第364回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2010年2月22日ページID 010719

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                                                                平成22年2月22日
                                                                第364回定例県議会


平成22年度当初予算案
平成21年度2月補正予算案

 


                           知事提案理由説明要旨




                                                                       福 井 県 


 第364回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成22年度当初予算案、平成21年度2月補正予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 私は、これまで、「福井新元気宣言」に基づき、県民が誇りを持ち、暮らしの「豊かさ」を実感できる「ふるさと」づくりに全力を尽くしてまいりました。

 昨年夏に実施した県民意識調査では、厳しい経済状況にもかかわらず県民の大部分の方々から「福井県に住んでよかった」との回答をいただき、この間の施策が全体として評価されたものと考えています。

 新年度は、その「福井新元気宣言」の最終年度であり、私としては、二期目の「締めくくりの年」となります。

 そこで、まずは、目下の緊急課題である経済・雇用対策について、県民の暮らしを守るため、最大限の努力をしてまいります。

 そして、北陸新幹線の建設を確実なものとし、中部縦貫自動車道の整備促進、原子力行政などを着実に進展するよう国に強く求め、平成30年の国体開催や教育、文化、子育てそのほか諸々の重要な施策の準備や仕上げを確かなものにしてまいります。

 現在、新政権では、「地域主権改革」を掲げて準備を進めていますが、われわれ地方としては、要は、「新しい地方が新しい日本を創る」という覚悟と決意を新たにして、県民の幸せの実現のため、より一層努力することが大切と考えます。

 このため「新しい福井」はどうあるべきか、今、各界の方々の知恵を結集して、県の将来ビジョンの策定に取り組んでいます。さらにもう一方で、本県と同じような課題を抱える8県に働きかけ、先月、「ふるさと知事ネットワーク」を設立し、互いに切磋琢磨しながら、「地方」の立場から新しい政策を提案・実行していくこととしました。県のほか大学や市町村、経済団体等との多様な連携や共同研究を進め、医療や子育て、教育、観光などの分野でそれぞれの先進政策を研究し、新たな地方モデルを作って、全国に発信していきたいと考えています。

 こうして県民が「ふるさと福井」の良さを再認識して、改めて誇りを持ち共に発展できるように全力を尽くしてまいりますので、議員各位の特段のご協力をお願い申し上げます。

 後ほど詳しく申し上げますが、新年度の一般会計予算総額は、4,997億円と前年度比3.9%の増を確保しました。2年連続で予算額が増額となるのは、平成10年度当初予算以来12年ぶりとなります。

 また、経済・雇用対策を切れ目なく講ずるため、昨年度に引き続き、新年度の当初予算と2月補正予算を一体として編成し、合わせて事業規模913億円、予算総額375億円の経済・雇用対策を実施することとしました。

 一方、歳入については、県税収入は、法人2税を中心に102億円減の804億円に落ち込むと考えられ、地方法人特別譲与税等を合わせても、73億円減の946億円になると見込んでいます。

 地方交付税については、地方財政計画において増額になったことから、82億円増の1,166億円を計上しています。

 県債については、862億円を発行し、来年度末の残高は237億円増の8,801億円となる見込みです。県税の大幅な減収に対応するため、臨時財政対策債を84億円増の526億円発行しますが、後年度に全額地方交付税により措置されることから、財政健全化法にかかる指標は大きく悪化しないよう配慮いたしております。

 さてここで、目下の緊急課題であります経済・雇用対策について申し上げます。

 本県の経済情勢については、外需などにより電子部品や化学等の業種で受注が例年の9割程度まで持ち直している企業も見られ、製造業の生産動向を示す11月の鉱工業生産指数は90.8、前年同月比1.5%増と、平成20年9月以降、1年2か月ぶりにプラスとなりました。

 しかし一方、消費動向については、12月の大型小売店販売額は前年同月比で6%減と1年3か月連続で前年を下回るなど消費が低迷するとともに、雇用情勢については、12月の有効求人倍率は0.63倍と1倍を大きく下回っており、経済情勢全体としては、依然として厳しい状況にあります。

 このため、県では、「雇用対策」、「中小企業の経営安定」、「県内経済の活性化」、「県民生活の安心確保」の4項目を柱とする経済・雇用対策を重点的に実施し、県内経済の早期回復を図るとともに、成長が期待できる分野への積極的な事業展開を促進するために必要な予算を編成し、今議会に提案したところです。

 まず、第一の「雇用対策」については、雇用基金を活用し、短期的な雇用に加えて、介護や農林水産分野等への就業を支援し、全体で4千人の雇用創出を図ります。

 また、新規学卒者の就職内定が例年に比べ低迷しており、大学生、短大生等については、今月15日現在の未内定者は548名と前年2月末の2倍余りの状況にあります。このため、未内定の学生に面接会等の機会を増やして就職への支援を続けるとともに、卒業後もどうしても職に就けなかった学生に対しては、短期の雇用の機会を確保し、その間に社会人としてのスキルを磨き、県内企業への就業につなげるという県独自の事業を行います。

 また、高校生についても、今月15日現在で就職希望者の7%が未内定と厳しい就職環境が続いていることから、県立・私立の高校に元民間の人事担当者などを就職支援コーディネーターとして前年度の倍となる50人配置して、卒業予定者や未内定のまま卒業した生徒に対する就職支援を強化します。

 次に、第二の「中小企業の経営安定」については、まず、依然として厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを支援するため、すでに60億円の融資枠一杯に達している資金繰り円滑化支援資金を160億円に大幅に拡大し、経営安定資金と合わせたセーフティネット資金の融資枠を、今年度当初予算と同規模の560億円確保します。併せて、昨年から実施している小規模事業者を対象としたマル経資金への利子補給について、融資枠を32億円から50億円に拡大して、中小企業の経営の安定に万全を期していきます。

 また、ものづくり技術を活かして、成長分野である環境・エネルギー、医療・福祉分野で事業展開しようとする企業に対して、技術開発から試作品開発、販路開拓までの事業化を支援する制度を新設します。

 さらに、新分野進出に意欲的な建設業者を支援するため、初期投資や販路開拓等に要する費用の一部を助成する制度を創設するとともに、土木事務所等に「建設業サポートセンター」を開設します。

 次に、第三の「県内経済の活性化」ですが、まず、公共事業については、国の予算で直轄事業、補助事業が大幅な削減となったのではありますが、県としては、来年度予算においても国の伸び率を上回る予算を計上し、国の事業費の確保に努めてまいります。

 一方、県単独事業については、公共事業全体の事業量が急激に減少することによる県内経済への影響も考慮し、前年度を56%上回る予算額を確保し、安全に深く関わる橋梁の長寿命化や道路、河川の修繕などの事業を前倒して実施します。

 これらの事業については、できる限り早期発注を行い、工事代金の早期支払い、分離・分割発注、県産品の活用等に努めてまいります。

 また、県内消費の拡大策として、10%のプレミアムの付いた「ふるさと商品券」を発行します。さらに、商工会議所や商工会と連携、協力して発行に合わせたイベントなどを実施することにより、一層の消費喚起を図ります。併せて、県域を越えて消費を呼び込むため、県外からの来県者を対象とした商品券も発行し、全体で約27億円の経済波及効果を創出したいと考えています。

 このほか、福井の魅力を全国に強くアピールする新しいポスターを作製し、県産品の販路拡大を支援していきます。

 第四の「県民生活の安心確保」については、まず、県立学校や小中学校の耐震工事を前倒し、すべての特別支援学校の耐震化を完了させるほか、可能な限り他の危険性の高い建物についても進捗を図り、大規模改修や改築等を行うものを除き全て完了します。

 また、医師確保対策や救急医療の充実など地域医療体制の強化を図ってまいります。医師確保対策として、全国から研修医を集める研修システムの整備などを行うとともに、救急医療の充実として、現在は県立病院だけで行っている総合周産期母子医療センターを福井大学医学部附属病院にも整備するほか、小児初期救急センターの平成23年度開設に向けて具体的な検討に着手します。

 次にそれでは、当面する県政一般の主な課題について、申し上げます。

 まず、本県の発展に大きな影響を与える北陸新幹線の整備促進についてであります。

 昨年末に整備新幹線問題検討会議および調整会議が設置され、新規着工については、整備の意義を十分に検証の上、優先順位付けを検討するとされました。

 先週17日には、調整会議において沿線5県知事の意見聴取が行われ、予め伺った県議会、沿線市や経済界の意見も合わせ、私からは、政府・与党として、国土計画あるいは国土構造をどうするかという基本的な見地から合理的に判断する必要があり、国土の軸を形成する重要な路線である北陸を優先整備すべきと主張しました。

 併せて、他の路線より早く取り組んだにもかかわらず、まだ認可されないため沿線市町のまちづくりが進まないこと、北陸間の地域格差が生じないよう時間をかけず着工すべきことなどを説明し、夏までに敦賀までの認可方針を明らかにするよう強く求めました。

 また、関西圏等との結びつきが強い北陸各県も一緒に、一区切りである敦賀までを早期に整備すべきと訴えました。

 これから、スピードをもって検討が進められ、夏までに認可されるよう、引き続き議会とともに強く要請してまいります。

 次に原子力行政について申し上げます。

 敦賀1号機の運転延長については、先般17日に、直嶋経済産業大臣に対し、原発の長期継続運転に対するエネルギー政策上の位置付け等について、国の基本的な方針を示すよう求めるとともに、日本原電が今後3年間の保安活動の実施状況等を評価し、国がこれを確認する「中間安全確認」など、厳格な安全規制の実施について提案・要請しました。

 これに対し、大臣は、敦賀1号機の運転延長は国のエネルギー政策上極めて重要であるとの認識を示すとともに、安全確保に係る本県の要請を了解したところです。

 さらに、昨日には、運転延長に異存がないとの敦賀市長の意見を直接確認したところであり、県としては、これまでの県議会の議論や国の方針等を総合的に勘案し、敦賀1号機の運転延長を了承することとし、本日、日本原電社長にその旨を伝達したいと考えています。

 「もんじゅ」については、原子力機構が先月末に、原子炉が起動できる状態であることを確認する起動前点検を終了しました。

 また、原子力安全・保安院は、今月10日、設備健全性や品質保証等の観点から、原子力機構が運転再開に当たり、安全確認を十分行い得る体制になっているとの総合評価結果をまとめ、現在、これに対し国の原子力安全委員会が審査を行っています。

 このほか、保安院が現在審議中の耐震安全性の問題を含め、「もんじゅ」の運転再開については、プラント全体の安全性がハード・ソフト両面で確保されていることが大前提であり、国の審査結果等を県原子力安全専門委員会の審議を通じ厳正に確認してまいります。

 さらに、高浜発電所3、4号機のプルサーマル計画についてでありますが、昨年10月に国に提出されたMOX燃料12体の輸入燃料体検査の補正申請に対し、県として独自に関西電力および製造元請である原子燃料工業に対し現地調査等を行い、燃料検査や品質保証活動の結果が妥当であることを確認しました。この結果を基に、関西電力は、現在、海上輸送の準備を進めているところです。

 さて「エネルギー研究開発拠点化計画」については、現在、国をはじめ電力事業者、大学、産業界などと一体となって、推進方針の中の重点施策等についてレベルやスケールを上げて推進しています。

 このうち、平成22年度の新規重点施策である「国際原子力人材育成センター」については、来月にも、国、県、電力事業者等で構成する「国際原子力人材育成協議会」を設立し、その組織体制や海外研修生等の受入制度の検討を始めます。このセンターを、アジアを中心とした海外研修生等の受入れ総合窓口として平成23年4月に開設し、平成23年度開設の福井大学国際原子力工学研究所敦賀キャンパスや平成24年度運用開始の日本原電の原子力安全研修施設等を活用し、国内外の研修生等の受入れを拡大していきます。

 ところで、開催まで残り4か月となったAPECエネルギー大臣会合については、昨年11月にAPEC参加国の駐日大使によるリレー講演会を開始し、これまでロシア、ベトナム、オーストラリア、メキシコの各大使が来県し、高校生にそれぞれの国の歴史や文化等を紹介するとともに、勉学の大切さなど生徒への激励をいただきました。今後も、順次、各国大使による講演会を実施していきます。

 また、次世代を担う子どもたちが世界に目を向け、国際情勢やエネルギー問題についての関心を高めることが大事であり、来月18日には、「APECジュニアフォーラム」を敦賀市で開催し、県内10校の中学生がエネルギーやAPEC参加国・地域について学習した成果を発表し、会合に向けた提言をまとめる予定となっています。

 また、本県の情報発信、魅力PRとして、来月4日、5日には、参加国・地域などの駐日外国人記者を招き、若狭湾エネルギー研究センターや恐竜博物館など県内各地を取材してもらう「APEC事前プレスツアー」を実施します。引き続き、国と連絡を密にしながら準備を進め、福井県の食、文化、観光地などの魅力を、歓迎レセプションやエクスカーションを通じて情報発信していきたいと考えています。

 それでは「新元気宣言」に沿って、各分野ごとに主な施策について以下、申し上げます。

 まず、「元気な社会」のうち、教育について申し上げます。

 全国学力・学習状況調査については、来年度から国の方針では抽出調査となりますが、本県では、児童生徒一人ひとりの学習や生活上の課題を把握し、全国最上位の学力をさらに伸ばす教育環境を整えるため、これまでどおり全員を対象に実施します。
「元気ふくいっ子学力向上センター」では、この結果を分析し、課題とされた事案の改善策を示すとともに、本県独自の学力調査の充実を図ります。また、授業の改善や教材の工夫などを行う教員を各学校で養成するとともに、併せて、授業名人など学校の中核となる教員の公開授業などを通じて、教員の教授力を高めてまいります。

 こうした活動について、大会や講演会等での発表、ホームページやリーフレットでの紹介を行い、本県の教育モデルを全国に発信します。

 また、県立高校が独自に企画する学力向上事業を支援するとともに、高校生の実践的な英語の力を向上するため、高校生英語キャンプや集中セミナーへの活用のみならず、授業や部活動等への一層の活用に努めるなど、県内のALTの活動を大幅に拡げ実施してまいります。

 次に、県立高校の再編整備については、昨年末に「奥越地区魅力ある県立高校づくり検討会議」から教育委員会に対し、高校教育の充実策等についての検討結果の報告があり、その内容を、新たに開校する総合産業高校をはじめ、各高校の魅力づくりに生かしていきます。

 また、教育委員会では、昨年から、坂井地区や嶺南地区で、再編整備に関する懇談会を行っており、できるだけ早く具体的な実施計画案をまとめることとしています。

 次に、文化の振興については、先日、教育・文化ふくい創造会議から、「子どもたちの文化の素地を培う」、「文字の国 福井を発信する」など、8項目にわたる提言を受けました。

 この提言を受け、新年度は、県立音楽堂でのオーケストラ演奏など小学5年生が一流の芸術に触れる「ふれあい文化子どもスクール」や白川静博士の生誕百年記念事業などを実施し、これからもできるものから順次、具体化し、文化的な生活風土を高め暮らしの向上につなげてまいります。

 次に、平成30年に開催予定の第73回国民体育大会については、先日、国体ビジョン策定委員会から、「スポーツの感動を広め、未来へつなげる」を基本目標とする「福井国体ビジョン」の提言を受け、本日、共催者である文部科学省と日本体育協会に国体開催の意向を伝えました。

 今後、市や町、競技団体等と協力して、準備委員会の発足、競技別会場地の選定などの準備を進め、「福井国体ビジョン」が目指す、子どもたちの明るい未来につながる国体を実現したいと考えています。

 国体開催を契機に、生涯スポーツの応援と世界に通じる優秀な選手の育成など競技力の向上を目指し、県民が広くスポーツに親しむことができる環境づくりを力強く進めてまいります。また、このための「スポーツふくい基金」を電気事業売却益の一部を活用して造ることにいたしました。

 次に、少子化対策についてであります。

 「第二次福井県元気な子ども・子育て応援計画」を新年度から実行に移し、子育てに対する支援をさらに充実したいと考えています。

 まず、子どもの医療費助成の対象を小学3年生まで引き上げ、全国トップレベルの支援制度に拡充して、子どもたちが健やかに成長する環境を整備します。これに要する追加事業費については、徹底した行財政改革により捻出する財源を活用します。さらに、放課後子どもクラブについても、小学6年生までの希望者がすべて入会できるよう空き教室の利用を進めるなどにより、一層充実してまいります。

 次に、「健康長寿ふくい」の推進についてであります。

 本県の健康長寿をさらに伸ばすためには、死亡原因の第1位であるがんの対策は重要であり、特に、働き盛りの世代の罹患による社会的・経済的損失を減らすためには、早期発見・早期治療が大切と考えています。

 まず、がん検診受診率の向上を図るため、新年度から胃がんなど5つのがんについて、市や町が発行する受診券や料金を県内で統一して、医療機関で個別検診を受けやすい環境を整備し、検診費用についても市や町を支援します。加えて、本年9月にはがん征圧全国大会を本県で開催し、県民にがん検診の重要性を訴えます。

 また、県立病院がん医療センターでは、胃がんに加え、働き盛り世代から急増する大腸がんについて手術、放射線治療、化学療法を専門とする複数の医師によるチーム医療を開始します。

 さらに、副作用など身体への負担が少なく、通院治療が可能な陽子線がん治療施設については、本年3月末に建築工事が完了し、来年3月の治療開始を目指して準備を進めます。治療費は自由診療のため、自己負担となりますが、1か所のがんの治療にかかる基本料金を全国の他施設より低い額の240万円に設定します。さらに、県民に対しては、治療費などの負担軽減策について検討してまいります。

 次に、「元気な産業」について申し上げます。

 これまで主に生産拠点として考えられていたアジアが消費市場として注目されるなど、世界的な経済構造が大きく変化する中、県では、これまで2回、会議を開き、本県の経済構造の転換を進め、地域経済を活性化するための新たな経済戦略について検討を始めました。

 会議においては、委員の方々から、「中国などアジアの内需を取り込み、何が売れるかを考えるべき」、「自動車部品を中国に輸出するなど、アジアとの共存・共栄関係が日本の活路となる」、「環境エネルギー、医療介護、観光、農林業などの分野が、今後、期待できる」などの意見が出されました。

 私をはじめ県の担当者が一体となって、企業を訪問し、経営者の方々から直接、話を伺っているところであり、さらに県内約千社の企業を対象に調査を行い、今後の議論に反映した上で、本年秋頃を目途に、この会議から具体的な産業プロジェクトについての提言を受け、新たな経済戦略による本県産業の活性化を図ってまいりたいと考えています。

 次に、観光振興についてでありますが、県内経済への波及効果の高い観光客の入込数をさらに増加させることが重要と考えます。そのため、「新ビジットふくい推進計画」に基づくプロジェクトを力強く進め、暮らしや文化を含めた本県ならではの資源を充実して、観光誘客に結びつけていく必要があります。

 主要プロジェクトの一つである「目玉となる観光地づくり」については、先月、永平寺町の「永平寺門前」の計画を採択しました。今後、永平寺町が地元住民と一体となって行う、門前街各店舗の外観統一や道路の自然石舗装、誘客・接客マナー向上運動などを支援し、協力して進めることにより、永平寺への観光客誘致の増加に努めます。

 また、「ターゲットを絞った観光誘客」については、特に首都圏からの修学旅行の誘致に力を入れ、本県での教育体験メニューを充実させ、新たに首都圏で高校や旅行会社への教育旅行説明会を開くなど、教育旅行の誘客推進に積極的な営業活動を行います。

 併せて、海外からの誘客の強化を図るため、メディアや旅行会社の招請等に加え、中国人観光客が買物代金の支払いに利用する銀聯(ぎんれん)カードの取扱店の増加や、店舗への通訳ボランティア派遣など、特に、中国や台湾などからの一層の観光誘客を促進します。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 わが国農政の転換となる戸別所得補償制度については、来年度から、モデル的に米で実施されることとなっていますが、県としては、この制度の有効活用に努め、これまでの集落を基本とした集落営農組織や認定農業者等の育成に力を入れ、規模拡大に伴うコスト削減や販売価格を高めることにより、農業所得の向上につなげてまいります。

 農業の振興については、「ふくいの農業・農村再生計画」に基づき、「ふくいの農業を変える5つのプロジェクト」を積極的に進めています。

 コシヒカリの復活については、「さつき半ばの適期田植え」の今年春からの本格実施を目指し、農家が実施しやすいよう、JAと一体となり適期田植えの時期に合わせた苗の供給を推進するとともに、商工会議所や商工会、企業等を巡回し「田植え休暇」の導入を働きかけています。

 「園芸・畜産の元気回復プロジェクト」については、本県のブランド農産物である「奥越さといも」の選別加工施設の整備や生産組織等への支援をはじめとして、ネギやにんじん、ホウレンソウの契約による生産拡大等により、来年度の園芸産出額を今年度の目標である116億円から120億円に拡大します。

 次に、林業や水産業の新たな計画についてであります。

 本県の林業については、多くの木が間伐期から主伐期を迎えつつあり、森林から木を伐り出す仕組みづくりを急がねばなりません。今月12日には、「ふくいの山と林業のあり方検討会」から、この課題解決を目指す「コミュニティ林業」など、7つのプロジェクトを盛り込んだ提言を受けました。

 新年度は、特に、集落全体で効率的な間伐や主伐を計画的に進め、生産される県産の良質な天然乾燥材を必要なときに供給できる体制を整備し、収益向上につなげてまいります。また、25%のCO2削減を目指した民間との共動による広葉樹の植林活動や、昨年の全国植樹祭を契機とした県民運動の一環として都市緑化等も進めてまいります。

 他方、消費者の魚離れ、魚価や漁獲量の低迷が続く水産業については、今月10日、「ふくいの水産業のあり方検討会」から、消費者から支持される水産業への発展を目指す「これぞ、越前若狭のさかなプロジェクト」など、6つのプロジェクトを盛り込んだ提言を受けました。

 新年度は、活じめや活魚出荷、漁船での細氷使用などにより、鮮度や品質の高い漁獲物の出荷量を増やし、県産水産物のブランド化を図ります。また、地産地消の一環として学校給食に「せいこがに」など地の魚を提供するほか、越前がにの安定的な漁獲量を確保するため「越前がにの増殖場」の造成にも着手します。

 次に、「元気な県土」について申し上げます。

 中部縦貫自動車道については、これまで、あらゆる機会をとらえて勝山・大野間の平成24年度の確実な開通や永平寺大野道路の早期全線開通、大野油坂道路の早期整備等について、関係方面に強く働きかけているところです。平成22年度の政府予算案の直轄道路事業については、事業費ベースで対前年度比16%減の1兆5048億円と大変厳しい状況です。こうした中、永平寺大野道路は74~84億円、大野油坂道路は1~2億円といずれも概算要求時から増額される見通しとなりました。

 事業の進捗については、未開通区間である勝山・大野間の杉俣トンネルが来月、貫通予定であり、永平寺東・上志比間については用地買収が進んでいます。

 次にダム事業についてでありますが、国は、昨年末に発表した来年度政府予算案において、本体工事の着工の有無によって「事業を継続して進めるもの」と「検証の対象とするもの」に区分し、本県では、国直轄の足羽川ダムが検証の対象とされたばかりでなく、県が主体のダムの河内川ダムと吉野瀬川ダムについても、検証を要請されました。

 足羽川ダムは、これまで国、県、町がその必要性を認め、基本協定を締結し、福井豪雨のような洪水被害防御を目的に事業を進めてきたものであり、早急に推進に向けた結論を出すよう国に求めてまいります。

 また、本体工事中の大津呂ダムを加えた県が主体の3つのダムは、治水上・利水上、いずれも必要なダムであり、早期完成を目指し、国の支援を求めてまいります。

 次に、福井駅西口中央地区の再開発については、駅前地区の人の流れを活かす再開発ビル全体でのにぎわいづくり、将来にわたる安定的なビルの運営のための商業施設の規模や業種、店舗構成などについて事業委員会等で協議してきました。

 これからも引き続き、分棟型を前提とした各施設の具体的な内容や配置など、ビルの全体像をはじめとする様々な課題について議論していくとともに、県としての支援可能性についても検討していきたいと考えています。

 次に、環境に優しく健康に良い自転車利用の促進については、来年度、九頭竜川、日野川、足羽川のサイクリングロードをネットワーク化し、永平寺、朝倉氏遺跡、西山公園など沿線で観光、散策を楽しみながら自転車で巡れるようにするとともに、自転車に親しむきっかけとなるイベント等を開催し、幅広い世代での自転車利用を促進します。また、郊外の県施設等の駐車場を活用して、パークアンドサイクルライド用の駐輪場を設け、自転車による通勤の拡大を図っていきたいと考えています。

 次に、「元気な県政」について申し上げます。

 本県の美しい環境は県民の暮らしの基盤であり、これを県民総ぐるみで守り育て、次世代に引き継ぐため、さらに質の向上を図る施策を積極的に推進し、環境先進県を目指してまいります。

 まず、世界的な課題である地球温暖化対策については、国が、2020年までに温室効果ガス排出量を25%削減するとした中期目標を示しており、本県においても、今後、国が示す具体的な削減手法を踏まえながら、新しい目標や施策を盛り込んだ地域計画を策定してまいります。

 また、環境基本計画に基づく施策については、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車などの次世代自動車を全国に先駆けて普及させるため、県内の主要道路沿線などの3か所に急速充電設備を設置するとともに、レンタカー事業者が次世代自動車を導入する場合の補助制度を創設します。さらには、太陽光発電設備と高効率給湯器、LED照明等の省エネ設備を併せて設置する家庭や省エネ改修工事を実施する民間事業所に助成するなど、地球温暖化防止対策を一層強化してまいります。

 このほか、自然再生の一環として、ふゆみず田んぼなど、生き物と人間の双方にとって良好な田園環境づくりを推進し、多くの生物が生息し、コウノトリなどの水鳥も飛来する環境の再生を図ります。

 次に、ふくいブランドの創造についてであります。

 本年度、新設した「観光営業部」では、「恐竜」、「食」、「学力・体力日本一」等のふくいブランドを首都圏中心に売り込み、東京の大手百貨店での食材フェア、学力・体力に関する本の出版、学力シンポジウムなど企業とのコラボレーションやメディアへの素材提供などの成果を上げつつあります。今後は、これまでの活動をさらにレベルアップし、福井を舞台にした映画の制作や小説の執筆など、福井ブランドの新たな全国展開を図っていきたいと考えています。

 恐竜博物館については、来年度の開館10周年を記念し、本県とアジアにおける恐竜の進化を紹介する企画展を7月から開催します。また、これに併せて、昨年購入したカマラサウルスの全身骨格化石を実物標本の岩石から取り出すクリーニング作業を公開し、化石クリーニングを体験してもらうなど様々な工夫を行い、博物館の魅力を一層高め来館者の大幅な増加を図っていきます。

 次に、「ふるさと政策」についてであります。

 「ふるさと納税」については、市や町と共動したPR活動や、市町単位で開催する県人会や高校の同窓会などでの働きかけにより、1月末現在で、県、市町合わせて717件、64,912千円余りの寄付が寄せられており、昨年度に引き続き全国トップクラスを維持する見通しです。

 また、県への寄付については、寄付者のふるさとを想う気持ちを尊重し、明日のふくいを担う子どもの成長を応援する事業に活用いたします。

 これからも、「ふるさと納税」提唱県として、さらに成果を上げるよう、これらの活動を通じ、制度のより一層の普及定着に努めてまいります。

 「ふるさと帰住」については、都市圏での社会人対象の就職面接会の開催やふくいの暮らしを体験するふるさとワークステイの充実などにより、1月末までの新ふくい人の招致数は、140家族、198名となっています。営業活動により、ふくいの暮らしやすさが、首都圏の新聞で大きく取り上げられ、不況で職の確保が難しい中、昨年を15名上回る実績をあげています。今後とも、ふくいの魅力の発信や相談会の開催などを通して、新ふくい人の招致を積極的に進めていきます。

 次に行財政構造改革について申し上げます。

 外郭団体の整理合理化については、新行財政改革実行プランに基づき、土地開発公社および住宅供給公社を平成22年度末に解散することとしていますが、経済情勢の変化による地価の大幅な下落に伴い差損が生じるとともに、土地の売却が円滑に進んでいない状況にあります。

 県としては、解散に当たって両公社が保有する土地の買取りや差損処理等のため約74億円を負担することとし、当初予算に計上いたしました。この財源については、電気事業売却益を活用することとし、一般財源に負担を生じないように対応したところです。両公社の解散までの間、土地売却に最大限の努力をしてまいります。

 次に、今回提案いたしました平成22年度当初予算案および平成21年度2月補正予算案について申し上げます。

 冒頭申し上げましたように、今回の予算については、経済・雇用対策の実施をはじめ、新たに策定する計画や最終年度を迎える「福井新元気宣言」に掲げた政策の実行に必要な事業について重点的に予算措置を行う一方、人件費の抑制や事務事業の見直しなど行財政改革の徹底に努めました。

 その結果、平成22年度当初予算案の規模は、
  一般会計  4,996億6,733万円余
  特別会計    121億  927万円余
  企業会計    286億9,838万円余
   計    5,404億7,499万円余
 となった次第であります。

 これに見合う歳入予算については、確実に収入が見込まれる県税804億5,916万円余、地方交付税1,165億5,800万円を計上したほか、国庫支出金607億5,282万円余を計上するとともに、不足する財源について財政調整基金等を一部取り崩して措置することとしました。

 次に、平成21年度2月補正予算案については、去る1月28日に成立した国の第2次補正予算に盛り込まれた地域の活性化に資する県単独事業の実施や雇用対策のための基金積み増しに対応するほか、国庫補助事業等の確定に伴う減額補正および本年度内に措置しなければならない経費についての最終の補正を行うものであります。

  その結果、補正予算案の規模は、
   一般会計    164億2,850万円余の減額
   特別会計     32億  300万円余の減額
   企業会計     18億6,050万円余
    計      177億7,100万円余の減額

となり、本年度最終予算額は、
   一般会計  5,115億6,608万円余
   特別会計    167億4,472万円余
   企業会計    319億7,170万円
    計    5,602億8,251万円余
となった次第であります。

 歳入予算については、地方譲与税の減額補正を行うほか、確実に収入が見込まれる国庫支出金等を計上することとしました。

 最後に、第32号議案についてご説明申し上げます。

 これは、福井県立高等学校授業料等徴収条例等について、平成22年度から県立高等学校の定時制および通信制課程をすべて単位制に統一することに伴い、学年制に適用される授業料の年額を削除するなど、所要の改正を行うものであります。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。


福井県平成22年度当初予算案について

 福井県平成21年度2月補正予算案について
 

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