このページは、平成28年4月1日（金）に県庁で行われた、新採用職員への知事あいさつをまとめたものです。

　皆さん、おはようございます。

　本日は平成２８年４月１日、新しい年度の最初の日です。先ほど皆さん新採用職員の代表の方に辞令を交付したところです。今年度は男性７４人、女性６０人、計１３４人が採用され、今日ここに皆さんをお迎えすることになりました。誠におめでとうございます。今日は、桜も満開に近く大変素晴らしい日柄であり、新しく県庁職員となり決意を新たにされているのではないかと思います。

　さて、これまで皆さんの先輩たちの努力により、福井県では様々な事業が進んでおります。大学進学などで県外に出られていた方も多いと思いますが、福井県では北陸新幹線の整備、福井駅西口の再開発が進んでおり、中部縦貫道の北陸道への接続や、若狭さとうみハイウェイの開通など、大きく福井県が動き出している状況にあります。また、全国に先駆けて、地域の縁結び活動や３人っ子の支援などを県民とともに進めており、政策の成果として、幸福度日本一という評価もいただいております。こうした中での皆さんは県庁職員としてスタートを迎えるということであります。

　本日は、皆さんに注意していただくこと、また心掛けていただきたいことを申し上げます。これからの数年間は初めての経験が多いでしょうから、まず第一に周りの人たちの言葉によく「注意」を向けて、自分なりに物事を把握してほしいということです。今の私の話もその中のひとつですが、話を注意して聞いてもらわなければなりません。その中で大事なことは、皆さん個人と全体の関係ということです。そして、全体の奉仕者と自分との関係ということです。今日は、「全体の奉仕者」として職務を執行すると宣誓されたと思います。

　全体はなかなかわかりにくいものです。この数年は全体のことを自分のこととして考えてほしいと思います。例えば、ここに時計が掲げられてありますが、もし、この時計が少し遅れていたとしたら、自分の部屋の時計が遅れているのと同様に考えてほしいと思います。遅れているなと思うだけでなく、自分が直すという行動を起こしてほしい。公の時計ではありますが、自分のものとして直すことを心がけてください。これからいろいろな人と交渉したり、利害の調整を図るなどの仕事もいろいろ生じるでしょうが、まず公のことをまるで自分のことのように考えて行動してください。例えば、私が県庁を出発しようとする時、まだ時間は「大丈夫だ」と思っていた際に、時計を直さないまま皆さんが「この時計は５分遅れています」と私に言うのは間違いです。公のことを他人事と捉えない、公の時計であっても遅いものは直さなくてはならない、こうした考えで仕事をしてほしいと思います。

　二つ目、皆さん今はまだそれほど仕事のパワーが無いかもしれません。これから段々とパワーをつけて自分の実力としてのベクトルも大きくなっていくと思います。今はまだ皆さんのベクトルは小さいですけれども、新幹線の方向を動かしていく、中部縦貫道はどうか、国体の準備をどう進めるか、学力・体力が日本一であるなど、大きなベクトルのひとつだと思ってください。自分もその一つである、自分は関係ない、まだできないというのではなく、自分もまだ小さいが動かしている一員であると考えて行動をとってください。

　そのためにはどうしても全体が見えなければなりません。今は全体がみえないでしょうし、物事の奥行きが全くと言っていいほど分からないと思います。私も新採用のころはそうだったと思います。できるだけ人の話に注意して福井県全体の広がり、奥行きとか、テレビ、新聞などの情報、人の話に気を付けて、全体のベクトルを見ていただいて、これは最初は非常に難しいことではありますけれども、慣れると段々と皆さんの視野も広がると思います。

　一例ですが、私は以前に「ふるさとの発想」という本を書きました。皆さんは読まれたことがありますか。こうした本を参考にして県庁全体の動きをみてください。この本は、今年の福岡県での高校入試の国語の問題にも取り上げられましたが、この他にもいろいろな本を読み、全体の把握に努めてほしいと思います。

　最後にもう一つ一番大事なことを申し上げます。県はいくつもの課題を抱えています。先程の高速交通体系の整備、原子力、地方創生、人口減少など様々な課題があり、特に人口減少は全体を覆う大きな課題であると思います。しかし、近年は先ほど申し上げましたが、福井県の発展が大きく動きだしている良い時期でもあります。私たちの仕事は、「県民の夢」を実現するのだと、そういう大きなベクトル、大きな船に乗っているのだと考えてほしい。そうするには皆さん一人ひとりが、「自分の夢」を持って行動しないと、大きな夢の力にはなれないと思います。皆さんが県民の皆さんと「夢を共有」できるように、県民と繋がるようにがんばっていただき、県民と自分の夢の実現に全力で取り組んでほしいと思います。

　これからまず３年、そして当面は１０年を目標によく学んでいただき、周りと力を合わせながら、恥ずかしがらず、多少のことにへこたれずにがんばってください。そうすることによって、必ず成長できると思います。

　皆さんが福井県庁に採用されたことをお祝い申し上げるとともに、健康に気をつけていただき、また私的にも人生の課題が生まれてくると思いますが、公のこともあわせて考えながら解決に向けてがんばっていただきたいと思います。