職場のトラブルQ&A ~求人広告と異なる実際の給料額~

最終更新日 2020年3月27日ページID 000378

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  私は、月給20万円という求人広告を見て今の会社に入社しましたが、実際に働いてみると、月給は18万円でした。月給の額については面接時やそれ以降も具体的な説明など一切なく、書面ももらっていません。求人広告の内容と違っていますが、どうすればいいでしょうか。

  求人広告に記載されている内容は、労働者を募集するときに示される基準となる労働条件です。たとえ求人広告に給料の額や労働時間が記載されていても、それが直ちに契約後の労働条件となるものではなく、採用時に交わす労働契約の内容がその後の労働条件となります。
 使用者は、労働契約を締結する際、労働者に賃金や労働時間などの労働条件について、書面の交付により明示しなければならないと労働基準法で定めています。
 しかし、ご質問の場合、面接時に求人広告と異なる月給になるということが明示されておらず、また、採用後も月給の変更についての説明などもなかったことから、求人広告に記載された月給での労働契約が成立しているものと思われます。会社に求人広告に記載された月給の支給を求めて話し合ってください。

解説

1 労働契約の成立と労働条件

 求人広告は、あくまでも募集のために行われるものであり、広告の中身がそのまま労働契約の内容になるものではありません。実際の判例でも、「求人広告に記載された基本給額は見込額であり、最低額の支給を保障したわけではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての金額である。」としており、求人広告記載の労働条件と、労使で合意した労働契約の内容が異なる場合に、労働契約の内容が優先されるとしています(東京高裁判決 昭58.12.19 八洲測量事件)。
 なお、裁判例の中には、「公共職業安定所の紹介により成立した労働契約の内容は、当事者間において求人票記載の労働条件を明確に変更し、これと異なる合意をする等特段の事情がない限り、求人票記載の労働条件の通り定められたものと解すべきである」としたものもあります(大阪地裁決定 昭58.10.19 千代田工業事件)。
 また、職業安定法第42条でも、「新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告(中略)により労働者の募集を行う者は、労働者の適切な職業選択に資するため、第5条の3第1項の規定により、当該募集に係る従事すべき内容等を明示するにあたっては、当該募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならない。」と定めています。

2 労働条件の明示

 労働基準法では、使用者に対して一定の事項について、書面による労働条件の明示を義務づけています(同法第15条第1項)。
 明示すべき労働条件のうち書面にて交付すべき内容は、
「労働契約の期間に関する事項」、
「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」、
「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」、
「始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに就業時転換に関する事項」、
「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期」、
「退職に関する事項」です。
 労働契約締結の際に明示された条件と事実とが相違する場合、労働者は即時に契約を解除することができます(同条第2項)。

参考

 

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