第370回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2011年6月23日ページID 014810

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                                                                平成23年6月22日
                                                                第370回定例県議会

平成23年度6月補正予算案

 


                           知事提案理由説明要旨




                                                                       福 井 県 

 

  第370回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成23年度6月補正予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 まず最初に、東日本大震災により亡くなられた多くの方々に対し、改めて、県民を代表しご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 県民から寄せられた多くの義援金や物資、数多くの方のボランティア活動、市町職員による災害応援等の支援協力に対し、深く感謝申し上げます。
 県議会においても被災地をお見舞いされたところでありますが、私も被災地をお見舞いし、直接、福島県知事と意見交換を行い、さらに本県からの派遣ボランティア等への激励を行いました。
 大震災から3か月、復興の見通しは厳しく、福島第一原子力発電所の事故は未だ収束に至らず、我が国は今、大きな試練に直面しています。
 今回の大震災を教訓とし、福井県ではこのような事故は絶対に起こさせないという強い決意を持って、防災に関する様々な体制を見直し、県民生活の安全確保に全力を挙げる覚悟であります。
 また、大震災によって太平洋側、東京中心の国土構造のリスクが明らかとなり、これまでの国土政策を大きく転換する必要に迫られています。災害に強い国土構造を目指すには、日本海側と太平洋側、東日本と西日本が互いに支え合う国土の2つの基幹軸を作らねばなりません。そのための基盤として、日本海側の高速交通ネットワークの強化、なお未完成の道路・鉄道ルートの完結が不可欠であります。こうした考え方を国に対して強く提言してまいりたいと考えます。

 さて、今、アジアの新興国が目覚ましい成長を遂げる一方、我が国では少子高齢化が一段と進行しています。昨年、多くの県民の参加を得て、県議会とともに策定した「福井県民の将来ビジョン」は、こうした時代の大きな流れを捉え、福井県が目指すべき将来像を描いたものです。
 新しいマニフェスト「福井新々元気宣言」は、この将来ビジョンの方針のもと、「元気な産業」「元気な社会」「元気な県土」「元気な県政」の4分野にわたる具体的な政策を掲げています。これからの4年間は、この「福井新々元気宣言」を県政推進の基本とし、将来ビジョンが掲げる「希望ふくいの創造」を目指してまいります。
 また、日本の経済や社会システムは、今回の大震災の影響も加わり、歴史的な変革を迫られています。このようなときにあって、国内外の新しい動きを積極的に学びながら、「ふるさと知事ネットワーク」など地方同士の交流・連携を強め、「地方こそが国を支えている」、また「地方から国を変えていく」という信念を持って、福井だからこそできる「地方の政策」を実行してまいりたいと考えます。県議会各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 それでは次に、当面する県政の主要な課題について申し上げます。
まず、原子力行政と防災対策について申し上げます。
 今回の福島での事故は、発生から3か月を経過しても依然として収束の見通しがつかない状況が続いており、原子力発電に対する県民・国民の信頼を大きく損ねています。
 県では、県議会と情報を共有しながら、地震発生直後から、電力事業者に対し安全対策の徹底を強く要請し、「安全対策検証委員会」を設置して、事業者から提出された実行計画の妥当性と実施状況について検証を加えてまいりました。
 一方、国に対しては、3月17日に立地道県では最初に、重要機器の安全総点検等を緊急要請し、さらに、4月19日には海江田経済産業大臣に対し、福井県をはじめ全国の原発の運転に当たって、緊急対策はもちろんのこと、今回の大事故を踏まえた安全基準を示し、それに基づいた定期検査を行うことが必要であり、少なくともそれだけの安全対策がとられなければ、定検に入った原発の再起動は了解できないと強く要請しました。これに対して国は、5月6日に、緊急安全対策の実施状況の確認と併せ、審査基準を公表しましたが、その内容は事業者が計画している短期対策と津波だけに偏った応急対策の一部に限られ、地震対策や高経年化プラントの対策などが未だ不十分であります。
 また、今月7日には「東京電力福島原子力発電所の事故に関するIAEA閣僚会議における日本国の報告書」が公表されました。しかし、その内容は国際社会に向けた総花的な報告であり、立地地域の不安と安全確保に応える内容とは言えません。つまり、いつまでに何をするのか、具体的なスケジュールが明確でないこと、地震対策の影響確認や高経年化の検証が不十分なこと、浜岡原発のみに運転停止を要請し、他は安全とした根拠がはっきり示されていないことなど、いくつもの重要な課題が残されております。これらの点について、国はもっと真摯に取り組まなければ、立地地域の十分な理解を得ることは不可能であります。これらが満たされないと、国としてしかるべき基準を示したことにはなりません。安全性に確証が得られない以上、定期検査プラントの再起動は認められないと考えます。
 今月18日には、IAEA報告書をもとに、国が電力事業者に対し、追加の緊急安全対策として指示した、シビア・アクシデント、過酷な事故への対応に関する確認結果が報告されましたが、その内容は、非常時の通信手段の確保、水素排気のための手順書の整備、がれき撤去用の重機の配備など、事故が起きた際の措置・対応にとどまっています。
 昨日には、県議会および県に対して、原子力安全・保安院から、原子力発電所の安全対策等について説明があったところですが、本県の要請した事項に応える内容ではなく、国として立地地域の不安に真摯に向き合う姿勢が見えないところから、定検中プラントの再起動は認められないという立場に何ら変わりはありません。
 次に、県の原子力防災計画の見直しと県としてどのような安全対策をとるかであります。
 今回の原子力発電所事故では、計画的避難区域、緊急時避難準備区域が設定されるなど、原子力防災対策について従来想定していない避難体制がとられています。今回の事態を踏まえた避難範囲の設定等については、まずは国において早急な対策の検討が必要でありますが、その検討には、なお相当の時間を要すると考えられます。
 そこで県としては、独自に県原子力防災計画の見直しに着手し、5月12日、防災機関や防災専門家等による「原子力防災検討委員会」を設置し、課題についての具体的な検討を開始しました。国の動きと並行し、見直しを進めることになります。立地市町、周辺市町と協議し、特に迅速な情報伝達、避難場所の確保、海上保安庁・自衛隊とのより密接な連携、原子力災害に備えた道路の強化などの検討を行い、実行を急ぐ必要があります。
 また、県内の沿岸11市町に対し「津波避難マニュアル」の策定や見直しを指示し、既に全市町で策定等を終え、マニュアルに基づく避難訓練等を今後実施し、課題を検証した上、実効性のある津波対策としたいと考えています。
 ところで、「エネルギー研究開発拠点化計画」についてでありますが、福島での事故を受け、安全・安心の確保やエネルギー源の多角化という観点から充実する必要があり、このため、5月31日に国、県、大学、研究機関、事業者などで構成する「実務者検討会」を設置し、原子力防災・危機管理機能の向上、そして新エネルギー・自然エネルギーの普及に関する研究開発や実証について検討を開始しました。11月に開催する「拠点化推進会議」に検討結果を提示し、具体的な事業の実施につなげてまいります。

 次に、北陸新幹線の整備促進についてであります。
 災害に強い国土づくりという観点から、日本海側と太平洋、東日本と西日本が相互にバックアップする2つの基幹軸を形成することが極めて重要であります。
 先月31日に東京で開いた北陸新幹線建設促進同盟会においては、関西経済連合会から初めて参加された大坪副会長から関西までの早期ネットワークの重要性について力強い発言をいただき、また、福井県からの提案により日本海側国土軸の必要性を訴える緊急決議を採択しました。さらに、関西からの理解と協力は重要であるため、今後働きかけを一層強めてまいります。
 こうした中、今月8日に成立した旧国鉄の債務処理改正法の国会審議において、大畠国土交通大臣から整備新幹線について「多重化という視点からも計画的に着実に進めたい」との答弁があり、衆・参両院の国土交通委員会では、早期の工事着手の実現を求める附帯決議が可決されました。国はこの決議を真摯に実行し、整備新幹線の新規着工を早急に決定すべきであります。
 北陸新幹線は、本県の将来の発展に不可欠の基盤であります。県民の十分な理解を得て、県議会ならびに県内各界とともに、県内での早期着工に向け、さらに努力を重ねてまいります。

 それでは、今回提案いたしました平成23年度6月補正予算案について申し上げます。
 今回の補正予算は、統一選挙後、最初の予算であります。当初予算は骨格予算であったことから、今回の補正予算は、新しいマニフェスト「福井新々元気宣言」に掲げた政策を中心に、県民生活や産業に活力を与える事業について積極的に予算を計上しました。それに加え、大震災に対応した地域防災計画の見直しをはじめ小中学校の耐震化など、県内の震災対策の強化、被災者された方々の支援のための予算を計上しました。さらに、当初予算に引き続き、国からの交付金で造成した基金等を活用し、経済・雇用対策を実施する予算となっています。
 その結果、一般会計の予算規模は345億円、当初予算と合わせた6月現計予算額は5,013億円となります。全体の予算規模が5千億円を上回るのは、平成16年以来7年ぶりのことであります。
 また、歳入につきましては、国庫支出金80億円を計上するとともに、一般財源については、県税および地方交付税の確実に見込まれる収入額のほか、ふるさと企業育成ファンド造成のための金融機関からの借入金80億円を含め、県債180億円を計上した次第であります。

 それでは次に、「福井新々元気宣言」に沿って、県政の主な課題と主要事業について申し上げます。
 まず、「福井新々元気宣言」において第一に掲げた「元気な産業」についてであります。
 最近の経済・雇用情勢については、国がこの20日に発表した6月の月例経済報告では、「景気は東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、このところ上向きの動きがみられる」とされています。
県内では、県が企業等に独自に調査している6月の景気速報によると、多くの企業から、大震災の影響は落ち着き、改善の動きがでてきたとの声が聞かれています。しかし、先行きについては、震災による原材料の不足など景気の押し下げ要因も懸念されています。
こうした状況のもと、県内の景気回復をさらに確実なものとするため、引き続き経済・雇用対策を積極的に実施してまいります。
 まず、雇用対策については、雇用基金を活用し、当初予算で設定した3千200人の雇用に加え、その約1割の300人分を追加して雇用を創出します。また、公共事業については、経済対策分として単独事業を21億円計上し、当初予算と合わせた単独事業の累計では119億円と、昨年度を下回らない事業費を確保しました。さらに、消費拡大については、楽しみながら節電する県民運動「クールライフプロジェクト」と組み合わせ、商工会議所や商工会が行う販売促進キャンペーンや地域の逸品を集めたフェスタの開催を支援し、消費を喚起してまいります。
 次に、中小企業対策につきましては、まず、県内金融機関と協力して、100億円の「ふるさと企業育成ファンド」を設置します。この運用益の活用により、企業の新分野展開を支援し、また、理工系大学院生に修学資金を貸与して人材確保を図ります。
 一方、成長を続ける東アジア、特に中国市場をターゲットに、経済界と連携して「ふくい貿易促進機構」を設立します。また、上海事務所内に「ふくい上海ビジネス・サポートセンター」を開設し、貿易促進マネージャーを配置するなど体制を強化します。県内でのバックアップとして「ふくい貿易促進プラザ」を設けます。ベトナム、タイなどの東南アジアへの展開についても、調査研究してまいります。
 次に、企業誘致につきましては、先月30日、自動車用のオイルフィルター等を製造する安積濾紙株式会社がテクノポート福井への工場立地を決定しました。テクノポート福井としては4年ぶりの新規立地であります。投資額は約7億円、新規雇用はおよそ20名であり、来年度前半の操業開始を予定しています。

 次に、農林水産業の振興についてであります。
農林水産業は、福井の食を支え自然を守る基幹となる産業です。農林水産物の生産と販売のスケールを広げ、安全でおいしい商品を工夫して売り出してまいります。
 本県農業の中心である米づくりについては、食味ランキングにおいて6年ぶりに獲得した「A」評価の定着と、さらに上位のランクである「特A」評価の獲得を目指し、籾米の段階で食味検査に基づく区分集荷・出荷体制をつくるため、カントリーエレベータの乾燥機などの整備などを進めます。
 また、園芸作物について、本県の園芸産出額120億円を次の4年間で150億円に増加させるため、水田を利用して露地野菜を栽培する集落営農組織等の水田排水対策などを支援し、野菜の大規模生産を推進します。
 また、鳥獣害対策については、イノシシとシカの被害に対応し、抜本対策を強化する必要があります。今回の補正予算では金網柵の整備等について当初予算の5億円に4億円を追加計上し、整備延長を70キロから140キロに大幅に拡大します。さらには林道の眺望箇所を整備して森林に親しむ運動を進めるなど、総合的な対策を実施します。
 次に、水産業については、おいしく割安な地魚の鮮度を高めて、販売拡大を目指します。水揚げした地魚の鮮度・品質を維持して市場に出荷できるよう、必要な機器の導入を支援します。また、水産会館の「地魚チャレンジショップ」の運営を支援し、水産物の消費拡大を図ります。

 次に、観光とブランド対策について申し上げます。
 平成22年の観光客数は、3年続けて1千万人を突破しました。観光客の「プラス200万人」を目標にして、観光地をスケールアップしてまいります。
 まず、今年のゴールデンウイーク期間中の観光客入込者数は、北の庄城址や小浜市の常高寺など「江」ゆかりの地については、昨年を大きく上回りました。三姉妹や戦国武将に関連したイベントを県内各市町で開き、大河ドラマの効果を活用してまいります。
 次に、海外からの誘客につきましては、震災による観光客の落ち込みから徐々に回復の兆しがある中、アジアにおける観光プロモーションと教育旅行の誘致に力を入れてまいります。中国における藤野厳九郎の知名度を広げると同時に、アニメを現地テレビ局の協力を得て制作し、旅行社や学校等に配布するなど誘客に活用します。
 次に、「恐竜」についてであります。
昨年度の恐竜博物館の入館者数は、10周年記念特別展の実施などにより、前年度比16%増の50万8千人となりました。今年度は7月8日から10月10日まで、世界最大の肉食恐竜の頭骨を展示する特別展を開催し、来場者の増加を図ります。

 次に、「元気な社会」についてであります。
 まず、教育について申し上げます。
 「福井型18年教育」の推進につきましては、ていねいな教育、きたえる教育によって達成した日本一の教育力を、次のステージへと進めます。発達段階に応じた教育を実践することとし、学習の基礎をつくる幼児教育と高校教育を改善するとともに、18年間の一貫性のある教育を進めます。
奥越地区の特別支援学校については、勝山南高校の施設を利用しながら、環境に配慮した新校舎の工事に着手し、平成25年4月の開校を目指します。

 次に、すぐれた医療と支えあいの福祉について申し上げます。
 まず、本県の健康長寿を伸ばすためには、がんの早期発見・早期治療につながる検診受診率の向上が重要です。受診率が低い子宮がんと乳がんについて、規模の小さい事業所を対象に出前検診を行い、また、電話による働き盛り世代の未受診者を対象とした受診勧奨を行い、受診率の向上を目指します。
福祉問題につきましては、来年度からの3年間の高齢者福祉などの基本方針と介護サービスの必要見込を定める「第5期老人福祉・介護保険事業支援計画」を今年度中に策定します。
 また、近年、高齢者や障害者などの世帯の増加や孤立が課題となっています。このため、市町において、支援が必要な人たちの情報を把握し、地域の協力をお願いしながら、「見守りネットワーク」の結成などを支援することにより、地域住民による自主的な支えあいの仕組みを広げてまいりたいと考えています。

 次に、若者のチャレンジ、女性の活躍についてであります。
 若者が国内外での様々な社会に入って、積極的に学び活動する現代的な「武者修行」や福井を元気にするプランの実現を応援し、挑戦する気概を持ち、次世代を担う福井の若者を増やしてまいります。また、女性の活躍につきましては、女性リーダーとして必要な知識を学ぶプログラムの作成に加え、企業で働く女性の相談相手となるメンターを養成し、女性リーダーの出やすい社会づくりを推進します。

 次に、環境政策についてであります。
 温暖化防止対策については、太陽光発電設備等を公共施設に率先して導入するとともに、家庭等での太陽光発電による温室効果ガス削減量を集約してクレジット化し、売却益で県内のCO2削減活動を支援します。
 また、低炭素の街づくりについては、嶺南西部をモデル地域として、地元自治体や民間企業による地域協議会を設け、事業の検討を進めるとともに、実施可能な事業については、LED照明の設置など先行して実施してまいります。
 また、福井県の恵まれた自然、三世代同居、地域のつながりなど特色を生かし、県民運動として工夫しながら消費電力を10%以上減らすことを目指す「クールライフプロジェクト」を展開します。ピークの時間帯に、家族が一緒に図書館や映画館、ショッピングセンター、観光地などに出かけ、「昼涼み」をするなど独自の節電スタイルを発信します。

 次に、「元気な県土」について申し上げます。
 中部縦貫自動車道については、道路予算が厳しい中、国の今年度当初予算において、9%増の約88億円が計上されました。引き続き、勝山・大野間の24年度の確実な開通、永平寺大野道路の28年度までの早期全線開通、大野油坂道路の早期整備を国に強く働きかけてまいります。
 具体的な事業状況については、勝山・大野間では、本日、大野市内の国道157号と交差する中津川高架橋の架設が完了しました。また、福井北・松岡間では、今月中に松岡高架橋の下部工事が発注される予定であります。大野東・和泉間では、5月12日に初めての用地幅を確定するための杭打ちが大野市蕨生地区で行われました。
 舞鶴若狭自動車道については、いよいよ来月16日に小浜までの供用が開始されます。また、小浜から敦賀間については、最も長いトンネルである国富トンネルが今月2日に貫通するなど、26年度の開通に向けて工事が進められています。
 次に、敦賀港については、本年1月から5月末までのコンテナ貨物量は、昨年7月に就航した、釜山直行のトレーラーを積み込むRORO貨物船の利用が大幅に伸びたことにより、前年同期の約2倍の取扱量となっています。
 日本海側拠点港については、国において7月29日まで公募を受け付けて秋ごろ選定する予定であります。敦賀港の海上輸送における重要性を、国に提出する計画の中で明らかにし、さらに、太平洋側港湾の代替機能に優れた港としての重要性もアピールしてまいります。
 次に、足羽川ダムについてであります。昨年12月に関係地方公共団体で構成する第1回幹事会が開かれ検証が始まりました。しかし、検証を終える時期が不透明であり、関係市町と連携して、国に対し推進に向けた結論を早期に出すよう、強く求めてまいります。
 一方、河内川ダムと吉野瀬川ダムにつきましては、ダム事業を現行計画通り継続するとの県の対応方針を決定し、今月20日に国に報告しました。国は有識者会議の意見を聴取し、対応方針の決定を行う予定であり、地元の意見を尊重し早期に結論を出すよう求めてまいります。
 さて、県都のデザイン戦略であります。長期的な展望を持って、県都福井市と各都市を再設計するデザイン戦略の議論に着手します。戦後復興60年余を経過し、構造的な問題を抱える各都市の改造について、次世代に受け継ぐことのできる都市としてどのように創り上げていくかの意見交換の場を設けます。
 また、平成26年度には、舞鶴若狭自動車道が北陸自動車道と直結し、北陸新幹線も金沢まで開業します。嶺南地域と嶺北地域の一体化を図り、観光や産業振興の面でも役立てていくことが重要です。金沢まで来る観光客を福井までどのように誘客するかなど、新たな高速交通ネットワークを産業、観光、まちづくりに活用する方策について検討を進めてまいります。

 次に、「元気な県政」について申し上げます。
 平成30年開催予定の国民体育大会については、実施予定の競技や会場地の選定などの準備を本格化させます。
 6月3日には、国体準備委員会の第2回常任委員会を開きました。競技種目ごとに会場地となる市町の第一次選定や開催地選択競技の決定、輸送・交通、宿泊・衛生、式典の各検討会の設置、開催準備総合計画などの策定を行っております。引き続き、会場地市町の選定を進め、できる限り早期に、開会式の会場など全体の姿を示してまいります。
 また、国体開催に向けた選手強化を進めるとともに、県民に生涯を通じたスポーツ活動を広めていきたいと考えています。
 次に、ふるさと政策についてであります。
 ふるさと帰住につきましては、昨年度、中京地区での相談会などを積極的に行った結果、帰住者は1,057名と前年度を40名上回る実績を上げました。また、今回の大震災に当たっては、被災地住民のコミュニティ単位での受入れについて提案しており、積極的に支援していきたいと考えています。
「ふるさと納税」については、昨年度は推進フォーラムを東京で開くなど普及に努めた結果、県、市町全体で774件、7,100万円を超える寄付があり、引き続き全国的に高い実績を上げています。今回の震災では、被災自治体の事務処理が困難なため、福井県が4県に代わって「ふるさと納税」の受付を引き受け、制度の普及に努めています。
 次に、行財政改革の推進についてであります。
県議会の意見や行財政改革推進懇談会での提言をもとに、来月に「第三次行財政改革実行プラン」を策定します。今回のプランは、申請・照会などの行政手続きの簡素・迅速化など「スピードのある行政の実行」、限られた職員、施設、予算の「最大活用によるコンパクト県政の強化」などを基本理念とし、「量的な改革」に加えて「質的な改革」を進め、県民サービスを向上してまいります。
 市町との連携・共動の強化につきましては、これまでの市町振興プロジェクトを充実させた「ふるさと創造プロジェクト」を創設し、市町が行う独自性、新規性のある事業を強力に応援してまいります。
 さて目下、「社会保障と税の一体改革」に向けた税制抜本改革が議論されています。安定した社会保障制度は、地方が提供するサービスがあってこそ実現するものであり、地方においても安定財源の確保が重要であります。最終案を得るまで、地方の意見が改革の議論に反映されるよう全国知事会や他の地方団体と力を合わせて訴えてまいります。
 
 最後に、第44号議案、福井県核燃料税条例の制定についてご説明申し上げます。
 原子力発電所の立地に伴う財政需要に応えていくとともに、災害・事故を踏まえて今後必要となる安全対策等を実施していくために、安定した税収を確保できる新たな課税方式を取り入れた条例を制定しようとするものです。
 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。
 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
福井県平成23年度6月補正予算 

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