平成26年度新採用職員辞令交付式 知事あいさつ

最終更新日 2014年4月1日ページID 026299

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 このページは、平成26年4月1日(火)に県庁正庁で行われた、平成26年度新採用職員辞令交付式での知事あいさつをまとめたものです。

  

 今日は、106名の新採用の皆さんにごあいさつを申し上げます。まず、厳しい試験を突破された皆さん、男性が65名、女性が41名となっております。晴れて県職員となられたことに対し、心からお祝いを申し上げます。

 

 今年は、これまでマニフェスト「福井新々元気宣言」を掲げて、夢と希望にあふれるふるさと作りに全力で取り組んでまいりました。この間、最重点の政策課題であった、北陸新幹線の敦賀までの認可・着工が実現しました。また、今年の夏ごろには、舞鶴若狭自動車道が全線開通し、北陸道さらには中部縦貫道と結ばれることになります。福井県が長年進めてきた基本的なインフラ、全体的な交通体系の骨格が大体でき上がりつつあります。

 また、政治の基本となる教育については、国の学力調査において6年連続で全国トップクラスの成績を収めています。体力テストについても良い成果を上げており、平均寿命も健康長寿の県です。こうした成果や県民の努力が認められ、日本総合研究所というシンクタンクが今年の1月に発表した幸福度ランキングにおいて、今回、福井県が総合第1位となりました。2位は東京都です。

 福井県は大きな県ではありませんが、大都市との共通のデータ比較で東京よりも幸福度が高いという評価を得たことは、我々としてはとても元気が出ることだと思います。こうした福井県の良さ、これから盛り上げていってください。

 今年度は知事として3期目の最終年度になりますので、皆さんとともに幸福度や希望など、GDPに必ずしもとらわれない国民や住民の幸せ、を追求してまいりたいと思っています。

 

 今朝はせっかくの機会ですので、県庁職員として関心を向けるべきこと、心構えについて申し上げたいと思います。

 

 まず、聞いたり話したりすること、行動についてです。

 他人が言うことに注意を向けてください。これまで試験の問題文には注意を払ってきたと思います。どんな答えを求めているか、どんな回答をしたら合格するかなどです。

 しかし、これからは相手が本当は何を言っているか、何を県政に求めているのか、こういうことに注意を向けてほしい。社会の組織の中では周りの上司もいつもはっきり叱ったり、言葉には出さないかもしれません。皆さんが注意を払っていないと、褒められている積もりでいると実は叱られていることもあります。他人が言うことによく耳を傾けて、注意を向けてほしいと思います。

 次は逆に、話すことについてです。自分の疑問や意見をはっきり言ってください。周りの人の顔色を見すぎないようにしてほしい。自分の発言が、かっこ悪いとか恥をかくとか考えてしまうと、このことが皆さんの毎日の進歩を妨げます。周りの人が言うことに注意を向けて、自分の意見をはっきり言ってください。

 

 昔、蓮如上人という方がいらっしゃいました。福井県にもゆかりのある高僧ですが、「物を言え言え」ということを、私たちの先祖であるお百姓さん達に諭しています。「物を言わないのは悪きことなり」と。物を言わないと何を思っているのか分からない、注意すべきことも注意できない。はっきりと、このように思う、そうではないと思う、ということを言ってほしい。自分の意見や疑問をはっきり言うこと。これをしないのは、自分にもまた県庁の仕事にも良くないことですので、注意を願いたいと思います。以上が一つ目のことですが、ここから次のことが言えると思います。

 二つ目は、人の言うことに注意を向け、言葉を出すことになれば、皆さんの県庁の仕事ぶりが「積極的」になります。積極的であるためには、その最も初歩的な初めは、「気を利かす」ということです。気の利かない公務員では困ります。よく耳を傾け、意見をいい、気を利かせてほしい。気を利かせて、瞬間的に準備がなくては、とっさにいろんなことができません。後でリカバリーをしようとすると大変に時間と手数がかかります。皆さんのこれからの仕事の成績にも影響すると思いますので、このことに関心を向けてしてください。

 

 次に三点目、心の問題について申し上げます。

 どちらかというとこれまで皆さんは優等生だったのではないでしょうか。自分の良くないところや欠点を、どうしても気にしすぎるかもしれません。でも、欠点にあまりとらわれないで、これからは自分の良い所を発見して、それを伸ばすようにしてください。自信を持ってやってほしい。優等生にならないこと、一つでも良いところを自分の力で押し出して、少々のことでは簡単に落ち込まないようにしてください。

 

 次に四点目は、組織に入ります。自分と全体のことについて、申し上げます。

 皆さんはまだ非常に小さな存在です。数学のベクトルで言うと、まだ長さがほとんど無い、どちらを向いているのかもはっきり分からない状態だと思いますが、しかしベクトルとしては存在しています。きちんと点と位置はあります。県庁全体の力の一部です。そこをよく自覚してください。自身はまだ小さいけれど、全体の一部である、そして何かに寄与できる力を必ず持っている。例えば福井県の教育、交通体系の改善、国体推進、それぞれのセクションで仕事をしますが、そのなかで福井県の良い所を伸ばすベクトルの一つです。初めは小さくても力を発揮できる存在だ、ということを自覚してください。

 これから公務員としてのそのベクトルを力強く大きくしていってほしい。一年一年粘り強くやってください。全体の一部であり、従って責任もあります。決して「まだ新入生だから何もできない」とは思わないでください。毎日やっていることが、福井県が良くなるための一部であるという自覚を、強く持ってください。

 

 最後に、挑戦と失敗という話をします。今日は4月1日ですから、全国の会社や団体や、あらゆる自治体で「失敗を恐れず、挑戦をせよ」とおそらく社長さんや首長がおっしゃっていると想像しますが、この問題について申し上げます。

 挑戦という話ですが、大それたプロジェクトに挑戦というようなことを考える必要はありません。挑戦という言葉の本当の意味は、そういうことではなく、挑戦とは自分自身に課題を与えることなのです。簡単な例を挙げれば、毎朝、新聞を読むこと、ラジオやテレビのニュースを良く聞くこと、これが基本です。世の中で何が起こっているのか、何が課題なのか何が問題点か、ということに注意を向けなければなりません。これをまず自分に課題として与えてください。県庁の仕事をしているから、世の中のニュースは直接関係ない、雑誌を見たことがない、ラジオを聴いたことがない、テレビのニュースなど気にしない、ということではいけません。自分に情報と知識をしっかり与える、これがまず皆さんの挑戦の第一歩であります。

 またもう一つの期待をしたいのですが、外国語の勉強をしてほしいと思います。英語や中国語、東アジアの言葉などいろいろあるので、どれかにターゲットを絞って勉強を毎日してほしい。これも自己への挑戦です。2、3年たつと、大体いろいろな音声が聞き分けられることになるのではないかと思います。5年くらいかけて外国語を自分のものにしてください。平成30年の福井国体、その2年後には東京オリンピックがあります。それまでには外国語がきちんと出来る公務員になってください。この挑戦は失敗をしてはいけません。これは自分に対する挑戦ですからそんなに難しくない、必ず成功するはずです。周りの環境と全然関係ありませんから、自分だけでできることです。この挑戦に成功してほしいと思います。

 

 以上、5点ほど申し上げました。よく記憶して、実行していただきたいと思います。

 

 高浜虚子という俳人がいます。この人が、ちょうどこの季節に作った俳句がありますので、紹介して終わります。

 これは、かなり昔のことですが、ある専門学校の卒業生に高浜虚子が送った俳句です。「これよりは恋や事業や水温む」

 ちょうど水ぬるむ時期でありますし、桜も咲き始めております。いよいよ春です。恋は恋愛のことです。事業というのは皆さんにとって県庁の仕事のことです。まさに皆さん自身のプライベートな結婚などにも真剣に取り組み、自分のこともうっかりしてはいけません。皆さんは若いのですから、恋と仕事と両方ともしっかり進めてください。青春も楽しんで、これからの県庁の仕事を担うという強い気概の下、仕事に取り組んでいただきたいと思います。

(2014.4.1)

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