小山鉄郎氏講演会「白川静に影響を受けた文学者と漢字」の開催

最終更新日 2016年11月21日ページID 033961

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講演会「白川静に影響を受けた文学者と漢字」を開催しました。

■白川静博士没後十年記念講演会「白川静に影響を受けた文学者と漢字」

日 時: 平成28年10月30日(日) 13:30~15:00

場 所: 福井県立図書館 研修室(福井市下馬町51-11)

 中国の古代文字を研究し、壮大な文字学の体系を確立した知の巨人・白川静博士が亡くなられて10年。作家・宮城谷昌光氏をはじめ、多くの文学者が博士に影響を受けて作品を発表しています。

 今回は、共同通信社編集員兼論説委員である小山鉄郎氏を講師にお招きし、文学者とゆかりの文字を通して白川文字学の神髄をご紹介いただきました。

 会場は満席で、参加者の熱気がみなぎっていました。半数の方が県外から来られていました。  

 小山氏は、まず村上春樹氏の長編の『アフターダーク』『1Q84』などに、「取」や「兄」という漢字をめぐる会話が出てくることを指摘。その場面の意味を白川静博士の研究から紹介してくださいました。

 さらに「白川文字学の室」に多くの資料を寄贈された宮城谷昌光氏の出世作『天空の舟 小説・伊尹伝』については伊尹の「尹」の文字が古代中国の聖職者(神に仕える人)を表す文字であることを紹介して、白川静博士の研究を通しての、古代中国への宮城谷氏の理解についてご説明くださいました。

 さらに甲骨文字を創り出した殷の王・武丁を主人公にした短編「沈黙の王」では、武丁の指示で最初に生まれた文字として「白」が描かれていることを紹介して、ここには白川静博士への深い尊敬が表れているのではないかと指摘しました。

 このほか栗田勇氏の『一休 その破戒と風狂』と「狂」、高橋睦郎氏の『遊ぶ日本 神あそぶゆえ人あそぶ』と「遊」、石牟礼道子氏『不知火』と「夔(き)」、李良枝氏『石の聲(こえ)』と「聲」、さらに辻原登氏が漢字と日本語の出合いを通して白川静博士の研究に関心を寄せていることを紹介。各文学者たちへの白川静博士の大きな影響について、具体的に講演されました。  

 参加者からは、「有名な作家の文章に、白川文字学の影響が見られることに驚いた」「今日、教えていただいた作家の文章を全編通して読んでみたい」「ただ小説を読んでいるだけでは気づかないことが分かってよかった」といった声が聞かれました。

 なお、今回のお話の内容である「白川静に影響を受けた文学者」などを含めた小山氏の『白川静入門 真・狂・遊』(平凡社新書)が12月中旬に刊行される予定です。

 

 ★ 福井県ふるさと文学館では現在、 小山氏の監修による「白川静に影響を受けた文学者と漢字展」が開かれています。(平成29年2月22日まで)

小山さん1  小山氏2

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