【もっと挑戦!福井人】vol.2 景山直恵さん/先生の”勘違い”からデザイナーの道へ。「どこにいても楽しもう!」が原動力

最終更新日 2022年3月8日ページID 049026

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キーワードは「もっと挑戦!もっとおもしろく!」。
自分らしくチャレンジを続ける福井人にフィーチャーする連載の2人目のゲストは、アーチザン&パートナーズの景山直恵代表です。
生まれ育った福井県で「デザインコンサルタント」という新しい仕事を創ってきた景山さん。
いつも笑顔でいられる秘訣は、「目の前の人参」にあった!?
(聞き手は福井県未来戦略アドバイザー・瀬戸)



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アーチザン&パートナーズ代表 景山 直恵氏
1992年、出産を機にデザイン事務所アーチザン&パートナーズを設立。
2013年に「paper glass(ペーパーグラス)」がグッドデザインBEST100特別賞、
アロマ和ろうそく「灯之香(ほのか)」がグッドデザイン賞を同時に受賞。
現在は、デザインコンサルタントとして幅広い分野で活躍。




目次

1ひょんな事からデザインの道へ
2「デザインコンサルタント」って何?
3やって良かった”目の前の人参”
4理想の仕事も環境も、ないなら自分で作ればいい





ひょんな事からデザインの道へ

―高校時代からデザイン一筋で歩んでこられました。子どもの頃から「なりたい自分像」がはっきりしていたのですか?


それが、全然なかったんです。私、2歳半ぐらいからずっとピアノをやっていて。そのまま音楽の道に進むのかなと思っていました。

ところが、進路を決める中学3年生のとき、先生に「福井高校の芸術科に興味がある」と伝えたら、なぜかデザインコースを薦められて。その頃、たまたま絵画コンクールに入賞したものだから、先生は勝手にデザインコースだと思ったみたいなんです。でも、「好きな事で高校に行けるなら、そっちのほうがいいや」と思って、デザインコースに進学しました。


―先生の”勘違い”から、思わぬ道が開けたのですね(笑)。

高校卒業後はデザイン系の専門学校を出て、メーカーのデザイン室に勤めました。ただ、東京出張が多くて、体力的にも辛くなって、もう辞めようと。そんな折に、たまたま新聞で見た2桁の求人広告の「G(グラフィック)デザイナー募集」をきっかけに、デザイン事務所に飛び込みました。

文字通りの不夜城でしたが、とにかく毎日が楽しかったですね。あのとき初めて、「デザインってこういうことなんだ」と実感できた気がします。



―そんな景山さんが独立・起業したきっかけは、ご出産だったとか。

デザイン事務所には2年勤めて、出産をきっかけに退社しました。その後、半年くらいは専業主婦だったかな。そして、ちょっと落ち着いてきた頃に、「保険の外交員でもやろうかな」と思って資格を取りに行ったんです。

ちょうど同じくらいのとき、たまたま知り合いの広告代理店からデザインの仕事が来たんですよ。「保険の外交員をするためのスーツ代や、子どものオムツ代になるかも」と思って、気負いもなく起業しちゃいました。

デザイン事務所を起業してからは、「来た仕事は断れない。求められた以上、全力で向かいたいし、相手に喜んでほしい」という気持ちで、ひたむきに取り組んできました。こうなりたい、ああなりたいという欲は特になくて、その思いだけで28年間続けてきた感じです。

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「デザインコンサルタント」って何?

―40歳手前で第二子をご出産され、デザインコンサルタントへと仕事の幅を広げられました。

そうですね。当時の福井には、仕上がったデザインに対して対価を払うという感じで、どうしてもソフトの部分というか、目に見えない部分にお金を払う土壌がなかったと思います。でも私自身、上の子の出産のときと違って体力も落ちていたので、目に見えない部分についてもコンサルタントとしてきちっとお金を取れるようにしようと考えたのがきっかけです。

コンサルタントを始めたとき、既にデザイン事務所を立ち上げてから17年が経っていました。ある程度デザイナーとしての実績があったことと、SNSの力を借りて色々な企業の方と知り合えたことで、「デザインコンサルタント」という仕事自体を徹底的に売り込んでいきました。

こういう仕事自体がほとんどなかったから、みんな聞くんです。「それ何?」って。一回怪しまれることで、逆に説明の機会を与えてもらえるし、懐に入りやすかったですね。それから今日までは、ほぼノンストップで仕事をさせてもらってます。



―そんななか、2013年には2つの作品でグッドデザイン賞を受賞されました。


ありがたかったですね。2つの作品のうち、1つがプロダクトまでデザインしたもので、もう1つは広報戦略だけを手がけたものだったんです。関わり方の違う2つの作品が高い評価を受けたことで、「デザインコンサルタントってこういう仕事をするんだよ」と、一気に説明しやすくなりました。

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やって良かった”目の前の人参”

―あらためて振り返ると、20代、30代でやって良かったことはありますか。


20代の頃はアルバイトですね。県内の電器屋さんでポップ書きのバイトをしていたのですが、初めてデザインで人に褒められる、喜ばれるという体験をしました。すごく気持ち良かったし、楽しかったですね。

30代では、会社の代表としてスタッフを抱えたことです。みんなに「仕事が楽しい」と思ってもらえる職場を作ろうと思って、色々なことを実践できたのがいい経験になりました。



―どんなことをされたんですか。

それはですね、「目の前の人参」です。



―えっ、人参!?

はい。「今年の夏のボーナスは現金支給がいいかな?それとも海外旅行がいいかな?」って。スタッフが「海外旅行がいいです」と言ったら、「じゃ、みんなでどこ行こうか?」と。経費はかかりますけど、私も行きたいので。私だけ休みをもらって行くと、みんなに悪いじゃないですか(笑)。

独立して、スタッフを抱えたり、外部チームと連携したりと働き方を変えてきましたが、変わらないのは「どこに置かれても楽しもう」という気持ちです。一発当ててやろうなんて思わないし、何かしてやろうとも思ってもいなくて。ただ「楽しむ」ということをモットーにやってきたのが、振り返ると良かったのかなと思いますね。

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理想の仕事も環境も、ないなら自分で作ればいい

―福井県の学生と話をしていると、「福井だと仕事を見つけにくいんじゃないか」といった不安が聞かれます。


福井で、自分のやりたいことをできるかどうかは自分次第なんじゃないかなって思います。みんな、自分で「ここまで」と線引きして、できないと思い込んでいるだけで。

実は、私は寒いのが苦手で。だから住宅ローンを払い終わったら、冬の間は暖かいところで生活しようと思っているんですよ。でも、暖かい場所で今の仕事をする理由はない。じゃあ何をやる?と思ったときに、私、ガラス細工がすごく好きなので、まずは福井で教室を作ろう、習いながら運営もしちゃおうと計画中です。


5年くらいしたらきっと、そこそこ何か作れるようになっていると思うんです。そうしたら、暖かい土地にバーナーひとつ持っていけば、そこでモノを作れる。インターネット上で販売もできる。場所にとらわれることなく、理想の暮らしも仕事も手に入るよね、と。



―やりたい仕事も理想の環境も、ないなら自分で作ればいい。いいメッセージですね。お話を伺っていると、景山さんは常に外から声をかけてもらっているように見えて、実は自ら積極的に発信したり、ノックしたりしていますよね。


発信しないと誰にも伝わらないと思うんです。発信することを迷うより、発信してから迷ったほうがいいと思いますね。「こんなことに興味があるんですよね」「こんな人はいないですか」と、何気なくつぶやくだけでも情報が入ってきたりする。まさに置き網を撒いているような感覚です。もし、私の周りの人たちが何かに迷っていたら、私は「やってから後悔したら?」ってアドバイザーします。



―考えすぎて前に進めなくなるくらいなら、まずは動いてみる。そして、進みながら少しずつ軌道修正していく。その先に、より自分らしい暮らし方や働き方、未来の形が見えてくるのですね。


(おわり)



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