職場のトラブルQ&A ~一時金(賞与)の不支給~

最終更新日 2020年3月27日ページID 000258

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 会社の業績悪化を理由として、就業規則の規定にかかわらず「夏の一時金(賞与)は支給しない。」といわれました。このような理由から、一時金がもらえないというのは仕方のないことでしょうか。

 一時金(賞与)について、会社の就業規則で支給時期と額の決定方法などが定められている場合や、労働組合との間で労働協約が結ばれている場合には、使用者側が一方的に一時金を支給しないというような変更は許されません。ただし、「会社業績の著しい低下などがある場合には支給しない。」旨の定めがあるときには、不支給でもやむを得ない場合もあります。
 しかし、その際に、使用者は会社の経営状況について、具体的な資料を提示して、労働組合および労働者が納得できるよう説明し、合意することが必要となります。一時金は、功労報奨的性格のみならず、生活補てん的性格も有しており、その不支給は、労働者の生活に直接大きな影響を与えますので、労使間の十分な話し合いが必要となります。

解説

 賞与(ボーナス、一時金)は、それ自体が、法律によって義務づけられたものではありませんが、実際上はかなり普及したものとなっており、通常は半年ごとの支給期間について、夏季・年末の年2回支給されています。その支給基準や支給要件には多様なものがあり、一般には基本給に支給率(月数など)を乗じて算出されますが、それに出勤率などの勤務状況が加味されたり、賞与支給額の全部または一部が、使用者の人事考課・査定によって決定されることも多く見られます。
 近年では、成果主義賃金の動向として、目標管理制度と組み合わされて個人の成果や能力を反映して変動する部分を増大し、さらに企業の業績をより直接的に反映させる仕組みが採用される動きも見られます。 このように賞与の社会的・経済的機能としては、一般に、功労報奨的性格、生活補てん的性格、賃金後払的性格、収益分配的性格など多様な性質を有しています。
 また、賞与の支給要件や支給時期、計算方法などが、労働契約、就業規則、労働協約などによって明確になっている場合には労働基準法上の賃金としての性格を有し、労働基準法第24条の賃金に関する規制の対象となります。
 ただし、同条2項で、賃金の支払いについて「賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。但し、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準じるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りではない。」とし、賞与については「毎月払い」及び「一定期日払い」の2原則については適用が除外されています。
 なお、 賞与を支給するか否かや、どのような基準で支給するかなどが就業規則等に規定がなく、もっぱら使用者の任意であるととらえられる場合には、任意的恩恵的給付であって労働基準法上の賃金ではないので、この場合は一時金がもらえなくても仕方ないと思われます。 

参考

 

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