知事記者会見の概要(平成28年6月1日(水))

最終更新日 2016年6月1日ページID 032962

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平成28年6月1日(水曜日)
14:00~15:00
県庁 特別会議室

 
H28.6.1知事写真
  

    

 

 

 

【知事】  

 全体で5項目、私からお話がございます。

 最初は、ふるさと教育の推進についてであります。

 昨年つくりました「教育に関する大綱」および「教育振興基本計画」では、ふるさと教育をさらに進めるという方針を示しております。そして、このほど中・高校生向けのふるさとの先人、偉人たちを学ぶ教材、それから、小・中学生の古典の学習教材が完成したほか、図書の小・中学校への巡回貸し出しを合わせ、この3つをふるさと教育の中で行おうということで、3つのお話をいたします。

〔資料:ふるさと教育の推進について

 まず、ふるさと福井にゆかりのある先人の業績、エピソード、また、子どもたちがこれから世の中を切り開いていくときに役に立ち、参考になるようなことを掲載した教材「ふるさと福井の先人100人」を作成いたしました。

 教材には、特に幕末では橋本左内や由利公正、最近では南部陽一郎先生、あるいは白川静先生といった、ふるさとの福井、日本を創ってきた代表的な人物を掲載いたしております。この教材では単にこうした先人たちの業績の紹介をするだけではなく、その人物たちが光り輝いていた、あるいは苦闘した、あるいは悲劇に遭った、そういう時期のエピソード、子ども時代や青年時代の成長の様子、時代背景や福井県内のゆかりの地などを掲載し、子どもたちが興味を持つきっかけにしたいと思うのです。

 今月上旬には全ての中学生と高校生に配付し、歴史や国語の時間はもちろん、道徳やホームルームの時間にも活用し、ふるさとの先人が困難に立ち向かったとき、どのように考え、行動したかなどを学び、自らの将来を考える契機としてもらいたいと考えています。

 100人ということですが、他の県に比べると、偉人が非常に多いのです。近いうちにまた文章の書き方とか、いろいろな資料とか写真とか、やや改善をしたほうがいい部分もあり、普通のハードカバーで出すとか、いろいろな工夫も追ってやりたいと思っております。

 次に、「古典音読・暗唱ノート」の話であります。

 福井県では平成30年から英語の小学校での教科化を国に先行して実施する予定ですが、今後こうした外国語教育を進めるとなりますと、逆に日本語できちんと考える、書くという能力がおろそかになってはいけませんし、両方しっかり学ぶことが重要だと考えます。

 このため、子どもたちが日本語の美しい表現やリズムに親しみ、我が日本の伝統的な言語文化の学習を充実させることを目的に、「古典音読・暗唱ノート」の小学校版、中学校版をつくりました。小学校版は杉田玄白が表紙になっております。蘭学事始めほかたくさんの本を書いておられる人であります。それから、中学校は由利公正が表紙に出ています。

 皆さん方も大概習ってこられたようなものばかりだと思いますが、春の七草とか秋の七草になりますと、少し、覚えないとできないかもしれないと思いますね。付け足し言葉とか早口言葉とかもありますし、百人一首は本県からかるた名人が誕生しておりますことから、小学生は、ほぼ何首かは言えるような状態であります。ことわざとか俳句なども載っています。

 中学校は漢文なども入っておりますし、平家物語や方丈記の出だし、徒然草、更級日記などが載っています。徒然草は、「つれづれなるままに」という最初の部分ではなくて、子どもたちに役立つような百五十段の「能をつかんとする人」が載っています。更級日記や万葉集も福井県に関係することなど、さまざま入れてあり、大人にも使っていただいたら結構かと思います。

 今月中に全ての小・中学校に配付し、小学校3年以上を対象に、授業や朝の会で音読・暗唱活動に使っていただくということになります。頭のやわらかい、記憶がよくできるときにこうした日本語が自然に頭の中に入るようにと、考えています。

 3つ目は、図書の巡回貸し出しであります。

 読書の好きな子どもを増やし、読書を習慣化するとともに、いろいろな学力の基本になる読解力や考える力、想像力を育てるために、古典をはじめとするふるさと文学などの中から学年ごとに2冊の図書をクラス人数分用意して、県立図書館から県内全小・中学校に巡回をさせます。みんなで一斉に2週間ぐらいその本を読んで、これをもとに次の自分自身の読書活動へのきっかけ、ベースにしてもらうということです。全員で本を読み通すことにより、達成感を味わい、また、クラスで感想を語り合う、週末に親子で読書するということを奨励してまいりたいと考えています。

 

 2つ目は、観光客入込の様子、また、これに関連した伝統産業の越前和紙に関連した事柄であります。

 観光客の状況について、平成27年1月から12月までの福井県の観光客入込数でありますが、前年比12%増の1,270万9千人と、実人数の推計を一定の計算で行っている平成元年以降最高の入込客になりました。そのうち県外客は20%増ということになります。

 観光客が増加している要因ですが、去年3月の北陸新幹線金沢開業、中部縦貫自動車道の北陸道との接続、7月の京都縦貫道の全線開通などにより交通の利便性がさらに高まったこと。また、プロジェクトとしては首都圏における集中的なプロモーション。市、町、近隣府県と連携し7月から11月まで開催した「海湖と歴史の若狭路キャンペーン」、それから、10月から12月の北陸デスティネーションキャンペーン。これによって、北陸あるいは福井の注目度が向上したことなども背景にあるかと思います。また、道の駅三方五湖(若狭町)や赤レンガ倉庫(敦賀市)、グリフィス記念館(福井市)のオープン、あわら温泉130周年祭などのイベントも影響しているかと思います。

 なお、詳細については、後ほど観光営業部から関係資料を提供させたいと思っております。

 それから、首都圏のプロモーションのお話を1つ申し上げます。

 今年に入りましても、ゴールデンウイークの県内主要観光地の入込客は昨年と比べると若干の増という状況で好調を維持していますが、この流れをさらに伸ばしていくために引き続き首都圏のプロモーションを行います。

 まず、6月上旬と7月中旬にJR東日本の主要駅、約120の駅において「FUKUI HAPPINESS(フクイ・ハピネス)」のポスターを掲示いたします。東京、新橋、渋谷、上野、秋葉原、目黒、大宮、吉祥寺、千葉、津田沼などの駅であります。

 また、8月上旬には、JR上野駅において恐竜骨格の展示、ジュラチックキャラクターによる恐竜王国福井のPRを行います。それから、福井の食の魅力を紹介する出向宣伝を行うなど、首都圏でのプロモーション活動を強化してまいります。

 それから、もう1つですが、この夏、福井県と県和紙工業協同組合が協力し、さらに墨絵の作家であります西元祐貴さんの協力も得て、本県の越前和紙の魅力発信と首都圏からのプロモーションを実施したいと思います。これは7月から2か月間、東京の目黒にあります目黒雅叙園でのアートイルミネーションイベント、「和のあかり×百段階段」展に、西元さんが越前和紙に描いた作品を初めて出展するというものです。

〔資料:越前和紙の魅力発信と誘客拡大について

 目黒雅叙園のこのイベントは昨年が第1回目だったそうですが、約1か月余りで6万人の来場客があったと聞いておりまして、今年は2回目ということになります。そこに出展をするわけであります。

 墨絵作家の西元さんは、月の半分は福井市内のアトリエで創作活動を行っており、国内外でも墨絵アーティストとして知られています。NHK「ニュースウオッチ9」のオープニングビジュアルにも登場しておられると聞いております。

 

 3点目ですが、県立大学における日本古生物学会の開催をきっかけに恐竜学研究をさらに強めようというお話であります。

〔資料:2016年日本古生物学会年会・総会

 日本古生物学会というのは昭和10年にできた、古生物学の進歩および普及をはかる学会であり、研究成果発表の場として毎年6月に総会を開いているということです。福井県では平成14年度に1回開いているのですが、今回は2回目であります。前回の14年は県立恐竜博物館で開かれましたが、今回は県立大学恐竜学研究所が中心となって準備をしているものであります。ですので、主に県立大学の講堂やホールでいろいろなことが行われるということになります。平成25年4月に恐竜学研究所を県立大学に開設してから3年後に誘致ができたということでありますので、これは新種のイグアノドン類がタイとの共同発掘によって発見されたなど、いろいろな成果が背景にあろうかと思います。

 6月24日から3日間ですが、第一線の古生物学者およそ300人が参加します。国際シンポジウムは、講演者に恐竜博物館の職員もおりますし、浙江省、ポルトガル、カナダ、アルゼンチン、アメリカなどの著名な研究者を招いております。それから、一般の普及のための講演会なども行われます。

 今回は、恐竜学研究所、恐竜博物館の研究者が欧米や中国の研究者とともに「恐竜の繁殖」をテーマに最近の知見を発表します。恐竜は雄雌がどちらというのがわからないということなどいろいろなトピックがあるのだと思います。

 最終日には、県民の方にも最近の知見に触れてもらえるように国際シンポジウムの発表の内容をわかりやすく紹介する普及講演を予定しておりますし、学会の会員向けには野外恐竜博物館の見学会を予定しております。

 恐竜学研究所では、昨年、勝山市北谷において発見された日本初の原始鳥類の全身骨格化石をデジタル上で3次元に復元し、恐竜から鳥への進化過程の解明に役立つよう計画をしているということであります。

 

 4点目ですが、県内企業の宇宙産業参入促進についてであります。

〔資料:県内企業の宇宙産業参入促進について

 県では、超小型人工衛星の開発、打上げを支援するプロジェクトを推進しております。打上げを平成31年度に予定しており、企業が主体となった技術研究組合をつくり、設計に着手できるよう準備を進めております。国が民生分野における宇宙利用や市場創出を進める中、本県としても新たな産業として応援をする絶好の機会だと思います。

 現在、この分野では25社の参画を得ていますが、この4年間、31年度までに50社に増やしたいと考えており、そういうことを狙いながら7月4日、セミナーをハピリンホールで開きます。セミナーには超小型人工衛星のリーダーであります東京大学の中須賀真一教授を招き、県内企業に世界の産業動向、市場ニーズについて講演をしていただく予定です。また、元宇宙飛行士の山崎直子さんには、宇宙での体験をお話ししていただき、県内企業に宇宙への関心を高めていただきたいと思っております。

 なお、山崎さんが国際宇宙ステーションに勤務した折、身につけていた、宇宙船内のソックスは、県内で生産されたものであります。

 さらに、宇宙分野へ参入する企業が増えるようにすることが重要ですので、開発すべき部材の選定、研究開発など、工業技術センターの設備を今整備しており、その設備の充実と相まって、技術を通して県内企業を支援し、人工衛星の組立て、製造、利用のシステムの受注につながるように努めてまいりたいと思います。

 

 それから、最後5つ目は、原子力防災訓練についてであります。原子力防災訓練につきましては、既にさまざまな訓練を行っているわけですが、さらに、高浜地域の県境を越える住民参加の広域避難訓練について、8月27日に実施することを予定しております。現在、具体的な訓練内容について、この高浜については国も参加する訓練になりますので、国、それから広域ですから、関係府県と調整を進めているという状況であります。

 また、大飯地域につきましても、この27日の翌日、28日に住民参加の訓練を実施することで検討をいたしています。

 私からは、ご説明は以上であります。

 

~質疑~

 

【記者】

 観光客の入込客数について、平成元年以降最高の数字ということですが、空前の北陸ブームとも言われた中で、1,270万9千人という数を知事はどう評価されますか。

 

【知事】

 新幹線が金沢まで来たという中で、これだけ伸びているということは、予想をかなり上回る状況かと思います。福井には誰もいらっしゃらないのではないかというような議論もありましたが、ちゃんと来ていただいておりますし、北陸全体が富山、石川、福井として認識をされておりますし、逆にまだこれから、福井、敦賀までということですので、さらに伸びていくであろうと、あるいは伸ばさなければならないと思います。

 今は全体的にインフラの整備を、新幹線、それから中部縦貫道、それから石川、福井との県境道路、それから滋賀県との関係、あるいは冠山道路、みんな県境に関する道路が整備されますし、町ごとの観光や地域おこしに関係する拠点的な施設もこれから整備されますので期待が大きいです。その期待が現実となるように努めたいと、そんな感じを持っています。

 

【記者】

 原子力防災訓練について、8月27日は、国とか関係の3府県とかが参加して、福井県の30キロ圏内の住民が、県外避難先の兵庫県を想定して避難する訓練になるということですか。

 

【知事】

 大体そういうような、全体のフレームでよろしいかと思います。

 

【記者】

 それは兵庫まで行くということですか。

 

【知事】

 そうですね、そういう訓練になると思います。

 

【記者】

 移動手段とかはまだ決まってはいないですか。

 

【知事】

 具体的にちょっと詰めないといけないです。相手との関係もあると思いますので。

 

【記者】 

 大飯原発の8月28日は、県が主催の訓練ですか。

 

【知事】

 これは、国は今のところは参加しないだろうと思います。

 

【記者】

 例年やっている、県の訓練ですか。

 

【知事】

 ええ、県としての訓練ということになります。

 

【記者】

 これは、大飯原発から30キロ圏内での訓練ですか。

 

【知事】

 これは今、他の県との調整もやっているのですが、必ずしも確定はしていませんので、その段階で、できるだけ確定した範囲でやるべきかなと思います。

 

【記者】

 これも住民避難ということですか。

 

【知事】

 そうですね。

 

【記者】

 それは県外への避難もあるということですか。

 

【知事】

 それは、相手の県との関係がありますので、高浜の大きい訓練とはややレベルが違うことになるかもしれません。

 それからこれは、福井県内での避難は確定をしておりますし、念のためにやるというのは広域避難になりますので、二重にやるわけです。そういう観点の中で、できるだけ安心できるようにしたいということでございます。

 

【記者】

 2日続けてやるということですが、27日は、昨年12月に国の原子力防災会議で広域的な計画が決まったことを受けてやられるということなのでしょうが、8月28日の大飯はどうして、翌日にこういう形でやるのかを教えてください。

 

【知事】

 東日本大震災以後、他の敦賀と美浜、高浜は既に福井県独自にやっていますが、大飯はまだ実行していなかったと思いますので、今回行うということになります。

 なお、次の日というのは、そのほうが訓練実行者の中で訓練の体制や意欲、あるいは相互の違いというものをクリアに認識できて、効果が上がるのではないかと思いますので、そのようにいたします。

 

【記者】

 「ふるさと福井の先人100人」について、具体的に子どもたちにどういう学びへのヒントですとか、愛着を持っていってほしいという思いがあるのか、もう一度教えていただきたいという点と、他県にはないような福井ならではの教材になっているのかという点も、教えてください。

 

【知事】

 例えば由利公正ですが、由利公正が何をしたということよりも、莨屋旅館というところで由利公正と坂本龍馬が対談するのを、土佐弁と福井弁でやっていると書いてあります。こういうふうに臨場感を持ってつくっていて、子どもたちが関心を持てるように工夫して書いております。

 また、近松門左衛門とか、こういう有名な人はともかく、奇術師の松旭斎天一とか剣豪の佐々木小次郎、外国人ではグリフィスさんとか、木戸孝允の奥さんの木戸松子さんとか、秋山徳蔵さんなどあらゆるタイプの偉人などを掲載しています。

 

【記者】

 子どもたちにイメージしてもらって、どんどん自分の将来に役立ててほしいというお考えでしょうか。

 

【知事】

 そうですね、基本的にエピソード方式に書いてあり、単に社会科の教科書のようには書いていないのです。

 例えば橋本左内は25歳で亡くなっていますけれども、山本周五郎の「城中の霜」という小説に掲載されている、橋本左内の幼馴染で、いとこの女性の話とか、あるいは処刑を受けるときに、その牢から出るときの態度などそういう微妙なことが書いてあります。普通は牢を出るときには、気が動転してまともに歩けず、狭い牢の隙間に体をぶつけて出るのが100人中99人だったそうですが、唯一、橋本左内はすっと出たという、そういうエピソードが残っております。

 要するに、先人とか偉人というのは、偉いとか立派だというだけでおもしろくないですね、それでは子どもに興味が届きませんので、いかに届かせるかというのにポイントがあると思います。そういう教材が今まではできておりませんから、これを教育委員会がチャレンジしたということだと思います。

 

【記者】

 原子力防災訓練を大飯でやることの狙いに関連して、国の地域原子力防災協議会の中で、高浜エリアが終わった後に、次は大飯かみたいな話が出ていたのですけれども、今回、夏にやるというのは、次の大飯エリアの防災協議会の動きをにらんだものなのか、あるいは再稼働のスケジュール等をにらみながらなのか、お伺いします。

 

【知事】

 これは、特に思惑を持ってやっているものではなくて、まだやっていないところとか、やる必要がある、そういうところを絶えず進化させながら訓練するというのが必要と考えて行うわけです。広域でやったからそれでよかった、そんな話にしてはいけませんから、充実をしていくという意味で、可能なところからできるだけやっていくということです。

 

【記者】

 大飯エリアの協議会の中でも8月の訓練で出た課題は反映させていくということでよろしいですか。

 

【知事】 

 具体的にやるときにそういうものをできたら反映したいと思います。

 

【記者】

 27日の3府県、高浜エリアのほうの訓練で質問します。

 具体的な訓練内容については、調整を進めているとおっしゃっていましたが、現段階で避難以外にこういった訓練内容を検討しているとか、枠組みで決まっていることがあれば教えてください。

 

【知事】

 後ほど、フレームとか項目を提供いたします。

 

【記者】

 高浜3、4号機が1月、2月と再稼働して、今は停止していますが、今回の広域の訓練で確認したいことは何ですか。

 

【知事】

 広域的な避難というのはこれまでもやっていませんし、そして、30キロというのはいろいろな議論もある。それから、避難先の自治体、あるいは自治体のどこの場所が避難先かということを決めてありますので、それがどの程度訓練で実行可能かとかいうことをやりたい、それがポイントですね。

 

【記者】

 例えば、他県に住民の方が行くわけですから、あちらの県との連携の確認が必要ではないですか。

 

【知事】

 そうですね、ただ、福井県と受け入れの自治体との関心の強さとか、いろいろなことが現実的にあるでしょうから、そういう中でできるだけ相互に理解をしながら進めるということだと思うし、また、兵庫とかこういうところへの避難は、一方的でなくて、熊本の地震などの災害を見ておわかりのように、どの災害がどこで先に起こり、どちらが大きいとか、どちらが小さいというのはわからないわけですので、お互いに応援しながら土地勘を持ってやりとりをしたいと思います。

 

【記者】

 観光客の話について、政府は外国人観光客、インバウンドをこれから伸ばしていかなければいけないと言っていますけれども、今回、観光客が増えたということで、このインバウンドの部分に関しては、今後、どのように取り組んでいこうとお考えでしょうか。

 

【知事】

 特にインバウンドについては極めて重要であり、これは、昨年のミラノの万博など、いろいろなことでそういうことを念頭に置いておりますし、タイのバンコクに事務所を設けているのもそういう意味であります。あるいは香港でのいろいろな商談会ももちろんいろいろなものを売るということもありますけれども、こちらに来てほしいということを今、進めているわけであります。

 ですので、インバウンドは北陸、あるいは福井にとっては可能性、潜在力のある分野であり、特に力を入れたいと思っています。

 

【記者】

 潜在力がある分野ということですが、福井の持つコンテンツで特にインバウンドを意識して今後、発信していきたいものは何ですか。

 

【知事】

 永平寺の禅、あるいは和食とか、そういうことがかなりパワーとしてあるかなと思います。また、昨日、今日と食についてのいろいろな動きがあります。ミシュランガイドと並ぶフランスで歴史のあるレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」の日本版が12月に発刊されることになり、日本版1号が福井を含む北陸3県を紹介することとなりました。昨日発表され、今日編集者が福井を訪れています。「ゴ・エ・ミヨ ジャポン」は、地域の生産物を大事にするとか、人を育てていこうとか、地方を大事にしようということで、ミシュランとはまた少し趣が違うようですが、こういうものを通して多くの人に来ていただくということになるかと思います。

 

【記者】

 県として目標は1,300万人ということですが、今回1,270万人と結構近いところまで数字が来ていますけれども、目標の設定というのはこのままいかれる感じですか。

 

【知事】

 できるだけ高い目標にしたいと思いますが、観光はパワーがついていますから、そういうものをすぐ乗り越えてしまうという可能性が高いですよね。まずは目標をある程度高くつけながら、それをどんどん越えていくというような状況かと思います。

 

【記者】

 消費税引上げについて、本日、安部総理が増税再延期を表明する予定で、県税収入の面でも影響が出るかと思います。知事のお考えをお聞かせください。

 

【知事】

 消費税の問題は、国あるいは地方の財政健全性を維持するという側面と、税が経済に与える影響、実態面あるいはマインド面、さまざまありますので、一概には言えないところです。

 したがって、我々としてこれはどちらがいいのだとか、一方的に言うような事柄ではないと思いますので、国の動向を十分見ながら、今後、地方財政の運営に支障がないように国に対し適時、必要な要請、要望をしていくというスタンスかと思います。

 

【記者】

 特に県の収入面に与える影響を試算されているのでしょうか。

 

【知事】

 消費税の引上げによってどれくらいのプラスになるかというのは、80億円のプラスになります。軽減税率の計算もありますから、アバウトで80億円前後引き上がるということです。

 ただ、一方で景気が悪くなると経済活動が減り、税収が少なくなりますので、そういった影響を全く受けないという場合の話であります。

 

【記者】

 核燃料税の見直しについて、今回、使用済燃料を県外に早期に搬出するよう搬出促進割という新たな税制を取り入れられたと思いますが、その狙いと、導入することによって本当に使用済燃料が県外の搬出につながっていくのかどうか、そこの考えをお聞かせください。

 

【知事】

 これは、端的に言いますと、使用済燃料の県内での貯蔵を常態化させないための政策税制であり、税収をメインの目的にするというものではないわけです。それで、使用済燃料の再処理を促進するという国の核燃料政策の全体の動きがありますから、その政策と合致する税制であろうと思います。

 もちろんこの税制だけでなく、地元は使用済燃料の貯蔵まで引き受ける義務はないとう趣旨の「県外への搬出」を実行するためには、いろいろな計画なり、さまざまな働きかけなり、あるいは主張なり、いろいろなことを並行的にやる必要がありますし、何といっても事業者の努力、そして、エネルギー政策で、いろいろな議論を政府が責任を持ってやることを促すものであると思います。

 

【記者】

 北陸新幹線の敦賀以西ルートについてお尋ねします。先日の、建設促進大会と中央要請で、年内のルート決定に向けて政府・与党関係者と概ね考え方は一致したと思いますが、小浜京都ルートの実現に向けて今後どのように取り組んでいきたいと思っていますか。

 

【知事】

 10月末ごろまでに、この小浜京都ルートを含めて、3つの案について、客観的なデータに基づく国の調査結果がまとまる予定なので、その結果を実質的には待つということになります。我々は小浜京都ルートが最善だと思いますので、その間も、待っているわけではなくて、さまざまな機会を求めてその方向を目指す、そして、調査結果が出た後には年内決定を強く働きかけたいと思います。

 そのほか、いろいろな国政の選挙などもありましょうから、十分ご議論を願い、県民の関心あるいは県民の声を反映させていただいて、政治の中で実行されるべきものだと思います。

 

【記者】

 その一方で、建設財源の確保が課題になってくると思います。自民党の中では財政投融資の活用を議論していくということですけれども、財源の確保について知事のお考えをお聞かせください。

 

【知事】

 財源については、鉄道に対する公共事業費というのは少ないですから、それを増やすという議論、あるいは、敦賀-新大阪間の貸付料を前倒し活用する、あるいは、既に開業している区間の貸付料算定期間というのは30年ですから、それをもう少し長くするなど、いろいろな方法はあると思いますし、今、ゼロ金利という状況ですので、財政投融資を何かうまくできないかという議論は、客観情勢としてはあり得るかなとは思います。

 一方、リニアなんかでもいろいろな議論が出ていますが、新幹線はそれより先の議論ですから、当然、それに遅れをとるような財源措置ではいけないと思います。

 

【記者】

 「もんじゅ」についてお伺いします。

 昨日、文部科学省の検討会が、運営主体に必要な要件の報告書をまとめて国や県にも報告されているかと思いますが、「もんじゅ」については、運営する組織の体質が今の原子力機構になる以前から長年にわたって問われ続けていて、看板の掛け替えだといった批判もされているかと思います。遂には「これが最後の機会だ」という言葉も出てきているわけですけれども、今の文部科学省あるいは政府の最も足りない視点とか姿勢はどういうところだと、知事はお考えですか。

 

【知事】

 大体、拝見しますと、エネルギー研究開発拠点化計画に書いてあるようなこととかなり重複していると思いますから、それ自体として1つの方向だと思うのです。

 しかし、一方で、自治体としてあえて言いますと、今回の提言などをもとに、文部科学省のみならず、経済産業省、それから政府を含めて、もう少し一丸となった決意と体制のもとでこれを行わないと、なかなか厳しいものがあるように思います。これは「もんじゅ」が役に立つかどうかというかなり最後の機会に近いと思いますから、そこをよくわきまえてやるべきかなと思います。

 あとは、研究開発炉とかいろいろな議論もエネルギー基本計画にあると思いますが、今、大学にある研究炉というのは非常に小さいですし、どれくらいの効果があるか、研究成果があるかということはちょっと疑問なところもありますから、こういう「もんじゅ」などの一連の中でいろいろな議論があっていいのかなと思っております。

 

【記者】

 福井県では、「もんじゅ」を中核にしたエネルギー拠点化計画がありますし、「もんじゅ」だけではないですけれども、原子力をいかに地域の発展につなげるかということに長年取り組んでこられたかと思うのですが、「もんじゅ」がこの20年以上にわたって本来の役割を果たせない状態が続いていることによって、立地地域として不利益を被っているものがあれば、教えていただけますか。

 

【知事】

 これは、動いていないということが、そして、課題があるということがマイナスです。

 

【記者】

 「もんじゅ」が福井県にあることによって、これまで福井県の地域振興にはどういったメリットとか地域に貢献してきたことがあると思っていらっしゃいますか。

 

【知事】

 「もんじゅ」については最終的な原子力発電所ではありませんから、そういう中で国は一定の方針を示していますので、それをいかに実現するかということだと思います。もしそれを何か実現できないという理由があるのだったらはっきりしないといけませんが、それはそうではなくて、いま一度頑張っていこうという趣旨でしょうから、それに従っていろいろ議論すべきであろうと思います。そのいろいろな議論は、むしろ我々が拠点化計画で言っているようなことが書いてありますから、それはそれで1つの方向かなと今申し上げたわけです。

 

【記者】

 原子力政策の国民理解に関してお伺いします。

 昨年の高浜3、4号機の同意でも原子力政策の国民理解というのは国に求めてこられたと思うのですが、この半年間に、経済産業省が全国でシンポジウムを開いたり、「もんじゅ」で文部科学省がいろいろ報告書をまとめたりしています。実際、そういった国民理解が原子力政策に関して進んでいるとお考えなのか、国民理解を進めようと政府が動いていると実感していらっしゃるかどうか、伺います。

 

【知事】

 今いろいろなことをされてはいますが、まだまだ十分ではないと思います。いろいろな説明、あるいは、プロジェクトの実行体制とかに真剣に立ち向かってやらなければ、エネルギー基本計画に書いてあることに応じた政府の姿勢なり実行体制には十分なっていないかなと思います。

 

【記者】

 姿勢がやはり不十分だということですね。

 

【知事】

 ぜひ実行してほしいと思います。

 

【記者】

 「もんじゅ」の関連の話で、研究炉について、「もんじゅ」など一連のいろいろな議論の中であってもいいのかなというのは、福井県内に研究炉を誘致するという考えのもとでおっしゃっているということですか。

 

【知事】

 そうではないです。それは全体の政策としてどのように目指していくかということですね。

 

【記者】

 40年超えの高浜1、2号機について、規制委員会が60年運転を認める運転延長の審査書案の取りまとめに入って、7月7日の期限内の合格が見えてきたというところまで来ています。工事に時間が大分かかって、再稼働というのは結構先になりますが、福井県の地元判断として60年運転をどう捉えるのかというのは、工事を待ってやるのか、それとも、7月7日認可されて、規制委員会が合格ときちんと出した後にやられるのか、どういった考えがあるのかお聞きしたいです。

 

【知事】

 具体的なものが決まらない段階で、抽象的に、40年ではなくて60年はいけないとか、いいのだとか、そういう判断はちょっとしかねる話題です。やはり、ある程度、話を煮詰めていって、これで安全なのかとか、体制は十分かとか、そういうことが必要だと思います。県原子力安全専門委員会の中川委員長も同じ考えではないかと思います。

 もうちょっといろいろな手続や問題点をはっきりして、ここは大事だ、ここは課題だということにならないといけないと思います。学問的に何か、50年だとか、55年だとか、いや、40年なのだとか、そういう議論ではないと思います。

 

―― 了 ――

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