開催日:平成20年6月20日

1 包括的案件

〈報告事項〉

(1)国の平成21年度予算に対する提案および要望事項(案)
 県警察から、本県の施策を国の平成21年度予算の概算要求に反映させる国に対する提案・要望事項について報告があり、本年も6月下旬を目途に知事が関係省庁に対して提案・要望を行うこと及びその中に本県の治安をより一層良くするために盛り込む県警察の提案・要望事項の説明があった。

  【県警察の提案および要望事項】
   @ 来日外国人犯罪組織対策について(可搬式活動拠点撮影装置等の整備)
   A 原発テロの未然防止対策について(監視システムの整備)
各委員から、県警察の提案・要望事項の内容等について確認があるとともに
「いずれの要望事項とも大事なことであるが、要望に対する国からの回答はあるのか。」、「今年は、北海道洞爺湖サミットがあるので、原発テロの未然防止対策については、もう少し早く要求すれば良かったのではないか。」
旨の発言等があり、県警察から
「一般的に国からの回答はない。」、「原発テロの未然防止対策については、昨年も同様に要望している。」
旨の説明があった。委員から
「要望事項の必要性等について良く理解できた。是非、実現することを期待している。」
旨の発言があった。
(2)「体感治安」短期観測調査(第2回目)
 県警察から、第2回目の「体感治安」短期観測調査(治安に関する県民の意識を定期的に調査して『福井治安向上プラン』に基づく県警察の取組効果の検証を行い、今後の治安対策に反映することを目的とするもので、4月21日から5月30日までの40日間に県民1930人に対して実施)の結果報告があり、県民の関心が高いと思われるもので県警察が重点的に取り組んできた施策10項目について、前回の調査結果と比較しながら今後の対策と併せて説明があった。
 今回の調査結果では「街頭における警察官のパトロール」、「地域住民による通学路の見守り活動」、「飲酒運転等、悪質・危険運転者に対する取締り」については概ね良い評価を受けているが「少年の非行防止に向けた警察の取組み」、「性犯罪など女性特有の犯罪に対する相談や捜査」、「暴力団、来日外国人犯罪に対する捜査、取締り」等については、依然として県民は不安を感じていることが明らかになり、同調査結果を今後の県警察の治安対策に反映していく旨の説明があった。
 なお、今後、同調査結果を記者発表後、県警ホームページに掲載するなど広く県民に対して公表する旨の説明があった。
 委員から
「県警は各施策を推進し成果が上がっていると思うが、前回とあまり変化がない結果が出た要因は何だろうか。」「テレビや新聞の報道により、県民の体感治安に大きく影響することもある。また、アンケートを実施する場合にあらかじめデータで説明した上で回答を求めるとかなり結果も変わってくると思う。」
旨の発言があり、県警察から
「1回目と2回目のアンケートは、県民がどう感じているかだけを問うもので、当該回答を選択した理由を求めていないため、このような結果となった要因についてよく見えてこないところがある。次回のアンケートについては、要因が分析できるよう検討を加えていきたい。」
旨の説明があった。委員から
「非常に大事な取組みであり、今後も内容を検討し回を重ねるごとに内容の充実したものにしていただくようお願いしたい。」
旨の発言があった。
(3)犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部改正
 県警察から、本年4月18日に犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律を一部改正する法律が公布され、同年7月1日から施行されることを受けて、同法改正に至るまでの経緯及び主な改正点等について説明があった。

  【主な改正点】
   ○ 法律名の変更
   ○ 障害給付金及び遺族給付金の支給額の拡充
   ○ 重傷病給付金への休業損害を加算
   ○ 給付金の申請期間の緩和
   ○ 民間団体の活動の促進を図るための措置等

 また、地下鉄サリン事件をはじめとするオウム真理教による被害者を救済する目的で、本年6月18日にオウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律が公布されたことなどについて併せて説明があった。
 委員から、犯罪被害者等給付金に関する確認のほか
「民間団体の活動等について伺いたい。」
旨の質疑があり、県警察から
「福井県には『NPO法人 福井被害者支援センター』が設立されているが、同法人の活動内容としては、被害者等に対する援助の必要性に関する広報・啓発活動や犯罪被害者等に関する相談に応ずることなどがある。」、「同法人は、いわゆる公安委員会が指定する『犯罪被害者等早期援助団体』としては、財政面や体制面で要件を満たしていない現状にある。しかし、同法人については、県の予算が計上され、新たに大きな事務所を構えるなど、少しずつ体制を強化している現状にある。今後も、同法人との緊密な連携を図っていくとともに、同法人が『犯罪被害者等早期援助団体』となれるよう支援等をしていきたい。」
旨の説明があった。
(4)取調べの適正化に向けた取組み
 県警察から、本年4月3日に「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」(国家公安委員会規則)が制定(平成21年4月1日に施行)されたことを受けて、いわゆる「取調べ監督制度」(捜査部門以外の警務部門に取調べ監督官を置き取調べ状況を監督することで、警察内部にチェック機能を持たせて自浄機能による取調べの適正化を図る)の概要等について説明があった。
 各委員から、取調べ監督制度の概要等について確認があるとともに
「巡察官や取調べ調査官は、取調べ等で問題が発生した場合に指定するのか。」、「監督と監察との職務分担について伺いたい。」
旨の質疑があり、県警察から
「取調べ調査官等は、監督を担当する部署に所属する者から、本部長が指定することとなる。」、「取調べ監督官等が調査を行う監督対象行為は、それが直ちに懲戒処分の対象となるものばかりではない。取調べにおいて監督対象行為を認めた場合には、まず、捜査主任官をしてこれを中止させたり、業務上の指導を行うこととなる。また、取調べ監督事務は、捜査等への影響等を考慮し、監察や人事と切り離した部署において行うこととしている。」
旨の説明があった。委員から
「取調べの適正化については、捉え方によっては、被疑者にとって大変有利な制度であるが、世の中の流れを見ると取調べを適正にすることが求められており、今後、施設の改修等を含め取組む必要がある。」
旨の発言があった。また、委員から
「取調べの監督制度により、取調べが緩くなり被疑者に有利になるのではないか。」、「取調べ時間の管理の厳格化ということで、1回の取調べ時間等の定めがあるのか。」
旨の質疑があり、県警察から
「今回、犯罪捜査規範が一部改正され、『取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならない』と規定された。また、『被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則』では、1日の取調べが8時間を越える場合等には警察本部長又は警察署長の事前の承認を受けなければならないと規定された。」
旨の説明があった。委員から
「基本的には今までの良心的な取調べ方法と何ら変わらないということか。」
旨の質疑があり、県警察から
「基本的には従来どおりの捜査を行い、その周りを別の所属が監督するということであります。」
旨の説明があった。委員から
「今後とも、取調べの適正化に向けて業務を進められたい。」
旨の発言があった。
(5)暴力団組員の建設会社役員を建設業法違反(虚偽申請)で逮捕
 県警察から、本年6月13日に、本部組織犯罪対策課及び福井南警察署との合同捜査により、暴力団組員の建設会社役員等被疑者2名を建設業法違反(虚偽申請)で逮捕した旨の報告があり、事件概要、捜査経緯等について説明があった。
 また、今後も、平成17年4月に県と締結した合意書に基づき暴力団又は暴力団と密接な関係のある者を公共工事から排除するとともに、暴力団の壊滅又は弱体化を図るための取締りを更に強化する旨の説明があった。
 各委員から事件概要及び暴力団情勢等について確認があるとともに
「暴力団に対する強い姿勢を示していくことが大事なことであるので、これからもよろしくお願いしたい。」
旨の発言があった。
(6)地域警察官の職務質問等による検挙活動状況
 県警察から、本年4月から5月にかけて実施した地域警察官の職務質問等による検挙活動状況について報告があり、本年5月末現在の検挙実績、他県との比較、検挙増加の要因、今後の課題等の説明があった。

【検挙実績】
  ○ 刑法犯303名【対前年比55名増加】うち職務質問による検挙197件
  ○ 特別法犯54名【対前年比15名増加】うち職務質問による検挙35件
【他県との比較】
  ○ 刑法犯の職務質問による検挙件数【対前年比49.2%増加】全国第2位
  ○ 刑法犯の職務質問による検挙人員【対前年比22.1%増加】全国第3位
  ○ 特別法犯の職務質問による検挙件数【対前年比42.1%増加】全国第3位
  ○ 特別法犯の職務質問による検挙人員【対前年比38.5%増加】全国第3位
【検挙増加の要因】
  ○ 本部職質指導係による個別・巡回指導及び徹底した実戦同行指導
  ○ 各署における『見る』、『見逃さない』街頭活動の強化
【今後の課題】
  ○ 若手警察官の早期戦力化
委員から
「検挙実績が向上した要因は、職務質問の実施回数の増加によるものなのか、職質技能が向上したことによるものなのか。」
旨の質疑があり、県警察から
「見える・見せる活動で街頭活動を強化したことにより、職務質問の回数が増加し、検挙件数も増加した。また、いかに犯罪者を見抜けるかという技能向上も一つの要因であると思う。」
旨の説明があった。また、県警察から
「福井は都会と比べて治安が良いので、職務質問による検挙が難しいという良い意味での特徴がある。」
旨の説明があった。委員から
「職務質問を受けることは、善良な市民の立場からすれば、あまり気分の良いものではないと思う。かといって職務質問が控えめになるのでは良くない。是非、リラックスして相手に嫌な気分を与えずに職務質問できる技能を身につけていただきたい。」
旨の発言があった。
(7)「交番のライトアップ」・「ポリス・アイシステム」の整備
 県警察から、県民の「体感治安」の向上を目的に実施している「ポリス・スタンバイ作戦」の新しい施策として「交番のライトアップ」及び「ポリス・アイシステム」を整備する旨の報告があり、施策内容、整備箇所等の説明があった。

【施策内容及び整備箇所】
○ 交番のライトアップ(6警察署8交番)
   交番の位置が分かりづらいとの要望を受け、交番をライトアップして交番を中心とした安全・安心ゾーンの拡大を図る。
○ ホリス・アイシステム(1警察署4交番)
   交番勤務員が不在時にテレビ電話機能を利用して直接本署員と対話できることで迅速的確な対応を図る。
 委員から、施策内容等について確認があるとともに
「一般住宅のライトアップを図っているおり、交番のライトアップを図ることも必要なことであると思う。また、ポリス・アイシステムについては、予算の問題もあると思うが、今後、使用頻度等を考慮しながら整備願いたい。」
旨の発言があった。
(8)臨時公安委員会の招集要請
 警察本部長から、本年6月8日に東京都内の秋葉原で発生した無差別殺人事件を受けて、今後の刃物使用犯罪等を防止するための方向性を審議する臨時公安委員会の招集要請があり、6月23日に臨時会議を開催することを決定した。

2 運転免許の処分関係

 本日(6月20日)実施した道路交通法違反に関する意見の聴取の実施結果と処分内容に関する説明を受け、原案のとおりこれを決定した。

3 個別決裁

(1)警察本部長に対する情報公開請求の決定等について
 警察本部長に対する情報公開請求(6月5日、6月10日付け)について、公開決定等の報告があり、これを了承した。
(2)行政手続法に基づく「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」の一部改正に伴う審査基準の作成について
 「犯罪被害者等給付金の支給に関する法律」及び関係法令の改正に伴う、犯罪被害者等給付金の支給裁定審査基準案の報告があり、原案のとおり決裁した。
(3)国の平成21年度予算に対する提案・要望事項について
 本日の包括的案件で報告を受けた国の平成21年度予算に対する提案・要望事項案を決裁した。
(4)福井県留置施設視察委員会委員任命書交付式の開催について
 本年7月11日に福井県留置施設視察委員会委員任命書交付式を開催することを決定した。
(5)行政事件訴訟の控訴状補正書の受理について
 平成20年4月、福井県内在住の男性が福井地方裁判所の運転免許更新処分取消請求訴訟判決(福井県公安委員会勝訴)を不服として名古屋高等裁判所金沢支部へ控訴した行政事件訴訟につき、控訴状補正書を提出したので受理した旨の報告があり、これを了承した。
(6)行政事件訴訟の受理について
 福井県内在住の女性が、平成19年6月に福井県公安委員会が執行した運転免許取消処分を不服として福井地方裁判所へ提訴した旨の報告があり、これを了承した。
(7)風俗営業者に対する行政処分に係る聴聞の実施について
 福井市内の風俗営業に係る行政処分(営業許可停止処分)について、被処分者に対する聴聞を原案のとおり実施することを決裁した。
(8)平成20年第6次交通規制の実施について
 合計58箇所の平成20年第6次交通規制を原案のとおり決裁した。
(9)公安委員会宛苦情及び電子メールの対応について
 福井県公安委員会宛苦情(5月26日付け受理)及び電子メール(6月17日付け受理)の対応について説明を受け、これを決裁した。

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