知事記者会見の概要(平成22年12月20日(月))

最終更新日 2009年9月16日ページID 013747

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平成22年12月20日(月曜日)
13:30~14:40
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 

【知事】
  今日が普通にいけば、今年の最終の会見になると思います。まだ10日間、重要な時期が残っていますが、この1年、ありがとうございます。
  皆様方には、県政にかかわる情報を県民や全国に絶えずお知らせを願っているところであり、改めて感謝申し上げます。
 なお、今年は県政の重要課題に関する政府予算についても、まだ現状では内容が判明していない段階ですので、福井県の要望実現のために全力で向かっていきたいと思います。
 今日の発表事項は3つです。まず、年末における所感、2つ目は報告ですが、「福井県民の将来ビジョン」について、3つ目は「福井新元気宣言」に基づく4年間の県政についてです。
 まず、この1年の状況についてです。
  今年は、9月以降の急速な円高進行等による厳しい経済情勢の中で、経済雇用対策を最重要課題として全力で進めてまいりました。
 12月補正予算では、資金需要の高まる年末、年度末に向けての中小企業の資金繰り対策として、既存の借入金の借換による返済負担の軽減を図る「資金繰り円滑化支援資金」の需要が高まっていますので、当初の160億円の融資枠に80億円を追加して、240億円へと拡充し、金融面の支援を強化しました。
 雇用情勢については、10月の有効求人倍率は0.9倍ということで、6カ月連続して改善を見ております。全国トップの雇用環境の確保に努めているものの、一方で職を求める人の数も多く、緊急雇用基金を取り崩して、新たな雇用創出も図っている状況です。
 また、消費の拡大にも力を入れ、10%以上のプレミアム付きの「ふるさと商品券」を商工団体と連携して発行しました。約18億円が発行され完売しました。これに合わせて県内各地で消費拡大のイベントが行われ、7億円を超える新たな消費を拡大し、にぎわい創出につながったと思います。
 これから年末年始に向けて、商工会議所等が行う販売促進キャンペーンや、地域のこだわりの一品を販売するふるさと市場の開催を応援し、県内消費をさらに拡大することにしています。
 厚生労働省から平成21年度の授産施設で働いている障害者の賃金実態調査の結果が発表され、本県の平均賃金月額が1万6,621円で、全国第1位となりました。雇用経済情勢が厳しい中ではありますが、県が作成したセルプ商品カタログや、専門のセールスマンによるPRなどが成果につながったものと考えています。今後とも、障害者の経済的な自立も目指してまいります。

 今年は福井の魅力や特性を大きく伸ばし、国内外に広く発信する出来事もさまざまあったところです。
 まず、6月には、本県初の大規模な国際会議であるAPECエネルギー大臣会合が開かれました。低炭素化社会の実現に向けた「福井宣言」が採択されました。会合に合わせて、県内各高校において、参加国大使によるリレー講演会を開き、高校生が世界に目を向けるよいきっかけになりました。
  また、中学生によるAPECジュニアフォーラムでは、環境やエネルギーの未来について、すばらしい提言も発表できました。ジュニアフォーラムの代表生徒の提言に、各国の大臣から多くの励ましを受け、福井の子供たちへの激励のメッセージもいただいています。
 会合期間中は20の国・地域、3つの国際機関の参加者やメディア関係者に、先進のエネルギー政策はもとより、福井の誇る食や産業、技術、伝統工芸、観光地などの福井ブランドをアピールし、世界に向けて福井のすばらしさを発信できたと思います。
  今後は、引き続き、原子力やエネルギー分野での国際的な人材育成や研究開発の拠点を目指すとともに、研究や産業の分野を越えて、生活レベルでその成果が実感できるよう、福井宣言の目指すクリーンエネルギーを核とした最先端のまちづくりを進めてまいりたいと考えます。

 5月には、(財)日本体育協会理事会において、国体開催申請書提出順序が了解され、平成30年の第73回国民体育大会の福井での開催が事実上決定されました。そして8月には、県議会、市町、経済界、教育界、スポーツ界などの県内の各分野の方に参加いただき準備委員会を設置し、「福井国体ビジョン」をもとに、県民一人ひとりに夢を与え、子どもたちの明るい未来につながる大会となるよう、今準備を進めている最中です。
  
  また、県立恐竜博物館が開館10周年を迎えました。常設展をリニューアルするとともに、特別展を開きました。過去最多の入館者であった昨年度が43万人余りでしたが、既にこれを上回る入館者があり、50万人を超える勢いとなっています。
  6月には、福井という名前がついた3例目の恐竜である「フクイティタン・ニッポネンシス(日本産の福井巨人の意味)」が誕生し、また6月に発行された地方自治法施行60周年記念貨幣に恐竜デザインが採用され、大都市での出展・展示も開催するなど、「恐竜王国ふくい」を全国にアピールできました。
 このほか、恐竜ブランドを活用した恐竜ビジネスを、県内各企業と協力して積極的にこれからも事業を展開したいと考えています。明日からは、ヤマト運輸と県の共同企画として、「恐竜王国ふくい」をデザインした宅急便用恐竜ボックスを販売する予定です。記者会見終了後に、ヤマト運輸福井主管支店長とお会いする予定です。

  今年1月には、本県の呼びかけにより、福井県を含めた11県の知事で「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」をつくりました。従来のブロック知事会や隣り合った県同士の連携ということではなく、青森、山形、鳥取、熊本など、いわゆる田舎の県と言われる地域の知事が集まったものです。5月には8つの政策提案を発表し、10の共同研究もスタートしています。地方同士が、東京を経由せずに「ローカル・アンド・ローカル」でつながり、これからの時代に必要な新しい政策を一緒に考え、ともに行動していくこととしています。
 知事ネットワークの連携活動として、参加各県の農産物直売所で相互に農林水産物を販売する活動や、南青山291など東京のアンテナショップが連携してそれぞれの特産品を共同販売するフェアを実施しています。
 また、共同研究の一つとして、福井県が中心となり、「ふるさと希望指数」の研究を行っています。将来に目を向け、ふるさとに暮らす人々が自ら生活のクオリティーを高めるため、「希望」を持って実現に向けて具体的に「行動」する上でのメルクマール、参考指標となる指数づくりに、今、チャレンジしている最中です。これからも、地方同士の人と情報ネットワークから生まれる新たな動きを地方から発信して、日本を変える一つのエンジンにしたいと思います。

 次に、北陸新幹線についてです。8月の整備新幹線問題検討会議において、北陸新幹線は、敦賀以西の整備のあり方が課題とされましたが、地元として障害となる課題はなく、沿線のまちづくりへのこれからの影響、北陸3県の地域格差などを生じさせないため、敦賀までの整備は合理的であり、認可を急ぐべきです。今月13日には馬淵国土交通大臣にお会いし、県内整備の早期実現を強く要望し、16日開催のもんじゅ関連協議会においても、北陸新幹線をはじめとする地域振興策の着実な実行について国の対応を求めました。髙木文部科学大臣は、「地元の思いを改めて重く受けとめ、年末予算編成に向け国土交通大臣に話をし、政府全体で取り組む」ということですので、年末には結果を出していただかなければならないと思っています。また、期待もしています。
 以上が、年末を控えて感想です。
 
  次に、「福井県民の将来ビジョン」の策定についてです。
 「福井県民の将来ビジョン」が先週17日の県議会において議決をいただき、最終的な修正を終え完成しましたので発表します。

   (資料: 福井県民の将来ビジョン ー 希望ふくいの創造ー) 

 このビジョンは、大きく特長が2つあります。
 1つは、時代の変革期にふさわしいビジョンとして、これからの福井が進むべき大きな方向性を示すことに重点を置いています。プロジェクト重視のビジョンではないということになります。2つ目は、ビジョン策定のために固定した審議会などを置かず、県民意見を広く聞くことを重視した計画策定のプロセスを踏んだものです。
 計画策定の経緯を振り返ると、昨年6月の定例県議会において将来ビジョンの策定の方針を示し、その年の11月30日に「将来ビジョン検討会議」をスタートさせてから、約1年をかけて検討してきました。この間、県議会各会派と議論を重ねるとともに、私自身も各地域に出向いて県民との直接意見交換会を行ったり、福祉や教育、産業など、「分野別意見交換会」も開きました。また、アンケート調査を通して、広く県民の意識、意見を聞くなど、約3000人の県民の皆さんの参加を得て策定することができました。感謝を申し上げたいと思います。
 この将来ビジョンは、福井を取り巻く現在の、また将来の環境変化を踏まえ、おおむね10年先を見通して、県民が力を合わせて実行していくための県の方向性や将来像を描いたものです。第1章は「福井がめざす姿」、第2章は「実現のための戦略」としています。
 また、県民、企業、さまざまな団体、市町、県共通の行動指針となるよう、ビジョンのタイトルは「福井県民の将来ビジョン」としています。
 中身については、まず、ビジョンの基本理念として、「『希望ふくい』の創造」を掲げました。優れた福井の特性を自覚しながらこれを維持するとともに、次の世代にさまざまな良いものを残し発展できるよう、県民が力を合わせ「希望」あふれる福井を創っていくというメッセージです。
 具体的なイメージとしては、県議会でも申し上げたところですが、地域間の切磋琢磨やアジアをはじめとする諸外国との競争の中で、福井発の生活モデルや産業の仕組みを示すことにより、常に新しい時代をリードし、他の地域の参考、手本となる存在になることです。
 そこで、福井のめざす将来像として2つの方向性を示しました。
 1つは、つながりといいますか、「『縁を活かす』福井流生活の確立と継承」です。もう1つは、「『アジア交流ゾーン福井』の成長と未来への貢献」です。
 1つ目の課題については、福井に残る「つながりの力」を活かしながら、教育や子育て、医療・介護など、人口減少・超高齢社会の課題にいち早く対応する「課題解決先進県」を目指すものです。これは人口が減り、低成長の時代、内需のパイがあまり増えない時代に対応し、地域の足場を固める戦略です。
 この中でのキーワードが2つあり、1つ目は、「社会貢献層」で、高齢者の皆さんの新しいライフスタイルです。もう1つが、「新しい私(わたくし)」という言葉です。
 「社会貢献層」は、福井の新しい高齢者観を示す言葉です。日本の高齢者のとらえ方は、寿命が今より16年も短い1956年からのものです。健康長寿の福井県から高齢者の概念を転換し、元気な高齢者を「社会貢献層」としてとらえて、地域や社会で活躍する「アクティブ・シニアが当たり前の地域」づくりを進めます。また、「新しい私(わたくし)」は、個人を尊重しながら社会や地域のことを考え行動するという新しい生き方、人間像を示すキーワードです。「行動力」を持った県民一人ひとりが、積極的に「もう一役」を買って出ていろんな場面や分野で活躍することにより、身近な課題は自らの手で解決する地域社会を構想しました。それが、県民の自信やふるさとへの誇りにつながっていくと考えます。
 もう1つの大きな課題である「『アジア交流ゾーン福井』の成長と未来への貢献」です。福井は地理的にはアジアに対面し、また、敦賀港を例にとると、敦賀湾と伊勢湾を結ぶラインは、日本列島の中で最も日本海と太平洋が近くにつながっている場所であり、アジアと関西・中京圏をつなぐ好立地にあるのが敦賀であり福井県だと思います。
 また、かつて欧亜国際連絡列車がアジア・欧州まで延び、アジア・欧州への玄関口となるなど歴史的な蓄積もあり、産業面では厳しいグローバル競争の中で繊維や眼鏡、伝統産業など、いわゆる産地が集積する全国でも数少ない地域が我が福井県です。
 こうした優位性、特性を活かし、アジアの活力を取り込みながら、アジアとともに成長する道を目指していく考えが述べられています。これは、福井の新しい発展、成長戦略ともいえます。グローバルな視野で行動する若者や企業人を育て、アジアや海外とのネットワークを拡大するという戦略、また、アジア最大のクリーン・エネルギーの供給地域として、環境先端の基盤づくりなどを進め、アジアのさまざまな課題の解決にも貢献する立場にあると考えます。
 そうした基本的な将来像の方向性のもとで、第2章には、福井が目指す将来像の実現のために、「人が活きる」、「つながりを活かす」、「環境を創る」、「成長を産み出す」、「交流を広げる」という5つの柱で、具体的な戦略を示しています。
 県民の皆さん、県議会など、皆でつくり上げた将来ビジョンを「道しるべ」に、今後、毎年度の予算などにこの趣旨を活かし、具体的なプロジェクトや事業を企画・実行することにより、「県民主役」の活力あふれる県政を推進していきたいと考えます。

 3つ目は、マニフェスト「福井新元気宣言」に基づく4年間の県政についてです。

 (資料1 : 「福井新元気宣言」に基づく4年間の県政(平成19~22年度))
 (資料2 : 「福井新元気宣言」推進に関する政策の実施状況(平成19~22年度))
 (資料3 : 「政策合意等における4年間の目標数値」の進捗状況)

 新元気宣言の進捗状況は、毎年、政策合意の結果として年度末に公表しています。今年は新元気宣言の最終年度です。これまでの政策合意の結果報告は、いわば途中経過の報告であり、今年は、4年間に実行した政策の全体像と最終的な成果を示す必要があるところです。この4年間は、まだ3カ月余りを残していますが、大きな印象としては、県民の皆さんのご理解とご協力のもとに、県民の「暮らしの質」向上のため、全力を傾けることができたと思います。幸い2期目は、1期目に比べると、大きな災害や事故、これは福井豪雨とか原子力発電所の事故などが含まれますが、そういうものがなく、原油高騰やリーマンショックなどの経済雇用上の課題はありましたが、県民生活の基盤を固める政策を着実に行うことができたと考えます。教育や子育て、雇用、福祉など、さまざまな成果を上げることができたと思っています。
 それでは、県民の皆さんに分かりやすく示すため、現段階で揃ったデータをもとに、今回、年度末の見込みという形で4年分の全体像を公表することにいたします。
 平成19年度以降の政策合意の中で設定した「4年間の目標数値」、行政の専門用語でベンチマークといいますが、これについては、全部で110項目あり、現時点で、「4年間の目標数値」の全体の達成見込みは89%となっています。
 4つの元気がありますが、景気低迷の影響を受けて、「元気な産業」の達成見込みが81%と、他の分野よりも低くなっています。今年度も、これまでに事業規模1,188億円、予算規模568億円の経済・雇用対策を予算化しており、これを着実に実行し、年度末までに少しでも目標達成度が上がっていくように努力したいと考えます。

 主な項目について説明します。まず、「元気な社会」です。
 教育の分野では、平成19年度から毎年実施されている文部科学省の調査、「全国学力・学習状況調査」で、中学生の学力は19年度から4年連続して全国第1位、小学生は4年連続で全国第2位というすばらしい成績が残っています。一方、体力、これは「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」ですが、こちらでは小学生、中学生の男女とも全国第1位という今年の最上級の成績をおさめています。
 この4年間で福井県は名実ともに、昔の言葉でいいますと文武両道、学力・体力日本一の地位を築いたと思います。教育先進県としてその名が全国的にも知られるようになりました。他県から福井の先進的な教育内容、また、なぜこうした能力が高いのかということを知るために、それぞれの地方で教育をやっておられる先生を福井県にある程度長期間派遣したいという申し出もあるような状況です。こうした成績を収めることができたのは、全国トップレベルの少人数学級を推進し、きめ細やかな教育を行ってきたことも大きな原因だと思います。
 この他にも、世界で活躍する人材育成に力を注いできました。「理数グランプリ」の開催や全国に先駆けて小学校に理科支援員を配置し、理数離れと言われる中で、子どもたちのサイエンスへの関心を高めています。全国あるいは世界規模の科学コンテストに出場する高校生の人数が、18年度は年間で13人でしたが、今年22年度は100人と大きく増加しています。また、福井の郷土文化の拠点として昨年11月にオープンした「こども歴史文化館」の入場者数は、1年間で約3万4,600人に達しています。
 今後は、これまで進めてきたサイエンス教育、外国語教育、白川文字学など本県独自の教育を充実させ、学力・体力日本一を維持しながら、次のステージとして、子供たちの挑戦力や社会性を育てる教育を進めていく必要があると考えます。
 健康長寿の分野では、この4年間、介護予防など、特に年配の方、お年寄りが元気で生活できるような施策に力を入れてきた結果、65歳から74歳の高齢者の元気生活率、つまり要介護認定を受けていない人の割合が全国第1位となりました。また、全国で初めて市や町が実施するがん検診の受診券と料金を統一して、がん検診受診者が大幅に増加するなど、健康長寿県にふさわしい結果も出ているところです。
 障害者支援や介護など福祉の分野です。この分野では、マニフェストで障害者雇用率の向上、授産賃金の倍増を掲げ、この4年間、障害者の自立支援に力を注いでいます。この結果、障害者雇用率は21年度は全国第1位、22年度に全国第2位ということです。平均授産賃金は、景気が低迷している中、今年度には月額2万7,000円まで上昇させることが可能となっており、18年度に比べると2倍近くまで増やすことができました。
 調査対象は異なるのですが、先ほど、年末を控えてのところで申し上げたとおり、先月公表された厚生労働省の調査では、福井県の授産賃金は全国第1位という結果も残っています。残り3カ月余りですが、目標とする3万円に少しでも近づけるよう努力を続けたいと考えます。

 次に、「元気な産業」です。
 産業分野では、これまでも緊急融資などの中小企業支援やふるさと商品券の発行による消費拡大策など、切れ目のない経済・雇用対策を実施してきました。しかし、世界的な景気の低迷と円高により、企業誘致や眼鏡の製造品出荷額などで目標の達成が難しい状況になっています。
 一方で、観光や雇用環境など大きな成果を上げているものもあります。
 観光では、平成21年に「新ビジットふくい推進計画」をつくりました。日本一を誇る教育力を活かして教育旅行を受け入れるなど、これまでにない政策も展開し、新元気宣言で約束した観光客入込数1,000万人を実現しているところです。
 雇用全般については、国の雇用調整助成金に加え、県単独で雇用を維持する企業助成を行う「雇用維持緊急助成金」をつくるなど、細やかな政策が完全失業率の低さ、有効求人倍率の高さで全国トップという成果、結果につながっていると思います。
 農林水産業の分野では、「市場で勝てる高品質の米づくり」を掲げ、「さつき半ばの適期田植え」など、お米の品質向上を推進してきました。「さつき半ばの適期田植え」の実施率は86%までに達し、この結果、今年の夏の異常猛暑で、全国的にお米の品質が大幅に落ち込んでいますが、本県はその影響を最小限にとどめ、1等米の割合は全国5位と上々の結果が出ていると思います。JAや農家各位のご協力にも感謝申し上げなければなりません。
 この他にも、農地の集積や農産物直売所の販売額、林業では県産材の利用率などで目標どおりの成果を収めています。
 今後、産業の分野で第一にやらなければならないのは、経済・雇用対策と農林水産業対策だと思います。雇用環境は全国トップクラスではありますが、県民の多くが生活基盤を委ねている中小企業がまだまだ不安定で、皆さん不安な感情を抱いているのも事実かと思います。農業ではお米の価格の下落の問題があるわけです。雇用を守る企業の支援や未就職者の支援、売れる特産品や商品の開発、お米のさらなる品質向上、アジアも視野に入れた販路開拓、全般的な後継者育成などを進め、福井の中小企業と農林水産業をさらに発展させ、県民生活の安心の基盤を確かなものにするのが次の課題かと思っています。

 次に、「元気な県土」についてです。
 北陸新幹線については、先ほど述べたとおりです。
 舞鶴若狭自動車道については、この4年間で小浜までの区間の来年夏の開通が示されました。残る敦賀までの区間は、平成26年度中の開通に向けて工事が進められています。26年度とは言わず一日も早く全線が開通するよう、関係機関への働きかけや工事への協力を今行っています。
 中部縦貫自動車道では、平成21年3月に大野東から和泉までの区間14キロについて、新たに事業採択されたことは大きな成果だと思います。永平寺大野道路でも鋭意工事が進められており、上志比から勝山までの区間が平成21年3月に開通しています。これからも残る未着工区間の事業採択に全力を挙げてまいります。
 敦賀港についてですが、鞠山南地区の多目的国際ターミナルが完成して、利活用の促進に弾みがかかっています。現在の見込みでは、年間15,000TEUとしていた外貿定期コンテナ数の目標も、年度末には達成できると思っています。
 なお、敦賀港は、今年8月に国の重点港湾の指定を受けましたが、今後は、日本海側拠点港の指定を受けることが課題であり、来年予定されている指定に向けて努力してまいります。

 次に、「元気な県政」です。
この4年間、「ふるさと納税」の実現や小学館DIMEトレンド大賞特別賞の受賞など、全国に福井の実力をアピールすることができたと考えています。私自身も昨年6月に「ベストファーザーイエローリボン賞」を代表していただき、福井県の皆さんの活動の高さを改めて実感しているところです。さらに、こうした実績をもとに、「営業」というこれまでの行政にはなかった新しい視点からの県政運営にも今挑戦中です。
 これまでどちらかというと、研究一本という方向でした恐竜博物館に営業という見方を取り入れた結果、「福井は恐竜」であるというブランドイメージが全国的にも定着しつつあり、平成18年度には年間29万人だった入館者が、今年度は50万人を超える勢いになっています。
 今後は、高まった教育や子育て、恐竜といった福井のブランド力をどのように県内経済や県民生活の発展に活かしていくかが課題です。設置2年目を迎えた観光営業部を先頭に、恐竜を活かした新しいビジネスの創造など、新分野の開拓にも挑戦していきたいと考えます。
 以上、代表的な成果を選んで申しましたが、4年間を振り返ると、1期目の「福井元気宣言」で築いた子育て、治安といった県民生活の安心をさらに高めるとともに、教育、観光、ブランドなどで福井を全国あるいは世界に発信し、飛躍させることもできたのではないかと思います。
 経済・金融危機や新型インフルエンザの発生など、マニフェストで想定していない突発的な出来事も数多くありましたが、こうした事態に対応しながらも、ここまでの成果をおさめることができましたのは、県民の皆様をはじめ、県議会、各界の方々のご支援によるものであり、改めて感謝を申し上げます。
皆様のご支援に応えるためにも、年度末までの期間、新元気宣言の仕上げのために全力を挙げてまいります。


~ 質 疑 ~

【記者】
  今年1年を振り返り、もちろん達成したものもたくさんあると思いますが、逆に、厳しかった、達成できなかったもので印象に残るものには、どのようなものがありますか。

【知事】
  世の中全体のグローバル化、あるいはさまざまな経済状況もあり、厳しいこと悪いことさまざまあることも事実ですが、そういう中でも、福井県は全国的に世間で言われるような悪いものは少ないといえます。学生の就職難が言われていますが、そういう中で福井の子どもたちの就職率は悪くありませんし、先ほど報告した学力・体力や健康、企業の皆さんも厳しい中ではありますが、そういう中で耐えて頑張っておられるということで、改めて福井県の底がたさ、地力というものが確認できたと思います。これをしっかりみんなが自覚し、これをベースにして次の挑戦、飛躍につなげるというのが重要だと思います。

【記者】
  県だけの力では乗り越えられない課題もあると思いますか。

【知事】
  国政の分野、国家プロジェクトである新幹線などの課題について、あと1週間ぐらいの中で結果はぜひ出してほしいと思いますが、そういう点については、国政上のさまざまな厳しさとか困難もありますけれども、ぜひとも成果を出してほしい、そういう期待を今抱いているというのが現状です。

【記者】
  4年間の政策の達成状況が89%ですが、例えば、農業分野の達成率が見込みを含めて100%達成されているのであれば、「力強いプライドの農林水産業」が実現していると思います。実際の現場と施策との乖離があるのではないかとの声も聞きますが、どのように受けとめていますか。

【知事】
  それはマニフェストをつくった段階、また、その後の外交や貿易などのグローバルな展開、そして国のいろんな所得補償政策やTPPなど、さまざまな課題が複雑に絡み合っており、直ちにマニフェストで掲げた目標と成果が素直に結びつかない点はあると思います。これはいろんな目標を掲げて実行する際の宿命的なものでもありますので、マニフェストが100%でありませんから、いろんな課題に引き続き挑戦をしていこうと思っていますし、また、次の新しい4年とか5年間の課題になると思います。
  いずれにしても4年間、じっくり取り組んできたことは事実であり、厳しい中ですが、福井県は、粘り強く他の県に比べて頑張っています。目立たない点はあるかもしれませんが、やはり福井県のみんなの頑張りというのは見えると思います。

【記者】
  北陸新幹線県内延伸に予算がつかなかった場合、県としてどのように対応されるのか。将来ビジョンの中でも、北陸新幹線の県内延伸ありきで新たな人の流れが生まれると書かれていると思いますが、将来ビジョンの変更は考えないのですか。

【知事】
  本年中に期待している結果を出そうと、我々も、他のさまざまな政党の皆さん、国会議員の皆さんも、今、頑張っておられるわけです。一生懸命答えを出そうとしているわけですので、その結果を待ちたいという状況です。
  国のほうでも、新幹線の意味あるいは福井県の事情がわかっていないわけでは決してないでしょうから、その結果を待つのが大事だと思います。国政の場で、他の問題も含めて、さまざま混乱があったり、いろいろ課題の多い状況であるというのは事実ですから、そういう中で何らかの方向が出ることを、強く要請もしましたし、期待をしているということです。

【記者】
  あくまでも今の段階では期待している状況ということですか。

【知事】
  そういうことです。

【記者】
  新幹線の県内延伸に向けて障害となる課題なはいと言われますが、JRから経営分離される並行在来線は、他県の例を見ても厳しくなると思います。石川県は4月に県独自で並行在来線を考えるための担当課を設ける方針を打ち出していますが、福井県として、並行在来線を県独自で考えるような担当課を設ける動きはないのですか。

【知事】
  それは、認可着工が決定して方向性が出てからの議論になります。準備はいろいろしていますが、認可着工がまだ得られていないわけですから、それを受けるのが大前提です。

【記者】
  あくまでも認可着工が先だということには、変わりないということですね。

【知事】
  そうです。

【記者】
  4年間の県政の数字に関して、北陸新幹線の項目については、福井駅部の完成が成果として入っていますが、数値目標として達成状況の数字の中には入っていないのでしょうか。

【知事】
  入っていません。

【記者】
  12月補正予算から入札制度で一般競争入札が指名制度になりましたが、そもそも平成20年度に、透明さや談合の不正防止ということで、わざわざ一般入札に変えたにもかかわらず、今回、また指名に戻すことの理由はどういうことですか。

【知事】
  前回の補正予算を増額計上する際、期間を限って契約が早くできて、公共的事業の早期着工ができるようにした例があります。今回も、厳しい経済情勢の中で補正を積極的に組みましたので、場合によっては年内に早く成果が出るように、時限的に、限定的にやっているということです。もとより一般競争入札がベースですが、そういう公明性はよく明らかにしながら、景気対策という面について地元の受注が浸透するようにしたいというのがねらいです。

【記者】
  新幹線について、まさに今、ぎりぎりの折衝をしているところだと思います。敦賀までの一括認可着工が最良の答えだと思いますが、財源のことなどもあり、着工と切り離した認可という考えもあるかもしれませんし、3つの路線について優先順位を考えるという国の発言もあります。少なくともどのぐらいの答えがないと前進していると思えないとお考えでしょうか。

【知事】
  敦賀までの認可着工を目指していますから、それを今回ぜひ出してほしいと思います。

【記者】
  それ以外は評価できない。

【知事】
  評価というか、まだ手の中にないですから。

【記者】
  もんじゅ関連協議会で、国の今回の結論によっては、今後の国策への対応も考え直さざるを得ないと言われて延伸実現を求められました。それに対して、敦賀市の河瀬市長などは、「もんじゅ」があろうとなかろうと新幹線は必要であると言ったり、敦賀市会なども、「もんじゅ」と新幹線を絡めたような、ある意味駆け引きみたいなことに関して批判的な意見も出ていると思います。もんじゅ運転再開のとき、知事も「もんじゅ」と新幹線は別の事柄であると言われたわけですが、三者協議での発言の意味を詳しく教えてください。

【知事】
  駆け引きとかいうことではなくて、「もんじゅ」などの議論の中に、もちろん地域振興という項目があるわけです。これは、原子力の基本的な議論としては、安全確保を第一にするというのが基本的な1つの大目標です。それと同時に、恒久的な地域の福祉、つまり地域振興が2つ目。こういうことを踏まえて原子力政策は県民あるいは住民の合意に基づくというのが3つ目。この3本の柱で成り立っているわけです。
「もんじゅ」などについても、この安全を第一に、今回のもんじゅ関連協議会でも、不透明な部分があったり、国が前面に立っていない、あるいは組織や運営体制が不十分であるということを申し上げて体制を強化しているわけで、これを具体的に監視もしていかなければならないと思いますが、一方で、こういったさまざまの安全対策と同時に、県民の合意を得るためには、地域の恒久的な福祉振興というものがあり、それは前回、「もんじゅ」が14年ぶりに動くときにも、政府に2つの事柄として申し上げたわけです。
  そのことについて、両大臣はもとより、特に官房長官、これは内閣の立場で、そして、鳩山総理が最高の責任の立場で福井県の原子力政策への貢献をよく理解し、しっかり重く受けとめ、地域振興についても全力で努力するというお約束をされて、我々としては、我々側の同意を得たわけです。今度はそれに応じて、国が約束した責任を果たすべきだというのが当然で、それは新幹線であろうと何であろうと、当然のことです。
  残念ながら、昨年末にはそれが履行されなかったわけです。また、この夏にもまだ履行されていないということですから、延び延びになっているわけです。その説明も十分でないし、結果も出ていない。加えて、安全の面でもトラブルがあったわけで、二重の意味でそのことが実行されていないのですから、それは県民を代表して強く申し上げなければいけないということです。

【記者】
  入札の関連ですが、4年間の政策の達成状況の改革の成果として、一般競争入札を拡大したことを掲げられているにもかかわらず、早期執行と地元発注という名目でわざわざ指名をするということですが、それは、例えば来春の選挙を念頭にしたということではないですか。

【知事】
  全く関係ないです。いろんな時期に、そういうことが必要なときがあると思います。

【記者】
  建設業界に対する景気動向を見ながらの配慮とも見れますが、そういうことではないのですか。

【知事】
  契約を早くすることと、地元へのいろんな受注機会が景気対策として必要ですから、それを期間を限って今回の補正について行うということです。

【記者】
  今日、民主党県会議員も中央に行っています。知事がもんじゅにも関わる地域振興ということで、約束が果たされなければ、国策への協力に対する考え方を見直さざるを得ないと言っていますが、民主党県会議員は離党も辞さないという構えで、知事、県会議員がそれぞれ覚悟を持って臨んでいる状況について、どのように見ていますか。

【知事】
  それぞれ政治の立場で、不退転の決意で、強い意志を示しておられるのかと思います。自民党の皆さんも政党として法律を出されたり、与党ではありませんが、いろんな形で働きかけもしておられるわけですから、それぞれできる分野で全力を挙げて県民のためにやっておられると理解します。

【記者】
  民主党政権になってから、新幹線整備に対する進め方が、自民党時代に比べると、いろんな状況がオープン化されているとは言いがたい状況だと思います。24日に政府予算案が閣議決定される方針ですが、全く状況が見えない状況についてはどのように思われますか。とりあえず結論さえ出してくれればよいということでしょうか。

【知事】
  もちろんプロセスも大事ですが結論はもっと大事です。自民党政権当時は、オープンで、いろんな人がいろんな組織を経由して、大衆討議というか、議論がなされてきたと思います。民主党政権の場合には、いろんな意思決定が、あらゆる大きな事柄、それほど大きくない中程度の事柄も、方針がぱっと出るようなことが多いようです。内部でいろんな議論をしているのかもしれません。それはそれぞれやり方があるのかもしれませんが、あまりプロセスに、我々は直接関与していませんから、もっとわかりやすくしてほしいというのは事実ですし、途中経過も明らかにすべきだと思いますけれども、結論がきちんと出れば、それはそれとして評価ができると思います。

【記者】
  結論が出た場合、良くても悪くても何らかの形で質問に答えてほしいというのが私たちの気持ちです。

【知事】
  どういう結論であれ、あらゆる政治の事柄は、これはこういう意味だという納得のいく説明が要ります。長い間要望しているわけですから、こういう理由だとかが要ると思います。よい結論を期待していますが、いろいろお話も申し上げないといけないと思います。
 
【記者】
  先ほど、どういう結論であれ説明が必要とおっしゃいましたが、民主党一志会も国が説明責任を果たしていないと言って、今日、東京に行っていますが、知事としても同じ思いですか。

【知事】
  説明ではなくて結論なのです。約束しておられるわけですから、成果を出してほしいということです。
 
【記者】
  来年度予算ですが、通常だと統一選を控えて骨格予算になると思いますが、今、東アジアに向けていろいろな戦略も出している中で、これは骨格以外に予算を対応される考えをお持ちですか。

【知事】
  通常は骨格的な予算になると思います。何か特別の事態が発生して、県民の皆さんのためにどうしても予算で対応しないといけないということがありましたら、別に原則的なことでなくてもいいかもしれません。

【記者】
  足羽川ダムを含めて検討が始まっています。最初、検討に入る段階では、ダム事業として進めていきたいというニュアンスのお話であったかと記憶していますが、現時点では、どのようにお考えですか。

【知事】
  基本的にはダムは必要だと思っております。いろんな検証をする手続がありますから、それは幅広く、またわかるようにプロセスは踏む必要があるだろうと思います。
 正式にそういう委員会で私が申し上げることになります。


── 了 ──


*知事選挙に関し、立候補予定者の立場での質疑応答については、公平・公正を期すため、掲載しておりません。

 

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