども一般財源になったという抽象論ではいけないと思います。もちろん、総理大臣もそのようなお気持ちでおっしゃっているのだとは思いますが、それゆえに、地方自治体もそうした総理大臣の気持ちも踏まえて、さまざまな議論も一方でやっておられるという動きもあるかと思います。しかし、ユーザーの課税だということはこれからの議論で押さえなければなりません。
 それから、福井県のような場合、中部縦貫自動車道が遅れていること、それから、まさに今これから整備しよう、また、この1年間で完成しようというところも、手がつけられないようなこともあるわけで、財源が確保されなければなりません。財源も、暫定税率が維持されるというのは基本ですが、要するに、道路にちゃんと使えるような使い方で、基本的に道路に使えなければとか、さまざまな課題があります。一方で、その使い道については、本来の道路に使っていないのではないかというさまざまな問題も起きていますから、これは十分、今回議論していただかなければいけないだろうということで、単純に物を考えてはいけない部分があるということで申し上げたということです。


【記者】  先週、今週にかけて、高速増殖炉「もんじゅ」で検出器の問題が多々ありまして、まず、「もんじゅ」の計画を含めて設備の信頼性について、知事のお考えをお聞きしたいのですが。
【知事】  「もんじゅ」の問題につきましては、既に原子力機構、それから保安院に対して、それぞれ福井県として申し上げたところであります。誤警報がたび重なり、5度にわたって起きていますし、1次系、2次系、それぞれ機器の種類が何百個あり、タイプも大きく分けますと3種類ぐらいあります。これは安全サイドに立っていろんなことを事業者の皆さんはやっておられるのかもしれませんが、これだけ誤報があるというのは、検出器などに基本的な性能なり、設置したときの問題があるのではないかということで、点検をするように我々の方からも要請をし、また、国の方もそれに応じて、事業者に対して指示をしているようですから、その方向で着実に県民の不安が生じないようにやっていただきたいというのが基本的な考えです。
【記者】  一連の問題を踏まえて、原子力機構は10月の運転再開を目指しているわけですが、県民の中には、本当に再開して大丈夫なのかという不安が高まっていると思いますが、運転再開ということに関して、今回の問題をどのように考えられるのでしょうか。
【知事】  冒頭からも申し上げてきているところですが、決まった日程があるわけではなく、物事を着実に行うことによって、こういう時期にこういうことができるということであり、10月とかいろんなことが出てきていますが、それは、着実に行われて、そのことが可能になるわけですので、今回のこういう機器の点検についても、そういうものを迅速・着実に行うことによって、これからのいろんな作業も進むだろうと思います。
【記者】  「もんじゅ」に関連して、ナトリウム漏えい検出器の信頼性の問題と、また別の方面で、燃料交換の事前了解というものに関して少しお伺いしたいのですが、ナトリウム漏えい検出器の問題と燃料交換の事前了解というのは関連して考えているのでしょうか。ナトリウム漏えい検出器の信頼性を確保しなければ燃料の事前了解についても検討しないということなのかお伺いします。
【知事】  「もんじゅ」全体がさまざまな数限りない機器とシステムになっておりますから、総合的には関連はしますが、観念的に物事は別のことだと思います。それぞれのことについて着実にやっていただかなければいけません。そのスケジュールに従って、我々もそれぞれの時期にチェックをするということです。
【記者】  では、燃料交換の事前了解については、ナトリウム漏えい検出器の信頼性の問題とは別という考えですか。
【知事】  別というか、直接、当然につながるものではないと思います。
【記者】  「もんじゅ」に関連してですが、先日、3原子力事業者の耐震評価で、活断層が「もんじゅ」の直下を通っているということが発表されましたけれども、それに関しては、県として、耐震補強工事なり、あるいは、弱いと言われている附帯設備の補強工事を国に求めていくということはあるのでしょうか。
【知事】  今回の活断層の調査は事業者が行いますし、多少重なる分もあると思いますが、あわせて並行的に国も今さまざまな方法でやっておられるし、そのものが出てからの話になると思います。それを受けて、我々として何が問題になって、これは従来と同じだとか、どう対応するのかということを明らかにすることになると思いますから、今の段階でどうだということは申し上げる段階ではありません。
【記者】  そうすると、それ自体は「もんじゅ」の運転再開に関しての判断材料にはならないということですか。
【知事】  もちろん、耐震の問題も関連はしますが、今の段階ではどういう結果が出るかわかりませんから、それはちょっと申し上げられないということです。いずれにしても、これは、専門的な委員会も開きながら、厳正に確認する話ですので。さっき申し上げましたさまざまなものもありますから、一つひとつ、それとして、そして、それらのことは、広い見地に立つと関連がありますので、全体性を持ってやるということです。
【記者】  その耐震の問題は、今、国が検査を行っているから、県としてまだ申し上げる段階にないということを今おっしゃっているのだと思うのですが、国の審査結果というのが出れば、県の原子力安全専門委員会を開いて審査結果というものも見ていくということですか。
【知事】  そういうことになります。
【記者】  それと関連してですが、耐震の話で、揺れの強さを表す地震動が、新指針で見直した結果、マックスで1.5倍増えたという報告が先日31日に、事業者の方から示されたのですが、もちろん、安全の範囲だと言っているのですが、やはり我々素人目から見ると1.5倍というのはかなり大きいと思います。それについて知事はどういうふうにお感じになられましたでしょうか。
【知事】  ああいう単位というのは、我々が常識的に考えるものとはまた違いますね、加速度とか。ですから、お互い勉強もしないといけませんが、科学的な知見のレベルで考えていただきたいです。ちょっと抽象的で申しわけありませんが、何倍だからどうだとか、それはどういう意味であるのかとか、そういう学問の分野で、その上で我々の常識の話に引き入れなければなりませんので、最初から常識の話をされますと、また十分な理解が得られないと思いますが、そんなことも含めて議論をして、これだったら大丈夫、これはいけないという判断をするということです。


【記者】  福武線の問題なのですが、4月に入り、まだ電車は動いていますが、いまひとつ協議に動きが見られないというか、具体的な進展が見られないように思うのですが、この点についてはどのように考えておられますか。
【知事】  先月28日に、先般の県議会の議論で基本的にはこういう方向で行くということを決めて、その結果を各構成員の皆さんにお知らせし、そして28日の会議を終えたわけですが、その際に問題になりました福井鉄道の債権や債務の関係の洗い出しについて、今、精査を要請し、会計上のチェックもして明らかにすることを作業中ですので、その結果を一つ出さなければなりません。
 それから、福井銀行については、この協議会の場でも債権の取り扱いについて再度要請をしておりますから、それの方針。また、市町とは明日、実務的に、市町としての鉄道に乗る運動とかさまざまな運営の問題、そういうご相談もされるようですから、そんなものも含めて、今申し上げた点がまとまった段階で、早急にまたこの会議をするという準備をしているということです。
【記者】  何か具体的な指示といいますか、もちろん相手のあることなのでしょうけれども、ここまでには何とか結着をつけたいというか、支援体制を整えたいというのは今の時点で考えていらっしゃいますか。
【知事】  基本的な方向はそういうことですが、もちろんこれは民間の鉄道ですし、自らのことですし、債権・債務の処理がありますから、それは基本に踏まえなければなりません。公共団体が運営していた鉄道ではありませんから、そういうことを押さえないと県民の理解も得られないと思いますので、その作業を着実に行うということです。


【記者】  再び「もんじゅ」についてですが、海底活断層の音波探査の件で、現在、敦賀湾の方で保安院が音波探査していますが、これに関しては、敦賀湾を出て若狭湾の方に向けての音波探査について保安院に求めているのでしょうか。
【知事】  今の質問はどういうご趣旨かですが、原子力発電所のある周辺の活断層の範囲を単に広げるという、現実に広げてやっている、半径を大きくしてというお話なのか、あるいはエリアを大きくすると同時に、発生した何万年という年代を広げているとか、そういうことを今やっているわけです。今おっしゃられたのはそういうお話ではなくて、何かプレートの仕組みとか、そういうことですか。
【記者】  そういうことではありません。単に、昨年度の予算で今やっている音波探査が敦賀湾内の分だけなので、実際に断層が湾の外、若狭湾のほうにも広がっているわけで、それについては音波探査を求めておられるのか。求めておられるのであれば、いつごろ行うのかということです。
【知事】  両方とも若狭湾だけれど、2つの地域についてそれぞれ要請し進めており、進めつつあるというのが実情です。
【記者】  それ自体が、若狭湾全体の海底の音波探査が終わらないと「もんじゅ」の再開をしないということではないのですか。
【知事】  当然そういう結果を踏まえて、全体の議論をしなければいけないと思います。
【記者】  そうすると、海底活断層の調査の結果を見極めたうえで再開するかどうかの判断をしていくということですか。
【知事】  機器の話もあるし、燃料の話もあるし、地震の話、それぞれ時期が少しずつずれているでしょう。当然、事柄が違いますから。それぞれ詰めながら、全体として最終的に「もんじゅ」をどうするのかという話になると思います。こっちがこうだからこっちがどうだということではない、個別としては別の分野ですから。
 

── 了 ──
 

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