第358回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2008年11月27日ページID 007180

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                                                                平成20年11月27日
                                                                第358回定例県議会


平成20年度12月補正予算案



                           知事提案理由説明要旨




                                                                       福 井 県 



 第358回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成20年度12月補正予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 まず、はじめに緊急重要課題である経済対策についてであります。

 県ではこれまで原油・原材料価格高騰対策として、農林漁業者、中小企業者を中心に経営安定のための各種対策を講じてきました。しかし、9月中旬以降、欧米各国では金融機関の破綻が相次ぎ、世界的な景気後退の兆しが強まっており、わが国においても、株安、円高の急速な進展などにより、景気の下降局面が長期化、深刻化するおそれが高まっています。県内においても中小企業をはじめとして景況感が急激に悪化しており、雇用面など県民生活への影響が懸念されます。

 このため、12月補正予算案を今議会に提案し、県内経済の実情や国の第一次補正予算に対応して、「中小企業等の資金繰りの円滑化」、「県内経済の活性化」、「県民生活の安心」の3つを柱とする経済対策を速やかに実施してまいりたいと考えております。

 まず、中小企業等の資金繰りの円滑化については、国の緊急保証制度の創設に合わせ10月31日に経営安定資金等の融資対象となる中小企業者の要件を緩和し、また、これまで金融機関に対しては貸し渋り防止の要請を、信用保証協会に対しては円滑な保証承諾の要請を行ってまいりました。このたび、さらに経営安定資金の中に保証料を軽減する50億円の緊急保証支援分を創設し中小企業者の借入負担の軽減を図ってまいります。

 景気動向と産業への影響については、常に現況を把握して迅速な対応に努めてまいります。

 次に、県内経済の活性化については、中部縦貫自動車道や国道8号バイパスなどの公共事業の整備促進、市町が前倒しで実施する学校耐震補強工事への助成、地上デジタル放送に対応するためのCATV施設整備など将来につながる社会基盤整備を推進します。また、首都圏における本県の食や伝統工芸品の展示即売等の販路拡大、省エネ効果の高い農業用機械の導入支援など経済活動の活性化を図ります。

 県民生活の安心については、雇用安定対策として、これまで新卒者の募集と採用内定の維持・拡大に配慮するよう要請活動を行ってきました。さらに離職者等を対象とした緊急就職説明会の実施など対策を強化します。また、県民生活の安心確保として、新型インフルエンザ流行の際に患者を受け入れる病院に人工呼吸器等を配備します。

 現在、国においては、第二次補正予算案の編成作業を進めているところですが、県としては、一昨日の25日、「福井県金融対策特別会議」を緊急に開き、県内産業の経営実態や融資動向、経済危機に対する対策について北陸財務局長や地元金融機関の頭取、支店長等と意見交換を行い、対策を進めることとしました。また、来月1日には、県内経済団体、労働団体の長を交えて、福井労働局とともに雇用対策緊急連絡会議を開き、県内の雇用情勢を踏まえた雇用対策について協力を要請し、また意見交換を行う予定です。

 今回の金融対策、雇用対策は、特にスピードをもって対処しなければならない情況にあります。数ヶ月先の中小企業の受注や価格などの見込みをこれまで以上に迅速に把握し、国や関係機関の協力により、データ等の共有に努め、迅速かつ機動的に対応し、施策に反映してまいりたいと考えております。

 今後、必要なものについて2月補正予算などにより措置するとともに、21年度当初予算においては、緊急性や政策効果の高い事業は優先的に実施するなど、県内景気の動向に配慮した機動的な予算編成を行います。

 ところで現下の厳しい財政状況の中、経済対策においては、将来につながる効果の高い投資が重要であると考えます。整備新幹線や高規格幹線道路は、政治日程も絡み、財源問題などで明確な整備方針が示されておりません。北陸新幹線や中部縦貫自動車道(大野油坂道路)はわが国の将来にとって真に必要な社会基盤であり、ネットワークが形成されて初めてその効果が発揮されるものです。今こそ、国は、将来を見据えた国土政策のもと、一刻も早く整備の方向性をしっかりと示すべきであります。建設そのものの経済効果もさることながら、完成後の各分野への波及効果は大きく、また、このような国家プロジェクトが着実に進められることが、地域の景気浮揚に対する経済対策として大いに期待感を高めるものと考えます。

 次に、地方分権改革についてでありますが、年末には、地方分権改革推進委員会において、国の出先機関や法令による義務付け・枠付けの見直しについて、第2次勧告が出される予定です。

こうした分権に向けた動きを、地方六団体と一体となって強力に後押ししていきます。

 また、景気の悪化を受けて税収の動向が懸念されており、来年度に向けて地方交付税の確保など、地方の財源確保を強く求めてまいります。

 次に、「ふるさと納税」については、市町と一体となったPR活動や県外在住の本県ゆかりの方々への働きかけなどにより、昨日現在で、市町への直接分を除き331件、2,430万円余の寄付申出を受けております。

 11月からは、寄付者に対して、「福井ふるさと県民」として、民間の店舗・施設の協賛による割引クーポンを付した観光・特産品等のリーフレットを送付するなど、ふるさと福井との継続した関係づくりを図っています。

 制度の提唱県である福井県として、さらに成果を上げるよう、引き続き制度の普及・PRを積極的に行ってまいります。


 それでは、当面する県政の重要課題について申し上げます。

 まず、改めて北陸新幹線について申し上げます。

 北陸新幹線の整備促進については、今月12日に、与党PTでの議論が再開され、年末の政府予算決定までに、未着工区間の新規着工について方針、展望が開かれるように努力することが確認されており、安定的財源の確保に向けて作業が進められています。

 特に、財源については、「貸付料」として、5千億ないし6千億円が未着工区間建設費充当可能額として、国土交通省より報告されましたが、しかし、さらなる財源確保が必要であり、引き続き、敦賀までの整備に必要な安定的財源確保を強く求めてまいります。

 新幹線福井駅部工事については、現在約9割の進捗となっており、来年2月には確実に完成します。間を置くことなく引き続き、白山総合車両基地から敦賀までの新幹線工事が連続して進められる必要があります。

 そこで、明日は、本県建設促進同盟会の決起大会を東京で開催し、本県の熱意と要望を中央に対して強くアピールしたいと考えております。

 政府予算案の編成まで、残された時間はわずかですが、この年末には、決して結論が先送りされることなく、「敦賀までの新規着工決定」が必ず実現されるよう、県議会をはじめ県内一丸となって、引き続き最大限の努力を重ねてまいりたいと考えておりますので、議員各位の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 次に、原子力行政について申し上げます。

 「もんじゅ」については、原子力機構理事長から8月に工程変更の報告を受けたばかりであるにもかかわらず、9月に見つかった屋外排気ダクトの腐食孔の原因・対策の検討のため、10月末に予定していたプラント確認試験の終了が遅れております。

 再びこのような問題が生じたことは、誠に遺憾であり、県としては、原子力機構に対し、長期間停止しているプラントの劣化状況を見落とすことなく保守管理を徹底するとともに、研究開発部門を含めた敦賀本部の組織・人員体制を抜本的に見直すよう強く要請しているところです。また、関係省庁に対しても、原子力機構に対する支援・協力体制を一層充実・強化するよう求めております。

 次に、プルサーマル計画については、11月10日に関西電力から、電気事業法に基づくMOX燃料調達に係る国への輸入燃料体検査申請を行ったとの報告がありました。

 県としては、地元高浜町とともに、関西電力および製造元請となる原子燃料工業に対し、品質保証活動が適切に実施されているか等について現地調査を行うなど、独自に確認を進めているところであり、今後、国の審査結果も含め、県原子力安全専門委員会の審議等を通じ、その妥当性を厳正に確認してまいります。

 原子力発電所の耐震安全性については、現在、国は、平成18年9月改訂の耐震設計審査指針に基づく各事業者の再評価結果の妥当性を審査しており、県内の発電所については、国の実施した海上音波探査の結果を年内に示し、来年1月頃までには審査状況を中間的に公表するとしております。

 県としては、事業者の評価結果や国の審査状況などについて、県原子力安全専門委員会の審議等を通じ、厳正に確認してまいります。

 さて、「エネルギー研究開発拠点化計画」については、今月8日に拠点化推進会議を開き、平成21年度の推進方針を決定しました。計画策定後5年目にあたる来年度については、新規の重点施策を追加してスケールやレベルをさらに上げ、国をはじめ、電力事業者、大学、産業界などと一体となって計画推進のスピードを速めて、目に見える成果を示せるよう全力で進めてまいります。

 今年度の5つの重点施策のうち、特に「広域の連携大学拠点の形成」については、文部科学省や関西・中京圏等の大学の協力を得て、福井大学に「国際原子力工学研究所」を来年4月に設置し、平成23年度を目標に敦賀での開設に向けて準備を進める予定です。

 一方、産学との共同研究を行う原子力機構の「レーザー共同研究所」については、来年9月までに敦賀市に開設し、レーザー関連技術を産業や医療分野に応用展開してまいります。

 また、新規の重点施策については、高速増殖炉を中心とした国際的研究開発拠点の形成を図るため、来年度、原子力機構において、敦賀市に「FBRプラント技術研究センター(仮称)」を設け、平成24年度を目途に整備するプラント実環境研究施設の設計を行います。

 さらには、地域産業の発展につながる「プラント技術産学共同開発センター(仮称)」を平成24年度を目途に整備するため、来年度は、整備計画を策定して設計に着手します。

 このように、若狭湾地域の新しいエネルギーの総合的な研究開発拠点化計画を各分野に亘って押し進めてまいります。

 次に、福井鉄道福武線の再建問題について申し上げます。

 福井鉄道においては、一昨日の25日、臨時の株主総会と取締役会を開き、再建の実行に当たる新社長を選任し、福武線の乗客数について、200万人台の確保を目指す新たな経営目標や方針等も発表されました。また、名古屋鉄道が現在保有している株式については、今後、 沿線3市の利用促進団体や経済団体等による引受け決定の手続きが取られる予定です。また、福井鉄道では名古屋鉄道から10億円の増資を年内に受けるための手続きを進めております。

 こうした状況を受けて、3市においては鉄道用地取得の予算を今議会に計上する予定であり、県としては、今議会の補正予算案にこの用地取得に対する助成予算を計上いたしております。

 昨日には、新社長に対して、速やかに新たな経営計画に基づく再建策の実行と鉄道の活性化に着手実行されるよう強く要請したところです。
 

 それでは各分野ごとに、以下主な施策について「新元気宣言」に沿って申し上げます。

 まず、「元気な社会」のうち、教育についてであります。

 「教育・文化ふくい創造会議」については、「ふくい文化」を新たなテーマに設定し、今月25日に第三次会議をスタートしました。

 文化の振興は、県民の「暮らしの質」を高めていくと同時に、「楽しむ」というマニフェストの大きなテーマ達成のためには欠かせないものです。福井の文化をもっと楽しもうという視点から、文化の基本に立ち返って議論いただき、本県の食や祭、自然、風習、産業など、県民生活に密着した生活文化のありようと文化のすぐれたところを再確認、再発見し、新しい時代に活かしていくことを願っております。

 さらに、県民が第一級の芸術にふれる機会をふやし、芸術文化における能力を開花、向上させるための振興対策や本県のすぐれた有形、無形の文化財の保全についても議論を行います。

 次に、先月、「高等学校教育問題協議会」から、教育委員会に対し、今後の県立高等学校の目指すべき方向性に係る答申が提出されました。本県高校教育の充実のための具体策とともに、生徒数の減少が著しい地区や定時制・通信制課程について、生徒や社会の実情に応じた教育環境を早急に整備すべきであることが提言されました。

 教育委員会においては、この答申を受け、委員会内に「新しい県立高校の在り方検討会」を設置し、高校の再編整備等を進めるに当たっての基本的方針とともに、生徒の教育がより充実することを基本に、奥越地区の全日制高校の在り方や定時制・通信制課程の見直しについての具体的実施計画の策定作業を進めております。

 県としては、教育委員会の方針をもとに、本県の高校で学ぶ生徒たちが充実した学校生活を送ることができるよう、教育環境の整備に努めてまいります。

 国民体育大会については、様々な分野の委員からなる「国体検討懇話会」において議論を重ねており、去る20日に第4回懇話会が開かれました。

 懇話会においては、国体改革の具体的な提言などが議論されており、この内容を含め、県議会や市町、スポーツ関係団体からご意見をいただきながら、国体の対応について判断していきたいと考えております。

 次に、「健康長寿ふくい」についてであります。

 健康長寿を推進する大きな柱であるがん対策については、県立病院にがんの高度な診療診断・臨床研究の拠点を本年度中に整備する準備を進めています。がん治療の3つの柱である「手術・放射線治療・化学療法」を専門とする複数の医師による「チーム医療」を、胃や大腸など主な臓器ごとに順次導入し、県民に満足度の高いがん医療を提供することとしており、あわせて県民のがん検診率を高め、また陽子線がん治療等によって、本県のがん医療水準を全国トップレベルに高めてまいります。

 8月に建設に着手した陽子線がん治療施設については、現在、基礎の杭工事を進めており、平成22年3月の建築工事完成を目指しています。

 一方、この施設の利用促進については、県民が利用しやすくなるような工夫の検討を進めるとともに、北陸、近畿などの近隣府県の主要医療機関を訪問し、将来の患者紹介に関する働きかけを行っております。12月9日には、保険会社3社と陽子線がん治療の普及促進に向けた包括協定を締結します。今後、保険会社の営業員を通じた施設のPRなど、広報活動を一層強化してまいります。

 次に、新型インフルエンザ対策についてでありますが、国内で大流行した場合には、甚大な健康被害と社会的影響が危惧されています。

 新型インフルエンザ対策は、国家的な危機管理の問題であり、全国知事会等を通じて、国の責任と負担により行うよう提言するとともに、県としては、市町や医療機関等との連携を強化し、関係の情報を交換できるよう連絡会議を設け、取り組んでまいります。

 次に、元気な産業について申し上げます。

 冒頭申し上げたような昨今の経済情勢の激変下において、今後、本県がとるべき経済対策や雇用対策について協議するため、今月6日、経済戦略政策会議を開いたところです。

 県としては、県内企業等からの聞き取りなどによる実態把握に努めるとともに、政策会議での意見も踏まえ、本県産業の活性化に向けて、先ほど申し上げた12月補正予算案を上程したところです。今後とも、県民生活や県内企業等の実態を注視しながら、有効な対策を打ち出してまいりたいと考えています。

 経済戦略政策会議でも意見がありましたが、県内企業の優れた技術等の売込みについては、今月14日に建設機械メーカーのコマツ大阪工場で、20日、21日に自動車メーカーのスズキ本社で展示商談会を開催しました。

 コマツでは、450人の来場者と62件のサンプル提供依頼などが、また、スズキでは、690人の来場者と145件の試作・見積依頼などがありました。

 年明け1月には家電メーカーのシャープで商談会を計画し、これらの商談会を契機に、技術やコストの問題を解決しながら、本県企業のビジネスチャンスが拡大できるよう努めてまいります。

 また、企業誘致については、先月、中部フーズ株式会社が、惣菜やサラダ等の食料品を製造する工場の鯖江市への進出を決定しました。投資額は約15億円で、約100名の新規雇用が予定され、平成21年12月の操業を目指しています。今後とも粘り強く、強力に企業誘致を進めてまいります。

 次に、新しい観光推進計画の策定についてでありますが、今月4日に第3回の策定委員会を開き、5年後の目標を、観光客入込数を現在の10%増となる1,100万人、観光消費額を現在の20%増となる1,000億円に設定しました。また、この目標達成に向け、目玉となる観光地づくり、県境を越えた観光コースの開発やさまざまな新規事業に着手することについて数多くの意見が出され、それらを踏まえて計画案を取りまとめ、県民から意見を求めているところです。

 私は、先ごろ中部地区の観光振興ミッションの団長として、直接、中国に売込みに参りました。今後も、観光その他産業や技術の売込みを先頭に立って進めていきます。

 次に、敦賀港においては、東洋紡の貨物取扱量の拡大など利活用を進めているところですが、鞠山南地区では、大型船舶が係留できる岸壁の完成に合わせ、9月に一部供用を開始しました。今回、平成22年度の本格供用開始に向けて、隣接する港湾関連用地約25,000㎡を物流事業者に分譲できるようにしたいと考えております。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 まず、新たな農業・農村再生戦略については、本県農業の厳しい現実を打開する、具体的な将来像を明示する必要があります。

 来月17日に開く第3回「ふくいの農業のあり方検討会」では、これまでの議論を踏まえ、良い米を作ろうという農家の生産意欲の喚起、食味・品質を基準にした新たな米評価の仕組みづくり、本県として伸ばすべき園芸分野への新規就農者対策の充実、兼業農家が中心となる集落営農組織のレベルアップ支援、本県独自の施策である地域農業サポート事業を活用した中山間地域等の活性化などについて総括的な検討を行い、年内には提言をとりまとめる予定です。

 提言に検討を加えた新しい戦略を策定し、生産性が高く、成長を目指せる産業としての農業、農地が荒廃せず、次世代に引き継がれる安心の農業への転換を図ってまいりたいと考えています。

 さて、農林水産業は、生産に加え、新たな販路の開拓、県産食材の消費拡大が重要です。

 先月、昨年のキリンビールに続き、サッポロビールとの協力協定を締結し、キリンビールにおいては、首都圏の系列レストランでの「鯖のへしこ」等の販売、サッポロビールにおいては、飲食店と共同した福井の新ご当地鍋「福井ポーク鍋」の開発など、販売促進につながっています。

 このほか、大都市圏で活躍している料理人、雑誌編集者など3名を「ふくい食のアンバサダー」として委嘱するなど、県産食材の効果的な販売拡大とブランド力の強化を図っていきたいと考えています。

 次に、水産業についてでありますが、地域ブランドである「若狭ふぐ」のPRを強化するため、「若狭ふぐ」料理を提供する宿泊施設を「若狭ふぐの宿」として認証することとしました。また、「へしこ」や「鯖街道」等、広く知られる本県の「サバ」について、外国のサバではなく、蓄養した地サバを用いた新しい料理方法や加工方法など、小浜商工会議所が中心となって開発を進め、先日、市内でサバ料理が食べられる飲食店マップを作成するなどしてPRに取り組んでいます。

 今後も「若狭ふぐ」や「若狭のサバ」など、地域ブランドづくりを強化し、また、漁業者の手による直接販売への支援、漁家民宿への誘客促進と漁村の活性化に努めてまいります。

 次に、「元気な県土」についてであります。

 中部縦貫自動車道の大野油坂道路については、新たな中期計画の策定が進められる中、現在、検討が続けられている最新の交通需要推計や評価手法を基に評価が行われますが、県としても、国家的な見地はもとより、産業集積や広域観光の振興による地域の活性化、医療など安全・安心といった観点から、この道路の必要性を強く訴えるなど、一日も早く事業採択が行われるよう働きかけてまいります。

 永平寺大野道路の上志比・勝山間約8キロメートルについては、本年度中の開通を予定しています。また、勝山・大野間については、先月この区間最初の工事が杉俣(すぎまた)地区で着手されるとともに、現在、杉俣、大袋(おおぶくろ)、小矢(こや)戸(と)の3箇所のトンネル工事の準備が進められています。

 一方、舞鶴若狭自動車道のうち、用地取得が完了している小浜西・小浜間については、平成23年度の完成を目指し、全線において工事が進められており着実に進捗しています。

 小浜・敦賀間約39キロメートルについては、未買収地が6件となり、99%余りの用地を確保しています。また、10月には新たに、野坂(のさか)岳(だけ)トンネル工事が着手されるとともに、国富(くにとみ)トンネルや軟弱地盤処理工事など全体の49%、約19キロメートルの区間で順調に工事が進められています。

 次に、足羽川の激甚災害対策特別緊急事業については、工事が順調に進んでいます。木田橋が12月14日に、泉橋が来年2月に供用される予定であり、また、河床掘削等の治水工事もほぼ完了しています。残る河川公園等の環境整備を早期に完成するよう努めてまいります。

 なお、足羽川の利活用方策については、懇談会を開き、地域の方々や関係者の意見を伺ってきました。木製堰の設置については、床止工との同時施工を見送ることとし、その他の親水空間の整備については、夜間の遊歩道利用に向けた蓄光タイプの距離標示、荒川合流点の橋の設置などを進めていきたいと考えています。今後も、住民の水に親しむ様々な工夫を広めてまいります。

 治水対策事業と越前、鯖江両市の工業用水確保を目的とする吉野瀬川ダムについては、現在、本体着工に向けて、用地買収や付替え道路の工事を行っているところです。

 しかし、計画当初と比べ、産業構造の大きな変化や企業の水のリサイクル率の向上などにより、工業用水を取り巻く環境は大きく変化しています。

 県としては、流域の治水上の安全確保は緊急の課題であることを考え、2市からも工業用水の需要見込みを聞いた上で、12月1日の公共事業等評価委員会においては、多目的ダムから治水ダムに変更する方向で委員の方々に審議願いたいと考えております。

 今年は昨年より早く初雪を観測していますが、県民生活に大きく関わる除雪対策については、昨年度と比較し、除雪車は10台程度増やして510台余りに、消雪施設は約8キロメートル延長して294キロメートルにしたほか、早朝の歩道除雪についても5箇所、約3キロメートル増やし、通勤通学時の安全を確保しております。また、北陸自動車道の除雪対策については、中日本高速道路株式会社と協議して除雪や事故時の応急対策が向上するよう努めます。

 次に、県都福井市の中核である福井駅周辺の整備についてであります。東口駅前広場については、事業主体の福井市において、広場南側部分の整備をほぼ終えたところであり、東京、名古屋、大阪方面の高速バス、小松空港連絡バスなどの発着に向け、今年度末までに完成できるよう現在、残る北側の整備が進められています。

 また、西口駅前広場については、バス、タクシー、自家用車等が乗り入れられるよう、現在、広場北側のJR駅舎側の歩道を中心に整備が進められています。

 次に、「元気な県政」についてであります。

 まず、新たな環境基本計画についてでありますが、9月に福井県環境審議会から提出のあった答申に、様々な視点から検討を加え、「県民の手で守り育てる美しい福井の環境」を基本目標とし、「自然環境」「生活環境」「人づくり」の3つの視点ごとに、本県独自の具体的施策を掲げております。

 具体的には、審議会から答申されたプロジェクトに加え、良いものを大切に使う意識を醸成するための修理工房、フリーマーケットなどを開く「ものを大切にする社会づくりプロジェクト」、小中学生に田植えや山登り、船に乗る体験など郷土の里、山、海の自然を体感させ、自主的な環境活動の実践に結びつける「地域と共動した子ども自然体験プロジェクト」を盛り込みました。

 また、車の使用を控える「ストップ乗りすぎプロジェクト」については、自転車の積極的な利活用を推進するため、放置または不用となった自転車を活用した企業や駅周辺の公的施設への配置、道路の段差解消など、施策の充実を図りました。

 さらに、県民が主役となる県民運動を積極的に展開することに主眼を置き、たとえば、三方五湖の水質浄化事業や県民が人生の節目に環境を良くする行動の実践を推奨することなどを新たに盛り込んでいます。

 従来の計画は、必ずしも県民の自主的な行動に結びつくまで浸透するには至らなかったところです。新しい計画では、県民一人ひとりが、率先して省資源・省エネ型ライフスタイルに改めるとともに、家の周りなどの身近な生活空間を美しくする環境活動が、県内の至る所で実践され、さらには、子どもからお年寄りまでが、息の長い環境保全活動に取り組むことにより、地域の交流が活発化し、地域が活性化していくものと考えています。

 次に、ふくいブランドの創造であります。

 9月に開催した「ちりとてちん杯ふくい女性落語大会」は、広く好評を得ることができ、全国に「ふくい」をアピールすることができました。優勝者が大会後プロに転向するなど話題も多く、今後は本県の新しいブランド、女性落語発信の地として定着させていきたいと考えています。

 また、恐竜博物館では、今年度の第3次発掘調査において、国内初となる原始的なイグアノドン類の幼体の骨化石がほぼ完全なかたちで発見されるなど、大きな成果を上げており、来館者数も昨年度を上回るペースで増加しております。

 今後とも、より多くの子どもたちに恐竜博物館を利用してもらえるよう、恐竜博物館の見学にとどまらず、恐竜化石発掘体験、親子での化石のレプリカの共同作成など、楽しみながら恐竜や自然、環境について学習できる機会を充実してまいります。

 また、本年は、NHK連続テレビ小説ちりとてちんの放映、次期米国大統領に対する小浜市の応援、大統領選で話題になった福井の眼鏡、学力テスト日本一、ふるさと納税の提唱、女性落語大会の成功など福井県に関する話題が集中したことから、本日夕方、福井県が2008年の小学館DIMEトレンド大賞の特別賞を受けることとなりました。

 今後とも、ふくいブランドを育成、活用するとともに積極的な情報発信を行い、本県の知名度、理解度を高め、福井の魅力発信につなげてまいります。

 最後に、行財政改革に関連して申し上げます。

 行財政改革については、本年2月に策定した新行財政改革実行プランに基づき、現在、職員数の削減や政策効果を重視した事務事業の見直しなどを行っています。

 本年7月から公募した公営電気事業の売却については、応募6社の事業提案内容や譲受希望価格について、外部有識者による福井県電気事業売却候補者選定委員会において最も高い選定評価を得た北陸電力株式会社を第一売却候補者に選定しました。今後は、今年度末の基本合意書締結に向けて、売却価格や売却資産等の詳細を協議してまいります。

 また、指定管理者制度については、指定期間が今年度満了することに伴い再指定を行う福井県児童科学館ほか9施設に加え、新たにこの制度を導入する越前陶芸公園の指定管理者について、その候補となる団体をそれぞれ選定しましたので、その指定議案を今議会に提出しております。

 今後、各施設において、これまで以上に住民サービスの向上や効率的な運営を図るよう、指定管理者に対して適切に指導・助言を行ってまいります。


次に、今回提案いたしました補正予算案について申し上げます。

 今回の補正予算案は、先ほども申し上げましたが、本県の厳しい経済情勢に対応して、中小企業等の資金繰りの円滑化、県内経済の活性化、県民生活の安心の3つを柱に、緊急に実施することが必要な事業のほか、沿線3市の福武線鉄道用地の取得に対する助成措置などについて、所要の補正を行おうとするものであります。

 その結果、補正予算案の規模は、
   一般会計     12億  137万円余
   企業会計        1,239万円余
    計       12億1,377万円余

 となり、本年度予算額の累計は、

   一般会計  4,691億9,517万円余
   特別会計  1,172億1,736万円余
   企業会計    299億8,697万円余
    計    6,163億9,951万円余

 となった次第であります。

 歳入予算については、確実に収入が見込まれる地方交付税2億4,532万円のほか、県債8億8,600万円を計上した次第であります。

 次に第84号議案についてご説明申し上げます。

 政治資金規正法の一部改正に伴い、収支報告書等の写しの交付請求が同法に基づき可能となったことから、福井県手数料徴収条例を改正しその手数料を規定するものであります。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。


福井県平成20年度12月補正予算案
 

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