知事記者会見の概要(平成23年2月15日(火))

最終更新日 2009年9月16日ページID 014016

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平成23年2月15日(火曜日)
10:30~11:50
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 

【知事】
  今日は、平成23年度の当初予算案および新高速交通ネットワーク活用プロジェクトについて発表しますが、まず、冒頭に、1月末の大雪、集中豪雪について申し上げます。

  1月30日(日)から31日(月)にかけての、いわば集中豪雪という事態により、福井県の主要幹線である北陸自動車道、JR北陸本線、国直轄国道8号線の交通が全面的にまひをし、利用者に大きな影響を及ぼしました。北陸と関西・中京を結ぶ交通の要所でもあると同時に、最近は南北あるいは東西それぞれの地域のいわば物流の拠点・要所にもなっているわけであり、大雪のたびにこのような事態となることは、この北陸地域の交通が不安定であるという印象が生じますし、早急に復旧しても、そういう事態が長く続いているような誤解をする人たちもいるわけで、福井県にとって大きな損失となります。東京で雪が降りますと、1つのトピックスとういうことで大変だという話で終わるかもしれませんが、やはり地方の、極めて大事なこういうルートが遮断されるということになると、それ自体が大きな課題になると思います。これまで、平成13年1月、平成17年12月にこうした事態になっていると思います。

  こうした問題のより長期的な解決のためには、直接関係者に申し上げないといけないことが多いわけですが、今回の災害の際にも、国土交通大臣、西日本旅客鉄道㈱、中日本高速道路㈱等の関係機関に、私から直接いわゆる応急対策についても迅速な対応を現場で実行できるように要請をしたところです。かつ、今般の民主党の豪雪災害対策本部の視察の際にも申し上げたところですし、また、昨日は、衆議院予算委員会の地方公聴会、また現場の視察もあったところです。関係機関が事態発生の要因や、またハード・ソフト対策を、これはもちろん執行している機関はもとよりですが、外部の雪の対策の専門家、あるいはこうした防災の専門家を入れて早急に検証し、まだ暖かくならないうちに結論を出して実行するということが重要だと思います。そんなに複雑な課題ではないと思いますので、課題を明らかにした上で、必要な対応ができるのではないかと想定をされます。なお、大雪の際には陸上自衛隊の災害派遣要請も行い、県内の交通機能の確保については努力したところであり、主に今回の課題は地域道路の整備というよりも基幹道路の確保の問題が大きかったと理解をしています。一方、こうした大雪の際には、地域の除雪、屋根の雪下ろし作業が課題としてありますが、除雪ボランティアの派遣、地域ぐるみで学校周辺の歩道除雪なども行われ、対応が短期間に終了したことについて、関係者にお礼を申し上げたいと思います。

  大雪から約2週間余りが経過しましたが、この間、市町にも協力しながら道路除雪は順調に進み、既に、通常の交通は確保されて平常の生活環境に戻っていると思います。これからは農林水産業のハウスなどの、あるいは作物などの被害対応を関係機関に申し上げるとともに、応急対策を実施した際の除雪費などについては、現在の制度では地方交付税の中に特別交付税という災害用の枠がありますので確保するよう特別に対策を進めてまいりたいと思います。去年から家畜のいろんな災害や、あるいは火山噴火とか、いろんなことがありますから、全国的にも被害が多いかもしれませんが、極力、地域の事情を申し上げて財源の確保をしたいと思っております。

 次に、来年度の当初予算案について申し上げます。

   (資料)平成23年度当初予算の概要
       資料№1  当初予算案の概要
       資料№2  2月補正予算案の概要
       資料№3  当初予算案主要事業(資料№4 施策別・予算額一覧を含む。)

  今回は、原則として、政策的な新規拡充事業は選挙後の補正予算で対応することになりますので、いわゆる骨格予算という格好になっています。当初予算から計上をしている事業は、1つ目は、経済・雇用対策、2つ目は、継続的に行わなければならないタイプの事業で、それはマニフェスト「福井新元気宣言」にも関連する事業です。1つには、国の制度改正に対応する事業。2つには、教育、医療福祉など県民生活に密接に関する事業。3つには、時機を逸することなく対応すべき事業ということです。

  特に、経済・雇用対策については、景気対策を第一にということでありまして、なお景気の先行きに不透明感がありますし、持ち直しの動きもありますけれども、こうした対応が要るだろうということです。幸い福井県は、有効求人倍率は1倍近くになっており、全国一の環境にあります。高校生の就職率も悪くないわけですが、引き続き油断することなくこうした対応が必要であり、平成23年度当初と平成22年度2月補正を加えた事業規模は、990億円になります。これは融資とかいろんなものが入っておりますので、実際の予算の実額としては334億円ということになります。
  それから、経済対策の中身としては、中小企業対策、あるいは県内経済の活性化、それから県民生活の安全・安心確保、そして雇用対策ということになります。中身的には、融資枠の確保、それから新分野の開拓、さらには国の交付金を活用しての単独事業の追加実施、あるいは住宅リフォーム。それから県民生活の安心の分野、そして雇用対策となっております。

  それから、もう1つは、福井新元気宣言の分野でして、まず、国の制度改正に対応する事業です。農業については、これまで、そばは秋につくっておりましたけれども、国の制度がいろいろ変わり、夏のそばにも二期作で使えるということで、「夏そば」についても、戸別所得補償制度で応援、対応ができるということです。それから、地域住民による農地・水保全も国の制度改正に基づいて引き続きできる事業ですので、今回対応しております。
特に大きいのは鳥獣被害の対策で、相当強化をしております。相当の捕獲おり、あるいは金網柵などの強化をして、全体では7億円余の事業になっております。捕獲頭数も従来は、約8,500頭でしたが約1万2,000頭に、それから防御網も70kmまでつくれるということです。
  それから、教育、医療福祉の分野につきましては、小中学校における少人数学級を推進するということで、国の制度が小学1年生が35人学級になりましたので、それに応ずるものです。ただ、福井県として独自の制度を設けておりますので、それはいろんな対応をこれから並行的にやっていくということになります。国にもいろんな要望をし、いわゆる先生の加配というのですけれども、そういうものを弾力的にやる必要があります。それから、不登校対策を充実するためのカウンセラー増員。ほかには、陽子線がん治療センターでの治療は待ったなしですので、継続的に行うものです。
  それから、タイムリーにやらなければならない事業がいくつかあり、中部縦貫自動車道それから日本海側拠点港については継続的に進めるものです。特に、敦賀港については、先日、民主党の市村国土交通大臣政務官にご視察を願ったところですが、敦賀港で、今、荷物が大変増えておりますので、こうした機運を盛り上げて、小口の荷物についても支援を進めながら、今年の夏、国の方で予定をしております日本海側の拠点港化を目指すというものです。
  さらに、観光あるいは環境ということになりますが、特に大河ドラマの関係で、合計約5,700万円になります。コウノトリ放鳥については、金額的に多くはありませんが、環境のシンボル的な事業でございますので進めていくということです。

  歳入歳出については、非常に実務的な話になりますが、財政健全化の取り組みということになります。特に基金残高をある程度確保する必要があるということで、約400億円近い基金、目標は100億円程度でしたので、将来のいざというときのキャッシュフローに備えるということであります。県債についても、目標額に、ほぼ残高をある程度抑えるということを進めているという状態です。その結果、一般会計の予算規模については4,600億円余、前年度比で6.6%減という結果になっております。なお、
6月議会の予算で、ある程度追加をいたしますので、この数字はちょっとまだわかりませんが、大体前年度同額ぐらいには持っていけるかなとは思っていますが、地方財政計画がプラス0.5%ですので、そんなことを見ながら全体の対応を、これは選挙の後になりますけれども行うということになります。

  次に、高速交通体系の問題、新高速交通ネットワーク活用プロジェクトについてです。
舞鶴若狭自動車道の全線開通あるいは北陸新幹線の金沢開業ということがございますので、いよいよ新しい交通体系の議論をしなければならないということであり、副知事をリーダーに2つのプロジェクトチームをつくり、本日、午後1時から開くということになります。いわゆる2014年の課題、新しい情勢への対応です。
  まず、舞鶴若狭自動車道全線開通により、福井-小浜間は30分短縮ということになります。新しい嶺南・嶺北の一体化、あるいは中京・大阪とのループ化という事態になりますので、この事態をうまく活用しなければならない。
  それから、北陸新幹線についてはさまざま課題がありますが、金沢開業は年頭にも申し上げましたけれども、プラスマイナス両方あります。そして、敦賀までの開業の問題もありますけれども、それはそれとして、金沢までの開業でいかに対応するかという重要な局面を迎えますので、我々としては、いかにうまくプラスに持っていくかということで、人流、物流、それから観光、まちづくりに、いかに活かすかというプロジェクトチームを、副知事をリーダーでつくりたいと思っているところです。石川県なども並行的にいろんな議論を進めておられるようですが、平成23年中には、こうした問題について、はっきりいろんな作業をしてプランを取りまとめたいと思っているところです。 できる限り可能なもので方針ができましたものは、これを明らかにして実行するということで、北陸新幹線については両にらみ、舞鶴若狭自動車道については4年後の北陸自動車道との直結、こうしたことを目途に、大きな100年来の高速交通ネットワークのループの完成ということになりますので、それをいかに有効に使うかということで臨んでいきたいと思っております。


~ 質 疑 ~

【記者】
 子ども手当の地方負担分について、知事は、去年の県議会の答弁で、国が負担すべきものという趣旨の発言をされましたが、今回の当初予算では18億円余りが計上されました。神奈川県などでは予算計上を見送る動きもありますが、今回、前年度並みに編成された理由をお聞かせください。

【知事】
  これは直接子どもの生活に影響するものですし、現にそういう制度がありますので、遺憾なことですが、今の制度として必要な対応をすることは止むを得ないと思っています。しかし、これからの地元負担、平成24年度以降の制度設計といいますか、これについては福井県だけでの主張にはならないと思いますが、全国的な知事会などの主張として対応が必要だと思っています。

【記者】
  もちろん知事会の議論もあると思いますが、もしこのままの流れで今と変わらないまま来年を迎えてしまうと、神奈川県のように地方負担を見送るという選択肢もあり得るということですか。

【知事】
  これからさらに議論を深めなければならないということは事実ですけれども、今の段階では、あまりそこまで申し上げる事態ではないです。こうしたようなタイプの課題は大小さまざまあり、問題だとは思っております。遺憾だとも思っております。

【記者】
  北陸新幹線の予算について、いわゆる県の裏負担と言われている部分の計上が去年に引き続きなかったのですが、去年の当初予算のとき、県議会で公営電力売却利益を少し積み立ててもよいのではないかという考えもあったと思います。基金として、来るべき認可・着工に備えてもよいのではないかという考えもありますが、今回、計上しなかったということで、知事の裏負担に対する考え方をお聞かせください。

【知事】
  今回の骨格予算で議論すべき話題ではないですね。さきほどいろんな基金のお話も申し上げ、両にらみで新幹線の問題に対応しなければならないということも申し上げました。これから新幹線を敦賀まで持ってくるのにあらゆる方法と手段を使って目標を達成しなければなりませんから、そうした中で、歳入の確保とかの議論もいろいろとあり得るかもしれませんが、今の段階でそのことをどうだということではないです。

【記者】
  認可が下りたら、裏負担のほうは予算計上するというのがシンプルな考えかと思いますが、今の段階でも、そういう感覚ととらえてよろしいですか。

【知事】
  今回の骨格予算の話としては、ちょっと申しようがないというか、当初予算の中でもいろいろそうした新幹線の問題は考える必要があるかもしれませんが、方向がはっきりしていませんから、この段階でそこまでいかないです。

【記者】
  当初予算全体を俯瞰して、骨格予算ではありますが、工夫した点や、全体を見渡した知事の印象、手ごたえをお聞きかせ願います。
                              
【知事】
  特に、経済・雇用は、良いパフォーマンスが出ていますが、将来に対する不安というのはきついですから、そこを重視しています。継続的には、福井新元気宣言では、教育、医療福祉などの分野です。それから、観光分野も、ちょうど春の季節ですし、継続的に、もちろんベースにいろんな事業はありますけれども対応が必要だろうと思います。港などについても機を逸することなく、いろんな政策を投入しておかないといけないという考えで臨んだということです。

【記者】
  難しいかと思いますが、キャッチフレーズをつけると、どのようになるでしょうか。

【知事】
  もっと活力を今つけておかないといけないということがありますから、もっと活力をという感じでしょうか。

【記者】
  もっと活力をつけるための当初予算だと。

【知事】
  ええ。今、急に思い立ってお話ししたので適当かどうか。骨格予算ですので、それにキャッチフレーズというのもどうかと思い、特につけてはおりません。

【記者】
  財政健全化について伺います。基金を今回、本年度末でかなり積み増されている状況で、県債残高も確かに臨時財政対策債を除く通常ベースでは目標を達成するのではないか、臨財債もかなり増えて残高としては、かなり積み上がっている状況だと思います。本年度は新行革プランの最終年度にも当たるわけですけが、プランに掲げた持続可能な財政基盤の確立という目標の達成具合を、このプランにのっとってやってきた財政運営をどのように総括されますか。

【知事】
  貯金はある程度確保し交付税抜きの起債を減らしていく。どこの県も厳しいですが、日本一貯金をたくさん持って借金も少ないということではないかもしれませんが、ある程度ランキングの上の方にいないといけないというのが、いつも私の思っていることです。下へ行ってはいけない。地方の小規模の県ですから、たくさん法人から税収が入るわけではありません。ある程度のレベルのところにポジションを置き、いざというときにキャッシュがあるということです。

【記者】
  北陸新幹線のように将来の負担が、かなりの額見込まれるわけです。6月には新しい行革プランを作成する方針だと思いますが、これから先、どういう分野で行革を更に進めていかないといけないと思われますか。

【知事】
  もうかなりやっていることは事実ですので、経常的な経費の削減というのはそんなにないかもしれません。ですから、いかに歳出を重点化するかというのが重要だと思います。新幹線とか高速道路の大きなプロジェクトの負担金というのが大きいですから、そういうものをいかにうまく年度的にコントロールするかですね。

【記者】
  行革の努力としては、そろそろ雑巾もからからに絞られているような形だと思うのですが、一層、もう少し汗、知恵を絞ってやっていかなければいけないとお考えですか。

【知事】
  職員数も日本一少ないレベルの県ですし、そういう面でなかなか確保しにくいでしょうから、さらに県が所管するすべての一般会計、特別会計、あるいはいろんな団体等々、あらゆるものを見てやることは必要だと思います。

【記者】
  経済・雇用対策ですが、これまでの対策が十分効果が現れているかどうかの認識と、今後、6月補正以降で対応すべきと、考えている課題があれば、お聞かせ願います。

【知事】
  雇用とか企業の倒産とかを見ると効果が現れていると思います。福井県独自のいろんな融資あるいは消費拡大とか、あるいは就職支援とかいろんなことをしています。地元の中小企業にとっては、他県に比べても効果は現れていると思います。しかし、このとおりずっといくかというのが問題ですから、やはりこれからアジアへ向けて、いろんな売り込みとか拠点をつくって、将来、風穴があくような方向、これがグローバル的にはあると思います。さらに観光あるいは東京、大阪へ向けての引き続きのいろんな販路拡大等がありますし、企業誘致や港の整備などを行って、いろんなものが入ってくるような方向づけというのをもっとやらないといけないと思っており、そういう努力が必要だと思います。そして、何と言っても北陸新幹線、中部縦貫自動車道などにできるだけ早く目処が立ち、基盤がしっかりすることが、あらゆる活性化の大もとにはなると思っています。

【記者】
  今回の予算で、約1,550万円のコウノトリ予算がつきました。秋ごろをめどに放鳥したいとありますが、今後のスケジュールについての考えと、今回の予算を組むことで、コウノトリと福井県の関係をどうしていきたいのかについて教えてください。

【知事】
  これは昨年、兵庫県の井戸知事と相談をしてやったことです。そして、今のコウノトリの大もとの1つがこの福井にあるわけですから、今は豊岡市に全国で1カ所のポイント、ホットスポットがありますが、何とかして、最初の大もとの福井を、当初は越前市ですが、コウノトリが環境的に住んでくれるような場所にしたいと思います。これは越前市と協力しないとだめな問題で、そのことで地域の農業とか産業にも影響するでしょうし、子どもたちのいろんな教育とか地域の皆さんの活動に広げられるようにできればと思うのです。ただ、相手が鳥ですから、我々の気持ちをうまくつかんでくれるかは、わからないわけです。それをいかにうまくつかめるかという努力が必要かと思います。

【記者】
  放鳥は秋ということですが、想定されているスケジュールはどうなっていますか。

【知事】
  まず、兵庫県で今月下旬に開かれる専門家による会議での議論を受けてやることになります。我々だけの都合で、例えば8月がいいとか放鳥時期を言いづらいところがありますが、本年中にある程度の方向が出るだろうと思います。幼鳥のときには餌がたくさん要りますし、里心というか帰巣本能がうまくつくようにして放鳥しないといけないわけで、そのタイミングだと思います。

【記者】
  放鳥が実現し、放鳥された個体が定着していくために、県内のいろんな環境関係団体あるいは地元住民、行政、専門家などの方々がどういうふうに連携していくとよいとお考えですか。

【知事】
  まずは越前市ですが、大きな方向としては、1カ所だけではなく広げていくような可能性がどうやって生まれるかでしょう。子どもたちがやっぱり中心になると思います。もちろん専門家の方もいらっしゃると思いますが、福井県全体で鳥の生息に影響のしない範囲でやらないといけないけれども、子どもたちが、いろんなものを見たり、参加する、関与するという動きを工夫していくことだと思います。教育分野の協力を求めなければならないと思います。

【記者】
  子どもたちの参加とは、コウノトリの生息環境を整えるための活動に参加してもらうということですか。

【知事】
  見るだけでも違うと思います。まず、その前にホットスポットをちゃんと確保しないと話にはなりません。

【記者】
  新行革プランの県債残高ですが、目標より600億円ほど多いと思います。リーマンショックもあり、経済対策を相次いで打ったということで県の負担が想定以上に増えたということでしょうか。

【知事】
  臨時財政対策債は、将来、地方交付税がきて100%その財源で返還するので、これは地方交付税だと思ったほうがいいのです。つまり、国にその財源がないものだから、地方が借入をして、それを将来にわたって国が交付税で組みかえていくということです。借金は600億円増えていますが、いろんな収支計算のスタンダードな考え方では、借金を通常分で見るのがベースなので、予定どおりの中で抑えたということです。

【記者】
  12月知事記者会見で、マニフェストの進捗状況について話されたとき、12項目が達成困難だったと思います。骨格予算ということはあると思いますが、4年間での達成が困難であるという部分については、新年度で手当てをするのか、それとも下方修正して新たに目標を定めるのか、どちらの方針でいかれようとしているのでしょうか。

【知事】
  いずれにしても、主に自分たちだけでやれることと、できないことがあって、かなりできないことのほうがいろいろと多いのです。通常は、次のマニフェストの中でそれをどうやるかということになると思います。それはそれで一応の仕切りをしております。

【記者】
  新年度でも継続してやっていこうと思っておられるかどうか。

【職員】
  後ほどきちんとお答えいたします。

【記者】
  日本原電敦賀3・4号機について、今月初めに社長から、県と敦賀市に、大体1年4、5カ月程度、本体着工および運転開始の時期が遅れるという報告がありましたが、知事の見解をお聞かせください。

【知事】
  これは主に耐震安全性の問題ですし、これまでも専門的な議論ではあるけれども、いかに安全を確保しながら専門的な議論の進行管理をするか、これは国あるいは原子力安全・保安院の仕事ですが、行うようにと申し上げてきたわけです。現実には、なお意見があるようですから、それをクリアしないで、やはりこの事柄は動きません。あたら時間を無駄にするということがあってはならないわけで、そこは十分我々も申し上げていますが、安全第一にその日程をしっかり組んで、できるだけ早くやってくれというのが我々の要請の事項ですから、それを進めてもらうということになります。あわせて、その間、地元ではその予定でいろんな事業を組んでいたりしますから、そういうものについては、事業が遅れても極力いろんな支障が生じないようにという努力は事業者として行うという話で副知事からも言ったということです。安全にかかわることですから止むを得ないとは思いますが、さはさりながら、これまで進行管理をしっかりやってくれということでしたが、十分やっていたのかについては、なお、しっかりやってくれるような対応が要るだろうと思います。

【記者】
  新しいスケジュールは、取材する側からすると、変更する可能性はゼロとも言えないような言い方に聞こえるのですが、どのように思われていますか。

【副知事】
  あのとき私から申し上げたことを皆さんお聞きになったと思うのですけれども、電気事業法の「供給計画」の変更届の絡みもあってお見えになった。社長は、現段階では確実なものとおっしゃいましたけれども、私のほうからは、現に地盤、耐震の審議が続いている段階である。そういう中でお受けするわけだけれども、今の時点でそれが十分確実なものかどうかを理解することは難しい状況であるので、これから後の審査に的確に対応するとともに、その審査が終了する段階で、改めてきちんと報告してくれということを申し上げました。そういう受けとめ方をしております。

【記者】
  国の新年度予算に、「もんじゅ」の次の段階の実証炉に関する、いわゆる研究開発の計画が74億円ほど盛り込まれました。実証炉に向けて本格的に研究開発をやっていこうということのあらわれだと思うのですが、少し先の話かもしれませんが、「もんじゅ」の次のステップの実証炉も、やはり福井でとお考えなのかどうか、将来像について教えてください。

【知事】
  今、「もんじゅ」の中継装置のいろんな課題やらいろいろある段階で、それをしっかりやっていただくのが先ではないかと思います。その先は、今の段階のお話ではない。

【記者】
  北陸新幹線について、大阪府の橋下知事がいろいろ発言しています。改めて、敦賀以西の考え方について、知事の考え方をお聞かせ願います。

【知事】
  関西というか大阪がいろいろ動かれて、大きな声を上げていただくということは非常に大事なことで、大きな力になると思います。熱心にやっていただいていることを歓迎したいと思います。
  なお、現在、若狭ルートがあるので、県民のいろんなこれまでの合意といいますか、これをどうするかということは当然考える必要がありますから、ルートをどうするかというのを今の段階でどうするのかという議論はしかねると思います。今の段階で、ルートがどうだという議論はできないと思いますけれども、大阪のいろんな動き、こういうものは熱意を持っていただいているわけですから、連携して北陸としてもやらなければならないなとは思います。

【記者】
  連携とおっしゃいましたが、具体的には。

【知事】
  それは、関経連とか北経連とかいろんな経済界の動きもあります。こういうものを関西の知事の考えとか、そういうものと連携して強めていくということが早く大阪に新幹線がつながるということになると思いますから、これは北陸新幹線にとって極めて重要なことだと思います。ルートをどうするかとは別に、大きな声を、大阪、京都から上げていただくということは極めて重要だと思います。

【記者】
  橋下知事とお会いになる予定はあるのでしょうか。

【知事】
  今のところは、ございません。

【記者】
  会って話をしたいという考えはありますか。

【知事】
  いろんなところで、もっといろんなお声を聞きたいという気持ちはあります。

【記者】
  そういう時には、どういったことを話そうと思われますか。

【知事】
  関西からもっともっと盛り上げてほしいということです。大阪も今の状況では、北陸
が東京圏になってしまうのではないかと非常に危機感を感じておられると思います。これまで近かったのに、関西と北陸が非常に遠くなるという危機意識を持っておられますし、大阪の地盤沈下にも影響すると思いますから、そういうお気持ちを代弁しておられるのだと想定はします。また、大阪がどんどん熱心に動いていただくことは、新幹線が大阪に早くつながる大きな力になると思います。

【記者】
  米原ルートのことを橋下知事が、最近、すごくおっしゃっていますが、そうなると、なかなか話が進まないような気もしますが、そこはいかがでしょう。

【知事】
  ルート論というのはいろいろあると思うけれども、大阪の考えとしてそういう考えがあるということで、おっしゃっていただくことは大阪の立場としてあると思う。ただ、我々としては、そういう状況であるけれども、大阪といろいろ連携しながら盛り上げていく、一般的な動きが非常に重要だと思っております。

【記者】
  そういう盛り上げる話はわかりますけれども、基本的に敦賀以西のルートについては、これまでどおり封印というスタンスは変わらないということでしょうか。何年か前、敦賀以西は確かルートを封印すると、まずは敦賀までだということで県議会で一致したと思うのですが。

【知事】
  まず、敦賀まで方針が出ないといけないということが重要です。先まで決まらないから敦賀まで来ないという話ではないから、そこはきっちり押さえておかないといけないです。

【記者】
  これまでと考えは変わらないということですか。

【知事】
  その点はね。大阪からいろんな声が出てくるというのは非常に歓迎すべきことだと思うということです。これまで、いろんな声はあったけれども、あまり具体的ではなかったし、大きな声ではなかったと思うのです。自発的な声ではなかった。いずれにしても、敦賀から先のルート問題をあまり言い過ぎても、我々としては今の段階ではいけないということです。俗っぽい言葉で言えば、そういうことです。まず敦賀までちゃんと方針を出してもらわないといけない。

【記者】
  橋下知事は米原ルートの場合だと、滋賀の負担を大阪や京都で負担を分かち合うというアイディアを出されたと思うのですが、知事はどのように受けとめていますか。

【知事】
  関西のいろんなお考えというのは、一つひとつ基本的には、熱意、頑張っていただくというのは賛成ですが、コメントする立場ではないし、今していいことでもないと思います。

【記者】
  ただ、実現に向けては、やはり具体的に案が出てきているわけなので、むしろ敦賀までの延伸がより早く実現するのではないかという受けとめ方もあると思いますが。

【知事】
  先ほど申し上げたように、具体的に、いろいろ関西で議論していただくことはありがたいし、歓迎をしますというのが私のスタンスです。

【記者】
  大阪は、いわゆる小浜、湖西、米原ルートの3ルートに関して地元の負担の試算を出しているのですが、福井県が出している試算があれば教えてください。

【知事】
  それは既に出て、あれは新幹線の自民党の案だったか、委員会で作っているのがあるので。

【記者】
  それは、福井県は例えば米原ルートなら金額がいくらと数字で出ているのですか。

【副知事】
  県独自で試算しているものはありません。

【記者】
  県独自ではしていないと。

【副知事】
  いろいろなところでやっているのを利用して、これぐらいという発言をしたことはあると思いますけれども、県独自でそういう試算はしていないです。

【知事】
  延長線で割るのが一般の計算ですね。具体的に計算すれば、延長というのはどうなんだとかいう話にはなると思いますが。中継基地を使えば、そこが高くなるし、いろんなことがあると思います。

【記者】
  政府で社会保障と税の一体改革について議論がされています。その中で消費税引き上げに関し、与謝野大臣が消費税を上げた場合の地方配分について、「地方に回してくれとおっしゃっている方はいない」と予算委員会の中で発言されました。従来、知事会の意見として、消費税を上げた場合には、地方に回るようにという意見であったと思います。与謝野大臣の発言について、率直にどのようにお考えですか。

【知事】
  直接、その場で話を聞いたわけではありませんから、どういう意味なのか、ちょっとわかりにくいですね。全国知事会でも消費税の議論はこれまでも何度かやりましたが、いずれも地方消費税の確保をあわせて行うというのが知事会の基本的なスタンスです。
 そして、消費税のお金を何に使うか、一般財源なのか目的税なのかとかあります。いろんな福祉や様々な分野に使われるのだと思いますが、半分以上は地方の負担が多いということですから、どういう意味で言っておられるのかは不明です。

【記者】
  知事会の麻生会長は、反論をされていますが。

【知事】
  地方団体として議論していますから、会長として、それを代弁されたのだと思います。

【記者】
  知事としても、与謝野大臣がどういう趣旨で発言されたのかわからないと。

【知事】
  これまでの議論と全然タイプが違います。違う意味の消費税というのがあるとも思えないですから、ちょっとわからないですね。話が何か急ですから十分な議論をどれくらいしておられて、しゃべっておられるのかもわからない。知事会では、前提として、地方のこれからの福祉とか医療とか、あるいは介護とか、どれくらいのお金が地方にかかり、地方の財源がどれぐらい必要かという議論を今までやっています。その財源は消費税なのか、あるいは法人税なのか、所得税なのか。これから間接税というか消費税的なものになるということであれば、地方消費税はどんな仕組みでいただくのか、今までのように分割するのか、あるいは地方だけで地方の消費税をつくるのかとか、いろんな話があると思います。個人的に申し上げると、私はどちらかというと後者の考えに近いです。

【記者】
  社会保障制度のあり方を考える上で、現行制度を維持するために財源を確保するのを優先すべきだとか、実際に現物給付を担っている地方自治体側の財源を確保するのを重視すべき、あるいは民主党が主張しているような最低保障年金制度の導入だとか、どういったところを重視すべきだと考えますか。

【知事】
  消費税の問題は、本当に国民の福祉に使われる財源として見直す気があるのかというのがポイントです。そこさえ押さえられれば方向は出ると思いますが、福祉だと言いながら、単に財政再建みたいな格好で、そういうお金に使われるというような消費税ではいけないわけですから、そこは国民として押さえるべきポイントです。

【記者】
  そういった社会保障にかかわる負担増を、今度の知事選で知事ご自身が主張されたり、あるいは国に訴えていかれたりする考えはありますか。

【知事】
  どのような設定の仕方ができるかですね。国政レベルでも十分にやっていなかったでしょう。それを統一選挙で議論するというのは、またまた話がかなり錯綜しますね。

【記者】
  新幹線について、大阪は滋賀と福井と京都に対して、敦賀以西ルートの協議をする場をつくりたいと考えているようで、既に呼びかけた県があれば、呼びかけはこれからという県もあると思うのですが、福井県に以西ルートの協議的な場の呼びかけはあったのですか。

【知事】
  特にありません。

【記者】
  もしこれから、4府県で敦賀以西ルートを話し合いたいという呼びかけがあったとしたら、福井県としてはどういう対応をするのでしょうか。

【知事】
  あまり仮定法では議論できないです。いずれにしても福井県は、関西とは連携しなければなりませんが、福井県内に新幹線の着工を決定するという立場ですから、また、新幹線利用に対するコミットというかレベルが違うわけです。福井県は北陸の新幹線として敦賀までということですから、それをまず決めないといけない立場です。その関係で関西とどういう議論なり連携があるかということですから、基本的にはまず関西でいろんな話を盛り上げていただいて、話していただくことが基本だと思います。

【記者】
  福井を除き、京都、滋賀、大阪で話してもらっても構わないという意味ですか。

【知事】
  関西でいろいろご自身の立場として議論されるのは、ご自由ですから。

【記者】
  その場に、福井が今のところは加わる必要はないということでしょうか。

【知事】
  お声もかかっていないし、我々はまずは自分のところのことをちゃんとして、その関係の中で関西との連携を考える必要があります。

【記者】
  呼びかけがあったら加わるのか、加わらないのかということについてはどうですか。

【知事】
  敦賀まで新幹線を引っ張ってこないといけないのに、そういうような仮定の話をやっている話ではないですね。

【記者】
  さきほど、関西と福井では議論の土壌が違って、福井は北陸の新幹線の延伸をという話ですが、まず東京との結節が重要で、それを考えた上で関西とどうつき合っていくかを今後考えていくのが、福井としてあるべき姿だと考えているのでしょうか。

【知事】
  そういうのとはちょっと違うのです。我々は敦賀までということを言っています。まだ方向が出ていない。正式ルートは若狭ルートだと県民合意を得ているわけです。そういう中で、関西がいろんな動きをされるわけですから、それ自体は新幹線を盛り上げる意味では1つの動きですから歓迎をしますし、大きな力にはなると思うけれども、我々としては、あまりそういう状態の中で、そこまで方向がまだ決まっていないのに、いろんなことを我々があっちへ行ったりこっちへ行ったり、やり過ぎたり言い過ぎたりすることはあまりよいことではないですから、そのことは注意しながらやらなければならないと申し上げています。

【記者】
  今までは敦賀までをまず考えて、その先に正式には若狭ルートだけどどうするか考えないといけないが、逆に、敦賀ルートを早く達成するための手段として南側を先に考えてつなげるという議論は今のところ考えられず、関西のほうで考えてもらうのはいいけれども、その場に福井が主体的に入っていくのはどうかと思っているということですか。

【知事】
  今申し上げたコンテキストというか、つながりの中ではそういう場でないでしょう。基本的にはね。大きな何か事態が変われば別ですが、今の状態ではそうだろうと思っています。

【記者】
  今の状態では、関西のほうに主体的に入っていくというよりも、まずは福井のほうだけで話をかためないといけないと。

【知事】
  そうです。

【記者】
  知事は、先日、大雪被害対策の要望で、大畠国土交通大臣に会いに急遽上京されました。大雪で被害を受けたので、高速道路やJRが止まったことについての対策などを要望したのだと思いますが、そのときに新幹線の話はしなかったのですか。

【知事】
  しました。

【記者】
  どういう話をされたのですか。

【知事】
  新幹線については、要望書の中にも書いてあるのです。

【記者】
  大雪に関連してですか。

【知事】
  はい。基本的に北陸新幹線とか中部縦貫自動車道は、日本海と太平洋あるいは東日本と西日本の結節のところですから、そういう基幹ルートあるいは代替ルートが必要であり、そういうものがあれば新幹線は通ると思います。雪が降ってもそういう装置になりますから。

【記者】
  大畠国土交通大臣は、知事のおっしゃりたいこと、要望したことに対して何かおっしゃっていたのですか。

【知事】
  大畠大臣は、「もんじゅ関連協議会」とか、いろんなときにもメンバーでしたから、よくご存じです。

【記者】
  どのようにしていくということを、知事におっしゃったのでしょうか。

【知事】
  そこまではないです。まだ方針も出ていませんから。一生懸命、いろいろ福井県の事情はよくわかっているということは、おっしゃいましたけれど、だからどうするということではないです。

【記者】
  具体的な検討は、していないと。

【知事】
  していないかどうかは知りませんが、そこまでの答えはありません。

【記者】
  新幹線敦賀以西の話ですが、関西は盛り上がっている中で福井がそこに乗らないと、国側から、本当に新幹線を延伸させたいという熱意があるのか疑われかねず、それで着工が先送りになった場合に、新幹線延伸問題の責任が問われてしまうのではないかと思いますが、どうでしょうか。

【知事】
  そういうことはないと思いますけれど。常識的には、国が米原ルートを決めたということでないとそんな話は出ないと思います。ルートを決めるのは国の責任なのです。あるいは、ルートを変更したり修正を加えるのも国の責任です。
それはそれとして、国がどうだという話は、私はしていないので、実態的に敦賀まで、そして関西でいろんな議論をしていただいて、みんなで協力して盛り上げていくというのはいろんな方法があるかなと。今の段階では、まだ敦賀までのさらに具体的な動きがないから、なかなかそういう話に個別に今の段階で加わって、ああだこうだというのは適当な時期ではないだろうということを申し上げています。

【記者】
  熱心にされている県内延伸の着工認可も国が決めることで、少し矛盾していませんか。

【知事】
  県内延伸ははっきりした方針だから、我々で既定路線として要請できますが、そこから先の話は系統がちょっと違うでしょう。そして、大きな事業だから、敦賀までとその先というのは、線路で見るとつながっているように見えるけれども、お金の大きさとか、政治的な意思決定とか、エネルギーの強さ、あるいは事業期間など非常にレベルが違うのです。敦賀までが1つの節目ですから、その中で関西がいろんな議論をしていただいてどんな方向にするかというのはあり得るし、大いにやっていただきたいし、歓迎もしますが、その前にまだ敦賀まで全く何もないのにどうでしょうかと、こんな議論をするような状況ではないし、あまり適当ではないです。それは皆さんもわかっておられる、大阪府知事もよくわかっておられる、ということなのです。国もよくわかっています。

 

 

 

 


── 了 ──
 

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