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○福井県地産地消の推進に関する条例
平成二十年三月十四日福井県条例第一号
福井県地産地消の推進に関する条例を公布する。
福井県地産地消の推進に関する条例
かつては、「身土不二」といわれ、四里四方でとれた旬の物を食べることが食の基本であった。しかし、近年、経済のグローバル化や流通の発達によって、日々の食生活と地域の農林水産業との結び付きが薄れてきている。わが国の食料自給率の低下や食料輸送距離の増大などに象徴される生産の場と消費の場との距離の拡大は、社会的および心理的な距離をも拡大させ、食の安全性や地域の農林水産業の発展に悪影響を及ぼしている。
このような中で、地域で生産された物を地域で消費する「地産地消」への取組が今求められている。「地産地消」は、その推進によって県内生産者と県民との間に密接な関係を構築し、生産と消費とのかかわりや食の安全性についての共通認識を深めるとともに、地域の農林水産業の活性化や食育との相乗効果をも生み出すことのできる有効な取組である。
ここに、「地産地消」の推進を決意し、総合的かつ計画的に「地産地消」を推進するために、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、地産地消の推進に関し、基本理念を定め、県の責務ならびに市町、生産者、事業者および県民の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項を定め、安全で安心な県内農産物等の供給、本県農林水産業の持続的な発展および活力ある農山漁村の形成に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 地産地消 県内農産物等を県内で消費することをいう。
二 県内農産物等 県内で生産された農林水産物およびこれらを県内で加工した食品をいう。
三 事業者 県内で食品の製造、加工、流通、販売または食事の提供を行う事業者およびその組織する団体をいう。
(基本理念)
第三条 地産地消の推進は、県、市町、生産者、事業者および県民が連携し、農林水産業の取組および県内農産物等の情報を共有することを通じて信頼関係を構築し、互いの立場を理解し、協力しながら行うものとする。
2 地産地消の推進は、安全で安心な県内農産物等を県民に供給することができる仕組を構築しながら行うものとする。
3 地産地消の推進は、県民の豊かな食生活の維持向上に資するため、それぞれの地域の食文化が継承され、発展していくよう行うものとする。
4 地産地消の推進は、生産者、事業者および県民の自発的な取組を尊重しながら行うものとする。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念にのっとり、市町、生産者、事業者および県民と連携し、地産地消の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
(市町の役割)
第五条 市町は、県、生産者、事業者および住民と協力しながら、地域の実情に応じた地産地消の推進に積極的に取り組むよう努めるものとする。
(生産者の役割)
第六条 生産者は、県内農産物等が県民の健康を支えていることを自覚し、その安全性の確保に取り組むものとする。
2 生産者は、生産する県内農産物等に対する県民の需要の把握に努めるとともに、その品質等に関する情報を事業者および県民に提供するよう努めるものとする。
3 生産者は、県または市町が実施する地産地消の推進に関する取組を尊重するとともに、地産地消の推進に関する事業者および県民の自主的な取組に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第七条 事業者は、県内農産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。
2 事業者は、県または市町が実施する地産地消の推進に関する取組を尊重するとともに、生産者および県民と連携して地産地消の推進に努めるものとする。
(県民の役割)
第八条 県民は、食料の供給、県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等地域の農林水産業が有する多面的な機能に対する理解を深めるとともに、県内農産物等の安全性を確保するための生産者の取組を尊重し、県内農産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。
2 県民は、家庭および地域において食育を推進することにより、食の大切さを理解し、健康で豊かな食生活の維持向上に取り組むよう努めるものとする。
3 県民は、県または市町が実施する地産地消の推進に関する取組を尊重するとともに、生産者との交流活動への参加等自主的な取組に努めるものとする。
(地産地消推進計画の策定)
第九条 知事は、地産地消の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、地産地消の推進に関する計画を策定するものとする。
2 前項の計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 地産地消の推進に関する施策についての基本的な方針
二 地産地消の推進の目標に関する事項
三 生産者、事業者または県民が自発的に行う地産地消の推進に関する活動の促進に関する事項
四 地産地消の推進体制に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、地産地消を推進するために必要な事項
3 知事は、第一項の計画を策定し、または変更するときは、市町、生産者、事業者および県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
4 知事は、第一項の計画を策定し、または変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(地産地消に関する啓発活動)
第十条 県は、地産地消に対する県民の関心および理解を深めるとともに、生産者、事業者および県民が地産地消に関する情報を共有し、相互理解を深めていくため、情報の提供、啓発活動その他必要な施策を実施するものとする。
2 県は、県内農産物等の使用の促進を図り、県民の意識啓発に資するための日を定め、これを広く県民に普及させるよう努めるものとする。
(県の施設等における県内農産物等の優先使用)
第十一条 県は、県が設置する公の施設または県が主催する催しにおいて食の提供を行うときは、県内農産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。
(食育との連携)
第十二条 県は、地産地消に関する施策の策定および実施に当たっては、食育に関する施策との連携を図り、効果的に行うものとする。
(実施状況の公表)
第十三条 知事は、地産地消の推進に関する施策の実施状況について、毎年公表するものとする。
附 則
この条例は、平成二十年四月一日から施行する。



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