第346回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2008年6月16日ページID 002330

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平成18年2月22日

第346回定例県議会

 

 

平成18年度当初予算案

 

 

知事提案理由説明要旨

 

福 井 県

 

 

 第346回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成18年度当初予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 知事就任以来3年間、私は、マニフェスト「福井元気宣言」に基づき、県民の思いを絶えず県政に活かしながら、県民が自信と誇りを持てるふるさとを築くため、全力で取り組んでまいりました。

 この間、一昨年の福井豪雨や昨年末からの大雪、また、関西電力美浜発電所の事故など災害や事故にも見舞われましたが、県民の皆様や議員各位の理解と協力をいただき、「元気宣言」に掲げた諸施策や防災対策を着実に進めることができました。

 その結果、北陸新幹線の県内着工をはじめ、高速道路の整備促進、景気・雇用情勢の回復、エネルギー研究開発拠点化計画など原子力政策の推進、治安の回復、福祉・教育の充実、行財政構造改革の推進など、県政の重要課題について成果を挙げ、今後の方向づけを行うことができたと考えております。

 新年度は、「元気宣言」の最終年次であり、いろいろな意味で「固めの年」であると考えております。これまでに取り組んできた施策の仕上げを行い、県民の皆様に「元気宣言」に基づく4年間の確かな成果を示すとともに、さらにその先へと県勢の飛躍に向けて、全力で取り組みたいと考えております。

 さて、今から125年前、明治14年に福井県が誕生した当時、1980あった町村は明治22年の市町村制の施行に伴い178となり、昭和の大合併を経て35の市町村に再編されました。そして、平成の大合併の流れの中で、3月末には県内の市町村は9市8町となります。これにより、行財政の能力は大幅に強化され、住民サービスの向上が期待されます。

 そして、住民に身近な行政を担う市や町と、より幅広い行政を担当している県が役割を明確にしながら、これまで以上に連携を強化し、魅力ある地域を建設し、福井の発展に努めなければなりません。

 さらに、各政党やメディアなどにおいて、憲法改正議論が本格化しております。私が委員長を務める全国知事会の憲法問題特別委員会におきましても、本年度内に報告書を取りまとめる予定であります。

 そして、全国の地方団体等と協力して、憲法改正議論の中で地方分権の確立が大きな柱となるよう、国民的な機運を醸成してまいりたいと考えております。

 

 

 それでは、まず、当面する重要課題について申し上げます。

 北陸新幹線につきましては、昨年12月に南越・敦賀間の工事実施計画の認可申請も行われ、敦賀までのフル規格での整備に向けて大きく前進しました。福井駅部につきましては、新年度の政府予算案では30億円が計上され、埋蔵文化財調査の終了後、平成20年度末の完成に向け、今年秋頃から高架橋工事に着手する予定であります。

 先月、北側国土交通大臣が福井駅部を視察された際に、金沢開業と同時期での福井開業、敦賀までの整備促進が実現するよう強く要望したところであります。

 今後さらに、地元選出国会議員、県議会議員、沿線市町等と一体となって、国および関係機関への要請活動を展開していくとともに、沿線市町等との連携を一層図り、県内延伸に向けた準備を着実に進めてまいりたいと考えております。

 また、敦賀以西の課題につきましては、関係する府県などと実務的な検討を始めており、北陸新幹線を関西自らの新幹線として位置付け、積極的に取り組むよう働きかけてまいりたいと考えております。

 昨年4月には新しい福井駅も開業し、北陸新幹線の開業を活かす福井駅周辺のまちづくりは大変重要な時期を迎えております。

 県としては、平成19年春の手寄地区再開発ビルの開館に向け、多目的ホールなどの公共公益施設の整備を進めるとともに、西口の駅前広場の整備や中央地区の再開発事業の具体化を図ってまいりたいと考えております。

 特に、福井駅西口中央地区の再開発につきましては、昨年12月の県・市・地元の3者による協議の場において、合意区域を変更する市の案について、地元の同意を前提として受け入れたところであります。

 以上のように、福井市の再開発計画は、これから重要な段階に入るため、県としても市とのより密接な連携・協力が必要であると考えております。

 また、今年秋の敦賀までの鉄道快速化に伴う嶺南地域のまちづくりにつきましては、今ある豊富な観光資源の魅力向上や街なかにおけるにぎわいの創出など、交流人口を増やす仕組みづくりが必要であります。また、地元の人達が意欲を持って魅力あるまちづくりを進めることが重要であると考えております。

 このため、観光資源のネットワーク化や空き店舗の活用などを支援していくとともに、JR敦賀港線を活用し、鉄道のレールと道路の両方を走行できるDMV(デュアル・モード・ビークル)の導入についても検討してまいりたいと考えております。

 次に、原子力行政について申し上げます。

 美浜発電所3号機につきましては、事故により破損した二次系配管の取替工事が終了し、国は立入検査の結果、法令に定める技術基準に適合していることを確認しました。国の確認結果や原子力安全専門委員会での審議等を踏まえ、ハード面では技術基準に適合した配管設備に復旧したものと考えております。

 関西電力においては、昨年3月に策定した29項目の再発防止対策について、その実施状況を今月15日に国に報告したところであります。こうした対策については、県民によく分かる形で示されることが重要であり、また、今月20日から国の特別な保安検査が行われており、その評価結果についても、県として十分に見極めていく必要があると考えております。

 さて、本県が強く要請した高経年化対策につきましては、昨年12月、国において対策を実施するためのガイドラインや標準審査要領を定めたところであります。これに基づき、関西電力は、1月30日に、運転開始30年を迎えることになる美浜発電所3号機の高経年化技術評価等報告書を国に提出しました。県としては、報告書の内容と国が進めている審査状況について、十分に確認してまいりたいと考えております。

 

 

 次に、当初予算につきましてご説明申し上げます。

 平成16年度から3年間のいわゆる三位一体改革におきましては、税源移譲に結びつく国庫補助負担金が3兆1,176億円廃止され、一方、3兆94億円が地方へ税源移譲されました。本県におきましては、国庫補助負担金が約159億円廃止され、所得譲与税および地方交付税により約153億円が措置されております。

 しかし、その内容は、義務教育費や児童手当、児童扶養手当の国庫負担率の引下げなど国の財政再建がより優先され、地方の裁量が十分発揮できる結果となっていないところです。

 平成19年度以降の第2期改革に向けましては、国と地方の協議の場や国との折衝の方法を強化し、国と地方の新しい役割をもとに税制の抜本的見直しなどを実現することが重要であります。県議会や全国の地方団体と力を合わせて努力してまいりたいと考えております。

 当初予算案の編成に当たっては、「行財政構造改革プログラム」に基づき、職員の削減、事務事業・補助金の見直し、外郭団体の整理・統合等を進め、財源の確保と健全財政の維持に努めたところです。そして、県議会の議論、また、昨年7月の「福井元気宣言」の中間評価をもとに、県民が最終的に受ける利益等を重視した事業を推進することといたしました。

 また、より自由に事業が進められるよう、毎年度の成果目標を明確にし、その達成度によって次年度予算の配分に連動させるシステムを試行的に導入しております。

 さらに、予算を伴わずに政策目的を実現する職員提案型のゼロ予算事業のほか、少子化対策や子どもの安全・安心の分野等で県民、市や町、民間団体と協力して行う事業を増やしたところであります。

 

 

 では、新年度の主要施策につきまして、元気宣言に沿って申し上げます。

 まず、「元気な産業」についてであります。

 経済の活性化につきましては、平成15年12月に策定した「挑戦(チャレンジ)ふくい」に基づき、新規創業支援、企業誘致、雇用対策などを積極的に進めてまいりました。

 その結果、本県経済は、製造業を中心に緩やかな回復の動きが続いており、雇用情勢につきましても、昨年12月の有効求人倍率は、全国平均の1.00倍を上回り1.39倍と、33か月連続で前年同月比プラスとなり、また、県内の完全失業率につきましても、昨年10月から12月までの平均値は全国平均の4.3%に対し2.5%と全国的にも最低水準で推移しているなど、改善傾向が続いております。

 今後、景気の回復基調を確かなものにしていくために、次代をリードする産業の育成、景気回復の波に十分乗り切れない地場産業の振興、若年労働力の不足などの課題に対応してまいりたいと考えております。

 特に、雇用対策につきましては、1月末までにふくいジョブカフェを利用して就職した若者が昨年度の約4倍の1,032人となっており、引き続き、若年求職者へのカウンセリングや人材育成セミナーの開催など、就職支援に努めてまいりたいと考えております。

 これから定年を迎える昭和22年から昭和24年生まれのいわゆる団塊の世代につきましては、雇用の延長や再就職の促進、企業での技能承継、生きがい対策などが課題となっております。

 県としては、その貴重な知識や能力を地域で活かしていただくため、再就職や起業のための情報の提供やセミナーの開催、就農支援などを行うとともに、子育て、防犯、まちづくりなどの社会貢献活動への参加を促進してまいりたいと考えております。

 また、本県産業を担う人材を育成するため、4月に県立大学大学院にビジネススクールを開設いたします。国際的視野を持ち経営の高度な理論と実践能力を身に付けたビジネスリーダーを養成してまいりたいと考えております。

 また、現在、県内に約1,900人いると推計されている若年の無業者につきましては、農作業やボランティアなどの体験の場の提供により就労や社会活動への参加意欲を高めていくほか、教育や精神保健の関係者、企業等から成る連絡協議会を設置し、自立支援のための総合的な対策を検討してまいりたいと考えております。

 先端的技術によるものづくりを進めるため、現在、レーザ高度利用技術など5つの最先端技術分野の研究会に、100社を超える県内企業や大学等の60人余りの研究者が参加し、11の研究テーマについて市場ニーズや技術的な可能性調査を行っております。

 今後、全国の企業や研究者にも幅広く参加を働きかけ、国の競争的資金を活用しながら新技術の実用化に向けた研究を着実に推進し、次世代自動車部品など有望市場分野における産業群づくりを進めてまいりたいと考えております。

 また、原子力・エネルギー関連技術による地域産業の振興を図るため、新たに、新技術や新商品の研究開発に取り組む意欲的な嶺南地域の企業等への支援制度を創設し、技術移転を促進してまいります。

 企業誘致につきましては、先月、敦賀市産業団地へ薄型テレビ画面などに使用される光学フィルムを製造する「株式会社巴川ファインコーティング」の進出が決定しました。初期投資額は約60億円で最終的に210人の雇用が予定されております。

 この3年間で、県外企業の立地や立地企業の増設は58社となり、投資額は約830億円、雇用予定者数は約2,300人となっております。

 商業の振興につきましては、国において、中心市街地の空洞化に歯止めをかけるため、いわゆる「まちづくり三法」の改正案が今国会に提出されており、県においても、中心市街地の商業の活性化を図るため、学生と商店街の協働による若者を呼び込む事業や空き店舗への出店等を支援してまいりたいと考えております。

 観光につきましては、「ビジットふくい推進計画」に基づき、本年度から民間が主体となって、観光地の活性化や新たな観光コースの開発を進めており、三国湊とあわら温泉における共同事業など、新たな活動が始まっております。

 また、産業観光の振興を図るという観点から、伝統的工芸品産地での本格的な体験教室を組み入れた旅行商品の開発や伝統的技法による土産品の開発等を支援してまいりたいと考えております。

 東アジアからの観光客誘致につきましては、海外の旅行会社に対する助成制度を活用して来県した観光客が、台湾を中心に昨年度の10倍の約3千人となっております。今後、さらに誘致拡大を図るため、助成制度を見直すとともに、近隣府県と連携し、広域観光ルートの開発や観光商談会等を通じた誘客を強化してまいりたいと考えております。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 本年は、コシヒカリ育成50周年にあたり、この機を捉え、「コシヒカリのふるさと・福井」を改めて全国に強くアピールしてまいりたいと考えております。

 また、「福井産コシヒカリ」のブランド化を図るため、「50周年記念米」と認定した最高級のお米の販売や、「健康長寿ふくい」や本県の名水を活かした販売などを実施したいと考えております。

 水田農業について申し上げます。

 「家業から企業的経営へ」との考え方に基づき、地域農業を支える経営体の育成に努めた結果、この3年間で認定農業者は1.5倍の約640経営体、農業生産法人は1.8倍の約70法人となりました。また、集落営農組織は約480組織で、集落数に対する組織化率が約26パーセントと全国3位となっております。

 今後、認定農業者や集落営農組織への農地の集積を加速するとともに、集落リーダーの養成等により、集落営農組織の育成や法人化を促進してまいりたいと考えております。

 また、これにより、平成19年度からの新たな経営安定対策の対象となる水田面積を、現在の約24%から3年間で倍増したいと考えております。

 園芸の振興につきましては、ウメや越前水仙の生産が減少していることから、ウメについては病気に強い品種の導入を進め、越前水仙については平坦地等での栽培を拡大して、天気に左右されない生産体制を確立してまいります。

 また、スイカ、ミディトマトなどの本県の主要品目や勝山水菜に代表される伝統野菜を、「健康長寿ふくいの野菜」として、大都市圏において四季を通じ切れ目なく販売してまいります。

 さらに、坂井北部丘陵地の活性化、生産者による県産食材の直売所の県内各地への拡大などを行い、平成16年度に約102億円だった本県の園芸産出額を、今後5年間で2割増やすよう努力してまいります。

 林業の振興について申し上げます。

 これまで利用されなかった間伐材等について、間伐箇所を集約し団地化するとともに、森林組合や木材市場等からなる共同出荷体制を整備し、年間を通じて一定量の間伐材等を合板工場へ安定的に供給してまいりたいと考えております。

 また、平成21年度に開催予定の「第60回全国植樹祭」につきましては、県民が、森林の果たす様々な役割を学び、行動する絶好の機会でありますので、本県にふさわしい植樹祭となるよう、基本構想を策定してまいりたいと考えております。また、県民が身近なところで県産材を活用する「木を使う運動」や、各地で四季折々の花木の植栽やソバの花畑づくりなどで美しい景観を創出する「花のまち運動」などを展開してまいりたいと考えております。

 水産業の振興につきましては、平成15年度から、起業化を目指す漁業者グループの行う商品開発等を支援してまいりましたが、新年度からは新たに、さらに生産基盤を確立して事業の継続・拡大を目指すグループについては、加工設備・機器の整備などにも支援を行うよう制度の拡充を図ることとしております。

 次に、「元気な社会」についてであります。

 少子化対策について申し上げます。

 本格的な少子・人口減少時代を迎えた中で、結婚から妊娠、出産、育児、教育まで、子どもを安心して生み育てやすい環境づくりを地域社会全体で進めていかなければなりません。

 まず、結婚につきましては、県内200人の結婚相談員の仲介により、本年度、これまでに40組以上が結婚されましたが、今後、より活発に家庭訪問を行い、きめ細かに相談に応じるなど、一組でも多くの縁が結ばれるよう努めてまいります。

 また、子育ての経済的負担を軽減するため、現在、県では、3人以上子どもを持つ家庭に対しては、小学校就学前の乳幼児の医療費の無料化などを行っております。今後は、「ふくい3人っ子応援プロジェクト」としてさらに支援内容を拡充し、子どもを3人以上持ってほしいという政策的なメッセージを強力に示してまいりたいと考えております。

 具体的には、3人目以降の子どもについては、生まれる前の妊婦健診経費から、3歳に達するまでの保育料等の公的サービス料を原則無料にする全国トップクラスの制度を創設します。また、不妊治療を受けている夫婦に対する治療費の助成を拡充してまいります。

 育児休業の取得促進など子育て支援に意欲的な企業につきましては、その活動を広く紹介するとともに、県制度融資の保証料の全額補給などにより応援してまいります。

 また、子育ての悩みや不安を解消するため、400人を超える「子育てマイスター」の子育て相談などの活動を拡充してまいります。さらに、父親の育児セミナー等により育児への参画を促すとともに、出産等で離職した女性の再就職を支援するため、実務能力向上のための訓練などを実施したいと考えております。

 次に、「健康長寿ふくい」の推進について申し上げます。

 県民の健康寿命を延ばしていくため、予防医学の新しい分野であるアンチエイジング(健康と若さを保ちながら年を重ねること)医学の考え方を導入し、血管や骨などの「健康長寿度」をかかりつけ医で簡便にチェックできる手法を開発・普及してまいりたいと考えております。

 また、本県は、むし歯のある児童・生徒が多いことから、モデルとなる小学校において、民間企業の協力を得て、キシリトールを含んだ特定保健用食品を活用したむし歯予防の新しい活動を実施します。

 がんは、本県で死亡原因の3割を占めトップとなっております。その対策は、早期発見・早期治療が最も重要であり、特に、受診率が低い中高年男性の受診を促進してまいります。

 陽子線がん治療施設の整備につきましては、平成21年度の治療開始に向け、本年度内に基本設計に着手し、新年度においては実施設計を行うこととしております。また、がん治療のネットワークを構築するため、嶺南地域を含む県内主要病院との患者の紹介や遠隔画像伝送システムの整備など、広く県民が利用できる検討を進めてまいりたいと考えております。

 「福井県老人保健福祉計画・介護保険事業支援計画」につきましては、介護保険制度の見直し等を踏まえ、元気な高齢者の社会活動の応援や在宅サービスの充実を強化することなどを基本に進めてまいりたいと考えております。

 障害福祉の推進につきましては、障害者自立支援法の施行に伴い、4月から医療費の自己負担が増加することとなりますが、重度の知的・身体障害者に対しては、引き続き県独自の医療費無料化制度により支援していくとともに、重度の精神障害者の通院医療費についても無料化制度の対象とすることといたしました。

 次に、教育について申し上げます。

 学校教育につきましては、教員の果たす役割が最も重要であると考えております。このため、教員の資質の向上、効果的な教員配置と学級編成を図らなければなりません。

 こうした観点から、平成16年度から、「元気福井っ子笑顔プラン」に基づいて、小・中学校における少人数学級編制を計画的・段階的に進め、特に、授業の理解度が低下するなど対応が必要な中学1年生につきましては、現在の35人の学級編制をこの4月から32人とし、平成19年度には30人学級を実現したいと考えております。

 また、教員の指導力をさらに高めるため、高校教員の派遣研修や小・中学校教員を対象とした教科指導技術に関する研修を行います。

 次に、「元気な県土」についてであります。

 舞鶴若狭自動車道につきましては、小浜西・小浜間、小浜・敦賀間が、それぞれ西日本と中日本高速道路株式会社が地方の負担を伴わない有料道路方式により整備する区間とされ、今月10日に国土交通大臣から指定を受けました。本年度内に両高速道路株式会社から完成予定時期などが明らかにされると聞いており、一年でも早く整備されるよう、強く要請してまいりたいと考えております。

 なお、小浜西・敦賀間につきましては、現在、約67%の用地買収が完了しております。小浜西・小浜間11.2キロメートルにつきましては、約5キロメートルで工事を実施しており、小浜インターチェンジまでの早期開通を当面の目標として努力をしてまいります。

 中部縦貫自動車道につきましては、永平寺西・永平寺東間1.6キロメートルの平成18年度中の供用開始に向け整備を進めております。また、福井・大野間につきましては、現在、約78%の用地が確保されておりますが、旧上志比村の石上地区での買収を早期に完了し、上志比・勝山間の平成19年度中の供用開始に向けて、強く働きかけてまいります。

 大野油坂道路につきましては、具体的なルートおよび構造を決定するため、国において、今月、環境調査委員会が設立され、猛禽類調査以外の環境調査に着手することとなっております。

 地域鉄道の活性化につきましては、福井鉄道が4月から小型低床車両による運行を開始する予定であります。県としては、各鉄道事業者や市や町とともに利用促進に努めてまいりたいと考えております。

 足羽川ダムにつきましては、先月の九頭竜川流域委員会において、建設位置を池田町の部子川とすることや、常時水を貯めない治水専用ダムとすることが委員会として確認されました。また、今月19日の第31回流域委員会において、このたび国が定めた九頭竜川水系河川整備基本方針を受けて、ダムの整備規模についての議論がなされたところであります。

 県としては、委員会等で示された意見を国が考慮し、提示したダムの整備内容について、県議会での議論や住民意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 足羽川の福井市街地区間で実施している激甚災害対策特別緊急事業につきましては、河床の掘削土砂の搬出をはじめ、泉橋および木田橋の架け替えのための橋台や橋脚の設置工事が予定どおり進んでおります。

 桜堤の保全、水辺空間の利用等については、本年度内に提出される「足羽川河川環境整備検討会」の提言をもとに整備方針を策定し、激特事業で対応可能なものは対象としてまいりたいと考えております。

 次に、「元気な県政」についてであります。

 まず、文化の振興について申し上げます。

 本県の豊かな歴史文化、伝統文化、精神文化は、県民の誇りと自信の源であり、昨年秋に開催された国民文化祭は、県内の様々な文化を知り、全国に発信する絶好の機会となりました。今後は、その成果を継承・発展させ、県民が日頃から様々な文化に親しみ、楽しめる環境づくりを推進してまいりたいと考えております。

 具体的には、美術作品やミニコンサートを公共施設や病院等で気軽に楽しめるようにするとともに、文化活動の交流を促進する「ふくい県民総合文化祭(仮称)」等を開催したいと考えております。

 特に、子どもたちにつきましては、県立音楽堂での公演における「子ども鑑賞席」の確保や児童向けのコンサートの開催、学校での芸術鑑賞教室の実施等により、本物の芸術・文化を鑑賞・体験できる機会をより一層充実し、文化活動を活発にしてまいります。

 また、福井の歴史や偉人たちの気概を学ぶため、県立図書館において、郷土作家や本県を舞台とする作品を紹介する「ふるさと文学コーナー(仮称)」を整備したいと考えております。

 今年は、近代日本美術の先覚者である本県ゆかりの岡倉天心が、日本の伝統文化を英文で紹介した「茶の本」をニューヨークで出版してから100周年を迎えます。これを機に、「美術」「外国語」「お茶」といった観点から、記念事業を展開してまいりたいと考えております。

 さて、本県には、優れた歴史、文化、恵まれた自然や食べ物、県民の健康長寿、最先端技術により生まれた素材や製品など、外に広く知られてはいないが、「実は福井」という言葉によって表されるような、誇るべき地域資源が数多くあります。

 このため、県民一人ひとりが、大人から子どもまで、福井のことを調査、発見、再認識し、「かたりべ」として県内外に自らも広く語っていく「考福学」運動を展開してまいりたいと考えております。

 次に、県民の安全・安心について申し上げます。

 平成17年の本県における刑法犯の認知件数は対前年比17%減で、戦後最多であった平成14年と比較すると約4割減少しております。また、検挙率は52.7%で全国1位となっております。

 しかしながら、子どもへの声かけ事案や夜間の侵入窃盗等は増加傾向にあり、県民の不安の解消には至っていないことから、このたび、「福井治安回復プログラム2006」を策定し、県公安委員会、県警察本部と連携してさらなる治安の向上に努めてまいりたいと考えております。

 子どもの安全・安心につきましては、登下校時、学校内、帰宅後の各場面に応じたきめ細かな安全対策が必要であり、現在、4万人余りの方に協力をいただいている「子ども安心3万人作戦」による地域ぐるみでの見守り活動や学校での安全教育を充実してまいります。

 また、事件の発生や防犯活動の状況を具体的にインターネットの地図情報システムを使って県民に提供していくとともに、市や町などが行う非常連絡機器の配備に対する支援などを行い、犯罪の抑止と被害の未然防止に努めてまいりたいと考えております。

 敦賀市の民間最終処分場につきましては、先月開催した「環境保全対策協議会」において、漏水および雨水等流入防止や廃棄物の浄化促進のための抜本対策が示されました。また、先般、「最終処分場の対応に関する調査委員会」から、問題発生当時の県の対応について報告をいただいたところであります。

 現在、対策協議会での結果や調査委員会の報告をもとに、国との事前協議を行っておりますが、国に対して、年度内に実施計画書を提出し、是非とも大臣同意を得て、抜本対策に係る事業が国の特別措置法による補助の対象となるよう強く要請してまいりたいと考えております。

 次に、大雪対策について申し上げます。

 昨年12月中旬以降の雪は記録的な大雪となり、14人の死者と多くの負傷者を出すとともに、家屋の倒壊、主要幹線道路の通行止めや公共交通機関の運休など、県民生活や経済活動は大きな影響を受けました。

 県では、道路の早期除雪等に全力で取り組み、県民にも、除雪作業時の健康管理や事故防止を随時呼びかけるとともに、通学路の除雪などへの参加・協力もお願いしたところであります。

 また、国に対して道路除雪費の増額等を強く要請した結果、県および市町村管理道路に対する除雪費補助の緊急配分や特別交付税の前倒し配分が行われ、県議会の理解をいただき、除雪費の専決処分を行い、速やかに対応したところであります。

 今後、特に高速道路等における雪害対策の強化や屋根雪下ろし等に伴う事故防止、高齢者など要援護者世帯に対する支援などの対策を充実するとともに、道路の融雪設備の整備を進め、冬期の県民生活の安全・安心の確保を図ってまいりたいと考えております。

 以上、平成18年度の当初予算案を中心に主要施策の概略をご説明申し上げましたが、予算案の規模は、

  一般会計  4,906億2,761万円余

  特別会計    195億6,955万円

  企業会計    338億6,946万円余

   計    5,440億6,663万円余

となった次第であります。

 また、これに見合う歳入予算につきましては、確実に収入が見込まれる県税969億6,660万円余、地方交付税1,235億円を計上いたしましたほか、国庫支出金821億5,716万円余を計上するとともに、不足する財源につきましては、財政調整基金等を取り崩して措置することといたしました。

 指定管理者制度につきましては、県有の公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合の基本方針や指定の手続の基本となる事項等を定めた「福井県指定管理者制度基本条例案」を提案いたしております。

 この条例により、新年度から指定管理者による管理に移行する31施設につきましては、住民サービスの向上や効率的な運営がより一層図られるように取り組んでまいりますとともに、新たに指定管理者を指定する際には、より幅広い参入が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

 また、地域の歴史・文化に培われてきた伝統的民家を県民共有の資産として後世に継承し、本県のブランドとして発信するため、全国で初めての「福井県伝統的民家の保存および活用の推進に関する条例案」を提案いたしております。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題、予算案等について申し上げました。

 なにとぞ、ご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

 

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