内水面の知識(情報コーナー)

最終更新日 2023年7月7日ページID 003935

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福井県内水面漁業の概要

 福井県の内水面漁業は、河川漁業と湖沼漁業および内水面養殖業に大別できます。内水面漁業における令和4年の総漁獲量は20トンで、そのほとんどがアユとなっています。その他ではフナやサクラマス(ヤマメ)等が漁獲されていますが、その量はわずかです。
 

1.河川漁業

 県内を流れる河川は24水系201河川があり、その総延長は1,353kmに及んでいます。このうち1級河川は九頭竜川と北川の2河川で、他は2級河川となっています。
 県内の主要河川のほとんどに第5種共同漁業権が設定され、関係地区の漁業協同組合が免許を受け維持管理を行っています。
 主な漁業権魚種はアユ、イワナ、ヤマメ、コイ、フナで、その他にニジマス、アジメ(アジメドジョウ)、モクズガニなどがあります。
 令和4年の稚アユの放流量は29トンで、このうち当センター産の人工種苗が約3.5トンです。近年は、琵琶湖産稚アユに変わり、健康で優れた性質を持ち、再生産も期待できる海産系稚アユの放流割合が伸びています。
 一方、渓流釣りの対象となる魚類については、令和4年にはヤマメ1,883㎏、イワナ1,052㎏が放流されています。また近年、サクラマス(ヤマメ降海型)目的の遊漁者も多く訪れています。
 その他の漁業としては、漁獲量は少ないですが小浜市の南川、北川と敦賀市の笙の川の河口で春先イサザ漁が行われ、生きたイサザ(シロウオ)の躍り食いが珍重されています。九頭竜川では、アラレガコ(カマキリ)が年々減少し、資源の保護が課題となっています。

 

2.湖沼漁業

 県内には、嶺北に北潟湖、嶺南には三方五湖(内水面としては日向湖を除く4湖)があります。
 これらの湖では、コイ、フナ、ウナギを主とした漁業が行われてきましたが、近年一般の釣り愛好家にも漁場が開放され、広く利用されています。
 湖沼における令和4年における稚魚の放流量は、フナ1,410㎏、ウナギ680㎏です。ワカサギ卵については、入手元の生産が不安定で、安定的に入手できないことが問題となっています。コイについては、コイヘルペスウイルス病の蔓延防止のため、平成16年から放流されていません。
 漁法については、延縄、柴漬け漁、ウナギ筒が主体ですが、三方湖において行われるタタキ網漁、北潟湖の寒ブナ漁は冬の風物詩となっています。
 

3.内水面養殖業

 令和4年の内水面養殖生産量は4トン(マス類、コイ)ですが、平成10年は85トン、平成20年は13トンであり、減少傾向が続いています。

 

釣りをするみなさんへ 

 川や湖で釣りをする場合、それぞれの川、湖には管理する漁業協同組合に対し漁業権が免許されています。この漁業権とは魚を採捕する権利のことです。
 これらの漁協には漁業権の内容になっている魚種の増殖と漁場の管理が義務づけられています。そこでみなさんは遊漁料を支払って釣りをするわけですが、これらの「遊漁料の額」は適正であるよう県の許可によって決められています。
 釣りをする場合「水産資源保護」のためいろいろな規制があります。たとえば禁止期間、禁止区域、漁具・漁法の禁止や制限、採捕の制限などです。詳しくは福井県漁業調整規則に定められていますので、川や湖で釣りをするときは、これらのことを十分ご承知いただいた上でお楽しみください。

 川と湖のルール&マナーはこちら
   http://info.pref.fukui.jp/suisan/rlmn/umi/kenri/index.html

 福井県漁業調整規則はこちら
   http://info.pref.fukui.jp/suisan/rlmn/umi/kenri/naisuikisoku.pdf

お願い!
★各地の河川・湖沼で、密放流から増えたと思われるブラックバス(オオクチバス、コクチバス)・ブルーギルなどの外来魚が大きな問題になっています。これらの外来魚は、アユ、フナ、エビ等の在来魚種やその卵を食べる等、漁業資源や生態系に重要な影響を与えています。ブラックバス等は「特定外来生物」に指定されており、生きた魚を河川・湖沼に移植・放流することはもとより、移動すること、飼育すること、譲渡することも法律で固く禁止されています。釣り上げたブラックバスやブルーギルは再放流せず、適切に処分していただきますようお願いします。

★最近、釣り針、釣り糸によるケガ、鳥や水産動物にもビニール袋の飲込みなどの被害が出ています。釣り具はもちろんのこと、釣り餌の残りやゴミは必ず持ち帰りましょう。 美しい自然豊かな環境をいつまでも大切にしたいものです。
 

ふくいの淡水魚ミニ知識

アラレガコ

 アラレガコは、標準和名を「カマキリ」といい、福井では「ガコブツ」、他県では「アユカケ」と呼ばれることもあります。えらぶたに4本のとげの様なものがあるのがアラレガコで(1本ならカジカ)、それでアユをひっかけて食べるともいわれていますが、「アユカケ」はおそらくイメージからくる呼称(名前)のようです。
 本県では、カジカ、ハゼ類(ハゼのような姿の魚)はガコと呼ばれています。それは、顎(ガク:あごの事)からくる名前と考えられます。アラレガコは、国内淡水域に生息するカジカ類の中で最大で、全長30cmになります。
 アラレガコは、「あられ(霰)」が降る時期になると川を下って産卵するといわれ、それを網戸網(あどあみ)やエバなどの漁法で漁獲します。晩秋から初冬にかけて腹を上に向けて水に浮かび、この時期に降る「あられ(霰)」に腹面を打たせることから、アラレガコと呼ばれていますが、実際には、川の中ほどの層を流れ下るため、「あられ」に腹面を打たせることはありません。
 11~1月頃、産卵のため降海します。河口にある石の裏などに産卵し、雄が卵を守ります。孵化した仔魚は、海のプランクトンを食べて成長します。翌年春から夏、産卵を終えた親やその年に生まれた子どもが川を上ります。全長10cmくらいまでは水中にいる昆虫、それ以上になると魚等を食べて大きくなります。
 昭和の頃には、年間10,000尾近く捕獲されていましたが、今では獲る漁業もなくなり、年間100尾も漁獲されなくなりました。
 料理方法としては唐揚げ、茶炊き、活造り、卵と白子の山菜煮物などにして食べると、とても美味しい魚です。
 なお、アラレガコの生息域である大野市阪谷橋から福井市中角橋までが、「アラレガコ生息地」として国の天然記念物指定地区とされています。
 

アジメドジョウ

 アジメドジョウは、中部地方と近畿地方に分布しており、河川の中・上流域に生息しています。本県では、九頭竜川水系(九頭竜川、真名川、足羽川、日野川、竹田川等)、笙の川および河野川の中・上流域で生息が確認されています。
 初夏から秋にかけて、付着珪藻や水生昆虫などを摂餌して活発に行動していますが、秋の終わり頃になると、湧き水のある穴の中に入り込んで、冬の間冬眠状態で過ごすと考えられています。
 雌は穴の中で100個程度の少ない卵を産みます。春になると清流をチョロチョロと動き回る稚魚を見ることができます。
 大野市(旧和泉村)では、アジメドジョウが流れを遡る習性を利用した「滝わけ漁(アジメ落し)」で漁獲されています。揚げ物にすると、たいへん美味しい魚です。
 なお本種は、「県域絶滅危惧2.類」に指定されています。【福井県レッドデータブック(動物編)参照】
 

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