平成25年度新採用教職員辞令交付式 知事励ましの言葉 ~温故知新―新任の先生たちに~

最終更新日 2013年4月5日ページID 023075

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 このページは、平成25年3月27日(水)に県庁正庁で行われた、平成25年度新採用教職員辞令交付式での知事励ましの言葉をまとめたものです。

 今日は、福井県公立学校の教職員となられた207名の皆さんに心からのお祝いを申し上げます。皆さんには、4月から新たに教壇に立って子どもたちを教えていただく。子どもたちの生活や健康を支える。また学校運営の仕事をしていただく。そういうとになると思います。ぜひともこれから福井県の子どもたちのために、皆さんそれぞれ力を合わせてがんばってほしいと思います。

 県では、全国トップレベルの小・中学校の学力・体力をより一層高め、これを高等学校につなげていくことが重要です。また、高等学校は必ずしも小・中学校ほど学力・体力が優れているわけではないようですので、全体に高等学校の水準を引き上げ、さらに0歳から6歳までの教育も含めた一貫した18年教育を進めなければなければならないと思っております。【写真】知事励ましの言葉

 今回、採用の内定が決まる前から、皆さんは様々な本を読まれたと聞いています。皆さんどんな本を読まれましたか。先ほど聞いてみましたら、一番多かったのが『学問のすすめ』ということでした。50名ほどが読んでおられるということですね。その他にもいろいろな本がありますが、『論語』という方が30名くらいおられます。それから自然科学では『沈黙の春』や『唯脳論』、『ホーキング未来を語る』といった本が多かった。皆さんが読まれた中で、ホメロスかイリアスというのが一番古い本ですね。これを読まれた方が8名。これと同じように古いのは『論語』だと思うのですが、この論語にこと寄せて申し上げたいと思います。

 励ましの言葉として、四字熟語の一つを申し上げます。「温故知新」という言葉です。よく校長室に行きますと、この言葉を書いた額が掛っている学校があります。この言葉は学習をする際の心構えとしてよく知られていますが、私たち政治家の座右の銘にもなっていることがあります。この「温故知新」の意味、「故きを温ね、新しきを知る」とは、誰でも知っていることです。この意味はいくつかあるのですが、そのことは後ほど申し上げます。

 まずその前に、皆さんに念頭に置いていただきたいことがあります。この『論語』の言葉は、誰に向かって、誰のために語られた言葉かご存知でしょうか。
 読んでみますと、「子曰く、故きを温ねて新しきを知る。以て師と為るべし」と書いてあります。
 ここで師というのは先生のことです。「以て師と為るべし」あるいは「以て師と為すべし」とも読むそうですが、「温故知新」、古いことをたずねて、新しきを知る、このことができる人が初めて先生になれるという意味です。皆さん方は先生に一応なれていますが、本当の先生になるためには「温故知新」ができていなければならないということです。校長室に掛っていますと、校長先生ができていないと、校長になれないということになるかもしれません。古いことと新しいことを両方知っていなければならないというのは、普通の意味です。もう一つは、古いことをいろいろ勉強しながらそこからの新しいことを考える、創造という考え方です。この後の方の意味は大変難しいですから、皆さんにはすぐにはできないと思います。10年くらいかかるかもしれません。

 まずは最初の意味として、古いことも新しいこともよく知ってほしいと思うのです。つまり、古いことも新しいことも、先生である皆さんが子どもたちに教える知識をよく知っていないと、本当の先生ではないのです。授業も面白くなりませんし、つまらない先生なってしまいます。できるだけ早く知識を身につけてほしいと思います。「もう先生になったのだから、授業をやれば十分だ、だんだん授業も上手くなっていくだろうし、知識も身につくだろう」などと決して思わないでください。できるだけこの10年間くらいの間に全力で知識をたくさん頭に入れてください。「詰め込み教育」や「ゆとり教育」という言葉がありますが、みなさん自身に対しては「詰め込み教育」をやっていただかないと、いい先生には決してなれません。子どもたちについてはまた別の議論がありますが、先生である皆さんは初めの10年間で知識のしっかりした物知りで、古きことも新しいことも知っている先生になってほしいのです。このことを今日は特にお願いします。

 小学校の先生であれば、例えばですが、一学期のうちに百人一首を暗唱できるようにする。それから、中学校の国語の先生であれば『論語』を2回ぐらい読んでおいてもらいたい。また英語の先生であれば、ラジオの英会話番組は毎日聴いていただきたい。高校の先生には、大学の二次試験が自分で解けるように、どんなに難しい問題でもぜひトライをしてみてください。そうでないと立派な先生にはなれないと思います。

 「故きを温ねて新しきを知る」。ぜひとも過去のことをよく知り、次のいろんな課題に備えてほしいと思います。
 それでも10年経ちますと、それだけでは解決できない難しい問題が出てくるのです。そこでは自分の力で新しいことをまた考え出さなければなりません。例えば皆さんが例えば職業系の高等学校で、一生懸命に教材を研究し、工夫をして子どもたちの授業に臨んでも、子どもたちの目が輝かないかもしれません。そういうことがあるかもしれない。そうなると皆さんも悩まれるでしょう。どうすればいいのかわからないことに直面するかもしれません。そういう挑戦、いわゆる本当の二番目の意味の「故きを温ねて新しきを知る」ということになると思います。

 しかしまず初めの第一段階を皆さんの力で実行し、次の段階に備えるように願いたいと思います。そして先輩方の助言をしっかり聞いていただきたいと思います。しかし、それについても必ずしも助言でない部分もあるかもしれません。皆さんの勉強の邪魔になることもあるかもしれません。よく考え方を聞いたうえで実行してください。というのは、例えば「子どもたちに向きあう時間がない」などと先輩の皆さんがおっしゃるかもしれません。その意味を自分なりに考えていただきたい。決して「時間がないから勉強もできない」とすぐに思わないように願いたい。皆さんが自分で考え、先輩方の助言は助言としてしっかり受けて、自分のものにするという強い決意でこれからの教員生活を始めてほしいと思います。

 皆様方のこれからのご奮闘を心からお願い申し上げまして、励ましの言葉としたいと思います。おめでとうございます。

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