職場のトラブルQ&A ~賞与の支給日在籍要件~

最終更新日 2020年3月27日ページID 004818

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 事情があって、5月いっぱいで会社を退職しようと考えています。この話を先輩にしたところ、「5月末に退職するのなら、6月のボーナスはもらえない。」と言われました。ボーナスの算定期間は12月から5月までなのですが、私の場合は本当にもらえないのでしょうか。

 賞与(ボーナス)の支給対象者などは、原則として当事者間で自由に定めることができます。支給日に在籍している者に対し支給するということが、就業規則などで明確に定められていたり、従来からの慣行になっている場合には、算定期間(支給対象期間)に勤務していても、支給日に在籍しないことを理由に、支給しなくても差し支えないとされています。
 支給日在籍が支給条件という規定や慣行がないと認められる場合には、支給日に在籍しなくても、他の要件を満たしていれば支給を求めることができますので、まず、会社の就業規則などについて確認してみてください。

解説

 退職日を労働者本人が選ぶことのできる自主退職の場合は、支給日在籍を要件とする規定や慣行があれば、支給日に在籍しないことを理由に賞与を支給しなくても差し支えないとされています。また、裁判例では、退職日を自ら選ぶことのできない定年退職者についても適法としたものがあり、支給日在籍要件を有効とする傾向にあります。

定年退職者に対する支給日在籍要件を有効とした裁判例

 会社の給与規程には、賞与の支給日、支給対象期間、支給日現在に在籍している者に支給すること等が定められており、賞与支給日の10日前に定年により退職した者には賞与が支給されなかったことに対して賞与の支給を求めた事件で、「賞与の受給資格者につき支給日現在在籍していることを要するとするいわゆる支給日在籍要件は、受給資格者を明確な基準で確定する必要から定められているものであり、十分合理性はあると認められる。…賞与の前記性質及び支給日在籍要件も給与規程に明記されていることからすれば、支給対象期間経過後支給日の前日までに退職した者に不測の損害を与えるものとはいえないし、支給日在籍者と不在籍者との間に不当な差別を設けるものということもできない。」として、賞与の支給日に在籍していないことを理由に、これを支給しなかった会社の措置は正当であるとしました(東京地裁判決 平成8.10.29 カツデン事件)。

参考

 

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