○福井県アスベストによる健康被害の防止に関する条例
平成17年10月11日
福井県条例第67号
福井県アスベストによる健康被害の防止に関する条例を公布する。
福井県アスベストによる健康被害の防止に関する条例
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 アスベストの排出等の規制(第9条―第22条)
第3章 アスベスト吹付け材使用建築物に関する措置(第23条―第25条)
第4章 災害時等におけるアスベストによる健康被害を防止するための措置(第26条)
第5章 雑則(第27条―第30条)
第6章 罰則(第31条―第36条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、大気中に排出され、または飛散したアスベストによる県民の健康被害(以下「アスベストによる健康被害」という。)を防止するため、県および事業者の責務等を明らかにするとともに、国が講ずる措置のほか、アスベストの排出等の規制、アスベスト吹付け材使用建築物に関する措置および災害時等における措置を講じ、もって県民が安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) アスベスト 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第8項の石綿をいう。
(2) アスベスト発生施設 工場または事業場(以下「工場等」という。)に設置される施設のうち、アスベストを発生し、および排出し、または飛散させる施設(大気汚染防止法第2条第10項に規定する特定粉じん発生施設(以下「特定粉じん発生施設」という。)を除く。)であって規則で定めるものをいう。
(3) アスベスト吹付け材 アスベストを含有する吹付け材で規則で定めるものをいう。
(4) アスベスト吹付け材使用建築物 壁、柱、天井等にアスベスト吹付け材が使用されている建築物をいう。
(一部改正〔平成18年条例13号・30年5号〕)
(県の責務)
第3条 県は、アスベストによる健康被害の防止に関し、その講ずべき施策(以下「アスベスト健康被害防止施策」という。)を総合的に実施するものとする。
2 県は、アスベスト健康被害防止施策の適切かつ効果的な実施を図るため、国に対し、適切な措置を速やかに講ずるよう求めるものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って発生し、または飛散するアスベストを大気中に排出し、または飛散させないようにするために必要な措置を講ずるとともに、県が実施するアスベスト健康被害防止施策に協力しなければならない。
(県民の努力)
第5条 県民は、アスベストの特性に関する理解を深め、アスベストを大気中に排出し、または飛散させないように努めるとともに、県が実施するアスベスト健康被害防止施策に協力するように努めるものとする。
(市町との連携協力)
第6条 県は、市町と連携し、および協力して、アスベスト健康被害防止施策を実施するものとする。
(一部改正〔平成17年条例65号〕)
(研修の実施等)
第7条 県は、アスベスト健康被害防止施策の効果的かつ効率的な推進を図るための研修の実施、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(相談および情報の提供等)
第8条 県は、事業者および県民に対し、アスベストによる健康被害およびアスベストを大気中に排出し、または飛散させないようにするための措置について相談に応じ、ならびに必要な情報の提供および助言を行うものとする。
第2章 アスベストの排出等の規制
(敷地境界基準)
第9条 アスベスト発生施設に係る隣地との敷地境界における規制基準(以下「敷地境界基準」という。)は、アスベスト発生施設を設置する工場等における事業活動に伴い発生し、または飛散するアスベストで工場等から大気中に排出され、または飛散するものについて、工場等の敷地の境界線における大気中の濃度の許容限度として、規則で定める。
2 知事は、敷地境界基準を定めようとするときは、福井県環境審議会の意見を聴かなければならない。これを変更し、または廃止しようとするときも同様とする。
(アスベスト発生施設の設置等の届出)
第10条 アスベストを大気中に排出し、または飛散させる者は、アスベスト発生施設を設置しようとするときは、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
(1) 氏名または名称および住所ならびに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 工場等の名称および所在地
(3) アスベスト発生施設の種類
(4) アスベスト発生施設の構造
(5) アスベスト発生施設の使用の方法
(6) アスベストの処理または飛散の防止の方法
2 前項の規定による届出には、アスベスト発生施設の配置図、アスベストの排出の方法その他の規則で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
(経過措置)
第11条 1の施設がアスベスト発生施設となった際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)であってアスベストを大気中に排出し、または飛散させるものは、当該施設がアスベスト発生施設となった日から30日以内に、規則で定めるところにより、前条第1項各号に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
(計画変更勧告等)
第12条 知事は、第10条第1項または第3項の規定による届出があった場合において、その届出に係るアスベスト発生施設が設置される工場等の敷地の境界線における大気中のアスベストの濃度が敷地境界基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から30日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係るアスベスト発生施設の構造もしくは使用の方法もしくはアスベストの処理の方法もしくは飛散の防止の方法に関する計画の変更(同条第3項の規定による届出に係る計画の廃止を含む。次条において同じ。)または同条第1項の規定による届出に係るアスベスト発生施設の設置に関する計画の廃止を勧告することができる。
(氏名の変更等の届出)
第15条 第10条第1項または第11条第1項の規定による届出をした者は、その届出に係る第10条第1項第1号もしくは第2号に掲げる事項に変更があったとき、またはその届出に係るアスベスト発生施設の使用を廃止したときは、その日から30日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。
(敷地境界基準の遵守義務)
第17条 アスベスト発生施設を設置する工場等における事業活動に伴い発生し、または飛散するアスベストを工場等から大気中に排出し、または飛散させる者(以下「アスベスト排出者」という。)は、敷地境界基準を遵守しなければならない。
(改善命令等)
第18条 知事は、アスベスト排出者が排出し、または飛散させるアスベストの当該工場等の敷地の境界線における大気中の濃度が敷地境界基準に適合しないと認めるときは、当該アスベスト排出者に対し、期限を定めて当該アスベスト発生施設の構造もしくは使用の方法の改善もしくはアスベストの処理の方法もしくは飛散の防止の方法の改善を命じ、または当該アスベスト発生施設の使用の一時停止を命ずることができる。
2 1の施設がアスベスト発生施設となった際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)の当該施設において発生し、大気中に排出し、または飛散するアスベストの当該工場等の敷地の境界線における大気中の濃度が敷地境界基準に適合しない場合については、前項の規定は、当該施設がアスベスト発生施設となった日から6月間は、適用しない。
(アスベストの濃度の測定)
第19条 アスベスト排出者は、規則で定めるところにより、その工場等の敷地の境界線における大気中のアスベストの濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならない。
(事故時における措置)
第20条 アスベスト排出者または大気汚染防止法第18条の10に規定する特定粉じん排出者は、その設置するアスベスト発生施設または特定粉じん発生施設について故障、破損その他の事故が発生し、当該施設を設置する工場等からアスベストを大気中に排出し、もしくは飛散させたことにより当該工場等の敷地の境界線における大気中のアスベストの濃度が敷地境界基準に適合しないものとなったとき、またはそのおそれがあるときは、直ちに、その事故について応急の措置を講ずるとともに、規則で定めるところにより、速やかに当該事故の状況およびその講じた措置の概要を知事に届け出なければならない。この場合において、当該届出をした者は、当該事故を速やかに復旧するように努めなければならない。
2 知事は、前項前段の規定により応急の措置を講じなければならない者が当該措置を講じていないと認めるときは、その者に対し、当該措置を講ずべきことを命ずることができる。
3 第1項の規定により届出をした者は、その届出に係る事故について復旧工事を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。
(アスベスト排出等防止管理責任者)
第21条 規則で定める工場等においてアスベストを大気中に排出し、または飛散させる者は、規則で定めるところによりアスベスト排出等防止管理責任者を選任するとともに、その者に、当該工場等からアスベストを大気中に排出し、または飛散させないように作業の方法、施設の維持等について十分な管理を行わせなければならない。
2 前項の規定によりアスベスト排出等防止管理責任者を選任した者は、選任の日から30日以内に、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
(特定粉じん排出等作業の完了の届出)
第22条 大気汚染防止法第18条の17第1項に規定する届出対象特定工事(以下「届出対象特定工事」という。)の発注者(建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者をいう。)または届出対象特定工事を請負契約によらないで自ら施工する者は、同法第2条第11項に規定する特定粉じん排出等作業を完了したときは、その日から7日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。
(一部改正〔平成18年条例13号・26年7号・30年5号・令和3年7号〕)
第3章 アスベスト吹付け材使用建築物に関する措置
(建築物所有者等の努力)
第23条 建築物の所有者、管理者または占有者(次条において「建築物所有者等」という。)は、その所有し、管理し、または占有する建築物がアスベスト吹付け材使用建築物である場合において、当該建築物に使用されているアスベスト吹付け材の損傷、劣化等によりアスベストを大気中に排出し、または飛散させることのないよう、当該アスベスト吹付け材の除去、封じ込め、囲い込みその他のアスベストの大気中への排出および飛散を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
(措置に関する指針)
第24条 知事は、前条に規定する措置の実施を促進するために、当該措置に関し必要な指針を定めるものとする。
2 前項に規定する指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 建築物がアスベスト吹付け材使用建築物であるかどうかについて建築物所有者等が行う調査の方法に関する事項
(2) 前条に規定する措置の実施の方法に関する事項
3 知事は、第1項に規定する指針を定め、または変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
(勧告等)
第25条 知事は、アスベスト吹付け材使用建築物に使用されているアスベスト吹付け材の損傷、劣化等により大気中に排出され、または飛散したアスベストが県民の健康に被害を生じさせ、またはそのおそれがあると認めるときは、当該アスベスト吹付け材使用建築物の所有者、管理者または占有者に対し、当該アスベスト吹付け材の除去、封じ込め、囲い込みその他のアスベストの大気中への排出および飛散を防止するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 知事は、前項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、当該アスベスト吹付け材使用建築物またはその敷地に立ち入り、当該アスベスト吹付け材使用建築物を検査させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 第2項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
第4章 災害時等におけるアスベストによる健康被害を防止するための措置
(アスベスト吹付け材使用建築物等に関する台帳の整備等)
第26条 知事は、アスベストによる健康被害を防止するための適切な措置を講ずることができるよう、アスベスト吹付け材使用建築物(規則で定める面積以上のものに限る。次項において同じ。)、届出対象特定工事に係る建築物およびアスベスト発生施設または特定粉じん発生施設を設置する工場等(以下この条において「アスベスト吹付け材使用建築物等」という。)に関する台帳の整備に努めるものとする。
2 前項に規定する台帳の記載事項は、次に掲げる事項とする。
(1) アスベスト吹付け材使用建築物等の所在地
(2) アスベスト吹付け材使用建築物および届出対象特定工事に係る建築物にあっては、当該建築物におけるアスベスト吹付け材の使用箇所および使用面積
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項
4 知事は、災害が発生した場合において、当該災害により被害を受けたアスベスト吹付け材使用建築物等から大気中に排出され、または飛散したアスベストが県民の健康に被害を生じさせ、またはそのおそれがあると認めるときは、県民の健康被害を防止するため、その必要な限度において、アスベスト吹付け材使用建築物等に関する情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(一部改正〔平成18年条例13号・令和3年7号〕)
第5章 雑則
(報告の徴収)
第27条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、アスベスト排出者に対し、アスベスト発生施設の状況その他必要な事項の報告を求めることができる。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
(立入検査)
第28条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、アスベスト排出者の工場等に立ち入り、アスベスト発生施設その他の物件を検査させることができる。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
(適用除外)
第29条 この条例の規定は、市町が条例でこれらに相当する規定を定めたときは、当該市町の区域については、適用しない。
(一部改正〔平成17年条例65号・18年13号〕)
(規則への委任)
第30条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
第6章 罰則
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
第32条 第20条第2項の規定による命令に違反した者は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
第34条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(1) 第11条第1項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をした者
(2) 第14条第1項の規定に違反した者
(3) 第27条の規定による報告をせず、または虚偽の報告をした者
(4) 第28条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、または忌避した者
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
第35条 第20条第1項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をした者は、5万円以下の罰金に処する。
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
(一部改正〔平成18年条例13号〕)
附則
附則(平成17年条例第65号)抄
(施行期日)
1 この条例は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
(1)から(4)まで 略
(5) 前各号および次号に掲げる規定以外の規定 平成18年3月3日
附則(平成18年条例第13号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則(平成26年条例第7号)
(施行期日等)
1 この条例は、公布の日から起算して4月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
(平成26年規則第30号で平成26年6月1日から施行)
2 この条例による改正後の第22条の規定は、この条例の施行の日以後に大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成25年法律第58号)による改正後の大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第18条の15第1項または第2項の規定による届出がされた同法第2条第12項に規定する特定粉じん排出等作業について適用する。
附則(平成30年3月22日条例第5号)
この条例は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和3年3月22日条例第7号)
この条例は、令和3年4月1日から施行する。