○福井県国土利用計画
昭和52年6月17日
国土利用計画法(昭和49年法律第92号)第7条第1項の規定に基づき、福井県国土利用計画を定めたので、同条第5項の規定により次のとおり公表する。
前文
1 福井県国土利用計画の策定の趣旨
本県は、本州の日本海側のほぼ中央部に位置し、京阪神および中京の2大都市圏と至近距離にあるとともに、日本海沿岸地域の諸都市を結ぶ交通の要衝にある。また外に向っては対岸貿易の拠点として枢要な地位にある。一方、本県は、豊富で多彩な自然資源と歴史的に価値のある多くの文化財に恵まれているなど、優れた立地条件と自然的、風土的環境に富んでいる。
このような県土のもつ特性と役割を今日までの本県の歩みを踏まえながら、今後の県勢の長期的発展のために、どう結びつけ、どう生かしていくかは、現代に生きる県民の大きな課題であるといえよう。
今、我が国の経済は、過去の高度成長から大きく転換し、資源の制約や環境の保全に、より一層の配慮を払いながら安定成長路線へと移行することを目指している。また、国民の意識や価値観も物的な豊かさよりも安定した生活と生きがいを求める「物から心へ」の時代を迎えた。そして、過去の経済活動がもたらした国土利用の地域的偏在を反省し、大都市における人口や産業の集中を抑制して、地方圏に人口を定着させるとともに産業の地方分散を進める方向が指向されている。また、狭い国土の中で、急速に拡大した土地利用の混乱、地価の異常な高騰、乱開発による環境破壊等の反省を踏まえ、国土資源の有限性を前提にした総合的かつ計画的な国土利用の確保を図るため、昭和51年5月国土利用計画(全国計画)が策定される等長期的な立場で土地問題に取り組む基本方向が示されるに至った。
このような新しい時代の要請に対応して、本県が、将来に向って更に均衡ある発展を遂げるためには、我が国に果す本県の役割を見極めながら、4,188平方キロメートルの限られた県土の望ましい利用のあり方を長期的な視野にたって、総合的かつ計画的に整理し、これらに対応する施策を推進する必要がある。
このような観点から、現在および将来にわたって県民のかけがえのない財産である県土をどのように利用し、今後予想される土地の需要に対しどのような方向で調整し、誘導していくかを示す県土行政の基本的なあり方を明らかにするため、昭和60年を目標にした福井県国土利用計画を策定したものである。
2 福井県国土利用計画の性格
この計画は、県土を適正に利用していくために、県土全体を通じて自然的、社会的、経済的および文化的諸条件を考慮しつつ、総合的な観点にたって計画的な国土の利用のあり方を示す長期的構想である。
なお、この計画は、国土利用計画法第7条の規定に基づき、本県の区域における国土の利用に関して必要な事項を定めるもので、県下の市町村が、その区域について定める国土の利用に関する計画(以下「市町村計画」という。)および福井県土地利用基本計画の基本となるものである。
この計画は、市町村計画が策定される場合には、市町村計画を集成し、必要に応じて見直しを行うものとする。
第1 県土の利用に関する基本構想
1 県土利用の基本方針
我が国の経済社会は、これまでの高度成長型から安定成長型へと移行しつつあり、資源の制約、環境保全の問題、国民ニーズの変化等の厳しい激動の中で、新しい転換期を迎えている。
このような新しい時代の背景を踏まえ、本県では「青い空」・「豊かな水」・「広がる緑」のすばらしい自然環境を生かし、更に、これを高めることを基調に、「21世紀への希望に満ちたふるさとづくり」を目指している。特に、緑を広げ、住みよい環境を整備して、この恵まれた環境の中で、愛のある教育と心の通う福祉の充実を図り、今日のふるさとを培ってきた農林漁業と中小企業の安定した基盤づくりと新しい時代に即応した産業構造の高度化等による経済力の充実を図りながら、心豊かな高福祉県の実現を図ることを県政の基本目標にしているものである。
県土の利用に当たっては、この県政の基本目標を踏まえ、県土が現在および将来における県民のための限られた資源であるとともに生活および生産を通ずる諸活動の共通の基盤であるという基本的認識のもとに、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ地域の自然的、社会的、経済的および文化的条件に配意しながら、健康で文化的な生活環境の確保と県土の均衡ある発展を図ることを基本理念として、特に、次の事項に配意して、適正かつ合理的な県土の利用を計画的に行わなければならない。
(1) 公共の福祉の優先
県土の利用は、生活空間、生産空間、余暇空間等県民生活のすべての分野に深くかかわる基本的な問題であり、その利用の結果は、個人の利害のみにとどまるものではなく、地域全体の住民の福祉にかかわるものであるので、県土の利用および調整に当たっては、常に長期的な視野にたち、公共の福祉を優先させる基本的姿勢にたって行うものとする。
(2) 自然環境の保全
自然は、人間が健康で文化的な生活を営むために欠くことのできない基礎的な資源であることを再認識し、広く県民がその恵沢を享受するとともに、将来の県民に優れた自然を継承できるよう、自然環境の適正な保全を図るものとする。
(3) 生活環境の整備
すべての県民が、健康で、安全で、快適な生活を営むことができるよう、常に人間尊重と生活優先の原則にたち、都市と農山漁村とが一体的な生活圏として、緑豊かな住みよい生活環境の整備を積極的に進めるものとする。
(4) 秩序ある開発
本県が、真に豊かなふるさととして発展していくためには、経済社会の動向を見極めながら創造的に適応していくことが必要であるので、県内の各地域の特性を十分生かし、県民の合意の形成の中で、秩序ある開発を進めて、農林漁業、商工業、観光等各産業の均衡ある発展を図るものとする。
2 土地利用の原則
県土の利用を計画するに当たっては、本県の人口が、昭和45年から増加の基調に転じ、更には昭和50年代にも着実に増加する傾向にあり、今後とも都市化が進展し、経済社会の諸活動が拡大することが予想されるので、これらに適切に対処しなければならない。したがって、今後の本県の土地利用に当たっては、県土のもつ特徴および地域的属性を考慮し、公害の防止、自然環境および農林地の保全、歴史的風土の保存、治山・治水等に十分配意しながら極力土地の有効利用を促進しなければならない。
また、新たな土地の需要については、可能な限り、その節減を図るとともに、森林、原野、農用地、宅地等の相互の土地利用の転換については、土地利用の可逆性が容易に得られないことおよび利用の転換に限界があること等にかんがみ計画的な調整を図りつつ、慎重に行わなければならない。
3 利用区分別の県土利用の基本方向
(1) 農用地については、食糧供給源として基礎的な土地資源であり、管理された自然環境としての機能を果していることを再認識するとともに、本県の農業が将来とも食糧供給基地としての位置と役割を果していくため、極力、その確保を図るものとする。また、農用地の生産性を高めるため、土地基盤の整備を推進するとともに新たな農地造成を積極的に推進する。更に、農用地の利用率が低下しているので、農用地の高度利用を図るものとする。
なお、宅地等への転換については、周辺の土地利用について十分配意しつつ、総合的かつ計画的に調整を図るものとする。
(2) 森林については、木材等林産物を供給する経済的機能をもつのみでなく、県土保全、水源かん養、保健休養、自然環境の保全等の公益的機能を通じ、県民生活に大きく寄与しているので、これら多面的機能が総合的かつ高度に発揮しうるよう、必要な森林の確保と整備を図るものとする。
また、都市およびその周辺の森林については、良好な生活環境を確保するため、積極的に緑地として保全および整備を図る。更に、旧薪炭林地等のうち低位利用にあるものについては、周辺の土地利用について十分配意しつつ、その利用に関し、総合的かつ計画的に調整を図るものとする。
(3) 原野のうち、貴重な自然環境を形成しているものについては、その保全を図り、その他の原野については、環境保全に配意しつつ、農用地、森林等の有効な利用への転換を図るものとする。
(4) 水面、河川および水路については、河川はん濫地域における安全性の確保、水資源の開発、農業用等の用排水路の整備等に要する水面および用地の確保を図る。
また、水面および河川の整備に当たっては、地域住民の生活等の確保に十分配意して行うとともに、その自然環境が損なわれないよう配意する。
(5) 道路のうち、一般道路については、県土の有効利用および良好な生活基盤等の整備を進めるため、これに必要な用地の確保を図る。一般道路の整備に当たっては、周辺の自然環境および地域住民の生活環境の保全等に十分配慮して行うものとする。また、農林道については、農林業の生産性の向上および農林地の適正な管理を図るため積極的に整備拡充を行い、これに必要な用地の確保を図る。農林道の整備に当たっては、自然環境の保全に十分配慮する。
(6) 宅地のうち、住宅地については、今後とも人口および世帯数の増加等によって土地の需要の増加が予想されるので、望ましい居住水準を目標として、生活関連施設の整備を進めながら、必要な用地の確保を図る。
また、都市の規模や機能に応じて、必要な緑の空間の確保等居住環境の整備を図りつつ、市街地の再開発の促進等により土地利用の高度化を図るものとする。
工場用地については、安定した県民所得の向上を図るため、今後も工業生産の拡大に必要な用地の確保が必要であるので、環境の保全等に十分配慮しながら、その確保を図る。また、新規の立地に当たっては、地域産業および地域住民との調和を図りながら適地を選択し、立地していくとともに、緑の空間の確保、公害の防止、環境の保全対策等に十分配意して推進する。
(7) 以上のほか、文教施設、公園緑地、福祉施設、交通施設等の公共用施設等の用地については、県民生活上欠くことのできないものであるので、環境の保全およびその配置に留意しながら、必要な用地の確保を図るものとする。
(8) 市街地(人口集中地区)については、都市人口の増加に対応して、市街地面積の拡大が見込まれる。このことと関連して、都市的土地利用については、農林業的な土地利用との計画的な調整を図るとともに、市街地およびその周辺にわたる地域においては、環境の保全に配意しつつ都市施設の整備を推進し、計画的に市街地等の整備を図るものとする。
(9) 海岸および沿岸海域については、今後、調査検討を進め、早期にその利用および保全の基本方向を定めるものとする。
第2 県土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標およびその地域別の概要
1 県土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標
(1) 計画の目標年次は昭和60年とし、基準年次は昭和47年とする。
(2) 県土の利用に関して基礎的な前提となる人口と普通世帯数については、昭和60年においてそれぞれおよそ857,000人、245,000世帯に達するものと想定する。
(3) 県土の利用区分は、農用地、森林、宅地等の地目区分および市街地とする。
(4) 県土の利用区分ごとの規模の目標については、利用区分別の県土の利用の現況と変化についての調査に基づき、将来の人口等を前提とし、用地原単位等をしんしゃくして、利用区分別に必要な土地の面積を予測し、土地利用の実態との調整を行い、定めるものとする。
(5) 県土の利用に関する基本構想に基づく昭和60年の利用区分ごとの規模の目標は、次表のとおりである。
表 県土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標
(単位:ha、%)
年次 利用区分 | 昭和47年 | 昭和50年 | 昭和60年 | 構成比 | ||
47年 | 50年 | 60年 | ||||
農用地 | 54,080 | 51,820 | 49,040 | 12.9 | 12.4 | 11.7 |
農地 | 54,010 | 51,750 | 49,000 | 12.9 | 12.4 | 11.7 |
採草放牧地 | 70 | 70 | 40 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
森林 | 316,380 | 313,600 | 307,760 | 75.5 | 74.9 | 73.4 |
原野 | 770 | 770 | 290 | 0.2 | 0.2 | 0.1 |
水面・河川・水路 | 11,360 | 11,520 | 12,780 | 2.7 | 2.8 | 3.0 |
道路 | 8,470 | 9,590 | 12,490 | 2.0 | 2.3 | 3.0 |
宅地 | 10,540 | 11,430 | 14,430 | 2.5 | 2.7 | 3.4 |
住宅地 | 8,260 | 8,760 | 10,300 | 2.0 | 2.1 | 2.5 |
工場用地 | 1,580 | 1,760 | 2,860 | 0.4 | 0.4 | 0.7 |
事務所・店舗等の宅地 | 700 | 910 | 1,270 | 0.2 | 0.2 | 0.3 |
その他 | 17,210 | 20,100 | 22,390 | 4.1 | 4.8 | 5.3 |
合計 | 418,810 | 418,830 | 419,180 | 100 | 100 | 100 |
市街地 | 3,720 | 4,620 | 6,800 | 0.9 | 1.1 | 1.6 |
(注)
1 道路は、一般道路および農林道である。
2 市街地は、「国勢調査」の定義による人口集中地区である。
2 地域別の概要
(1) 地域の区分は、福井県における自然的、社会的および経済的諸条件を勘案して、嶺北地域および嶺南地域の2区分とする。
(2) 計画の目標年次、基準年次、県土の利用区分および利用区分ごとの規模を定める方法は、1に準ずるものとする。
(3) 昭和60年における県土の利用区分ごとの規模の目標の地域別概要は、次のとおりである。
ア 農用地については、嶺北地域では、宅地、道路、森林等への転換により9パーセント程度減少するが、地域の特性に即した農地造成を図ることによって多少減少が抑えられ、40,160ヘクタール程度となる。嶺南地域では、若干の農地造成があるものの、宅地、道路等への転換により約1割強減少し、8,880ヘクタール程度となる
イ 森林については、嶺北地域では、農用地、水面、宅地等への転換により、約2パーセントの4,720ヘクタール程度が減少し、221,210ヘクタール程度となる。嶺南地域においては、道路、宅地等への転換により約4パーセントの3,900ヘクタール程度が減少し、86,550ヘクタール程度となる。
ウ 原野については、嶺北地域では農用地、森林等への転換により480ヘクタール程度減少し、280ヘクタール程度となる。嶺南地域では、自然環境の保全の見地から微減にとどめる。
エ 水面、河川および水路については、嶺北地域では、新規の水面用地を確保することにより1,250ヘクタール程度増加し、9,530ヘクタール程度となる。嶺南地域では、若干増となり3,250ヘクタール程度となる。
オ 道路については、両地域とも大きく増加し、嶺北地域では9,460ヘクタール程度、嶺南地域では3,030ヘクタール程度になる。
カ 宅地のうち住宅地については、嶺北地域では約25パーセント増の8,370ヘクタール程度、嶺南地域では約23パーセント増の1,930ヘクタール程度となる。工場用地については、嶺北地域では臨海工業地帯の造成等により大きく増加し2,490ヘクタール程度、嶺南地域では2割増の370ヘクタール程度となる。事務所、店舗等の宅地については、嶺北地域では1,050ヘクタール程度、嶺南地域では220ヘクタール程度となる。
キ 市街地の面積については、都市人口の増加等により、嶺北地域では5,700ヘクタール程度、嶺南地域では1,100ヘクタール程度となる。
第3 第2に掲げる事項を達成するために必要な措置の概要
第2に掲げる事項を達成するために必要な措置の概要は、次のとおりである。
1 国土利用計画法等の適切な運用および計画の調整
(1) 国土利用計画法に基づく福井県土地利用基本計画に必要な改定を加え、この土地利用基本計画に即し、必要に応じて都市計画法、農業振興地域の整備に関する法律、森林法、自然公園法、自然環境保全法等に基づく諸計画を見直し、必要な改定を行い、公害の防止、自然環境および農林地の保全、歴史的風土の保存、治山、治水等を配慮した県土の総合的かつ計画的な利用を図るものとする。
(2) 国土利用計画法に基づく規制区域の指定、土地取引きの届出等同法の適正な運用を図ることにより、投機的取引きの排除や地価の高騰を抑制し、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るものとする。
(3) 一定規模以上の土地開発については、土地利用規制関係法令等により土地利用の転換に際して予測される種々の問題を総合的に検討して適切な指導を行うものとする。
(4) 国土利用計画法、土地利用規制関係法令等を総合的かつ適正に運用するため、関係機関相互の連携を強化し、かつ、充実して各部門における土地利用の総合調整および土地対策の推進のための制度の調査および研究を行う等土地に関する諸問題に適切に対処していくものとする。
(5) 県土に関する情報等が未整備であるので、県土の科学的かつ総合的な把握を一層充実するため、県土に関する基礎的な調査を推進する。
2 土地利用に係る総合的環境整備の推進
(1) 都市化の進展および過疎の問題に適切に対処するため、地域の特性を生かした地域の整備のための諸施策を推進し、都市および農山漁村における総合的な環境の整備を積極的に進める。
ア 農山漁村においては、食糧の安定供給の機能だけでなく豊かな居住空間や管理された緑の自然環境としての役割を果していることを重視し、生産基盤の整備と併せて居住環境の総合的整備を促進する。
イ 都市の良好な生活環境を確保するため、市街地において緑の創造、保全および利用に必要な緑地等を積極的に確保し、かつ、整備を図る。
(2) 良好な環境を確保するため、開発行為等については、環境影響評価を実施すること等により、土地利用の適正化を図る。
(3) 公害防止および環境の保全を図るため、道路等の交通施設について緑地帯の設置、住宅の移転等を含む周辺対策等を推進する。また、住・工混在地区にあっては、工場等の移転により解消を図り、緩衝緑地の設置、廃棄物の処理用地の確保等を推進する。
(4) 地域社会の安全を確保するため、工場等の立地、市街地の整備等に当たり、十分な防災上の配慮を加え、適正かつ計画的な土地利用を図る。
3 土地利用転換の適正化
(1) 農用地の利用転換については、食糧生産の確保、農業経営の安定および地域農業に及ぼす影響に留意し、非農業的土地利用との計画的な調整を図りつつ、無秩序な転用を抑制し、優良農用地が確保されるよう十分考慮して行うものとする。
(2) 森林の利用転換については、機能の高い森林の転用を避け、林業経営の安定等に留意しつつ、災害の発生、環境の悪化、水源かん養および保健休養の場の確保に十分考慮して、周辺の土地利用との調整を図り、行うものとする。
(3) 大規模な土地利用の転換については、その影響が広範であるため、周辺地域をも含めて事前に十分な調査を行い、県土の保全、環境の保全等を図りつつ、適正な土地利用の確保を図るものとする。
4 土地の有効利用の促進
(1) 農用地については、土地改良、農用地の造成等農業基盤の整備を計画的に推進するとともに、農用地の高度利用を促進するため、不作付地の解消、裏作作付の拡大等の必要な措置を講じ、これらに関連して中核農家への農用地利用権の集積対策、農業生産物の安定的な価格保証、農業生産の担い手の育成等の総合的な対策を更に積極的に充実する。
(2) 森林については、森林が有する木材生産機能および自然環境の保全等の公益的機能を増進するため、地域森林計画に即した森林施業計画制度の充実および林地開発許可制度の適正な運用を図るとともに、人工造林の推進、森林整備事業、林道網の拡充等の林業基盤の計画的整備を積極的に推進する。また、旧薪炭林地等のうち、低位利用にあるものについては、地域の条件に応じ、自然環境の保全に配意しつつ、その有効な利用を図る。
(3) 水面、河川および水路のうち水面については、災害防止および今後予想される水資源のひっ迫に対処するため、多目的ダム等の設置を促進する。河川については、災害の発生を防止するため、計画的に河川改修事業を行うとともに環境保全に配意しつつ、その整備を図る。水路については、土地改良事業等を行い、計画的な整備を図る。
(4) 道路のうち一般道路については、幹線道路、都市周辺道路および生活道路を重点的に整備するとともに、従来の交通空間に加えて、歩道、植樹帯等を含む環境空間の確保に努める。農林道については、土地改良事業、林道事業等を推進することにより、その整備を図る。
(5) 住宅地については、宅地水準の向上、健全な不動産の取得能力の育成等を図りながら、土地区画整理事業を積極的に推進するとともに、公共および民間による計画的な宅地供給の促進を図る。また、都市地域においては、市街地の再開発を促進するとともに、オープンスペースの確保と居住環境の整備を図りつつ、土地の高度利用を図る。
(6) 工場用地については、地域産業との有機的関連および地域社会との調和に留意しながら適地に工業の立地を促進するとともに、工場立地法による工場敷地と生産施設、緑地等との割合、工業用水の合理化、公害防止等に十分配意しつつ、可能な限り、計画的に工業団地の造成を図る。
(7) 遊休地については、国土利用計画法による遊休土地制度の適切な運用等により、その有効かつ適切な利用を図る。
(8) その他の土地利用のうち、文教施設、環境衛生施設、福祉施設等の公共施設用地、文化財、史跡等用地、レクリエーシヨン用地等については、周辺地域の環境、地域の人口、交通体系、既存施設の実態等に配意し、適正な配置とその確保を図る。
参考付表 地域別の利用区分ごとの規模の目標
(単位:ha、%)
地域・年次 利用区分 | 嶺北地域 | 嶺南地域 | ||||||||||
昭和47年 | 昭和50年 | 昭和60年 | 構成比 | 昭和47年 | 昭和50年 | 昭和60年 | 構成比 | |||||
47年 | 50年 | 60年 | 47年 | 50年 | 60年 | |||||||
農用地 | 44,090 | 42,430 | 40,160 | 14.3 | 13.7 | 13.0 | 9,990 | 9,390 | 8,880 | 9.1 | 8.6 | 8.1 |
農地 | 44,090 | 42,430 | 40,160 | 14.3 | 13.7 | 13.0 | 9,920 | 9,320 | 8,840 | 9.0 | 8.5 | 8.1 |
採草放牧地 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | 70 | 70 | 40 | 0.1 | 0.1 | 0.0 |
森林 | 225,930 | 226,130 | 221,210 | 73.1 | 73.2 | 71.5 | 90,450 | 87,470 | 86,550 | 82.4 | 79.7 | 78.8 |
原野 | 760 | 760 | 280 | 0.2 | 0.2 | 0.1 | 10 | 10 | 10 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
水面・河川・水路 | 8,280 | 8,420 | 9,530 | 2.7 | 2.7 | 3.1 | 3,080 | 3,100 | 3,250 | 2.8 | 2.8 | 2.9 |
道路 | 6,420 | 7,330 | 9,460 | 2.1 | 2.4 | 3.1 | 2,050 | 2,260 | 3,030 | 1.9 | 2.1 | 2.8 |
宅地 | 8,540 | 9,180 | 11,910 | 2.8 | 3.0 | 3.8 | 2,000 | 2,250 | 2,520 | 1.8 | 2.1 | 2.3 |
住宅地 | 6,690 | 7,000 | 8,370 | 2.2 | 2.3 | 2.7 | 1,570 | 1,760 | 1,930 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
工場用地 | 1,270 | 1,430 | 2,490 | 0.4 | 0.5 | 0.8 | 310 | 330 | 370 | 0.3 | 0.3 | 0.3 |
事務所・店舗等の宅地 | 580 | 750 | 1,050 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 120 | 160 | 220 | 0.1 | 0.1 | 0.2 |
その他 | 15,070 | 14,840 | 16,810 | 4.9 | 4.8 | 5.4 | 2,140 | 5,260 | 5,580 | 2.0 | 4.8 | 5.1 |
合計 | 309,090 | 309,090 | 309,360 | 100 | 100 | 100 | 109,720 | 109,740 | 109,820 | 100 | 100 | 100 |
市街地 | 2,940 | 3,750 | 5,700 | 1.0 | 1.2 | 1.8 | 780 | 870 | 1,100 | 0.7 | 0.8 | 1.0 |