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○福井県犯罪被害者等支援条例
令和三年三月二十二日福井県条例第六号
福井県犯罪被害者等支援条例を公布する。
福井県犯罪被害者等支援条例
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 基本的施策(第八条―第二十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、ならびに県、県民、事業者および民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策の基本となる事項を定め、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進することにより、犯罪被害者等が受けた被害の早期の回復または軽減および犯罪被害者等の生活の再建を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 犯罪等 犯罪およびこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
二 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者およびその家族または遺族をいう。
三 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、または軽減し、安全で安心して暮らすことができるよう支援するための取組をいう。
四 再被害 犯罪被害者等が当該犯罪等の加害者から再び被害を受けることをいう。
五 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の者による理解または配慮に欠けた言動、インターネット等を通じて行われる誹謗中傷、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調その他の被害をいう。
六 民間支援団体 犯罪被害者等早期援助団体(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和五十五年法律第三十六号)第二十三条第一項に規定する団体をいう。)その他の犯罪被害者等支援を行う民間の団体をいう。
(基本理念)
第三条 犯罪被害者等支援は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
一 犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されること。
二 犯罪被害者等が受けた被害の状況および原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、再被害および二次被害が生じることのないよう十分配慮されること。
三 犯罪被害者等が安全で安心して暮らすことができるよう、必要な支援が途切れることなく提供されること。
四 国、県、市町、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する者による相互の連携および協力の下で行われること。
(県の責務)
第四条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、市町、県民、事業者および民間支援団体との適切な役割分担を踏まえて、地域の実情に応じた犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。
2 県は、市町が犯罪被害者等支援に関する施策を実施するために必要な情報の提供および助言その他の支援を行うものとする。
(県民の責務)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況および犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害を生じさせることのないよう十分配慮するとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況および犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、二次被害を生じさせることのないよう十分配慮するとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、その雇用する犯罪被害者等の就労に関し必要な配慮を行うよう努めるものとする。
(民間支援団体の責務)
第七条 民間支援団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援に関する専門的な知識および経験を活用し、犯罪被害者等支援を行うとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
第二章 基本的施策
(支援計画)
第八条 県は、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進するため、犯罪被害者等支援に関する計画(以下「支援計画」という。)を定めるものとする。
2 支援計画には、犯罪被害者等支援に関する具体的施策その他必要な事項を定めるものとする。
3 県は、支援計画を定めるに当たっては、あらかじめ、県民の意見を反映するために必要な措置を講ずるものとする。
4 県は、支援計画を定め、または変更したときは、これを公表するものとする。
(相談および情報の提供等)
第九条 県は、犯罪被害者等が早期に日常生活または社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供および助言を行い、犯罪被害者等支援に精通している者の紹介その他の必要な施策を講ずるものとする。
(経済的負担の軽減)
第十条 県は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、経済的な助成に関する情報の提供および助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
(保健医療サービスおよび福祉サービスの提供)
第十一条 県は、犯罪被害者等が心理的外傷その他犯罪等により心身に受けた影響から早期に回復し、安心して日常生活を営むことができるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービスおよび福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。
(安全の確保)
第十二条 県は、犯罪被害者等が再被害および二次被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導および助言、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
(居住の安定)
第十三条 県は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図り、ならびに再被害および二次被害を防止するため、県営住宅(福井県営住宅条例(平成九年福井県条例第三号)第二条第一項第一号に規定する県営住宅をいう。)への入居における特別の配慮、一時的な利用のための住居の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(雇用の安定等)
第十四条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るとともに、職場における二次被害を防止するため、事業者が犯罪被害者等の置かれている状況および犯罪被害者等支援の必要性について理解を深め、犯罪被害者等を支えるための職場環境の整備および改善等の犯罪被害者等支援を推進することができるよう、情報の提供、啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。
(保護または捜査の過程における配慮等)
第十五条 県は、犯罪被害者等の保護または犯罪被害者等が受けた被害に係る刑事事件の捜査の過程において、名誉、生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分に配慮し、犯罪被害者等の負担を軽減することができるよう、専門的知識または技能を有する職員の配置、必要な施設の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
(県民の理解の増進)
第十六条 県は、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性および二次被害の防止の重要性等について県民の理解を深めるため、広報、啓発、教育の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
(民間支援団体に対する支援)
第十七条 県は、民間支援団体が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、犯罪被害者等支援に関する情報の提供および助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
(人材の養成)
第十八条 県は、犯罪被害者等支援の充実を図るため、相談、助言、日常生活の支援等の犯罪被害者等支援を担う人材(以下「支援従事者」という。)を養成するための研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
(個人情報の適切な管理)
第十九条 県は、支援従事者に対し、犯罪被害者等およびその関係者の個人情報を適切に管理するよう求めるものとする。
(総合的な支援体制の整備)
第二十条 県は、国、市町、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する者と連携し、および相互に協力して犯罪被害者等支援に関する施策を推進するための総合的な支援体制を整備するものとする。
2 県は、前項の支援体制を整備するに当たっては、犯罪被害者等が国、県、市町、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係する者のいずれに支援を求めた場合においても、必要な支援を途切れることなく受けることができるよう必要な措置を講ずるものとする。
(財政上の措置)
第二十一条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(実施状況の公表)
第二十二条 県は、毎年度、犯罪被害者等支援に関する施策の実施状況を公表するものとする。
附 則
この条例は、令和三年四月一日から施行する。



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