平成26年度新採用教職員辞令交付式 知事あいさつ

最終更新日 2014年4月1日ページID 026314

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 このページは、平成26年4月1日(火)に県庁正庁で行われた、平成26年度新採用教職員辞令交付式での知事あいさつをまとめたものです。

 今日は、福井県公立学校の教職員になられた212名の皆さんへ、励ましの言葉としてあいさつをさせていただきます。

 

 皆さんの中には、実際に教壇に立たれる先生もいれば、事務職員や栄養職員など様々な仕事をする方もおられると思いますが、それぞれの分野で力を合わせて全力で取り組んでいただくようお願いします。今後、多くの先輩方が辞められますので、皆さんに対する期待は非常に大きくなります。修練をしてがんばってください。

 【写真】知事あいさつ

 ご存知のことと思いますが、福井県の子どもたちの学力・体力は全国でも有数の水準です。昨年度は本県の教育を学ぼうと、全国から1500名以上の教育関係者が研修に来られました。また、4つの県から6名の先生が本県の学校に配属されて1年間勉強しました。今年度には6つの県から8名の先生が本県の小中学校に配属されておりますので、皆さんが赴任される学校と同じ職場になる方がいらっしゃるかもしれません。

 

 本県では、教育力を向上させるため、福井型18年教育を進めています。小・中学生の学力・体力は日本一ですが、これを幼児教育から始める必要があります。最近は道徳教育とか心の教育とか言われていますが、生まれたときから、あるいは3歳頃からの教育が大事であり、それを小学校につなげていく必要があります。

 

 また、小・中学生の学力・体力がトップレベルであることが、高等学校の職業教育や進学指導などに必ずしも十分活かされていないので、高校教育をてこ入れする必要があると思っています。皆さんはこうした状況の中で、本県に入ってこられたわけです。本県は全国でも優れた教育を進めているところですので、諸君の力や頑張りが、本県の教育に大いに影響を及ぼしていくことを期待しています。

 

 ここで皆さんに質問します。夏目漱石の『坊っちゃん』を読んだことがある人は手を上げてください。(挙手少数) 壺井栄の『二十四の瞳』を読んだことがある人。(挙手少数) イギリスの小説家ヒルトンの『チップス先生さようなら』を読んだことがある人。(挙手皆無) カナダの小説家モンゴメリの『赤毛のアン』を読んだことがある人。(挙手やや少数) これらの小説はすべて、皆さんと同じ立場の若い先生たちの物語です。いずれも学校や教育の面白さが出ており、また学校で問題となっていることもいろいろ出てきます。例えば『坊っちゃん』では、「野だいこ」とか、校長の「赤シャツ」など昔の管理職の先生たちが登場し、先生のえこひいきなども出てきます。『赤毛のアン』では、不登校やいじめ問題などが出てきます。

 これらはすべて短い小説で、2、3日程度で読めると思いますので、1か月ぐらいの間に読んでほしいものです。教育委員会からも読書を勧められて本を読まれているかもしれませんが、こうした教育に関する古典的な話の本を読むことも大事だと思います。

 

 また、昨日から始まった「花子とアン」というNHKの朝ドラも面白いと思います。授業が始まる直前の時間帯なので、録画などあるいは夜11時頃の再放送をご覧ください。今朝の放送では主人公が自分の妹を背におんぶして、小学校一年生の授業を受けている場面や、貧しいために昼ご飯を抜いて昼食時間に校庭に出ている場面がありました。現代ではあまり考えられないことですが、現代の問題に翻訳して考え直すと参考になるところが多いと感じました。

 【写真】会場の様子

 さて、皆さんへの励ましの言葉として、3点申し上げたいと思います。

 まず一つ目ですが、これから一生懸命教えていかなければならないと意気込んでいると思います。しかしすぐにそうは考えないで逆に、これからも学び続けることをまず考えてください。というのは、大学を卒業してからはもう学ぶことはない、これからは自分が学んできたことを、子どもたちにきちんと教えるんだと意気込まれているかもしれません。しかしそうではなく教職員自身が学び続けなければなりません。教えることを第一にあまり意気込まないで、自分が学ぶことを第一に重視してほしいのです。学び続けることに伴って、教える内容もエネルギーも自然とついてくると思いますので、まずはインプット、学ぶことに全力で取り組んでほしいと思います。

 学ぶものには英語などいろいろあると思いますが、皆さんには、1日に30分から1時間程度はラジオ等の英語の番組を聴いて、それを3年間くらいは継続してほしい。自分が子どもに英語を教えることに意気込まないで、まずは自分が学んでください。そうしないと本当にいい教育はできないと思います。普通とは逆の話を申し上げましたが、教えるのではなくて学ぶこと、を基本にして教壇に立ってほしいと思います。

 

 二つ目は、赴任される学校には先輩の先生方がおられて、これから先輩達に習って一生懸命教えたいと考えていると思います。ここでも逆のことを申し上げますが、先輩は皆さんよりも古い方たちですから、当然古い考えが馴染んでいます。皆さんの清新な気持ちが十分反映できないのではないかと思うからです。自分がどういう教え方をするのか、こういう学校の先生や教職員になるんだという強い気持ちを持ってほしいのです。そうして10年、20年したら自分の国語の教育、自分の英語の教育というような、自分の教育スタイルを作ってほしいのです。人の真似をするのではなく、自分がやるんだという強い気持ちや考え方を持ってやってほしいと思います。そうしないと福井の教育は新しくなりませんし、学校は良くならないと思います。

 

 三つ目ですが、今ほど「地方自治の本旨に則って、全体の奉仕者として」という宣誓書の朗読がありました。この「全体の奉仕者」についても逆のことを言いますが、「全体」に対するような、他人事みたいな教育で、子どもを教えてほしくないのです。つまり、福井県全体の子どもを教えるというのではなくて、自分の妹や弟や、さらに自分たちが家庭を持ったら我が子に教えているんだという気持ちで、自分のことのように考え、子どもを大切に育ててあげてほしいのです。このことが全体の奉仕の実際の意味であり、密度ある教育ができるのだと思います。

 普通にみんなが言うようなことを一辺倒で真似ているようでは、いい成果が上がらないし大抵は逆のことが多いと思うのです。皆さんも経験があると思いますが、水泳で初めて体が浮かせられるのは、体の方を浮かせたから浮いたのではなく、顔を水の中に沈めることができたから体が浮いたのです。また、逆上がりをしたときでも、頭を下に下げるというコツをつかめたから体が鉄棒の上に上がったのだと思います。本当の目的を達成するためには、逆とも思える行動をすることが重要だと思います。

 皆さんには、これからまず10年自分の得意を生かして、自分の授業スタイルを作ってほしいと思います。そのためには教えるということではなく、しっかり学ぶこと。

 学ぶことは、皆さん自身に対する挑戦でもあり、この挑戦は自分で自分に向けて決めるわけですから、失敗しません。今日から短い時間でも一つずつ積み上げていってほしいのです。そうすることで必ず、皆さんの力になっていくと思います。

以上の三つのことを頭の片隅に置いていただきたいと思います。

 

 健康には十分に留意され、福井県の教育のためにこれからご奮闘いただくことをお願い申し上げまして、励ましの言葉としたいと思います。

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