第3回福井県科学学術大賞受賞者

最終更新日 2008年4月3日ページID 005152

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廣石氏

ひろいし  しんご
廣 石  伸 互

  福井県立大学 生物資源学部教授

<略歴>
昭和24年 京都市生まれ
昭和53年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
平成 6年 福井県立大学生物資源学部助教授
平成 9年 福井県立大学生物資源学部教授



 業績名 『アオコ・赤潮原因プランクトンの検出法および防除法の研究』

 湖沼や池の景観を悪化させ、水資源、魚介類、野生生物等に被害を与える、有毒なアオコ等の原因となる植物プランクトンを死滅させるウイルスを世界で初めて分離しました。
 このウイルスは三方湖水から分離され、有毒なアオコ原因プランクトンにのみ感染し、ダメージを与える新しいウイルスであることが明らかになりました。

≪開発研究の内容、成果≫
 アオコとは池や湖沼の表面が絵の具を流したように緑や青色になる現象で、非常に細かな藻類であるラン藻という植物プランクトンが異常増殖して、水面を覆いつくすような状態をいいます。(この中で、色に赤みがあるものを赤潮といいます。)
 アオコは湖等の美観を損ねるだけでなく、独特のカビ臭、腐敗臭がし、浄水場の水処理に影響を与えます。また、魚介類に臭いが移ったり、大量死させることもあります。さらに、有毒なものは発ガン促進作用を持ち、魚以外でも家畜や野生生物に被害を与えることがあります。
 アオコは、生活排水が湖等に流れ込むなど、水中の富栄養化が進むと発生します。
 このアオコの対策としては、下水道整備など流入水の浄化、堆積したヘドロの浚渫などが行われていますが、短期的に効果が得られる有効な対策がない状況です。また、アオコの中で有毒なものを判別する方法もありませんでした。

アオコ 「アオコにより緑色ににごった水」

 このような中、氏は、毒遺伝子を標的として、それまで不可能であった有毒アオコの正確な判別方法を完成させ、これにより発生実態の把握が可能となりました。
 発生実態を分析した結果、有毒アオコが独自に増減する原因はウイルスではないかと着想し、アオコの発生している湖の水をフィルターでろ過し、有毒アオコプランクトンに添加する方法により、有毒アオコに感染して死滅させるウイルスの分離・培養に世界で初めて成功しました。このウイルスは、有毒アオコだけを選んで直接ダメージを与えるもので、他の生物に影響を与えず、ウイルス散布だけでアオコの中で増殖してアオコだけを防除できるものと考えられています。
 現在は、さらにウイルスを分離し、アオコとウイルスとの相互関係を明らかにしながら、ウイルスを用いた防除法の研究を進めています。新しいアオコ防止対策(湖沼の環境保全)につながることが期待されています。

ウイルス 「アオコを死滅させるウイルス」

 

 

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