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○障がいのある人もない人も幸せに暮らせる福井県共生社会条例
平成三十年三月二十二日福井県条例第十一号
障害のある人もない人も幸せに暮らせる福井県共生社会条例を公布する。
障がいのある人もない人も幸せに暮らせる福井県共生社会条例
題名改正〔令和二年条例一〇号〕
目次
前文
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 障がい者の自立および社会参加の支援等のための取組(第八条―第十八条)
第三章 不当な差別的取扱いの禁止等(第十九条・第二十条)
第四章 障がいを理由とする差別解消への取組(第二十一条―第二十三条)
第五章 県民理解の促進(第二十四条―第二十六条)
附則
障がいの有無によって分け隔てられることなく、誰もが互いの人格と個性を尊重し、共に支え合いながら、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現は、わたしたち県民すべての願いである。
そのためには、障がい者への差別や偏見をなくしていくことが重要であり、全国から障がい者を含め多くの人々が集う福井しあわせ元気国体・しあわせ元気大会は、その解消に向けた機運を醸成する好機である。
この大会において、本県が全国で初めて進めている、障がいの有無にかかわらずすべての人がスポーツの素晴らしさや可能性を共有するという融合の試みは、県民の障がいについての理解を促進させ、共生社会実現の礎となる。
わたしたちは、この融合の試みをさらに継承発展させ、障がい者の自立および社会参加ならびに障がい者への差別の解消を推進し、県民誰もが幸せで生きがいのある暮らしができる福井県づくりを目指して、ここにこの条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者に対する障がいを理由とする差別の解消の推進に必要な施策に関し、基本理念を定め、県の責務ならびに市町および県民等の役割を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めること等により、すべての県民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら幸せに暮らせる共生社会(以下「共生社会」という。)の実現に寄与することを目的とする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 障がい者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)その他の心身の機能の障害(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がいおよび社会的障壁により継続的または断続的に日常生活または社会生活(以下「日常生活等」という。)に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二 社会的障壁 障がい者にとって日常生活等を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
三 合理的な配慮 障がい者の求め(障がい者がその意思を表明することが困難な場合には、当該障がい者の意思の表明を代わりに行う者の求め)に応じて、障がい者が障がい者でない者と同等の機会および待遇が確保され、または同等の権利を行使できるよう、当該障がい者の性別、年齢および障がいの状態その他個々の具体的場面および状況に応じて行う必要かつ適切な現状の変更または調整(社会通念上相当と認められる範囲を超える人的、物理的または経済的な負担その他の過度な負担を生じるものを除く。)をいう。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(基本理念)
第三条 共生社会の実現は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
一 すべて県民は、地域社会において障がいの有無にかかわらず、共に支え合い、共生社会の実現に努めること。
二 すべて障がい者は、障がい者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。
三 すべて障がい者は、社会を構成する一員として社会、経済、スポーツ、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
四 すべて障がい者は、言語(手話を含む。以下同じ。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得または利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
五 すべて障がい者は、どこで誰とどのように生活するかについての選択の機会が確保されること。
六 すべて障がい者は、障がい者に関連する政策および計画に係る意思決定に参加する機会が確保されること。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念にのっとり、障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者に対する障がいを理由とする差別の解消の推進に必要な施策(以下「障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策」という。)を策定し、およびこれを総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 県は、障がい者の家族等生活を主として支える者が死亡した後の生活の維持およびその他の障がい者の人生の各段階において生じる日常生活等の課題の解消に努めるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(市町との連携)
第五条 県は、市町と連携し、障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策を策定し、および実施するよう努めるものとする。
2 県は、市町が障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策を策定し、および実施しようとするときは、必要な情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(県民および事業者の役割)
第六条 県民および事業者は、障がいおよび障がい者についての理解を深めるとともに、県または市町が実施する障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策の実施に協力するものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(財政上の措置)
第七条 県は、障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
第二章 障がい者の自立および社会参加の支援等のための取組
全部改正〔令和二年条例一〇号〕
(権利擁護の推進)
第八条 県は、障がい者のどこで誰とどのように生活するかについての選択の機会の確保および健康で安心して生活できる場の確保を図るために必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、障がい者およびその家族等に対する成年後見制度その他の障がい者の権利利益の保護等のための施策または制度が、広く利用されるよう必要な施策を講じなければならない。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(福祉サービスおよび医療の提供)
第九条 県は、障がい者が自立した日常生活等を営むことができるよう、必要な福祉サービスの提供体制の確保その他必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、障がい者の性別、年齢、障がいの状態および生活の実態に応じた治療、リハビリテーションその他の医療が提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、障がい者が乳幼児期、学齢期、成人期等生涯にわたり一貫して途切れることなく支援を受けることができるよう必要な施策を講ずるものとする。
4 県は、社会福祉事業等を経営する者と連携し、福祉事業等従事者の確保および県民の社会福祉事業に関する理解を促進するために必要な施策を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(意思疎通等の手段の確保)
第十条 県は、障がい者の言語その他の意思疎通および情報の取得または利用のための手段についての選択の機会の確保および拡大を図るために必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、点字、音声、字幕、わかりやすい表現その他の障がい者にとって利用しやすい方法により、障がいの特性に応じた多様な情報提供の方法が普及するよう必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、点訳、手話通訳、要約筆記その他の方法により障がい者の意思疎通を支援する者の養成および技術の向上のために必要な施策を講ずるものとする。
4 県は、障がい者が県政に関する情報を速やかに得ることができるよう、可能な限り、障がい者に配慮した形態、手段および様式によって情報の提供を行うものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(移動手段の確保)
第十一条 県は、障がい者が障がいの別や程度にかかわらず、いかなる差別も受けることなく自立した日常生活等のために必要な移動の手段が確保されるよう、公共交通事業者および県民の理解の促進に努めなければならない。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(建築物等のバリアフリー化の推進)
第十二条 県は、自ら設置する公共施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)その他の公共的施設について、障がい者が円滑に利用できるような施設の構造および設備の整備等の計画的推進を図らなければならない。
2 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、当該公共的施設について、障がい者が円滑に利用できるような施設の構造および設備の整備等の計画的推進に努めなければならない。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(教育の推進)
第十三条 県は、障がい者が、その年齢および能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、教育の内容および方法の改善および充実を図る等必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、障がい者である児童および生徒と障がい者でない児童および生徒との交流および共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進するよう必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、学校、家庭、地域社会等において、子どもが障がいおよび障がい者に関する正しい知識を持つための教育が行われるよう必要な施策を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(障がい者の雇用の促進)
第十四条 県および障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第四十三条第一項に規定する事業主は、同条第二項で定める障害者雇用率の達成はもとより、一層の障がい者の雇用の促進に努めなければならない。
2 県は、障がい者の活躍の場が増えるよう、障がい者が就労その他の生産活動により供給する物品または役務に対する需要を増進し、その受注の機会の増大を支援するために必要な措置を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(障がい者スポーツの振興)
第十五条 県は、障がい者が障がいの特性に応じて参加することができるスポーツ(以下「障がい者スポーツ」という。)の振興を図るとともに、障がい者と障がい者でない者の相互理解が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、障がい者が障がい者スポーツに参加できる機会の提供に努めるとともに、障がい者スポーツの指導者の養成および資質の向上その他の必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、パラリンピック競技大会、デフリンピック競技大会その他の国際的な規模のスポーツ競技会または全国的な規模のスポーツの競技会で活躍できる障がい者スポーツの選手を育成するために必要な施策を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(文化芸術活動の振興)
第十六条 県は、障がい者の自主的な文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)の振興を図るとともに、障がい者と障がい者でない者の相互理解が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、障がい者が障がいの特性に応じて多様な文化芸術活動に参加できる機会の提供に努めるとともに、障がい者が文化芸術活動に参加するために必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、障がい者の文化芸術活動の発展に資するよう、民間の団体等が行う文化芸術の振興のための取組の促進のために必要な施策を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(防災および防犯)
第十七条 県は、障がい者の性別、年齢、障がいの状態および生活の実態に応じて、防災および防犯に関し必要な施策を講じなければならない。
2 県は、市町その他の関係機関と連携して、災害その他非常の事態(以下「災害時等」という。)の場合において、障がい者に対し、必要となる情報を迅速かつ的確に伝えられるよう、多様な情報提供の手段を確保するよう必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、災害時等における障がい者の避難所での生活等において、必要な情報が障がいの特性に応じ、迅速かつ的確に伝えられるよう、支援する者の人材の育成に必要な施策を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(実施体制の整備)
第十八条 県は、障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策の総合的かつ計画的な実施を図るための体制を整備するものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
第三章 不当な差別的取扱いの禁止等
(不当な差別的取扱いの禁止)
第十九条 何人も、障がい者の生命または身体の安全の確保のためやむを得ないと認められる場合その他の正当な理由がある場合を除き、障がいを理由として次に掲げる行為をしてはならない。
一 障がい者が福祉サービスを行う施設へ入所することその他の福祉サービスを利用することを拒否し、制限し、もしくはこれに条件を付し、または障がい者の意思に反して福祉サービスを行う施設への入所その他の福祉サービスの利用を強制すること。
二 障がい者が医療を受けることを拒否し、制限し、もしくはこれに条件を付し、または障がい者の意思に反して医療を受けることを強制すること。
三 障がい者が商品を購入することまたはサービスを利用することを拒否し、制限し、またはこれらに条件を付すこと。
四 労働者の募集または採用に関し、障がい者の応募または採用を拒否し、制限し、またはこれらに条件を付すこと。
五 その雇用する障がい者の賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について障がい者でない者と差別的取扱いをし、または障がい者を解雇すること。
六 障がい者が年齢および能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた教育を受けることを拒否し、制限し、またはこれに条件を付すこと。
七 障がい者もしくはその保護者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十六条に規定する保護者をいう。)への必要な説明を行うことなく、またはこれらの者の意見を十分に尊重せず、就学すべき学校(同法第一条に規定する学校をいう。)を決定すること。
八 障がい者が多数の者の利用に供される建物その他の施設または公共交通機関を利用することを拒否し、制限し、またはこれに条件を付すこと。
九 障がい者との間で不動産の売買または賃貸借、賃借権の譲渡もしくは賃借物の転貸に係る契約を締結することを拒否し、制限し、またはこれに条件を付すこと。
十 障がい者からの意思表示の受領および障がい者への情報の提供を拒否し、制限し、またはこれに条件を付すこと。
十一 前各号に掲げるもののほか、障がい者でない者と差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害すること。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(社会的障壁の除去のための合理的な配慮)
第二十条 県は、その事務または事業を行うに当たり、社会的障壁を除去するため、合理的な配慮をしなければならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、社会的障壁を除去するため、合理的な配慮をするように努めなければならない。
第四章 障がいを理由とする差別解消への取組
全部改正〔令和二年条例一〇号〕
(相談への対応)
第二十一条 県は、障がいを理由とする差別の相談に関し、次に掲げる業務を行うものとする。
一 相談者に対し、必要な助言または情報の提供を行うこと。
二 相談に係る関係者間の調整を行うこと。
2 障がいを理由とする差別の解消を推進するため、福井県障害者差別解消支援協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
3 協議会は、次に掲げる事務を行う。
一 障がいを理由とする差別に該当する事案(以下「対象事案」という。)について、あっせんを行うこと。
二 障がいを理由とする差別の解消の推進に関して協議すること。
4 協議会は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)第十七条第一項に規定する障害者差別解消支援地域協議会とする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(あっせん)
第二十二条 障がい者は、当該障がい者に係る対象事案の解決を図るため、知事に対し、あっせんの申立てをすることができる。
2 知事は、前項の申立てがあったときは、協議会に対し、あっせんを行うよう求めるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(勧告および公表)
第二十三条 協議会は、障がいを理由とする差別を行った者(以下「関係当事者」という。)が、正当な理由なくあっせん案を受諾せず、またはこれを受諾したにもかかわらず、あっせんに従わないときは、知事に対して、関係当事者が必要な措置をとるように勧告することを求めることができる。
2 知事は、前項の規定による求めがあった場合において、必要があると認めるときは、関係当事者に対して、必要な措置をとるように勧告することができる。
3 知事は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨および当該勧告の内容を公表することができる。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
第五章 県民理解の促進
(広報および啓発の推進)
第二十四条 県は、第三条に定める基本理念に関する県民の関心と理解を深めるとともに、障がい者の自立および社会参加の支援等ならびに障がい者差別の解消のための施策が効果的に実施されるよう、必要な広報および啓発を推進するものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(県民等の活動の促進)
第二十五条 県は、県民または県民が組織する民間の団体が自発的に行う障がいおよび障がい者について理解を深める活動を促進するため、情報の提供、助言、指導その他の必要な施策を講ずるものとする。
一部改正〔令和二年条例一〇号〕
(表彰)
第二十六条 知事は、共生社会の実現に向けた取組に関し特に顕著な功績があると認められる者に対し、表彰を行う。
附 則
1 この条例は、平成三十年四月一日から施行する。
2 知事は、この条例の施行後三年を目途として、この条例および障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の施行の状況ならびに社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附 則(令和二年三月一九日条例第一〇号)
(施行期日)
1 この条例は、令和二年四月一日から施行する。
(住民基本台帳法施行条例の一部改正)
2 住民基本台帳法施行条例(平成十四年福井県条例第五十号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
(福井県個人番号の利用等に関する条例の一部改正)
3 福井県個人番号の利用等に関する条例(平成二十七年福井県条例第四十三号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)



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