No.15 梅の初期収量アップのための多側枝整枝(たそくしせいし)技術(H25.9.14)

最終更新日 2013年5月27日ページID 024453

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  ウメ「新平太夫」は、昭和61年に県の園芸研究センター(旧園芸試験場) で品種開発され、やや晩生の品種で、収量が極めて多く、小粒で種が小さく、梅干しの品質は良好です(写真1、写真2)。
 樹勢が強い「新平太夫」の特性を生かし、今回、定植から4年目までの収量を確保する苗木のせん定法 (多側枝整枝法)を開発したので紹介します。

新平太夫 新平太夫の梅の実
写真1  新平太夫(収量が良好な状態) 写真2  梅の実がついた新平太夫


◆初期収量は4倍以上
 多側枝整枝法とは、ウメを定植する際に苗木を高さ70~80センチに切り、1年後、主幹部から発生した枝をできるだけ残す方法で、多くの側枝で初期の収量を確保する整枝法です(図1)。具体的には、従来の主枝3本に加え、側枝を6~9本多く配置します。主枝は枝の1/3~1/2程度を先端から切り、側枝はそれよりやや枝を長く残します。
 1樹当たりの収量は慣行に比べ、植付け3年目で4.7倍の1.12キロ、4年目に4.8倍の7.6キロに達し、2~4年間の累積収量では4.8倍になりました(図2)。
 

 慣行  多側枝整枝
慣行(3本主枝整枝) 多側枝整枝
  図1 慣行整枝法と多側枝整枝法の概略図

 

 収量の違い
  図2 整枝法の違いが累計収量に及ぼす影響
                                               (2011-2013)


◆新梢の数や長さは2~5倍
 総新梢数は1樹当たり5.4倍の2,067本、新梢長も2倍の304メートルになりました。平均枝長は14.7センチと慣行の約40%と短くなりました。樹高は慣行とほぼ変わりませんが、樹幅は1.2~1.4倍に、幹周も27.1センチと1.25倍大きくなりました。

◆多側枝整枝法の注意点
 多側枝整枝法では果実の大きさが植付け2~3年目は慣行より10~15%小さくなりますが、4年目にはほぼ同等の大きさとなります。多側枝整枝法は側枝が多くなるため、枝が混み合い交差接触して枝に擦り傷がつきやすい欠点があります。そのため、春夏季の新梢管理や夏季せん定で枝の損傷軽減に努める必要があります。
 
 今後も側枝の効率的な除去方法や現地実証圃による検討を進め、技術の普及拡大によって産地の活性化につなげたいと考えています。
   

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TEL:0770-32-0009  mail:engei-ken@pref.fukui.lg..jp
 

  

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