職場のトラブルQ&A ~変形労働時間制と残業手当~

最終更新日 2020年3月27日ページID 006666

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 私が就職した会社は週5日勤務で、某月の勤務予定表では、第1週は1日7時間の労働で35時間、第2週と第3週は1日8時間の労働で各々40時間、第4週は1日9時間の労働で45時間となっています。
 1日8時間、1週間40時間を超えて働くと残業手当の支払が必要になると聞いたことがありますが、第4週の5時間について残業手当は支払われるでしょうか。

 あなたの会社が「変形労働時間制」を採用しているのかどうか、一度確認してみましょう。これは、業務に繁閑がある場合に、一定の期間について労働時間の配分を変えることを認める制度です。
 「変形労働時間制」を採用していない場合、1日について8時間を超えて、あるいは1週間について40時間を超えて労働したときは、使用者は残業手当を支払わなければならず、第4週については5時間の残業手当の支払が必要です。
 仮に1か月単位の変形労働時間制を採用している場合は、1か月以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、特定の週に40時間を超え、あるいは特定の日に8時間を超えて労働させることができます。よって、第4週の残業手当の支払義務は生じません。
 なお、1か月単位の変形労働時間制を採用するには、労使協定または就業規則などで定め、労働基準監督署に届け出る必要があります。

解説

 変形労働時間制には次のような種類があります。

1.1か月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2)

 1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、特定の日や週について1日および1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
 例えば、1か月のうち月末に業務が集中するような会社や職場で、月末に比較的長い所定労働時間を設定し、月初めには所定労働時間を短くすることで総労働時間を短縮しようとするものです。
 時間外労働となるのは、(1)1日については所定労働時間を超え、かつ8時間を超える労働時間(2)1週間については所定労働時間を超え、かつ週の法定労働時間を超える労働時間((1)の時間外労働を除く)(3)単位期間の総労働時間のうち同期間の法定労働時間の総枠を超える労働時間((1)、(2)の時間外労働を除く)です。

2.フレックスタイム制(労働基準法第32条の3)

 フレックスタイム制とは、3か月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定して働く制度です。通常は労働者がその選択により労働することができる時間帯(フレキシブルタイム)が定められます。また、労働者が労働しなければならない時間帯(コアタイム)を定めるものも多くみられます。
 フレックスタイム制を採用するには、就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを規定し、労使協定において、対象となる労働者の範囲、清算期間(3か月以内)、清算期間中の総労働時間(清算期間中の法定労働時間の範囲内)、1日の標準労働時間などを定めることが必要です。
 清算期間が1か月を超える場合に時間外労働となるのは、清算期間における労働時間の合計が法定労働時間の総枠を超えた時間および1か月ごとに週平均50時間を超えた時間です。 
※ 働き方改革の一環として労働基準法が改正され、2019年4月からフレックスタイム制の清算期間の上限が1か月
 から3か月に延長になりました。

3.1年単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の4、第32条の4の2)

 1年単位の変形労働時間制とは、1か月を超え1年以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、特定の日や週について1日および1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
 季節により業務に繁閑のある事業場において、繁忙期に長い労働時間を設定し、かつ、閑散期に短い労働時間を設定することにより効率的に労働時間を配分して、年間の総労働時間の短縮を図ることを目的に設けられたものです。
 1年単位の変形労働時間制を採用するには、労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出ることが必要です。
 時間外労働となるのは、1か月単位の変形労働時間制の考え方と同様です。

4.1週間単位の非定型的変形労働時間制(労働基準法第32条の5)

 1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、定型的に定まっていないため就業規則等により各日の労働時間を特定することが困難な事業(常時使用する労働者が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業)において、1週間の各日の労働時間をあらかじめ労働者に書面で通知することにより、1週40時間の範囲内で1日10時間まで労働させることができる制度です。
 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用するには、労使協定を締結し、所轄労働基準監督署へ届け出ることが必要です。
 時間外労働となるのは、(1)8時間以下の所定労働時間が通知された日については8時間を超える労働時間、8時間を超える所定労働時間が通知された日については通知された時間を超える時間(2)週については週の法定労働時間を超える時間((1)の時間外労働を除く)です。

参考

 

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