平成25年末に当たっての知事あいさつ

最終更新日 2014年2月14日ページID 025729

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 このページは、平成25年12月27日(金)に県庁で放送された、職員に対する平成25年末に当たっての知事あいさつをまとめたものです。

 今年の仕事納めに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。

 今年を総括すると、県政の重要課題をかなりのところまで前進させることができた年であったと思います。畑に例えると、よい種まきができた、そういう年ではなかったかと思います。

 また、9月の台風18号に伴う大きな災害に対しては、常神半島の仮設道路をはじめ、福井県として迅速に対応しました。本格的な対策はこれからですが、職員の昼夜を問わぬ対応により、住民に安心を届けることができたと思います。

 こうした災害も含めて、皆さんの不断の努力に改めて感謝したいと思います。
 では、今年の主な仕事の状況について申し上げます。

 まず第一に、原子力・エネルギー政策の方向づけです。私自身、本年3月から、「エネルギー基本計画」を検討する国の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に委員として参加しました。
 日本の科学技術を尽くして、福島事故をいかに乗り越えるかが重要であると申し上げました。また、基幹電源である原子力発電の位置づけの明確化、使用済み燃料に関する消費地との「協力と分担」の問題についても意見を述べました。

 今月に入り、これまでの主張が概ね取り入れられた「エネルギー基本計画(案)」が示されました。今のところ1月中には閣議決定される見込みであり、政府一体となり、政治の責任において計画を具体化させる必要があると考えています。

 次に、大飯原発3、4号機については、本年9月までの1年2か月間、福井県からも特別に職員が参加して「特別な監視体制」のもとで、安全かつ安定的に稼働させました。

 このことにより、関西地域の電力需要に不安なく応えただけでなく、全国の原発が万全の体制と緊張感を持って行えば、安全稼働が十分可能であることを示すことができたと考えています。

 そして今後いずれ生じてくるであろう、原子力発電所の運転停止や廃炉といった課題があります。ともすれば後ろ向きになりがちだが、むしろ前向きにとらえ県益に役立つよう対応すべきと考え、10月に「廃炉・新電源対策室」を設置しました。

 これは全国に先駆けたものであり、今後、廃炉手続きや安全性の確認、地域振興に関する地元との協力関係、国への要求などについて、大きな筋道を早く立てたうえで、個別の事柄にあたっていきたいと思います。

 次は、北陸新幹線の工期短縮についてです。北陸新幹線の県内区間については、新北陸トンネルの第2工区の事業が進むなど、進捗しております。年明け1月には敦賀車両基地の地形測量も開始の予定です。

 しかし、平成37年度とされる敦賀開業について、その前倒しを行うべきことは開業効果を北陸地域に等しく示すためにも必要です。金沢開業後少なくとも一桁の年数で完成させることが重要だと思います。

 県としては、7月に庁内に「北陸新幹線整備促進本部」を設けました。工期短縮について独自に検討し、3年以上の工期短縮が可能という考えを、政府や与党のプロジェクトチーム、鉄道・運輸機構等に説明しました。

 これを受けて与党プロジェクトチームでは、政府に「来年夏までに計画を見直すよう」申入れを行っています。与党プロジェクトチームによる工期短縮策の結論とりまとめは1月以降に先送りされましたが、県の独自の努力がこうした動きを誘導したということだと思います。

 しかし、肝心の決定をあまり長引かせても何も良いことはないのです。
 引き続き、皆さんとともに、敦賀までの一年でも早い開業に全力をあげます。

 3点目は県都の中心市街地のまちづくりです。新幹線の県内延伸は地域のまちづくりにとってまたとないチャンスです。3月には、福井市とともに長期の「県都デザイン戦略」をまとめました。金沢や富山にない優れた歴史などを活かしたまちづくりに着手しているところです。

 先行的に実施する福井城址の西側の山里口御門(やまざとぐちごもん)の復元については、今年度、遺構調査を行い、山里口御門の規模に関する資料などが得られました。年度内には御門の建築形態や石垣の修復方法を決定する予定です。

 福井駅西口については、9月には市による再開発ビル建設が着工しました。これと一体的に整備する広場スペースについても、県都のにぎわいづくりのため、県として福井市を応援する考えを表明しています。

 これからも、福井の良さを感じる駅周辺のモニュメント設置や駅前空間の利用策を具体化を図っていきます。また、中央公園については、江戸時代に御座所があった歴史を何とかデザインに活かすことができないか、緑の多い開放的な公園とするなど、県都中心部のまちづくりを、福井市と協力して進めていきたいと思っています。

 4点目は、恐竜王国ふくいのレベルアップです。恐竜博物館については、この夏に秋篠宮ご一家のご来館が大きな話題となりました。こうしたこともあって、入館者数が12か月連続で過去最高を更新しています。11月末時点でこれまでで最多の年間54万人を上回っています。年度末には70万人台になるのではないかと期待しています。

 博物館では新しい恐竜カマラサウルスの全身骨格を購入し、この春3月からようやく展示ができました。次に第4次発掘調査に着手し、さらに4月には県立大学恐竜学研究所を開設、7月にはアジア恐竜協会の設立などを行っており、学術的な面においても前進できた一年であったと思います。

 恐竜博物館の成功は、このような研究施設としての専門性とともに、娯楽性の両面を高めたことが重要な要因であったと考えています。皆さんの仕事においても、こうした発想を持ち、バランスを考えて仕事を進めてもらいたい。

 26年度には、北陸新幹線の金沢開業や、中部縦貫自動車道と北陸自動車道の接続が実現します。これに向け、来年夏までに野外恐竜博物館を完成させ、福井駅周辺や小松空港などで「恐竜王国」にふさわしい展示をする予定です。

 5点目には、里山里海湖(さとやまさとうみ)の保全・活用です。今年9月にSATOYAMA国際会議を福井で開催しました。全国から延べ2千名を超える人たち、世界の約30か国130名の関係者が参加しました。定例会合としては初めてとなる共同声明も発表しました。

 また、研究者らによる現地視察、エクスカーションや、農村に滞在する「里山STAY」を独自にプランとして作り、期間中、大勢のひとに福井の里山の良さを理解していただいたと思っています。

 この成果を福井県の将来に活かす必要があります。そのため、10月には「里山里海湖研究所」をつくりました。県のレベルとしては全国初の研究所です。今後、子どもから大人まで気軽に集まって、地域を元気にする実践学の研究拠点に育てていきたいと思っています。

 里海湖に関連しては、三方五湖の一つ、水月湖の湖底に積もっている「年縞」が、5万年~7万年前までの地質学の年代を特定する世界標準の物差しとして採用されました。いわば、三方五湖が地質学の「グリニッジ天文台」として認められたと考えても良いと思います。

 こうしたことから、「里山里海湖研究所」の研究テーマの一つに、世界の宝となった「年縞」の学術的価値の向上を加え、研究所の充実を図っていきたいと思います。

 また、来年は舞鶴若狭自動車道全線開通が開通する予定ですので、年縞、嶺南の実際の里地里山の良さを観光に活かす計画も実行していきたいと思います。

 舞鶴若狭自動車道全線開通に関連して、9月には、地元6市町や商工会議所等とともに、嶺南地域全体の観光・発信力強化のための委員会を設けています。

 この委員会では嶺南若狭地域の美しい海、三方五湖など変化に富む地形、奈良・京都に近く大陸や日本海対岸地域との歴史的な結びつきも大きいものがありますし、かつて御食国と呼ばれた食の宝庫でもあります。これらを県外に強く発信することによって、多くの人を呼び込むことが来年の大きな仕事でありますので、皆さまのそれぞれの職場で直接間接にこのことが影響すると思いますので、総合的に事業を進めていってください。

 また、嶺南の観光や産業振興だけでなく、福井県民の相互交流も、戦後はじめてできるわけですので、念頭に置いて仕事を進めることが重要だと思います。

 こうした高速道路を使用することを考えると、物流や貿易、企業活動も重要です。敦賀港の本年の外貿コンテナ貨物取扱量は、11月末時点でこれまでの年間最多取扱量を更新し、前年同期比1割増となっています。敦賀港で荷物を仕分けするステーションも完成しており、関西圏や中京圏、県内企業にも活用してほしいと思っています。

 企業誘致の面では、植物工場が2社相次いで進出が決まりました。市町の産業団地整備を引き続き支援するなど、地域の雇用や新しい産業がこの地域に芽生えるように努力していくことが重要です。

 次に7点目の農業の分野については、まず園芸についてです。

 今年、高浜町に整備した一年中ミディトマトの栽培ができる大規模園芸ハウスにおいて、「越のルビー」の生産を開始しています。今後、これをモデルに、安定しない日本海側の気候を克服しながら園芸生産を県下に拡大していきます。

 また、福井米については、2月の食味ランキングにおいて最高ランクの「特A」評価をようやく獲得しました。

 25年産米からは、すべての集荷施設において食味検査にもとづく区分集荷も始めているほか、大粒を選りすぐった「限定コシヒカリ」の首都圏への販売にも力を入れています。

 しかし、日本の米政策や農業政策は大きな転換期を迎えており、その中でいかに質の高い米や園芸作物を生産していくかが重要です。

 福井米のブランド化や農業の多角化などの状況のなか、現在「農業・農村再生計画」を策定しておりますので、施策に反映、実行していく予定です。

 また、食に関連し、4月に都内2店舗目のアンテナショップ「食の國 福井館」を銀座にオープンしました。夏以降着実に売上げも増加し、特に11月、12月はカニのシーズンですので、年間1億円の目標達成ができれば良いと思っています。

 8点目には教育・文化政策です。
 今年も子どもの学力・体力の両面で全国トップを維持することができました。高校の学力向上につなげる必要があります。子どもたちの様々な能力を伸ばす教育の充実が重要です。

 2月には、教育委員会において、高志高校に県立中学を併設する「併設型中高一貫校」の設置方針を決定しました。6年間を一区切りとする新しい教育システムを導入し、その成果を県内の他の中学や高校の授業改善にも応用していかなければならないわけです。

 教育分野ではこのほか、今年から「白川静漢字教育賞」を創設しました。福井が全国の漢字教育、国語教育ネットワークの拠点として役に立つべきです。全国の先生方を含めて、立派な活動を表彰していきます。

 また、文化面では、4月に東京芸術大教授の手塚雄二先生を県立美術館の特別館長にお招きしています。今年は「ミケランジェロ展」、「岡倉天心展」の大規模な特別展を開催しました。この特別展の入館者は計10万人を超え、開館以来、初めてのこととなりました。

 地方では美術館、博物館のイベントが誘致しにくいのですが、これからはこの成果を十分活かして、具体的な活動の充実を図っていきます。

 9点目は福井国体の開催準備です。平成30年には福井国体が開催されます。
 7月に正式に国体開催が内定し、マスコットキャラクターのデザインや愛称も決定しました。

 競技力向上については、国体の総合成績は昨年と変わらぬ24位となりましたが、スーパーアドバイザーによる指導等により、ホッケー男子で丹生高校が国体と高校総体の2つで優勝するなど、ジュニア層の活躍につながりました。

 東京オリンピックの開催は福井国体の2年後です。国民のスポーツへの関心が自ずと高まると思いますし、選手強化も全国的に進みます。その中で、県民自らが福井国体に参加し、盛り上げていこうとする機運を醸成し、また福井県の競技力も併せて高める必要があります。

 来春には国体に関する新たな局を設置して体制を強化し、準備を加速させていきたいと考えています。

 いよいよ、年末年始の休みに入ります。今年は9日間の休みとなります。この一年の反省や見直しもして、十分に鋭気を養って新年に備えていただきたいと思います。

 ご家族とともに穏やかな新年を迎えられることを祈念し、仕事納めに当たってのあいさつとする。

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