No.17 柿の収量確保のための側枝(そくし)養成技術の開発(H25.10.17)

最終更新日 2013年10月17日ページID 024952

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 福井県のカキ産地では、主に渋ガキの「平核無」「刀根早生」が栽培されています。これらは、炭酸ガスで渋抜きを行ったのち市場に出荷されており、消費者から「たいへん甘い」という好評価を得ています。
 柿の収穫作業を楽に行うためには、冬場に高い場所の枝を切りますが、母枝が不足することによる収量の減少が問題になります。そこで、収量確保のため側枝(そくし)養成技術を開発しました。

 

平核無 刀根早生
写真1 平核無  写真2 刀根早生

◆E型金具による徒長枝の誘引

 樹形改造で一度に多くの枝を冬季せん定で間引くと、樹勢が強くなるため、春から夏にかけて主枝・亜主枝の背面等から徒長枝が多発します。慣行栽培では、こうした徒長枝の多くは樹勢を乱すなどの理由で芽かきやせん定で取り除かれ、結果母枝に利用されることは少なくありません。今回、この徒長枝を利用して側枝の養成を検討しました。

 通常、誘引は紐を用いて枝を引っ張るため、労力と技術を必要とします。今回、リンゴの側枝養成のために開発されたE型金具(写真3)を用いた誘引を検討しました。6月下旬から7月下旬にかけて、骨格枝等の背面から伸びた約1㍍の新梢を、E型金具を用いてできるだけ水平に誘引しました(写真4)。伸長中の徒長枝は、伸長を停止させるため、先端の3葉程度を摘心しました。

 

 E型金具 E型金具による誘引 
写真3 E型金具  

写真4 E型金具による誘引

 


◆収量・果実品質

処理枝20本の樹(品種:「平核無」)では、翌年、うち17本に着果が見られた。17本の結果枝の収量は28㌔となり、樹全体の収量の20%を占めました。誘引枝には6果程度が着果し、慣行栽培で用いられる30㌢程度の結果母枝の4果程度に比べ多く、平均果重は、慣行の結果母枝と同等の250㌘程度となり、糖度についても15.7と同程度でした(表1)。
 

 表1 金具誘引枝の着果数および果実品質

処理

1枝あたり
果実数
 (果/枝)

平均果重
(g)
糖度
(brix%)
金具誘引枝 6.6 250 15.7
慣行結果母枝 4.1 255 15.2


◆技術の留意点

 「平核無」、「刀根早生」の両品種ともに誘引による側枝養成が可能でした。水平に誘引するためにはある程度の枝の長さ(自重)が必要であるため、1程度の長さの徒長枝を用います。誘引する時期は、徒長枝が1㍍程度に育つ6月下旬ごろから、基部が木質化して誘引が難しくなる7月下旬頃までが適しています。誘引後、先端に2次伸長が見られた場合、随時芽かきをして取り除きます。処理翌年の着果数は、処理枝1本当たり7~8果程度を限度とします。養成した側枝は、2年程度果実生産に利用できます。2年目以降の着果管理は、慣行の側枝と同じ管理をします。


   

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