○福井県公衆浴場基準条例
昭和45年10月1日
福井県条例第38号
福井県公衆浴場基準条例を公布する。
福井県公衆浴場基準条例
(趣旨)
第1条 この条例は、公衆浴場法(昭和23年法律第139号。以下「法」という。)第2条第3項および第3条第2項の規定により、公衆浴場の設置の場所の配置の基準ならびに公衆浴場についての換気、採光、照明、保温、清潔その他入浴者の衛生および風紀に必要な措置の基準(以下「衛生等の基準」という。)を定めるものとする。
(1) 普通公衆浴場 温湯、潮湯または温泉を使用して同時に多数人を入浴させる浴場であって、付近住民の日常生活にとって保健衛生上必要な施設として利用されるものをいう。
(2) その他の公衆浴場 普通公衆浴場以外の公衆浴場をいう。
(一部改正〔平成5年条例35号〕)
(設置場所の配置の基準)
第3条 新たに普通公衆浴場を設置しようとするときは、既設の普通公衆浴場から350メートル以上の距離(両浴場本屋を結ぶ直線距離をいう。)を保たなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1) 法第2条第1項の規定により許可を受けて公衆浴場を経営する者(以下「営業者」という。)が、普通公衆浴場の施設を新築し、または改築して、引き続き同一の場所において普通公衆浴場を経営しようとするとき。
(2) 普通公衆浴場の営業を譲り受けた者が、引き続き同一の場所において普通公衆浴場を経営しようとするとき。
(3) 普通公衆浴場の存する土地を公用または公共の用に供したため、従前の場所において経営ができなくなった営業者が、普通公衆浴場の設置の場所の配置上著しく支障がないと知事が認める場所において、普通公衆浴場を経営しようとするとき。
(4) 前各号に定めるもののほか、土地の状況、人口密度等により、普通公衆浴場の設置の場所の配置が適正であると知事が認めたとき。
(一部改正〔昭和61年条例13号〕)
(普通公衆浴場の衛生等の基準)
第4条 普通公衆浴場の衛生等の基準は、次のとおりとする。
(1) 換気、採光、照明、保温、清潔その他入浴者の衛生基準
ア 脱衣室および浴室には、直接外気に面した開閉のできる窓を設けて換気を図ること。ただし、これに代わる適当な換気装置のあるときはこの限りでない。
イ 入浴者が利用する場所の採光または照明は、床面において次に定める照度とすること。
(ア) 脱衣室、浴室および便所 150ルクス以上
(イ) 下足場 300ルクス以上
(ウ) 廊下 75ルクス以上
ウ 浴槽水(副浴槽内の浴槽水を除く。)は、適温を保つこと。
エ 脱衣室、浴室、便所その他入浴者が直接利用する場所(休息室を設ける場合は、当該休息室を含む。)は、常に清潔に保ち、毎月1回以上消毒(ねずみ、昆虫等の駆除を含む。)することとし、脱衣室には、畳、むしろその他これに類する敷物を敷かないこと。
オ 下足場には下足等、脱衣室には衣類の保管設備を設けること。
カ 営業中は、監視人を置くこと。
キ 脱衣室と浴室との通路を透明なガラス戸等で仕切ること。
ク 脱衣室は、男女別に区分し、その面積は、それぞれ12.5平方メートル以上とすること。
ケ 洗い場は、男女別に区分し、その面積は、それぞれ12.5平方メートル以上とすること。
コ 洗い場の床、浴槽、浴室の内壁で床面から1メートルまでの部分、排水溝、下水溝および下水だめは、耐水性材料で築造すること。
サ 浴室は、水滴の落下を防ぐ構造とし、または設備を設けること。
シ 洗い場には、汚水の停滞を防ぐために傾斜をつけ、汚水が屋外の下水溝または下水だめに流出するようにし、ならびに排水溝、下水溝および下水だめには、ふたをすること。
ス 浴室には、コックまたはシャワーを設け、湯および水を十分に供給すること。
セ 脱衣室または浴室内に、飲料水を供給する設備を1箇所以上設け、飲料水である旨を表示すること。
ソ 浴槽(副浴槽を除く。)は、次に定める構造にすること。
(ア) 深さは、0.6メートル以上とすること。
(イ) 露出部の高さは、洗い場の床面から0.3メートル以上とすること。ただし、洗い場で使用した水および浴槽からあふれ出た水が浴槽内に流入しないための適切な措置が講じられている場合は、この限りでない。
(ウ) 面積は、3.3平方メートル以上とすること。
タ 洗い場の1の給水栓の中心点と他の給水栓の中心点との間隔は、0.7メートル以上とすること。
チ 浴槽水の換水(浴槽水を入れ替えることをいう。以下同じ。)および浴槽の清掃を毎日行うこと。ただし、循環式浴槽(浴槽水を循環させる構造の浴槽をいう。以下同じ。)または循環式浴槽以外の浴槽のうち常に原湯が浴槽に供給されているもので、かつ、原湯の1日当たりの供給量が浴槽の容量以上の量のものにあっては、1週間に1回以上、浴槽水の換水および浴槽の清掃を行うこと。
ツ 浴槽水を循環させる場合にあっては、次の要件を満たすこと。
(ア) 浴槽水を循環させるための配管にろ過器を設けること。
(イ) ろ過器の1時間当たりの処理能力が当該ろ過器を設置する浴槽の容量以上のものであること。
(ウ) ろ過器の構造がろ材の洗浄または交換を容易に行うことができるものであること。
(エ) ろ過器およびそのろ材に付着した生物膜その他の汚物(以下「生物膜等」という。)を、1週間に1回以上、逆洗(湯または水を逆流させて、ろ過器の洗浄を行うことをいう。)その他の方法による洗浄および消毒を行うことによって除去すること。この場合において、洗浄を行ってもなおろ材に付着した生物膜等を除去することができなくなったときは、当該ろ材の交換を行うこと。
(オ) 浴槽水を循環させるための配管に集毛器(毛髪等がろ過器に流入しないようにするための設備をいう。以下同じ。)を設けること。
(カ) 集毛器の清掃を毎日行うこと。
(キ) 浴槽水を循環させるための配管に付着した生物膜等を、1週間に1回以上、消毒を行うことによって除去すること。
(ク) 浴槽水の消毒を塩素系薬剤による方法または塩素系薬剤による消毒の効果と同等の効果を有する方法を用いて行うこと。
(ケ) 浴槽水の消毒を薬剤を用いて行う場合にあっては、当該消毒用の薬剤の注入口または投入口を浴槽水がろ過器に流入する直前の位置に設けること。
(コ) 浴槽水の消毒を薬剤を用いて行う場合であって当該消毒用の薬剤として塩素系薬剤を用いるときは、次の要件を満たすこと。
a 浴槽水中の遊離残留塩素濃度の測定を、毎日1回以上、定期的に行い、その記録を作成し、測定の日から3年間保存すること。
b 浴槽水中の遊離残留塩素濃度は、規則で定める濃度を保つこと。
(サ) 循環させた浴槽水を打たせ湯またはシャワーの用に供しないこと。
テ 原湯を貯留する槽について、生物膜等の付着の状況の点検を定期的に行い、生物膜等の付着を認めたときは、直ちに清掃および消毒を行うこと。
ト 回収槽(浴槽からあふれ出た湯または水を回収する槽であって、回収した湯または水を浴用に供することを目的とするものをいう。以下同じ。)を設ける場合にあっては、次の要件を満たすこと。
(ア) 地下に埋設しないこと。
(イ) 容易に清掃を行うことができる構造であること。
(ウ) 回収槽内の湯および水の消毒を行うことができる設備を設けること。
(エ) 回収槽の清掃および消毒を定期的に行うとともに、回収槽内の湯および水の消毒を行うこと。
ナ 気泡発生装置(浴槽水に気泡を発生させる設備をいう。以下同じ。)を使用する場合にあっては、当該気泡発生装置の空気の取入口が土ぼこりの入らない構造であること。
ニ 浴槽水、原湯その他の規則で定める湯または水の水質が規則で定める水質基準に適合するものであること。
ヌ 規則で定めるところにより浴槽水の水質検査を行い、その結果を3年間保存するとともに、入浴者の見やすい場所に掲示すること。
ネ 公衆浴場ごとに、当該公衆浴場の業務に従事する者(以下「従業者」という。)のうちから営業者の指示に従い当該公衆浴場の衛生管理を行う者(以下「衛生責任者」という。)を定めること。ただし、自らが衛生責任者となる場合は、この限りでない。
ノ 公衆浴場の衛生管理を行うための手引書を作成し、従業者にその内容を周知させること。
ハ 公衆浴場の衛生管理を行うための点検表を作成し、衛生責任者に、その点検表に基づいて点検を行わせ、その点検の記録を作成させるとともに、その記録を点検の日から3年間保存すること。
(2) 風紀の基準
ア 7歳以上の男女の混浴をさせないこと。
イ 風紀を乱すおそれのある文書、絵画、写真または物品を掲げ、または置かないこと。
ウ 入浴者の出入口は、男女別に区別し、その区別を出入口に掲示すること。
エ 脱衣室、浴室、便所その他入浴者が直接利用する場合は、浴場外から見通すことのできない構造とすること。
オ 脱衣室および浴室は、男女別に区分し、その境界には隔壁を設け、相互に見通すことのできない構造とすること。
カ 入浴者用便所は、男女別に設けること。
(3) 熱気、蒸気等を使用して公衆を入浴させる設備(以下「熱気室等」という。)を設ける場合の衛生等の基準
ア 熱気室等は、男女別に設けること。
イ 熱気室等の床面、内壁および天井は、耐熱性の材料を用いて築造すること。
ウ 熱気室等には、掃除の際に使用される水が完全に屋外に排出できるよう排水口を設けること。
エ 熱気室等の熱気、蒸気等の放出口および放熱パイプは、入浴者の身体に直接接しない構造とし、熱気室等の入浴者が接するおそれのある箇所に金属部分がある場合は、断熱材で覆う等の安全措置を講ずること。
オ 熱気室等には、給気口および排気口を適当な位置に設けること。
カ 熱気室等には、温度調節設備を設けること。
キ 熱気室等には、利用基準温度を表示し、温度計を備えるほか、必要に応じて湿度計を備えること。
ク 熱気室等には、室内を容易に見通すことができる窓を設けるとともに、入浴者の見やすい場所に非常用ブザーその他の通報装置を設けること。
ケ 熱気室等の採光または照明は、床面において75ルクス以上の照度とすること。
コ 入浴者の見やすい場所に熱気室等を使用するに当たっての注意事項を表示するとともに、入浴者が熱気室等を使用している間は、その安全に注意すること。
(4) 屋外に浴槽を設ける場合の衛生等の基準
ア 浴槽水は、適温を保つこと。
イ 浴槽およびこれに附帯する通路その他の部分は、男女別に区分し、その境界には隔壁を設け、相互に見通すことのできない構造とすること。
ウ 浴槽およびこれに附帯する通路その他の部分は、屋外から見通すことのできない構造とすること。
エ 屋外には、洗い場を設けないこと。
オ 浴槽に附帯する通路その他の部分は、脱衣室または浴室から直接出入りできる構造とすること。
カ 浴槽およびこれに附帯する通路その他の部分は、十分な照度のあること。
キ 浴槽水を循環させる方法、原湯を常時供給する方法その他の方法により、浴槽水中の浮遊物その他の汚物を除去すること。
ク 屋外の浴槽水が屋内の浴槽に流入しない構造とすること。
(一部改正〔平成元年条例55号・5年35号・17年29号・19年23号・令和4年11号〕)
(1) 個室を設け、熱気、蒸気等を使用して公衆を入浴させる設備を有するもの
イ 個室の数は、5室以上とすること。
ウ 個室の面積は、9.9平方メートル以上とすること。
エ 個室の出入口の扉の適当な位置に、内部を見通すことのできる窓を設け、当該扉にはかぎをつけないこと。
オ 従業者に風紀を乱すおそれのある服装または行為をさせないこと。
カ 入浴者に、風紀を乱し、またはそのおそれのある行為をさせないこと。
キ 個室には、同時に2人以上の入浴者を入室させないこと。
(2) 熱気室等を有するもの(第4号に掲げるものを除く。)
イ 適当な面積の洗い場を設けること。
ウ 脱衣室および休息室の面積は、それぞれ16.5平方メートル以上とすること。
エ 入浴者用便所を設けること。
オ 男女別の設備を設ける場合は、次に定めるところによること。
(イ) 休息室は、男女別に区分し、その境界には隔壁を設け、相互に、かつ、屋外から見通すことのできない構造とすること。
(ウ) 男女別に区分されたそれぞれの脱衣室および休息室の面積は、ウに規定する数値の2分の1以上の面積とすること。
カ 浴槽を設ける場合は、次に定めるところによること。
(ア) 浴槽水は、適温を保つこと。
(ウ) 洗い場で使用した水および浴槽からあふれ出た水が浴槽内に流入しないための適切な措置を講ずること。
(3) 温湯、潮湯または温泉を使用して、妊婦、付添人を必要とする老人等を入浴させるため、普通公衆浴場に併設して、独立した室内に貸切りで入浴させる設備を有するもの
イ 浴室の数は、2室以上とすること。
ウ 浴室の面積は、3.3平方メートル以上とすること。
エ 適当な面積の脱衣室を設けること。
オ 入浴者用便所を設けること。
カ 洗い場で使用した水および浴槽からあふれ出た水が浴槽内に流入しないための適切な措置を講ずること。
(4) 温湯、潮湯または温泉を使用して同時に多数人を入浴させるものであって、保養または休養のための施設を有するもの
イ 脱衣室は、男女別に区分し、その面積は、それぞれ16.5平方メートル以上とすること。
ウ 浴場内の休息室の面積は、33平方メートル以上とすること。
(5) 前各号に掲げるもの以外のもの
イ 適当な面積の脱衣室、洗い場および浴槽を男女別に設けること。
ウ 入浴者用便所を設けること。
エ 洗い場で使用した水および浴槽からあふれ出た水が浴槽内に流入しないための適切な措置を講ずること。
(一部改正〔平成元年条例55号・5年35号・17年29号・19年23号〕)
(衛生基準等の特例)
第6条 知事は、次に掲げる場合にあっては、衛生等の基準を緩和することができる。
(1) 土地の状況、建物の種類、施設の規模その他特別の理由により、衛生等の基準により難いと認める場合であって、かつ、公衆衛生上および風紀上著しい支障がないと認める場合
(2) 公衆浴場の構造、設備または利用形態その他の事情を勘案して、衛生等の基準によらなくても公衆衛生上および風紀上著しい支障がないと認める場合
(全部改正〔平成19年条例23号〕)
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(福井県公衆浴場法施行条例の廃止)
2 福井県公衆浴場法施行条例(昭和24年福井県条例第32号)は、廃止する。
4 この条例施行の際、現に熱気または蒸気等を使用して、男女別または男子用もしくは女子用の各1室に同時に多数人を入浴させる設備を有する特殊公衆浴場を経営している者は、この条例施行の日から3月以内に法第2条第1項の許可を受けなければならない。この場合において、知事がやむを得ないと認めたときは、衛生等の基準についてその一部を適用しないことができる。
(附属機関に関する条例の一部改正)
5 附属機関に関する条例(昭和28年福井県条例第26号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(昭和61年条例第13号)
この条例は、昭和61年6月24日から施行する。
附則(平成元年条例第55号)
(施行期日)
1 この条例は、平成2年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例施行の際現に福井県公衆浴場基準条例第3条第1号に規定する営業者であってこの条例による改正後の第4条第1号タ(第5条第2号および第4号においてこの規定を適用する場合を含む。)および第5条第2号ク(イ)に規定する基準を満たしていないものは、この条例施行後最初に当該営業者の公衆浴場を改築し、または大修繕する時までの間は、当該基準にかかわらず、なお従前の例による。
附則(平成5年条例第35号)
(施行期日)
1 この条例は、平成5年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第2条第1項の許可を受けている者が経営している公衆浴場については、当該公衆浴場に関し、改築または増築が行われるまでの間、改正後の第4条および第5条の規定は、適用しない。
附則(平成17年条例第29号)
この条例は、平成17年4月1日から施行する。
附則(平成19年条例第23号)
(施行期日)
1 この条例は、平成19年7月1日から施行する。ただし、第6条の改正規定は、同年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第2条第1項の許可を受けている公衆浴場については、増築、改築または大規模の修繕が行われるまでの間は、改正後の第4条第1号ツの(イ)、(ウ)、(オ)および(ケ)、トの(ア)から(ウ)まで、ナならびに第4号クに掲げる基準(改正後の第5条第2号アもしくはカの(イ)、第4号アまたは第5号アにおいて、これらの基準によることとされている場合を含む。)は、適用しない。
附則(令和4年3月22日条例第11号)
この条例は、令和4年7月1日から施行する。