第378回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2013年6月18日ページID 023813

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                                                                平成25年6月18日
                                                                第378回定例県議会


 


                           知事提案理由説明要旨




                                                                       福 井 県 
 

 第378回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および主な施策につきまして、ご説明申し上げます。

 政府は、今月14日、経済政策の第三弾を閣議決定しました。これまでに実行した金融緩和と財政出動による先行きへの期待を、設備投資など具体的な行動につなげ、経済を本格的な回復軌道に乗せていく好循環を目指すとしております。
 我が国経済を見ますと、今年1~3月期のGDPの実質年換算成長率が4.1%となり、全体として景気は着実に持ち直しの状況にあります。一方、本県の経済や中小企業の景況感は、改善に転じ持ち直しの動きが見られるものの本格的な回復とは言えない状況にあります。
 こうした中、本県としては、当初予算と平成24年度補正予算を一体的に編成し、地域経済を回復させるため、公共投資を思い切った規模に増額しました。先の2月議会において補正予算を早期に議決いただいたのち、速やかに契約手続きを進め、当初予算と切れ目のない工事発注に努めております。引き続き、これら経済対策の効果が最大限発揮されるよう執行に努めてまいります。
 さて東日本大震災等を教訓に、政府では「国土の強靭化」を推進しています。いかなる事態が発生しても人命が守られ、行政・経済社会の重要機能に係る致命的なリスクを回避するため、政策横断的に強靭な国づくりを進めるとしております。
 こうした「国土の強靭化」という観点から我が国の課題を考えますとき、一つには原子力発電の安全確認と信頼回復が重要であります。そしていま一つは、太平洋側に偏っている交通やエネルギーインフラを日本海側において充実し、日本海国土軸を形成して複軸化を図ることが必要と考えます。
 そのためには、日本列島の東と西、日本海と太平洋を結ぶ重要な高速交通ネットワークである北陸新幹線や舞鶴若狭自動車道、中部縦貫自動車道を早期に整備・完成させ、全体としての国土構造を強化することが急務であります。
 我が国のエネルギー政策の根幹は、安全を確保しながらできるだけ安価な電力を安定的に供給することであり、原子力発電を基本とするエネルギーミックスであると考えます。エネルギーの多元化の1つとして注目されているLNGについても、受入基地やパイプラインなど主要インフラは8割以上が太平洋側に集中し、輸入の3割を中東に依存しているため、災害や国際情勢による調達リスクが常に存在しています。
 本県は、タンカーの受入れが可能な敦賀港と福井港を有し、送電網がすでに整備されているなど、日本海側でのLNG受入基地や火力発電所の新たな立地場所として最適であります。4月には、資源エネルギー庁とロシア政府系企業ガスプロム社の政府間交渉が日本海側では初めて本県において行われました。本県としては、引き続きLNG受入体制を整えることの重要性を内外に強く求めてまいります。
 また、地方と大都市との関係においても、過去50年間で三大都市圏に人口が集中した結果、大都市では教育や結婚・子育て、福祉などの社会環境が相対的に低下し、これが出生率の低迷を招き、我が国全体の少子化に影響を与えております。
 本格的な人口減少の時代を迎えている現在、国民の暮らしを豊かにし活力を取り戻すには、「国土」とともに「人」の問題についても「強靭化」が不可欠です。このため、大都市に過度に集中している人口や企業を地方に分散し、地方の出生率の高さ、充実した生活環境を活かした質の高い育児・教育を享受できるように政策転換を行うことが必要です。
 去る4月18日の自民党国土強靭化総合調査会では、私はこうした考えに基づき、「人」と「国土」の強靭化の必要性を訴えてまいりました。
 様々な面で可能性にあふれる日本海側に着目し、次の百年をにらんだ大きな国土戦略をたて、そのための投資の促進と制度の改善が不可欠であることを国に強く求めてまいります。

 次に、当面する県政の主要な課題についてご説明申し上げます。
 まず、原子力行政について申し上げます。
 エネルギー政策は国民生活の安定と国家の安全保障に直接関わる重要事項であり、日本の現状を直視し、政府として我が国にとって原子力発電が要るのか要らないのか、必要とするのであれば政府として今後どう取り組むのか、について明確にする必要があります。
 このため、国の「総合資源エネルギー調査会」の総合部会および放射性廃棄物小委員会に委員として参加し、立地地域の立場から、いま一度原子力発電の意義と重要性をエネルギー政策に明確に位置づけるとともに、放射性廃棄物の低減・低毒化の国際研究の推進、使用済み燃料の電力消費地における中間貯蔵の実現等を強く求めたところであります。
 日本原電敦賀発電所敷地内の破砕帯については、先月22日、原子力規制委員会が考慮すべき活断層であるとの判断を行いましたが、十分な確信のないまま結論をなぜ急ぐのか等の理由が不明であります。原子力規制委員会が、立地地域の意見に十分に耳を傾け、孤立、独善に陥らないよう、今月10日、菅内閣官房長官に対し、活断層の調査・評価は政府自らの責任において実施すること、また原子力規制委員会を評価する機関の設置が必要であることを求めました。また、原子炉を稼働させず使用済み燃料を燃料プール内に止めておくような事態であれば、使用済み燃料を県外に速やかに撤去するよう要請しました。
 高速増殖原型炉もんじゅの点検漏れの問題は、「もんじゅ」の安全性と運営のあり方に対する県民・国民の信頼を損なうものであり遺憾であります。このため、下村文部科学大臣に対しても、エネルギー政策における「もんじゅ」の意義の明確化、原子力機構の組織・人員体制の抜本的改革、文部科学省自らの体制強化について強く要請しました。
 現在、国内で唯一稼働している大飯発電所3、4号機については、原子力規制委員会が新規制基準に対する適合性の確認作業を進めていますが、県としても県原子力安全専門委員会の審議を通じ、安全性向上対策の実施状況等を厳正に確認してまいります。

 次に、防災対策について申し上げます。
 原子力災害時における住民の広域避難については、すでに昨年6月、県内での避難先を定めましたが、さらに追加して県外での避難先についても協議を進めてきました。その結果、京都府、滋賀県は現状では自らも域外への避難の可能性もあるため、小浜市、若狭町、おおい町、高浜町の住民は兵庫県へ、敦賀市は奈良県へ避難することとし、現在、避難先となる具体的な市町について協議を進めています。
 また、原子力発電所から概ね30km圏内にかかる福井市、鯖江市、越前市、池田町、越前町の住民については、県内避難のほか、石川県に避難することを協議しています。
 なお、原発5km圏内の住民避難については、一昨日の今月16日、美浜発電所をエリアとした防災訓練を実施しました。5km圏内の全住民の参加を得て、自衛隊、海上保安庁のヘリや船舶などあらゆる避難手段を活用しての住民避難や、小学生や保育園児を対象とした避難など実効性を重視した訓練を行いました。
 また国は、今月5日に原子力災害対策指針を改定し、本県がこれまで求めてきた避難範囲の特定方法や緊急時のモニタリング体制、安定ヨウ素剤の配布方法についてようやく一定の方針を示しました。
 広域避難ルートや避難手段の確保など、引き続き国が前面に立って解決すべき課題はまだまだ残されていますが、県としては、市町に対し原子力防災に対する基本的な方針を早期に示すため、訓練での成果等を反映させながら来月には県原子力防災計画を改定する予定をしております。

 次に、「エネルギー研究開発拠点化計画」について申し上げます。
 3月にアジア原子力人材育成会議を開き、インドネシア、ベトナムなど5か国の政府高官や国際原子力機関(IAEA)の専門家と人材育成のための戦略を協議しました。7月にはIAEAと共同で、アジア各国の原子力行政官を対象とした研修を開催する予定です。引き続き、国際的な原子力に関する人材育成の拠点を目指し、国やIAEAとの協力体制を強化していきます。

 次に、北陸新幹線の整備促進についてであります。
 先月16日、自民、公明両党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームが第1回会議を開き、北陸新幹線金沢-敦賀間など新規着工3区間の工期短縮に向けた財源の確保について議論を開始し、今月12日の第2回会議では年内に結論を出すことを確認しました。
 今月15日に開いた県建設促進同盟会総会、また先月の北陸新幹線建設促進大会においては、敦賀までの早期完成・開業と若狭ルートの早期決定を県議会と共同して強く訴えたところであります。
 県としては、公共事業費の拡充、新規着工区間の貸付料の前倒し活用などにより工期短縮に必要な財源を確保し、1年でも早く敦賀までの完成・開業を実現するよう、政府・与党に強く求めてまいります。
 敦賀以西ルートについては、関西広域連合が最も優位とした米原ルート案は、米原での乗換えが必要となり、また、並行在来線の議論が不十分であるなど、課題の多い案にとどまっています。
 日本海側の国土軸の形成や、災害時等の東海道新幹線の代替機能を考えますと若狭ルートが適切と考えており、昭和48年の整備計画どおり、国においてその実現に必要な調査を速やかに進め、国が早期に決定すべきものであります。いずれにしても、沿線全体のコンセンサスも重要であり、沿線自治体、経済界等と十分協議していきます。

 新幹線工事の進捗状況については、現在、県内各地区で測量準備のための基準点の設置が進められており、今月28日には福井市高柳町で中心線測量が始まります。また、県内工事の実施体制を強化するため、7月中には福井市に加え敦賀市内に鉄道建設所が設置されます。
 県道と一体で工事計画を進める九頭竜川橋梁については、現在、詳細設計を進めています。また、今月7日の北陸新幹線建設事業推進会議において、鉄道・運輸機構から、トンネル工事により発生が見込まれる残土の処理について県に協力要請がありました。発生土の需給調整を行いながら、年内に受入候補可能地、再利用方法の調査を終え、発生残土の有効活用に努めてまいります。

 それでは、次に、「福井新々元気宣言」に基づき、主な施策について申し上げます。

 まず、「元気な産業」についてであります。
 最近の経済情勢について、国は2か月連続して景気判断を上方修正しています。県内でも鉱工業生産指数が2か月連続して上昇しており、全体としては緩やかな回復の動きが続いています。
 しかしながら、海外の不安定な経済動向や外国製品との競争などにより、繊維や眼鏡等の県内中小企業の経営環境は依然として厳しく、景気回復の動きが中小企業にまで十分波及していないと認識しています。
 雇用については、4月の有効求人倍率が1.16倍と28か月連続して1倍を超えて推移していますが、新規求人数は前年同月比で減少しております。このため、雇用基金を活用して、離職者に対する次の就職までの短期就業機会の提供や、企業の新分野展開による新規雇用の促進に努めてまいります。

 次に、嶺南地域における経済・雇用情勢についてであります。
 嶺南地域の経済情勢については、先月行った抽出調査によりますと、原子力発電所と取引のある企業のうち、約7割の企業が前年度に比べ売上減少を見込んでおり、借換えによる資金需要も前年に比べて増加しています。また、雇用情勢については、有効求人倍率は今年2月から3か月連続して低下しており、雇用情勢の悪化が懸念される状況にあります。
 こうした厳しい経営環境にある企業を支援するため、5月1日に敦賀商工会議所に特別相談窓口を開設しました。先週末までに新分野への進出や資金繰りなど23件の相談がありました。また、本議会に基金条例を新たに提案しております。企業誘致の促進のため、産業団地を売却するまでの間、市町に負担がかからない無利子貸付金制度を設けるものであります。この制度を活用して、嶺南地域を中心に地域経済の底上げを図っていきます。
 首都圏における県産品の販路拡大については、4月18日に東京の銀座1丁目に「食の國 福井館」を開店しました。5月末現在では、売上額は1千3百万円となり、年間1億円の目標に対し好調なスタートを切っています。これまで焼鯖寿司、へしこ、地酒のほか、ミディトマトなど季節の野菜が売れています。今後も、本県のおいしい「食」のアピールと併せて、顧客層や購買動向をさらに分析し、売上の拡大に努めてまいります。

 次に、農林水産業の振興についてであります。
 環太平洋連携協定(TPP)については、TPPに参加した場合、具体的にどのような影響があるのか政府は正確な情報を開示し、国民的議論を十分に行う必要があります。農業は今日、観光、環境、健康などと密接に関連しており、魅力的な産業に生まれ変わる可能性を秘めています。県としては、関係団体等の意見を聞きながら、本県の農業が利益の上がる産業へとステップアップするための新たな「農業・農村再生計画」を策定したいと考えています。
 米づくりについては、食味ランキングで「特A」評価を引き続き獲得することを目指すとともに、来月、コシヒカリの試食販売会を銀座店で開き、県産米の認知度向上と販売促進を図ります。また、収穫時期に向け、大粒だけを選別した「限定コシヒカリ」や統一ブランド「にっぽんのふるさと福井 厳選米」の首都圏における販路開拓を進めています。
 水産業は、農業とともに日々の食卓を支える重要な産業であり、本県にとっては、越前ガニや若狭ふぐに代表されるように、「食」を活かした観光戦略を進めていく上でも不可欠であります。
 今年度、美浜町日向(ひるが)地区において、定置網や出荷調整用の生簀(いけす)を設置するため、現在、潮流の調査を行っています。地魚の漁獲量拡大と安定供給を図り、漁家民宿などに新鮮な地魚を提供することにより、海の幸を活かした観光誘客を進めます。

 先の2月議会で了解いただいた分収造林事業の県営化については、市町や森林組合とともに土地所有者に説明を行い同意取得の手続きを進めています。また、借入金については将来負担を軽減するため、3月に日本政策金融公庫総裁に利率引き下げや任意の繰上償還を直接要請しました。さらに、5月の近畿ブロック知事会議において、国の抜本的対策を求める提案をし、同じ問題を抱える他府県とともに国に対策を強く求めることとしました。今後、県営林との一体的な管理など効率的な事業執行の方法を検討してまいります。


 次に、観光とブランドについて申し上げます。
 まず、北陸新幹線の金沢開業に向けた対策についてであります。
 今月4日、JR・北陸三県・各県観光連盟・北陸経済連合会とともに、27年秋の北陸デスティネーション・キャンペーンの実行委員会を設立しました。現在、金沢駅からあわら温泉への直行バス運行によるアクセス向上や本県のダントツブランドである恐竜のさらなる魅力アップなどに努めており、開業効果を本県への観光客増加に反映させていきます。
 恐竜博物館については、昨年度の入館者数が3年連続で50万人を超え、また、今年のゴールデンウィークには期間中としては過去最高となる6万人の入館者を記録しました。
 野外恐竜博物館の来年夏の開館を目指し、先月には発掘現場での工事に着手しました。この夏休みに向けては、日本で初めて本格的な恐竜化石調査を行った本県の25年にわたる成果を一堂に披露する特別展を開催します。このほか、恐竜博物館をメインとした奥越地域を巡る滞在型ツアー、中京・関西圏から恐竜博物館への直行バスの運行など、子どもたちが自然体験学習などを楽しめる「恐竜キッズランド構想」を実現していきます。
 恐竜研究の世界水準を目指し、4月に県立大学に恐竜学研究所を設立しました。この夏から他大学で恐竜を研究している学生を受け入れ、研究水準のレベルアップに努めてまいります。また、7月からは第4次の恐竜化石発掘調査に着手し、また日本・中国・ロシア・タイ・韓国・モンゴルのアジア6か国が参加する「アジア恐竜協会」を設立しアジアを代表する恐竜研究の拠点を目指します。
 来年度の舞鶴若狭自動車道の全線開通に向けた対策としては、若狭の歴史文化や食ブランドを活用した魅力づくりを強化していきます。歴史文化では、貴重な文化財の特別公開にあわせて実施する「秘仏巡りバスツアー」を、小浜市に加え、おおい町まで拡大して実施できるよう準備を進めています。また、若狭の歴史文化の核として、若狭歴史民俗資料館を全面的にリニューアルする実施設計に着手しています。
 若狭の食ブランドでは、地元市町や観光協会とともに開発した「若狭路ご膳」を提供する店舗の拡大を進めており、これまで69店舗で提供されています。今後、提供店と料理を掲載したリーフレットの活用による観光客への情報発信に努めていきます。
 県立美術館では、展示内容の充実と美術教育のレベルアップを図るため、4月から、日本画の第一人者である東京藝術大学の手塚雄二教授に特別館長として就任いただきました。また、今月28日からは、ルネサンス期の巨匠ミケランジェロの特別展を開催します。約60点の展示作品のうち半数が国内初公開であり、開催は本県と東京の2か所のみとなっています。「美術手帖」などの美術専門誌への掲載や、この特別展に合わせて実施する関西・中京圏からのバスツアーなどにより、西洋美術ファンを誘客し、入館者数の増大につなげていきます。
 このほか8月18日から26日の9日間、嶺南地域で「第23回世界少年野球大会福井大会」を開催します。今月10日には、主催者である世界少年野球推進財団の王貞治理事長とともに記者会見し、世界15の国や地域から300人を超える子どもたちが参加することなどを発表しました。希望や幸福に関する研究で本県と交流を深めているブータンのほかネパールが初めて参加します。この機会に、野球を通じて親睦を深めることはもとより、会場となる嶺南地域の食や自然などの魅力を伝え、参加者と県民との国際交流を広めていきます。

 次に、「元気な社会」について申し上げます。
 まず、教育についてであります。
 幼児期から高校までを通じた「福井型18年教育」の推進については、何よりも教員の授業力向上が重要であります。このため、教育委員会において、4月から若手高校教員を対象に「授業力向上塾」を開き、授業名人からの直接指導や模範授業のDVDを活用した授業研究などを行い、授業力の改善を進めております。
 高志高校に設置する併設型の「中高一貫教育校」については、教育委員会が地域社会や国際社会のリーダーを育てる独自の教育プログラムを設ける考えを示しました。先行県の中高一貫教育校へ教員を派遣し、成果を共有するなど担当教員の養成に努めています。8月からは入学者選抜方法や教育課程などについて学校や保護者に周知を行うなど、27年4月の開校に向けて準備を進めていくことにしています。
 4月、勝山に開校した奥越特別支援学校では、商店街での買い物や公共施設の利用などの生活体験学習、地元の協力によるパンづくりの技術指導などを進めています。今後は、地元の小・中学校との交流を深めて、地域とのつながりによる学校づくりを進めていくことにしています。

 次に、医療・福祉について申し上げます。
 がんの早期発見・早期治療には、検診の受診率を向上させることが重要であります。現在、本県のがん検診受診率は31%と全国中位となっており、さらなる引き上げが必要です。このため、今年度から受診券の発行対象者を従来までの国民健康保険の被保険者から中小企業の従業員等にも拡大し、受診勧奨を行っています。4月からは、新たにパソコン等から検診予約ができる全国初のシステム「がんネットふくい」の運用を始めており、忙しくても受診しやすい環境づくりを進めています。
 本県は、子育て支援について先進県の評価を得ていますが、家庭での育児時間の長さは全国中位であります。自らの手で子どもを育てたいと願う親の選択肢を増やし、キャリアを継続しながら3歳まで家庭での子育てを後押しする支援策を全国で初めて実施します。現在、企業に対する奨励金制度の募集を開始しており、より多くの企業等で活用されるよう説明会などを行い、両立支援を進めていきます。

 次に、環境政策についてであります。
 本県は、全国に誇れる里地や里山、海と湖すなわち里海湖(さとうみ)を残し大切にしてきた「にっぽんのふるさと」であります。この魅力を国内外に積極的にアピールする良い機会として、9月8日から14日まで「SATOYAMA国際会議2013inふくい」を開催します。
 これに先立ち、今月15日には開催記念プレシンポジウムを開き、福井の里山の魅力に関するセミナーやパネルディスカッションに約300人が参加しました。
 より多くの若者が福井の里山の魅力を知り、行動するための「SATOガール・SATOボーイ育成プロジェクト」におけるワークショップについては、これまでに9回開き、70人余が田植えやシジミ採り体験、伝統野菜の試食などに参加し、本県の里山の良さを理解する若者層が着実に育っています。
 23年12月から越前市白山地区で飼育している番いのコウノトリについては、地元の方々の見守り活動、餌場づくりに配慮した無農薬・無化学肥料による米づくりを行うなかで、県内で47年ぶりの産卵がありましたが、残念ながら雛の誕生には至りませんでした。
 来年に向け、専門家の助言やコウノトリの郷公園からの協力を得ながら、あらゆる可能性について検討してまいります。

 次に、「元気な県土」について申し上げます。
 県都デザイン戦略に基づき進めている山里口御門の復元整備については、来月から遺構の発掘調査に着手し、年度内には御門の建築形態や石垣の修復方法などを決定してまいります。
 西口再開発事業については、市の施設の基本方針などを反映した事業計画変更の認可手続きを進めております。
 中部縦貫自動車道については、今月14日に、永平寺東-上志比間の28年度開通が決定し、福井北から大野まで26.4kmの高速ネットワークが完成することになりました。現在、福井北-松岡間では、26年度開通を目指して、福井北ジャンクションの造成工事が順調に進んでいます。永平寺-上志比間では、これまで工事が行われていなかった轟(どめき)地区において、4月から橋梁の整備が進められております。
 残る大野油坂道路については、4月に梶山国土交通副大臣に対し、大野-大野東間の早期事業化と早期開通を強く求めました。
 舞鶴若狭自動車道については、現在、敦賀市笙の川(しょうのかわ)で橋梁架設工事が進められており、この橋の完成により小浜-敦賀間の長大な橋梁工事がすべて終了します。開業効果が一日も早く表れるよう、26年夏までの全線開通を働きかけてまいります。
 福井港丸岡インター連絡道路については、高速かつ安全に走行できる構造を確保し、また、沿線の無秩序な開発の抑制にも配慮する必要があります。現在、道路構造の検討を終え、地元に説明を行っており、今年秋の都市計画決定を目指してまいります。
 足羽川ダムについては、昨年度末に国と地権者団体が補償基準を締結し、地元への補償契約の説明や手続きが進められています。県としても、関係住民の生活再建や池田町の地域振興が円滑に行われるよう努めていくとともに、早期完成を国に強く求めてまいります。
 日野川の防災引堤工事については、先月末に35年の歳月と事業費450億円余をかけて完成し、今月9日に記念式典を行いました。この完成により、流域の安全確保に大きく貢献するものと考えています。
 工事の入札制度については、下請業者へのしわ寄せや工事品質の低下を招かないよう、今年4月に最低制限価格を引き上げ、さらに今月10日から国の見直しに伴い再度引き上げを行いました。引き続き、建設業者の経営安定化や賃金の改善に努めてまいります。

 次に「元気な県政」について申し上げます。
 「福井しあわせ元気国体」については、今月7日に文部科学省および日本体育協会に開催申請書を提出しました。7月には開催の内定が出される予定であります。
 競技力向上対策については、オリンピックメダリストを育てた指導者26名にスーパーアドバイザーとして先月就任いただきました。今後、学校の部活動や各競技団体へ派遣し、その実戦的な指導により、競技力の強化をさらに進めていきます。

 最後に、第58号議案 福井県一般職の職員等の給与の臨時特例に関する条例の制定についてご説明申し上げます。
 国は地方に対し、今年7月から国家公務員に準じた給与減額を行うよう要請し、それを前提とした改正地方交付税法および平成25年度予算が成立しております。
 今日までの県の行革努力を考慮せず、国が公務員給与に係る地方交付税等を一方的に削減したことは納得できるものではありません。
 しかしながら、大幅な地方交付税等の削減に対し現実的な対応が必要であり、やむを得ず県職員の給与を減額することとしたものであります。
 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
 

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