第352回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2008年6月22日ページID 001007

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平成19年6月22日

第352回定例県議会

 

 

 

 

知事提案理由説明要旨

 

福 井 県

 

 第352回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成19年度6月補正予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 まず初めに、7月4日、皇太子殿下の御臨席を仰ぎ、「第43回献血運動推進全国大会」がサンドーム福井で開催されることとなりました。

 皇太子殿下の行啓は、平成17年の第20回国民文化祭に御来県いただいて以来であり、7月3日、4日の2日間、県内各地をご視察される予定であります。

 この機会に本県の実情をご覧いただくとともに、多くの県民とのふれあいを深めていただき、思い出深い行啓になりますよう、県民挙げて心から歓迎申し上げます。

 この大会は、広く国民に献血制度への理解と協力を求め、献血運動を国民運動として推進することを目的に開催するものであります。功績のあった方々の表彰や体験発表などを通じて参加者の交流を深め、運動の輪を一層広げていきたいと考えております。

 さて知事に就任以来、私はマニフェスト「福井元気宣言」に基づき、福井の活性化を最大の課題として、県議会や県民の皆様とともに、元気な福井の創造に全力で取り組んでまいりました。

 この4年間、失業率は全国で最も低い水準を連続して維持し、合計特殊出生率も、平成17年には全国で唯一上昇いたしました。また、刑法犯認知件数も4年連続して減少し、平成17年には検挙率が全国第1位となるなど、雇用、子育て、治安といった生活に密接に関わる分野において、全国に誇れる成果を挙げることができました。

 また、北陸新幹線の県内着工の実現、エネルギー研究開発拠点化計画の推進など、これまで取り組んできた最重要課題についても、一定の成果を得ることができました。

 今回の選挙期間中、県内を隅々までめぐり、多くの県民と直接お会いし、ご意見をお聞きしましたが、改めて県政に対する期待の大きさ、責任の重大さを痛感したところです。

 今後4年間、新たな心構えの下に「福井新元気宣言」を県政推進の基本として、自信と誇りを持てるふるさとづくりに全力を尽くし、スピードをもった対応を行い、目に見える成果を出して県民の負託に応えてまいりたいと考えております。

 議員各位には、引き続きご理解を賜り、ともに県政推進に力を合わせていただくよう、お願い申し上げます。

 それでは初めに「新元気宣言」の基本的考え方について申し上げます。

 「新元気宣言」では、これまでの「4つの元気」という政策の柱を継承しながら、教育・文化、子育てや福祉、安全・安心など、すべての県民の生活に関わる「元気な社会」の実現を第一に位置づけ、「元気な産業」、「元気な県土」、「元気な県政」の4つのビジョンと10の政策を掲げたところであります。

 これらの政策により、安定した雇用環境や子どもを生み育てやすい環境、確かな治安など、全国に誇れる豊かさ・住みやすさを基盤に、教育や福祉などをさらに充実し、福井の魅力に磨きをかけ、「暮らしの質」を高めていきたいと考えております。そして、「豊かさ」だけでなく、「楽しみ」や「喜び」を実感しながら暮らしていけるふるさと、全国の人々を引きつけられるような理想県となることを目指してまいります。

 ところで、「楽しみ」や「喜び」は必ずしもすべてが数値で表せるものではありません。したがって、これまで以上に現場主義に徹し、県民に何がもたらされるか、日々の暮らしがどのように変わるかということを絶えず問いかけながら、県民の立場に立って政策を実行していきたいと考えております。

 また、こうした政策は、行政の力だけでは決して実現できるものではありません。特に、教育や文化、福祉やまちづくりなどは、「民」が主役となって自主的・主体的に活動し、行政がそれを応援することで、より大きな成果が生まれる分野でもあります。

 今後はさらに一歩進めて、福井の良さである人と人の絆や連帯感、活動のエネルギーを県政に活かしていきます。そして、民と公が互いに知恵を出し合い、共に行動する「共動システム」をつくりあげていくことを、県政運営の一つの基本としたいと考えております。

 子どもから高齢者まで、一人でも多くの県民が自分に合った無理のない自然なやり方で、ふるさとに貢献していただくことは、共動の一つのスタイルであり、ふるさと福井の元気の源でもあります。

 そこで、福井の魅力の情報発信など、いろいろな形でふるさとに貢献していただける方々を広く募集し、共動の裾野を広げるとともに、「ふくいふるさと債」を発行して、金利の差額分で子育て事業などに協力を求めるなど、寄付文化も醸成していきたいと考えています。

 一方、北陸新幹線や高速道路の整備、原子力の安全確保などの重要課題は国家的プロジェクトであり、本県として、国家百年の見地から、国に対して重要性を訴え、その実現を図っていく必要があります。

 また、現在進められている第二期地方分権改革の実現に全力で取り組み、「自主・自立」の福井県政府の樹立を目指していきます。

 以前から私は、福井県政府の樹立を訴えてきましたが、ようやく、地方分権改革推進委員会が5月30日に発表した「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方」の中で、初めて「地方政府」という考え方が示されました。

 「地方政府」を単なる言葉だけに終わらせないためには、第二期分権改革において、「地方にできることは地方が担う」、「自己決定と自己責任」などの基本原則のもと、消費税等の税源移譲による地方税源の充実強化、国と地方の役割分担の見直しと権限・財源等の一体的な移譲、地方交付税が地方固有の財源であることを明確にする「地方共有税」の導入などが実現されなければなりません。

 全国知事会など地方六団体は、6月5日に開催した「地方分権改革推進全国大会」において、一致団結して分権改革を推進していくことを決議したところであり、地方のことは地方自らの責任で決め、自らの財源で実行するという真の地方自治を確立するために、今後とも全国の地方団体と力を合わせ、最大限の努力をしてまいります。

 税源偏在の議論が行われている中、総務省は、ふるさとに対する納税者の貢献等が可能となる税制上の方策を研究するため、今月1日に「ふるさと納税研究会」を設置しました。

 私は、我が国の社会が地方圏と大都市圏の間の「人の循環システム」によって成り立っていることを考え、行政サービスと税負担について、生涯を通じた「ライフサイクル・バランス税制」が必要であるとの立場から、「故郷寄付金控除」の創設を以前から提案してまいりました。

 今回、委員の一人として出席した際も、法人関係税と地方消費税の改革による地方への税源移譲が議論の基本としたうえで、人が移動する社会を前提とした公平な税制を、国税である所得税も含めた形で議論すべきであると申し上げてきたところであります。

 これからもこの研究会での議論等を通じ、寄付金控除の創設など、ふるさとへの貢献が実現できる税制度の改革を強く訴えてまいります。

 

 それでは、当面する県政の重要課題について申し上げます。

 まず、北陸新幹線についてであります。

 北陸新幹線の福井駅部につきましては、3月までに全ての基礎工事が完了し、高架橋の建設が本格化するなど、平成20年度末の完成を目指して工事が着実に進んでおります。

 福井駅部整備に伴うえちぜん鉄道の高架化につきましては、三国芦原線をLRT化して駅前へ乗り入れ、勝山永平寺線を高架化して駅部に乗り入れるという修正案について、高架の構造や整備手法、財源など、現在、国をはじめとする関係機関と継続して協議を進めているところであります。

 北陸新幹線の整備促進につきましては、新たなスキームの見直しについて検討の場を速やかに設けるよう要望してきましたが、その結果、5月31日に与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームができ、検討が開始されたところです。

 当日は、関係知事からそれぞれ要望を行い、その際、福井駅部完成から間を置かずに新幹線事業が実施されるよう整備スキームを早期に見直し、敦賀から白山総合車両基地までの一括認可および早期整備、北陸3県同時期での福井開業が実現されるよう強く要請いたしました。

 一方、県内延伸に向けた準備を着実に進めるため、新幹線整備に伴う需要予測、経済波及効果等について調査分析を行うとともに、現在の北陸本線の利用実態等の基礎調査を進めていきたいと考えております。

 県議会におきましては、改選後速やかに、新たな北陸新幹線整備促進議員連盟を結成されたところであり、県議会と力を合わせ、国会議員各位とともに、県内一丸となって、何としても敦賀までの一括認可を勝ち取るという強い信念を持って、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、原子力行政についてであります。

 「もんじゅ」につきましては、5月23日に改造工事が終了し、現在、原子力機構が据付等を終えた機器・設備について、工事確認試験を実施しております。

 今後とも、県原子力安全専門委員会において、工事確認試験やその後行われるプラント確認試験の実施状況等を十分確認するなど、安全確保に万全を期してまいります。

 また、電力事業者の国の指示に基づく発電設備の総点検につきましては、5月21日に、日本原子力発電および関西電力から再発防止対策の行動計画について報告がありました。

 県としては、事業者が責任を持って再発防止対策を実施し、県民の信頼回復に努めるよう強く要請したところであり、事業者の取組みや国の検査の状況を十分確認してまいります。

 エネルギー研究開発拠点化計画につきましては、平成19年度の推進方針に基づき、各実施主体において事業が展開される必要があり、現在、電力事業者において、高経年化研究施設や電子線照射施設を整備するために準備が進められております。

 今後、若狭湾エネルギー研究センターでは、関西・中京圏の大学や研究機関との共同研究、嶺南地域への研究開発型企業の立地促進、アジアの研究者の長期受入れ体制の整備などにより、内外の研究者等が集う先進的な研究開発拠点となるよう、国、電力事業者、地元経済界、大学等とともに全力で取り組んでまいります。

 次に、昨年11月からの税率改定に伴う核燃料税増収分のうちの市町交付金につきましては、新たに嶺南地域との連携事業枠を設け、市町が県と連携し、地域の特色を活かして取り組む事業に対して支援してまいります。

 足羽川ダムにつきましては、本年2月に足羽川ダムを含む九頭竜川水系河川整備計画が策定され、3月20日には県が立会人になって、国、水没予定地の住民および池田町の間で調査の実施に関する協定書が締結され、現地測量に着手したところです。

 また、4月には、国、県、池田町の三者による「足羽川ダム建設事業推進協議会」を開催し、環境影響評価の手続きなど、今後のスケジュールを確認したところです。

 県としましては、早期完成を目指し、国の事業の推進に協力してまいりたいと考えております。

 それでは、6月補正予算案について、ご説明申し上げます。

 今回の予算編成に当たりましては、これまでの実績を踏まえながら、県民の暮らしの質を高めるという考え方のもとに、「新元気宣言」に掲げた政策を具体的に実行する事業を計上しました。

 以下、主要事業について「新元気宣言」に沿って説明申し上げます。

 まず、「元気な社会」のうち、教育についてであります。

 子どもたちが郷土を愛する心を育み、協調性や倫理観を身に付け、世界を舞台に活躍できる人間として育っていくには、その可能性を最大限に伸ばせるような「ていねいな教育」、人として生きていくための「きたえる教育」、さらには文化・スポーツの振興を3つの柱として、「総合的な学力」の向上を図っていくことが重要であると考えております。

 今月1日にまとめられた政府の教育再生会議の第二次報告では、授業時数の増加、授業内容改善のための教員研修の充実など「ゆとり教育」の見直しや徳育の実施等、基本的な方向性が提言されました。

 ただ、本県の子どもたちに「総合的な学力」を身に付けさせるには、国における検討状況を参考にしながらも、本県の実情に即した教育改革を進めていかなければなりません。

 そこで、新たに県内外の有識者で構成する「教育・文化ふくい創造会議」を早期に開催し、分かりやすく楽しい授業を行うための指導力向上策、理科や数学の授業法の改善、学校事務を軽減するための学校マネジメント改革など、早急に対応すべきテーマから具体的な検討を行い、実行していきたいと考えております。

 また、ふるさとの歴史や偉人、白川文字学など、郷土の文化を学ぶことは、ふるさとを愛し誇りを感じることのできる子どもたちを育てていくうえで、重要なことであります。そのため、郷土の文化を楽しく学ぶ拠点となる「福井子ども歴史文化館」の開設に向け、具体的な検討を始めたいと考えております。

 なお、秋には、我が国の漢字文化に大きな足跡を残された白川静先生の記念フォーラムを開催する予定であり、白川文字学の一層の普及・継承に力を入れてまいります。

 次に、女性活躍社会の実現について申し上げます。

 元気な福井を作っていくには、女性が仕事や社会活動など様々な場面で責任ある役割を担い、その能力を存分に発揮することが不可欠であります。そこで、企業や団体等で活動している女性の方々と「女性活躍会議」を開催して直接意見交換し、県政に活かしていきたいと考えております。

 また、女性を支援する「女性活躍支援センター」を8月に生活学習館に開設したいと考えております。県立大学や産業支援センター等とも連携し、キャリアアップや起業を目指す女性からの相談に応じるとともに、各分野のリーダーとして必要な資質を磨くキャリア・アカデミーの開催などを通じて支援してまいります。

 次に少子化対策について申し上げます。

 今月6日に発表された平成18年人口動態統計では、全国の合計特殊出生率が1.32と、平成12年以来6年ぶりに上昇いたしました。

 一方、福井県の出生数は7,324人と、平成10年以来8年ぶりに増加に転じるとともに、合計特殊出生率も全国で唯一、2年連続して上昇し、前年の1.47から1.50となりました。

 ところで国においては、今月1日に、私自身も分科会のメンバーとして参画している「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」の中間報告が出され、年内に重点戦略を策定することとしています。

 県としては、3人目以降の子どもの保育料等を無料とする「ふくい3人っ子応援プロジェクト」、保育士などが地域で気軽に相談に応じる「子育てマイスター制度」など、先進的な政策を進めてまいりました。

 これらに加え、本県独自の「放課後子どもクラブ」の運営や市町の区域を越えて利用できる「病児デイケア」の実施など、子育て家庭のニーズに裏打ちされた事業を充実させていきたいと考えております。

 さて、子育て中や妊娠中の母親に対して行った調査結果によれば、ほとんどの方が「不安なく出かけられる所であれば外出したい」と希望している一方で、「迷惑をかけるのでは、と気疲れする」という人や、外出時に困った時も「我慢して一人で解決しようとする」人が多くいます。

 そこで、妊娠中の母親や子ども連れの家族が気軽に外出できるよう、小売店での優先レジや病院での優先診療、協力店舗による特典サービス等を「ママ・ファースト運動」として展開し、民と公の共動によって、県民運動にまで広げていきたいと考えております。

 さらに、明るく安全な通学路や、子どもだけでも安心して遊べる見通しのよい公園など、子育ての視点に立ったキッズデザイン「子どものまち」づくりを、地域と協力して進めていきたいと考えております。

 次に、「健康長寿ふくい」の推進について申し上げます。

 県では、筋肉や骨、血管などのバランスを欠いた老化を防止し、健康を保ちながら年齢を重ねることができるよう、昨年度、アンチエイジング(抗加齢)医学の考え方を取り入れて、独自に「若さ度チェック」システムを開発いたしました。現在、複数の医療機関において実施しておりますが、さらに、モニターとしての体験談を発表する機会を設けるなど、広く普及していきたいと考えております。

 また、高齢者の健康づくりでは、健康づくり推進員による体力測定やラジオ体操などの手軽にできる運動の実践により、元気に暮らしている高齢者の「元気生活率」を高めていきたいと考えております。

 先の人口動態統計調査によれば、我が国ではこの四半世紀連続してがんが死因のトップとなっており、がん予防・治療対策の充実は重要な課題となっています。そのため、特に罹患率が高くなる40歳代女性の乳がんや50歳代の大腸がんに重点を置き、検診受診率を飛躍的に向上させたいと考えております。

 がん医療につきましては、県外からの専門医による高度な診療、診療科横断型の医療チームによる治療などを行う「がん医療推進センター」を、来年度中に県立病院内に開設することとし、本年度中に基本構想を策定したいと考えております。

 先月31日、政府・与党は、各府県からの要請に応じて国レベルで緊急臨時的に医師を派遣する制度や、臨床研修病院の定員見直しなどを内容とする緊急医師確保対策をまとめました。

 県では、既に4月から、後期研修医に研修機会を提供して、終了後の一定期間、自治体病院等で勤務する制度をスタートさせたほか、女性医師等確保のために、独自に24時間院内保育を支援する等、医師確保対策を進めております。

 また、来年度から県立病院救命救急センターに医師を確保し、救命救急機能を充実するとともに、医師が不足している自治体病院等に派遣できる体制を整えたいと考えております。

 障害者福祉につきましては、経済的自立を図るため一般就労への移行等を支援するほか、車いす使用者の駐車スペースを確保するため、利用者であることを表す共通の利用証を発行し、適正な利用を促してまいります。

 次に「元気な産業」であります。

 最近の我が国の経済につきましては、「景気は、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している」との判断が示されております。

 一方、本県経済は、個人消費は全体として持ち直しの動きがみられ、企業の生産活動については、業種や企業間によってばらつきがあるものの、緩やかな回復の動きとなっております。

 また、国が5月に発表した1月から3月までの第1四半期における本県の完全失業率は、全国平均の4.1%に対し、2.8%と1.3ポイント下回っております。

 景気や雇用が回復・安定基調にある中、今後の成長が期待される次世代技術産業の育成や、「実は福井」のものづくり技術を活かした事業化への支援などを時機を逸することなく実施してまいります。

 まず、世界レベルの次世代技術産業の育成につきましては、特に、核となる企業が育ってきている「先端マテリアル創成・加工技術」と「レーザー高度利用技術」の2つの技術分野に重点を置いて、製品化・商品化の目標を明確にした福井型産学官連携を推進し、自動車産業などの有望分野での事業化を加速してまいります。

 一方、地域の雇用を支える地域産業の活性化につきましては、50億円規模の「地域産業活性化ファンド」を創設し、繊維・眼鏡などの産地技術、農林水産物、観光資源等の地域資源を活かした中小企業の新商品開発や新サービスの商品化、販路開拓を支援してまいります。

 さらに、本県の産業構造の課題などについて分析し、次のステップに向かって新たな経済戦略を検討するため、政策会議を有識者の参加を得て開催したいと考えております。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 新年度から、「品目横断的経営安定対策」がスタートしております。この対象となる水田面積は、現在約40%に達しておりますが、平成22年度には60%以上となるよう農地の集積を促進し、経営基盤の安定した企業的農業を推進していきます。また、市場で有利に取り引きされる高品質の米をつくるためコシヒカリの大粒化に取り組んでまいります。

 一方、山間地など農地の集積が困難で運営がむずかしい地域については、市町ごとに地域農業サポートプランを作成し、実際に農作業を請け負うアグリサポーターの組織化を進めるほか、直売所と連携した小規模ビジネスの促進など、実情に応じた支援体制をつくります。

 さて、平成21年春に開催される「第60回全国植樹祭」につきましては、7月末に実行委員会を設置して推進体制を強化いたしますとともに、自然と環境を守り育てるという観点から、会場施設の整備や県民運動、広報等について基本計画を策定してまいります。

 また、植樹祭に向け、生活の場に近く山と平地の境界にある山ぎわにおいて、住民の協力も得て間伐や植栽などを行い、美しい森林景観を再生していきます。

 6月9日、10日の両日、サンドーム福井を会場に、「健康長寿な福井から全国に広げる食育の輪」をテーマとした「第2回食育推進全国大会」を開催いたしました。大会では、福井の伝統食の手作り体験、栄養教諭による公開授業、全国高校生食育王選手権大会などにより、健康長寿ふくいを支える食文化や先進的な食育活動を県内外から訪れた約17,000人の方々に紹介することができました。

 今後は、大会に参加された団体が行う食育活動に対して支援するなど、継続的に食育活動を進めてまいります。

 次に、「元気な県土」についてであります。

 舞鶴若狭自動車道につきましては、小浜西・敦賀間全体の約98%の用地を確保しており、早期の用地買収完了を目指し、残る地権者との交渉に引き続き全力で取り組んでまいります。

 平成23年度完成を目指す小浜西・小浜間約11キロメートルについては、現在、約5キロの区間で工事が進められておりますが、残る未着手区間についても、本年度にすべての工事が着手される予定であります。

 また、平成26年度完成を目指す小浜・敦賀間においても、国富、佐古両地区のトンネル工事等が新たに実施される予定であり、着実に進捗しております。完成予定時期より少しでも早く開通するよう、引き続き、西日本および中日本高速道路株式会社に対し強く要請してまいります。

 中部縦貫自動車道につきましては、去る3月17日に永平寺西・永平寺東間が供用開始されたところであり、上志比・勝山間については、平成20年度中の供用開始を目指し工事が進められております。

 福井・大野間の永平寺大野道路全線については、10年以内の開通に向けて、用地買収完了に全力で取り組むとともに、国に対して、残る区間の完成目標年次を示すよう強く要請してまいります。

 なお、国は、真に必要な道路整備を計画的に進めるため、今年中に中期的な計画を作成することとしております。県としては、特に中部縦貫自動車道全線については舞鶴若狭自動車道とともに、早期に整備するよう強く要請するとの意見を国に提出したところであり、要請活動を一層強化してまいります。

 足羽川の桜堤の整備につきましては、住民の方々の理解を深めていただくため、試験的に植栽を行ったほか、5月27日にはフォーラムを開催しました。今後、学識経験者や地元住民からなる協議会の意見も踏まえ、堤防の強化と景観の両立が図られるよう、実施計画を作成し、秋から工事を実施していきたいと考えております。

 福井駅周辺の西口駅前広場の拡張整備と西口中央地区の再開発につきましては、残る関係者の理解が得られず、市からの要請を受けて、県都市計画審議会への計画案の付議を見送ったところであります。

 市においては、現計画を基本に、残る関係者の理解を得るため、粘り強く働きかけるとともに、JR西日本に対しては、経緯を説明して引き続き協力を求め、できるだけ早い時期に都市計画決定ができるよう全力を尽くしております。

 県としても、計画を早期に具体化できるよう、福井駅周辺整備推進県市連絡会で課題等について助言するなど、市の取組みを支援してまいりたいと考えております。

 JR越美北線につきましては、復旧作業が順調に進み、今月30日から、被災前とほぼ同じダイヤで全線での運行が再開されることとなりました。今日まで復旧に取り組んできたJR西日本をはじめ、国や県議会の力強いご支援に対し厚くお礼申し上げます。

 最後に「元気な県政」についてであります。

 豊かで美しいふるさと福井の環境は、これを大切に守り育て、子どもたちに引き継いでいかなければなりません。そのため、各分野の専門家による「環境ふくい創造会議」を設け、民と公の共動という新たな視点も取り入れて、福井にとって課題となる「自然環境」と「生活環境」の分野で新たな環境計画を策定し、海や川の環境保全、ごみの減量化や資源としての再利用など、具体的な活動につなげていきたいと考えております。

 国の特別措置法の補助事業として実施している民間最終処分場の対策工事につきましては、敦賀市と共同の代執行により行ってきた実施設計が完了したことから、平成24年度の工事完了を目指し、年度内に着工したいと考えております。

 次に、ふくいブランドの創造についてであります。

 継体大王即位1500周年記念事業につきましては、9月には県内で、また11月には東京でシンポジウムを開催するほか、大王の時代のものづくり技術をテーマとした特別展を県立歴史博物館で開催するなど、大王にまつわる歴史、伝説、ロマンを全国に広くアピールしたいと考えております。

 10月から放映されるNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」のロケが、今月上旬から中旬にかけて小浜市を中心に各地で行われました。

 一昨日の20日には、経済界・民間団体・行政が一体となって番組と連携した事業を実施していくために、「連続テレビ小説『ちりとてちん』連携推進協議会」を設立したところであります。

 今後、上方落語協会など関係機関の協力も得ながら、本県の食や伝統などの魅力を全国に広く紹介するほか、旅行会社とタイアップして旅行商品を開発し、観光客を誘致していきたいと考えております。

 国内で初めて、勝山市で発見された恐竜の皮膚痕化石については、海外でも大きく取り上げられました。恐竜博物館では、7月から第3次発掘調査を開始し、秋にはタイでの発掘調査や来年度からの中国での共同発掘のための事前調査を行います。さらに、調査・研究機能の一層の強化を図り、世界の第一線の研究者とのネットワーク形成に取り組んでいきたいと考えております。

 公営電気事業につきましては、その役割の変化なども踏まえ、民間による発電が大部分を占めている中で、今後、民間移譲に向けた準備を進めていきたいと考えております。

 以上、6月補正予算案の概略をご説明申し上げましたが、補正予算案の規模は、

   一般会計    310億6,396万円余

   特別会計     53億5,158万円余

   企業会計        2,940万円

    計      364億4,494万円余

となり、本年度予算額の累計は、

   一般会計  4,749億1,050万円余

   特別会計    248億1,494万円余

   企業会計    321億5,526万円余

    計    5,318億8,071万円余

となった次第であります。

 また、これに見合う歳入予算につきましては、確実に収入が見込まれる国庫支出金81億3,436万円余のほか、前年度からの繰越金25億円を計上するとともに、一般財源につきましては、県税および地方交付税の確実に収入が見込まれる額を計上し、なお、不足する財源につきましては、財政調整基金の一部を取り崩して措置することといたした次第であります。

 

 次に、第89号議案について、ご説明申し上げます。

 福井駅西口地下駐車場の指定管理者を福井駅前商店街振興組合に指定するに当たり、地方自治法の規定に基づき、議会の議決を求めることについて議案を提案した次第であります。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題、予算案等について申し上げました。

 なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

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