第404回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2018年11月26日ページID 040053

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                                                                       平成30年11月26日                                                                第404回定例県議会


                       知事提案理由説明要旨


                                               福 井 県

                                            

  

  

   

 

 第404回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および主な施策につきまして、ご説明申し上げます。

 

 最初に、ただいま表彰決議がされました山本正雄議員、山岸猛夫議員、中川平一議員、田中敏幸議員、斉藤新緑議員は20年以上、また松井拓夫議員、松田泰典議員、笹岡一彦議員、佐藤正雄議員、田村康夫議員、仲倉典克議員は15年以上、畑孝幸議員には10年以上の長きにわたり、県議会議員として県政発展と県民福祉の向上に寄与されました。その功績はまことに顕著なものがあり、ここに県民を代表して深く感謝の意を表するとともに、心からお祝い申し上げます。今後とも、県政の更なる発展のため、一層ご活躍されますようお願い申し上げます。

 

 まず、「福井しあわせ元気国体・障スポ」について申し上げます。

 両大会は天皇皇后両陛下、皇太子殿下をはじめ、多くの皇室の皆様をお迎えして、去る10月15日、全日程を無事終了することができました。本大会を機に、皇室の皆様方に17市町すべてをご訪問いただき、沿道やご訪問先において多くの県民とご交流いただきましたことは、本県にとりまして大きな喜びと励みになりました。

 また議員各位をはじめ、多くの県民、関係団体やボランティアの皆様のご協力によりまして、しあわせを感じ、元気あふれる大会となりましたこと、この場をお借りしまして、心から感謝申し上げます。

 競技成績については、国体では男女総合優勝(天皇杯)を獲得するとともに、50年前の福井国体でも及ばなかった女子総合優勝(皇后杯)を獲得するという完全優勝を成し遂げました。開催県が優勝するのは3年ぶりであります。さらに障スポにおいても過去最高となる130個のメダルを獲得するほか、5つの大会新記録を樹立しました。

 今回の「チームふくい」の好成績は、選手や監督の皆様などの努力の賜物であることはもちろん、県スポーツ協会、競技団体、県などが競技力向上に努めてきた成果であり、素晴らしい成績と大きな感動を県民にあたえてくれたことに深く敬意を表します。加えて競技会場での観客の大声援も選手を後押しし、まさに福井県が一体となって勝ち得たものと考えております。

 また本大会では、全国で初めて国体と障害者スポーツ大会の融合を掲げ、国体期間中に車いすバスケットボールと車いすテニスを開催いたしました。さらに、障スポのソフトボールやバレーボール、バスケットボール競技では、高校生や社会人チームが練習に参加するとともに、競技会場において多くの観客が選手に声援を送るなど、これまでにないスポーツを通じた新たな交流も生まれました。

 今大会の成功が県民にとりまして、いつまでも記憶に残り、新しいふるさとの発展に資する大きな誇りと力となりますことを確信しております。県としても、福井国体・障スポで培った成果と経験、融合の精神を、競技力の向上やスポーツ交流の推進、障害者スポーツの振興、県民の健康増進など、これからの県勢の更なる発展と元気なふるさとづくりに活かしてまいります。

 

 それでは当面する県政の主要な課題について申し上げます。

 北陸新幹線の整備促進について申し上げます。

 金沢・敦賀間の建設費の増加については、今月28日に開かれる与党プロジェクトチームの会合において、財源確保策について議論される予定であり、2022年度末の敦賀開業の確実な実現に向け、国費の増額など地方の過度の負担を回避するための十分な財政措置をしっかりと求めてまいります。

 新幹線工事については、この秋から来年度にかけて工事の最盛期となるため、建設資材に不足が生じないよう、先月、鉄道・運輸機構と県が生コンの材料となる骨材の増産、機構が運営する生コンプラントの新設など対策をまとめました。これにより必要量を確保できる見通しとなったところであり、県としても引き続き、工事の進捗管理に万全を期してまいります。

 

 敦賀・大阪間については、9月の県建設促進同盟会総会において、関西広域連合の井戸連合長にも参加いただき、敦賀開業後切れ目なく着工し札幌開業より早い全線開業を実現するよう決議しました。今月13日には、北陸・関西の両経済連合会など関係団体とともに、建設財源の早期確保を政府・与党に要請いたしました。また与党内には年内にも建設財源について検討する組織発足の動きもあり、今後も、県議会、市町、経済界、関西との連携を一層強め、財源の確保と大阪までの早期全線開業を強く求めてまいります。

 

 並行在来線については、福井・石川両県間の相互乗入れと乗継ぎ割引を行うことを9月に石川県知事と合意しており、2020年中の経営計画策定に向けて、乗入本数や車両数等について沿線市町等と協議を行ってまいります。また北陸本線については、9月15日からIC乗車券「ICOCA(イコカ)」の利用が始まり、県内だけでなく県外から訪れる観光客など、より多くの方にご利用いただけるものと考えております。

 

 次に、原子力行政について申し上げます。

 エネルギー基本計画については、7月に閣議決定されておりますが、原子力の将来像が曖昧なままとなっており、あらゆる課題の一つ一つについて全体性を持って検討を行い、責任ある政策を着実に実行する必要があります。このため今月9日、全国知事会議において安倍総理大臣に対し、強いリーダーシップのもと明確な方向性を示し国民の理解と信頼を得るよう求めたところです。

 

 使用済燃料の中間貯蔵施設の県外立地については、関西電力が年内に具体的な計画地点を示すとしております。今月20日には、使用済燃料対策推進協議会において、世耕経済産業大臣が事業者との連携を強化し、官民を挙げて取組みを積極的に進めたいとの考えを改めて示したところであり、国がリーダーシップをとって進めていく必要があると考えております。

 「もんじゅ」については、原子力機構が8月以降、安全を確認しながら一つひとつ着実に燃料取出し作業を進めております。「もんじゅ」の使用済燃料やナトリウムの県外搬出については、年末までに国から再処理可能な施設や安全な輸送方法等について説明を受けることとしており、引き続き、もんじゅ廃止措置に係る連絡協議会等において国の考え方を確認してまいります。

 また、「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉については、現在、国において炉の仕様や運営体制のあり方等に関する調査を行っております。2022年度からの詳細設計に向け、産業分野への利用など地元の地域振興に役立つものとなるよう国に要請してまいります。

 

 次に、防災対策について申し上げます。

 今月9日、10日に実施した近畿府県合同防災訓練については、近畿2府7県の消防や警察、自衛隊など210の機関から約2,000人と住民約4,000人が参加して行われました。大規模な複合災害への対応として、土砂災害やトンネル崩落からの人命救助を行ったほか、新幹線高架橋での救出救助や陸・海・空路による物資輸送など実践的な訓練を行いました。今後も各機関との協力体制を強化し災害に対する備えを一層充実するとともに、住民の防災に対する意識の更なる向上に努めてまいります。

 

 次に除雪対策について申し上げます。

 今年2月の大雪を受け、先月31日に国が中心となり、福井・石川県境の関係機関が参加した初めての雪害対応合同訓練を実施し、県境除雪の連携確認や立ち往生した車両の救出など本番を想定して行ったところです。また今月12日に県防災会議を開き、除雪機械へのGPS設置や道路状況カメラの増設など大雪に対する対策を、新たに県地域防災計画に盛り込みました。今後は国、高速道路会社、市町、県警、気象台、自衛隊等との連携を強め、大雪に備えて万全を期してまいります。

 

 越前海岸の国道305号については、7月の豪雨により福井市居倉地区において大規模な土砂崩れのため通行止めとなっておりましたが、先月31日に仮設道路を完成させ、冬の観光シーズンに通行できることとなりました。来年度末までに本格的な復旧ができるよう、早急に工事を進めてまいります。

 

 以下、「福井ふるさと元気宣言」に沿って主な施策について申し上げます。

 まず「元気な社会」の人口減少対策についてであります。

 U・Iターンの促進については、本県最大の移住総合イベント「ふくい移住・就職フェア」を昨日、大阪を会場として開催しており、来月16日には東京において行う予定です。今年度は初めて全市町がブースを構え、県内の企業等も昨年度の1.4倍、延べ76社の参加となります。今後も幸福度日本一と評価される福井の暮らしや仕事をPRし、U・Iターンを拡大してまいります。

 

 県立大学については、9月議会において議決いただいた中期目標に基づき、第3期中期計画の策定を進めております。先月20日には本県の漁業にとって大きなテーマである「水産業の未来と増養殖の重要性」についてシンポジウムを開くとともに、今月2日には古生物関連学部の設置を検討する有識者会議を開催するなど、本県の特色を活かした学部・学科の新設・再編の検討を行っております。より魅力ある大学へと発展させることにより、県内の学生に良い進学の場を提供するだけでなく、県外からも熱心な学生を迎え入れたいと考えております。この中期計画案については2月議会においてお示したいと考えております。

 

 次に、医療・福祉について申し上げます。

 緊急医療用のドクターヘリについては、9月28日に関西広域連合と共同運航に関する協定を締結し、翌29日から嶺南地域を対象に運用を始めました。これまでに工事現場における事故等に対する出動があり、迅速な治療につながっております。今後さらに、救急医療体制を強化するため、大野市和泉地区を対象とする共同運航について、岐阜県と協議を進めてまいります。

 

 県民の健康づくりについては、9月にスポーツ庁の鈴木大地長官をお招きして福井駅周辺の歴史スポットを巡る「スニーカービズウオーキング大会」を開き、約500人の県民に参加いただきました。今月19日には、この運動が健康増進に資する優れた施策として評価され、国の主催による第7回「健康寿命をのばそう!アワード」において厚生労働大臣自治体部門優秀賞を受賞し、これを機に、さらに県民の歩く習慣づくりを積極的に応援してまいります。

 

 次に、教育について申し上げます。

 教育委員会制度の発足から今年で70周年を迎えたことを受け、今月7日、県内の教育関係者に出席いただき記念式典を開きました。学力・体力全国トップクラスを維持するなど着実に成果を積み上げてきた本県教育の良さを活かしながら、未来を築く子どもたちがより良い教育を享受できる施策を進めてまいります。

 

 キャリア教育の充実については、各高校において生徒の興味関心を高めるため、高度な専門的知識を用いる授業を行っており、若狭高校が開発した地元産の養殖サバを使用した缶詰が今月12日に高校としては初めてJAXAの宇宙日本食として認証されました。これまで12年間、衛生管理の世界基準を満たすため、生徒と教員が一丸となり取り組んできた成果であります。県では、若狭高校のこうした活動をはじめ、各高校における地域との結びつきを通じた学習を推進し、地域に貢献できる人材を育ててまいります。

 

 次に、環境行政について申し上げます。

 「年縞博物館」については、9月15日の開館以来これまでに、1万7千人の方にご来館いただいており、今月17日からは、年縞研究により分かる気候変動や人類誕生からの道のりをたどる特別企画展「最初の福井人」を開催しております。また来年2月には国内外の年縞研究者が参加する国際シンポジウムを開く予定であり、水月湖年縞の学術的価値をさらに国内外に発信してまいります。

 

 次に、「元気な産業」について申し上げます。

 最近の経済情勢については、国は11月の月例経済報告において「景気は、緩やかに回復している」とし、また日本銀行は11月の北陸の金融経済月報においても、11か月連続で「景気は拡大している」としており、経済の回復基調が継続しております。

 

 「福井経済新戦略」の改定については、先月30日、第1回経済新戦略推進本部会議を開き、AI・IoTの活用や新幹線開業に向けた対策、嶺南地域の新たな振興策等について議論を行いました。引き続き、県内外の有識者との意見交換を行いながら、戦略の見直しを進めてまいります。

 企業誘致については、越前市の大手化学メーカーや敦賀市のフィルム製造会社など、省人化やIoT化に対応した百億円を超える大規模な投資の決定が相次いでおります。今年の誘致実績は新設増設を合わせて33件、投資額は650億円となり、すでに過去最高だった昨年一年間と同水準となっております。さらに今後は人材の確保が重要と考えており、企業の誘致活動と合わせて県内に人を呼び込む施策を積極的に進めてまいります。

 

 企業のAIやIoTの活用については、今月7日に産業情報センターに「ふくいAIビジネス・オープンラボ」を開設いたしました。受付や会話ができるコミュニケーションロボット、画像解析ができるシステムなど最新機器の効果を実感していただくほか、企業への導入を促すためのセミナーの開催や専門家によるアドバイスにより、企業の生産性の向上と新しいビジネスの創出を支援してまいります。

 

 次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 「いちほまれ」については、生産者の日々の適切な管理と優れた技術力により、今年の台風や猛暑においても高い品質を保ち、食味の良いものが生産されました。県ではJAと一体となり、五木ひろしさん出演のテレビCMや店頭での試食・販売などのPRを行っており、その結果、消費者や販売店からの評判も良く、9月の販売開始から約2か月で今年の生産量の3分の1となる約1,050トンを出荷するなど、県内外ともに好調な売れ行きとなっております。

 国体・障スポ期間中には、宿泊施設や各競技会場において、来県した選手や関係者など約3万7千人に「いちほまれ」をふるまい、さらに今月、県内全ての小中学校と特別支援学校の児童・生徒約6万2千人に「いちほまれ」を使った給食を提供いたしました。今後とも、JAと一体となった強力なPRを継続し、日本一のブランド米に育ててまいります。

 

 県が新たに開発した酒米については、名称募集に約2,800件の応募をいただき、福井県酒造組合との協議により、名称を「さかほまれ」と決定いたしました。現在、県食品加工研究所において大吟醸酒用の酵母の開発も進めており、今後、酒どころ・米どころの福井を積極的にPRしてまいります。

 

 林業については、今年の5月に県総合グリーンセンター内に開設した「ふくい林業研修センター」において、林業関係者に対する伐採技術や木造建築に関する講座のほか、特用林産物の生産技術の習得や販売拡大をめざす里山ビジネス塾を開いております。さらに県産材を使った親子DIY講座など一般県民を対象とした体験学習を実施しており、これまでに約4,000人に利用していただいております。今後も人材育成・林業研修の拠点として、新たなビジネスの創出と林業の活性化につなげてまいります。

 

 水産業についてですが、「越前がに」漁の解禁から10日間での漁獲量は昨年比7%増の125トン、漁獲金額にして5億3千万円の水揚げとなっております。極上品質の「越前がに極」も18尾水揚げされ、初競りでは過去2番目に高い42万円の値が付いたところであります。

 この9月にズワイガニとしては全国初となる地理的表示(GI)保護制度の登録を受け、出荷の際にはタグにGIマークを添えて他産地との差別化を図っております。さらに今月から、「越前がに」を使用した新メニューを県内の飲食店19店舗において販売しており、本県トップブランドとして、更なる知名度向上を図ってまいります。

 

 次に、観光とブランド戦略について申し上げます。

 さて3月24日に開幕した「幕末明治福井150年博」については、「幕末明治の福井」という共通テーマのもと、歴史博物館の特別展「幕末維新の激動と福井」をはじめ、県内各地の企画展やイベントなどに約60万人の方が来場されました。坂本龍馬や西郷隆盛の書状など「本物」の歴史資料を通じて、幕末明治期に活躍した福井の先人の生涯やその功績について改めて理解を深めていただく機会となりました。また、大河ドラマの出演俳優等によるトークショーや福井の先人が登場した大河ドラマの特別編集映像の放映など、歴史ファンだけでなく、幅広い層の方々に本県の歴史に対する興味と関心を深めていただきました。この150年博を機に生まれた市町との新たな連携を各分野に活かし、今後のプロモーション等を通じて、本県の誘客拡大につなげてまいります。

 

 恐竜博物館については、特別展「獣脚類」や野外恐竜博物館ツアーなどにより、今年度は昨日までの来館者数が76万人となり、前年度同時期と比べ1割増となっております。年末年始は昨年度に続き、大晦日と元日以外の全ての日を開館し、ふるさと福井に帰省された方を中心に、より多くの方にご覧いただく機会を提供してまいります。

 恐竜博物館の機能拡充については、民間企業との意見交換を行いながら、参画の可能性や民間に委ねる業務内容などの検討を行っております。意見交換を行っている企業の中には、事業の参画に強い関心を示すところもあり、引き続き協議、検討を進め、できるだけ早く方向性をお示ししたいと考えております。

 

 次に、海外との交流拡大について申し上げます。

 本年の外国人宿泊者数については、観光庁の調査において8月までに約5万6千人となり、過去最高であった前年同期と比べて約4割の増加となっております。

 

 先月5日、香港の大型ショッピングセンター店内に福井県アンテナショップを開設し、来月26日までの約3か月間、食品や工芸品など約70品目の県産品を販売するほか、動画の放映により県内観光地を紹介してまいります。

 

 またタイへの販路拡大については、今月14日、県議会や農水産、商工、観光の関係者とともに、初めて食文化提案会や商談会を行いました。現地の日本料理店や輸入業者、旅行会社、メディアなどに対し、「越前がに」や「ふくいサーモン」、越前漆器などの伝統工芸品、体験、さらには四季折々の風景を活かした観光などを直接売り込んでまいりました。今後も福井の魅力を全力でPRし、アジアへの輸出および誘客の拡大を図ってまいります。

 折しも、2025年の大阪万国博覧会の開催が決まりました。関西に近い本県にとりましても、観光をはじめ大きな期待を持てる機会と考えており、市町や関係方面とともに協議してまいりたいと考えております。

 

 次に「元気な県土」について申し上げます。

 中部縦貫自動車道大野油坂道路については、今年度から始まった大野~大野東間の用地取得がすでに8割を超えております。また今月から新たに、新長野トンネル、下山トンネルの掘削が本格的に始まるなど工事が順調に進められております。

 

 敦賀港については、先月10日に開かれた全国港湾知事協議会に出席し、北海道から九州までをカバーする国内物流の拠点として、また太平洋側における大規模災害時のバックアップ拠点として重要な役割を果たしていることなどを訴え、現在整備を進めている鞠山南地区2期整備の早期完成の必要性を国に強く要請しました。

 

 自動走行など地域交通の革新については、先月末からの1か月間、産業技術総合研究所が「永平寺参ろーど」において、自動走行車に地域住民や観光客を乗せて定時運行し、実用化に向けてのニーズ調査を行っております。また今月19日には、公道において一人の遠隔ドライバーが2台の自動走行車を遠隔監視・操作する世界初の実証実験を行いました。県においても、交差点における安全対策の検証を行っており、引き続き永平寺町とともに、自動走行の実用化をめざしてまいります。

 

 最後に、「元気な県政」について申し上げます。

 県庁広場のプロジェクションマッピングについては、国体・障スポの期間中に幸福度日本一と幕末明治福井150年博をテーマとして上映いたしました。あわせて9月20日からは、かつての天守閣・櫓など福井城の歴史を体感できるアプリの配信を開始しており、期間中、福井城址には、目標を大きく上回る約3万5千人が来場しました。今後も本県出身やゆかりの選手たちの応援とあわせ、幸福度日本一など本県の魅力を県内外に発信してまいります。

 

 東京2020オリンピック・パラリンピックが近づいてまいりました。県では市町とともに、事前キャンプ誘致や2020年5月に本県を通過する聖火リレーの準備を進めてまいります。また、体操競技のオリンピック選考会を兼ねる全日本シニア・マスターズ体操競技選手権大会を、来年8月、本県において開催することが決まりました。今後もオリンピック・パラリンピックの機運醸成と県民のスポーツへの関心をさらに高めてまいります。

 

 今回提案いたしました補正予算案については、人事委員会の勧告を受け職員給与の改定等を行うものであり、一般会計の補正規模は4億円、本年度予算額の累計では4,898億円となります。

その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題について申し上げました。なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 最後に、来春の知事選挙につきまして、私の所信を申し上げます。

 私は、平成15年4月に福井県知事に就任して以来、4期15年余、県議会の御協力を得ながら、県民のために全力で「元気な福井をつくる」ことに邁進してまいりました。

 特に、県民の暮らしの質を高める政策に力を注ぎ、また、県民や県議会の皆さんもがんばっていただいたことにより、大きな成果が表れてきております。

 教育面では、本県独自の少人数学級や18年教育の推進により、学力・体力日本一を10年にわたって維持するとともに、子育て応援の面では3人っ子応援プロジェクトの充実等によって全国上位の出生率を保っております。

 雇用の面では、特に企業誘致を強化し、15年間で400件以上の誘致、5,000億円近い投資の呼び込み、8,000人を大きく上回る雇用創出を実現しました。

 女性の活躍も一層進み、共働き率、女性就業率など労働関係の指標はいずれも全国1位を獲得しました。国の白書においてもスウェーデンなど、この分野の先進国を上回る地域として紹介されるに至っております。

 そして、これらが総合的に評価された結果が、「幸福度日本一」の3回連続獲得であり、この評価は当面、大きく揺らぐことはないと考えます。

 

 経済活動や生活の基盤となる高速交通体系の面では、知事就任直後に、赤字がかさむ地方空港の将来を考え、福井空港拡張計画の中止を決断しました。そして新幹線や高速道路の整備促進に政治力や予算を集中させる方向へ大きく舵を切り、県議会の皆さんと何度も何度も各方面へ足を運んだところです。その結果、北陸新幹線については、敦賀までの着工認可を獲得し、さらにその工期についても3年短縮を求め、2022年度末の開業を実現しました。大阪までのルートについても、県民の長年の悲願であった小浜経由に決定しました。今後、大阪までの区間が敦賀開業から切れ目なく着工できるよう、その方向性の決定を急がねばなりません。

 また、若狭さとうみハイウェイは4年前に全線開通し、中部縦貫自動車道も昨年、大野までつながりました。県内主要都市がすべて高速道路で結ばれる時代に入っています。大野から先の大野油坂道路も全線事業化が成り、新幹線敦賀開業と同時期の全線開通を目指しています。

 今まさに、県土を一体化する高速交通ネットワークの完成が目前に迫ってきています。

 

 これからの4年余りは、福井県にとって、将来の県勢発展を左右する、世紀に一度の重大な局面であり、まさに正念場です。

 国体・障スポで得た「県民一丸で努力すれば成し遂げられる」という確信をもとに、今一度、県民の総力を結集し、確かな方向へ着実に、かつ大胆に、前へ進まなければなりません。

 

 もとより、県政の課題は多岐にわたりますが、大きく3つのことを申し上げたいと思います。

 まず、新幹線開業効果を最大化することです。

 これまで、各地域が望む観光・まちづくりを市や町と連携して進め、県内各地に多くの交流拠点を整備しました。これからは国内外への情報発信や大会・会議誘致など、たくさんの人を福井に呼び込む政策へとその重心を移していかなければなりません。

 近年、若者が中心となり、地域の内と外をつなぎ、地域の魅力を再発見するイベントやまちづくり活動が県内各地で始まっています。訪れた国内外の人々との交流をエネルギーに、県民の皆さんご自身がより活動的になり、そうしたおもしろいこと、刺激的なことを次々と生み出す良い循環や文化を育てていくことが必要です。これこそが、福井が目指すべき新しいふるさとの将来像であると考えます。

 多くの人が訪れ、若者が定着する地域となるためには、産業の充実が欠かせません。2030年には、宇宙・航空産業の市場規模は5.5兆円、観光産業は15兆円、健康・医療産業は37兆円にまで成長すると見込まれます。こうした成長分野を地域に取り込むため、中小・小規模企業の新分野進出を力強く応援することが求められます。また、福井のブランドである食を生み出す農林水産業は、県民生活の基礎となるものであり、今や最先端の産業に生まれ変わろうとしています。「農林水産業とともにある福井」を基軸にしながら、食品加工、観光、先端技術など異なる分野と融合させることにより、人を呼び込み、地域の発展に貢献する産業へと大きく展開しなければなりません。

 

 2つ目には、「国体・障スポ」の経験や成果を次に活かすことが重要です。

 国体では、就職支援と組み合わせた「スポジョブ」や、早い段階からのジュニア選手育成等によって、福井に居ながら世界へ挑戦できる選手の育成を実現しました。この経験は、各分野に活かすことができるものです。芸術・文化、科学、産業など他分野に応用し、意欲ある人材が、福井を本拠に持てる才能を十二分に伸ばし、世界で活躍できる福井県を目指すべきと考えます。

 また、障スポでは、ハンディキャップを持った方が存分にその力を発揮しました。人生100年時代に、年齢・性別、障害の有無を問わず、誰もが挑戦を全うできるような社会を実現しなければなりません。

 

 そして3つ目には、少子・高齢化、人口減少が進む中で県民の健康と暮らしの安全・安心を守ることです。

 災害が多発し、大規模化する時代において、豪雪や豪雨に強い道路や河川等のインフラ改良をさらに進めていく必要があります。また、情報収集や情報伝達手段の複線化、全国に誇る住民防災組織の一層の充実、資機材・必需品の備蓄など、県民と一緒になって、平時からの防災・減災対策をこれまで以上に万全に強化していかなければなりません。

 原子力についても、国に対し、将来像の明確化を強く求めるとともに、県民の安全を最優先に、国や事業者の対応を厳正に監視していくことが必要です。

 また、人口が長期的に減少する中にあっても、共働きが多い福井の特徴に応じた保育・教育環境づくり、医療・介護充実のための人材確保や施設整備を進め、安心して働き、子どもを生み育てられる社会を守ることが求められます。加えて、健康長寿県ふくいを継続、発展させていかねばなりません。

ここで何より大切なことは、県内の各市や町が抱える課題の解決と魅力ある地域の発展のために、それぞれが県全体の課題として、ともに協力して取り組み、努力していかねばならないと考えております。

 

 今、私たちを取り巻く社会は、AI等の技術革新や国際情勢の変化により、かつてないスピードで大きく変わろうとしています。

 先を見通しにくい時代に、私自身、広くご意見をいただきながら、これまでの実績と経験を活かし、先頭に立って「ふるさと福井」が進むべき針路を切り拓き、県勢を一段も二段も高いステージへと飛躍させてまいります。このことが、私に課せられた使命であると考えています。

 来年春、県民の皆さまの御支援、御理解をいただけるならば、これからの県民の幸せと県勢のさらなる発展への道筋を確かなものとするため、「ふるさと福井の新時代に向けて」、私自身、全身全霊を捧げる覚悟でございます。

 引き続き、県議会の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 ありがとうございます。



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