知事記者会見の概要(令和元年11月27日(水))

最終更新日 2020年1月23日ページID 042953

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令和元年11月27日(水曜日)
10:30~11:25
県庁 特別会議室

知事191127

 

 

【知事】  

 最初に私から1点ご報告をさせていただきます。

一乗谷朝倉氏遺跡に係る奈良文化財研究所との長期の連携研究についてでございます。

資料:一乗谷朝倉氏遺跡に係る奈良文化財研究所との長期の連携研究

 一乗谷朝倉氏遺跡の保存技術の確立に向け、独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所との間で、連携研究を行います。一乗谷朝倉氏遺跡の特別名勝となっている朝倉館や諏訪館跡庭園を中心として、展示保存の形でも遺跡の劣化を防ぐ手法について連携研究を行うということで、12月24日に連携研究協定を締結いたします。

 スケジュールについては、事前調査を来年度1年間、そして5年間にわたって連携研究を行います。奈良文化財研究所と一乗谷朝倉氏遺跡資料館に研究員を配し、調査を行い、そのノウハウを県の資料館として蓄積をしていきます。

 ご存じのとおり、一乗谷朝倉氏遺跡は約50年前、昭和42年から発掘調査を行い、1つの特徴として、それを見える形で保存していくということを行ってきました。結果として、当然のことですが、劣化が進んでいく、また表面が剝離するというようなことがありました。こういった面では、我が国で唯一と言える高い技術力を持っている奈良文化財研究所と共同研究を行いまして、見える形の展示をする上での最善の方法を考えていきます。

 地方公共団体として保存技術を蓄積し、開発していくのは初めてのことになります。これからいろんな形で、文化財についてはできるだけ見える形で保存するということも進んできておりますので、全国に先駆けて行うことで、1つのスタンダードになると考えています。

~質疑~

 

【記者】  

 展示保存という言葉をおっしゃっていましたが、発掘したものを見える形で保存するという技術を持つということでしょうか。

 

【知事】  

 基本的には、諏訪館や庭園跡はそのまま残している、中世の遺跡の中でも一乗谷朝倉氏遺跡のように、見える形で保存されているところは、他にはありません。そもそも日本最大の中世の町の跡であることは間違いありませんので、今と同じように、遺跡に親しめるような環境にする方法を両方で学んでいく。例えば、遺跡に与える気象、水分や岩石の種類などの環境に関する事前調査を行い、季節ごとに長期間、奈良文化財研究所から来ていただいて、こういう時に風化するので防止にはこうしたら良い、水を避けるにはこうしたら良いなど、現地でいろんな指導をいただいたり、また一緒になって解決に向けて研究していくと聞いております。

 

【記者】 

 資料には研究員を福井県に派遣と書いてありますが、何人くらいのグループでしょうか。

 

【知事】  

 今伺っているところでは、奈良文化財研究所から4名、福井県から4名を出してスタートしようと思っています。いずれこちらも、受け入れのほうで必要があれば増員しながらやっていきたいと思います。高妻洋成埋蔵文化財センター長・保存科学研究室長を中心に、4名の方に時々おいでいただいて、長期間、現地でデータをとったり、それに基づく保存技術の開発をしていくと伺っています。

 

【記者】  

 今、県では、北陸新幹線の県内延伸を見据えて、文化などを活用して交流人口を増やしていこうという方針だと思いますが、その中で、この連携研究の意義について知事はどうお考えでしょうか。

 

【知事】  

 文化財の保存、活用というものは、ある意味、二律背反であるところがあって、文化財を大事にする気持ちをできるだけ大きくしていく。そういう観点から見てもらう、触れてもらう意義を分かってもらうという活動はとても大事だと思います。そのためには、元あった場所での露出で、ものが見られるということがある意味一番大事なことだろうと思います。

 一方で、50年露出でやってきた結果として劣化が進んでいる。今までは遺跡の上に土や水があったので劣化しなかったものが劣化していくわけですので、ある意味何かを制限しなくてはいけない。例えば国宝の文化財、美術品であれば、1年のうち展示を何回かに制限するなど、必ず紫外線をカットしなければならないということがあります。我々としては、できるだけ文化財を今のような形で、皆さんに大切にしていただく気持ちをつくり出すということも含めて、何とか保存、そして展示をしていきたいと思っていますので、今後長く遺跡が維持できるという状況にするための技術開発をするということは、とても重要なことだと思っています。

 

【記者】  

 奈良文化財研究所からは、高妻さん以外の研究員は、どういった専門家を派遣してもらうのでしょうか。また、県からカウンターパートとする研究員は、どういった専門の方を配置して、どこを拠点にするのかを教えてください。

 

【知事】  

 奈良文化財研究所から来られる方は、まさに第一線でご活躍いただいている方だろうと思います。詳細は12月24日の協定書の中で名前も含めて発表させていただきます。一方、県ではこういった分野に詳しい職員が手薄い状況でもありますので、今後、人員を少しでも厚くしていく方法を考えないといけないと思っています。具体的には、専門家の卵、専門的に始められているような方を県で採用するなども今後考えていきたいと思っております。

 

【記者】  

 一乗谷朝倉氏遺跡資料館には学芸員の方がいると思いますが、現時点で県にはそういう専門の方はいるのでしょうか。

 

【知事】  

 適切な保存に関する専門家といえる職員はいません。長年の経験の中で、何らかの保存、保全措置ということはできるようにはなっていると思いますが、レベルは大したことないと思いますので、今後、採用も含めて考えています。

 

【記者】  

 関西電力の金品受領問題について、先日、県が調査報告書を出しました。歴代の県幹部109人が受け取っていたことが分かりましたが、知事の受けとめを改めてお聞きいたします。

 

【知事】  

 今回の調査において、金品の受領が109名と言われましたが、いわゆる儀礼の範囲を超えていると認定されている方は29名ということです。そういったことについては、私としては非常に残念ですし、遺憾に思っているところでございます。

 そういうこともありましたので、21日の調査結果の発表があった日に、職員に対して厳正な処分を行いましたし、過去に勤めていた職員に対しても、処分相当であることの連絡もさせていただきました。

 今後につきましては、ある意味、頂いてしまったということから物事が始まっているということですが、やはり綱紀粛正、公務員としての心構えといったことをしっかりと再確認をすることに努めながら、さらに再発防止策として職員の倫理規程、もしくは組織的な対応が必要だったのではないかというご指摘もいただいておりますので、相談窓口を設けるなど、県として、組織として対応できるような体制をつくっていきたいと考えています。

 

【記者】  

 今回の調査体制では、十分踏み込んでいないのではないかという声もある中で、追加の調査をする考えはありますか。

 

【知事】  

 今回の調査の一番難しいところは、いわゆる刑事事件ということではありませんので、どうしても本人の理解を得ながら行っていくというところはあったと思います。強制力があるわけではありませんので、そういうことはあったと思います。

 しかし、私も弁護士の先生からヒアリングを受けましたが、他の例もいろいろ聞いたところでも、弁護士の委員の先生が疑問に思うようなことがあれば、きちっと質問も繰り返されておられましたし、状況を見ながらできる限りの対応をされていたのかなと思っています。

 今回、管理職について調査をさせていただいて、管理職になった、担当になった時からそういった事案が始まったということですので、とりあえず今の状況としては、こういう形でやっていくことかなと思っています。

 一方で、関西電力など他のところでもいろんな調査をするというようなこともございます。そういったところで何か進展があれば、それは柔軟に受けとめて、適切に対応していきたいと思っております。

 

【記者】  

 知事がおおい町での微住の際に調査結果の発表がありましたが、知事はいつのタイミングで報告を受けていたのでしょうか。また、事が重大ですので、県庁で職員に指示を出す、綱紀粛正を図るといった対応してもよかったのではないかという指摘もあるのですが、そういったことはしなかったのでしょうか。

 

【知事】  

 概要については、微住に行く直前に聞きました。それから大きな変更等はなかったので、そこで指示も出しましたし、調査委員会の委員の先生方の調査結果の表明でございましたし、これまでの例から言っても、こういった調査報告の後、副知事や総務部長であったりいろいろすると思いますが、前例に従ってさせていただきました。

 いずれにしても、私は県内におりましたし、常に話を聞きながらやらせていただきました。ですから、調査報告の後、皆様方の取材も受けたというふうに思っております。

 

【記者】 

 知事が報告書を受領したというタイミングはあったのでしょうか。

 

【知事】 

 報告書の受領は私は受けておりません。それは総務部長か誰かが受けたと思います。それは組織でやっていますので。

 

【記者】  

 109人ということになりまして、県職員の信頼にもかかわる問題です。原発については、40年超の再稼働等の問題もあると思いますが、県として知事合意など、県民の信頼を受けながら今、責任を持って対応できるような状況にあるとお考えですか。影響はあるかどうか。

 

【知事】 

 県民の皆さんの信頼の問題から言えば、全く影響が無いかと言えば、無いことは無いと思わざるを得ないと思います。そういう意味では、我々としては十分に反省していかなければいけないと考えております。

 とはいえ、県民の皆さんの安全をしっかりとお守りするということは、さらに大きな使命でありますので、こういったことについては、厳然として、厳格な立場で安全を守るというサイドでいろんな運用をさせていただきたいと考えています。そのためにも、今後、こういうことが起きないように、そういった体制はつくっていきたいと考えています。

 

【記者】  

 今回の調査委員会に関して、調査不足が指摘される要因の1つとして、委員を務めた方が県の顧問弁護士だったということがあります。行政の手続にたけているからという理由もあり、第三者性を保つということはなかなか難しいですが、県の顧問弁護士が委員を務めたことについてはどのように考えているのでしょうか。

 

【知事】 

 できるだけ早く調査には着手しようという考え方はありましたので、そういう意味で、受けていただける方を探して、顧問弁護士になったということも1つあります。ただ、今お話されたように、県政全体をよくご存じいただいているということは、調査にとって決してマイナスではないということ、それから、皆さんいろんなところで取材をしていると思いますが、私も調査を受けましたが、厳正にやられていたと思います。もちろん、弁護士法できちっと社会正義に基づいてやられるということが定められていますので、我々が受けた感想から言っても、なあなあでやっているという雰囲気は全くなかったと思います。最初にも申し上げましたが、強制力のない中で、最善を尽くした調査をしていただいたと思います。今のところ、調査についてそういったことを疑わせるような事例は私も聞いていません。

 外形的に見て、顧問弁護士であったということをご指摘される方がいることも、認識していますが、今のところ、特に大きな問題があったというようには考えてはいません。

 

【記者】 

 第三者委員会について、例えば関西電力は、国のガイドラインに沿って、調査委員会の弁護士を選定されていたかと思いますが、県の調査委員会はどういう過程で弁護士を選任したのか、改めてその経緯を教えてください。

 

【総務部長】  

 国のほうは弁護士協会か何かだと。県としては、知事が話されたとおり、できるだけ速やかに着手するという考え方のもと、県の行政に精通していらっしゃるということで顧問弁護士にお願いしたという経緯です。

 

【記者】 

 つまり、独立性については特に考慮せずに、今回の調査を行ったということでしょうか。

 

【知事】 

 個別に見て適任だと考えて行ったということです。

 

【記者】 

 関西電力の調査に進展があれば、それを受けとめて柔軟に対応していきたいというお話があったかと思いますが、これは何の対応なのでしょうか。

 

【知事】  

 今回の県の調査のきっかけは、新聞等で県職員の元幹部が金品を受け取ったらしいというような報道でした。ですから、関西電力も調査中ですし、高浜町もこれから調査されるということで、またいろんな報道等もあると思われますので、そういった状況の変化を踏まえて適切に対応していくということです。

 

【記者】  

 それは、新しい何かが判明すれば再調査もあり得るということでしょうか。

 

【知事】  

 それは、方法論までは申し上げることはできませんが、柔軟に適切に対応していくということです。否定するものは何もありませんので、再調査が必要であればするということも含めてということになります。それを今、必要性があると思っているわけではありません。

 

【記者】 

 先ほどから、強制力のない中で調査委員の方は最善を尽くしていただいた、厳正に調査していただいたという話をされましたが、この300人超を調査して3分の1の方が何らかの金品の授受があったということについて、109人という人数をどのようにお感じになられたのでしょうか。また、調査結果について、最高額で20万円相当が2人、そのうちの1人が小判でした。関西電力の調査では、小判はかなり上役が受け取っているというような状況で、県の調査では課長級の方が1人だけ小判を受けていたということです。これは外野から見ているととても不自然に映るのですが、知事としてその辺はどのようにお感じになっているのでしょうか。

 

【知事】  

 まず、377名のうちの109名ということですので、それなりの比率だなとは感じました。一方で、発表の時にも申し上げていますが、儀礼的範囲を超えるものが29名だったという話もさせていただきました。儀礼の範囲内の部分は、言葉は悪いですが、贈られてきている、そういったものにどう対応するかということですし、一般的にも、節度の範囲で行われていることだと思いますので、ここのところをその時点で、すぐにどうだこうだというのは、利害関係があったわけではありませんので、ある意味やむを得なかった部分ではあったと思います。そういう意味で、29名というのは、決して少ないとは思いませんので、当然それに対する対応をこれから反省しつつ行っていくということだと思っています。

 小判のことについては、正直言えば、いろんな報道を見ていてびっくりもします。ただ、これも言葉は悪いですが、お相手の方の問題です。贈られた方が課長級であったということかもしれませんが、そこのところは私ではよく分かりません。

 

【記者】  

 現状では調査報告のとおり、課長級1人が小判を受け取っていたという状況を、ひとまずは厳正に調査された結果だと受けとめて、信じているのでしょうか。

 

【知事】  

 信じております。20万円は非常に大きいと思いますが、何かが環流しているのかどうかというのは、意図はよく分かりませが、どうかなということは個人的には思います。

 

【記者】  

 この件が非常に大きく各メディアで報道されて、県民としては、こんなことが県職員に対しても行われていたのかという感じで、ショック、動揺みたいなものがあると思います。信頼回復が急務だと思いますが、今後、原子力に限らず、県の施策を展開していく上で、信頼回復に向けた取り組み、先ほど、倫理規程と相談体制のお話がありましたが、何か具体的にお考えはありますか。

 

【知事】  

 こういう問題は、既に国でも、20年近く前になると思いますが、大きな事案が発生して、公務員の信頼回復というものが非常に言われた時もありまして、そういう中で、国の倫理規程というものが定められています。

 福井県で大きく反省すべき点は、これまでもちろん地方公務員法に基づいて、利害関係のある方からのやりとりは当然慎むということですし、またそれ以外についても、社会的な批判もしくは疑念を受けるようなことは慎むという前提で公務員法というのはでき上がっているわけですが、そういった基準が明確でなかった、またはそれを抑止する、そういうような意味で、国の倫理規程の中では、一定額以上のものについては報告をさせるなど、こういう物事について考えるタイミングを与えるということがあるわけでして、こういったことは非常に参考になると思います。今まで明確な線引きというものが職員にとって見えにくかったところもあります。こういったところを明確化するということで、きちっと今後こういうことが再発しないように、県民の皆さんに信頼していただける県政、そういったものを早く回復していきたいと思っています。

 

【記者】  

 弁護士とのやり取りの中でいろんなことがあったという話でしたが、前知事は書面での調査に応じたいという発表だったと思います。県政のトップに立っておられた方が弁護士の聴取を受けていないという点については、踏み込み不足という指摘もありますが、どうお考えですか。

 

【知事】  

 前知事がどういうお考えでそういう対応をされたかということまではご本人でないので分かりませんが、一方で、遠隔地であり、こちらの職員が直接、電話でやり取りをした上で、最終的に書面で確認をしているということですので、きちんと対応はしていただいていると思います。その上で、ご本人のご判断で、遠隔地でもあるしというようなこともあったのだと思いますが、最終的には書面での確認という方法になったのだと思います。

 しかし、他の職員についても、まず面談をした上で書き取ったものを、確認、目を通してもらって提出するというような形になっていますので、確かに弁護士と会っていないというところはありますが、対応はいただいたと思っております。

 

【記者】  

 倫理規程や相談できる体制というところで、例えば今年度中にといったスケジュール的なものはありますでしょうか。

 

【知事】  

 これはいろいろと例もありますので、国、それから他県、こういったものを調べて、年内を目途に倫理規程を定めていきたいと思っています。これから議会もありますので、いろんなご意見を伺いながらと思っています。

 

【記者】  

 調査委員会の関係で、県警についても小浜署の元幹部が贈答品や金品を受領という報道がありますが、県警はその事実関係の確認も含めて適切に対応するというだけで、調査をしているかどうかも明らかにしていない状況です。知事として県警が調査しているかどうかを把握されているのでしょうか。

 

【知事】 

 私は把握をしておりません。

 

【記者】  

 内部で調査をしているのかもしれませんが、県民からすると、それを明らかにしてもらうことが必要かと思います。知事としての県警に求める対応はありますか。

 

【知事】  

 県警に限らず、私はいろんな考えがあってやられていることなので説明をされればいいと思いますが、公的なお仕事をされているところが疑念を持たれた場合には、説明責任はあるというふうに思っています。

 

【記者】 

 調査委員会の調査結果を発表した記者会見の時のやり取りで、特に裏づけをとったり深掘りするような調査ではなかったということを委員長は言われていました。それを聞いていて、本格的な再調査があった上で職員の処分という流れなのかと思ったら、直ちにその後処分が発表されたので、少し違和感がありましたが、そのあたり知事の判断に迷いというのはどうだったのでしょうか。

 

【知事】  

 そこは、私が聞いている範囲でも、例えば前後にこういう状況があるという時に、ある1人だけ何か抜けているということについては、再度確認いただいているということも聞いております。そういう中で最終的な報告書ができているということですので、そういう意味では、今回の調査の範囲においては、それなりに完結しているだろうと判断しました。

 

【記者】 

 それなりにというのは、どの程度のレベルかということがあると思いますが。

 

【知事】  

 調査としては完結していると思います。皆さんが言われるように、強制力を持ってというところまではしていないので、そもそものその調査がどうだったのかというところにまで踏み込んで申し上げると、それを担保するものがありませんので、申し上げにくいところはあります。しかし、我々が行った調査の範疇においては一定の結論をいただいたということで処分もさせていただいたということです。

 

【記者】 

 ヒアリングの対象になった方の自主申告のような形という聞き取りで、公平を逸するような結果になっているのではないかと感じる人もいるとは思いますが、いかがでしょうか。

 

【知事】  

 それはやはり調査の限界だとは思います。最大限努力はしたというところだと思います。刑事事件ということで捜査を行っているわけではありませんので、強制力がないという1つの限界はあったかなと思っています。

 いずれにしても、これから何らかの事態の進展等で必要があればそれに対しては適切に対応していきます。

 

【記者】 

 こういった段階での職員の処分というものは、行政の世界ではあることなのでしょうか。

 

【知事】  

 当然、新しい事案が出てくれば、処分もすれば何らかの改善策、対応策を講じていくということになると思います。

 

【総務部長】 

 処分の関係で言うと、職員からの聞き取りということを踏まえて処分をするということはあります。

 

【記者】  

 元助役の関係者や親族への調査協力というものは、県としてはされているのでしょうか。

 

【知事】  

 これは今のところしていないと聞いています。これから他のところでも調査するという話も報道等にはなされている部分がありますので、これは他のところの対応を見ながら我々としても適切に対応していきたいと思います。

 

【記者】 

 それは他の対応を見て、それが十分でなければ県としても踏み込んでいくということでしょうか。

 

【知事】  

 いろんなことがあって、みんながある遺族の方にわっとやるということがどうかなど、いろんなことがあると思いますので、そういうことは様子を見て、そして何かすべきだと思う点があればそれに対しても対応はしていきたいと思います。

 

【記者】 

 徹底現場主義からすると、少し踏み込み不足という感じがしますが、その辺いかがでしょうか。

 

【知事】  

 ご批判はご批判としてお受けしますが、適切に対応してまいります。決して否定的に考えておりません。

 

【記者】 

 原子力行政全般に対する影響について、今後は、例えば関西電力の高浜原発や美浜原発は再稼働の予定があるかと思います。

 今回の問題で、関西電力も大変ですが、県も今回、金品受領が明らかになったことで、例えば原発の再稼働、原発のテロ対策施設の影響による運転停止など、原子力のスケジュールに対しての影響についてはどのようにご認識されていますか。

 

【知事】  

 何らかの影響があるかないかといえばあると思います。あると思いますが、まず第一は安全面ですので、もちろん国の審査も受けておりますが、しっかりと確認をして進めていくということだと思います。

 あとは、関西電力はそうしたものを運営する事業体として信頼に足りるところであるのかということは、これからも自分たちでそれをどう解決していくのかということにかかっていくのだと思います。

 

【記者】  

 原発のスケジュールに影響があるかもしれないというお話でしたが、例えば再稼働の同意をする上で、どういった手続が必要だと感じていますか。

 

【知事】  

 それは今申し上げられる状況ではありません。何か法律の決まりがあって行っているわけではありませんので、少なくとも今の段階は、関西電力として今回の事案について大きな結論を得ているという状況ではありませんし、新しいことを始めることについて、国民の信頼が得られるか。もちろん今は運転しているものを安全にやっていただくのですが、さらにその上を拡大して行っていくということについてしっかりと、相手からどういうものが出てくるかということを見ながらというふうに思います。

 

【記者】  

 今まで福井県は原発が多数立地していることもあり、国全体から見ても原子力行政を引っ張ってきた県の1つだと思っています。今まで国に対して、安全にしっかりと行政ができるかどうかという確認を求めてきたかと思いますが、今回の問題で福井県の信頼が落ちてしまったことで、国に対しての交渉などに対して影響があるのでしょうか。

 

【知事】  

 物事が、関西電力、元助役、県という感じで何か話が展開しているところがあると少し感じるので申し上げますが、確かに元助役との関係が適切でない部分があって、今回、処分もしております。こういった中で、県の信頼も傷ついているということは十分に反省してやってまいります。関西電力の件も、関西電力の中で今いろんな大きな問題が起きているので、これに対しては安全最優先で我々としてもしっかりとチェックをしながらやらせていただくと申し上げております。

 そういう意味では、我々としても、県が一般的に信頼を傷つけられているというようなことについては、これは最大限、今後の善後策も講じながら、県民の皆さん、もしくは国民の皆さん、国に対しても信頼回復できるように最大限努力をしていきます。それはそういうことであって、我々としてはそれをやっていきながら、我々としての原子力行政に対してすべきことはやっていこうと考えております。

 

【記者】  

 外形的に見れば、原発を動かしたい関西電力と原子力を規制すべき立場の県が同じ高浜町の元助役から金品を受け取っていたということは、言葉を悪くすれば、同じ穴のむじなではないかと見えてしまいます。規制側と推進側が同じ人物を通してつながっていたということに関してはどのように感じていますか。

 

【知事】  

 私も人権の関係で元助役とは何度か面識はあります。事実として客員人権研究員でご発言いただいたことについては、その分野ではやはり第一人者だと私も感じました。

 そういう意味で、そういった方が県職員に対して、儀礼の範囲を超える贈答をされていた。それから、それに対して返していなかったということは県職員の大きな問題だと思います。しかし、そこから先のことは、今回の調査でもそうですが、原子力行政に何らかの影響を与えたという結果は出ているわけではありませんので、そういう意味では、今は別のことだと考えております。

 

【記者】  

 同じようなことを繰り返さないようにするためには、先方の意図がどうだったかということを考えておく必要もあると思います。その点について、調査委員会では意図や目的は読めないとしていましたが、元助役との面識もある知事はどのような目的でそういった金品を贈っていたと思われますか。

 

【知事】  

 面識はありますが、そんなに親しくお付き合いをしていたわけではありませんので、本当によく分からないです。儀礼の範囲であれば、それは親しくなって、私も以前年賀状のやり取りはしていましたので、そういう意味ではあると思いますが、それを超えて相当額のものを贈るということは、ご本人のご性格なのかどうか、意図はよく分からないというところだと思います。

 

【記者】  

 今回の県職員への贈答や金品受領問題で、県民から何か県に対してメールや電話などはありますでしょうか。

 

【人事課長】 

 発表以降、県民の皆様や県外の方から、お電話やメールということは頂戴しております。

 

【記者】  

 どれぐらいの数が来ていますか。また内容も教えてください。

 

【人事課長】  

 数は数十件。内容は今回の件に対してのお叱り、苦情、諭しというところです。

 

【記者】  

 どういう言葉ですか。

 

【人事課長】  

 今後、きちんとやってほしい、しっかりやってほしいなどです。

 

【記者】  

 なぜこれだけの数の県職員が元助役から金品をもらって、後で返した方も含めて、なぜ断れなかったのかを、知事はどうお考えでしょうか。

 

【知事】  

 私が拝見をしている限りでは、やはり客員人権研究員という部分のお立場というものは大きかったとは思います。

 

【記者】 

 もう少し詳しく教えていただけますか。

 

【知事】  

 私が横で拝見していても叱責されていることはありました。相当激する方ではありましたので、そういったことも1つの要因だったのではないかと思います。

 

【記者】  

 どのような場で、何に対して激していたのでしょうか。

 

【知事】 

 私も遠くでたまたま目撃した程度ですのでよくは覚えておりませんが、人権の問題について指導をしていたのだと思います。その方法が外から見ると激しているように見えたと思います。

 

【記者】 

 どのような言葉か覚えていますでしょうか。

 

【知事】 

 申しわけありませんが、覚えていません。

 

【記者】  

 報告書の中で、県幹部が金品を受け取っていた問題の原因の1つに、職員任せにしていて組織的対応がなされていなかったという指摘がありました。なぜ組織的な対応ができなかったのかという理由についてのお考えを教えてください。

 

【知事】  

 今、思い当たりませんが、対応すべきだったとは思います。

 

【記者】  

 同じようなことが起こった場合にどのように対応していきたいかを改めてお聞かせください。

 

【知事】  

 個人で抱え込まないようにするということはとても大事だと思います。そういう意味では、相談窓口もありますし、弁護士に相談ができるような状況をつくるなど、やり方はいろいろあると思います。やはり1人にしないということがスタートとして大事なのかなと思います。あとは、いわゆる直接のつながりのある上司だけに物事を限ると、相談しにくいところはあると思いますので、第三者のような信頼できる人に相談できる体制をつくるということかなと思っております。

 

【記者】  

 調査委員会の報告書の中では、上司や同僚に相談した時にアドバイスを受けたとありました。管理職以上の方々ですので、上司や同僚となると、それなりの方で組織の長であったりすると思います。そうなるとある意味、組織的対応でもあったともとれます。そういった組織、ガバナンスの対応はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】  

 おっしゃられる意味では、ポストのある者から上位のポストの者に対して相談をしているので組織的対応というのは一面であると思います。そのことを否定しませんが、一方で、その問題が組織として公の場で共有されて、県庁としての対応になっていなかったというのは事実としてあったのではないかと思います。ですから、上司といえども個人的な対応にとどまっていたということに近いと思っております。そこを改めて今回正していきたいと思います。

 

【記者】  

 長年にわたる慣例のようになっていた就任の挨拶や金品の受領について、歴代の知事、副知事は知らなかった、総務部は知らなかったということでしょうか。

 

【知事】  

 私は少なくとも知りませんでした。

 

【記者】  

 知事は関西電力のコンプライアンスに対して機能していなかったということを批判されていました。今回、ご自身の組織でそういうことが明るみに出たことについて、県民への謝罪の言葉はありませんか。

 

【知事】  

 冒頭に遺憾だと申し上げましたが、私を含め組織に対しても反省すべき点があったということで、申しわけないと思っています。

 

【記者】  

 先ほど、前知事の調査の際に、行かなかったのは遠かったからとおっしゃっていましたが、福井県から東京まででしたらそれほど遠くないと思いますが。

 

【知事】  

 こちらの問題ではなくて、思いがあったのかなということを考えたと申し上げました。

 

【記者】  

 あちらの思いがあったとしても、調査すべきだったと思いますが。

 

【知事】  

 すべきだったと思います。これは調査の協力をお願いして、OBの方ですので、お願いできる範囲でやっていくというのは、やむを得ない部分ではあったと思います。

 

【記者】 

 ただ、調査の本丸とまでは言わないにしても、前知事だったというところでは、やはり対面ではない調査だけに終始してしまったということは少し残念だったと思いますが。

 

【知事】  

 対応していただいたんだと思いますが、知事の場合は、収支報告書や他の法律に基づく報告もされていると思います。そういう形での義務も果たされているというような趣旨、これは私があまり軽々に申し上げるようなことじゃありませんが、少なくとも前知事にはそういった対応をいただいたということでございます。

 

【記者】  

 遠くと知事がおっしゃったのは、前知事が遠いからこちらに来るのが嫌だというお話でしょうか。

 

【知事】  

 いえ、こちらから伺いますと申し上げました。それも私が単に思ったということだけですので、前知事がそうおっしゃったということではありません。不適切であれば撤回させていただきます。

 

【記者】  

 恐竜博物館の機能強化に関して、候補地や概算の事業費について一部報道がありました。明日から定例県議会が始まりますが、機能強化に向けてどういった議論を期待していますか。

 

【知事】 

 私も就任以来いろんなところで、観光、地域振興、地方創生のお話を伺います。そういう中でも、恐竜博物館に対して期待される声というのは非常に大きい。私の印象では、福井県で1つ取り上げろと言われたら、本当に恐竜博物館と言うぐらいに感じております。そういう意味では、議会も含めて、恐竜博物館をより良いものにしていく。オールシーズン体験可能な施設にしていくという期待感はとても大きいと感じております。それをできるだけ効率的に、財政の状況を見ながら、できる限りのことをやっていくということが、今の我々が考えるべき、とるべきことだと思っています。

 

【記者】 

 今月17日に敦賀市で、夫と義理の両親を殺害したとして71歳の女性が逮捕されました。その中で老々介護や多重介護の問題が指摘されていて、どこでも起き得る問題だと思います。知事としてのこの事件に対する受けとめと、行政としてこのような事件が起きないためにできることをどのように考えていますか。

 

【知事】 

 私も本当に心を痛めていますし、再発防止をしなくてはいけません。まず、私も認知症の母、父もそうでしたが、抱えておりますので、他人事ではないなと思いました。そういう中で、敦賀市も含めて今後こういうことが起きないような調査をされていると思います。

 あまり詳細なことは個人情報もありますので申し上げられませんが、私が聞いている範囲でも、ケアマネジャーさんを含めて、これからどうしていこうかというようなご相談にも入っていたというような中で、一定の方向を出そうとしていた矢先だったということですので、そういう意味でも非常にショッキングなことだと思います。

 ただ、1人の方が、程度の差はあると思いますが、3人の方を介護する状態にあったということですので、そういう意味では、事件は事件としてもちろん大きな問題ですが、厳しい環境に置かれていたということは推察されます。

 そういう意味で、やはり老々介護、多重介護、今回のような1対3というような、こういう状況に置かれているということは今後特に増えてくると思いますので、1つには受け皿を用意するということはあると思います。単なる所得制限だけで物事を考えていくと、どうしても1対多になったときにこれを解決できないということが出てくると思います。もしくは、お一人お一人の要介護者の状況だけを見るのでは、例えば、要介護1だと概ね自立ができていることになりますので、そういうことだけでは解決しない多重介護の問題というのは行政としても検討しないといけないと思っております。

 それとともに、相談しにくい環境、またはご本人さんがなかなか介護サービスの利用について納得しないということがあります。それがあってそのご家族の方が一人で悩んでしまう。外に向かって言おうとすると、また中でいろいろ怒られたりすることもあったかもしれません。それは分かりませんが、そういう環境は往々にして想像ができます。こうした1つには介護される側の方の状況を見て、それから介護している方の状況ということをしっかりと把握ができる、もしくはその上で介護している方、されている方の環境を少しでも改善できるようなことを考えていかないといけないと思います。今回の事案も含めて担当部局には指示もしていますが、早急にまず着手できることから、今でも悩んでいる方がたくさんいらっしゃると思うので、早く着手をして、よりこういった課題が小さくなるような方向に向かって努力をしていきたいと感じております。

 

―― 了 ――

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福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
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