職場のトラブルQ&A ~契約期間満了前の退職申し出~

最終更新日 2020年3月27日ページID 000354

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 1年契約をしていた契約社員が、働き始めて7か月で退職したいと言ってきました。契約期間途中の退職の申し出はどんな理由でも受け入れなければならないのでしょうか。

 労働契約に期間の定めがあるときは、原則として労働者も使用者も共に契約期間満了前に契約を解約することはできません。契約期間の途中で退職することは、契約を中途に解約することであり、それは契約を続けられない真にやむを得ない事由があるときに限って認められています。
 ここでいう真にやむを得ない事由とは、社会通念上労働契約を続けることができないようなものをいいます。具体的な例として、使用者が労働契約締結時に明示した労働条件と実状が異なっていたとき、労働者自身のケガや病気、労働者の家族の看病などで労務を提供することができなくなったときなどがあります。
 経営者としては、その契約社員の退職理由が上記のようなやむを得ない事由に当てはまらない場合、退職の申し出を拒否したり債務不履行であるとして損害賠償請求をすることもできますが、問題を円満に解決するために労使間で十分に話し合うことが大切です。
 なお、経営者側が退職を認めた場合は、労使の合意による退職ですので、その時点で、雇用契約は解除することができます。

解説

 民法第628条では、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」と定めています。
 したがって、労働契約に期間の定めがある場合でも、やむを得ない事由(本人のケガや病気、家族の看病などで労務を提供することができなくなったときなど)がある場合は、期間の途中でもただちに解約できます。
 しかし、解約の理由が労働者の過失によって生じた場合や理由もなく勝手に辞めた場合は、使用者に対して損害賠償の義務が発生します。例えば労働者が理由もなく突然労働契約を解約したため、後任が補充できず、請けていた仕事ができなかった場合などに、使用者からの損害賠償の請求が考えられます。
 ただし、損害は具体的に発生しなければ賠償義務が生じませんし、使用者が損害の発生を回避する努力をしたかどうかも問われます。

参考

 

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