第384回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2014年11月28日ページID 028360

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                                                                              平成26年11月28日
                                                                第384回定例県議会


 


                         知事提案理由説明要旨




                                               福 井 県                                                                          

 

  

 第384回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成26年度12月補正予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 

 最初に、ただいま表彰決議がされました石川与三吉議員、前田康博議員、野田富久議員には20年以上、また、山田庄司議員、山本正雄議員、山岸猛夫議員、中川平一議員、田中敏幸議員、斉藤新緑議員には15年以上の長きにわたり、県議会議員として県政発展と県民福祉の向上に寄与されました。その功績はまことに顕著なものがあり、ここに県民を代表して深く感謝の意を表するとともに、心からお祝い申し上げます。今後とも、県政のさらなる発展のため、一層ご活躍されますようお願い申し上げます。

 

 今年も残すところ1か月余りとなりました。この1年を振り返りますと、まず、長年の悲願であった若狭さとうみハイウェイの全線開通が実現しました。開通後3か月間の小浜IC・敦賀JCT間の平均利用台数は、想定の6,000台を大きく上回る1日当たり7,400台、特に休日は9,200台となっております。三方五湖など里山里海湖の眺望も素晴らしく、主要な観光地への入込数も2割増加しております。今後も北陸新幹線の敦賀開業や中部縦貫自動車道の全線開通をできる限り早期に実現し、さらなる県の活性化と飛躍につなげてまいります。

 

 経済の状況については、7月から9月期の実質GDP成長率が年率で1.6%減と、期待に反して2四半期連続のマイナス成長となりました。特に個人レベルでの消費が4月から6月期に引き続き減少するなど、消費増税後の景気回復の遅れが鮮明となっております。県内においても、急速な円安等による燃料や原材料費の上昇に対する懸念や、物価の上昇や賃金の状況など生活面での不安の声が聞かれるところです。県としては、これまで企業誘致や公共事業の早期発注など積極的な景気・雇用対策を行ってきており、本日発表の県内10月の有効求人倍率も1.45倍と全国の1.10倍を上回るなど、景気は一部に弱さがみられるものの緩やかな回復基調となっています。引き続き経済団体等と緊密な情報交換を行うとともに、国が検討している経済対策の内容も踏まえ、県の政策も加えながら対応してまいります。
 
 また、人口減少問題、その大きな要因である人口の東京への一極集中という構造的な問題がクローズアップされています。政府は今後、地方創生のためこれまでにない大胆な政策を取りまとめ、実行するとしております。政府においては、地方の重要な課題である高速交通体系の整備やエネルギー問題をはじめ、人や仕事の流れを大都市から地方へ移動させるための新たな施策など、地方が元気に自立、再生するための地方重視の政策を、是非とも実現するよう強く期待しており、要請を行ってまいります。県としては市町等と十分連携しながら、若者の出会い創出や子育て支援などにおいて独自の施策を意欲的に実行し、県民が誇りと将来への希望が持てるよう、「幸福度日本一ふくい」をさらに発展させてまいります。
 
 では、当面する県政の主要な課題について、ご説明申し上げます。
 まず、北陸新幹線の整備について申し上げます。
 金沢―敦賀間の少なくとも3年の前倒しについては、今月17日に北陸新幹線建設促進同盟会、北陸経済連合会などと一体となり、その開業を総選挙の影響を受けることなく実現するよう、政府・与党に対し強く働きかけました。太田国土交通大臣、町村与党プロジェクトチーム座長をはじめ政府・与党関係者からは、その懸念には及ばない、地元の期待に沿えるべく取り組みたいとの力強い発言がありました。そして選挙直前にも関わらず開催した19日のワーキンググループ会合では、今回は特に政府・与党において、予算編成時に結論を得ることを書面で確認しており、その方向で実行できるよう要請しております。

 

 県内の新幹線工事の進捗状況は、新北陸トンネル北側の大桐工区が今月から、南側の葉原工区が来月から掘削工事に着手するなど、全長20㎞のうち約65%の約13㎞区間で着手しております。福井市内では、九頭竜川橋りょう、県内初の高架橋工事となる森田工区が年度内に契約予定です。そして、中心線測量を終了した沿線6市町においては、集落との設計協議を8月末から進めており、年度内に完了できるよう努めてまいります。

 

 原子力行政について申し上げます。
 本年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画を受け、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会において、原子力を重要なベースロード電源として引き続き活用していくための諸課題について、年内に中間とりまとめをするための議論を行っております。主な論点としては、(1)原子力発電の必要規模の明確化、(2)電力自由化の下での核燃料サイクル政策等の在り方、(3)廃炉に伴う放射性廃棄物の処分、(4)立地地域支援などがあります。これまで、立地県の委員の立場として、原子力発電所の運転と廃炉を一体・一連のものとして捉えること、更地化までの長期の安全対策と地域振興を担保する新たな法律を制定することなどを主張しているところです。
 
 さて高浜3、4号機の再稼働については、現在、原子力規制委員会は原子炉設置変更の許可申請の審査書案の策定を進めています。先般9月に許可された鹿児島の川内1、2号機に比べて約4、5か月程度遅れた審査状況となっております。設置許可後も工事計画認可や保安規定の変更認可等が必要であり、規制委員会は行政庁として、審査の目途を明確にする必要があると考えます。県としては政府に対し、原子力発電の重要性と再稼働の必要性について国民の理解を得るため、前面に立って対応するよう求めております。そして、福島事故を教訓にした事故制圧体制などについて国が責任ある方針を示すことが重要と考えています。これらに対する政府の対応状況、また2年前の大飯3、4号機の再稼働や、今回の川内発電所の経緯を踏まえ、県民に信頼される決定をしてまいります。
 さらに、高浜1、2号機については、40年を超える運転という新たな課題が生じております。関西電力はこの26日に、全国で初めて延長申請に係る特別点検を来月から実施する方針を示しました。県としては、事業者が最新の知見と検査技術をもって点検に臨む必要があると考えており、点検の結果、延長申請を行おうとする場合には、安全の確保と県民理解が必要不可欠であり、改めて県に対し報告するよう求めることとしております。

 

 敦賀発電所敷地内の破砕帯について、今月19日の規制委員会の有識者会合は、活断層であるとの評価書案をまとめましたが、破砕帯の評価は原子力発電所の存廃に関わる重要事項であるにもかかわらず、事業者との間で議論が十分行われていないのは問題であり、また県としては、規制委員会は、幅広い分野の知見を集め、科学的・技術的観点から現実に即した議論を尽くし、公平・公正な結論を導き出すよう繰り返し求めているところです。

 

 次に、「エネルギー研究開発拠点化計画」について申し上げます。
 今月19日に推進会議を開催し、平成27年度の方針を決定しました。国内外の原子力人材の育成、緊急時対応のさまざまなロボットの開発、廃炉関連ビジネスへの地元企業参入等について協議しました。そして特に国内の研究用原子炉が老朽化し、学生の実習の場が失われて原子力技術の維持・承継が危機的状況にあることから、新たな研究炉などの整備について、国や大学、事業者等とともに検討を始めることを決定しました。

 

 さらに、防災対策について申し上げます。原子力発電所5km圏内の住民の安全に関し、安定ヨウ素剤の事前配布を10月31日から開始しております。昨日までに高浜町で7回、おおい町で4回の説明会と配布を行っており、順次、他の市町へも配布を進めてまいります。
 土砂災害や地震など自然災害に対する防災対策については、今月1日に勝山市において総合防災訓練を実施しました。従来の訓練に加え新たな訓練内容として、市内すべての17指定避難所の開設、スマートフォンで撮影した被災現場や避難状況等の写真を地図上に表示する新しい情報システムの運用等を行いました。

 

 次に、人口減少対策について申し上げます。
 国会では、今月21日に「まち・ひと・しごと創生法案」を可決し、国は、これに基づき今後5か年の施策の方向性を示した総合戦略を策定することとしています。人口減少の問題は、地方から若者が流出し、出生率の低い東京を中心に人口が極度に集中していることが主な原因です。国自らがまず、こうした国土構造のゆがみを是正するために、本県が提案している人と企業の地方移転のための法人税制改革をはじめ、国の機関や大学の地方分散について、具体的な方針を明らかにし実行していくことが基本です。一方、福井県としても、女性就業率、出生率がともに全国上位という特長を生かし、若者の出会いや子育て支援、若者のU・Iターンにつながる雇用の場の創出など、市町、産業界と一体となった効果的な対策を検討し、推進してまいります。
 
 それでは以下、主な施策の状況について「福井新々元気宣言」に沿って申し上げます。
 まず、「元気な産業」についてであります。
 成長する東南アジアにおける県内企業の事業展開を支援するため、福井銀行と共同でバンコクビジネスサポートセンターを今月25日に開設しました。田村議長をはじめとする県議会や地元経済界の代表の方々が出席されて、開所式を行い、またタイ工業省との経済協力に関する覚書の締結、県立恐竜博物館とタイ・シリントーン博物館との姉妹提携ができました。また、大手旅行代理店等に対する観光セールスなどを行ってまいりました。今後、タイを含めた東南アジアでの企業の販路開拓等に対する産業の支援や観光誘客の拡大など、同センターを中心に様々な活動を強力に展開してまいります。

 

 次に、県内企業の販路開拓等への支援について申し上げます。
 県内企業の新たな販路開拓や受注拡大につなげるため、農機具のトップメーカーである「クボタ」との商談会を、今月、大阪で開催しました。県内から約30社が参加し、炭素繊維やレーザー、金属3Dプリンター等の技術を活かした農業機械への具体的な活用策を積極的に売り込みました。また、今月12日から14日にかけて東京ビックサイトで開催された国内最大級の医療展示会「HOSPEX JAPAN」に、県として初めて展示ブースを設けました。県内企業9社とともに、注目されている繊維の技術を活用した人工血管や眼鏡製造技術による医療用器具など、高い技術力を活かした製品を大手医療機器メーカーなどにPRしました。成長産業である農業機械や先端分野である医療産業等への参入促進と新たな販路開拓等につながるよう、今後も、県内企業を後押ししてまいります。

 

 企業誘致については、携帯電話などの液晶フイルムの製造に不可欠なフィルターを製造する長瀬フィルターのテクノポート福井への進出が、今月決定しました。投資額は約14億円、新規雇用は約30人の予定です。この結果、今年の誘致実績は、新設増設を合わせ26件であり、投資額は昨年の約270億円に対して約410億円、新規雇用者数は昨年の約320人に対して約820人と、いずれも昨年実績を大幅に上回りました。また、本県として初めてとなる企業立地セミナーを今月大阪市と名古屋市で開催しました。大手企業の役員など両会場で250名余の参加者に対し、進展が進む高速交通体系、自然災害が少ないといった優れた立地条件や立地した企業からの感想等を、われわれの意気込みとともにアピールしたところです。

 

 次に、農林水産業について申し上げます。
 米づくりについては、今年度から米の直接支払交付金が削減され、さらに生産や在庫の過剰により全国的に米価が下落し、農協から農家に支払われる概算金が約2割下落するなど、県内でも多くの農家で収入減が懸念されております。このため、国に対し、今月13日に県議会や農業林業の代表者とともに、収入減少による経営への影響緩和対策を充実・強化するよう強く要望いたしました。県としても、JAグループと協力し、農家の経営資金への無利子融資を行うこととしました。
 農家所得を安定、向上させるためには、高価格銘柄米としてのブランドを確立する必要があります。県では、「秋の田起こし運動」を推進するとともに、よりおいしい米を選りすぐった「限定コシヒカリ」や栽培方法等に特色のある「こだわり米」の首都圏での販売拡大を進めるなど、福井米のブランド力を向上させてまいりました。コシヒカリが全国作付面積日本一となって30年目である今年、「コシヒカリを生んだ福井県」を全国に宣伝するため、9月から11月まで全国47都道府県を巡るキャラバンを実施したほか、先週には、全国の水稲研究者や稲作農家等300名を招いた「コシヒカリ一族サミット」を開催しました。

 

 また、農業を利益の上がる産業にステップアップさせるためには、農業経営の多様化につなげる園芸の振興が必要であります。特に、新たな雇用創出も期待できる大規模施設園芸の拡大や企業の農業参入を積極的に推進しております。この4年間で13社の企業が農業に参入し、この結果、約100人が新たに雇用され、本年度で約5億円の出荷額が見込まれております。さらに、永年課題であった福井市中央卸売市場の一般利用が実現しました。出店する事業者の支援も行っており、地場農産物のPRや販路拡大につながるよう期待しております。

 

 園芸の拡大に当たっては、新規就農者をはじめ、園芸に取り組む人材の確保・育成が重要であります。県、市町、JA等で設置した新規就農誘致促進チームにおいて、今月、東京や大阪で就農支援セミナーを開催するとともに、近畿大学や出版社等を訪問し、本県農業の概要や就農支援策、園芸カレッジのPR活動を行っております。

 

 林業については、木質バイオマス発電施設の起工式が今月10日、大野市で行われました。平成28年度の稼働に向け、県下全域から間伐材の年間生産量の約8割に相当する3万1千㎥が発電用燃料として大野市などの集積場所に搬入されております。さらに、現在、間伐材の搬出拡大に向け、大手建機メーカーの協力を得ながら、越前町などで高性能林業機械を用いた列状間伐の実証試験を行っております。これらの結果をもとに効率的な搬出技術を確立させ、間伐材搬出のさらなる低コスト化を図ってまいります。

 

 水産業については、天候などによる漁獲量の増減に左右されない計画的な生産を実現して、販路の拡大や新たな需要の開拓により魚価の安定・向上につなげていく必要があります。美浜町の日向地区の定置網については、出荷用の生けすと一体で整備を進め、10月下旬に操業を開始しました。ハマチやサゴシなどが大量に漁獲され、好調な滑り出しとなっております。また、嶺北地域においても、安定的な生産が見込める養殖業拡大のため、福井市沖合で直径25mの大型生けすによるトラウトサーモン養殖の実証実験を進めており、今月1日に設置が完了しました。今後、生けすが冬の荒波に耐えられるかやサーモンの成長スピードを確認しながら、50㎝程度に成長する来年6月の出荷を目指してまいります。

 

 こうした新たな動きが出てきた福井の林業および水産業をさらに高い利益を生む産業に導く新たな計画を年内に策定します。林業については、県産材の生産力向上や利用拡大、里山ビジネスや緑と花の県民運動の拡大などを中心とした計画といたします。また水産業については、計画的・安定的な生産や消費拡大による浜値の向上、里海湖ビジネスの展開などを中心に計画いたします。

 

 次に観光とブランドについて申し上げます。
 若狭さとうみハイウェイの全線開通を記念して、「海湖と歴史の若狭路キャンペーン」を7月から市町等と一体となって展開してまいりました。この結果、開通後3か月間における嶺南地域の主要観光地の入込数は約91万人となり、前年から約16万人、22%の増となっております。この流れをさらに拡大し、例年入込数が伸び悩む冬から春にかけての誘客増につなげるため、「冬・春キャンペーン」を引き続き実施いたします。具体的には、昨年から実施している消費額に応じて特産品を進呈するキャンペーンの継続、三方五湖パーキングエリアや道の駅での特設の特産品販売などを、嶺南市町とともに実施してまいります。
 また、若狭さとうみハイウェイにつながる京都縦貫自動車道の全線開通が来春に予定されていることから、京都府や滋賀県と連携し、広域観光ルートの設定や観光宣伝の強化、NEXCO西日本への企画割引などの働きかけを進め、嶺南地域を中心としたさらなる誘客の拡大につなげてまいります。

 

 北陸新幹線金沢開業対策については、首都圏における継続的なPRと営業活動を展開しております。今月には東京で「旅行商品造成会議」を開き、県内35の事業者と共に、出席された旅行業者36社に対し、新たな旅行商品造成に向けた売り込みを行いました。開業直前となる来年1月には、大宮駅とその周辺で大型広告の掲出や出向宣伝、物産展を開催するほか、10日間で40万人の集客が見込まれる東京ドームで1月に開催される「ふるさと祭り東京」にも初めて出展いたします。さらに、芦原温泉から代表的な観光地を巡る「福井の一押しバスツアー」の運行やJRとタイアップした宿泊プランの造成・販売など、3月の開業に向け首都圏を中心とした顧客の獲得を強力に進めてまいります。

 

 次に「元気な社会」です。まず、教育について申し上げます。
 先月、福井の全国トップクラスの学力・体力に関する本の出版を契機として、本県の教育の特色を広く全国に発信するため開催した教育フォーラムには、県内外から720名を超える教育関係者が集まるなど、高い教育力は全国から注目されております。
 さらに一層「福井型18年教育」を推進していくため、来年4月に高志中学校を開校して中高一貫教育を進めるとともに、工業系の全高校における3Dプリンター活用など職業教育を充実して、福井の将来を支える人材を育てていくなど、さらに本県教育のレベルアップを図ってまいります。今後、国における大学入試などの教育改革の動向も把握しながら、来年秋頃を目途に、次の福井県教育振興基本計画を策定することとし、今月26日に「福井の教育」向上会議を開催するなど、県内外の有識者と議論を進めてまいります。

 

 次に、医療・福祉について申し上げます。
 県立病院で行っている陽子線がん治療について、先月から全国で初めて乳がん治療の臨床試験を開始いたしました。現在までに11件の問い合わせがあり、臨床試験の対象となるか確認を行っております。今後、副作用や治療効果を段階的に見極め、新たな治療法として確立できるよう努力してまいります。

 

 次に、地域医療について申し上げます。
 本年6月、高齢社会に対応した医療・介護の提供体制の構築を目的として医療介護総合確保推進法が施行されました。今回の補正予算において、この法律に基づく国の財政支援制度を活用した総額約8億4千万円の「地域医療介護総合確保基金」を設置するとともに、基金の一部を活用し、医療機関における病床の機能分化と連携、在宅医療と介護サービスの充実、医療従事者の確保・養成のための施策を進めてまいります。

 

 次に環境政策について申し上げます。
 「里山里海湖研究所」については、昨年10月末の開所から1年が経過しました。研究所にはこれまで約4千人が訪れ、このうち県内の親子連れや小学校の遠足など約500人が「福井ふるさと学びの森」において森の恵みを体感できる研究や活動を行いました。今後、嶺北にも「学びの森」を拡大いたします。さらに、立命館大学や慶応大学と連携した年縞や里山の生物の多様性に関する共同研究を進め、研究レベルのさらなる向上を図ってまいります。

 

 地質学的年代測定の世界標準である水月湖「年縞」については、9月に採取したコアを展示用に加工し、今後、国立科学博物館など県内外の博物館等で広く紹介してまいります。また、本年度中に、年縞の価値を国内外にアピールし、研究、教育観光の拠点となる新たな施設整備の基本計画を策定してまいります。

 

 次に、「元気な県土」について申し上げます。
 敦賀港の鞠山南地区における新たなふ頭用地や岸壁の整備については、外部専門家の意見を聞きながら費用対効果や経済波及効果などについて、検討を進めてまいりました。その結果、バイオマス発電の稼働等による貨物量の増加や新幹線工事の発生土砂活用によるコスト削減など、十分な事業効果が見込まれることから、来年度の事業化に向け、国への要請や埋立ての準備を行うことといたします。

 

 福井鉄道とえちぜん鉄道の相互乗り入れについては、両鉄道事業者が国、県、福井市の負担により、来春を目指し整備を進めてきました。しかし、両事業者が安全対策等の相談に時間を要したことや、工区の地盤が軟弱であることなどから仮ホームの活用による運行を県として事業者から確認していたところです。その後、事業者が国の事業認可の協議を進める中で、暫定運行ではなく全施設が完成したうえでの安全運行を目指すこととなったことから、今回、工程を見直すこととなりました。利用者の利便性向上につながることを目指し、引き続き福井市とともに事業者を十分指導してまいります。

 

 中部縦貫自動車道については、永平寺大野道路のうち福井北-松岡間において、松岡高架橋の上部工が今月完成するなど、今年度末の開通が近づいてまいりました。また、永平寺東-上志比間においても、大畑高架橋の上部工が完了し、光明寺1号橋の上部工に着手するなど、28年度の全線開通に向けて順調に工事が進められております。
 また、大野油坂道路の大野東-和泉間においては、約7割の用地取得が完了し、既に8月から工事も進められております。和泉-油坂間においても、9月に幅杭設置が完了し、用地交渉に向けた現地確認が進められております。
 未事業区間となっている大野―大野東間については、来年度の政府予算編成を前に、今月17日、国土交通大臣に対し早期事業化を求めるとともに、北陸新幹線の敦賀開業に合わせた全線開通と予算確保の要請を行ったところです。

 

 足羽川ダムについては、先月17日に、国、県、池田町の三者による「足羽川ダム建設事業推進協議会」を開催し、ダム建設による影響や池田町の人口減少に係る諸課題に対し、定住促進対策を主とする地域振興策を確認しました。県としては、引き続き関係住民の生活再建や池田町の地域振興策を国、町と連携して進めるとともに、早期完成を国に強く求めてまいります。

 

 次に、除雪対策について申し上げます。
 若狭さとうみハイウェイ開通後初めての冬であり、除雪に支障のないよう高速道路会社に強く要請を行ってまいりました。その結果、除雪車両11台、監視カメラ34台、融雪施設5.4キロメートルと、他と比べても充実した体制となっております。県においても、特に、アクセス道路である国道27号と若狭上中インターを結ぶ県道(上中田烏線)を最重点除雪路線に指定するなど、除雪体制を強化いたしております。

 

 次に、「元気な県政」について申し上げます。
 福井国体に向けた競技力の向上等については、今年の長崎国体において、体操、ホッケーや陸上競技など9種目での優勝をはじめ、63種目で入賞を果たしました。その結果、天皇杯17位と、目標の10位台を達成することができました。福井国体までにさらに上位を目指すため、長崎国体後直ちに、競技ごとに更なる強化策を検討し、特に、冬季に屋外で練習ができないテニス、軟式野球、ソフトボールなどの競技について、雪などの影響のない温暖な地域で、強豪チームとの実戦練習を進めてまいります。
 あわせて、福井国体までに約200名の若手選手をU・Iターンにより確保するため、この夏から企業と一体となって県内雇用を支援する「スポジョブふくい」を進めております。その結果、現在、来春の就職希望者約40名のうち20数名が内定を得ることができました。引き続き県内企業への選手紹介活動を進めるほか、今月20日には大阪の大学でスポーツ選手を集めた説明会を開催するなど、有望な選手の獲得に努めてまいります。

 

 また、「オリンピック・パラリンピック東京大会 総合対策会議」を今月設置しました。今後、県産品の販路拡大やキャンプの誘致など本県の活性化につなげる対策を、オリンピック組織委員会の協力も得ながら全庁一体となって進めてまいります。
 現在整備を進めているふるさと文学館については、来年2月1日の開館を予定しており、今議会に文学館の設置および管理に関する条例案を提案しております。今後とも、県民が文学に親しみ、学ぶことのできる施設として、また、作家を志す若い世代の創作活動を支援する拠点となるよう、展示内容等の充実に努めてまいります。

 

 以上、予算を含め申し上げましたが、その結果、一般会計の補正規模は22億円、本年度予算額の累計では4,889億円となります。

 

 最後に、第90号議案の福井県一般職の職員等の給与に関する条例等の一部改正は、人事委員会勧告を受け、職員給与の改定を行うなど、所要の改正を行うものであります。その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

 

 最後に、来春の知事選挙につきまして、私の所信を申し上げます。
 平成15年4月に福井県知事に就任して以来、3期11年余、県議会の御協力を得ながら、福井県の発展のため常に県民本位の姿勢を貫き、県民一人ひとりが将来に夢と希望が持てる「新ふるさと構想」の県づくりを進めてまいりました。
 

 3期目直前の平成23年3月、未曽有の東日本大震災と福島第一原子力発電所の大事故に直面しました。私は、多くの原発が立地する福井においては、このような事故は絶対に起こさせないとの強い覚悟でこれに対応してまいりました。そして今日なお、この原子力・エネルギー問題については、将来に向けた確かな展望を描くため、立地地域の知事として努力しているところであります。
 

 さらに防災に関しましては、全国各地で災害が相次ぐ中、本県を襲った台風・豪雨災害においても「素早い初動体制」で臨み、県民の生命と生活、安全・安心を守るという行政としての最も重要な責務を果たし、とどこおりなく被災地の復旧に当たってまいりました。
 

 一方、生活と産業の基盤である高速交通ネットワークの整備については、県議会や市町、経済界と一丸となって大きく前進させてまいりました。
 北陸新幹線の早期完成に向けて認可を獲得し、さらに県としての提案も行い工期短縮を目前にしております。そして県民の永年の悲願であった「若狭さとうみハイウェイ」の全線開通を実現しました。中部縦貫自動車道の北陸道との年度内接続も決まり、さらに2年後には大野までつながることとなり、県内主要地域は高速道路で結ばれることになります。 

 今日、地方は世界と直結する時代に入りました。県内の観光を含めた産業に活路をひらくため、タイのバンコクに福井銀行と協力して拠点を設けたほか、地方では唯一ともいえる県立大学・地域経済研究所を拡充してアジア各国の研究と情報収集に力を入れています。
 こうした交通ネットワークやアジアへの窓口は、製造業や観光だけでなく、今これからもっとも力を入れなければならない新しい「農」・「林」・「水産」業の発展にも大いに役立つものと考えています。
 

 さらに「日本一の子育てや教育環境の更なる充実」、「若者・女性・高齢者の活躍と充実したくらしを後押しする活躍応援」、「健康長寿を支える医療・福祉の向上」、「ふるさとの元気の象徴である里山里海湖の豊かな環境の保全・活用」など、全国にも誇れる福井県の優れた実績や活動を、互いに連携させ組み合わせながら、県民のくらしを豊かにするため、一層の充実を図ってきました。
 

 この結果、首都圏の大学や民間シンクタンクが行った「県民幸福度ランキング」において、我がふるさとは日本一、とのうれしい評価をいただくことができました。これは、県民の皆様の日々のたゆまぬ努力の賜物であり、また福井の元気の証しでもあります。
 

 しかし一方、若年女性を中心とする大都市への人口流出の拡大や本格的な 少子・高齢化が一段と進む中、人口減少問題への責任ある対応が待ったなしの状況にあります。
 東京など大都市を中心とする景気回復の流れを地方に、そして我がふるさと福井に拡大・定着させるためにも、人の流れを出生率の高い地方に反転させるための「構想」と「施策」が必要です。
 

 国も「地方創生」を第一の政策に掲げるようになりました。いよいよ地方の力が国を支える時代、福井の「ふるさと力」が問われる時代に入りました。
 私たちは今、福井県民の「つながりの力」により築き上げた豊かで潤いのある「生活の質」をさらに高め、次の世代に責任を持って引き継いでいかなければなりません。福井から新しい日本の活力の形を示す時です。
 

 そして、いよいよ4年後に近づいた福井国体の成功と、その2年後の東京オリンピックへの参加は、県民の元気を結集する貴重なチャンスといえます。
 今こそ福井県が持つ「ふるさと力」を存分に発揮して、これまでの成果と経験をもとに、県政をより大きなスケールで次の新しい段階へ引き上げることが、私に課せられた責務であると考えております。我が福井県を大きく発展できる確固たる次への道筋をつけるため、初心に今一度立ち返って、全身全霊を傾注する決意でございます。
 

 来年春、県民の皆様の御理解と御支援をいただき、元気あふれる日本一のふるさとを目指して、福井の「ふるさと力」の結集に向けて果敢に挑戦していく覚悟でございますので、引き続き県議会の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 

 以上、所信を申し述べたところでございます。ありがとうございます。

 

知事提案理由説明要旨(PDF形式)

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