第354回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2008年6月23日ページID 000784

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平成19年11月28日

第354回定例県議会

 

 

平成19年度12月補正予算案

 

 

知事提案理由説明要旨

 

福 井 県

 

 

 第354回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および主な施策につきまして、その概要をご説明申し上げます。

 まず、ただいま表彰決議がされました関孝治議員には、20年の長きにわたり、県議会議員として県政の発展と県民福祉の向上に尽くされ、その功績は誠に顕著なものがあります。

 ここに、県民を代表して深く感謝の意を表し、心からお祝い申し上げますとともに、今後とも、一層ご活躍されますようお願い申し上げます。

 さて、本年も残すところ1か月余りとなりました。国政においては、夏の参議院選挙、その後の内閣総辞職と新内閣の発足など、政治的に変化の激しい年でありました。

 こうした中、私は「新元気宣言」に基づき、県議会をはじめ、県民の皆様のご協力をいただきながら、安全で安心な生活を土台に、豊かさのみならず、楽しみや喜びを実感しながら福井で暮らせてよかった、と思えるふるさとづくりに全力で取り組んでまいりました。

 ところで、都会と地方の間のいわゆる格差是正が課題となってきている中で、地方が真に再生し、豊かな暮らしを守るという最も重要な政治に課せられた責務を果たしていくためには、将来を見据えた国土の政策に加え、地方のことは地方自らの責任で決め、自らの財源で実行するという真の地方自治の確立が何よりも重要であります。

 新幹線や高規格幹線道路は、我が国の社会経済の発展を支える上から、最も基幹的な社会資本でありますが、ネットワークが形成されて初めてその効果が発揮されるものです。その地方だけの課題としてではなく、国が明確な目標を持ち、今後10年くらいを一つの区切りに、責任を持って整備していくべきものであると考えます。

 地方と国の関係については、総理大臣の所信表明の中で、地方と都会がともに支え合う共生の考え方のもと、地方団体に対する一層の権限移譲と地方税財政の改革に取り組むことが表明されています。

 今月16日、政府の地方分権改革推進委員会は、地方に対する国による義務付けや関与の見直しなどを内容とする「中間的なとりまとめ」を行いました。また、全国の地方六団体も、19日に「地方分権改革推進」全国大会を開催しました。地方税源の充実と偏在是正、国と地方の役割分担の見直しなどを内容とする決議を行い、政府に要請したところです。

 今、分権改革を進める上で、地域間格差の是正が大きな関心事となっております。本県としては、今月6日に福井県自治体代表者会議として考え方をまとめております。偏在性の少ない地方税体系、「ふるさと納税」の早期実現、地方交付税の確保などを内容とする「格差是正による地方活性化に関する緊急決議」を行い、20日には県選出国会議員や関係省庁に要請したところです。

 ところで、税財源の格差是正に関連して、地方法人二税を国が一括徴収し地方に配分することが一部で議論されていますが、これは地方分権の流れに沿うものではありません。私は、法人県民税の分割基準や地方消費税の清算基準の見直し、地方交付税の充実・確保によって相当の格差是正が可能であると考えており、先の全国知事会でも、このことを主張したところであります。

 「ふるさと納税」については、本県が提案した「故郷(ふるさと)寄付金控除」の考え方に沿った研究会の報告書がまとまりました。この制度は、一人ひとりの納税者がふるさとへの思いを寄付の形で表すことにより、実質的に税の一部をふるさとに納めたのと同様な効果を持つものであります。制度の趣旨が国民に十分理解されることが重要であり、今後、国の税制改革において早期に実現することを強く期待しております。

 それでは、当面する県政の重要課題について申し上げます。

 まず、北陸新幹線であります。

 北陸新幹線の福井駅部につきましては、現在800メートル全域で高架橋の下部工や上部工の工事が進められておりますが、このうち南側の約200メートル区間の工事がほぼ完成するなど、平成20年度末の完成を目指して工事が着実に進んでおります。

 北陸新幹線の整備促進につきましては、先月10日の「北陸新幹線整備実現福井県推進本部」による要請をはじめ、県議会、沿線市および経済界それぞれが、県選出国会議員を先頭に、政府・与党、関係省庁に対し継続的に要請活動を実施し、整備スキームの早期見直しによる敦賀までの一括認可・早期整備、北陸3県同時期での福井開業の実現を強く働きかけたところであります。

 今月20日には、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームの自民党議員による協議、また本日朝には、与党プロジェクトチームの会議が開かれました。

 本日の会議においては、新規着工区間の目標設定として「金沢・敦賀間」を盛り込み、また、政府に対して次のような申し入れを決定したところです。すなわち、年内に政府・与党整備新幹線検討委員会を立ち上げ、新規着工区間の取扱い、財源の確保等について、年度内に結論を得るべく全力を傾注するよう、申し入れることを決定しております。

 このことは、県内の早期整備に向け、さらに一歩前進であると受け止めております。

 今後は、政府・与党整備新幹線検討委員会等による議論が精力的に進められ、敦賀までの整備方針が明確に示されることが必要であり、一日も早く整備スキームが見直されるよう、県内一丸となって引き続き頑張ってまいります。

 次に原子力行政であります。

 昨年9月に国が改訂した新しい耐震設計審査指針に基づき、現在、事業者において、原子力発電所の耐震安全性の再評価が進められております。また、国においては、新潟県中越沖地震で得られた知見を年内に示すこととしており、これを再評価に反映させるよう事業者に求める予定であります。

 これを踏まえ、「もんじゅ」については、本日、原子力機構から、年末に予定していた評価結果の公表時期を来年3月に延長するとの報告を受けたところです。平成21年に再評価結果を公表予定の日本原子力発電および関西電力においても、各発電所の代表プラントについて、来年3月までに、新しい審査指針と中越沖地震の知見をもとに、中間的な報告として安全上重要な設備の評価を公表することとしております。

 県としては、国に対し、各事業者の評価結果について厳正かつ早期に確認した上で、その結果を県民に分かりやすく説明するよう国に求めているところであります。

 なお、国に対しては、国自らが若狭湾を含む日本海沿岸部の海域活断層の調査研究を積極的に実施するよう併せて強く要請しているところです。

 さて、原子力発電所に係る定期検査制度については、国においては、一律13か月と定めている定期検査間隔を延長し、プラント毎の特性に応じた新たな制度に移行することついて検討を進めております。

 本県としては、15基のうち6基が運転開始後30年を経過した高経年化プラントであり、この新たな制度は、発電所の稼働率向上など経済効率性を追及するためのものであってはならず、現行制度以上の安全性が確保されることが重要であります。

 このため、国に対して、高経年化プラントの一層の安全性向上を図ること、発電所ごとに運転年数や稼動実績、トラブル内容などについて国が評価・公表し、各原子力発電所ごとに定期検査の間隔を決定する仕組みを創設すること、県民・国民の理解を得ることなどについて、提案・要請しているところです。

 次に、「エネルギー研究開発拠点化計画」については、今月11日に拠点化推進会議を開催し、来年度の推進方針を決定いたしました。計画策定から2年半が経過し、幾つかのプロジェクトが同時に進行する段階となってきました。今後さらに、国をはじめ、電力事業者、大学、産業界などと一体となって、施策のスケールやステージが上がるよう、全力で取り組んでまいります。

 来年度の具体的な施策として、まず人材育成では、日本原子力発電が中心となって、海外からの研修生も受け入れる原子力安全研修施設を整備するための構想を策定します。また、福井大学を核に、関西・中京圏等の大学との連携大学拠点を整備するため、委員会を設け、共同設置の方法や規模などについて敦賀市とともに具体的に検討を進めてまいります。研究機能の集積と産業貢献の課題については、日本原子力機構が「関西光科学研究所」のレーザー利用技術推進室を、また関西電力が「新エネルギー研究センター」を、いずれも平成20年度に設置し、県内企業や大学等との共同研究を開始します。さらに、燃料電池など次世代エネルギーに関する関連産業の新たな集積を図るため、関西電力が中心となって、県内外の企業や大学等で構成する協議会を設置し、産学官による研究開発プロジェクトを推進します。

 次に、福井鉄道福武線の問題について申し上げます。

 11月2日、福井鉄道、名古屋鉄道、県および沿線3市等からなる第1回の「福井鉄道福武線協議会」を開催しました。その際、県が求めていた再建方針について、福井鉄道からは、鉄道部門を分離し新会社に譲渡する案、もう一つは名古屋鉄道が債務を一部負担した上で株式を第三者に譲渡し、鉄道部門を含め全事業部門を引き継ぐ案が示されています。そして、先週21日の第2回協議会では、これらの案に関連して、経営資料等をもとに更に詳細な説明を求めたところであります。

 県としては、福武線の運行確保は重要であるとの観点から、今後、負担額など十分な議論を行い、沿線3市の考えや県議会のご意見も踏まえ、できるだけ早く結論を得たいと考えております。

 福井駅西口の駅前広場と西口中央地区の開発については、10月4日に福井市とともに地元説明会を開催し、都市計画決定の手続きを進めてきました。そして、去る19日の福井市都市計画審議会、22日の県都市計画審議会に福井駅西口開発に関する都市計画案を付議し、原案どおりの答申を得ました。今後、速やかに国土交通大臣の同意を得て、年内に都市計画を決定する予定です。

 出先機関の再編については、先の議会で基本的考え方を示し、県議会をはじめ関係市町や団体等の意見を伺ってまいりました。市町村合併や交通網の整備など社会情勢が変化する中、県民の利便性を十分確保し、効果的に行政サービスを提供できる体制とするため、来年度から県内6つの区域に、健康福祉、農林、土木の各事務所を1か所ずつ配置するとともに分庁舎を置く方針の下に、今回、関係条例を提案しております。

 それでは次に、主要施策について、「新元気宣言」に沿って申し上げます。

 まず、「元気な社会」のうち、教育についてであります。

 子どもたちが総合的な学力を身に付けるためには、「ていねいな教育」「きたえる教育」を日々実行することが重要であります。国の中央教育審議会では、小・中学校の教科の時間数を増やす方向で学習指導要領の検討が進められていますが、まずは「いかに子どもたちに教えるか」、に着目した本県独自の改革を、速やかに実行していかなければなりません。今月12日、「教育・文化ふくい創造会議」から、そのための指針となる第1次提言が行われました。

 まず、教員の指導力向上では、学校ごとに授業の目標、内容、方法等を具体的に示す「教育推進プラン」を作成し公開すること、義務教育9年間を見通した小中連携・一貫教育の推進、授業公開や校外研修の充実、教育研究所の機能強化などの改善策が示されました。

 また、理科・数学教育の充実では、「なぜそうなのか」を丁寧に教える指導法や教材の開発、中学・高校生が理科や数学の実験力や応用力を競う福井県独自の「理数グランプリ」の開催、大学の教員や企業の研究者、技術者などが公民館等で科学実験を行う「ふくいサイエンス寺子屋」の実施などが盛り込まれました。

 今後、この創造会議からの提言をもとに、本県の実情に合った有効な施策を具体化し、さらに引き続き、教員が本来の職務に専念できる学校マネジメント改革や「元気福井っ子笑顔プラン」の見直しについて、議論が進むものと考えております。

 さて、先月発表された全国学力・学習状況調査で、本県の児童生徒の学力は、全国最上位の成績でありました。

 これは、子どもたちの日頃の頑張りはもちろんのこと、これまでの少人数学級編成や低学年ボランティアの配置などの施策の成果、学校や家庭、地域の不断の努力、教員の熱心な指導によるものと考えております。

 なお、将来に向けては、貴重なデータを有効に活用していくことが重要であり、「学力向上推進委員会」において、学力や学習状況、生活習慣等との関連や改善策等について分析・検討し、子どもたちの「総合的な学力」の向上につなげていきます。

 一方、高等学校で学ぶ生徒たちについては、新しい時代にふさわしい教育を受けられる環境を整えることが重要です。そこで、生徒たちにとって魅力ある高等学校のあり方を検討するため、目指すべき方向や適正な規模、職業教育のあり方等について、近く、教育委員会においては高等学校教育問題協議会に諮問し、今年度中に答申を得る予定であります。

 さて、国民体育大会については、開催の意味やメリット、財政状況が厳しい中での開催方法、施設整備や選手の育成等の様々な課題について慎重に検討し、開催するかどうかについての県民のコンセンサスを得ることが何よりも重要であります。

 そこで、スポーツ界のみならず、学識経験者や経済界など様々な分野の委員で構成する懇話会を来月中旬に設置し、県民全体の視点に立って、幅広い観点からオープンな議論を進めて結論を得たいと考えております。

 次に、子育て支援について申し上げます。

 まず、ママ・ファースト運動を県民運動として広げていくため、子育て中のお母さん達も加わった推進協議会が中心となり、交通機関や病院など関係者に対して協力を要請しております。また、この運動の一環として行う子育て家庭への特典サービスについても、先月末、経済関係団体とともに実行委員会を設立し、今月1日から協賛店舗の募集を開始しております。

 次に、キッズデザイン「子どものまち」づくりについては、福井市社南地区、鯖江市神明地区、永平寺町御陵地区の3つのモデル地区において、親子や地域住民などが中心となって、実際に街を歩き、点検し、改善策を検討しています。今後、ここでの活動成果をガイドラインにまとめ、明るく安全な通学路や子どもだけでも安心して遊べる公園の整備など、共動によるまちづくりを県内全域に広げていきます。

 また、障害者や高齢者などで歩行困難な方が、公共施設やスーパーなどにある障害者用の駐車場を遠慮することなく、安心して利用していただけるよう、施設の協力も得ながら、駐車場利用証を掲示する「ハートフル専用パーキング利用証制度」を10月30日から開始しました。

 これまでに、約770名の方に利用証を交付し、約380の施設に協力をいただいております。導入に先立って意見を伺ったところ、この制度は障害者の特権ではなく、一般の人からの思いやりのこもったプレゼントであるといったご意見をいただきました。単にスペースを確保するというものではなく、県民一人ひとりのちょっとした気遣いがなければ成り立ちません。県民の皆様のご理解とご協力をお願いします。

 次に、健康長寿の推進について申し上げます。

 内閣府が今月10日に発表した「がん対策に関する世論調査」によると、がん検診の重要性を9割以上の方が認識しているものの、過去2年以内に実際に検診を受けた人は3割台に留まっております。また、県が全国で初めて行った市町および企業による県全体の検診状況調査によっても、検診率の一層の向上の必要性が裏付けられています。

 県では、一人でも多くの方に受診していただくために、今年度から、特に乳がんや大腸がんを対象に、ショッピングセンター等で、休日等の「出前検診」を始めましたが、現在策定を進めているがん対策推進計画の中で、予防から治療にわたって、さらに実効性のあるがん対策を検討していきます。

 また、特に治療面については、来年度中に県立病院内に「がん医療推進センター」を開設する予定であり、先月開催した構想策定委員会に、私自身も出席して、チーム医療の効果的な運営や専門医の確保などについて意見交換したところであります。

 なお、陽子線がん治療施設については、先に行った入札で事業者が決定しませんでした。今後、詳しい調査を行い、入札の実施について検討し、完成時期が大きく遅れることがないよう努力していきたいと考えております。

 さて、医師の確保については、地域的な医師の偏在が医療面における地域格差を生み出すものであり、知事会としても、へき地医療を臨床研修の必修科目とするなど、国が責任を持って早急に対策を講ずるよう提言しているところです。

 こうした中、県としても独自に医師を確保するため、県立病院長経験者等が、県外の本県出身の医師に県内勤務を働きかける地道な活動を続けているほか、十分な医療体制が組めない自治体病院等に県立病院から医師を派遣する制度を来年度から実施するため、現在、医師を募集しております。この制度により、初期診療を担い、救急医療にも強い総合医を一人でも多く養成・確保したいと考えております。

 なお、妊婦の救急搬送については、総合周産期母子医療センターである県立病院と地域の医療機関が連携して全力で取り組んでおり、先月発表された国の全国調査でも、本県では受入を拒否し、病院を転々とするような事例はないとの結果が得られております。

 次に「元気な産業」であります。

 本県経済は、個人消費は一部で弱めの動きがあるものの全体として持ち直しの動き、企業の生産活動は業種や企業規模によってばらつきがあるが概ね緩やかな回復の動きとなっております。

 ところで、最近の原油高などによる物価への影響について把握するため、今月8日に開催した消費生活審議会において、小売事業者も交えた意見交換を行ったところです。また、今月から当分の間、これまで2か月ごとに行っていた価格調査を、対象品目も増やして毎月実施することとしたところであり、今後の物価動向や経済情勢については十分注意したいと考えています。

 さて、本県産業が新たな段階に踏み出すために、これまで3回にわたり、経済戦略に関する政策会議を開催してまいりました。その中では、人の誘致に向けた定住受入体制の強化、優れた中小企業を次世代につなぐ円滑な事業承継の実現、本県の生活・文化に支えられた高付加価値商品を世界を相手に売る中小企業群の育成などについて議論が行われたところであります。来年度の予算に向け、ここでの議論を踏まえ、実効性のある施策に反映させていきます。

 今月21日、22日の両日、本県と戦略提携協定を締結している伊藤忠商事とその関連企業等に対して、県内企業48社や大学等が優れた技術や製品を「実は福井」の技として直接提案・紹介する技術展示会を本社を会場に開催しました。私自身も参加し、直接協力を要請しましたが、2日間で約1,100名の来場者があり、今後のビジネスチャンスの拡大につながることを強く期待しております。

 また、本県産業の高い技術力などの特性を活かして企業誘致を進めていくため、地域ごとの誘致対象業種等を盛り込んだ基本計画を策定し、先月17日に企業立地促進法に基づく国の同意を得ております。今後、この計画に基づき、関係機関が一体となって企業誘致に取り組みます。

 先月、ニチコン株式会社が、増産のための新工場を大野市の青島工業団地に建設することを決定しました。投資額は約53億円を予定しており、来年6月の操業を目指しています。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 平成21年春に開催される「第60回全国植樹祭」については、3つの専門委員会で具体的な検討を進めております。

 式典やお手植え・お手播きの樹種などについて検討を進め、県民運動も含め来年2月には基本計画を策定いたします。

 特に県民運動については、植樹祭の開催を一つの契機とし、花や緑に親しむ活動を体験し、大会後の継続的な活動につなげていくことが重要であります。この10月から11月には親子連れで参加できる林道ウォークやフットパス体験会を開催しました。これからも、このような自然とふれ合い、体感できる機会を積極的に作っていきたいと考えております。

 また、印象的な景観を創り出すには、点ではなく、例えば帯状に線でつなぐことが効果的であるといわれています。そこで、統一した花木の植栽や、道路沿いなど重点場所を選定して集中的に植栽することなどを検討しているところです。

 10月5日に、NTTドコモ北陸と勝山市、県との間で初めて「企業の森づくり」に関する協定が締結されました。企業との共動スタイルによる新たな森づくりは、植樹祭に向けた県民運動の一つとして進めているものであります。これを契機に、一つでも多くの企業に参加していただき、全県的に広がっていくことを期待しております。

 次に、品目横断的経営安定対策については、対象となる水田面積の割合が現在約43パーセントにまで達しており、本年度末の目標45パーセントが達成できるよう、集落の合意形成等をさらに進めてまいります。

 また、地域農業サポート事業については、先般、モデル地区の越前町糸生地区において、アグリサポーターによる秋の農作業を終えたところです。来年度から、すべての市町において、サポートプランによる具体的な支援事業が本格的に実施できるよう、現在、県や市町、JAなどが連携して体制づくりを進めております。

 ところで、米価が下落していることは、米づくりを中心とした本県農業にとって重大な問題であります。先月末には県内農業関係者による大会が開かれましたが、県としても、政府米の早急な買入れと米価が下落した場合の緩和措置の的確な実施について、先月末、国に対して緊急に要請したところであります。

 政府・与党は、先に今年の余剰米34万トンの買取りを決定しましたが、企業的な農業経営を目指す農家はもちろん、兼業農家や小規模経営の農家も安心して米づくりを続けていけるよう、また、米の生産調整など国の農政に協力してきた農家がメリットを享受できるよう、今後も国に対して要請していきたいと考えております。

 さらに、本県の地域特性を活かした新しい福井の農業政策の方向性やあり方について、JAや熱心な農業者、また県立大学などの協力を得て、今後検討を始めていきたいと考えております。

 なお、九頭竜川下流地区の国営かんがい排水事業については、国に対し、執行管理の一層の徹底や今後のコスト縮減に対する取組みの強化、また過剰米対策や生産調整の確実な実行など農政全般に関する課題について適切に対応するよう、今月13日に、農林水産大臣に直接要請を行ったところであります。この事業については、特にコスト縮減と事業の効率的な執行が図れるよう、国に対して求めていきたいと考えています。

 次に「元気な県土」についてであります。

 舞鶴若狭自動車道のうち、平成23年度完成を目指す小浜西・小浜間については、9月末に今富トンネルが貫通し、先月下旬には全区間で工事に着手するなど着実に進捗しております。なお、この区間の未取得の用地については、任意交渉による取得に全力で努める一方、先月下旬、一部の土地については土地収用法に基づき収用裁決の申請を行ったところであります。

 また、小浜・敦賀間においては、平成21年度末までを目標に全区間で工事が行われる見込みであり、平成26年度完成を目指し着実に進捗しております。

 次に中部縦貫自動車道についてであります。福井・大野間の上志比・勝山間約8キロメートルについては、来年度中に開通することを国が正式に発表しており、現在、工事が進められております。

 さて、今月13日に「中期的な道路計画」の素案が公表され、大野から県境までの大野油坂道路について、真に必要な道路として、2車線とすることが確認されました。ただ、この計画を実行するには、必要な財源が確実に確保されなければなりません。現在、道路特定財源の検討が行われており、仮に現行税制が維持されない場合、国の直轄分なども含めた本県全体の道路整備財源が約230億円減少するという試算も出ています。現行の税体系および暫定税率の維持、中期的な計画の確実な実現と道路特定財源の確保などを訴えてまいります。

 次に、道路の雪害予防対策については、平成18年豪雪の経験をもとに、除雪車500台余りを確保するなど、対策を講じております。

 まず、北陸自動車道については、特に今庄・敦賀間において、携帯電話の不感地帯対策としてトンネル7箇所に機器を設置し、前線基地に牽引車を新たに3台配置するなど、新たな対策が講じられます。

 小学校周辺の歩道については、特に大雪時には市町と連携して、新たに「歩道一斉除雪デー」を呼びかけることとし、日曜日などに地域の協力を得て子どもたちの通学路を確保いたします。

 足羽川ダムについては、国、県、池田町による建設事業推進協議会において、ダムの位置や構造、補償調査等の前倒しについて確認したほか、国が示した付替県道ルート案を了解した上で、一層のコスト縮減に努めることを要請したところです。

 また、国と池田町が小畑地区対策協議会、下池田対策協議会との間で、県を立会人に「調査の実施に関する協定書」を締結し、すべての団体から了解が得られたところであり、来年度中に用地測量等の調査を完了する予定です。一方、環境アセスメントについては、来月中旬から方法書の公告・縦覧手続きが始まる予定であります。

 次に、ふくいブランドの創造であります。

 恐竜博物館が8月末まで実施した第3次発掘調査において、大型草食恐竜(竜脚類)の上腕骨、左前足の尺骨、さらには左後ろ足の大腿骨などの化石が相次いで発見されましたが、今後、分析・研究を進め、種類の特定につなげていきたいと考えています。

 今月上旬から既に、タイにおいて王立博物館との共同発掘調査を実施しておりますが、今後も、世界の第一線の研究者との共同調査・研究を進め、アジアにおける恐竜研究の拠点として、研究レベルの向上とネットワークづくりにつなげていきたいと考えています。

 継体大王即位1500周年記念事業については、9月に県内外から約2,500名の参加を得て、子ども達による研究発表やフォーラムなどを開催しました。また、今月25日には明治大学において、大王ゆかりの高島市、枚方市と一緒に、古代史フォーラムを開催しました。また、ちょうど一週間前には、継体大王を主人公とした歴史番組が全国放送されました。今年を事業の「始まりの年」と位置付け、こうした盛り上がりを継続した活動につなげていきたいと考えています。

 さて、「ちりとてちん」がスタートして2か月が経過しようとしています。これまで、協議会が中心になって若狭の観光や塗箸、食などのPRに努めてきた結果、例えば「箸のふるさと館」の来館者数が前年同期の約4倍に増え、塗箸の売上げも増加しているなど、観光面で大きな成果が表れているところです。

 なお、「笑い」を活かした健康づくりの一環として、来月11日には、アオッサにおいて関西大学との共催による講演会「関大ふくい笑い講」を開催いたします。

 以上、主要施策と課題について概略を申し上げました。

 次に、今回提案いたしました補正予算案は、職員の給与改定について補正を行うものであります。その結果、補正予算案の規模は、

   一般会計      5億5,404万円余

   企業会計        4,090万円余

    計        5億9,495万円余

 となり、本年度予算額の累計は、

   一般会計  4,754億8,309万円余

   特別会計    258億5,663万円余

   企業会計    328億3,722万円余

    計    5,341億7,695万円

 となった次第であります。

 職員の給与改定については、10月9日に、県人事委員会から若年層の給料の引上げや、扶養手当、勤勉手当などの改定を内容とする勧告を受けました。

 その取扱いについては、勧告制度を尊重するという基本姿勢に立ち、社会経済情勢や国および他の都道府県の動向などを勘案した結果、国に準じ改定することとし、今回、改定に伴う補正を行い、関係条例の改正案を提案した次第であります。

 以上、歳出予算についてその概要を申し上げましたが、これに見合う歳入予算については、地方交付税、諸収入等を計上いたした次第です。

 次に第134号議案から第136号議案についてご説明申し上げます。

 国の特別措置法の補助事業として、敦賀市と共同で代執行により実施している敦賀市民間最終処分場対策工事の請負契約を締結するものです。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

 

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