内外情勢調査会知事講演~ふるさと福井の元気再生に向けて~

最終更新日 2010年7月27日ページID 024020

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 このページは、平成22年7月27日(火)にユアーズホテルフクイで行なわれた、内外情勢調査会の「ふるさと福井の元気再生に向けて」と題して行われた知事の講演をまとめたものです。

 今日の演題は「ふるさと福井の元気再生に向けて」です。準備が十分でないかもしれません。起承転結がはっきりしないかもしれませんが、その点は個別のお話だけお聞き願うということでお許しください。
 お話する内容に脈絡がなくなるといけないので、福井県の元気再生を目指した県政全体の状況に関連する資料をご用意しました。また、プロジェクターを使ってパワーポイントで説明しようかと思いましたが、室内が暗くならない方が良いかと思いまして、資料をお配りすることとしました。既にご承知のものもあるかもしれませんが、参考にしてください。

(「ふるさとの発想」)【写真】知事講演
 今日は「ふるさと」をテーマにお話します。
 「ふるさと」といいますと、牧歌的といいましょうか、原風景を思い浮かべているかもしれません。皆さんの過去からの故いふるさともその1つですが、私が申し上げる「ふるさと」とは、われわれ一人ひとりが自ら主体的に作り上げる新しいふるさと観です。
 私が昨年岩波新書から出版しました「ふるさとの発想」から、今年の春の群馬大学の入学試験で論文問題が出されました。第4章「『ふるさと』という発想 ―つながりが希薄化する中で―」の一部が試験問題に出ています。「新しいふるさと」とはどういうものか、「新しいふるさと」は成立が可能か、あるいは不可能か、どちらかの立場に立ちその理由を600字で記述せよ、という問題でした。
 つまり、「新しいふるさと」が成立するかどうかは、どうも大学から見ると甲乙論じるのに面白いテーマのようです。どうか皆さんも一度ご自身の問題として、「新しいふるさと」について考えていただけたらありがたいです。
 また、早稲田大学でも「ふるさとの発想」が入学試験問題に出ました。これは現代文の試験であり出題個所は同じく第4章からでした。


1 学力・体力日本一
(全国学力テストでトップクラス)
 「ふるさと」を語る時に私が一番大事に思っていることは「教育」です。将来を担う福井の子どもたちをどのように育てていくのか、ぜひとも、「ふるさと」を思う子どもたちになって欲しいというのが願いであります。
 まず、次の資料「全国学力・学習状況調査結果」は、昨年4月に全国で小学6年生と中学3年生を対象に実施された学力テストの結果をまとめたものです。Aは主に「知識」に関する問題、Bは「活用」に関する問題です。
【資料1】 「全国学力・学習状況調査結果」
資料1
 

 県内の公立小・中学校の平均正答率は、「国語」「算数・数学」の2教科4テスト全てにおいて全国2位以内に入っており、調査が始まった平成19年度から3年連続全国トップレベルにあります。福井県が1位の分野は秋田県が2位、福井県が2位のところは秋田県が1位になっています。
 そして、数日のうちに4回目となる平成22年度の学力調査の結果が発表される予定です。(注:7月30日に発表された今年度の学力調査においても、福井県は全教科で引き続き上位)
 新しい政権になり、学力テストが抽出調査に改められ、すべての学校が対象になっているわけではありません。しかし、抽出されなかった約7割の学校も県独自に国と並行して学力調査を行いましたので、昨年と同じように、全学校の全ての小学6年生と中学3年生がテストを受けております。
 そして、国から数日後に発表される約3割の抽出校の成績と、福井県が補完的に実施した残り7割の学校の成績を、県独自に比較することにしています。全数を調査することで県全体の状況を把握し、子どもたちのさらなる学力向上に役立てることにしています。
 福井県の子どもたちの回答状況を見ると、全く答えを書かない子どもは少なく、少し間違えても答えに必ずトライしてみる子どもが多いという特徴があります。また、「知識」を問う問題(A問題)は得意なんだけれども、それを応用する問題(B問題)は、知識ほどは得意でないという傾向が見られます。もう少し応用力が必要かと感じています。

(子どもたちの学習状況)
 次に、資料「全国学力・学習状況調査(子どもたちの学習状況)」をご覧ください。
【資料2】 「全国学力・学習状況調査(子どもたちの学習状況)」
資料2
資料2-2
 福井県の学力の成績がよろしいのは、子どもたちが頑張っている、あるいは先生も努力しているからですが、家庭生活も大事な背景としてあります。
 「朝7時に起きる」「朝食を毎日食べている」「11時までに寝る」といった項目では、福井県が全国平均を上回っています。基本的な生活習慣が身に付いている子どもが多いということです。
 全国では中学生が朝7時以降に起きる割合が65%となっており、果たして学校に遅刻せずに着いているのか疑問を感じる結果が出ています。
 宿題については、福井県では9割以上が行っています。一方、全国と比べて塾通いは圧倒的に少なくなっています。学校だけで大丈夫ということです。
 予習、復習の項目については、全国平均を下回っており、福井県の子どもはあまりしていないようです。おそらく、いま申しました宿題をやっていることで、実質的には予習・復習も行っているのでないかと推測します。
 なお、文部科学省は今年度から、学力テストと一緒に学習状況調査も約3割の学校を抽出して行っています。抽出から漏れた7割については、福井県が調査を行いました。

(少人数学級によるきめ細かな教育)
 福井県の高い学力と関係のあることに、少人数学級編制があります。学級の生徒数を減らすわけです。現在、県では中学校1年で30人学級を実施しており、さらに中学2,3年は33人、小学校5、6年は36人と、少人数の学級となるよう県独自の基準を設けて、きめ細かな指導を行えるようにしています。
 全国の都道府県ごとに、35人学級以下のクラスに属する生徒が全体の何割を占めるか調査したところ、中学校では全国で唯一、福井県だけが100%でした。99%台だったのが福島県、栃木県、山口県でした。
 こうしたデータを見ると、中学校の成績がよろしいのは少人数学級の成果であり、小学校が秋田県に負けているのは、少人数学級の割合がやや低いからだという仮説、推測がなされるかもしれません。
 しかし実のところは、このレベルの少人数学級と学力との関係を調べても、あまり相関が出てきません。本当はクラスごとに成績を調べるのが正しいと思います。例えば、クラスごとの成績とその学校の成績を統計的に対応すると、少人数学級が学力に影響するかどうかが分かるかもしれません。

(学力と体力の関係)
 次に、資料「学力と体力の関係図」をご覧ください。
【資料3-1】 「学力と体力の関係図〔小学校〕」
資料3-1
【資料3-2】 「学力と体力の関係図〔中学校〕」
 

資料3-2
 これは、全国学力テストと体力テストの成績の関係を見たものです。相関係数は0.5ぐらいですから、弱い相関が見られる程度です。
 小学校では、学力は秋田県が福井県を少し上回っていますが、体力では福井県が1番です。大都市圏の小学生は、学力にはばらつきが見られるものの、体力は低い傾向があるようです。
 中学校では、福井県は右上にありますので、学力も体力もよろしいです。大都市圏の中学生は、ご覧のとおり学力、体力とも一般に低い傾向が見られます。

(高校生の学力)
 高等学校では小・中学校のような学力調査は行われておらず、他の都道府県と比較するような統計は出ていません。強いてあげるなら、大学入試センター試験の自己採点集計があります。この結果についてクラスター分析を行うと、福井県の高校生の成績は全国6位か7位ぐらいになります。ただし、自己採点であることや都道府県によって受験状況が違うため、加工をしても都道府県間の学力を比較することが難しいことをご留意いただきたいと思います。
 と言いますのは、福井県の高校生の多くは、国公立志向が強いため、センター試験を5教科すべて受けることとなり、ちょっと戦力が削がれるのではないかということです。因みに、国公立大学への進学率は、富山県が第1位で、福井県は第2位です。
 東京ですと私立大学志望が強いため、英語と国語で入学試験の勝負をする受験生が多くなります。
 つまり、片や100メートル走など種目を絞って練習している一方で、福井県は近代五種で勝負しているというようなものです。

(学力のさらなる向上に向けて)
 福井県の優れた学力、体力、教育状況を、いかに子どもたちの将来のために次の段階のものに役立てていくか、また、福井県として地域の振興のために役立てていくかが課題であり、方向をまだ十分出し切れていません。これから具体的な政策を決める必要がありますが、1つは「元気ふくいっ子学力向上センター」を昨年10月に設け、学力調査結果の分析だけでなく教員の指導力向上のため、全体的な研究や応援を行っています。
 また、白川文字学も国語の基本的なことにかかわるので、役立てていきたいと思います。
 今年は白川静博士の生誕百年ということで記念事業を行っているところですが、ちょうど今日、ご遺族から、先生の書斎に残されているいろんな文具類や机、椅子などの遺品を頂きました。県立図書館内の白川文字学の室(へや)に展示して、子ども・大人を問わず、白川文字学の世界を実感してもらう予定です。
 さらに、私は3年前に外国語教育が重要だとマニフェストに書きましたが、なかなかうまくいっておりません。実は、福井県の高校生は、大学入試センター試験の英語リスニングでは、平成18年度以降、常に全国1~2位を維持しています。福井県では、外国語指導助手(ALT)を最も早くから各高校に配置しており、また生徒一人当たりのALT数は全国で最も多くなっています。言い換えると、ALT一人当たりの生徒数は全国で最も少なく、福井県は531人です。富山県は713人で8位、石川県は726人で9位となっています。全国平均は約3,000人です。北陸3県は全国と桁違いでALT一人当たりの生徒数が少なく、その中でも福井県は特に生徒数が少なく全国トップであるとご理解ください。
 ただ、こうしたALT諸君の力を十分に活用していないことが課題です。例えば、ALTが、教科書や問題集の文章をスピードを変えたり多少条件をかえたりして吹き込むなど、いろいろ変化をつけて読まれた英語を生徒に聞かせると、リスニング力のアップに役立つのではないでしょうか。
 英語は世界中で使われていますが、スタンダードな英語を話すのはごくわずかしかいません。ブロークンな英語が世の中に通用しているわけです。もちろん、核となる部分は大事ですが。そこでまず、思い切って話せるようにするための教育が大事だろうと思っています。この夏は、泊まり込みでどっぷりと英語漬けの体験をしてもらおうと、高校生対象の英語キャンプを行うことにしています。また、先生の指導力の向上も必要なため、先生の集中特訓も今回行います。テレビの英語番組に出演していたパックンことパトリック・ハーランさんにも講師を務めていただきます。
 英語以外の外国語も重要であり、中国語や韓国語が不十分なので強化しなければならないと考えています。

(子どもの希望)
 教育問題で最後に申し上げたいのは、学習状況調査の結果です。これは子どもたちの生活状況を学力テストと同時に調査するものです。その調査の中で、福井県の小学生や中学生はあまり希望を持っていないという結果が出ています。全国で見ると平均以下(40位台)です。では、全国で高い所がどこかというと、鹿児島県、山口県、それから宮崎県などが顔を並べており、何か関係があるような、ないような、暖かい地方であること、幕末に活躍した県でもあるようですが、県民性が影響しているのかもしれませんし、関係ないかもしれません。福井県の子どもは、希望があるかどうかなどと答えるほどのことではないと思っているのかもしれませんし、でも本当に希望度が少ないのかもしれません。先生が、希望や郷土の誇りについてきちっと教えていないのかもしれません。私は、しっかりとふるさと教育を行うべきだと思っており、郷土を誇りに思う人づくりがこれからの福井県としての課題だと考えています。
 成績は割合良くても、高校生になっても自分のことをよく管理できない子どもでは困ります。偏差値は高いけれどもどこの大学、どんな学科を受験したらいいか決められない、どこの学校なら受かるのだろうか、という判断が自分でできないというのでは困ります。自分の力を考えて、この学校に行きたい、という判断が自分でできる子が一番すばらしいと思いますので、自分で判断できるような教育が、福井県としてもっと必要だと感じています。


2 福井国体
 8年後の平成30年に、福井で国体を開催することにほぼ内定しました。今年2月には、本日出席の市町長や、あるいはそれぞれの企業の代表、メディアの皆さんにもご意見いただき、福井国体の方向性となるビジョンを出したところで、「1県民1スポーツ」を行う国体、「1県民1参加」の国体、それから「1県民1自慢」というスローガンにより、新しい国体にしなければならないと思います。
 特に8月からは、市町長やスポーツ界、経済界など県内各界各層の出席のもとに国体準備委員会を進めることにしています。競技開催地などを選定する大きな作業が残っており、どの市町においても最低1つの競技は行う必要があると考えています。
 国体開催に向けた準備として、既にスポーツふくい基金を50億積み立てました。こうした基金を活用しながら、競技力向上などを進めていきます。
 なお、全国の日本体育協会では来年4月から会長に民間人が就任されるなど体制も変わります。国の方向も見極め、県の要望も出して新しい形の国体になるように努めたいと考えています。
 福井県が開催するまでの他府県の様子を見ますと、人口が100万人ぐらいのところはほとんどなく、大きい県が多いようです。大きなスタジアムが既にあるといったところは、競技施設の心配もありませんし、国体を開催するにあたりそれほど負担にならないのではないでしょうか。
 平成14年の高知国体では、優勝しなくてもいいんだといった方針を真っ先に出されたとのことでありますし、福井の3年前に開く和歌山県では、ちょうどいま、競技場の改修や整備を行っているところです。スタジアムや野球場、補助グラウンド、プールなどがあり、福井の運動公園とよく似た姿のところです。全国知事会が和歌山市であり、立ち寄って改修の様子を教えていただきました。和歌山県の人口は100万人ですので、福井県と同じような規模の自治体が行う国体として参考になると思っています。
 先ほど、福井県は学力、体力が優れているとのお話をしましたように、スポーツにおいても全国に負けるような県ではなく、多くのプロ野球の選手も出ていることはご存じのとおりです。こうしたことを考えながら国体の準備を進めたいと思っておりますので、皆様方のご協力をお願いいたします。


3 APECエネルギー大臣会合の開催
 6月18日から20日にかけ、「2010年日本APECエネルギー大臣会合」が福井県で開催されました。アジア太平洋地域の20の国・地域のエネルギー担当大臣と、IEA(国際エネルギー機関)など3つの国際機関のトップが参加した本県では初の大規模国際会議でした。
 最先端のエネルギー研究開発を進める福井県で、今後のエネルギー政策について議論する大臣会合が開催されたことは、とても有意義なことであり、また、低炭素化社会の実現に向けた「福井宣言」も採択されました。
 お陰をもちまして成功裏に終わることができました。本日ご出席のホテルあるいは宿泊関係の皆様はもとよりですが、経済界の皆様からもご協力や応援を頂いたところであり、お礼を申し上げたいと思います。

(APEC開催の意義)
 このAPECにつきましては、2ついいところがあったと思います。
 1つは、福井のような規模の地方都市においても、さまざまな工夫をすれば大規模な国際会議が開催できるということ、そして、そのノウハウが蓄積されたということです。
 もう1つは、子どもたちの為になったということです。子どもたちは半年以上にわたって環境やエネルギーについて勉強し、その成果を「福井の子どもたちから未来へのメッセージ」としてまとめました。そして、APECの会合に集まった大臣たちの前で、自分たちの主張を実行してほしいと、英語で発表できたことです。
 先生方や保護者からは、「APECの場で発表した子どもたちは代表選手ではあったのですが、その周りには協力した子どもたちもたくさんいた。今回の学習を通じて、他人について行くだけだった子どもに積極性が出てきた」と、こんなお話も聞いています。
 各高等学校においても、関係する国々の大使に来県いただいて、各国の歴史や文化、政治、経済等についてご講演いただきました。国際的な問題や環境問題、それぞれの国に対する関心を深めることができたと思っています。
 そして今、原子力をはじめとしたエネルギーの拠点地域を目指し、「エネルギー研究開発拠点化計画」というプロジェクトの全体をまとめ、実行に移しています。日本原子力研究開発機構、あるいは日本原子力発電、関西電力などの皆様にも努力いただいているところですが、現在進めている活動が、具体的な姿となって未来に活きていることが重要であります。

4 経済・雇用情勢
(福井県の経済情勢)
 次は、雇用・景気情勢などの経済関係についてであります。
 資料「ふくい街角景気速報」をご覧ください。これは福井県が独自に、企業から現状判断や景気の先行きについて聞き取った結果を、ふくい街角景気速報として毎月まとめているものです。6月の段階では現状判断DIも先行き判断DIも50.3となっており、景気は横ばいとの判断が主流です。これまでの傾向としては、平成21年の1月から8月にかけてDIが上昇し、その後、年末にかけて下降しましたが、今年1月からまた上昇に転じ、現在はちょっと停滞しているという状況です。
【資料4】 「ふくい街角景気速報」
 

資料4
 鉱工業生産指数については、福井県は今年2月にやや下がり、5月に少し上昇しました。ただ、隣の石川県に比べると、下回っている状態です。
 2月に下がったのは、越前市の精密機械メーカーの生産状況の影響を受けているようです。なお、5月現在の分野別の状況は、電子・デバイスが154で前年の1.5倍の伸びとなっています。化学は112.7、繊維は84.2、眼鏡などの精密機械は80.1、一般機械は33.9という状況で、業種間にばらつきが見られます。
 大型小売店販売額の推移を見ると、5月の販売額は58億3,500万円で、前年同月比8.1%減と、平成20年10月以降、20か月連続で前年割れとなっており、低水準で推移しています。
 富山・石川や全国平均と比べても福井県は下回っている状況です。これにも越前市の影響が少し出ています。今後の見通しですが、必ずしもこのような状態が継続することはないだろうと考えています。
 消費を伸ばすため、6月から「ふくいふるさと商品券」を県内一斉に販売しました。販売開始後1か月を経過した7月19日の時点では全体の97%の購入がありました。既に12市町で完売するなど住民の関心は高く好評です。(注:最終的には全市町で完売)ふるさと商品券はお釣りが出ません。額面よりも少ない額の買い物をしようと思っていた人が、もう一点プラスして購入するといった声も聞かれます。
 今後、ふるさと商品券を発行したことで消費の面でどのような変化が出てくるか調査して、商品券の効果を検証しなければならないと思っています。

(福井県の雇用情勢)
 「有効求人倍率」の資料をご覧ください。5月時点で福井県は0.73で全国2位です。群馬県が1位で、3位以下は徳島県、香川県、富山県となっています。
 ただ、なお1倍には届いていないなど、厳しい雇用状況が続いています。県では、今年度は前年を2割上回る事業規模913億円(予算総額375億円)を確保し、年間4,000人の新たな雇用創出などの「就業・雇用対策」や、資金繰り支援や成長分野への展開などによる「中小企業の経営安定」により経済の“元気回復”と将来に向けた成長を目指しています。
【資料5】 「有効求人倍率」
資料5
 

5 2年目の営業戦略
(お江ゆかりの地が連携した観光振興)
 観光営業部を設けて2年目となる今年は、観光あるいは営業資源についての発掘・競争力アップ・魅力アップに力を入れています。2年目ですから、骨太のプロジェクトが出なければならないのですが、なおなお努力の途中でもう少し頑張りたいと思っています。
 特に力を入れているものの1つが、来年の大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」をきっかけに、観光の連携を強化することです。連携という表現を使ったのは、お江さんにゆかりのある場所が、福井県だけではなく滋賀、岐阜、三重など広い範囲にわたっているからです。資料「お江ゆかりの地」をご覧ください。
【資料6】 「お江ゆかりの地」
資料6
 

 柴田勝家とお市、そしてお茶々、お初、お江の三姉妹が共に過ごした北ノ庄城跡はもちろん、福井市内にある自性院(じしょういん)はお市の菩提寺です。また、小浜市の常高寺(じょうこうじ)はお初の発願により建立されたお寺で、墓所でもあります。福井市、鯖江市、坂井市、永平寺町、小浜市など県内各地に、たくさんのゆかりの場所があるということです。
 既に滋賀県と、関係市町、関係の団体とともに、お江の推進協議会を作っており、キャンペーン活動のシンボルとなるキャラクターのデザインを滋賀県と共同で募集し、決定しました。また、お江列車の運行や舞鶴若狭自動車道を利用した周遊ルート、旅行商品づくりを進めており、逸話などを掲載したゆかり地パンフレットやポスターも共同作成する予定です。

(恐竜王国ふくい)
 国内最先端の恐竜の化石発掘・研究拠点である県立恐竜博物館は、7月に開館10周年を迎えました。これまで学術的な調査や研究を行い、国内外に対してPRを進めており、この夏休みもたくさんの来客があり繁盛しています。
 10周年を節目として、さらに博物館の魅力を高めるため、常設展をリニューアルしました。昨年購入した「カマラサウルス」の実物化石を、発見された状態そのままに復元した日本初公開の産状レプリカのほか、12の標本を新たに加え、展示内容を充実しました。
 また、今年6月に新種として世界に認められたフクイティタン・ニッポネンシス(「日本産の福井巨人」の意)の実物化石もあわせて展示しました。フクイラプトル、フクイサウルスに次ぐ3種目の「福井」の学術的な名前が付いた恐竜の誕生により、福井の恐竜ブランドの向上が期待できます。
 恐竜博物館の入館者数は、開館した年の平成12年は恐竜エキスポの開催もあり70万人の来客がありました。平成13年以降5年ほどは25万人前後で横ばいでしたが、平成18年以降、順調に増えています。県外からの来館者が約8割と県内客を大きく上回っているのは、地方の博物館にしては珍しいことのようです。
 先ほどお話ししたカマラサウルスの購入にあたっては、入館料を引き上げて数年間で回収したいと考えています。大体2億円ぐらいのものでしたので、来館者が年間30万人で、仮に500円の料金アップを想定すると、1年間で1億5,000万円の増収が図れるという計算になりますね。これを数年間の引き上げ料金の収入で回収できるのではないかという目論見です。


6 北陸新幹線と西口再開発
(北陸新幹線の整備促進)
 北陸新幹線の整備につきましては、本来、国が責任を持って行うべき国家プロジェクトであります。かつての東海道新幹線は、まさに国家プロジェクトとして地元の負担なく作ることができました。
 6月、北陸経済連合会と関西経済連合会、福井商工会議所が、敦賀まで開業した場合の経済波及効果を発表しました。金沢止まりとなった場合と比べ、沿線全域の交流人口が500万人増え、時間短縮に伴う経済波及効果は2020年時点で、北陸で960億円、全国で約2,000億円に達するという予測をしています。地方にとって大事なことでありますので、国が責任を持ってお進めるべきプロジェクトです。
 方針が出るような出ていないような不透明な感じの国の進め方は、地方に元気が出ないもとになっています。こういう進め方は止めていただきたいし、はっきりした方向をできるだけ早く出して、お約束した事柄について応えるべきというのが率直な気持ちです。

(福井駅西口再開発ビル)
 新幹線と深く関連することですが、福井駅西口(駅前)の再開発などに関しては、福井駅の正面に向かって右側の土地約5,600㎡の問題があります。地元商業者の店舗や福井市の施設、分譲マンションなどが入る地権者棟が2,500㎡で、その西側にはNHK移転などを検討している保留床棟の2,000㎡があります。
 地権者棟には、商業施設のほか観光関連施設、福井市のボランティアセンター、子どもの一時預かり所、多目的ホールなどが検討されています。また、保留床棟には、1階から3階にNHK福井放送局の誘致を福井市が進めています。6月初旬には福井市長から、保留床棟の4階部分に県の施設を立地してほしいという要請を受けているところです。
 事業を実現するには、まず、事業の全体の取りまとめを行っている福井市が全体像を明らかにすることです。NHKの誘致も進めていただく必要がありますが、この再開発事業が周辺活性化の大きな柱の1つですので、県としても積極的に応援したいと考えています。
 この西口再開発を進めることにより、現在、アスファルトの広場となっている場所に、路線バスの乗降所などロータリーの整備が可能となり、福井駅の交通結節機能も向上されます。
 福井県としては、保留床等の4階取得を前提にしながら、県の施設内容について検討を進めている状況です。できるだけうまく物事が進むように努力したいと思っています。


7 ふるさと知事ネットワークの創設
(ふるさと知事ネット発足)
 今日のテーマは「ふるさと福井の元気再生に向けて」というテーマでしたので、最後にふるさと知事ネットワークの話をします。
 現在、あらゆる事柄が、東京や大阪など大都市を中心に展開され、かつ、さまざまな情報は大都市を中心としたバイアスがかかっています。今回の参議院選挙などもそうかもしれませんが、どうしても地方からの視点がないように感じます。大都市を世界都市にすることで、その恩恵が地方に行き渡っていくような発想があるやに見えますが、実はそうではありません。地方に馬力が出ないと日本全体に元気が出ないのです。人材の供給もそうですし、エネルギーにしても食料にしても、あらゆる問題の根っこが枯れていくと思います。
 ただ、それだけ言っているわけにはいきません。地方にできることを地方が実践していくことが大切です。そこで、全国の「田舎」の11県が集まって、異なる気候や風土、歴史、文化を持った県同士が連携して生まれる相乗効果を活かして、「地方の新しい生活スタイル」を提案していこうと、「ふるさと知事ネットワーク」を設立しました。
 今週末には、東京に関係知事が集まってシンポジウムを開いて、我々の提言や主張などを多くの方々に知っていただくことにしています。実は、東京ではなく11県のいずれかの都市で開催したかったのですが、交通が不便なためうまくいきませんでした。11県の県庁所在地から最も近いのはどこかと最短時間を調べたら、ソウルでした。このため今回は仕方なく東京で開催することになったわけです。これは交通インフラが大都市に片寄っていることや、ネットワークやダイヤなどのソフトが大都市圏中心に組まれているからだと思います。
 このふるさと知事ネットワークでは、3つのことを考えていきます。1つはメディアや中央政府に対して、地方の声や考えを積極的に知らせる、考えを要請するという政策提案の動きを強化することです。
 2つ目は、地方の特有の課題、例えば、いかに物事を地方に分散させるかとか、地方の生活をどんなふうに明るくて生きがいのある楽しいものにしていくか11県で考えていこうという共同研究です。
 そして3つ目は、民間の活動なりさまざまな団体なりが11県でまず交流して、新しいものを生み出していこうという活動です。

(家族と一緒に地方赴任)
 政策提案として、単身赴任をできるだけ避けて家族を連れて赴任するようなシステムにできないかと考えています。単身赴任をすると「単身赴任手当」が貰えますが、これを止めて「家族いっしょに手当」、つまり家族分の赴任費用を出すというものです。厚生労働省の調査によると、単身赴任者は日本全体で少なくとも30万人はおられるようです。福井市の人口よりも多い人数です。先日、福井から転勤される方と話していたところ、家は茨城県にあるが、10数年単身赴任しており、今回また伊丹に転勤することになったというのです。家族が一緒に地方へ赴任できる環境が整えば、赴任者の家族生活は充実したものになりますし、交流人口が増え日本全体が元気になるのではないでしょうか。

(ふるさと希望指数)
 最近、国民の幸福度という考え方を、民主党政権やフランスのサルコジ大統領が考えているようです。ブータンでも国民総幸福量という心の豊かさを指数で表している考え方があります。いずれも今がハッピーかどうかということを捉えたものだったと思います。
 しかし「今」ではなく、将来に対して期待を持てるかどうか、どうしたら持てるかという「希望」を、ふるさと知事ネットに参加する11県が共同で「ふるさと希望指数(LHI)」として共同研究を始めます。
 希望については、東京大学と県とが共同で希望学プロジェクトを進めており、その成果を活用したいわけです。
 希望とは、どうしても実現できないものの裏返しだという説もあります。そうすると、希望とは何だか証明できないことになりますので、きっとそうではないはずだとの期待のもとにプロジェクトを進めていきます。

(農産物の相互販売)
 団体や民間による交流活動については、既に6月に、山形県との間で農産物の相互販売を始めています。福井県ではサクランボはあまりとれませんし、山形県では梅があまりとれません。そこでJAと協力して、福井梅や梅酒、梅干し、越のルビーを山形県に持って行き、山形県からはサクランボを福井県で販売しました。販売初日には吉村知事がPRに来られ、500パックが30分で売り切れました。こういう1つずつ細かいところから11県が民間的に協力していこうということです。
 以上、さまざまなお話を申し上げました。これらが1つひとつ進展して全体としての体系的な姿が見えてくることを「希望」しているのです。
 

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