職場のトラブルQ&A ~産前・産後休業や育児休業の取得~

最終更新日 2022年4月27日ページID 000298

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 私は、従業員5人の会社で勤務しており、今年で3年目です。先日妊娠していることがわかり、社長に報告したところ、出産までに退職するよう促されました。私は出産後もこの会社で働きたいと思っているのですが、このような小さな会社では出産休暇や育児休業は取得できないのでしょうか。
 

 労働基準法では、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性および産後8週間を経過しない女性は、産前産後休業することができると定めています。さらに、産前産後休業中とその後30日間は、この労働者を解雇することはできません。
 また、男女雇用機会均等法では、労働者が妊娠、出産、産前産後休業を取得したことを理由として解雇することは、禁止されています。形式的には退職勧奨でも、事業主の有形無形の圧力によりやむを得ず応ずることとなり、労働者の真意でないと認められる場合は解雇に含まれます(参考:「妊娠による退職勧奨」)。
 さらに、育児・介護休業法では、子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間(特別の事情がある場合は子が最長2歳に達する日まで)、育児休業を取得することができます。これは、期間の定めのないパートタイム労働者や、一定の範囲の期間雇用者も対象となります。
 また、育児休業の申出をしたこと、または休業したことを理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止されています。
 事業主は、企業規模に関わらず、産前産後休業、育児休業を拒むことはできません。
 まずは、出産後も勤務を続けたいこと、産前産後休業や育児休業の制度が法律で定められていることを会社に伝え、十分に話し合ってください。
 

解説

産前・産後休業について

 産前・産後休業は、女性労働者が出産予定日を基準に、産前6週間(多胎妊娠は14週間)と産後8週間は休業することができるもので、当該女性が請求をすれば、使用者はその者を就業させてはならないと労働基準法第65条に規定されています。当該女性が休業の請求をしたにもかかわらず、使用者が就業させると同法違反となり、処罰の対象となります。
 なお、産後6週間を経過した女性が就業を請求した場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。ただし、産後6週間は、当該女性の請求と否とにかかわらず、また、事業の正常な運営が阻害されても、休ませなければいけません。
 なお、出産日当日は産前休業に含まれます。 

育児休業について

 育児休業は、法律に基づき労働者が請求できる権利です。仮に勤務先の就業規則に規定がない場合でも、男女を問わず労働者(日々雇用を除く)は、事業主に申し出ることにより、子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間(両親ともに育児休業を取得する場合は子が1歳2か月に達する日までの間に1年間)、雇用を継続したまま育児休業を取得することができます。
 期間の定めのないパートタイム労働者、一定の範囲の期間雇用者(注)も対象となります。
 

(注)一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において次の(1)、(2)のいずれにも該当する労働者をいいます。
(1)同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること(令和4年4月に廃止。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することは可能)
(2)子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと。(育児休業の申出があった時点で労働契約の期間満了や更新が無いことが確実であるか否かによって判断されます。)
 

 また、子が1歳に達する日において本人または配偶者が育児休業している場合で、保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合には、子が1歳6か月に達する日まで育児休業を取得することができます。さらに、子が1歳6か月に達する日において、本人または配偶者が育児休業している場合で、保育所に入所できない等、1歳6か月を超えても休業が特に必要と認められる場合には、子が2歳に達する日まで育児休業を取得することができます(この場合、(注)(2)は「子が2歳に達する日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと」となります)。

改正育児・介護休業法の施行(令和4年4月から3段階で施行)

1 育児休業申出・取得を円滑にするための事業主の措置が義務化【令和4年4月1日施行】

(1)育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(1~4のいずれかの措置を義務化)

  1. 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  2. 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口や相談対応者の設置)
  3. 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  4. 自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

(2)妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認(1~4全て行う)

  1. 育児休業・産後パパ育休に関する制度(制度の内容など)
  2. 育児休業・産後パパ育休の申出先(例:「人事課」、「総務課」など)
  3. 育児休業給付に関すること(例:制度の内容など)
  4. 労働者が育児休業・産後パパ育休期間において負担すべき社会保険料の取扱い

2 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和【令和4年4月1日施行】

  • 有期雇用労働者の「入社1年以上」要件を廃止(ただし、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可能)

3 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設【令和4年10月1日施行】

  • 子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能
  • 原則、休業の2週間前までに申出(雇用環境の整備などについて、法を上回る取組を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることが可能)
  • 2回まで分割して取得可能(2回分まとめて申し出する必要あり)
  • 労使協定を締結している場合に限り、労働者が個別に合意した範囲で休業中に就業することができる(就業可能日数等には上限あり)

4 育児休業制度の変更【令和4年10月1日施行】

(1)1歳までの育児休業

  • 2回まで分割取得可能(取得の際にそれぞれ申し出)

(2)特に必要と認められる場合の1歳以降の育児休業

  • 休業開始日の柔軟化
  • 期間の途中で配偶者と交代して育児休業を開始できるようにする観点から、配偶者の休業の終了予定日の翌日以前の日を、本人の育児休業開始予定日とすることができる。
  • 特別な事情がある場合に限り再取得可

5 育児休業取得状況の公表の義務化【令和5年4月1日施行

  • 1000人超企業は、育児休業等の取得状況の年1回公表が義務化
 
 
育児期間中の働き方に関する主な両立支援制度

 育児時間について
 生後満1歳に達しない乳児を育てる女性は、一般の休憩時間とは別に、1日2回それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができます。
 短時間勤務制度について
 3歳未満の子を育てる労働者は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を利用できます。
 所定外労働(残業)の免除について
 3歳未満の子を育てる労働者は、所定外労働の免除を請求できます。
 子の看護休暇について
 小学校就学前の子を養育する労働者は、1年に5日まで(子が2人以上の場合は10日まで)、病気・ケガをした子の看護のために、また、子に予防接種・健康診断を受けさせるために、1日単位または半日単位で休暇を取得できます。
 令和3年1月1日からは、時間単位での取得が可能になりました。(1日の労働時間が4時間以下の労働者も取得できます。)

 時間外労働・深夜業の制限について
 小学校就学前の子を養育する労働者は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働の制限を申し出ることができます。また、深夜に保育できる同居の家族がいない場合は、深夜業(午後10時から午前5時)の制限を申し出ることができます。
 ※これらの制度は、日々雇用される方、勤続1年未満の方、週の所定労働日数が2日以下の方等、法又は労使協定の締結によっては適用されない場合があります。  

マタハラ防止義務

 事業主には、妊娠・出産・育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いは禁止されており、さらに、上司・同僚からのそれらを理由とする嫌がらせ等(いわゆる「マタハラ」)を防止する措置を講ずることが義務付けられています。また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、派遣先事業主も自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。
(具体的な措置内容については「セクシャルハラスメント」参照)。
 

参考

 

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