知事記者会見の概要(平成25年6月14日(金))

最終更新日 2013年6月17日ページID 023938

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平成25年6月14日(金曜日)
14:30~15:25
県庁 特別会議室

 
西川知事
 

【知事】
 私から3点、発表します。「中部縦貫自動車道の永平寺東-上志比間の開通年度の決定について」が1つです。もう1つは、「恐竜ブランドを活用した夏の誘客対策について」、3つ目は、「水月湖の年縞(ねんこう)の研究成果発表会について」の3点です。

 まず、中部縦貫自動車道の永平寺東-上志比間について、今日、開通予定が平成28年度に決定したということです。この西側、福井北―松岡間については、26年度の開通が既に予定されていますので、28年度のこの5.3kmの開通年度が決まり、福井から大野までの26kmの高速ネットワークの方向が出たということになります。
 今回、用地買収が進んできたこと、今年度の予算の金額が大体わかったこと、それから、そういうものを元にさまざまな工程を検討すると、28年度に完成するだろうという見通しをつけて決定をしたということです。我々としては、かねてからそのような要請をしていたので、歓迎いたしますとともに、少しでも事業の進捗が図られて、早く利用できるように努力をしてまいりたいと思っています。
〔資料:①永平寺大野道路地図②国土交通省近畿地方整備局発表資料

 2点目ですが、恐竜ブランドを活用したこの夏の観光誘客対策について申し上げます。
 首都圏での誘客になりますが、今回、東京駅のすぐ目前、丸の内エリアにおいて、8月1日から18日間、「大恐竜展 in 丸の内 2013~福井県恐竜博物館コレクション~」を開催します。これは、福井県と三菱地所㈱が共同で主催するものです。出展するものは、恐竜骨格9骨格で、そのうち3体は、恐竜博物館以外では、初めて公開するということです。
 この「大恐竜展」に合わて、8月2日から3日間、東京駅地下の「びゅうスクエア」で、特産品の販売やステージイベントを行い、福井の食べ物や県内の観光地をPRする出向宣伝を行います。
 また、同じく8月に、東京駅の飲食店で福井の食材を使ったメニューを提供する「ニッポンおいしいフェア『食の國福井』」を開催します。
 北陸新幹線が26年度金沢開業ということですから、こうした東京駅などを中心とした首都圏での、福井県の恐竜を中心としたPRに努めてまいりたいと思っております。
 なお、この夏から、金沢とあわら温泉を結ぶ直行バスの実証運行を行います。夏休みから運行を開始し、来年3月末まで、1日1往復を予定しています。また、県内では、あわら温泉と恐竜博物館のコース、それから、東尋坊と三国湊などを周遊するコースについては昨年も運行しましたが、いろいろ問題点を整理して、より乗客の希望に応えられるような時間や運行ルートで実行してまいりたいと思っています。
 「あわら・恐竜号」は、7月20日から9月1日までの44日間が夏のシーズン、冬のシーズンは11月23日から3月30日までの土日祝日の30日間、1日2往復という予定です。
 あわら三国特急バスについては、7月20日から10月27日までの土日祝日の33日間、1日8便を予定しています。
 同じく恐竜に関連して、これまで「恐竜キッズランド構想」を考えていましたが、より具体的に子供たちに福井に来ていただくということが重要ですので、滞在型ツアーを7月から実行します。恐竜ツアーでありまして、親子向け2泊3日、子供向け3泊4日、旅行会社とも協力して行います。主に夏休み期間を中心に、一部、冬休みの期間も実施し、500名強を募集します。
 また、日帰りツアーも予定しています。これは名古屋と京都から、夏休み期間、全体で1,500名ぐらいの乗客を予定しています。
 なお、今年は1989年に福井で初めて恐竜発掘を開始して以来、25年目に当たりますので、恐竜博物館では、7月12日から、中国やタイで発掘された成果など、国内のものも含めて、「発掘!発見!1億年の時を越えて」という、25周年記念の特別展を実施します。
〔資料:恐竜ブランドを活用した夏の誘客対策〕

 次に、3点目ですが、水月湖の年縞研究成果発表会です。
 昨年7月、国際放射性炭素会議において、水月湖の年縞が、年代測定を行うための世界標準に認められました。世界的に学術上、非常に有効だという高い評価を得ていますが、今回、水月湖の意義をよりはっきりさせるために、来月7月15日に、年縞研究の先頭を走っておられるイギリス・ニューカッスル大学の中川毅教授――2006年に水月湖の学術調査のリーダーを務めておられます――と、県文化顧問でもある獨協大学特任教授の山根一眞さんの両者を招いて、年縞の価値や研究結果についての発表会を行う予定です。中川教授はイギリスを拠点に研究をしており、山根さんも世界各地でさまざまなこうした自然に関わる問題や科学技術等々いろんなことをやっておられますので、大いに議論を盛り上げていただければと思います。
 今後は、年縞を新たに掘削するという検討も要るでしょうし、過去の気象変動と人間の営みといいますか、生物の多様性――これは里地里山研究にも関わりますが――こうしたことを関連づけて、福井県の年縞なり里地里山的な魅力を総合的に世界的にお示ししたいと思っています。
 なお、まだこれは予定ですが、8月下旬に、これも年縞あるいは古代文明の研究をしておられる茨城大学の青山和夫教授にも来ていただきます。アメリカ大陸の文明についての年代測定などいろんなことを研究しておられる方で、水月湖の年縞が役に立つことになります。年縞、そして太平洋全体を含めたそれぞれの地域の文明、人間の生活の関連の中で、三方五湖、水月湖の年縞の役割をトーンアップするということです。
〔資料:水月湖年縞研究成果発表会〕
 私からの説明は以上です。

【記者】
 中部縦貫自動車道について、平成28年度に福井から大野までがつながりますが、どのような効果が期待できるとお考えですか。

【知事】
 中部縦貫自動車道については、さらに大野から油坂峠までの開通というのが重要であり、これはこれから全力で10年以内にやらないといけないことですけれども、先般、大野―勝山間も開通しましたし、来年度には福井北から松岡まで開通し、県内の主な都市、福井から大野までがこれで直結しますので、県内全体の高速ネットワークにとっては極めて意味があると思います。
 また、隣の県や大都市のアクセスにしても、時間も短縮しますし、奥越地域の医療あるいは福祉、いろんなものに好結果が出ると思っていますので、大変ありがたく、歓迎をいたします。

【記者】
 全線開通の見通しについて、どのようにお考えですか。

【知事】
 これはさらに10年近くかかるかもしれませんから、そのときが来たらまた…。特に大野―大野東間、数kmについてまだ決まっていない部分もありますが、これはもう時間の問題だと思います。油坂から旧和泉村間については道路が湾曲し、いろんなリスクもある地域ですから、ここが早くできるとさらにいいかなと個人的には思っております。

【記者】
 中部縦貫自動車道に関して、勝山や大野には観光の目玉がいろいろありますが、その観光の目玉と高速道路がつながることについてお気持ちは。

【知事】
 特に、来年度には舞鶴若狭自動車道がつながって、永平寺までは直結します。これにより主な嶺南、嶺北の観光地はつながるのですが、さらにその2年後、できるだけ早く、大野まで直結するということは、恐竜博物館あるいは大野のまちなか観光が直ちに可能ですし、企業誘致などについても、名古屋からの問題はありますが、大阪などの関係から見ますと、かなり間近な地域になると思います。ですので、そういう効果をうまく活用してまいりたいと考えています。方向が出たわけですから、地元もいろんな準備がしやすくなっていると思います。

【記者】
 水月湖の年縞について、例えば、ボーリングして、実際にどうなっているかというのを県内いろんなところに展示するとか、話すだけではなくて、見てわかるような方法というのは検討されないのでしょうか。

【知事】
 これからいろいろそういうことが必要だと思います。今おっしゃったようなことも重要だと思いますので、どうやると一番効果的なのかです。あそこの地域も守らないといけませんし、その地域がこういう地理だというアピールも要ります。だから3つぐらいの手段で、今後、できるだけ時間を置くことなく、必要な動きを進めたいと思っています。掘削して、ああいう科学技術を使ってみんなに見ていただくことが非常に大事でしょうね。
 だいぶん長いものになりますね。1年間に1mmですから、7万年だったら70mぐらいになりますか。

【記者】
 MOX燃料について、今月中に高浜原発に到着するということですが、国が核燃料サイクルを含めて、原子力に対する政策に関してはっきりさせていない中で到着するということについて、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】
 MOX燃料の使用というのは、これまでも継続して行われているわけです。今後、さらにどのようにするかという問題はありますが、MOX燃料の輸送自体は、日本とフランスとの外交的な問題ですし、アレバ社と関西電力との関係ですので、それぞれの立場でおやりになっているのかなと思っております。
 MOX燃料の輸送と実際の使う段階というのはまた別問題であり、今のところ、具体的な説明を関西電力から受けているわけではありません。今後、その段階でまた議論をさせていただくということになると思います。

【記者】
 関西電力が装荷したいという意向を示した場合は、どのように…。

【知事】
 またその段階で議論をすることになります。これまでもそうですから。

【記者】
 昨日、関西電力の副社長が見えて、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外設置に向けたプロジェクトチームをつくると発表されましたが、どのように評価をされていますか。

【知事】
 これは、私が委員として参加している国の放射性廃棄物小委員会の中でも申し上げているわけですが、使用済み燃料の県外立地について、関西電力はかねてから県外立地ということを言っておられるわけですし、既に我々も関西電力の社長に対して、具体的な県外立地の検討に着手して、その結果を見せるようにと要請をしておりました。
 それで昨日、副知事が関西電力の副社長とお会いをしたわけです。プロジェクトチームを設置するなどの体制強化を図るという報告がありましたので、今後、関西電力と県で話し合う場を設けて、具体的な関西電力の仕事の進み具合について報告を受けて、県としても意見を述べたいと思っており、具体的な作業に入ったということになると思います。

【副知事】
 着実に一歩前進をされたわけですし、真摯に取り組むという姿勢を感じたところです。

【記者】
 県と関西電力の協議の場について、メンバー構成のイメージは持たれていますか。

【副知事】
 特段まだ持ってはおりません。ただ、ああいう形でご報告をいただいたので、その当事者2人は当然必要だと思いますけれども、まだ誰がということを決めたものではありません。

【記者】
 先日、防衛大臣に県内への自衛隊配備を要請され、即応態勢が必要ということですが、現時点で、具体的な規模や場所、時期などについて、知事の希望なりイメージがあればお伺いしたい。

【知事】
 まず、原子力発電所へのテロ攻撃やさまざまな他のリスクに対しての避難などいろんなことがあり得るわけですが、これは何としても、警察、海上保安庁、自衛隊の3機関と政府が力を合わせて対応すべき課題だと思っており、まず、いろんな課題を十分訓練をしながら検証することが必要だと思います。この週末に原子力防災訓練をやるわけですから、具体的にそれぞれの実働部隊に参加をしていただいて実行することになります。
 現在、福井県内には、鯖江に約100名前後の部隊があるわけです。ほかには、舞鶴や福知山、今津、少し遠くになりますと名古屋・守山、金沢ということになり、原子力発電所のある地域そのものに常駐していないという問題がありますので、どんなふうに配備が可能なのか、人員がどうなるかという議論になると思います。もちろん、現状の配置では早く機動的に人を移動させて実行できるかどうかという問題もありますが、そういう点では不足をするのではないかと考えていますので、そういう要請をしているということです。これは国民保護などとも関係していると思います。

【記者】
 使用済み燃料の県外撤去を要請された件で、再稼働に向けた安全審査を行わなければというところが、今の流れが続けばということなのか、それとも今後、廃炉に向けた方向性なり流れが出てくればということなのか、前提条件といいますか、その真意の部分を確認させてください。

【知事】
 これについては、規制委員会のさまざまな課題について菅官房長官に申し上げた中で、地震そのもののいろんな科学的観測、測定とその判断という問題を、もう少し独立性を持ったしっかりした総合的なものにするという話であるとか、評価機関が必要だろうという話の一環だと思います。そもそもある原子力発電所が稼働できないという判断を行うには、そこにあるいろいろなプラントなり、使用済み燃料なりをどうするかということを含めて議論しなければならないわけで、そういうものが全然ない、考える状況もないままに、何となく原子力発電所がいろんな事情で動かないままになっているという状況をぜひともやめるべきだと。立地地域としては迷惑であるし、問題だという中で、そういうしっかりした覚悟を持って物事に取り組むよう申し上げたところです。

【記者】
 現状、全然その覚悟が足りないので、県外に持っていってくれと。

【知事】
 いやいや、そうでない。まだ廃炉とかそういう議論ではありませんが、そういうことまでしっかり考えるのだったら、そういう覚悟でいろんなことを考えないと話にならないということを申し上げております。

【記者】
 高浜のMOX燃料のことで、先日、弊社の取材に対して、高浜町長が、国が核燃料サイクルの堅持をはっきり示せば容認する旨の発言をされているのですが、そのことについて知事はどのようにお考えですか。

【知事】
 それは2つの課題があると思います。町長がどのようなお考えでおっしゃられたのか、その状況はよく承知していませんが、1つは、プルサーマルで稼働するという原発に関連して、原子力発電所の将来をどう考えるかというのがないと、次の話にいかないということでおっしゃられたのかなと推測します。2つ目のプルサーマルを具体的に装荷してどのように運転するかというのは、それはそれとしての判断が必要ですから、それはまた個別の議論として、これがいいか悪いかというのを議論すべきで、直ちにつながるものではないと私は思います。おそらく町長もそういう考えで述べられたのかなと推測はいたします。

【記者】
 その機会がくれば、しかるべき判断をすると。

【知事】
 それは県も判断しなければなりませんでしょうし、町長ともいろんなことで十分相談しないといけないということになります。

【記者】
 関西電力が中間貯蔵施設を県外へ設置するという話ですが、地元の美浜町長は地元で設置したいという方針を示しておられる。高浜町長もいずれは地元で受け入れるときが来るのではないかという発言を、取材に対して言っているのですが、知事としてはどういうお考えなのか。

【知事】
 そういう前提がないのではないの。私は聞いていませんが。

【記者】
 正式に。

【知事】
 正式も非公式も聞いていない。

【記者】
 原子力防災訓練が16日にありますが、5km圏の計画の実効性を検証するためにという目的ですけれども、国の指針が30kmなどいろいろ示されている中で、5km圏の計画や訓練を優先する理由を改めて教えてください。
また、今後策定していく地域防災計画で、県としてはUPZを何kmで定める考えか、その際の考え方というのを教えていただきたい。

【知事】
 まず、今回行う5km圏については、全国で防災訓練を、それぞれ熱心におやりだと思いますし、それはそれで重要ですが、やはり原子力発電所が長年立地している福井県としては、よりリスクというか重要度の高いものから着実に物事を進めて、さらに区域を広げたり、ほかのいろんなファクターを入れていくということがないと、すぐ30kmだということでは有効に働かないという認識があります。そこで、5km圏については、一定の段階では直ちに避難をするという条件でもありますので、そこをまずきちんと今回やりたいと思うのです。今回は約1,000名の全住民に参加をしてもらい、先ほど申し上げた警察、自衛隊あるいは海上保安庁の車両、航空機、船舶などを直接投入し、中継所への輸送を行う。それから、自家用自動車での避難済みの確認を全員漏れなく行うような訓練をするとか、小学生の避難訓練や保育園児の引渡し訓練など、より一人ひとりの具体的なことを確かめるという訓練をすることになります。全国的にはこういう訓練を行ったことはありませんから、そういうことを行った上で、課題が何か、そして次に展開をしていくということです。

【副知事】
 広域的な防災計画については、国、規制庁で協議をしています。今はその下の作業部会でいろんな調整を行っています。

【知事】
 そういう中で可能なものからまただんだん広げていくということが考えられると思います。

【記者】
 UPZは30kmということで計画に盛り込まれる予定ですか。

【知事】
 いや、これからです。まだ計画をつくっていませんので。

【記者】
 まだ未定ということですが、UPZを考えるときの考え方、どういう方針に基づいて定めるか…。

【知事】
 この考え方は、国の考え方が示されないと。広域的ですから、自分だけで考えても齟齬が生じますよね。福井県はこう考えているけれども、兵庫県は違うとか、そういうのでは具合が悪いから、今、協議しているわけです。

【記者】
 国の指針がおおむね30kmとなっているので、それをやはり…。

【知事】
 その中身を、あるいは手段を、早く規制委員会等と中心にはっきりさせようということで、今、協議をしていますから。

【記者】
 中身を…。

【知事】
 ええ、それがある程度出た段階で、可能なものであればそこからやるし、できれば全部出たほうがいいのだけれど。頭の中でできないことはないのですが、抽象的にやっても実効性が上がらないのです。何千人、何万人の話の可能性があるのに、四、五十人を動かしたっていう議論をしていてもしようがないですから。全然やらないよりはいいかもしれないけれども、それでは福井県としては十分とは思っていませんので。だから、目の前のできるところから広げていくと。

【記者】
 昨年、大飯3、4号機の再稼働に同意されてから間もなく1年が経ちます。また、来月には原発の再稼働の新安全基準への適合審査の受付が始まります。しかし、依然として、消費地を中心として、立地以外の地域で、原子力発電所の再稼働への反対や慎重論が根強くあります。知事は、大飯以外の原発の再稼働の必要性と、立地以外の、特に消費地での原発への根強い反対論についてどのようにお考えになっていますか。
また、規制委員会で新基準に適合するかどうか各原発の審査が終わった後のプロセスについて、昨年ですと国の明確な判断を、大臣が来県して説明をしたり、首相が国のエネルギー政策の中での原発の位置づけについて態度を明確にするというプロセスがあったのですが、今後、再稼働に際して安全基準に適合された原発について、どういうものを求めて、どういうことが必要になってくると考えておられますか。

【知事】
 今、規制委員会、国のほうでいろんな基準を設けておりますが、大飯3、4号機については、我々が3.11以来いろんな現状を考えながら、福井県なりにいろんなことを考えて、こういう基準で、特別の監視体制で、原子力発電所、大飯3、4号機を動かすことが国民のために大事だろうということで、昨年来行って、今、運用しているわけです。今度の新しい基準が大飯の基準とそう違うものではありませんから、それはそれとしてチェックして新しい基準に移行するのかと思います。それ以外の原子力発電所については、これはまた具体的に規制委員会のいろんな審査が今度はありましょうから、そういう状況を見る必要がありますし、また、県の原子力安全専門委員会を別途やってもおりますから、中川委員長はじめ皆さんのご協力を得て、客観的に規制基準、安全の問題を審査していくという手続きになると思います。

【記者】
 機械的に規制委員会の安全基準の適合ということだけではなくて、大臣の来県など、政府としての判断が必要あるというプロセスはございますか。

【知事】
 これはさまざまの課題が背景にありまして、これを解決していただかなければならないのです。菅官房長官に申し上げました規制委員会のあり方であるとか、核燃料サイクルの方向づけなど、現在、まだはっきりしていませんよね。私がメンバーになっている総合資源エネルギー調査会の総合部会の方向づけなども明らかになることが、いろんな原子力発電所の将来、エネルギーのベストミックスなどにつながるわけですから、そういうものを極力明らかにしながら進めることが重要ですから、そういう要請とその成果というのは原子力発電所をいろいろ動かすような際に議論になると思います。

【記者】
 消費地の原子力発電所の再稼働への反対や慎重論は根強いと思うのですが、そのことと、原子力発電所の停止の状況が今続いていることについて、どういうふうに捉えていますか。

【知事】
 いろんな意見については、それは国のほうでしっかり広報し、国民理解を得るというのが大事です。我々もそれなりにしていますが、政府、国が、エネルギーは必要ですけれども、原子力が大事なエネルギー源なのか、安全はどうなっているのか、これから日本の国にとってどういう意義があるのかというのをもっともっとわかりやすく国民に知らせて理解を求めなければならないということは、官房長官や文部科学大臣、以前は総理大臣にも申し上げております。これが基本だと思っています。よく理解しないで賛成とか反対と言うのではいけませんし、本当の意味をもっともっとわからないといけない。昨年、大飯3、4号機を再稼働したのもそういう意味ですから。

【記者】
 あさって原子力防災訓練をされますが、その後、5kmをまず検証して広げていき――30kmになるかどうかわかりませんけれども――地域防災計画をおつくりになるということですが、7月になると、各電力会社が原発の新基準に基づいて再稼働の申請をして、その時点でまだ5kmより外側の計画がないと、ほかの17市町、鯖江市とか越前市なんかもまだ計画がつくれない、県に合わせてつくるということをおっしゃっています。福井県として、その原発の再稼働の時点で避難計画がないと、不安に思う住民の方もいらっしゃると思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。

【知事】
 原子力規制委員会の基準自身がまだできていない、中身がないということが問題なので、それを早く明確にするというのが大事だと思います。その一方で、さはさりながら、福井県としては既に県内での一定距離以上の遠さの避難場所は確定していますし、また、県外についても議論をしていますので、そういうものをできるだけ早く確定して、防災計画を直していきたいと思います。防災計画を直すと同時に、中身もそれぞれ、その段階その段階で充実をさせる必要があると思います。

【記者】
 ほかの県と広域的な避難について独自に交渉を始めるというふうにおっしゃっていましたが、今、進捗状況というのは明らかにできるのでしょうか。

【知事】
 今、協議中です。まとまった段階では公にしたいと思います。

【記者】
 時期的にはいつ頃という見通しは…。

【知事】
 相手との都合もありますので、まだ公にできません。

【記者】
 知事は、破砕帯などの調査で、科学的な根拠に基づいてしっかりした判断をすべきだと、科学的ということを強調していますが、「もんじゅ」など敷地を削ってしまって、科学的な根拠が得にくいプラントもあります。その場合、規制委員会は、活断層でないという証拠がない場合は原発をつくらないほうがいいという、いわゆる安全側という言葉でやっていますけれども、知事は、科学的な根拠がどうしてもなかなかうまく得られない場合は、どのように判断すべきだとお考えでしょうか。

【知事】
 まず、科学的というのはいろんな意味がありますけれども、いわゆる専門家というのでしょうか、学者の方ですね。地震そのものについての学問、それから地震のほかにもいろいろあり、地震学もあるでしょうし、地形学、地質学もあります。さらに、分野ではなくて、過去に原子力発電所を審査した学者の考えはどういう考えであったか、今、それが違うのではないかと思っている方はなぜ違うと思っているのか、双方でどうなんだという議論などが要ると思います、地震の分野で。かつ、地震以外に、その地震に対するインフラといいますか、プラントの影響というのはどのようなものなのか、それをどう防ぐことができるのか。みんな含めて初めて目的を持ってやるもので、単に活断層を調べるための委員会ではありませんから、そういう点が不足しているのではないかということです。
 さらに、その前提として、3.11の際の福島での地震の影響の調査というのは、もうあれで終わったのか、影響はないということになったのか、何かはっきりしていない、したのかもしれない、いろんなことがあると思います。そういうことをしっかり進める必要があるだろうと思います。そうなりますと、今、各原発ごとに個別の何人かの方たちが、活断層がどうだなんて議論していて、一方で南海トラフの専門家もおられるでしょう、みんな地震なのです。それは同じ学問ですから、一緒になってどうだ、ああだという議論をして、かつ、これが原発とどんな関係があるのだと、どうしたらいいのだという議論が要るのではないかということなのです。

【記者】
 今の時点ではそういうことがないので、どうも規制委員会の判断の仕方にも疑問が出てくると…。

【知事】
 そうそう。だから、まさにその研究だけしているのだったらいいけれども、片や原発の安全をどうするのか、動かしていいのかどうかという話に関わるから、放っておいてはいけないわけです。何の判断も加えないで責任がとれないような状態になっています。それが困るから、政府において、そういうものを考えて判断をすべきだろうと。それもいろんな段階の判断があると思いますが、今の段階で判断できるのだったら判断してもらわないといけない。

【記者】
 北陸新幹線について、先日、7市の商工会議所の会頭との会議終了後に川田会頭から、前倒し開業に向けて、経済界と県と県選出国会議員の3者で話し合う機会をつくりたい、早ければ今月中にそういう機会を持ちたいということを明言されたのですが、具体的な日程と協議内容が決まっていれば教えていただきたい。

【知事】
 まだ決まっていないと思いますが、今週末の県建設促進同盟会で、経済界、あるいは国会議員の先生方皆さんと会いますので、そこでいろんな議論はできると思っておりますが、さらにいろんな打ち合わせが要ると思います。一方で与党のプロジェクトチームも進んでおりますから、そういう中で反映をされていくということだと思います。

【記者】
 特段、協議の場を設けるというよりも…。

【知事】
 相談と、どういう意思でもって福井県として進めていくかという意思統一もあるでしょう。それで、その客観的な可能性の分析が必要です。

【記者】
 今年の概算要求について、前倒し開業に向けた国費ベースの確保の手応えは…。

【知事】
 また途中で参議院選挙もありますし、よくわからない。これからだと思います。

【記者】
 官房長官への要請の中で、規制委員会を監視するような評価機関の設置を求められたことについて、規制委員会のそもそもの成り立ちは政治からの独立性ということを大事にされているかと思うのですけれども、こういったこととの兼ね合いをどう考えていらっしゃいますか。

【知事】
 独立は非常に重要だと思います。一方で、規制委員会の組織理念に、独善、孤立に陥らないで職務を執行するという理念があるわけです。ですから、そういうふうになるためには、こうした独立機関の業務がそういう趣旨に沿って行われるようなことが重要ですから、やはりそこに評価をしたり、ちゃんと公正に進めているかという判断が加わる必要があると思います。独立しているから、もうそれで全ていいのだというわけにはいかないと思います。あらゆるものについて、三権分立なんていうのもそうですし、それぞれはそれぞれの重要な独立性を持っているのだけれども、互いにそういう議論が必要だと思っております。アメリカにもよく似た、NRCに対してACRSという組織もありますから、互いに議論を積極的に行って、国民のためにいい結果が出ることが大事だと思います。何のための独立かというと、フェアな判断ができるための独立ですから、それが歪まないようにしないといけないと思います。
―― 了 ――

 

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