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○福井県が行う公共事業の施行に伴う損失補償基準
昭和40年2月10日福井県訓令第2号
庁中一般
各出先機関
〔福井県の行なう公共事業の施行に伴う損失補償基準〕を次のように定める。
福井県が行う公共事業の施行に伴う損失補償基準
題名改正〔平成11年訓令3号〕
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 土地等の取得に係る補償
第1節 土地の取得に係る補償(第8条―第10条)
第2節 土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償(第11条―第14条)
第3節 建物、土石砂れき、漁業権等の取得または消滅に係る補償(第15条―第23条)
第3章 土地等の使用に係る補償(第24条―第27条)
第4章 土地等の取得または土地等の使用により通常生ずる損失の補償
第1節 移転料等(第28条―第37条)
第2節 立木補償(第38条―第42条の2)
第3節 営業補償(第43条―第45条)
第4節 農業補償(第46条―第49条)
第5節 漁業権等の消滅または制限により通常生ずる損失の補償(第50条―第52条)
第6節 残地等に関する損失等の補償(第53条―第54条の2)
第7節 その他通常生ずる損失の補償(第55条―第59条)
第5章 土地等の取得または土地等の使用に伴うその他の措置(第60条―第62条)
第6章 事業の認定を受けた起業地に係る補償(第63条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この訓令は、福井県が行う公共事業(以下「事業」という。)に必要な土地等の取得または土地等の使用に伴う損失の補償の基準を定め、もつて事業の円滑な遂行と損失の適正な補償の確保を図ることを目的とする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(定義)
第2条 この訓令において「土地等」とは、土地、土地収用法(昭和26年法律第219号)第5条に規定する権利(社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益を含む。以下「権利」という。)、第6条の立木、建物その他土地に定着する物件(以下「物件」という。)および同法第7条の土石砂れき(以下「土石砂れき」という。)をいう。
2 この訓令において「土地等の取得」とは、土地、物件および土石砂れきの取得ならびに権利の消滅をいう。
3 この訓令において「土地等の使用」とは、土地および物件の使用ならびに権利の制限をいう。
4 この訓令において「土地等の権利者」とは、土地等の取得または土地等の使用に係る土地等に関して権利を有する者、土石砂れきの属する土地に関して権利を有する者および当該土地、当該権利の目的となつている土地または当該土石砂れきの属する土地にある物件に関して権利を有する者をいう。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(補償額の算定の時期)
第3条 土地等の取得または土地等の使用に係る補償額は、契約締結の時の価格によつて算定するものとし、その後の価格の変動による差額については、支払わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(補償を受ける者)
第4条 損失の補償は、第5章に規定する場合を除き、土地等の権利者に対してするものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(個別払いの原則)
第5条 損失の補償は、各人ごとにするものとする。ただし、各人ごとに見積ることが困難であるときは、この限りでない。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(損失補償の方法)
第6条 損失の補償は、原則として、金銭をもつてするものとする。
2 土地等の権利者が金銭に代えて土地または建物の提供、耕地または宅地の造成その他金銭以外の方法による給付を要求した場合において、その要求が相当であり、かつ、真にやむを得ないものであると認められるときは、事情の許す限り、これらの給付を行うよう努めるものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(特殊な土地等に対する損失補償)
第7条 文化財保護法(昭和25年法律第214号)等により指定された特殊な土地等に係る土地等の取得または土地等の使用の場合において、この訓令の規定によりがたいときは、その実情に応じて適正に補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第2章 土地等の取得に係る補償
第1節 土地の取得に係る補償
(土地の補償額の算定の基本原則)
第8条 取得する土地(土地の附加物を含む。以下同じ。)に対しては、正常な取引価格をもつて補償するものとする。
2 前項の場合において、当該土地に建物その他の物件があるときは、当該物件がないものとしたときの当該土地の正常な取引価格によるものとする。
3 第1項の場合において、土地を取得する事業の施行が予定されることによつて当該土地の取引価格が低下したと認められるときは、当該事業の施行が予定されなかつたときの当該土地の正常な取引価格によるものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号・14年34号〕
(土地の正常な取引価格)
第9条 前条に規定する土地の正常な取引価格は、近傍類地(近傍地および類地を含む。以下同じ。)の取引価格を基準とし、当該近傍類地および取得する土地について、次の各号に掲げる土地の区分に応じ当該各号に定める土地の価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定するものとする。
(1) 宅地 形状、地積等画地の状態、街路の状態、交通施設、公共的施設、商業施設等との接近の程度、供給処理施設等の整備の状態、土地の利用に関する公法上の規制の程度、自然的環境等
(2) 農地 地味、水利、消費地との距離その他の農業立地条件、収益性等
(3) 林地 土質、地勢、消費地との距離、林道等の整備の状態その他の林業立地条件、収益性等
(4) その他の土地 当該土地の種別に応じて必要と認められるもの
2 前項の場合において、基準とすべき近傍類地の取引価格については、取引が行われた事情、時期等に応じて適正な補正を加えるものとする。
3 地代、小作料、借賃等の収益を資本還元した額、土地所有者が当該土地を取得するために支払つた金額および改良または保全のために投じた金額ならびに課税の場合の評価額は、第1項の規定により正常な取引価格を定める場合において、参考とするものとする。
4 第1項の規定により正常な取引価格を定める場合においては、当該土地の通常の利用方法に従つて利用し得るものとして評価するものとし、土地所有者が当該土地に対して有する主観的な価値および土地所有者または特定の第三者がその土地を特別の用途に用いることを前提として生ずる価値は、考慮しないものとする。
一部改正〔昭和45年訓令14号・平成11年3号〕
(地価の公示区域における土地の正常な取引価格の算定の準則)
第9条の2 地価公示法(昭和44年法律第49号)第2条第1項に規定する公示区域内の土地を取得する場合において、前条の規定により当該土地の正常な取引価格を決定するときは、同法第6条の規定により公示された標準地の価格を規準とするものとする。
追加〔昭和45年訓令14号〕、一部改正〔平成11年訓令3号・17年26号〕
(所有権以外の権利の目的となつている土地に対する補償)
第10条 土地に関する所有権以外の権利の目的となつている土地に対しては、当該権利がないものとして前3条の規定により算定した当該土地の正常な取引価格から次節の規定により算定した当該権利の価格を控除した額をもつて補償するものとする。
一部改正〔昭和45年訓令14号・平成11年3号〕
第2節 土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償
(土地に関する所有権以外の権利の補償額の算定の基本原則)
第11条 消滅させる土地に関する所有権以外の権利に対しては、正常な取引価格(一般的に譲渡性のないものについては、土地の正常な取引における当該権利の有無による土地の価格の差額)をもつて補償するものとする。
2 第8条第3項の規定は、前項の規定により正常な取引価格を定める場合について準用する。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(地上権、永小作権および賃借権の正常な取引価額)
第12条 地上権、永小作権または賃借権に係る前条の正常な取引価格は、近傍類地に関する同種の権利の取引価格を基準とし、当該同種の権利の目的となつている土地および消滅させる権利の目的となつている土地の価格ならびに当該同種の権利および消滅させる権利に係る地代、小作料または借賃、権利金、権利の存続期間その他の契約内容、収益性、使用の態様等を総合的に比較考量して算定するものとする。
2 第9条第2項から第4項までの規定は、前項の規定により地上権、永小作権または賃借権の正常な取引価格を定める場合について準用する。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(使用貸借による権利に対する補償)
第13条 使用貸借による権利に対しては、当該権利が賃借権であるものとして前条の規定に準じて算定した正常な取引価格に、当該権利が設定された事情ならびに返還の時期、使用および収益の目的その他の契約内容、使用および収益の状況等を考慮して適正に定めた割合を乗じて得た額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(占有権)
第14条 占有権に対しては、補償しないものとする。
第3節 建物、土石砂れき、漁業権等の取得または消滅に係る補償
(建物等の取得に係る補償の基本原則)
第15条 取得する建物その他の土地に定着する物件(以下「建物等」という。)に対する補償については、第1節に規定する土地の取得に係る補償の例による。
(建物その他の工作物の取得に係る補償)
第16条 近傍同種の建物その他の工作物の取引の事例がない場合においては、前条の規定にかかわらず、取得する建物その他の工作物に対しては、当該建物その他の工作物の推定再建設費を、取得時までの経過年数および維持保存の状況に応じて減価した額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(立木の取得に係る補償)
第17条 近傍同種の立木の取引の事例がない場合においては、第15条の規定にかかわらず、取得する立木に対しては、次に掲げる額をもつて補償するものとする。
(1) 用材林の立木のうち、伐期未到達の立木で市場価格のあるものについては、伐期における当該立木の価格の前価額と当該前価額の算定時から伐期までの純収益(粗収入から経営費(自家労働の評価額を含む。)を控除した額をいう。以下同じ。)の前価合計額との合計額
(2) 用材林の立木のうち、伐期未到達の立木で市場価格のないものについては、第39条第1項第2号イまたはロに掲げる額
(3) 薪炭林の立木の幹および枝条部のうち、伐期未到達の幹および枝条部で、市場価格のあるものについては、伐期における当該幹および枝条部の価格の前価額と当該前価額の算定時から伐期までの純収益の前価合計額との合計額
(4) 薪炭林の立木の幹および枝条部のうち、伐期未到達の幹および枝条部で、市場価格のないものについては、第40条第1項第2号イまたはロに掲げる額
(5) 薪炭林の台木については、第40条第1項第3号に掲げる額
(6) 果樹等の収穫樹については、第41条第2項第1号または第2号に掲げる額
(7) 竹林については、当該竹林の平均年間純収益を資本還元した額
2 事業に必要な場合のほか、次に掲げる場合においては、取得し、または使用する土地に存する立木を併せて取得することができるものとする。
(1) 土砂の流出、土地の崩壊等を防止するため、当該土地を事業の用に供するまでの間、立木を残存させることが適当であると認められるとき。
(2) 土地が事業の用に供されるまでに相当な期間があるため、立木を移植し、または伐採することにより、当該土地の維持管理に相当の費用が必要となると見込まれるとき。
(3) 用材林または薪炭林の立木(天然生林を除く。)であつて、当該立木に通常必要とされる管理が適正に行われていないと認められるとき。
3 前項第3号に掲げる場合に該当するときは、第1項第1号から第5号までに掲げる額を、当該立木の管理の状況に応じて減価した額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号・20年19号〕
(建物等に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償)
第18条 消滅させる建物等に関する所有権以外の権利に対する補償については、前節に規定する土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償の例による。
(土石砂れきの取得に係る補償)
第19条 取得する土石砂れきに対しては、正常な取引価格をもつて補償するものとする。
2 前項の正常な取引価格は、近傍類地に属する土石砂れきの取引価格を基準とし、当該土石砂れきおよび取得する土石砂れきの品質その他一般の取引における価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(漁業権等の消滅に係る補償)
第20条 消滅させる漁業権、入漁権その他漁業に関する権利(以下「漁業権等」という。)に対しては、当該漁業権等を行使することによつて得られる平年の純収益を資本還元した額を基準とし、当該漁業権等に係る水産資源の将来性等を考慮して算定した額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(鉱業権等の消滅に係る補償)
第21条 消滅させる鉱業権、租鉱権または採石権(以下「鉱業権等」という。)に対しては、正常な取引価格をもつて補償するものとする。
2 近傍同種の鉱業権等の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、消滅させる鉱業権等に対しては、当該鉱業権等の態様および収益性、当該鉱業権等の取得に関して要した費用等を考慮して算定した額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(温泉利用権の消滅に係る補償)
第22条 消滅させる温泉利用権に対しては、正常な取引価格をもつて補償するものとする。
2 近傍類似の温泉利用権の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、消滅させる温泉利用権に対しては、次に掲げる額をもつて補償するものとする。
(1) 源泉に関する権利については、固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)に定める鉱泉地の基本価額に同告示に定める温泉地指数およびゆう出量指数をそれぞれ乗じて得た価額を基準とし、当該鉱泉地の立地条件等を考慮して適正に算定した額。ただし、分湯している場合においては、当該算定額から次号に掲げる額を控除するものとする。
(2) 分湯された権利については、前号の規定による評価額を基準として分湯量の割合および分湯条件等を考慮して適正に算定した額
(3) 未利用の温泉利用権であつて、将来利用される見込みがあり、かつ、その収益が不確定なものについては、その温泉利用権に関し投下された適正な費用を現価に換算した額
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(水を利用する権利等の消滅に係る補償)
第23条 消滅させる河川の敷地または流水、海水その他の水を利用する権利に対しては、当該権利の態様および収益性、当該権利の取得に関して要した費用等を考慮して適正に算定した額をもつて補償するものとする。
第4節 土地等の使用に係る補償
(土地の使用に係る補償)
第24条 使用する土地(空間または地下のみを使用する場合における当該土地を除く。以下この条において同じ。)に対しては、正常な地代または借賃をもつて補償するものとする。
2 第8条第3項の規定は、前項の規定により正常な地代または借賃を定める場合について準用する。
3 第1項の正常な地代または借賃は、使用する土地および近傍類地の地代または借賃に、これらの土地の使用に関する契約が締結された事情、時期等および権利の設定の対価を支払つている場合においてはその額を考慮して適正な補正を加えた額を基準とし、これらの土地の第9条の規定により算定した正常な取引価格、収益性、使用の態様等を総合的に比較考量して算定するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(空間または地下の使用に係る補償)
第25条 空間または地下の使用に対しては、前条の規定により算定した正常な地代または借賃に、土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合を乗じて得た額をもつて補償するものとする。
2 前項の場合において、当該空間または地下の使用が長期にわたるときは、同項の規定にかかわらず、第9条の規定により算定した当該土地の正常な取引価格に相当する額に、当該土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合を乗じて得た額を補償の一時払いとすることができるものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(土地の使用に代わる取得)
第25条の2 土地を使用しようとする場合(空間または地下を使用しようとする場合で、当該土地の通常の用法を妨げないときを除く。)において、土地所有者から土地の取得を請求され、次の各号のいずれかに該当し、かつ、やむを得ないものであると認められるときは、当該土地を取得することができるものとする。
(1) 土地の使用が3年以上にわたるとき。
(2) 土地の所有者が所有し、かつ、自ら使用している建物が事業のために使用しようとする土地にある場合において、当該所有者が仮住居もしくは仮営業所において生活もしくは営業をすること、または事業のための使用の終了後に当該土地において生活もしくは営業をすることが困難である事情が存すると認められるとき。
2 土地を使用しようとする場合において、第24条の規定により算定した正常な地代または借賃の額および当該土地の使用に伴い通常生ずる損失の補償額(第58条の規定により算定した補償額を含む。)の合計額が当該土地を取得した場合の補償額およびこれに伴い通常生ずる補償額の合計額を超えるときは、当該土地を取得することができるものとする。
追加〔平成11年訓令3号〕、一部改正〔平成14年訓令34号〕
(建物等の使用に係る補償)
第26条 使用する建物等に関する補償については、第24条に規定する土地の使用に係る補償の例による。
(権利の制限に係る補償)
第27条 第20条から第23条までに規定する権利の制限に対しては、当該権利が消滅するものとしてそれぞれこれらの規定により算定した額に当該権利の制限の内容等を考慮して適正に定めた割合を乗じて得た額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第4章 土地等の取得または土地等の使用により通常生ずる損失の補償
第1節 移転料等
(建物等の移転料)
第28条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地等に建物等(立木を除く。以下この条から第30条までおよび第42条の2において同じ。)で、取得せず、または使用しないものがあるときは、当該建物等を通常妥当と認められる移転先に通常妥当と認められる移転方法によつて移転するのに要する費用を補償するものとする。この場合において、当該土地等の取得または土地等の使用により建物等が分割されることとなり、その全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、当該建物等の所有者の請求により、当該建物等の全部を移転するのに要する費用を補償するものとする。
2 建物等の移転に伴い木造の建築物に代えて耐火建築物を建築する等の建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令の規定に基づき必要となる既設の施設の改善に要する費用は、補償しないものとする。ただし、当該法令の規定に基づき改善が必要となる時期以前に当該既設の施設の改善を行うこととなつたときは、これにより通常生ずる損失を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(移転が困難な場合の建物等の取得)
第29条 建物等を移転することが著しく困難であるとき、または建物等を移転することによつて従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、当該建物等の所有者の請求により、当該建物等を取得するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(区分所有建物の取得等)
第29条の2 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)の適用を受ける建物(以下この条において「区分所有建物」という。)で移転することが困難であるものがあるときは、当該区分所有建物に係る区分所有者の請求により、当該区分所有建物に係る区分所有権、共用部分の持分および敷地利用権(次項において「区分所有権等」という。)を取得することができるものとする。
2 前項の規定により区分所有権等を取得する場合における区分所有建物が所在する土地の正常な取引価格については、第8条第2項の規定にかかわらず、当該区分所有建物があるものとしたときの当該土地の正常な取引価格によるものとし、敷地利用権たる所有権以外の権利の正常な取引価格の算定については、第2章第2節に規定する土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償の例によるものとする。
3 区分所有権の全部を取得する場合においては、規約により区分所有建物の敷地とされているすべての土地に係る敷地利用権を取得するものとする。
追加〔平成11年訓令3号〕
(移転料が多額の場合の建物等の取得)
第30条 建物等を移転させるものとして第28条の規定により算定した補償額が第15条の規定により算定した当該建物等の価格を超えるときは、当該建物等を取得することができるものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(動産の移転料)
第31条 土地等の取得または土地等の使用に伴い移転する動産に対する補償については、第28条第1項前段に規定する建物等の移転に係る補償の例による。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(仮住居等に要する費用)
第32条 土地等の取得もしくは土地等の使用に係る土地にある建物または取得し、もしくは使用する建物に現に居住する者がある場合において、その者が仮住居を必要とするものと認められるときは、仮住居を新たに確保し、かつ、使用するのに通常要する費用を補償するものとする。
2 土地等の取得または土地等の使用に伴い移転する動産を他に一時保管する必要があると認められるときは、その保管に通常要する費用を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号・14年34号〕
(家賃の減収補償)
第33条 建物の全部または一部を賃貸している者が土地等の取得または土地等の使用に伴い当該建物を移転することにより移転期間中賃貸料を得ることができないと認められるときは、当該移転期間に応ずる賃貸料相当額から当該期間中の管理費相当額および修繕費相当額を控除した額を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(借家人に対する補償)
第34条 建物の全部または一部を現に賃借している者がある場合において、土地等の取得または土地等の使用に伴い当該賃借を継続することが困難となると認められるときは、その者が新たに当該建物に相当する他の建物の全部または一部を賃借するために通常要する費用を補償するものとする。
2 前項の場合において、従前の建物の全部または一部の賃借料が新たに賃借する建物の全部または一部について通常支払われる賃借料相当額に比し低額であると認められるときは、賃借の事情を総合的に考慮して適正に算定した額を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(改葬の補償)
第35条 土地等の取得または土地等の使用に伴い墳墓について改葬を行うときは、改葬に通常要する費用を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(祭し料)
第36条 土地等の取得または土地等の使用に伴い神社、仏閣、教会等の宗教上の施設を移転し、または墳墓について改葬を行うときは、移転または改葬に伴う供養、祭礼等の宗教上の儀式に通常要する費用を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(移転雑費)
第37条 土地等の取得または土地等の使用に伴い建物等を移転する場合または従来の利用目的に供するために必要と認められる代替の土地等(以下「代替地等」という。)を取得し、もしくは使用する場合において、移転先または代替地等の選定に要する費用、法令上の手続に要する費用、転居通知費、移転旅費その他の雑費を必要とするときは、これらに通常要する費用を補償するものとする。
2 前項の場合において、当該建物等の所有者および借家人または当該代替地等を必要とする者が就業できないときは、第44条、第47条または第51条に規定する場合を除き、これらの者が就業できないことにより通常生ずる損失を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第2節 立木補償
(立木の移植補償)
第38条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に立木がある場合において、これを移植することが相当であると認められるときは、堀起し、運搬、植付け等の移植に通常必要とする費用および移植に伴う枯損等により通常生ずる損失(収獲樹にあつては、移植に伴う減収による損失を含む。)を補償するものとする。
(用材林の伐採補償等)
第39条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に用材林の立木がある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 伐期未到達の立木で市場価格のあるものについては、伐期における当該立木の価格の前価額と当該前価額の算定時から伐期までの純収益の前価合計額との合計額から当該立木の現在価格を控除した額
(2) 伐期未到達の立木で市場価格のないものについては、伐採除却に通常要する費用相当額とそれぞれ次に掲げる額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額
イ 人工林については、現在までに要した経費の後価合計額から現在までの収益の後価合計額を控除した額
ロ 天然生林については、伐期における当該立木の価格の前価額
2 通常妥当と認められる伐採方法、伐採時期等を選定できないことによつて伐採搬出に要する費用が増加し、または木材価格が低下すると認められるときは、当該増加額または当該低下額に相当する額をもつて補償するものとする。
3 伐期未到達立木で市場価格のあるものが次の各号のいずれかに該当し、かつ、やむを得ないものであると認められるときは、第1項の規定にかかわらず、当該立木を取得することができるものとする。
(1) 人工林については、伐期における当該立木の価格の前価額と当該前価額の算定時から伐期までの純収益の前価合計額との合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額と第1項第2号イに掲げる額との合計額を下回るとき。
(2) 天然生林については、現在から伐期までの純収益の前価合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額を下回るとき。
4 前項の場合においては、第1項第2号イまたはロに掲げる額を補償するものとする。ただし、伐期における当該立木の価格から伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
5 第3項の場合であつて、かつ、第17条第2項第3号に掲げる場合に該当するときは、第1項第2号イに掲げる額を、当該立木の管理の状況に応じて減価した額をもつて補償するものとする。ただし、当該立木の現在価格から伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号・20年19号〕
(薪炭林の伐採補償等)
第40条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に薪炭林の立木がある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 伐期未到達の立木の幹および枝条部で市場価格のあるものについては、伐期における当該幹および枝条部の価格の前価額と当該前価額の算定時から伐期までの純収益の前価合計額との合計額から当該幹および枝条部の現在価格を控除した額
(2) 伐期未到達の立木の幹および枝条部で市場価格のないものについては、伐採除却に通常要する費用相当額とそれぞれ次に掲げる額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額
イ 人工林については、現在までに要した経費の後価合計額から現在までの収益の後価合計額を控除した額
ロ 天然生林については、伐期における当該幹および枝条部の価格の前価額
(3) 薪炭林の台木については、将来の各伐期における純収益の前価合計額
2 薪炭林の立木を伐採する場合においては、前条第2項の規定を準用する。
3 伐期未到達立木で市場価格のあるものが次の各号のいずれかに該当し、かつ、やむを得ないものであると認められるときは、第1項の規定にかかわらず、当該立木を取得することができるものとする。
(1) 人工林については、伐期における当該立木の幹および枝条部の価格の前価額、当該前価額の算定時から伐期までの純収益の前価合計額ならびに第1項第3号に掲げる額の合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額と同項第2号イに掲げる額との合計額を下回るとき。
(2) 天然生林については、現在から伐期までの純収益の前価合計額と第1項第3号に掲げる額との合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額を下回るとき。
4 前項の場合においては、第1項第2号イまたはロに掲げる額と同項第3号に掲げる額との合計額を補償するものとする。ただし、伐期における当該立木の幹および枝条部の価格と同号に掲げる額との合計額から伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
5 第3項の場合であつて、かつ、第17条第2項第3号に掲げる場合に該当するときは、第1項第2号イに掲げる額と同項第3号に掲げる額との合計額を、当該立木の管理の状況に応じて減価した額をもつて補償するものとする。ただし、当該立木の幹および枝条部の現在価格と同号に掲げる額との合計額から伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号・20年19号〕
(果樹等の収獲樹の伐採補償)
第41条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に果樹等の収穫樹がある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、当該果樹等の収穫樹の正常な取引価格と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
2 近傍同種の果樹等の収獲樹の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、果樹等の伐採については、伐採除却に要する費用相当額と次の各号のいずれかに掲げる額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
(1) 未収益樹については、現在までに要した経費の後価合計額
(2) 収益樹については、残存効用年数に対する純収益の前価合計額
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(竹林の補償)
第42条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に竹林がある場合において、これを移植することが相当であると認められるときは、第38条の規定に準じて算定した額を補償するものとする。
2 前項の場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、当該竹林の正常な取引価格と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
3 近傍同種の竹林の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、当該竹林の平均年間純収益を資本還元した額と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(庭木等の補償)
第42条の2 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に観賞上の価値または防風、防雪その他の効用があると認められる立木(以下「庭木等」という。)がある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、当該庭木等の正常な取引価格と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生する材料の価格を控除した額を補償するものとする。
2 土地等の取得または土地等の使用に伴い残地(同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を取得し、または使用することによつて生ずる残地をいい、同一の権利者に属する一体として同一目的に供している権利の一部を消滅させ、または制限することによつて生ずる残存する権利の目的となる土地および同一の土地所有者に属する土石砂れきの一部を取得することによつて生ずる当該土石砂れきの属する土地の残地を含む。)に庭木等が存することとなる場合において、建物等を移転することに伴い当該庭木等を移転することが相当であると認められるときは、当該庭木等の移転に要する費用を補償するものとする。
追加〔平成11年訓令3号〕
第3節 営業補償
(営業廃止の補償)
第43条 土地等の取得または土地等の使用に伴い通常営業の継続が不能となると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 免許を受けた営業等の営業の権利等が資産から独立して取引きされる慣習があるものについては、その正常な取引価格
(2) 機械器具等の資産、商品、仕掛品等の売却損その他資本に関して通常生ずる損失額
(3) 従業員を解雇するため必要となる解雇予告手当相当額、転業が相当と認められる場合において従業員を継続して雇用する必要があるときにおける当該転業に通常必要とする期間中の休業手当相当額その他労働に関して通常生ずる損失額
(4) 転業に通常必要とする期間中の従前の収益相当額(個人営業の場合においては、従前の所得相当額)
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし、事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(営業休止の補償)
第44条 土地等の取得または土地等の使用に伴い通常営業を一時休止する必要があると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 通常休業を必要とする期間中の営業用資産に対する公租公課等の固定的な経費および従業員に対する休業手当相当額
(2) 通常休業を必要とする期間中の収益減少相当額(個人営業の場合においては、所得減少相当額)
(3) 休業することにより、または店舗等の位置を変更することにより、一時的に得意先を喪失することによつて通常生ずる損失額(前号に掲げるものを除く。)
(4) 店舗等の移転の際における商品、仕掛品等の減損、移転広告費その他店舗等の移転に伴い通常生ずる損失額
2 営業を休止することなく仮営業所を設置して営業を継続することが必要かつ相当であると認められるときは、仮営業所の設置の費用、仮営業であるための収益減少相当額(個人営業の場合においては、所得減少相当額)等ならびに前項第3号および第4号に掲げる額を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(営業規模縮小の補償)
第45条 土地等の取得または土地等の使用に伴い通常営業の規模を縮小しなければならないと認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 営業の規模の縮小に伴う固定資産の売却損、解雇予告手当相当額その他資本および労働力の過剰遊休化により通常生ずる損失額
(2) 営業の規模の縮小に伴い経営効率が客観的に低下すると認められるときは、これにより通常生ずる損失額
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし、事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第4節 農業補償
(農業廃止の補償)
第46条 土地等の取得または土地等の使用に伴い通常農業の継続が不能となると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 農具等の売却損その他資本に関して通常生ずる損失額および解雇予告手当相当額その他労働力に関して通常生ずる損失額
(2) 転業に通常必要とする期間中の従前の所得相当額(法人経営の場合においては、従前の収益相当額)
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし、事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(農業休止の補償)
第47条 土地等の取得または土地等の使用に伴い通常農業を一時休止する必要があると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 農地を再取得するために通常必要とする期間中の固定的な経費等
(2) 農地を再取得するために通常必要とする期間中の所得減少相当額(法人経営の場合においては、収益減少相当額)
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(農業の経営規模縮小の補償)
第48条 土地等の取得または土地等の使用に伴い通常農業の経営規模を縮小しなければならないと認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 農業の経営規模の縮小に伴う資本および労働力の過剰遊休化により通常生ずる損失額
(2) 農業の経営規模の縮小に伴い経営効率が客観的に低下すると認められるときは、これにより通常生ずる損失額
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし、事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(農業補償の特例)
第49条 前3条の場合において、現に宅地化が予想される農地等に関して前3条の規定による農業補償に相当するものの全部または一部の額が土地等の正常な取引価格に含まれていると認められるときは、前3条の規定にかかわらず、当該額を前3条に規定する額から控除した額をもつて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第5節 漁業権等の消滅または制限により通常生ずる損失の補償
(漁業廃止の補償)
第50条 漁業権等の消滅または制限に伴い通常漁業の継続が不能となると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 漁具等の売却損その他資本に関して通常生ずる損失額および解雇予告手当相当額その他労働力に関して通常生ずる損失額
(2) 転業に通常必要とする期間中の従前の所得相当額(法人経営の場合においては、従前の収益相当額)
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては、第62条の規定による離職者補償を行うものとし、事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(漁業休止の補償)
第51条 漁業権等の消滅または制限に伴い通常漁業を一時休止する必要があると認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 通常漁業を休止することを必要とする期間中の固定的な経費等
(2) 通常漁業を休止することを必要とする期間中の所得減少相当額(法人経営の場合においては、収益減少相当額)
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(漁業の経営規模縮小の補償)
第52条 漁業権等の消滅または制限に伴い通常漁業の経営規模を縮小しなければならないと認められるときは、次に掲げる額を補償するものとする。
(1) 漁業の経営規模の縮小に伴う資本および労働力の過剰遊休化により通常生ずる損失額
(2) 漁業の経営規模の縮小に伴い経営効率が客観的に低下すると認められるときは、これにより通常生ずる損失額
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし、事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第6節 残地等に関する損失等の補償
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(残地等に関する損失の補償)
第53条 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部もしくは同一の物件の所有者に属する一団の物件の一部を取得し、もしくは使用し、同一の権利者に属する一体として同一目的に供している権利の一部を消滅させ、もしくは制限し、または同一の土地所有者に属する一団の土地に属する土石砂れきの一部を取得することによつて残地、残存する物件、残存する権利または当該土石砂れきの属する土地の残地に関して、価格の低下、利用価値の減少等の損失が生ずるときは、これらの損失額を補償するものとする。ただし、事業の施行により生ずる日陰、臭気、騒音その他これらに類するものによる不利益または損失については、補償しないものとする。
(残地等に関する工事費の補償)
第54条 前条本文の場合において、残地、残存する物件の存する土地、残存する権利の目的となつている土地、当該土石砂れきの属する土地の残地(以下第60条において「残地等」という。)、残存する物件または残存する権利の目的となつている物件に関して道路、溝、垣、柵その他の工作物の新築、改築、増築もしくは修繕または盛土もしくは切土(次条第2項において「残地工事」という。)をする必要が生ずるときは、これに通常要する費用を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(残地の取得)
第54条の2 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部の取得に伴い当該土地所有者から残地の取得を請求された場合において、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該残地を取得することができるものとする。
(1) 当該残地が利用価値の著しい減少等により従来利用していた目的に供することが著しく困難になると認められるとき。
(2) 当該残地を取得しないことが土地所有者の生活再建上支障となると認められるとき。
2 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部の取得に伴い残地について残地工事をする必要が生ずる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該残地を取得することができるものとする。
(1) 前2条の規定により算定した補償額の合計額が当該残地を取得する場合の価額およびこれに伴い通常生ずる損失の補償額の合計額を超えるとき。
(2) 取得する土地に存する建物を残地に移転させるものとして算定した補償額が当該残地を取得する場合の価額およびこれに伴い通常生ずる損失の補償額の合計額を超えるとき。
3 前2項の規定は、残地が所有権以外の権利の目的となつている場合においては、原則として、適用しないものとする。
4 第1項または第2項の規定により残地を取得する場合の当該残地の価格の算定については、事業に必要な土地に係る補償の例による。
追加〔平成11年訓令3号〕、一部改正〔平成14年訓令34号〕
第7節 その他通常生ずる損失の補償
(立毛補償)
第55条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地に農作物の立毛があるときは、当該立毛の粗収入見込額から当該土地の引渡時以後に通常投下される農業経営費(自家労働の評価額を含む。)を控除した額を補償するものとする。この場合において、当該立毛に市場価格があるときは、当該立毛の現在の処分価格を控除するものとする。
2 前項の土地に農作物を作付けするため既に費用を投下したときは、当該費用を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(養殖物補償)
第56条 土地等の取得または土地等の使用に伴い藻類、魚介類等の養殖物を他に移殖することが相当であると認められるときは、その移殖に要する経費と移殖に伴う減収予想額との合計額を補償するものとする。
2 土地等の取得または土地等の使用に伴い養殖物を移殖することが困難または不可能なときは、前条の規定に準じて補償するものとする。
(特産物補償)
第57条 土地等の取得または土地等の使用に伴い松たけ、しいたけ等の特産物を移殖することが困難または不可能なときは、当該特産物を収獲することによつて得られる平年の純収益を資本還元した額を補償するものとする。
2 土地等の取得または土地等の使用に伴い特産物を移殖することが相当であると認められるときは、前条第1項の規定に準じて補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(土地等の返還に伴う補償)
第58条 使用する土地等を返還する場合において、当該土地等を原状に回復することが必要と認められるときは、当該土地等の原状回復に通常要する費用相当額および当該土地等の原状回復に通常必要な期間中の地代または借賃相当額の範囲内で通常生ずる損失額を補償するものとする。
2 使用する土地等を原状に回復することが困難な場合において、当該土地等を返還時の現状のまま引き渡すときは、当該土地等の形質変更、改造等によつて生ずる損失を適正に算定した額を補償するものとする。
3 第1項の規定による補償額または前項の規定による補償額は、当該土地等を取得するものとして算定した当該土地等の価格を超えないものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(造成費用の補償)
第58条の2 土地等の取得または土地等の使用に伴い建物等を移転する必要がある場合において、急しゆんな地形等の制約、生業の状況等の事情を総合的に勘案して、周辺の類似する地域において傾斜地等を宅地として造成することにより建物等の移転先を確保しなければ生活の再建を図ることが著しく困難であると認められるときは、当該移転先の造成に要する費用の全部または一部を補償するものとする。
追加〔平成11年訓令3号〕
(その他通常生ずる損失の補償)
第59条 この節および前6節に規定するもののほか、土地等の取得または土地等の使用によつて土地等の権利者について通常生ずる損失は、これを補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第5章 土地等の取得または土地等の使用に伴うその他の措置
(隣接土地に関する工事費の補償)
第60条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地を事業の用に供することにより当該土地、当該物件の存する土地、当該権利の目的となつている土地および当該土石砂れきの属する土地ならびに残地等以外の土地に関して通路、溝、垣、柵その他の工作物の新築、改築、増築もしくは修繕または盛土もしくは切土をする必要があると認められるときは、これらの工事をすることを必要とする者に対して、その者の請求により、社会通念上妥当と認められる限度において、これらの工事に要する費用の全部または一部を補償するものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(少数残存者補償)
第61条 土地等の取得または土地等の使用に係る土地を事業の用に供することにより、生活共同体から分離される者が生ずる場合において、これらの者に受忍の限度を超えるような著しい損失が生ずると認められるときは、これらの者に対して、これらの者の請求により、個々の実情に応じて適正と認められる額を補償することができるものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
(離職者補償)
第62条 土地等の取得または土地等の使用に伴い、土地等の権利者に雇用されている者が職を失う場合において、これらの者が再就職するまでの期間中所得を得ることができないと認められるときは、これらの者に対して、これらの者の請求により、再就職に通常必要とする期間中の従前の賃金相当額の範囲内で妥当と認められる額を補償することができるものとする。
一部改正〔平成11年訓令3号〕
第6章 事業の認定を受けた起業地に係る補償
(事業の認定を受けた起業地に係る補償)
第63条 土地収用法第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた起業地に係る土地等で、同法第71条(同条の規定を準用し、またはその例による場合を含む。)の規定により補償すべきものに対しては、第2章から第4章までの規定の例により算定した事業の認定の告示の時における当該土地等の価格に土地収用法第88条の2の細目等を定める政令(平成14年政令第248号)の例により算定した契約締結の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額をもつて補償するものとする。
追加〔昭和45年訓令14号〕、一部改正〔平成11年訓令3号・14年34号〕
附 則
1 この訓令は、昭和40年4月1日から施行する。
2 この訓令施行の際、現に土地等の権利者と補償について協議中のものについては、なお従前の例によることができるものとする。
附 則(昭和45年訓令第14号)
この訓令は、昭和45年8月1日から施行する。
附 則(平成11年訓令第3号)
(施行期日)
1 この訓令は、平成11年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令施行の際現に土地等の権利者と補償等について協議しているものについては、改正後の福井県が行う公共事業の施行に伴う損失補償基準の規定にかかわらず、なお従前の例によることができるものとする。
附 則(平成14年訓令第34号)
(施行期日)
1 この訓令は、平成14年10月4日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令施行の際現に土地等の権利者と補償等について協議しているものについては、改正後の福井県が行う公共事業の施行に伴う損失補償基準の規定にかかわらず、なお従前の例によることができるものとする。
附 則(平成17年訓令第26号)
この訓令は、平成17年4月1日から施行する。
附 則(平成20年訓令第19号)
この訓令は、平成20年9月1日から施行する。



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