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○福井県中小企業振興条例
平成二十一年三月二十四日福井県条例第二十三号
福井県中小企業振興条例を公布する。
福井県中小企業振興条例
福井県の中小企業は、今日まで生産、流通等本県経済の原動力として、経済活動全般にわたって長年重要な役割を果たしてきた。
しかし、近年のグローバル経済の拡大およびそれに伴う競争の激化、人口減少社会の到来による需要の縮小、円および原油原材料価格の乱高下による急激な為替およびコストの変化、世界的な金融不安等により、本県の中小企業は現在極めて厳しい経営環境に置かれている。
このような状況の中、活力と希望のある福井県を築くためには中小企業の自助努力はもとより、中小企業を社会全体で育て、支援していくことが重要である。
ここに、中小企業の振興を県政の重要課題と位置付け、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、中小企業が本県経済において担う役割の重要性にかんがみ、中小企業の振興に関し、基本理念を定めるとともに、県の責務、基本方針等を明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策(以下「中小企業振興施策」という。)を総合的に推進し、もって本県経済の活性化および県民生活の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「中小企業者」とは、中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第一項に規定する中小企業者で、県内に事務所または事業所を有するものをいう。
2 この条例において「中小企業団体」とは、商工会、商工会議所その他中小企業に関する団体をいう。
3 この条例において「国その他の関係機関」とは、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(昭和四十一年法律第九十七号)第二条第二項に規定する国等をいう。
4 この条例において「県民等」とは、県民および県内において事業活動を行う者をいう。
5 この条例において「中小企業者が供給する製品等」とは、中小企業者が供給する物品および役務ならびに行う工事をいう。
(基本理念)
第三条 中小企業の振興は、中小企業者の創意工夫および自主的な努力を促進することを基本として行われなければならない。
2 中小企業の振興は、中小企業者の経営の安定および向上が、雇用の機会の確保および需要の創出その他の県民生活および県内経済の向上に寄与することについて、県、中小企業団体および県民等が理解を深めるとともに、それぞれの立場から中小企業の振興に努め、中小企業者が供給する製品等に対する需要の増進を図ることを旨として、行われなければならない。
3 中小企業の振興は、公正かつ自由な競争を阻害し、または制限するものであってはならない。
4 中小企業の振興は、産業構造、企業規模その他の本県の特性に十分配慮して行われなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念にのっとり、中小企業振興施策を総合的に策定し、および実施するものとする。
2 県は、中小企業振興施策を策定し、および実施するに当たっては、市町、中小企業団体、大学および金融機関と連携して取り組むものとする。
3 県は、国その他の関係機関と協力して効果的な中小企業振興施策の推進を図るとともに、必要に応じて、国その他の関係機関に対し中小企業振興施策の充実および改善を要請するものとする。
4 県は、物品および役務の調達ならびに工事の発注等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大に努めるものとする。
(中小企業者の努力)
第五条 中小企業者は、事業の成長発展を図るため、自主的にその経営の向上および改善を図るよう努めるとともに、中小企業者の社会的責任に配慮し、その活動および中小企業者が供給する製品等が常に安全で安心なものとなるよう努めるものとする。
2 中小企業者は、雇用を通じて地域の振興に資するため、雇用環境の整備に努めるとともに、地域住民と連携して地域社会の発展に努めるものとする。
(県民等の理解と協力)
第六条 県民等は、社会全体で中小企業者を支援するため、この条例の趣旨について理解を深め、中小企業者が供給する製品等に対する需要の増進を図るなど、県が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。
(基本方針)
第七条 県は、第一条に掲げる目的を達成するため、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業振興施策を講ずるものとする。
一 中小企業者の製品開発および販路開拓の支援
二 中小企業者の創業および新たな事業の創出等の促進
三 中小企業者の経営革新の促進および経営基盤の強化
四 中小企業者に対する資金供給の円滑化
五 中小企業者の受注機会の増大
六 中小企業者の知的財産等の活用の促進および産学官との連携
七 国その他の関係機関が認めた技能者等の高度な技術を有する人材の活用による品質の確保
八 中小企業者の事業活動を担う人材の育成および確保
九 中小企業者および中小企業者が供給する製品等に関する情報の提供
十 中小企業者における子育てに適した職場環境の整備促進
(財政上の措置)
第八条 県は、中小企業振興施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(年次報告)
第九条 知事は、毎年、議会に、中小企業の振興について取り組む事項およびその実施状況を報告しなければならない。
(その他)
第十条 知事は、この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項について規則を定めなければならない。
附 則
この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。



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