第342回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2008年6月11日ページID 002343

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平成17年2月23日

第342回定例県議会

 

 

平成17年度当初予算案

 

 

知事提案理由説明要旨

 

福 井 県

 

 

 第342回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成17年度当初予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 私は、知事就任以来2年間、マニフェスト「福井元気宣言」に基づき、「スピードと決断」を旨に、全力で県政推進に取り組んでまいりました。

 この間、特に昨年は福井豪雨や関西電力美浜発電所の事故など、大きな災害、事故に見舞われましたが、県民の皆様や議員各位のご理解とご協力をいただき、北陸新幹線や高速道路の整備促進、エネルギー研究開発拠点化などの原子力政策、景気・雇用対策、福祉・教育の充実など、県政の重要諸課題を大きく前進させることができたと考えております。新年度は、こうした成果をさらに確実なものとしていくため、「実行と行動」に努めてまいる所存であります。

 現在、25年後の2030年を想定した福井県の将来像を描く作業を進めておりますが、かつて経験したことのない人口減少という社会を迎え、「量」から「質」、「集団」から「個」、「フロー」から「ストック」へと、時代の変化に応じた新しい豊かさの概念を確立することが求められていると思います。

 「古き、よきもの」を大切にしながら、それをベースに新たな価値を創造し、次の時代に継承していく具体的な施策を展開することが重要であります。

 今年10月に開催する「第20回国民文化祭・ふくい2005」は、長い間受け継ぎ、育んできた福井県の歴史文化、伝統文化、精神文化を全国に発信する絶好の機会です。5月には「日本身体障害者福祉大会」も本県で開催されますので、こうした全国規模の大会に県外の多くの方々に来訪をいただき、県民挙げて歓迎申し上げたいと思います。

 さて、地村さん夫妻の3人の子どもたちが、新年度から社会人、大学生、高校生として新たなスタートを切る予定になっています。昨年5月に帰国して以来、自立に向けての支援を行ってきた県といたしましても、たいへん喜ばしいことと思います。

 私にとりましても、この4月は任期の折り返し点になります。県民の皆様とともに、そして議員各位と気持ちを同じくして、県政のさらなる大きな飛躍のため、全力で取り組みたいと考えております。

 

 それでは、まず、当面する重要課題について申し上げます。

 北陸新幹線につきましては、昨年12月16日の政府・与党申合せにおきまして、福井駅部の認可と新幹線本体予算による17年度の着工が実現することとなりました。また、南越・敦賀間の工事実施計画の認可申請を行うことが決定されました。

 県民の長年の悲願であった県内着工が実現し、まもなく新幹線工事の槌音が響くことは、県内一丸となった30余年に及ぶこれまでの運動の成果であり、大きな前進であります。  

 ご尽力いただきました県選出国会議員、県議会議員各位ならびに沿線市町村、経済界など県内各界各層のこれまでの精力的な活動とご支援、ご協力に対し厚くお礼申し上げます。

 今後は、一日も早い福井での開業と敦賀までの整備促進に向け、国および関係機関への要請活動を引き続き展開するとともに、並行在来線への対応、新幹線を生かしたまちづくりなどに、最大限の努力を重ねてまいりたいと考えておりますので、さらなるご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 新幹線の福井駅部の着工については、今月4日に、課題を整理し、その対応方策について協議するため、国土交通省、県、福井市、JR西日本、えちぜん鉄道等の関係機関を構成メンバーとする「福井駅連絡調整協議会」が設置されました。

 この中で、国土交通省からは、福井駅部の2階高架構造に関する提案があり、17年度初の認可に向け、構造変更に伴う諸課題について協議を進めているところであります。

 県といたしましては、県議会のご意見をいただきながら、本県の将来にとって誤りのないよう、「利便性」、「安全性」、「コスト」等を総合的に判断して、対応してまいりたいと考えております。

 また、4月18日には、JRの高架切替えが行われ、新福井駅も開業いたします。この機会に、福井市、JR等と共同で、鉄道高架ウォークや駅舎見学会、出発式・記念式典などを実施し、新しい福井駅を中心とする県都づくりの機運を高めてまいりたいと思います。

 次に、原子力行政について申し上げます。

 15基の原子力発電所が立地し、関西の電力需要の約6割を供給している原子力発電は、本県における重要な産業であります。しかしながら、単に電力の生産工場が立地し、これに見合う地域振興を個々に求めることで足れりとするこれまでの考え方から転換しなければなりません。地域が原子力と共存共栄する新しい段階へと進んでいくことが必要だと考えています。

 すなわち、さまざまな原子炉が多く集積しているという世界にも例を見ない特徴を最大限に生かして、そこに蓄積している先端的な技術を活用して地域産業の活性化につなげ、また、世界から研究者、技術者が集う場となること、さらには、先端的ながん治療などの医療の充実により県民の継続的な福祉に結びつくことが必要です。

 このようなことが実現することによって、原子力が、国家プロジェクトであると同時に、地域に信頼され、真に根付いたものになると考えます。

 こうした理念に基づいて、エネルギー研究開発拠点化計画の策定を進めてきたところですが、去る1月29日、第2回の委員会において、計画の骨子が取りまとめられました。

 計画では、美浜発電所3号機事故も踏まえ、「安全・安心の確保」、「研究開発機能の強化」など、4つの観点から具体的な取組みを示しております。年度内には、実施主体や目標年次などをできる限り明らかにして、計画を決定し、実行に移してまいります。

 新年度においては、国や関係自治体、産業界、研究機関等で構成する「エネルギー研究開発拠点化推進会議」を設け、計画を一体的に推進する体制を整えます。また、若狭湾エネルギー研究センター内に、研究、地域産業への技術移転、研修などをコーディネートする「拠点化推進組織」を設け、計画に示された事業を本格的に実施していく考えであります。

 次に、美浜発電所3号機事故への対応について申し上げます。

 この事故により5人の方が亡くなられました。そして、けがをされた6人のうちお一人が今もなお入院中、お二人が自宅療養中であります。

 県としては、原子力発電所の老朽化に伴う安全対策について、国に強く要請いたしましたところ、これまでに、原子力安全・保安院に高経年化対策室を設置するとともに、高経年化対策検討委員会の第1回会議を本県で開催し、本年夏頃を目途に結論を取りまとめる運びとなりました。

 また、昨年末には、中川経済産業大臣から、原子力保安検査官事務所の統括機能の整備やエネルギー研究開発拠点化計画に協力するとの説明を受け、県の要請については、国としても概ね真摯に取り組んでいるものと判断しております。

 県といたしましても、安全協定の見直しをはじめ、高経年化が進む中での安全管理の強化のあり方について、検討を行っているところであります。

 次に、「もんじゅ」の改造工事計画につきましては、国の安全審査等も終わり、県の「もんじゅ安全性調査検討専門委員会」においても安全性を確認してまいりました。

 こうした中で、国の新長期計画策定会議において、「もんじゅ」の位置付けが改めて確認され、今月3日には核燃料サイクル開発機構から、6日には中山文部科学大臣から、安全確保や「もんじゅ」の役割、拠点化計画への協力などについて、積極的に取り組むとの説明を受けたところです。

 このように、安全性の確認、国の原子力・エネルギー政策の中での位置付け、拠点化計画の中での役割、新法人における位置付け等がそれぞれ明らかになったことから、これまでの県議会での議論を受け、県として判断すべき環境が整ったものと考え、地元敦賀市の意向も確認したうえで、今月7日に核燃料サイクル開発機構に対し、「もんじゅ」改造工事に対する事前了解を行ったところであります。

了解に当たっては、「もんじゅ安全性調査検討専門委員会」の意見の着実な実施、保守点検体制等の充実強化等について強く要請しており、今後の対応を十分に確認していく必要があると考えております。

 次に、福井豪雨等により被災した河川・道路・砂防等につきましては、次期出水期となる6月までに約7割の完成を目指して本格的な復旧工事を進めております。

 足羽川につきましては、3月末の完成を目指して、決壊した箇所の堤防の復旧工事を進めているほか、橋の架替等の調査設計にも取り組んでおり、極めて早いスピードで対策が進んでおります。

 JR越美北線につきましても、国とJR西日本に対して早期復旧を強力に要請してきた結果、1月に国の事業採択を受け、今月16日には、JR西日本との間で協力して復旧事業を行うことなどについて基本合意を締結しました。今後、JR西日本と復旧スケジュール等について協議を進め、早期の全線復旧に向け、取り組んでまいります。

 また、足羽川における全般的な治水対策につきましては、現在、九頭竜川流域委員会で審議がされており、国においては、3月から住民説明会を開催し、その後、住民意見の聴取を行うこととしております。県といたしましては、住民の意見や流域委員会の結論なども踏まえ、検討してまいりたいと考えております。

 県の地域防災計画の見直しにつきましては、情報伝達・提供の迅速化・確実化や高齢者など、災害の際に援護を要する人たちに対する避難支援等について取りまとめ、この2月16日に開催した福井県防災会議において協議いたしました。

 国が、避難勧告等の具体的な判断基準を盛り込んだ「避難勧告等の判断基準・伝達マニュアル」を年度内に作成することとなっており、これらを参考にできるだけ早く地域防災計画を修正し、より一層の防災体制の充実に努めていきたいと考えております。

 災害ボランティアにつきましては、先月、神戸で開かれた「国連防災世界会議」において、本県から福井豪雨の際の民間と行政の協働成果を発表する機会を得ました。こうした成果を継承し、福井から全国に発信していくため、全国初の「福井県災害ボランティア活動推進条例案」を今議会に提案いたしております。新年度は、全国フォーラムの開催、講師の派遣、活動マニュアルの作成など、先進的な活動をさらに積極的に実施してまいりたいと考えております。

 

 次に、当初予算につきましてご説明いたします。

 昨年11月に三位一体改革の全体像に係る政府・与党合意が定められましたが、今回、税源移譲に結びつく国庫補助負担金が1兆1,239億円廃止され、1兆1,160億円が地方へ税源移譲されました。

 本県におきましては、国庫補助負担金が60億円余廃止され、62億円余が税源移譲されましたが、義務教育や国民健康保険といった義務的なものが大部分であり、地方の裁量が十分発揮できるものとなっていないことは大変残念であります。

 平成16年度から3年間で3兆円の税源移譲が予定されている中で、いまだに移譲されていないものもあり、また、約6千億円については、その中身も明らかになっておりません。

 今後とも、全国知事会を中心に新会長の下で、全国の地方自治体と力を合わせて、地方分権の理念に沿って地方の裁量が拡大するよう最大限の努力をしてまいります。

 平成17年度当初予算案の編成に当たっては、「行財政構造改革プログラム」に基づき、事務事業を見直して財源を確保しながら、「福井元気宣言」に掲げた4つのビジョンと「挑戦(チャレンジ)ふくい」をはじめとした各種プランに掲げた施策を着実に実行することといたしました。

 新規施策については、すべて予算査定前に事業の成果等について議論する政策議論を行い、職員が現場の状況を十分分析しているか、全国の状況や政策の情報の把握を行っているかなど、現状の分析を特に重視いたしました。

 公共事業の一件審査についても、昨年は県単独事業で実施しましたが、今回は、これを国庫補助事業等にも拡大するなど、現場主義を徹底いたしました。

 また、新しい方法として、既存の事業を組み合わせ、予算を伴わずに政策目的を実現する「職員提案型の予算外事業」を設けることといたしました。

 さらに、本県で初めて住民参加型のミニ市場公募債を発行し、県民の皆さんとの協働により北陸新幹線整備の財源を確保したいと考えております。

 

 では、主要施策につきまして、元気宣言に沿って申し上げます。

 まず、元気な産業であります。

 景気は、一部に弱い動きがあるものの、全体として回復基調にあり、本県の有効求人倍率も21か月連続で前年同月比でプラスとなるなど、改善傾向にあります。さらにこうした動きを確実なものとしていくことが必要です。

 雇用対策につきましては、昨年5月に設置したふくいジョブカフェを利用して就職した若者が、昨日までに目標の60人を大きく上回る212人となっております。

 新年度からは、Uターン情報センターをジョブカフェに移設し、情報提供や相談に加えて、これまでハローワークが行っていた職業紹介を行い、就職支援サービスのワンストップ化を進めることとしております。

 「挑戦(チャレンジ)ふくい」に基づき昨年5月に創設した「福井県産力戦略本部」におきましては、年度内に、「最先端技術のメッカづくり基本指針」を策定することとしております。この中で、先端材料など5つの事業分野における最先端技術の創出と次世代自動車部品など4つの市場分野における新たな産業群づくりを基本方針として示してまいりたいと考えております。

 産学官共同研究につきましては、本年度、1月末までに42社の企業が参加して、例えば、「ナノめっき技術を用いた燃料電池材料の開発」などを行っており、今後、先端的な技術開発や多くの中小企業が参加する幅広い分野での産学官共同研究を積極的に推進したいと考えております。

 また、昨年10月に締結した伊藤忠商事株式会社との「先端技術分野における戦略提携」につきましては、炭素繊維強化複合材料についての国際的な共同研究開発などを進めているほか、さらに新たな支援企業を開拓するため、説明会の開催や企業訪問、支援プランの検討等を共同で行っております。今後、より多くの支援対象企業を発掘し、技術開発や販路開拓などの支援を行うことにより、世界に通用する競争力を持つ企業を育成したいと考えております。

 知的財産につきましては、県の研究機関における知的財産の創造や県内企業の戦略的な権利取得の推進、国際特許出願への助成制度の創設により、国際的な競争力のある企業の育成を進めてまいります。

 企業誘致につきましては、本年度、これまでに460社を訪問し、13社が立地しており、今後も、先端技術産業などをターゲットに、全力で誘致活動を展開してまいります。

 さて、福井の地で眼鏡枠の生産が始まってから今年で100周年を迎えます。これを記念しさらなる産地の発展を目指して、「眼鏡産地福井」を全国に広く示し、100周年ギャラリーを開催するとともに、県眼鏡協会が実施するアニバーサリーコンペなどの記念事業に対して支援してまいります。

 福井港につきましては、平成16年の外航船入港隻数が前年比32隻増の78隻という実績が評価され、これまで、県議会のご支援もいただきながら国に強く求めてまいりました「関税法上の開港」について、4月を目途に開港指定の手続を進めるとの方針が決定されました。この機会に開港の記念行事を開催するとともに、ポートセールスなどによる港湾利用促進の取組みをさらに積極的に展開してまいりたいと考えております。

 観光につきましては、昨年末に策定した「ビジットふくい推進計画」に基づき、これまでの宣伝中心の観光施策から地域の魅力づくりへと施策を転換し、「観光地の活性化」や「観光の人づくり」など、4つの戦略により強力に施策を展開してまいります。

 売れる旅行商品や新しい観光コースの開発を行うため、県観光連盟に観光プロデューサーを置くなど、「ビジットふくい」の推進力となるよう組織を強化して、計画の具体化に全力をあげる考えであります。

 また、明確なビジョンに基づき熱意を持って取り組む観光地を選定し、市町村と一体となって、町並みの整備などのハード面、リーダー養成などのソフト面の両方について重点的に支援したいと考えております。

 さらに、体験学習などをとり入れた教育プログラムとしての修学旅行が増えていることから、観光関係団体、学校関係者、県外事務所等と連携して教育旅行の誘致活動を実施します。

 東アジアからの観光客誘致につきましては、計画に先立って、昨年11月に中国浙江省および台湾の旅行業協会と協定を結んで取り組んでおりますが、特に台湾からは、予定を上回る400人以上の観光客が見込まれるなど、成果をあげており、今後、さらに力を入れていく必要があります。

 「水を見る・親しむ」、「水を味わう・使う」といった視点で、福井の水資源を新たなブランドとすることを目指し、県内各地の名水の実態調査や「ふくいのおいしい水」の認定、湧水地の整備などを行うとともに、三方五湖など美しい水辺空間を生かしたエコツーリズムを推進してまいりたいと考えております。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 農業は、福井の健康長寿を支える重要な産業であります。地域コミュニティや景観の維持・保全、あるいは、年齢に応じて生涯にわたって従事できるという面からも、極めて大切なものであると考えております。

 本県農業の今後の方向につきましては、昨年4月に設置した「福井県農林水産活性化推進本部」において議論を行っており、その中で、市場重視の農業に重点的に取り組むことの必要性が示されております。

 一方で、本県においては、第2種兼業農家が全国で最も多い9割近くを占めるという現実を直視し、兼業農家に対しましても時代に合った対応が必要であると思います。

 まず、水田農業につきましては、認定農業者など経営体の育成が計画を上回るペースで進むなど、県内各地域において新しい動きが見られます。市町村、関係機関との連携により集落農業の組織化、さらにこれを基盤として、法人化、広域営農体制の確立を図り、企業的な水田農業の拡大を推進してまいります。

 本県の農業産出額のうち、米の産出額の割合は、全国で2番目に高い約7割を占め、米作に大きく左右される構造となっております。農業産出額の拡大を図るためには、米以外の品目、特に園芸作物について、高糖度ミディトマトやクリスマスイチゴなど、収益性の高い品目の生産拡大を図る必要があります。こうした観点から、本県園芸産地の4分の1を占める坂井北部丘陵地において、新たに生産から販売まで一連の経営を行う農業生産法人等を支援してまいります。

 また、「健康長寿の福井米・福井野菜」としてブランド化を図りながら、インターネットを使った通信販売等による多様な流通経路を開拓するなど、付加価値向上のための取組みを強化してまいりたいと考えております。特に、県農業試験場で育成したイクヒカリが福井の代表米として評価されるよう、販売促進を支援したいと考えております。

 林業につきましては、間伐の遅れ、松くい虫被害の拡大などが深刻になっています。「木を伐る」、「木を使う」に重点をおき、「県産材を利用した家づくり」など、木材の流れを太くする取組みを引き続き積極的に推進していく必要があります。

 また、新しい「間伐推進3か年計画」に基づいて、重点的な間伐を実施し、併せて、曲がり材や小さな材の合板への利用など、新たな利用分野を開拓し、間伐材の利活用を推進していきます。

 こうした取組みを進める中で、森林に対する県民の関心を高め、木材利用等の促進を図る観点から、「全国植樹祭」の平成21年誘致に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。この植樹祭の開催は、今回の福井豪雨の痛手を克服した福井県民の元気さを全国に示す意味からも意義が深いものと考えています。

 次に、元気な社会であります。

 少子化対策につきましては、年度内に「福井県少子化対策に関する計画」を取りまとめるよう、現在、検討を行っているところです。

 このプランには、「父親の家事・育児への参画」、「親育ちへの支援」、「企業の子育て応援」、「食育の推進」、「子どもの安全の確保」を重点課題として位置付けたいと考えております。

 新年度の具体的施策としては、保育士や保健師などの資格を持っている方が、「子育てマイスター」として親子のふれあいや遊びに一緒に参加し、保護者が自然な形で子育てを学べる場を設けたいと考えております。また、医師や臨床心理士などの専門家から助言を受けられる機会も設けることといたします。

 さらに、保護者が病気などの際に一時的な保育サービスを提供する「すみずみ子育てサポート事業」につきましては、これまでのようにNPOなどの団体だけでなく、保育士の経験者など個人も保育サービスを提供できるよう制度を拡大し、利用時間も延長して、より利用しやすくする考えです。

 また、父親の子育てを促進するため、残業時間の縮減や連続休暇の取得などによって男性社員が子育てをしやすいように応援する企業を「父親子育て応援企業」として明らかにするなど、企業の取組みを拡大していきたいと考えています。

 また、食の安全についての関心が高まり、一方で食生活の乱れが指摘されており、「食育」、すなわち、親や子どもに対してバランスのとれた食事の大切さや食に関する知識を教えることが重要になっております。「福井女性会議」の提言も踏まえ、食育ボランティア等による地域における食育活動に対する支援、学校の食育授業の充実や給食への県産農林水産物の活用などを積極的に推進してまいります。

 次に、子どもの安全・安心についてであります。

 最近、全国的に子どもが被害者となる痛ましい事件が発生し、本県でも、子どもに対する不審な声かけ事件が増えています。

 このため、緊急時の保護、連絡所となる「子ども110番の家」を引き受けていただいた方、自治会の代表、小中学校の教職員、地域の青少年育成指導者などが、登下校時を中心に見守り活動を行う「子ども安心3万人作戦」を県下全小学校区(216地区)で展開してまいります。

 また、児童虐待の相談件数等が増加しておりますので、総合福祉相談所が24時間・365日の相談体制を整え、併せて、民生・児童委員にも協力いただいて、県内で約1,800名に児童虐待防止地域協力員として活動を求めてまいりたいと考えております。

 小児救急医療につきましては、今年度、県内全域で主要病院の輪番制による夜間の体制整備を行ったところですが、新年度からは、小児科医による夜間の電話相談も併せて行うこととし、保護者の不安解消に努めてまいります。

 また、心身に障害のある児童が、身近な医療機関においても専門的な診療やリハビリ訓練等を受けられるよう、各地域ごとに拠点となる病院を設け、小児療育センターを核とした全県的な小児療育体制の整備を行いたいと考えております。

 さらに、県単独事業としては全国で初めて、小・中学校の耐震診断と耐震補強工事についての助成制度を設け、5年間で緊急度の高い小・中学校の建物については100%耐震化を行う予定であります。なお、一般の木造住宅につきましては、新たに、耐震診断に対する助成制度を創設し、住宅の耐震化を推進してまいります。

 次に、元気な県土についてであります。

 舞鶴若狭自動車道につきましては、全体の約5割の用地を確保しており、既に敦賀市で着工し、美浜町太田地区および小浜市西勢地区においても新たに工事に着手することになっております。本年秋の日本道路公団の民営化までに、用地買収を精力的に進めるとともに、国および道路公団に対し工事の促進を強力に要請し、全線の早期完成に最大限の努力をしてまいります。

 中部縦貫自動車道につきましては、平成18年度までの福井・勝山間の一部開通に向け、高架橋等の工事が進められております。さらに、来年度は、大野市側の用地買収にも着手したいと考えております。また、大野油坂道路につきましては、国土交通省がルート帯を発表し、今月から県民を対象としたアンケート調査を実施しております。これらの調査が円滑に進み、早期に整備計画への組入れが行われるよう、引き続き国に強く働きかけてまいりたいと考えております。

 福井鉄道とえちぜん鉄道との相互乗り入れにつきましては、乗り継ぎ実証実験の調査結果等をもとに、鉄道会社や関係機関と協議を行ってきたところであります。この協議を踏まえ、利便性の向上による新たな乗客の開拓、一層の利用促進が図られるよう、田原町駅で両鉄道を接続し、福井鉄道がえちぜん鉄道に乗り入れるための施設整備に向けて鉄道事業者を支援する考えであります。

 また、福井鉄道につきましては、小型軽量で低床の車両の導入に対し、国庫補助制度を活用して、沿線3市とともに支援してまいりたいと考えております。

 次に、元気な県政であります。

 県民の安全・安心につきましては、全国に先駆けて策定した「福井治安回復プログラム」に基づいて取り組んだ結果、刑法犯の件数が、平成16年は対前年比約20%減で、全国一の減少率となるという大きな成果をあげました。

 しかし、いわゆる「振り込め詐欺」の被害が拡大するなどの問題があり、犯罪発生総数の抑制と県民の皆さんが治安の向上を実感できるようにすることを目指して、今回、「福井治安回復プログラム2005」を策定いたしました。

 今後、地域の防犯活動を担う「市町村安全安心センター」を中心に、「ふくいマイタウンパトロール隊」の拡充、犯罪に強いまちづくりなど、対策を強化してまいりたいと考えております。

 また、平成16年の交通事故総件数は、24,886件と過去最悪となっております。特に、スピードオーバー、交差点での事故が多いことから、安全速度を守る、信号を守る、反射材を使う、に重点をおいた「交通安全スロー・シグナル・シャイン(3S)運動」を県民運動として推進し、交通死亡事故の抑止に努めてまいります。

 次に、有事への対応につきましては、昨年末、全国で最初の県版の国民保護計画を作りました。その過程で明らかになった課題について、地方の立場から国に提言したところであります。

 今後、国の基本指針が正式に示された段階で本協議を行い、国民保護法に基づく国民保護計画として整備するとともに、県民の皆さんへの普及啓発や国と共同で市町村や消防、警察とともに図上訓練等を実施し、計画内容の充実を図っていきたいと考えております。

 次に、ふくいブランドの創造につきましては、「健康長寿」を本県の誇るブランドにしていくという基本戦略に基づき、「健康長寿ふくい」を全国に向けアピールしてまいります。このため、健康長寿の研究拠点となる県立大学を中心に、県立病院、食品加工研究所などの関係機関で「健康長寿ふくい推進機構(仮称)」を形成して、保健、医療、産業など幅広い分野における調査研究、商品・食品開発等に取り組み、その成果を用いて健康長寿ふくいを全国に発信していくこととしております。

 併せて、エネルギー研究開発拠点化計画の骨子に盛り込まれた陽子線がん治療施設につきましても、健康長寿ふくいを推進する主要拠点となるよう具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、職員提案型の予算外事業として、自転車にもやさしいまちづくりを目指した道路の段差解消やサイクリングロードの整備等を行い、健康と環境によい自転車利用の県民運動をスタートさせたいと思います。

 さらに、その美しさが高く評価されている越前の民家など、本県の伝統的民家の景観を保存して、次の世代に引き継ぐため、全国で初めて、伝統的民家の普及促進に関する条例制定の検討や伝統的民家の新築、改修への補助を行うことといたします。

 次に、市町村合併につきましては、本年1月1日に「南越前町」が、また、2月1日には「越前町」が誕生したところであり、現在は、7つの法定合併協議会において具体的な協議が進められております。

 三方町と上中町の合併につきましては、3月31日をもって「三方上中郡若狭町」を設置する旨の総務大臣の告示が先月行われたところであります。

 今後とも、合併特例法の適用期限内にできるだけ多くの合併が実現するよう、県として積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。

 次に、敦賀市民間最終処分場問題につきましては、昨年11月から抜本対策を決定するための基礎調査を行ってまいりました。

 この調査結果を専門家等で構成する環境保全対策協議会において検討したところ、より明確にすべき点があるとの考え方が示されました。

 このため、県といたしましては、協議会の意見を踏まえ、平成17年度において所要の調査を実施したうえで対策方法を決定し、敦賀市とも協力して、できるだけ早期に適切な対策を講じるよう取り組んでいきたいと考えております。

 以上、平成17年度当初予算案を中心に主要施策の概略をご説明申し上げましたが、予算案の規模は、

  一般会計  4,946億2,523万円余

  特別会計    188億1,842万円余

  企業会計    344億7,186万円余

   計    5,479億1,552万円余

となった次第であります。

 また、これに見合う歳入予算につきましては、確実に収入が見込まれる県税944億9,086万円余、地方交付税1,250億円を計上いたしましたほか、国庫支出金921億5,685万円余を計上するとともに、不足する財源につきましては、財政調整基金等を取り崩して措置することといたしました。

 次に、組織につきましては、新幹線をはじめとする総合的な交通網の整備、県民の安全・安心の確保、健康長寿ふくいの推進、子育て支援の充実など新しい実行の局面を迎える政策課題を迅速に解決し、また、部局を超えた総合的な行政を一層推進するため、県民生活部と福祉環境部を廃止し、新たに総合政策部、安全環境部、健康福祉部を設置する「部制に関する条例」改正案を提案いたしております。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題、予算案等について申し上げました。なにとぞ、ご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。 

 

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