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○福井県歯と口腔の健康づくり推進条例
令和三年三月二十二日福井県条例第二十四号
福井県歯と口腔の健康づくり推進条例を公布する。
福井県歯と口腔の健康づくり推進条例
(目的)
第一条 この条例は、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成二十三年法律第九十五号)の趣旨を踏まえ、福井県における歯と口腔の健康づくりに関し、基本理念を定め、ならびに県および県民等の責務または役割を明らかにするとともに、歯と口腔の健康づくりに関する施策の基本的な事項を定めることにより、歯と口腔の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民の生涯にわたる健康の保持増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 歯と口腔の健康づくり 歯および口腔の健康を保持増進し、またはこれらの機能を維持向上させることをいう。
二 歯科医療等業務従事者 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他歯科医療または歯科保健に係る業務に従事する者をいう。
三 かかりつけ歯科医 生涯にわたる口腔機能の維持向上を目指すため、県民の歯と口腔の健康づくりを日常的に把握し、歯および口腔の健康相談、治療等に対応する歯科医師をいう。
四 教育保育関係者 教育および保育に関する職務に従事する者であって、歯と口腔の健康づくりにかかわる者をいう。
五 福祉関係者 社会福祉に関する職務に従事する者であって、歯と口腔の健康づくりにかかわる者をいう。
六 医療保険者 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者および高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第四十八条に規定する後期高齢者医療広域連合をいう。
(基本理念)
第三条 歯と口腔の健康づくりは、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 県民が、日常生活において歯科疾患を予防するとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることができる環境を整備すること。
二 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔とその機能の状態および歯科疾患の特性に応じて、必要な歯科保健医療サービスを適切かつ効果的に受けることができる環境を整備すること。
三 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連施策の有機的な連携を図りつつ、関係者の協力を得て、総合的な歯と口腔の健康づくりを推進する体制を整備すること。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、歯と口腔の健康づくりに関する施策を策定し、および実施する責務を有する。
(県民の責務)
第五条 県民は、歯と口腔の健康づくりに関する知識と理解を深めるよう努めるものとする。
2 県民は、県、市町、歯科医療機関、事業者および医療保険者が行う歯と口腔の健康づくりの推進にかかわる施策等を活用することにより、定期的な歯科健診を受けるとともに、必要に応じて歯科医療を受けることにより、生涯にわたって歯と口腔の健康づくりに取り組むよう努めるものとする。
3 父母その他の保護者は、家庭において、子どもの歯科疾患の予防、適切な食習慣の定着その他の歯と口腔の健康づくりに取り組むよう努めるものとする。
(歯科医療等業務従事者等の責務)
第六条 歯科医療等業務従事者は、県民の歯および口腔の健康に資するため、良質かつ適切な歯科医療または健診および保健指導を提供するとともに、県および市町が講じる施策に協力するよう努めるものとする。
2 歯科医療等業務従事者が組織する団体は、歯科医療機関がかかりつけ歯科医の機能を十分に発揮できるよう、良質かつ適切な歯科健診、保健指導および歯科医療を提供することができる体制の整備に努めるものとする。
3 歯科医療機関等は、雇用する歯科衛生士および歯科技工士がその専門知識と技能を歯科医療業務に十分に発揮できるよう、知識および技能の向上を図るための機会を与えるとともに、適切な処遇の確保に努めるものとする。
(教育保育関係者および福祉関係者の役割)
第七条 教育保育関係者は、その業務において、乳幼児、児童、生徒または学生に対する歯と口腔の健康づくりの推進に努めるものとする。
2 福祉関係者は、その業務において、障がい者、高齢者その他の福祉サービスを必要とする者の歯と口腔の健康づくりの推進に努めるものとする。
3 教育保育関係者および福祉関係者は、他の者が行う歯と口腔の健康づくりに関する活動との連携および協力を図るよう努めるものとする。
(事業者および医療保険者の役割)
第八条 事業者は、県内の事業所で雇用する従業員の歯科健診および保健指導を受ける機会を確保するよう努めるものとする。
2 医療保険者は、県内の被保険者が歯科健診および保健指導を受ける機会を確保することができるよう努めるものとする。
(市町との連携等)
第九条 県は、基本理念に基づく施策を策定し、および実施するに当たっては、市町と連携し、協力するよう努めるものとする。
2 県は、市町が実施する歯と口腔の健康づくりに関する施策に関し、情報の提供や技術的な助言その他の支援を行うとともに、市町の取組状況やニーズを把握し、必要な対策を講じるものとする。
(基本的な計画)
第十条 県は、県民の生涯にわたる歯と口腔の健康づくりのために必要な基本方針、目標および施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 県は、前項の施策を定め、または変更しようとするときは、あらかじめ、県民、市町、歯と口腔の健康づくりに取り組む団体その他の関係者の意見を聴くために必要な措置を講ずるものとする。
3 知事は、第一項に規定する施策を定め、または変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(基本的施策の実施)
第十一条 県は、県民の歯と口腔の健康づくりを推進するため、次に掲げる事項に関し、必要な施策を講ずるものとする。
一 歯と口腔の健康づくりに関する情報の収集および知識の普及啓発の推進
二 妊娠期から子育て期までにおける歯科健診および歯科保健指導の受診促進
三 口腔機能を獲得する乳幼児期および学齢期におけるフッ化物応用等の科学的根拠に基づくむし歯予防の推進
四 学齢期におけるセルフケアの定着の推進
五 成人期における定期的な歯科健診の受診促進
六 高齢期におけるオーラルフレイル予防を通じた摂食嚥下障害の予防、歯と口腔機能の維持の支援および定期的な歯科健診の受診促進
七 障がい者、介護を必要とする高齢者、退院支援を必要とする患者その他の定期的な歯科健診または歯科医療の受診が困難な者に対して、定期的な歯科健診または歯科医療を提供するための福祉関係者との多職種連携の推進
八 介護保険施設に協力歯科医の設置を勧奨し、歯科医師および歯科衛生士が介入した施設入居者の適切な口腔機能管理の推進
九 児童虐待の早期発見の促進のため教育保育関係者、福祉関係者および歯科医療等業務従事者との連携の促進
十 スポーツ外傷の予防の観点から、教育保育関係者およびスポーツ関係者との連携によるアスリートの口腔機能の傷害防止の推進
十一 周術期、生活習慣病、認知症等における口腔機能管理を適切に行うための医歯薬連携体制の構築の推進
十二 歯と口腔の健康づくりならびに食育および生活習慣病の関連性に関する情報の提供の推進
十三 災害発生時の歯科医療または歯科保健の提供体制の整備の推進
十四 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第一項に規定する感染症の発生時における歯科医療体制の整備および医療物資の確保
十五 歯科医療等業務従事者の確保ならびにこれらの者の知識および技能の向上
十六 前各号に掲げるもののほか、歯と口腔の健康づくりを図るために必要な施策の推進
(施策の実施状況の公表)
第十二条 知事は、毎年度、歯と口腔の健康づくりに関する施策の実施状況を公表するものとする。
(実態調査等)
第十三条 知事は、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を策定し、評価するための基礎資料とするため、おおむね五年ごとに、県民の歯科疾患の状況その他の歯と口腔の健康づくりに関する実態を調査し、これを公表しなければならない。
(啓発週間)
第十四条 県は、県民が歯と口腔の健康づくりについての関心と理解を深めるとともに、積極的に歯と口腔の健康づくりに関する取組を行うことができるようにするため、歯と口腔の健康づくりに関する啓発週間を設ける。
(財政上の措置)
第十五条 県は、歯と口腔の健康づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、令和三年四月一日から施行する。



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