知事記者会見の概要(平成27年7月24日(金))

最終更新日 2015年7月27日ページID 030183

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平成27年7月24日(金曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

 
知事写真(H27.6.22記者会見)
  

 

  

【知事】

 それでは、私から5点発表します。

 1つ目は、平成27年度の「政策合意」についてです。

 これについては、私が概略を申し上げますが、本日午後、担当課から改めて説明をしますので、詳しくはそちらでまたお聞き取りを願いたいと思います。

 今回、平成27年度の「政策合意」を結びましたので、お手元の資料のとおり発表します。

〔平成27年度政策合意〕

 政策合意については、各部局長と私との間で、1年単位で実行する仕事を、具体的な目標数値や成果を明確にして、県民の皆さんに分かりやすく示すものです。マニフェストは4年間ですので、4年間のことを考えながら、また1年ごとの数値についてもあわせて考えながらということです。

 今回は、4期目のマニフェスト「ふるさと元気宣言」を実行に移す初年度の政策合意になるわけです。この4年間の全体の動きとしては、2年後に中部縦貫道の大野までの延伸により、県内の各都市が高速道路によるネットワークが完成するということ、3年後の国体、さらには、8年以内の新幹線敦賀開業ということになり、そのためのさまざまな準備、工事、具体的な対策など、この4年間については、本県の立地条件、ポジション、ポテンシャルを次々と新しく展開する重要な期間ではないかと考えます。

 こうした新しい局面の中で、県政を着実に、またスピードを持って次のステージに引き上げ、今申し上げたいろいろな客観情勢の環境を、福井県として、またこれは日本全体に関わることでもありますので、しっかりと次の問題につなげていく。特に人口減少対策などは重要な課題ですので、総合力を有した政策を実行しております。総合力というのは、行政のみならず、民間、もちろん県民の皆さんが、それぞれ役割を意識しながら、連携して次のステージへ持っていくということです。特定のところでは、突破すべきところがたくさんあると、こういうことになります。

 配付資料の最初は総務部で、2番目に総合政策部があると思いますが、この1ページを例として見ていただきたいと思います。今回の政策合意の特徴としては、全部局・全職員が総力を挙げて対応すべき共通の重要課題を4つ掲げて、その対応策を特別に明記しております。もちろん、その他の分野でも県庁内の連携というのは重要ですけれども、特にこの4つの部分については、特別にそうした配慮をしながら進めています。

 1つ目は、「福井は、いい!」ということを徹底アピールすること。全職員が、いわゆる営業といいますか、販売活動、販促といいましょうか、あらゆる機会を捉えて、「幸福日本一」の福井の良さを発信するということが1つ。

 2つ目は、人口減少問題に総合力を挙げて徹底して取り組むということです。福井県が「先進モデル県」になり得る可能性がありますし、なれると思いますので、県民一人ひとりが将来に希望を持ちながら働き、あるいは楽しみ、学ぶという、日本一住みやすい福井県が実現できる、それが具体的な人々の行動やいろいろなもの、あるいは出来事に具体化して、体現できるような、こういうことをより加速をそこへ加えていきたいと思います。

 3ページをご覧いただきたいと思いますが、「ふるさと福井」を担う人材の育成であります。何といってもこういうものは誰かがやらなければいけないわけであり、そのための人材がなければ、人口減少問題ももちろんですけれども、福井がいいとか発信するのには、そういう人たちの力が必要です。ですから、「ふるさと福井」を担う人材について、教育はもちろん、産業、農林水産業、観光、サービスなど、若者、女性などを加えて、地域を元気にする活動を応援したいと思います。

 4つ目は、福井国体、あるいは新幹線敦賀開業など、具体的なプロジェクトやイベントが行われるわけですので、新しい人の流れをつくり出すことが今から重要です。まちづくり、観光づくりなど、特に多くの人の力を得なければ、行政だけではできない、特に総合力の必要な分野であり、また、いろいろな意見の対立、あるいは調整など、特に難しい分野ですので、まさに総合的な、まず、県庁内をしっかりこういうことを進めて、県庁以外のいろいろな人たちと話を進んで行っていくということです。

 それから、政策合意の項目数や数値目標ですが、今回は、各部局長と合計で190の項目の合意を結んでおります。

 また、数値目標では、「ふるさと元気宣言」に合わせた全体的な見直しをしており、27年度中に達成する目標は167をまず設定しております。これは、この1年間の190項目の中の167の数値目標。4年間については、135に今のところなっております。

 4年間の数値は135ですが、1年間の議論をしますと、例えばプレミアム商品券を何千万円出すなどという数字は今年だけの目標となりますから、4年間よりも数字が増えるわけです。

 それから、例えば美術館や博物館の来館者などについても、4年間の数字は出ていないけれども、今年だけは、まず、30万人なら30万人にしようという、そういう数字が27年度だけの目標としても増えますので、4年間の目標よりは増えているということになります。

 このうち、新しい数値目標として特に一例を挙げますと、人口減少対策の中で、県内学生の県内就職率、27年度50%、最終的に平成30年度は55%としていたり、あるいは、特に人材紹介会社と連携した特別に技能を持ったりしている人たちのU・Iターン就職、27年度は10人、30年度は30人と、こういう数字になっています。

 27年度の167の項目のうち新規は67件、4年間135のうち新規が95件となっています。

 政策合意の達成状況については、年度末を目途に公表して、県民に各年ごとに成果を出すという考えでいます。

 

 次に、県立大学の地元受入枠の拡大です。

 福井県立大学では、入学定員が、今、経済、経営、生物資源、海洋生物資源、看護、社会福祉、各学科合計で375名ですけれども、このうち、いわゆる推薦枠が80人であり、これを101人に、平成29年度の入試から増やしたいと思います。

〔資料:県立大学の地元受入枠の拡大について〕

 これは、地方の人口問題に対応して、若者の県内定着を図るため、県立大学の地域貢献策として実施するものです。

 若い人たちは、主に大学進学時と就職時に県外に流出しますが、今回の制度改正は、大学進学時に、県内の若い人たちに少しでも多く、かつ確実に県内の大学に進学していただく枠を設けるものです。

 県立大学に進学した県内出身の学生は、就職時にも大体8割が県内に就職し、県内定着が図られるのではないかと思います。

 内容の詳細については、週明けに、県立大学が、28年度の入学者選抜要項およびホームページで公表することになっています。なお、この枠拡大は、29年度の入学者からということになります。つまり、いろいろな入試条件が変わりますので、受験する人たちの準備、あるいは試験を受けられる方と推薦とのいろいろな関係もありますので、1年間、余裕を置いて行うということです。

 

 3つ目は、恐竜学研究の推進です。

〔資料:恐竜学研究の推進について〕

 これも県立大学に関係しますが、県立大学恐竜学研究所と宮城県にある東北大学の学術資源研究公開センターが、恐竜などの古生物学分野において連携・協力を図るということで、28日火曜日に協定を締結する予定です。

 恐竜学研究所による協定については、平成25年のタイの国立大学附属研究機関である「コラート化石博物館」と締結をしていますが、国内の研究機関とは初めてとなります。

 今回の協定により、恐竜研究を志す東北大学の大学院生などを受け入れて、恐竜学研究所の教員3名が、発掘現場でのフィールドワークなどを通して教育・研究の指導を行うことになります。

 東北大学ではCTスキャンなどを使用した化石研究が先進的に進んでおり、今回の共同研究により、恐竜の神経の痕跡などに関する精度の高いデータを得ることができるわけです。

 さらに、中部縦貫自動車道の工事が、これから5年あるいは7年、8年かけて、県境の油坂峠まで進むわけですが、その中で、いわゆる恐竜骨格化石が埋蔵されているのではないかという地層にぶつかることが予測もされていますので、新たな化石の発見も見込まれるわけです。

 特にアンモナイトなど古生物の研究で著名な東北大学との共同調査により、恐竜はもとより、恐竜以外の古生物の研究も進むのではないかと思っております。

 これからも恐竜学研究所が、将来の恐竜研究を担う若手研究者を育成する拠点として極力こうした分野のリード役になれるように努力したいと思います。

 それから、もう1つこれに関連し、県立大学において、来年、平成28年6月に、日本古生物学会の年会・総会を開くことを内定しました。日本古生物学会は、約80年の歴史を持つ学会であり、昭和10年に設立したそうです。会員数、約1,100名の団体です。この学会では、研究成果発表の場として、毎年6月に年会と総会を開いているということです。いろいろ働きかけを行った結果、来年の県立大学の開催が内定をしました。

 県立大学の恐竜学研究所は平成25年度に開設しておりますので、3年後に総会が誘致できるということについては、我々としては大変喜ばしいことではないか思います。

 総会では、日本全国から第一線の古生物学者300名程度の方が集まって、3日間、恐竜、アンモナイトなどの最新の研究結果を発表するという予定です。

 

 4つ目は、ふくい園芸カレッジの「スマート園芸コース」の開講です。

 昨年6月に、福井県の農業の中の園芸の分野の人材育成のため、「ふくい園芸カレッジ」をあわら市井江葭に設置しています。今年4月には、県外の方20名を含む30名の方が入校され、昨年入校した23名と合わせて、現在、53人の方が、栽培技術や販売ノウハウを学んでいます。さらに、来月、スマート園芸コース、これは情報通信技術(ICT)を活用した大規模施設園芸を目指す人材を育成するためのものであり、美浜町久々子にある県の園芸研究センターにおいて開講します。

〔資料:スマート園芸コースの概要〕

 スマート園芸とは、最新のICTを活用し、ハウス中の温度や湿度など、最適な状況をつくり出すことにより、ミディトマト、イチゴ、パプリカが年中栽培できる技術です。

 そこで、スマート園芸研究の第一人者として活躍されている千葉大学の丸尾達教授をはじめ、環境制御の専門家からいろいろな知識を習得できるカリキュラムになっています。このスマート園芸コースは、嶺南地域から3名が入校する予定です。なお、開講式は、来月、8月4日火曜日13時30分から、園芸研究センターで行います。

 なお、今、お配りしているスイカは、あわらの園芸カレッジで学んでいる研究生が初めてつくったスイカですので、どういう評価ができるか、お試しをしていただければと思います。

 

 最後に、夏休みの話題ですが、里山里海湖研究所での夏休み体験であす。

 配付資料には、具体的なプログラムがいろいろ入っていると思います。

〔資料:里山里海湖研究所 夏休み行事一覧〕

 もう既に、子供たちは子供たち同士、あるいはご家族の皆さんと楽しんでもらっているかもしれませんが、2年前の10月にオープンした里山里海湖研究所では、県民や子どもたちが気軽に里山里海湖を体験してほしいということです。

 そこで、昨年6月には、若狭町気山、また、今年からはあわら市北潟、大野市六呂師にそれぞれ「ふるさと学びの森」をオープンしており、この夏休みにはイベントをそれぞれの地域でやっていただいています。

 イベント開催日以外でも、子ども会などの団体であれば、学びの森での体験の受け入れを随時行っていますので、研究所にご一報願いたいということです。

 また、三方湖畔にある里山里海湖研究所では、いろいろな展示やものをつくったりする、夏休みの宿題をつくれるような場所ですので、ご来訪を、ということです。

 また、研究所では、「里山里海湖生き物相談窓口」として、夏休みの宿題の昆虫がどうだとか、植物の名前はどうだとか、何の種類だとか、いろいろな相談の電話受付などが可能ですし、現場に来ていただいても結構かと思います。

 里山里海湖研究所では県民の皆様の里山里海湖体験を応援していますので、ぜひともご利用いただき、夏休みを有意義に過ごしてほしいと思っております。

 

~質疑~

 

【記者】

 県立大学恐竜学研究所と東北大学学術資源研究公開センターとの協定について、共同調査ではなく、協定という、ある意味、強い形での結びつきになった背景と、今後、国内のほかの研究機関などとこういった協定を進めていくお考えがあるのかについてお願いします。

 

【知事】

 まず、研究面では、東北大学が持っている高度なCTを使った恐竜化石の共同研究、これが東北大学では先進的な部分ですし、我々のほうは恐竜のいろいろな材料を持っており、発掘などの研究も豊富ですから、補完してやっていきたいというのが1つです。

 教育面では、東北大学から、主に地質学に関係する大学院生が恐竜に関与されているようですが、人数は二、三十人はおられるようですので、そういう人たちを研究指導学生として受け入れて、県立恐竜博物館と協力して研究・指導を行ったり、相互に教員を派遣し合ったりして、集中講義やセミナーを行ってはどうかということです。

 それから、ほかの大学との連携は今のところまだ具体的ではありませんが、岡山にもそういう大学はあるようですから、広めていくという方向かと思いますが、今回は東北大学とまずはやって、実績を上げてまいりたいと思います。

 

【記者】

 ふくい園芸カレッジ「スマート園芸コース」のことでお伺いします。ICT技術を用いた大規模園芸ということですが、改めて、このICT技術を活用していくことの狙いと、ICTを使った大規模園芸の将来像を福井県としてどのように描かれているか、教えてください。

 

【知事】

 ICT技術を使った園芸というのは日本でも大分進んでいますが、オランダなどでも極めて発達しており、特に日本海側の場合には冬の積雪とかいろいろなことがありますので、福井県でこういうことが進められると、非常に効果も高いと思っております。

 また、若狭湾エネルギー研究センターなどでもいろいろな研究も進めておりますから、そういうものとうまく連携して進んでいけばいいなと思います。

 特に若狭地域は、農業あるいは水産業のこれからフロンティアになると思いますので、園芸センターも美浜町にありますから、充実しながら、こういうハイテクというか、技術を使った農業、従来の農業とはかなり異なったタイプのものをやってはどうかということだと思います。

 

【記者】

 東北大学との連携ですが、こういった連携をすることによって、国内の恐竜学や県内の恐竜研究にどう貢献できると期待されますか。

 

【知事】

 これまで、恐竜学というのは、生徒の皆さんの将来の就職だとかいろいろなことを考えると、どういう発展分野があるのかとか、キャリアをどう積んでいくかとか、いろいろあるのです。そういう意味で、大学や研究所が互いに連携しながらやることがこれまでちょっと足りな過ぎたということがあります。どこがそんなことをリードできるのかというのはなかなかなかったのです、それぞれの分野でやっていましたから。ですから、恐竜博物館は恐竜というそれなりのものをしっかり持っていますので、割合自由に動ける組織ですから、旗振り役といいますか、調整役のようなことを、大学などと連携して、国内でもいろいろな壁を取り除いて進めていくということで、そうした人材、学生の皆さんの活躍の場もさらに開発するということができるかなと思います。

 

【記者】

 県立大の地元受入枠の拡大は推薦入試の定員を増やすということですが、将来的に学科の見直しなどはあるのでしょうか。

 

【知事】

 これはさらにいろいろな準備が要りますので、今の人口問題の協議会ですが、ああいう場でのテーマとして、どういう方向づけができるかというのをやってみたいと思っています。大きな課題で、ご指摘のとおり、何かうまくできないかというのは、我々も強く感じておりますので、やらせていただきたいと思います。

 

【記者】

 原子力関係で、知事は、これまでに、政府などに対して、原子力の重要性など、国民理解が進んでいないという趣旨でその促進を求めてきましたが、一方で、理解が進んでいるか否かというのは、なかなか目に見えにくい、分かりにくいものだとも思います。知事は、今後、そういった理解の促進が進んでいるかどうかをどのような基準でご判断されるおつもりか、お考えを聞かせてください。

 

【知事】

 例えば、最近、エネルギーのミックスが決まったとか、あるいは環境問題でいいますと、COの基本的な方向性が決められたとか、そういうものは一つひとつ原子力に関係する分野の政策決定ですから、これは背景として重要なことですが、そういうものについて、政府において、エネルギーにおける意味をさらに明瞭に言っていただきたいと思っています。同時に、これから、川内、あるいは福井の高浜、大飯、あるいは愛媛県の伊方ということで、再稼働などの問題が一定の議論になっているわけですけれども、我々としては、国民理解については繰り返し行わなければならないと申し上げておりますが、それはそれで強めていただくことを先日も経済産業大臣などにも申し上げましたが、さらに、政府が、特に再稼働などに当たって、国民に原子力エネルギーの重要性とか必要性を、責任を持って強く訴えてほしいと。もちろん地元については、それは必要ですが、それのみならず、国民全体に対してこのことを強く説明し、意味を分かってもらうということが重要で、まだまだ足りないと思っており、繰り返し政府にそのことを求めているというのが我々のスタンスです。

 

【記者】

 そうすると、政府がきちんとした形で責任ある言葉でそういったものを伝える姿勢が必要だという…。

 

【知事】

 何よりもたくさんの中で一番重要なことだと思います。

 

【記者】

 そういう姿勢があるか否かを知事は見ているというお考えでいいですか。

 

【知事】

 見ているという言葉はともかく、それを強く求めているということですね。

 

【記者】

 新幹線についてお願いします。敦賀以西のルートについて、福井県は若狭ルートを強く求めていますが、一方で、最近、石川県などで米原ルートを推す声も一部で出ているようです。今後、ルート決定を求める中で、北陸の足並みが揃っていない状態になるかもしれないという危惧について、知事はどのように今後ご対応されていくのか、お考えを聞かせてください。

 

【知事】

 敦賀から先、関西、大阪に向けてのルートの判断ですが、これについては、7月中にも、与党のルートについての検討委員会が、高木議員を中心に行われると思いますので、その中で議論を詰めていくということになると思います。

 仰るように、ルート問題はどこを通るかという極めて重要な新幹線の基本に関わることであると同時に、どういう沿線でどういう負担が生ずるかということにも関わります。ですから、より具体化すると、それぞれの地域の考え方とか利害などが表により鮮明に出てくる可能性があります。そういう中で、我々としては、新幹線については昭和48年に基本的な方向が出ている小浜あたりを経由する若狭ルートの整備を急ぐべきであるという主張をしております。いろいろご意見があろうかと思いますが、これから具体的な場での議論ということになります。

 そして、我々としては、行政として、あるいは県議会もそうですが、それぞれ、行政あるいは京都府や北陸の議会に、そういう必要性、有効性について福井県の主張を申し上げていく。また、関西についてもみずからの問題として考えていただきたいということを強く言っておりますし、北陸についても、米原での乗換えなど、よく現場とか様子を見ていただいて、地域全体としても日本全体としてもこういうルートが必要だという理解をしてほしいと思っているのです。

 

【記者】

 新幹線に絡む話で、敦賀の前倒しや福井先行開業など、いろいろ話が増えてきて、福井県としての負担も大分増している状況にありますが、その最中で、3月に当時の新幹線建設推進課の課長補佐が自殺をしました。これについて、この間の県議会で、遺族が公務災害を申請する意向があるということを県が明らかにされたわけですが、公務災害の申請ということは、県の業務との関わりがあると遺族サイドは見ているということになるわけですけれども、これについては、知事はどのように受けとめていますか。

 

【総務部長】

 私からお答えさせていただきます。

 今、お話がありましたとおり、ご遺族からは公務災害の認定を受けたいという意向が示されたところですので、県としては、このご意向を尊重して、ご遺族ではお分かりにならない本人の仕事ぶりや普段の状況などを、これは書類として地方公務員災害補償基金に提出しなければなりませんので、同僚職員から聞き取りをするなどして、書類の作成に協力をしていくと。あくまでご遺族からのご申請になりますので、それについて、できるだけの協力をさせていただくという立場です。

 

【記者】

 議会ではハラスメントではないかと認識しているという質問がありましたが、この点については調査される予定でしょうか。

 

【総務部長】

 公務災害については、民事とは違い、使用者の無過失責任主義ですので、これについて、我々として立証するという義務はございませんし、定められた書類を提出していくということです。

 

【記者】

 もう少し分かりやすくお願いします。

 

【総務部長】

 民事はあくまで過失に基づいて損害賠償が行われるわけですけれども、公務災害については使用者の無過失責任主義ですので、地方公共団体の過失の有無は問われないということです。ですから、我々としては、基金が定めた書類を添付していくということにご協力をしていくということです。

 

【記者】

 つまり、その基金が定めた書類の提出にハラスメントは関係ないということなのでしょうか。

 

【総務部長】

 そういうことです。

 

【記者】

 知事としては、何か一言あったら、教えてください。

 

【知事】

 公務災害というのは、交通事故などでも公務災害は起こりますけれども、そういう公の場で起きた災害かどうかということで、それにどれくらい補償が基金としてできるかという判断のレベルの事柄なのです。ですから、それと、例えば運転している人が長時間眠っていなかったとか、そういう話とはまた若干異なるレベルの議論になるのではないかと思います。いろいろな認定の作業もそうだと思います。

 

【記者】

 忙しい業務の中で自殺してしまったということについては、どのようにお感じになっていますでしょうか。

 

【知事】

 それは、いろいろな環境もありますし、職員それぞれ忙しさあるいは仕事の程度もありますから、一概には言えないと思います。

 

【記者】

 分かりました。

 もう1点質問させていただきます。先般の議会でも出た問題ですが、福井国体の追加種目から女子水球を外したという話があり、県と県水泳連盟の間に行き違いがあったとか、その質問をしようとした議員に対して県側が質問の中止を要請したり、県水連に対して勝てるのかと圧力をかけたり、あるいは日本水泳連盟の鈴木大地会長サイドからの知事とのトップ会談をしたいという申し出を県として断ったとか、いろいろ問題が出てきたと認識しているのですが、これら一連の問題について、知事はどのように受けとめていますか。

 

【知事】

 今回の国体の種目の決定については、一昨日、正式に決定しました。特に女子水球は、全国的な普及の状況、あるいは大会運営に必要な審判員や競技補助員などの人材の確保、競技開催に必要な経費などを総合的に検討しながら、導入をしないという判断をしております。

 特に水球については、県外の金沢市での開催ということで、人員の確保とか経費の増高など課題も多く、今回は導入は難しいという判断であり、こうした判断については、競技主催者である日本水泳連盟あるいは日本体育協会、文部科学省も了解をしているという状況です。

 

【記者】

 正式決定と仰いましたが、正式決定したのは開催場所と期間でありまして、追加競技は8月に決定する予定なのですが、県としては変更する気はないという理解でよろしいですか。

 

【知事】

 そうです、はい。

 

【記者】

 分かりました。

 それから、県議会で議員が質問しようとしたのを、県のサイドが、前日の夜に家まで行って質問を取り下げるように要請したと、しかも代わりの質問まで用意したという問題については、県議会の議会運営委員会でも取り上げられて、知事部局サイドに対しては誤解なき対応をするようにと、議長から申し入れがあったと思いますけれども、この点については、知事としてどのようにお考えでしょうか。

 

【国体推進局長】

 夜間になりましたら、電話が通じなかったということで参りました。それから、取下げというよりも、やりとりについて、言った言わないの話になりますから、そこについては議会の場で質問するのはいかがでしょうということでの申入れをしたということです。それに対して、議員はそのままご質問されたというのが実情です。

 

【杉本副知事】

 議長との関係でも、まさに今言われたような誤解を招かないようにということであって、我々としては事実がそういうことではないということもお話ししながら、それにしても、外から見て誤解を招かないようにということを、議長がそういう発言をされましたので、我々は承りはしましたけれども、それはそうだというふうに言ったわけでもございません。

 

【記者】

 議員からはお話は聞かれたのでしょうか。

 

【杉本副知事】

 私は聞いておりません。

 

【記者】

 議長からの話でそういう判断をされたという理解ですよね。

 

【杉本副知事】

 職員からいろいろこういう状況も聞いているということと、議長が言われたことについて、誤解を招かないようにということについて私はそうコメントをしたということです。

 

【記者】

 言った言わないの話ということは、双方、言い分があるということで、県として国体推進局長の報告をもって事実だと受けとめているということでしょうか。もう一方の当事者である議員がいるわけですけれども、そちらのほうの話は聞いていないという…。

 

【杉本副知事】

 我々は組織で仕事をしておりますので、職員とよく話し、コミュニケーションしながら、本当のことを言っているかどうかも、じっと見ながら聞いておりまして、私はそうだなと思いましたので、そのように扱っておりました。

 

【記者】

 分かりました。知事としては、何か一言ありましたら。

 

【知事】

 あまりそういうことは、お互いにやらなければいけないテーマではないのですよね。できるだけ、平生、いろいろなご質問で、馴染みのある事柄だったら、また分かりやすいからいいのでしょうけれども、全然そういう議論になっていないことについては、いろいろな誤解があったり、あるいは伝聞であったり、そういうことで議論になりますと、質疑としてもいろいろな課題が多いですから、これはこういう事実ですよとか、そういうことは一般的に行っておることが多いと思います。

 

【記者】

 LNGのインフラ誘致に関して、県の研究会の代表者会合が1年ぐらい開かれていませんが、現状の認識と今後の見通しを教えてください。

 

【知事】

 LNGについては、これまで、国あるいは関西電力など関係者と実務的な協議を行っており、最近、エネルギーミックスも7月に出ておりますし、またCOの問題も方針が出ておりますので、やや時間がかかりましたけれども、近いうちに方向性を出したいと思っております。

 

【記者】

 方向性というと、研究会をさらに発展して、誘致に向けた…。

 

【知事】

 研究会でも、もちろんあるときにやらないといけないでしょうけれども、中身をさらに詰めないといけないでしょう。

 国のほうはパイプラインなどをどうするかという話ですし、関西電力などは発電をどこで行うか、それから、LNGの液体を気化するサイトをどんなものをつくるかという、そういう分担があるわけです、どういう負担でどういうことを行うかという。今、いろいろな客観情勢もだんだん詰まってきましたので、そういう中で、まず、ここまではできるだろうとか、次に何をしたらいいかと、そういうことを詰めた上で委員会などをやるということになると思います。

 

【記者】

 廃炉に関して、日本原電が、茨城県の東海原発で、今、廃炉作業をしているのですが、解体で生じる放射性廃棄物のうち、放射能のレベルが極めて低いとされている瓦れきなどのL3と呼ばれる廃棄物を原発の敷地内に埋設するという事業許可を先日申請し、地元の茨城県などにも事前了解を求めたのですが、日本原電の敦賀で、今後、廃炉作業をしていきますし、関電も、美浜1、2号機で廃炉作業をしていくのですが、このL3の廃棄物を事業者として敷地内に埋設したいと了解を求めてくる可能性もあると思いますが、知事の考えはどうですか。

 

【安全環境部長】

 放射性廃棄物の処分そのものは、L1、L2、L3、いずれにしても重要なことということで、電気事業者共通の課題ということで、先般、関西電力あるいは日本原電の社長に対して、電力事業者全体として取り組むようにと要請をしました。

 お尋ねの敦賀発電所についてどうするという具体的な話は、現時点で事業者からはございません。

 

【記者】

 基本的にそういう放射性廃棄物とか使用済み核燃料は県外へというのが知事のお考えということでよろしいですか。

 

【知事】

 そうです。

 

【記者】

 核燃料税に関して、議会でも少し話題になったのですが、来年に条例改正の時期を迎えますが、廃炉手続後の課税というのが現状ではできないという状況で、今後、改正に向けてどうしていくかという、知事としてのお考えがあるのなら教えていただきたい。

 

【知事】

 今ほどのご質問と多少関係もしますけれども、前から、発電をしているということと廃炉は、特に原子力発電の場合には非常に長期にわたりますし、さまざまな周辺への影響、需要も考えますと、ほとんど一体のものだと考えるべきだと思います。ですから、いわゆる廃炉作業中といいましても、廃炉が終わったわけでもないし、連続性がありますから、安全対策も必要で、いろいろな行政の対応も必要があると。それから、産業転換とか地域振興もまさに課題です。そうなりますと、俗に言う廃炉の作業が始まるということでも、発電しているのとそう変わるわけはないわけで、課税の可能性について検討したいと思っています。

 

【記者】

 それは、使用済み核燃料に対してか…。

 

【知事】

 今、我々として、実務的に検討をし、いろいろな勉強も廃炉・新電源対策室でやっておりますし、税制にも関係しますが、これについては課税の理論を検討している、いろいろな勉強もしています。そういう必要性はあるだろうと思います。

 

【記者】

 来月に川内原発が再稼働する予定ですが、それについて一言、何かあれば。かなり長い間、全部の原発が止まっていて、来月、再稼働の見通しとなりましたが。

 

【知事】

 これからそういう状況が進むのかもしれませんが、いずれにしても国民の理解というのが十分必要ですので、川内の原発においてもそういうことがさらに進む努力を加えていく必要があると思います。

 

【記者】

 高浜3、4号機の再稼働に関して、知事は春の会見で、エネルギーミックスが出てくるのと同意の手続きが並行して進んでいくと仰っていたかと思いますが、一応エネルギーミックスが出てきたという中で、並行して進んでいくはずの同意手続きの現状に関してお聞きしたい。また、地元同意の範囲ですが、福井県の場合、高浜3、4号機ならば高浜町と福井県ということを仰って、それに対して、京都府や滋賀県が合意形成に対してもっと関わりたいという要望を出されているかと思うのですけれども、それに関して、改めて知事のご見解を伺いたい。

 

【知事】

 2番目のご質問については、仰るとおりです。地元というのは、福井県、そして高浜町という意味です。

 それから、最初のご質問、これは、今、原子炉設置変更許可については、いろいろな作業もほぼ終わり、あと、工事計画、それから保安規定の認可の補正とか手続きが進んでいるわけですので、その進行に応じて、県原子力安全専門委員会でのチェックもしながら、最終的にはいろいろな結論を出そうということです。その間に、今仰られたエネルギーミックス、それからCOの問題、そういうものが出てまいりましたが、そのほか、先ほど申し上げた2月に国に要請している原子力発電の重要性・必要性の国民理解、それから中間貯蔵施設の県外立地に関わる国の積極的な関与、それから制圧体制、これは関西電力などに深く関わっております、また地元経済への影響、こういうものを総合的に判断して結論を出すという、今、状況が動いているということです。

 

【記者】

 コウノトリについて、先週、文化庁からの許可も出て、いろいろな条件面が整ってきているという中で、県として、放鳥の具体的な時期というのは、まだ検討されていませんか。また、どのように県として具体的な日程を進めていくのでしょうか。

 

【知事】

 昨年生まれた幼鳥のうち、2羽については、5月15日から兵庫県のコウノトリの郷公園で馴化訓練を行っています。放鳥については、8月上旬に、この馴化訓練の調子を見ながら、コウノトリの郷公園の専門家のいろいろな意見をいただいて決定をするということになっております。なお、兵庫県から福井県に移送する時期については、専門家の意見を聞いた上で、7月末に環境省に対して移送の協議を行おうという状況です。

 

【記者】

 具体的な時期については、まだ検討はされていないと。

 

【知事】

 今日は言えないですね。分からないです、まだ。

 

【記者】

 参議院の合区について、今日の参院本会議で、2合区と10増10減を可決するのではないのかと言われていますが、知事は、今月も山崎参議院議長に提言等をされていますけれども、改めて今回の合区に関してのお考えを伺いたい。

 もう1点、先ほどの話の高浜3、4号機の同意の範囲の話で、京都府や滋賀県が合意形成に関わりたいと言っていることに関しての知事のご見解等ありましたら伺いたいと思います。

 

【知事】

 都道府県を超えた合区については、反対です。参議院の制度改革については、人口だけで単純に区割りを決定することは適当ではないということで、いろいろな論文などにも書いて、議員の皆さんにも知っていただくようにお配りもしているところです。また、今月8日には、山崎参議院議長に対し、地方の8県の知事の連名でそういうことを申し上げているところです。

 人口に定数を合わせるという形式主義については、今、大問題の大都市人口集中を招くだけであり、この悪い循環を断ち切る必要があります。地域代表といいますか、あるいは都道府県単位による代表が国政に参加する仕組みをぜひ維持するべきです。今の公職選挙法といいますか、法律の改正レベルでできることなのか、あるいは憲法にも関わることなのかといろいろありますけれども、可能な限り今できることが何かを考えたらいいと。私としては、参議院の全国区の大都市部分を大都市の地方区に入れ替えるやり方で、形式的な格差議論は、まず、それだけでも解消できると思いますし、基本的には地域代表ということも重要かと思います。

 それから2つ目の質問は、それはいろいろお考えはあると思います。

── 了 ─

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