知事記者会見の概要(平成28年4月25日(月))

最終更新日 2016年4月25日ページID 032564

印刷
平成28年4月25日(月曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室

 
H28.4.25知事写真
  

    

 

 

【知事】 

今日は全体で6件あります。最初に県警察本部との共通の発表事項をご説明します。

 27年4月に福井県と県公安委員会、県警察本部とが共同で策定した「安全・安心ふくい」万全プランの27年度の推進結果と28年度の重点事項についてであります。

〔資料:「安全・安心ふくい」万全プラン 中間報告

 この治安に関するプランは、私が知事に就任して以来、平成15年に全国で初めての試みとして県公安委員会、県警察と共同でプランをつくり、それ以降、2年ごとに改訂を進めています。平成15年当時は刑法犯認知件数が非常に多く、何とかして治安を回復し、よい方向に持っていこうということでありました。それぞれ、その時々の状況に応じて、初めの2年間は治安の回復という名前でした。次に向上、実現、実感、充実、そして万全ということで、今回は万全プランの2年目ということになります。

 27年度の推進結果等ですが、このプランに盛り込んでいたさまざまな施策をそれぞれ実行し、また、県民のご協力もいただきながら進めた結果、昨年27年の刑法犯認知件数は3,880件でした。前年に比べると991件の減ということです。プランを初めて策定した平成15年から13年連続で減少をしております。

 過去最も低かったのが昭和52年と54年の5,138件でしたが、その後、ずっと政策の結果等で減り、この52、54の数字を平成26年に4,871件と初めて下回り、そして、今年、3,880件とさらに下回った、こういう数字になっています。

 一方で、子どもたちに対する声かけ事案、これは全国的にもいろいろ事件が多いわけですし、ストーカー、DV等の女性が被害者となる犯罪は減少していますが、依然として後を絶たないのも事実であり、潜在的にさまざまな事案などがあるのではないかとも思います。

 また、高齢者を狙ったオレオレ詐欺や架空請求の特殊詐欺についても、被害額は減少していますが、件数は増加している状況です。

 それから、交通事故の死亡者数は昨年は47名であり、前年に比べると2名減少しましたが、高齢者の被害者が半数を超えています。

 こうした環境の中で、さらに福井駅西口の整備やえちぜん鉄道、福井鉄道の乗り入れ、延伸といった社会情勢にもこれから対応していく必要がありますし、暴力団の抗争などの案件も新しく出ているわけです。これが27年の状況です。

 それで、今年2年目ですが、28年度は次の事項について重点的に進めたいと考えています。

 重点推進事項ということで、まず、「子ども・女性、高齢者を犯罪から守る」についてです。警察本部では新たに今回、少年女性安全課をつくり、子どもへの声かけ、ストーカー、DV事案の前兆事案に対する先制・予防的な指導、警告、そして検挙を徹底するということを進めます。

 また、県としては、子どもへの声かけ事案の多発する夕方に、みなさんにご夫婦やお友達での散歩をやられるということを心がけていただき、女性や子どもたちがひとりぼっちにならないような状況をつくりたいと思います。

 また、声かけ事案の発生場所が幾つかありますが、重点的に見回る「重点見守り協力員」を全小学校区に設け、不審者を寄せつけないという体制をとっていきます。

 また、メールマガジンによる防犯アドバイスや女子学生防犯サークルをつくったりするなど、女性自身が犯罪に巻き込まれないための知識等を習得してもらうということを進めます。

 このほか、高校生、大学生がゼミ活動やボランティア活動の中で、高齢者へいろいろなアドバイスをしたり、また、高齢者やその家族が日常利用するスーパー等における掲示物、店内放送などの啓発もしてまいります。

 次に、「犯罪の起きにくい地域社会をつくる」ということです。

 特に警察官の活動が県民の目に見えるというのが極めて重要であり、何よりも犯罪の抑止につながります。県警察において、パトカーによる一定の時間の立ちどまり、または停車して警戒する駐留警戒の強化など、犯罪情勢に即した「見える・見せる活動」プロジェクトを進めていきます。

 また、県内において補導される不良行為少年は、年々減少しておりますが、その半数以上が夜間における徘回です。青少年の夜間・深夜徘回を防ぐため、夜間の巡回街頭指導、また補導員による県下一斉街頭補導等を、これまでの夏休み、春休み期間に加え、冬休み期間も実施します。

 次に、交通事故の問題です。

 高齢者事故が多いわけですので、県警察では、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導、県においては、高齢者に対するテレビCMでの免許返納の呼びかけ強化などにより、高齢運転者の事故を抑制してまいります。

 また、カーナビシステムからの急ブレーキ多発地点の情報等を使って、道路標示の改良や重点見守り実施を行います。

 また、自転車の利用者や歩行者の安全確保については、県下17㎞で整備済みの自転車安心通行帯の整備をさらに拡大し、28年では5つの市でさらに5㎞、この安全通行帯を設けます。歩道と横断歩道等の周辺におけるさまざまな段差も自転車運転には障害になりますので、そういう場所の改善も図りたいと考えます。

 これらの課題に応じてきめ細やかに取締りと啓発・安全運動を行って、安全・安心の万全を図りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

【県警察本部長】  

「安全・安心ふくい」万全プランの1年目につきましては一定の成果を上げることができたと考えております。県民の皆様、そして県、市・町、関係団体の皆様、公安委員会のご協力にまずお礼を申し上げたいと思います。

 しかし、子どもや女性が被害者となる犯罪や特殊詐欺、交通事故などに関してはまだ対策を進める必要があると考えているほか、今年に入り六代目山口組分裂に伴う対立抗争事案も発生しているところです。このような情勢を受け、万全プランの6つの柱につきまして、それぞれ今後1年間で進めていく新たな施策、それから、重点的に取り組む内容をまとめた資料を本日お配りしているところです。

 詳細につきましては後ほど担当者からご説明する機会も設けておりますので、私からは、特に警察が重点的に進めていきたい事項につきまして簡単にご説明させていただきます。

 資料の1番目に掲げてありますように、引き続き、子ども、女性、高齢者といった立場の弱い方々を犯罪から守る取り組みに全力を挙げたいと考えております。

 子どもや女性が被害者となる犯罪の被疑者の検挙を徹底するほか、ストーカーなどが深刻な事態に発展する前に早い段階で指導や警告を行い、被害の未然防止に努めたいと考えております。

 また、これまで街頭防犯カメラは地元の商店街や自治体等によって設置されてきましたけれども、本年度は警察もこれを設置することとしました。これによって子どもや女性に対する犯罪の予防に一層の効果が期待ができると考えております。

 さらに、本年度、警察本部に少年女性安全課を設置しました。万全プランが重点として掲げております子ども、女性を犯罪から守る施策を進めるために組織の強化を図るもので、ストーカーやDV事案の取締り体制を強化したほか、安全確保の施策と取締りの連動を強め、子ども、女性を犯罪から守るため、包括的に対策を進めていくこととしております。

 また、高齢者につきましては、やはり高齢者の被害が多い特殊詐欺事案の約半数が金融機関から送金されており、また、うち7割でATMが使用されています。したがいまして、警察官の等身大パネルの設置を進めたり、金融機関の職員の方に声かけをしてもらったりというような施策をさらに強化して、被害防止を進めたいと考えております。

 また、高齢者に関しましては、交通事故から高齢者を守るという施策も大変重要であると考えております。資料では、第4の「交通事故から県民を守る」というところに含まれておりますけれども、高齢で運転に不安のある方にドライブレコーダーを設置して個別の安全指導を行っているところです。今後はこの対象年齢を広げるほか、指導だけではなくて実車講習も行うという施策を進めることにより、高齢者を交通事故から守るための対策もさらに強化していきたいと考えております。

 以上が、特に力を入れたい「子ども、女性、高齢者を犯罪から守る」という項目です。

これ以外につきまして簡単に申し上げますと、第2の「犯罪の起きにくい社会をつくる」という項目では、今後、例えば福井駅周辺の人の流れが変わってくることなどが考えられますので、犯罪の発生が懸念される場所などの分析をしまして、警察官の姿を見せるパトロールを進めていきたいと考えております。

 また、第3の「犯罪の取締りを強化する」という項目では、現在、暴力団の対立抗争の状態にある中で、県民の方々の安全確保に万全を期すため、暴力団に対する取締りと必要な警戒を行っていきたいと考えています。

 そして、資料では4ページにありますが、「福井しあわせ元気国体・福井しあわせ元気大会」が2年後に開催されます。したがいまして、警察本部に警衛警備対策課を設置しました。大会の安全確保のため、警衛警備対策課を中心に交通安全対策やテロの未然防止対策を進めていきたいと考えております。

 以上、重点的に進めていきたい事項について簡単にご説明しました。県民の皆様が安全で安心して暮らせる社会の実現のために全力を尽くしていく所存です。私からは以上です。

 

~質疑~

 

【記者】

暴力団の抗争が重点項目にございました。2月に発砲事件もありましたし、神戸山口組が指定暴力団の指定を最近受けたという中で、取締りの警戒を強化するというところですが、具体的にはどのようなイメージで臨まれているのか教えてください。

 

【県警察本部長】

従来から犯罪の取締りという観点で暴力団対策は進めてきたところであり、常にこれは警察にとっての重点です。今回、神戸山口組が指定されたことで、さらに警察として、使える手法が増えたと考えておりますので、持てる力を全て動員して暴力団の弱体化、最終的には壊滅を目指していきたいと考えております。

 

(県警本部長退室)

 

【知事】

それでは、次の発表事項に参ります。

 マニフェストに基づく、27年度の政策合意の結果、および28年度の政策合意の状況についてお話します。

平成27年度「福井ふるさと元気宣言」推進に係る政策合意の達成状況

「福井ふるさと元気宣言」推進に係る平成28年度の「政策合意」

 「政策合意」は、私と県庁の各部局長との間で協議をし、1年間実行すべき仕事、具体的な目標数値や成果を明確にし、県民にわかりやすく示すものであります。私が知事になりましてから、ずっとこういう手法を使いながら、他の政策もあわせて総合的に進めております。

 昨年度合意した190の項目のうち、目標を達成したものは「恐竜博物館入館者数」や「新ふくい人の数」など145項目です。それから、「北陸新幹線の整備促進」など、こうした年度を超えて実施する32項目を除いた達成率は92%であり、26年度の88%に比べると、その数値は若干高まっています。

 一方で、目標を達成できなかった、または一部達成できなかった項目は13項目あります。理由はいろいろありますが、毎年目標値を段階的に引き上げている中で、例えば大都市の雇用情勢とのいろいろな競合関係にある県内大学生の県内企業への就職や、中国経済の減速による福井港の貨物取扱量など、さまざまな要因の影響を受けたものも、目標を達成できなかったものにあります。

 達成できなかった項目については、対策を工夫し、改めて新年度、目標達成に向け努力してまいります。

 例えば、県内大学生の地元就職が大きな課題ですが、この春に開設した大学連携センターにおける地域科目の開講や、労働局と連携した県内企業PRなどにより、学生の定着を目指したいと思います。

 福井港については、貨物の定期航路の誘致を継続するとともに、嶺北、奥越、さらに加賀地方の利用企業の新規需要を開拓するなどに努めていきます。

 そのほか、縁結び活動による成婚数、あるいは観光消費額、国体総合成績など目標に達成していないものがあり、さまざまな理由がございますが、引き続き全力で取り組んでまいります。

 それから、28年度の政策合意については資料の2-2です。

 今年度の政策合意は4期目の2年目に入るわけであり、人口減少対策あるいは高速交通体系の整備など着実に実施するとともに、県政を一歩、二歩でも前に進め、本県の総合力を次の段階へと引き上げていくことが大事であり、今年度はそのステップの年にしたいと考えています。

 28年度は次の4点を重要視し、各部局長と189の項目、前年度は190でしたが、合意を結んでおります。

 1点目は、「県民の皆さんと企業の皆さんの総力結集」です。人口減少対策など本県が直面する課題を解決し、県政をレベルアップさせるため、今回、県民、企業等の主体的な活動を促進するタイプの政策を盛り込んでいます。また、官民の枠を超え、共動でのまちづくり等への投資、また、県内のお金の循環をよくするというような新たな仕事にも挑戦をしてまいりたいと思います。そうなりますと、いよいよまた目標の達成が難しい部分が出てきますが、それはチャレンジをしていくということで考えたいと思います。

 県民・企業の主体的な活動としては、全部局連携のものが多いのですが、県民活動をリードする人材の育成や県民応援団の結成、「プラス1雇用」宣言企業の雇用拡大、農業ビジネスの人材育成、児童・生徒が地域の人とともにいろいろな体験をする活動などが挙げられます。

 また、金回りをよくするというようなタイプの見方としては、官民融合による「新・県富」、県民が有する豊かさといいますか、所得、富の向上というのもあります。それから、観光地における屋外販売や里山里海湖ビジネスの推進強化などがそういうタイプになるかと思います。

 2点目は、「部局連携の強化」であり、突破力を高めるためには、各分野について関連する部局が一つ一つ前進しながら、その中で力を合わせるところは力を合わせる必要があります。特に28年度は食の輸出拡大、それから、大学生や高校生の県内就職促進など、これはTPP問題や人口減少対策を強化する観点から、部局連携のもとで実行する仕事を意識して増やしています。

 例としては、今挙げた食の問題や大学生の県内就職もありますが、高校生が県内企業を知る機会の拡大、これは教育庁、産労部の連携になります。六呂師高原の観光エリア化については、観光営業、農林水産、安全環境部などが関係します。それから、廃炉対策は安全環境部と産業労働部、総合政策部の関係、SNSを使った情報発信については総務部と観光営業部などの連携が必要かと思っています。

 3点目は、「幸福日本一を発信し、高める政策」であり、人口減少対策戦略においても幸福を人口問題解決の原動力としており、今回、関連施策を具体的に記載しております。

 例としては、「FUKUI HAPPINESS」の国内外への発信、幸福のキャッチコピーの制作や幸福スポットを巡るコースの設定、あるいは多様な人材交流による幸福実感活動の促進、県民共通の夢を実現する県民応援団の結成などが幸福に関係します。

 それから、幸福度ランキング1位を高める政策としては、ごみの減量化・資源化、それから外国人宿泊者数の増加、冬場のウオーキングの推進などが例として挙げられると思います。

 4点目は、「昨年度策定した各種計画の着実な実行」です。昨年度は、人口減少対策戦略、高速交通開通アクション・プログラム、それから、教育、経済、環境関係など、多くの計画を策定・改定していますので、これを政策合意の中で毎年度、進捗を着実に確認し、成果を上げてまいりたいと思います。

 重複するかもしれませんが、主な計画としては人口減少対策戦略、アクション・プログラム、それから、教育振興基本計画、経済新戦略、廃棄物処理計画などがその例として挙げられます。

詳細は、本日午後、政策推進課から改めて説明をいたしますので、お聞き取りを願いたいと思います。

 

 次に、3点目の話題になりますが、「海外クルーズ客船の本県への寄港」ということです。

〔資料:海外クルーズ客船の本県への初寄港

 県では、港の活性化や交流人口の拡大につながるクルーズ客船の誘致を積極的に進めており、これまで国内のクルーズ客船は、例えば「ぱしふぃっくびいなす」や「飛鳥2(※2はローマ数字)」は寄港しておりますが、海外の大型クルーズ客船が県内に寄港するのは今回初めてとなります。

 この客船はアメリカのプリンセス・クルーズ社の「ダイヤモンド・プリンセス」号で、来年9月と10月に敦賀港に寄港する予定です。乗客定員2,706人、全長が290m、11万6,000tという大きさの船です。水面からの高さが54mありますので、この県庁の建物45mより高い船であります。

 寄港するということになりますと、いろいろな物の積み降ろしもありましょうし、乗客が観光したり、土産品の購入などにより活性化が期待されると思います。

 敦賀港の寄港日は9月2日と10月14日ということであり、9月2日は敦賀まつりの初日ということで、ちょうどお祭りが見られるような都合になっているということです。

 この船の客層は、日本人が半分、欧米人が半分ということですので、今後、地元関係団体とともに海外からの客船誘致を進めてまいりたいと思います。これは副知事が直接アメリカの本社に行って要請をし、今日の結果になったものであります。

 

 次に、岩野平三郎さん関係の和紙・絵画資料の寄贈を受けたというお話です。今年1月に亡くなられた福井を代表する紙漉き職人、名人の一人であります三代目の岩野平三郎氏の妹さんの岩野敬子さんから、関係資料、およそ1,000点のご寄贈をいただきました。

〔資料:岩野平三郎氏和紙関係資料

 岩野さんのお宅は、越前市今立地区にて大正時代当時から、横山大観や小杉放庵など日本画の巨匠たちの助言を受けながら、優れた画紙の製作を始め、現在までその技を守り育ててきておられます。かつては絵画が描かれる材料は絹だったのですが、それが越前和紙に切り替わる、そういう時期でありまして、残された資料は、近代日本画の変遷を具体的に伝えるものであり、初代から三代にわたる岩野さんと画家たちの間で繰り広げられた交流を一望できるということであります。

 書簡が900通、絵画類が100点、和紙関係資料等が150点のおよそ1,000点になるものであります。お手元の資料に主だった絵画や書簡が入っているかと思います。 岩野さんのお宅の和紙関係資料が一括寄贈されたことは、近代日本画と越前和紙の関係などを調査研究する上で大変貴重なものです。県立美術館で所蔵し、今年5月20日から新収蔵品展において広く公開しますので、ご覧いただきたいと思います。

 

 次に、三岡石五郎という旧名ですが、由利公正の自筆書状ほか歴史資料の入手についてです。

 福井県では福井ゆかりの歴史資料の蒐集を進めており、このたび、三岡石五郎(由利公正)の自筆書状2通と、横井小楠の自筆書状1通、そして、時代は遡りますが、戦国大名朝倉義景の感状1通を発見し、入手したのでお知らせをします。

〔資料:歴史資料の入手

 三岡石五郎書状は、由利公正が三岡石五郎と名乗っていたころの手紙です。残されている資料は非常に少なく、今回入手したのは新発見となる中根雪江に宛てた2通です。これまで石五郎の書状は橋本左内に宛てたもののみが確認されており、こういうものは初めてということになります。

 当時、三岡石五郎は福井藩で武器弾薬製造や造船などを担当する製造方の頭取を務めていたことから、福井藩が建造した洋式の帆船「一番丸」の開発事業、あるいは松岡火薬製造所の建設状況などをこの中根雪江に報告した書状です。福井藩の製造方の仕事の様子をうかがい知ることのできる重要な資料です。

 横井小楠先生の書状は、『横井小楠遺稿』という昭和13年に出版されたものには収録されているのですが、実物が所在不明でした。この書状は安政5年(1858年)4月3日に横井小楠の門下生である信濃国上田藩士桜井純蔵に宛てたものであり、福井藩主松平春嶽公に招かれて福井へ向けて京都を出立したことを知らせた書状であります。このほか、小楠が将軍継嗣問題に関わって、京都で朝廷工作に当たっていた福井藩士橋本左内と直接面談したことを記しており、小楠と左内の関係を裏付ける貴重な資料です。

 この書状については、明治維新から150年となる平成30年に、県立歴史博物館において幕末維新期の本県ゆかりの偉人を紹介する展覧会で一般公開をする予定です。

 それから、もう1つの書状、感状ですが、これまでの調査では全く把握できていなかった原本資料となります。今回の感状は、一向一揆の際に功績のあった者に対して朝倉義景が与えたものであり、粟津口の合戦、家来の大安寺又四郎の存在など、新たな史実を示す貴重なものです。

 さらに、通常の感状は花押のみを書くのが通例ですが、義景の署名と花押の両方が出ているという珍しい資料です。両方の署名がありますと、少し相手の方の身分が高いというような意味があるようです。義景の花押の形状から、天文24年(1555年)に出された感状ではないかと見られております。

 この感状については、7月23日から9月13日まで開催するテーマ展「朝倉新知見―新発見資料を中心に―」の展覧会において公開する予定です。

 

 最後に、大規模施設園芸です。この施設の整備促進について、嶺南地域を中心にした事業であります。

〔資料:大規模園芸施設の採択

 嶺南地域を中心に整備を進めている大規模園芸施設については、各市町から要請を受け、国に強く働きかけた結果、整備に必要な国庫予算15億円を満額確保することができました。28年度は、植物工場については高浜町で1か所、自然光利用の大規模ハウスについて、高浜町、おおい町、小浜市、美浜町、越前市の5か所、計6か所で整備し、作物としてはミディトマト、フルーツトマト、リーフレタス、青ネギ、イチゴの生産を進めます。27年までに整備した7つの施設を加え、県内では13か所になります。27年度までは2億円の販売額でしたが、これが30年になりますと15億円ということになると思います。整備された高速体系を利用し、県内をはじめ、大消費地の関西への出荷体制が整い、園芸の一大産地化を目指すものです。

 以上、多方面にわたりましたが、私からのご説明は以上です。

 

~質疑~

 

【記者】

大規模園芸施設は、今年度で13施設になるということですか。今後、何施設にするとか、販売目標を幾らにするという目標はあるのですか。

 

【知事】

28年度中に6施設をつくり、徐々に販売額を上げ、既存の7施設と合わせて13施設で、30年に15億円を見込んでいます。

 

【記者】

政策合意に関して、27年の政策合意の達成率92%は、過去3年間を見ても一番いい数字ですが、知事として、92%というのをどのように受けとめていますか。

 

【知事】

これは、要するに政策のストレスを強めているので、大変だったかと思いますが、各関係部で頑張ってくれました。それはそれとして、実感としてよかったと思います。でも、世の中、それだけでは済まないわけでありまして、どんどん人口減少問題や地方創生、あるいは競争関係がきついですから、このマニフェストの政策合意のみならず、さらに大きな課題、どんどん日々そういうものが発生しますので、それに挑戦していくという努力を期待しているという気持ちですね。

 

【記者】

クルーズ船の関係で、敦賀にお客さんが来て、滞在時間が長いようですが、特に県内のこのあたりを回ってほしいというような期待感、クルーズ船を受け入れた後の県内観光、また広域観光への期待は。

 

【知事】

欧米の方が半分ぐらいおられるようですから、永平寺などの禅や古い歴史、もちろん嶺南地域にはお寺や神社仏閣というものがありますので、そういうものをできるだけ見ていただくように、こちらもそういう観光客が見やすいような取組みをしなければならないと思いますね。

 さらに、いろいろなものを買っていただく点で、まだまだ嶺南・若狭地域は開発する部分が多いと思いますから、今回100%うまく対応できないかもしれませんが、この事業をきっかけにいろいろな観光ルートや観光土産品、物産、それから、もちろん京都や岐阜、滋賀などとの連携もできると思いますので、そういう努力をしたいと考えます。

 

【記者】

平成30年の、幕末から明治維新にかけての本県ゆかりの偉人の展覧会に向けて、ほかにもさらに手に入るものは買っていくとか、探す努力をするとか、県としての考え方はどうでしょう。

 

【知事】

これまで県にそういう担当の者がいるのですが、そういうセクションを強め、コレクションを強化したいと思っています。情報がなかなか出ないこともあったり、出たときには遅かったり、いろいろありますので、県としてはそういう歴史・文化資料の蒐集に強い関心を持って、迅速に思い切って対応する、こういう体制で臨みたいと思います。行政ですからいろいろお金の問題とか手続きがあり、民間に比べると立ち遅れるきらいがあるのですが、それができるだけないように、思い切ってやるように関係の部局には言ってあります。

 

【記者】

原子力について、「もんじゅ」についてお聞きします。先日の文部科学省の有識者会合で、第三者による評価機関を新たな運営主体に設けてはどうかという話が出ていますが、こういった第三者による評価機関の設置などに関して、知事の考えはどのようなものでしょうか。

 

【知事】

いろいろな評価というのも大事なのでしょうが、委員会等で、あるいは馳文部科学大臣には申し上げているのですが、やはり文部科学省が頑張っていただかないといけないのかもしれませんが、経済産業省など、政府が総力を挙げて「もんじゅ」をどうするのだということをしっかり押さえないと、当面、文部科学省が所管だからこれをどうするのだというようなことではもう済まされない局面に至っておりますので、そこをぜひ合意をとって体制を強化してほしいということを申し上げております。いろいろ申し上げておりますが、どれぐらいそれを十分に受け止めてきちんとやられるかというのは、なおはっきりしていないところがありますので、そこを繰り返し申し上げたいと思います。そうしないと、中途半端ではまた話が戻るわけですので、日本にとっても日本のエネルギー政策にとっても問題を残すと思います。

 

【記者】

高浜1、2号機の40年超運転に関して、この前、規制委員会が設置許可を出しました。まだ手続きの途中段階で、7月までに60年運転が是か非かということも含めて審査期限があって、まだ知事としては注視されている段階だと思いますが、知事のコメントに「県民理解が必要不可欠であり、慎重に対処する」とありますけれども、県民理解というのと慎重に対処するというのは一体どういうことなのかということを、わかりやすく教えていただけますでしょうか。

 

【知事】

これは40年超の運転という話に関わるわけであります。ですから、初めてのことでありますし、これまでと同じような話ではないわけで、そこは40年超運転の意味をよく理解しながら対応する必要があるというのが背景にあります。

 かつ、3、4号機の再稼働の問題などいろいろなことがあるわけであり、国民理解がなお十分進んでいないところもありましょうし、国における三権、政治、行政、司法、それぞれ、我々から見るといろいろな課題がありますので、そういう中でこの問題をきちんと対応すべきだという意味で申し上げているのです。

 かつ、今月の20日、変更許可がありましたが、工事計画や運転期間延長許可の2つの手続きもありますので、それも一つ一つ見る中で判断をしていくというような意味で申し上げたということです。

 

【記者】

先ほど、高浜1、2号機のこれからも判断していくというところですが、運転の延長が認可されたところで、2019年10月ごろまで関西電力は安全対策の工事に取り組む目標だと説明されています。ですので、大体3年ほどかかると思いますが、非常に長期に運転延長認可から工事に進むと見られる中で、その判断というのはその工事期間中も随時行っていくということでよろしいでしょうか。

 

【知事】

まだわかりません。それは出ていないから。

 

【記者】

北陸新幹線に関して、今、舞鶴ルートというものも俎上に上がって声が強くなっているようにも思います。福井が求めている小浜・京都ルートと舞鶴ルートについての評価や知事の考え、どういうメリット・デメリットがあるのか、改めてお聞かせください。

 

【知事】

北陸新幹線ということであり、今、金沢まで来ました。7年後は敦賀まで、その先は、できるだけ早く整備をする必要があるわけであります。

 元々の議論で何十年来、若狭ルートというのがありますので、これが正式で基本で、これが福井県、また北陸新幹線としても意味のあるルートになるだろうと思います。ですから、できるだけ早く、そして、コストがかからないように、かつ乗車料金も安くなるようにして、京都を通過して大阪着という、それが早く決定するということになりますと、小浜付近を通って京都、大阪というルートが最善であろうと思います。これは県議会も同様の見解でしょうし、県民の皆さんもそう思っておられるだろうし、また、北陸の方々も、そういう考えかなと思います。JRもそのようにお考えだろうし、そういう方向かなと思いますね。

 

【記者】

先日の与党の委員会の中でも、専門家の意見として、京都と新大阪の間を東海道新幹線と並行する形ではなくて、奈良のほうを回ったほうが経済的な効果も上がるのではないかという意見が出ていました。遠回りすればするほど福井県民としては効果が低くなるのかなと思いますが、仮に奈良を回るというような議論がまた出てきた場合に知事としてはどのようにお考えですか。

 

【知事】

新幹線というのは大きな事業であり、長年議論をしてきたわけですので、筋道をしっかり押さえて、国のプロジェクトとして方向を出すという基本を念頭に置き、国家の大きな事業として元の幹のところを間違わないように進めないといけないと思います。

 

【記者】

熊本地震に関連した県の対応についてお伺いいたします。

 熊本県では今、一般の住宅も多く損壊して、災害の拠点の施設となる自治体の庁舎も壊れて使えなくなるという事態が相次いでいます。福井県内の市町の庁舎について取材をしたところ、17市町のうち7市町で耐震工事や建て替えが必要であるということがわかりました。具体的には、高浜町や越前市のように既に今の古い庁舎を取り壊して新しい庁舎の完成年度まで示されているというところもありますが、敦賀市や池田町、越前町などは、財政的な理由があることから補強工事や建て替えの計画にも着手できていないという市町もあるようでした。

 市町の庁舎というのは災害時の拠点となる施設となるかと思いますが、こうした場所で対策が進んでいないところがあるという現状について、知事はどのようにお考えですか。

 

【知事】

個別の市町の事情は詳しく承知しておりませんが、それぞれの市町で庁舎とかそういうものを建て替えるというのはなかなか大変でしょうから、いざというときにはこの場所でやるという計画というか、そういう実態になっていると思います。そういう中で耐震が必要なものについてはできるだけ早く整備をしていくということで、これまで我々も進めているわけなのです。ですので、個別にそれが今どうだというような話はちょっとしにくいですね。

 できるだけやっていただかないといけないことですが、ただ、そうできない状況でも、いざというときにこういう体制をとるということは用意しておくことが必要だと思います。我々も、この県庁がだめだったら違う場所でやるとか、いろいろ代替案は持っているわけですし、もちろん耐震もあるけれども、建物は立派でも、エネルギー関係、そういうものも全部、ちょっとした水の供給とかあるいは電気の供給が狂うとそれができなくなりますから、そこも押さえてもらう必要があると思います。

 

【記者】

今回の熊本地震を踏まえて、県の施設の耐震状況を改めて調べたりとか、調査される検討をされていればお伺いしたいのですが。

 

【知事】

元々昭和56年以前の建物については耐震を進めているし、特に、子どもたちを中心に学校の施設、あるいは福祉、そして市役所なんて一番やりにくいところが今残っているのではないかという話かと思います。

 越前市もこれから建物を建て直されるわけですから、そこで解決すると思いますが、災害はいつ起こるかわかりませんので、その間、どこの建物でやるのか、この建物の中でもここだけは大丈夫だということになるということだと思います。

 

【記者】

原子力防災の件でお伺いします。

 熊本地震の被害状況を見てみますと、やはり主要な幹線道路の交通が寸断されたり、家屋が倒壊して屋内に避難できないという事例が現実に出てくるわけですけれども、そういうことを受けて、さらなる避難経路の複線化、あるいは屋内退避がしたくてもできない人のための避難施設をさらに充実するなどの対策をこれから充実していく必要もあると思いますが、熊本地震を踏まえて県が今後原子力防災についてどのように充実していくかという基本的な考え方がございますでしょうか。

 

【知事】

これまでも避難といいますか、制圧、両方ですけれども、特に原子力などについては経路の複線化を今やっているわけです。あと数年で完成しますし、それから、少々のことでもそこを排除して物をよけて運んだりする、そういう体制の強化も一方で必要かと思います。そういうことも考えなければならないだろうと考えます。

 

【記者】

現段階で、高浜原発の避難計画だけではなく、次に、大飯、美浜、敦賀につくっていくと思いますが、現高浜の計画を急いで修正しなければいけない点などは何か今お考えがありますか。

 

【知事】

そういう避難の計画等々についてはそれぞれ個別にいろいろあるものですから、おそらく今回の熊本で、全国もそうかもしれませんが、どういうところを直したらいいのか、気をつけなければいけないのか、そういうことが出てくると思いますので、そういうのを見た上の話になると思います。

 

【記者】

新幹線について、県と県議会で最近中央要請を何度かされていると思います。敦賀以西ルートの国土交通省への発注が出るタイミングに合わせてなのかなと思いますが、今そういう中央要請に力を入れているという理由を教えていただきたいのですが。

 

【知事】

例年、年度ごとに期成同盟会の大会を行うのはこれからの時期なのです。2月議会も終了し、県議会の決議もありましたので、改めて新年度に入って念を押すという意味で活動しているということかと思います。

 

【記者】

熊本地震が発災したことについて何かコメント等があればいただきたいのですが。

 

【知事】

今のところの判断では直下型地震ということでしょうから、被害の地域は限定をされるが、その地域は厳しいと。昭和23年の福井地震では死者数が4,000人とか、桁は違いますし、また時期も違いますから。戦後間もなくですからほとんど周りの支援はなかったわけでありますから。それから、関東の直下型地震というのもおそらくよく似たタイプになるかもしれません。そうなると、あの地域はまた全然別の議論になるでしょうから、その場所場所で状況は違うと思いますが、今回の熊本については職員が現地にも行っておりますし、今日もまた昼から連絡会議を設けて、これまで26人、現場に行っていろいろな情報もとっております。そういうものを受けてどういう結果になるのか、まだ全体が見えませんので、もう少し様子を見て、中身によってこれをどう反映するかということになると思います。

昨年、茨城県で鬼怒川の水害がありました。あのときは、ボランティアが現場で全然できていないからというので、福井県がボランティアの指揮官みたいな機能を果たす職員を送りましたけれども、今回もボランティアの局面が今がよいのかどうかということもありますし、専門家がいないみたいですから、送らないといけないのかなと思っています。既に先遣隊は行っているのですが、あまり遠いところからいろいろやるのもどうかなと思います。行き帰りに大変ですし、むしろ福岡といいますか、九州の中でしっかりやっていただかないと、まず第一は。九州で全力を挙げて、我々は周辺からサポートする。どうしても手が回らないときには専門家を派遣する、こういうことだと思います。

 

【記者】

核燃料税の改定の検討を県で進めていると思いますが、敦賀市では、県のそういった表明が事前に相談なく唐突に出てきた感じがあるという受けとめをしているという話もあり、ほかの県を見てみると市が徴収しているところもありますが、県が徴収する意義というのは、知事はどういうところにあると思われますか。

 

【知事】

今度の使用済燃料課税は、まだ結論が出ていませんが、県外へ中間貯蔵施設を移してほしいということであり、それなどを根拠にした一種の租税負担を求めるということでありますので、先例がないわけです。他の自治体がやっているのは、そこにあるそれについて財政需要があるから負担を求めるということで、タイプが違うと思いますし、県外への移設ということですから県全体で考える必要がありましょうし、事柄は割合単純ですが、技術的には県でいろいろ議論したあと、市町とご相談したほうがよろしいかなという、そういうタイプのものだと思います。

―― 了 ――

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

知事公室広報広聴課

電話番号:0776-20-0220 ファックス:0776-20-0621メール:kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)