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○福井県福祉のまちづくり条例
平成八年十月十四日福井県条例第三十八号
福井県福祉のまちづくり条例を公布する。
福井県福祉のまちづくり条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 福祉のまちづくりに関する施策(第八条―第十三条)
第三章 施設等の整備
第一節 公益的施設の整備(第十四条―第十六条)
第二節 特定施設の整備(第十七条―第二十六条)
第三節 公共車両等の整備(第二十七条)
第四章 雑則(第二十八条)
附則
すべての人が、基本的人権を享有する一人の人間として尊重され、社会を構成する一員としてその能力を発揮し、生きがいをもって生活することができる豊かな地域社会の実現は、わたしたち県民すべての願いである。
こうした社会を実現するためには、障がい者や高齢者などを含むすべての人が、自らの意思で自由に行動し、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加し、交流することができるよう、わたしたち一人一人が、社会連帯の理念に基づいて福祉のまちづくりに取り組み、障がい者や高齢者などの活動を制限している物心両面にわたる障壁を取り除いていくことが必要である。このことは、高齢化社会を迎えた今日の緊急な課題でもある。
ここに、わたしたちは、交流やふれあいを通してお互いを思いやる共生の心をはぐくみ、豊かで住みよい福井をつくるため、自ら進んで福祉のまちづくりに取り組むことを決意して、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、障がい者、高齢者等を含むすべての人が、自らの意思で自由に行動し、社会に参加し、および交流することができる福祉のまちづくりに関し、県、市町、県民および事業者の責務を明らかにするとともに、基本方針を定めてこれに基づく施策を総合的かつ計画的に推進し、もって豊かな福祉社会の実現に資することを目的とする。
一部改正〔平成一七年条例六五号・令和二年一〇号〕
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 障がい者、高齢者等 障がい者(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)その他の心身の機能の障害がある者をいう。)、高齢者その他の者で日常生活または社会生活において身体等の機能上の制限を受けるものをいう。
二 公益的施設 官公庁施設、医療施設、社会福祉施設、商業施設、娯楽施設、文化施設、体育施設、宿泊施設、教育施設、公共交通機関の施設、道路、公園その他の不特定かつ多数の者が利用する施設およびこれに準ずる施設で、規則で定めるものをいう。
三 事業者 公益的施設を設置し、または管理する者をいう。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(県の責務)
第三条 県は、福祉のまちづくりに関し、基本的かつ総合的な施策を推進するものとする。
(市町の責務)
第四条 市町は、その地域の実情に応じた福祉のまちづくりに関する施策を推進するとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
一部改正〔平成一七年条例六五号〕
(県民の責務)
第五条 県民は、福祉のまちづくりについて理解を深め、自ら進んで福祉のまちづくりに積極的に取り組むよう努めるとともに、県および市町が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
一部改正〔平成一七年条例六五号〕
(事業者の責務)
第六条 事業者は、公益的施設について、障がい者、高齢者等が安全かつ円滑に利用することができるように配慮し、および整備に努めるとともに、県および市町が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
一部改正〔平成一七年条例六五号・令和二年一〇号〕
(利用の妨げとなる行為の禁止)
第七条 何人も、障がい者、高齢者等が安全かつ円滑に利用できるよう整備された施設の利用の妨げとなる行為をしてはならない。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
第二章 福祉のまちづくりに関する施策
(施策の基本方針)
第八条 県は、次に掲げる基本方針に基づき、福祉のまちづくりのための施策を推進するものとする。
一 福祉のまちづくりのための生活環境の整備を進めること。
二 すべての県民が、福祉のまちづくりについての理解を深めるとともに、積極的に福祉のまちづくりに取り組むよう、意識の高揚を図ること。
(福井県福祉のまちづくり推進協議会の設置)
第九条 県は、福祉のまちづくりの推進に関する次に掲げる事項について審議するため、福井県福祉のまちづくり推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
一 福祉のまちづくりの推進計画に関する事項
二 前項に掲げるもののほか、福祉のまちづくりの推進に関する事項
2 協議会は、事業者、学識経験者を有する者、障がい者、高齢者等、関係行政機関の職員その他の者をもって組織する。
3 前二項に定めるもののほか、協議会に関し必要な事項は、規則で定める。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(情報の提供等)
第十条 県は、県民および事業者に対し、福祉のまちづくりに関する情報の提供を行うものとする。
2 県は、事業者に対し、福祉のまちづくりに関する技術的指導および助言を行うものとする。
(学習機会の拡充)
第十一条 県は、県民の福祉のまちづくりに関する学習機会の拡充に努めるものとする。
(ボランティア活動の促進)
第十二条 県は、県民の福祉のまちづくりに関するボランティア活動への参加を促進するため、必要な施策の推進に努めるものとする。
(財政上の措置)
第十三条 県は、福祉のまちづくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第三章 施設等の整備
第一節 公益的施設の整備
(公益的施設の整備)
第十四条 事業者は、公益的施設を障がい者、高齢者等が安全かつ円滑に利用することができるようにするための基準(以下「整備基準」という。)に適合させるよう努めなければならない。
2 整備基準は、次に掲げる事項について規則で定める。
一 出入口の構造に関する事項
二 廊下および階段の構造に関する事項
三 エレベーターの設置および構造に関する事項
四 車いすを使用している者が利用できる便所および駐車場に関する事項
五 視覚障害者誘導用ブロックの敷設および案内標示に関する事項
六 歩道および公園の園路の構造に関する事項
七 前各号に掲げるもののほか、障がい者、高齢者等の利用のために整備すべき事項
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(維持保全)
第十五条 事業者は、公益的施設が整備基準に適合しているときは、当該適合している部分の機能を維持するよう努めなければならない。
(適合証の交付)
第十六条 事業者は、公益的施設が整備基準に適合しているときは、規則で定めるところにより、知事に対し、その旨を証する証票(以下「適合証」という。)の交付を請求することができる。
2 知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該公益的施設が整備基準に適合していると認めるときは、規則で定めるところにより、当該事業者に対し、適合証を交付する。
第二節 特定施設の整備
(整備基準の遵守)
第十七条 公益的施設のうち福祉のまちづくりのための生活環境の整備を進める上で重要なものとして規則で定めるもの(以下「特定施設」という。)の新築等(新築、新設、増築、改築、大規模の修繕(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号の大規模の修繕をいう。)、大規模の模様替え(同条第十五号の大規模の模様替えをいう。)または用途の変更(用途の変更により特定施設となる場合に限る。)をいう。以下同じ。)をしようとする者(以下「特定施設設置者」という。)は、当該新築等に係る部分について、整備基準を遵守しなければならない。ただし、敷地の状況、建築物の構造その他やむを得ない理由により整備基準に適合させることが著しく困難であると知事が認めるときは、この限りでない。
(届出)
第十八条 特定施設設置者は、特定施設の新築等をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
一 氏名および住所(法人にあっては、名称および住所ならびに代表者の氏名)
二 特定施設の所在地
三 特定施設の新築等の区分
四 特定施設の用途
五 特定施設の規模
六 特定施設の構造および設備の内容(整備基準に規定する整備箇所に係るものに限る。)
七 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その変更の内容について知事に届け出なければならない。
(指導および助言)
第十九条 知事は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る特定施設が整備基準に適合していないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な指導および助言を行うことができる。
(工事完了の届出)
第二十条 第十八条の規定による届出をした者は、当該届出に係る工事を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を知事に届け出なければならない。
(完了検査)
第二十一条 知事は、前条の規定による届出があったときは、当該届出に係る特定施設が整備基準に適合しているかどうかを検査するものとする。
2 知事は、前項の規定による検査に係る特定施設が整備基準に適合していると認めるときは、当該届出をした者に対し、適合証を交付するものとする。
(勧告)
第二十二条 知事は、第十八条の規定による届出を行わず特定施設の新築等の工事に着手した者に対し、当該届出を行い、または必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
2 知事は、第十九条の指導および助言を受けた者が当該指導および助言に正当な理由なく従わないときは、当該指導および助言を受けた者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
3 知事は、第十八条の規定による届出をした者が、当該届出をした特定施設について、届出の内容と異なり、かつ、整備基準に適合していない工事を行ったときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(公表)
第二十三条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく勧告に従わないときは、氏名その他規則で定める事項を公表することができる。この場合において、知事は、あらかじめ、当該勧告を受けた者に意見を述べる機会を与えなければならない。
(既存特定施設の適合状況の報告等)
第二十四条 特定施設でこの条例またはこの条例に基づく規則の施行の際現に存するもの(新築等の工事中のものを含む。以下「既存特定施設」という。)を設置し、または管理している者(以下「既存特定施設設置者等」という。)は、当該既存特定施設が整備基準に適合しているかどうかを調査し、その整備状況の把握に努めるものとする。
2 知事は、障がい者、高齢者等の利便を図る必要が特にあると認めるときは、規則で定めるところにより、既存特定施設設置者等に対し、既存特定施設の整備基準への適合状況について報告を求めることができる。
3 知事は、前項の報告があった場合において、当該既存特定施設が整備基準に適合していないと認めるときは、当該報告者に対し、当該報告に係る既存特定施設の構造等を勘案して、必要な指導および助言を行うことができる。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(立入調査)
第二十五条 知事は、第十九条、第二十一条第一項、第二十二条、第二十三条ならびに前条第二項および第三項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、特定施設に立ち入り、当該特定施設が整備基準に適合しているかどうかを調査させ、または関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入調査または質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入調査または質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(国等に関する特例)
第二十六条 第十八条から前条までの規定は、国、地方公共団体その他規則で定める者(以下「国等」という。)については、適用しない。ただし、知事は、必要があると認めるときは、国等に対し、特定施設の整備基準への適合状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2 知事は、前項の報告があったときは、当該報告を行った国等に対し、必要な要請を行うことができる。
第三節 公共車両等の整備
第二十七条 旅客の用に供する鉄道の車両、自動車もしくは船舶で、規則で定めるもの(以下「公共車両等」という。)を所有し、または管理する者は、当該公共車両等について、障がい者、高齢者等が安全かつ円滑に利用できるよう整備に努めなければならない。
2 公共車両等を所有し、または管理する者は、当該公共車両等の運行に当たっては、障がい者、高齢者等が容易に利用することができるよう配慮しなければならない。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
第四章 雑則
(委任)
第二十八条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成八年十一月一日から施行する。ただし、第三章の規定は、平成九年四月一日から施行する。
附 則(平成一七年条例第六五号抄)
(施行期日)
1 この条例は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一から四まで 略
五 前各号および次号に掲げる規定以外の規定 平成十八年三月三日
附 則(令和二年三月一九日条例第一〇号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和二年四月一日から施行する。



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